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特許7372307無菌の物体を容器からコンテインメント設備に汚染なく導入する構造体及びその方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】無菌の物体を容器からコンテインメント設備に汚染なく導入する構造体及びその方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20231024BHJP
   B65B 69/00 20060101ALI20231024BHJP
   A61L 2/08 20060101ALI20231024BHJP
   A61L 2/18 20060101ALI20231024BHJP
   C12M 1/00 20060101ALN20231024BHJP
   A61L 101/22 20060101ALN20231024BHJP
【FI】
A61L2/10
B65B69/00 Z
A61L2/08 108
A61L2/18 102
C12M1/00 A
A61L101:22
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021501032
(86)(22)【出願日】2019-07-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 IB2019000620
(87)【国際公開番号】W WO2020016645
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】00888/18
(32)【優先日】2018-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】519215913
【氏名又は名称】ファーマ・インテグレーション・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 友子
(72)【発明者】
【氏名】ランデス・ローベルト
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー・マチュー
(72)【発明者】
【氏名】シュプレヒャー・カトリン
(72)【発明者】
【氏名】ツェラー・ミーケ
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-000093(JP,A)
【文献】特開2016-086709(JP,A)
【文献】国際公開第2018/019782(WO,A1)
【文献】特開2011-160672(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0197387(US,A1)
【文献】米国特許第5425400(US,A)
【文献】米国特許第6779567(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/10
B65B 69/00
A61L 2/08
A61L 2/18
C12M 1/00
A61L 101/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ゲートユニット(7)を備え、ゲートユニット(7)は、
aa)壁(91)に配置されたアクセスフランジ(71)であって、外部から作業チャンバ(90)内へのアプローチ(75)を形成する、アクセスフランジ(71)と、
ab)アプローチ(75)を密に閉じるドア(5)であって、開位置へ向けて作業チャンバ(90)内に移動することができる、ドア(5)と、を有し、
b)容器受け(6)を備え、容器受け(6)は、
ba)容器受け(6)内に導入された容器(2)を保持するための捕集部(60)と、
bb)容器(2)を捕集部(60)内に装入するための開口部(65)と、
bc)アクセスフランジ(71)と相互作用するフランジ(61)と、を有する、
半透過性のカバー(23)によって密封された容器(2)から、コンテインメント設備(9)の、壁(91)によって包囲された作業チャンバ(90)内に無菌の物体(3)を汚染なく導入するための構造体において、
c)除染ユニット(4)を備え、除染ユニット(4)は、ドア(5)が閉じて、容器受け(6)がアクセスフランジ(71)に連結されて、容器受け(6)内に容器(2)が収容された状態で、カバー(23)の、ドア(5)に面する外側面を除染するように設定されていることを特徴とする、構造体。
【請求項2】
a)ドア(5)は、閉位置で、作業チャンバ(90)の側からシール作用をもってアクセスフランジ(71)に接合されていて、アクセスフランジ(71)は、アプローチ(75)に位置する中間空間(70)を囲繞し、
b)容器受け(6)内に設置された容器(2)のカバー(23)は、容器受け(6)がアクセスフランジ(71)に旋回接近された状態で、フランジ(61)とアクセスフランジ(71)との間でシールされていることを特徴とする、請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
アプローチ(75)内へ向いた作用方向を有する除染ユニット(4)が、直接にドア(5)に、又はドア(5)とアクセスフランジ(71)とを有するゲートユニット(7)に組み込まれていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の構造体。
【請求項4】
除染ユニット(4)は、放射線源又は燻蒸装置であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項5】
放射線源は、UVCであることを特徴とする、請求項4に記載の構造体。
【請求項6】
除染ユニット(4)は、さらに、ドア(5)の、外方を向いた表面と、中間空間(70)と、アクセスフランジ(71)の、中間空間(70)に面する面とを除染するために使用可能であることを特徴とする、請求項2からのいずれか1項に記載の構造体。
【請求項7】
作業チャンバ(90)内で工具ヘッド(96)を有する移送機器(95)が、ドア(5)が開いて、容器受け(6)がアクセスフランジ(71)に連結されて、容器(2)が容器受け(6)内に収容された状態で、
a)カバー(23)の除染された部分を容器(2)から外し、作業チャンバ(90)内に移し、
b)容器(2)内に任意選択的に存在し、物体(3)上に位置するインサート(28)を、作業チャンバ(90)内に移し、
c)容器受け(6)内に位置する容器(2)から、容器(2)の中で静止している物体(3)を、作業チャンバ(90)内に移す
ように設定されていることを特徴とする、請求項1からのいずれか1項に記載の構造体。
【請求項8】
実験室技術、製薬産業又はバイオテクノロジでの使用に応じて、
a)容器(2)は、槽状のタブの形態を有し、
b)物体(3)は、収容体(30)を収容するための凹状の収容輪郭(31)のパターンを有するネストの形態を有する
ことを特徴とする、請求項1からのいずれか1項に記載の構造体。
【請求項9】
a)構造体に、包み(21、22)を含むパッケージ(1)から容器(2)を解放するとともに、クリーンルーム条件下で、容器受け(6)内に設置される前に容器(2)を用意するように設定された、フィルタ(80)を通って流れる空気流を有する入口ステーション(8)が対応付けられていて、
b)容器(2)を密閉する、カバー(23)が、容器(2)の内部空間(20)内に位置する、収容体(30)を有する物体(3)を無菌状態に保持し、
c)容器(2)を密閉するカバー(23)は、好適には、容器(2)の容器縁(24)に封止されている
ことを特徴とする、請求項1からのいずれか1項に記載の構造体。
【請求項10】
請求項1からのいずれか1項に記載の構造体を用いて、容器(2)からコンテインメント設備(9)内に無菌の物体(3)を汚染なく導入する方法において、
以下のプロセス段階のシーケンス
)クリーンルーム条件下で、入口ステーション(8)において、包み(21、22)から、カバー(23)によって密閉され、物体(3)を含む容器(2)を取り出す、段階と、
b)コンテインメント設備(9)の作業チャンバ(90)内に汚染なく導入するために、カバー(23)によって密閉されたそれぞれ個々の容器(2)を、容器(2)の中に収容された無菌の物体(3)とともに用意し、その際、
-作業チャンバ(90)へのアプローチ(75)は、外方へ開いているが、コンテインメント設備(9)内へはドア(5)によって閉じられていて、除染ユニット(4)は、非作動であり、容器受け(6)の捕集部(60)は、開いていて空であり、容器受け(6)は、ゲートユニット(7)から離されている、段階と、
c)用意された個々の容器(2)を捕集部(60)内に設置し、その際、
-引き続きアプローチ(75)は、外方へ開いているが、コンテインメント設備(9)内へはドア(5)によって閉じられていて、除染ユニット(4)は、非作動であり、容器受け(6)は、ゲートユニット(7)から離されているが、そこでは捕集部(60)に容器(2)が充填されている、段階と、
d)容器受け(6)をゲートユニット(7)に移動接近させ、その際、
-ゲートユニット(7)のアクセスフランジ(71)とフランジ(61)とが相互にシールされていて、
-引き続きコンテインメント設備(9)内へのアプローチ(75)は、ドア(5)によって閉じられていて、除染ユニット(4)は、非作動であり、捕集部(60)に容器(2)が充填されていて、
-アプローチ(75)は、外方へ、つまりゲートユニット(7)にシール作用をもって連結された容器受け(6)によって閉じられている、段階と、
e)除染ユニット(4)を起動する又は作動状態にし、その際、
-引き続きゲートユニット(7)のアクセスフランジ(71)とフランジ(61)とが相互にシールされていて、コンテインメント設備(9)内へのアプローチ(75)は、ドア(5)によって閉じられていて、捕集部(60)に容器(2)が充填されていて、アプローチ(75)は、外方へも、つまりゲートユニット(7)にシール作用をもって連結された容器受け(6)によって閉じられていて、そこでは、
-カバー(23)の、ドア(5)に対して露出した外側面と、中間空間(70)と、中間空間(70)に面する全ての表面とが無菌状態にされる、段階と、
f)除染ユニット(4)をオフする又は非作動状態にし、ドア(5)を開き、その際、
-引き続きゲートユニット(7)のアクセスフランジ(71)とフランジ(61)とが相互にシールされていて、捕集部(60)に容器(2)が充填されていて、アプローチ(75)は、外方へ、つまりゲートユニット(7)に密に連結された容器受け(6)によって閉じられていて、カバー(23)の外側面と、中間空間(70)と、中間空間(70)に面する全ての表面とは無菌状態にあり、そこでは、
-コンテインメント設備(9)内へのアプローチ(75)が開いている、段階と、
g)容器(2)のカバー(23)を切断して開放し、その際、
-引き続きゲートユニット(7)のアクセスフランジ(71)とフランジ(61)とが相互にシールされていて、捕集部(60)に容器(2)が充填されていて、アプローチ(75)が、外方へ、つまりゲートユニット(7)に密に連結された容器受け(6)によって閉じられていて、カバー(23)の外側面と、中間空間(70)と、中間空間(70)に面する全ての表面とは無菌状態にあり、コンテインメント設備(9)内へのアプローチ(75)は、開いていて、そこでは、
-容器(2)の中に位置する物体(3)へのアクセスが解放されている、段階と、
h)容器(2)から物体(3)を取り出し、後続処理のために、物体(3)を、物体(3)内に格納された収容体(30)とともに、コンテインメント設備(9)の作業チャンバ(90)内に移し、その際、
-引き続きゲートユニット(7)のアクセスフランジ(71)とフランジ(61)とが相互にシールされていて、アプローチ(75)が、外方へ、つまりゲートユニット(7)に密に連結された容器受け(6)によって閉じられていて、コンテインメント設備(9)内へのアプローチ(75)は、開いていて、そこでは、
-捕集部(60)に空の容器(2)だけが充填されている、段階と、
i)構造体を初期段階に戻す、つまりドア(5)を閉位置に移動させ、ドア(5)は、これによりアクセスフランジ(71)に対して再びシールされていて、容器受け(6)をアクセスフランジ(71)から旋回離反させ、捕集部(60)から空の容器(2)を取り除く、段階と
を有することを特徴とする、方法。
【請求項11】
a)容器受け(6)を、捕集部(60)内に設置された容器(2)とともに、ゲートユニット(7)に移動接近させた後で、除染ユニット(4)を起動する又は作用状態にする前に、容器(2)の内容物が清浄度要求を満たしているか確認、その際、
b)清浄要求が満たされていないと、容器受け(6)は、ゲートユニット(7)から旋回離反され、これにより、いわば欠陥のある容器(2)が捕集部(60)から取り除かれる
ことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
容器(2)のカバー(23)を切断して開放すること、容器(2)から物体(3)を取り出すこと、及びコンテインメント設備(9)の作業チャンバ(90)内に物体(3)と物体(3)内に格納された収容体(30)とを移すことを、作業チャンバ(90)内に位置決めされた移送機器(95)を用いて行うことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
カバー(23)の切り抜かれた部分を、作業チャンバ(90)内に位置決めされた移送機器(95)を用いて、作業チャンバ(90)内に移すことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
a)無菌の内容物、つまり容器(2)内に収容された物体(3)と物体(3)に保持された収容体(30)とを含む、カバー(23)によって密閉された個々の容器(2)には、少なくとも1つの包み(21、22)が備え付けられていて、これにより、搬入状態でパッケージ(1)が形成され、
b)容器受け(6)内に設置する前の個々の容器(2)の用意を、構造体に属する入口ステーション(8)において、クリーンルーム条件下で、それぞれのパッケージ(1)からの容器(2)の解放として行う
ことを特徴とする、請求項10から13のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滅菌された物体を、カバーによって密閉された容器からコンテインメント設備の、壁によって包囲された作業チャンバ内に汚染なく導入する構造体及び方法に関する。典型的には、実験室技術、製薬産業又はバイオテクノロジでは、そのような容器は、槽状のタブの形態を有し、物体は、収容体、例えばバイアル又はシリンジを収容するための凹状の保持輪郭のパターンを有するネストである。
【背景技術】
【0002】
例えば国際公開第2010/145042号に開示されているような特別な装置は、コンテインメント設備からの物体の安全な導出だけでなく、コンテインメント設備内への物体の導入にも必要とされる。導入時には、クリーンルーム技術的に定義されたコンテインメント設備内の状態が維持されるだけでなく、危険な粒子がコンテインメント設備から外部に至ることもないように、コンテインメント設備が外部へ開放されることを何よりも回避しなければならない。さらに、滅菌された物体を導入するとき、物体を、導入中に物体自体が周囲環境からの異物にさらされない程度に防護しなければならない。
【0003】
H.-J.Baessler及びF.Lehmanの研究論文Containment Technology,Springer-Verlag,Berlin,Heidelberg、2013年、88頁以下では、前述の条件を満たす移送システム(Rapid Transfer Port-RTP)が記載されている。そこには、コンテインメント設備の壁に、たいていは円形の窓としてポートが設けられており、ポートは、シールされた内側フランジによって囲繞される。初期状態では、この内側フランジは、コンテインメント設備の内部へ開放可能であるとともに内側フランジに対して密なドア要素によって閉じられている。コンテインメント設備内に移送されるべき物体(例えば、無菌の医薬品)は、まずはコンテインメント設備から離された、外側で密なカプセルに封入されていて、カプセルには、シールされた外側フランジの開口が囲繞していて、外側フランジに、密閉するカバーが載置されている。最初の移行ステップで、カプセルは、内側フランジとドア要素とからなる複合体に連結されるので、内側フランジは外側フランジと、かつドア要素はカバーと、相互に密にロックされていて、ドア要素は、カバーとともに、無菌ではない両方の外側面を取り囲む。次の移送ステップでは、ドア要素とカバーとからなる複合体は、両方のフランジの複合体からコンテインメント設備の内部に移動されるので、カプセルの開口は、その時点では開いていて、無菌の物体を収容体からコンテインメント設備の内部に移すことができる。
【0004】
コンテインメント設備内に導入されるべき製品が、中に無菌の物体が存在する、密閉された容器であるとき、従来の処理は、原則として同様に進行する。このような位置関係は、容器が医療技術におけるいわゆるタブの形態を有し、タブが、例えば、タイベック(登録商標)などの不織布からなるカバーで封止されていて、容器内に無菌の物体が位置し、物体が、複数のバイアル又は医療用のシリンジが保管されたいわゆるネストの形態を有するときに得られる。前述の移送システムが前述において定義された容器(例えばバイアルが装着された内側のネストを有する封止されたタブ)に使用されるとき、択一的な2つの方式が提供される。第1の方式では、内容物を含む容器を、カプセル内に到着する前に外側でも除染しなければならない、又は容器がカプセル内で除染され、これにより、コンテインメント設備内に移された後で、そこで無菌の物体が外へ出される。第2の方式は、物体を無菌の条件下で容器から出し、そこでカプセル内に移し、最終的にコンテインメント設備内に移送することである。別の代替例では、物体が防護されずに外へ出され、次いで、カプセル内で除染され、最終的にコンテナ設備内に移送される。別の方法では、容器が、コントロールされた条件下で、包みから取り出され、これに続いて、生じ得る合間の時間での汚染を解消するために、容器は、容器を密閉するカバーとともに、Eビーム設備内で全面的に照射される。次いで、コンテインメント設備内に移され、カバーが取り外され、物体が取り出され、コンテインメント設備内に収容された収容体が個別化される。
【0005】
前述の手段は、操作が煩雑であり、コンテインメント設備の内側又は外側で、物体を外へ出すのに装置に関する大きな手間が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2010/145042号
【非特許文献】
【0007】
【文献】H.-J.Baessler及びF.Lehmannの研究論文Containment Technology,Springer-Verlag,Berlin,Heidelberg、2013年、88頁以下
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これまでの不完全案な手段に鑑み、本発明の根底を成す課題は、容器からコンテインメント設備内に無菌の物体を汚染なく導入するように設定された構造体を提供すること、及び提供された構造体を用いる方法を提案することである。その際の目標設定は、清浄度要求と最適化された装置に関する手間とを保証しつつ操作をできるだけ簡単に構成することである。とりわけ、可能な限り、直接的な処理プロセスに必要となる材料及び器具類だけをコンテインメント設備内に移すことと同時に必要な除染の要求範囲を最小限に抑える必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
半透過性のカバーによって密封された容器から、コンテインメント設備の、壁によって包囲された作業チャンバ内に無菌の物体を汚染なく導入するための構造体は、
a)ゲートユニットを備え、ゲートユニットは、
aa)壁に配置されたアクセスフランジであって、外部から作業チャンバ内へのアプローチを形成する、アクセスフランジと、
ab)アプローチを密に閉じるドアであって、開位置へ向けて作業チャンバ内に移動することができる、ドアと、を有し、
b)容器受けを備え、容器受けは、
ba)容器受け内に導入された容器を保持するための捕集部と、
bb)容器を捕集部内に装入するための開口部と、
bc)アクセスフランジと相互作用するフランジと、を有する。
除染ユニットは、ドアが閉じて、アクセスフランジに容器受けが連結されて、容器受け内に容器が収容された状態で、カバーの、ドアに面する外側面を除染するように設定されている。
【0010】
以下に、本発明の特別な実施形態を定義する。ドアは、閉位置で、作業チャンバの側からシール作用をもってアクセスフランジに接合されていて、アクセスフランジは、アプローチに位置する中間空間を囲繞する。容器受け内に設置された容器のカバーは、容器受けがアクセスフランジに旋回接近された状態で、フランジとアクセスフランジとの間でシールされている。
【0011】
アプローチ内へ向いた作用方向を有する除染ユニットが、直接にドアに、又はドアとアクセスフランジとを有するゲートユニットの側方に組み込まれている。除染ユニットは、放射線源、例えばUVC、UV、Eビーム若しくはパルス光である、又は例えばH溶液を霧化するための燻蒸装置である。除染ユニットは、さらにドアの、外方を向いた表面と、中間空間と、アクセスフランジの、中間空間に面する面とを除染するために使用可能である。
【0012】
作業チャンバ内で工具ヘッドを有する移送機器が、ドアが開いて、容器受けがアクセスフランジに連結されて、容器容器受け内に収容された状態で、
a)カバーの除染された部分を容器から外し、作業チャンバ内に移し、
b)容器内に任意選択的に存在し、物体上に位置するインサートを、作業チャンバ内に移し、
c)容器受け内に位置する容器から、容器の中で静止している物体を、作業チャンバ内に移す
ように設定されている。
【0013】
構造体を実験室技術、製薬産業又はバイオテクノロジで使用する際に、
a)容器は、槽状のタブの形態を有し、
b)物体は、収容体、例えばバイアル又はシリンジを収容するための凹状の収容輪郭のパターンを有するネストの形態を有する。
【0014】
構造体に、例えば袋状の包みを含むパッケージから容器を解放するとともに、コントロールされたクリーンルーム技術的な条件下で、容器受け内に設置される前に容器を用意するように設定された、フィルタを通って流れる空気流を有する入口ステーションが対応付けられている。
【0015】
容器を密閉する、例えばタイベック(登録商標)などの不織布からなるカバーが、容器の内部空間内に位置する、収容体を有する物体を無菌状態に保持する。容器を密閉するカバーは、好適には、容器の容器縁に封止されている。
【0016】
前述の構造体を用いて、容器からコンテインメント設備内に無菌の物体を汚染なく導入する方法において、
以下のプロセス段階のシーケンス
a)コントロールされたクリーンルーム技術的な条件下で、入口ステーションにおいて、包みから、カバーによって密閉され、物体を含む容器を取り出す、段階と、
b)コンテインメント設備の作業チャンバ内に汚染なく導入するために、カバーによって密閉されたそれぞれ個々の容器を、容器の中に収容された無菌の物体とともに用意し、その際、
-作業チャンバへのアプローチは、外方へ開いているが、コンテインメント設備内へはドアによって閉じられていて、除染ユニットは、非作動であり、容器受けの捕集部は、開いていて空であり、容器受けは、ゲートユニットから離されている、段階と、
c)用意された個々の容器を捕集部内に設置し、その際、
-引き続きアプローチは、外方へ開いているが、コンテインメント設備内へはドアによって閉じられていて、除染ユニットは、非作動であり、容器受けは、ゲートユニットから離されているが、そこでは捕集部に容器が充填されている、段階と、
d)容器受けをゲートユニットに移動接近させ、その際、
-ゲートユニットのアクセスフランジとフランジとが相互にシールされていて、
-引き続きコンテインメント設備内へのアプローチは、ドアによって閉じられていて、除染ユニットは、非作動であり、捕集部に容器が充填されていて、
-アプローチは、外方へ、つまりゲートユニットにシール作用をもって連結された容器受けによって閉じられている、段階と、
e)除染ユニットを起動する又は作動状態にし、その際、
-引き続きゲートユニットのアクセスフランジとフランジとが相互にシールされていて、コンテインメント設備内へのアプローチは、ドアによって閉じられていて、捕集部に容器が充填されていて、アプローチは、外方へも、つまりゲートユニットにシール作用をもって連結された容器受けによって閉じられていて、そこでは、
-カバーの、ドアに対して露出した外側面と、中間空間と、中間空間に面する全ての表面とが無菌状態にされる、段階と、
f)除染ユニットをオフする又は非作動状態にし、ドアを開き、その際、
-引き続きゲートユニットのアクセスフランジとフランジとが相互にシールされていて、捕集部に容器が充填されていて、アプローチは、外方へ、つまりゲートユニットに密に連結された容器受けによって閉じられていて、カバーの外側面と、中間空間と、中間空間に面する全ての表面とは無菌状態にあり、そこでは、
-コンテインメント設備内へのアプローチが開いている、段階と、
g)容器のカバーを切断して開放し、その際、
-引き続きゲートユニットのアクセスフランジとフランジとが相互にシールされていて、捕集部に容器が充填されていて、アプローチが、外方へ、つまりゲートユニットに密に連結された容器受けによって閉じられていて、カバーの外側面と、中間空間と、中間空間に面する全ての表面とは無菌状態にあり、コンテインメント設備内へのアプローチは、開いていて、そこでは、
-容器の中に位置する物体へのアクセスが解放されている、段階と、
h)容器から物体を取り出し、後続処理のために、物体を、物体の中に格納された収容体とともに、コンテインメント設備の作業チャンバ内に移し、その際、
-引き続きゲートユニットのアクセスフランジとフランジとが相互にシールされていて、アプローチが、外方へ、つまりゲートユニットに密に連結された容器受けによって閉じられていて、コンテインメント設備内へのアプローチは、開いていて、そこでは、
-捕集部に空の容器だけが充填されている、段階と、
i)構造体を初期段階に戻す、つまりドアを閉位置に移動させ、ドアは、これによりアクセスフランジに対して再びシールされていて、容器受けをアクセスフランジから旋回離反させ、捕集部から空の容器を取り除く、段階と
を有する。
【0017】
以下に、特別なプロセス段階について述べる。容器受けを、捕集部内に設置された容器とともに、ゲートユニットに移動接近させた後で、除染ユニットを起動する又は作用状態にする前に、物体の安全性試験を行い、これにより、容器の内容物が清浄度要求を満たしているか確認される。安全性試験で不都合な結果が示されると、容器受けは、ゲートユニットから旋回離反され、これにより、いわば欠陥のある容器が捕集部から取り除かれる。
【0018】
容器のカバーを切断して開放すること、容器から物体を取り出すこと、及びコンテインメント設備の作業チャンバ内に物体と物体内に格納された収容体とを移すことを、作業チャンバ内に位置決めされた移送機器を用いて行う。
【0019】
カバーの切り抜かれた部分を、作業チャンバ内に位置決めされた移送機器を用いて、作業チャンバ内に移す。
【0020】
無菌の内容物、つまり容器内に収容された物体と物体に保持された収容体とを含む、カバーによって密閉された個々の容器には、少なくとも1つの包みが備え付けられていて、これにより、搬入状態でパッケージが形成される。
【0021】
容器受け内に設置する前の個々の容器の用意を、構造体に属する入口ステーションにおいて、コントロールされたクリーンルーム技術的な条件下で、それぞれのパッケージからの容器の解放として行う。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1A】包みと充填された容器とからなるパッケージを透視斜視図で示す。
図1B図1Aによる容器と個別に示された包みとを斜視図で示す。
図1C】複数の収容体を収容するためのネストの形態の物体と個々の収容体とインサートとカバーとをもって、図1Aによる容器を分解原理図で示す。
図1D】互いに内外に設置された、図1Cによる部品を正面透視図で示す。図2A~10Bは、ゲートユニットと入口ステーションと容器受けとともに、コンテインメント設備内に物体を汚染なく導入するための本発明に係る構造体を、そしてそのためのプロセス段階のシーケンスを原理図で示す。
図2A】プロセス段階1を示す。コントロールされたクリーンルーム技術的な条件下で、入口ステーションにおいて、包みから、カバーによって密封された、物体を含む容器を取り出す。
図2B図2AのX1の詳細を拡大して示す。
図3】プロセス段階2を示す。導入するために容器を用意し、コンテインメント設備内へのアプローチがドアによって閉じられていて、容器受けが空であり、ゲートユニットから離されている。
図4A】プロセス段階3を示す。容器受け内に容器を設置する。
図4B図4AのX2の詳細を拡大して示す。
図5A】プロセス段階4を示す。ゲートユニットに容器受けが移動接近し、アクセスフランジとフランジの間を閉鎖する。
図5B図5AのX3の詳細を拡大して示す。
図6A】プロセス段階5を示す。場合により行われる物体の安全性試験の後で、除染ユニットを起動する。
図6B図6AのX4の詳細を拡大して示す。
図7A】プロセス段階6を示す。除染ユニットを停止させ、コンテインメント設備の側からドアを開き、カバーまでの中間空間へのアプローチが開いている。
図7B図7AのX5の詳細を拡大して示す。
図8A】プロセス段階7を示す。工具ヘッドに分離工具を有する移送機器が中間空間内に進入し、容器のカバーを切り抜く。
図8B図8AのX6の詳細を拡大して示す。
図9A】プロセス段階8を示す。移送機器がカバーの切断片と場合により存在するインサートとを取り除く。
図9B図9AのX7の詳細を拡大して示す。
図10A】プロセス段階9を示す。移送機器が物体を容器から持ち上げ、後続の処理のために物体をコンテインメント設備の作業チャンバ内に移す。
図10B図10AのX8の詳細を拡大して示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付の図面を参照して、容器及び容器内に含まれる物体の構造的な構成について述べることから始めて、容器からコンテインメント設備内に無菌の物体を汚染なく導入するための本発明に係る構造体の詳細な説明を行う。説明に際して、プロセス段階の描画された連続したシーケンスに基づいて導入が描写され、したがって、構造体の原理的な構成と同時に構造体を利用して行われる、導入のための方法ステップが説明される。
【0024】
後続する全ての説明にわたって、次の取り決めが適用される。1つの図面に、図示を分かりやすくするために符号が含まれているが、直接に関連する説明の記載で述べられていないときには、前述の又は後述の図面の説明における符号の説明が参照される。
【0025】
図1A図1D
搬入状態では、第1の外側の包み21の中に装填され、場合により内側の第2の包み22の中にも装填された容器2が、パッケージ1を形成する。両方の包み21、22は、それぞれ袋状に構成されていて、密封されていて、好適には不織布からなる又は不織布の窓を備える。例えば槽状に作られた、典型的にはプラスチックからなる容器2は、最も上側に、たいていは同様にタイベック(登録商標)などの不織布からなるカバー23を有し、カバー23は、容器縁24上に封止されている。代替的に、カバー23は、ガス状の除染剤が物体3及び収容体30に到達できるようにするために、不織布からなる部分的な面を有する。
【0026】
容器2の内部空間20には、周方向に延在する支持肩部25が位置し、支持肩部25上に、内部空間20内に収容された物体3がいわば懸架されていて、物体3には、複数の収容体30が装着されている。製薬産業では、容器2に対して用語「タブ」が慣用的に用いられていて、物体3に対して用語「ネスト」が慣用的に用いられている一方、収容体30は、例えばバイアル又はシリンジの形態を有する。物体3は、収容体30を順序正しく配置するための、規則的に位置決めされるとともに収容体30に対して補完的に構成された収容輪郭31を有する。物体3の上には、ここでも不織布からなるシート状のインサート28がルーズに位置してよい。パッケージ1の内部全体、つまり容器2、容器2の内部空間20、内側面、カバー23の下面、インサート28、物体3及び収容体30は、処理によって無菌にされている。
【0027】
図2A図10B
装置の原理的な構成と、導入時のプロセス段階1~9の連続したシーケンスとを描画する一連の図面の対偶に基づいて、ここで詳細を述べた関連する説明を行う。ここでは、それぞれの次のプロセス段階を論じるとき、先行する説明に対する変化だけが描写される。
【0028】
図2A及び図2B-装置の構成及びプロセス段階1
ここでの説明のために断片的にしか図示されていないコンテインメント設備9内には、壁91によって包囲された作業チャンバ90が位置し、作業チャンバ90上に、浄化された空気流を作業チャンバ90内に供給するための入口フィルタ92が配置されている。作業チャンバ90には、最も先に工具ヘッド96を有する移送機器95が備え付けられている。作業チャンバ90の下側の領域には、排気フィルタ93が組み付けられている。
【0029】
壁91には、ゲートユニット7が組み込まれていて、ゲートユニット7は、第1のシール72を具備するアクセスフランジ71を有し、アクセスフランジ71は、中間空間70を囲繞する。一方では閉じたドア5によって、かつ/又は他方では移動接近された容器受け6によって遮断されない間は、この中間空間70は、外部から作業チャンバ90へのアプローチ75を形成する。第2のシール52を有するドア5は、作業チャンバ90内に設けられていて、アクセスフランジ71に設定された閉位置から、作業チャンバ90内へ旋回される開位置へ移動することができる。ドア5は、同時に、好適にはUVC放射を用いた除染ユニット4の支持体である。容器受け6は、ゲートユニット7の付近に、コンテインメント設備9の外側に、好適にはアクセスフランジ71に旋回接近可能に位置決めされていて、開口部65を通ってアクセス可能な捕集部60と、第3のシール62がそこに設けられたフランジ61とを有する。
【0030】
簡略化された構成では、アクセスフランジ71における第1のシール72とドア5における第2のシール52とを組み合わせて、アクセスフランジ71に配置された共通のシール72/52を形成することができる。そのように組み合わされたシール72/52は、アクセスフランジ71をその中間空間70に面する内側面で取り囲み、したがって一方では閉じたドア5とアクセスフランジ71との間に、他方では旋回接近された容器受け6とアクセスフランジ71との間に作用する。
【0031】
コンテインメント設備9に隣接して、上側に組み込まれたフィルタ80と、フィルタ80によって生成される下方へ流れる空気流を導くための側壁81とを有する入口ステーション8が位置する。入口ステーション8は、コントロールされたクリーンルーム技術的な条件下で、包み21、22から、カバー23によって密封された、物体3を含む容器2を取り出し、導入するために容器2を用意することを可能にする。
【0032】
プロセス段階1では、以下の状況が存在する。
-入口ステーション8において、フィルタ80を通って流れる空気流の中で、コントロールされたクリーンルーム技術的な条件下で、パッケージ1から包み21、22が取り除かれ、取り出された容器2が用意される。封止されたカバー23が、内部空間20内に位置する、収容体30を有する物体3を無菌状態に保持する。しかし、カバー23の外側表面は、どのような場合でも包み21、22から取り出された後では、大気との接触によってもはや無菌であるとは保証されない。
-ドア5は、閉位置で、第2のシール52によってシール作用をもってアクセスフランジ71にあり、除染ユニット4及び移送機器95は、起動していない。
-容器受け6は、捕集部60が空であって、アクセスフランジ71から旋回離反されている。
-作業チャンバ90内へのアプローチ75は、閉じたドア5によって遮断されていて、中間空間70は、外方へ開いている。
【0033】
図3-プロセス段階2
そこでは、以下の状況にある。
-容器2を密封するカバー23と容器2内に収容された物体3とともに、そこでは外へ出された容器2の全体が、入口ステーション8内で、導入するために用意されている。
【0034】
図4A及び図4B-プロセス段階3
そこでは、以下の状況にある。
-容器2の全体が、入口ステーション8から開口部65を通って、引き続きアクセスフランジ71から旋回離反された容器受け6内に設置されている。
-好適には、容器縁24が開口部65から突出するので、容器縁24は、フランジ61上に支持され、容器2は、捕集部60内で懸架される。
【0035】
図5A及び図5B-プロセス段階4
そこでは、以下の状況にある。
-容器受け6は、その中に収容された容器2とともに、アクセスフランジ71へ旋回接近されている。その際、第3のシール62は、フランジ61とアクセスフランジ71との間の確実なシールをもたらし、第1のシール72は、フランジ61と容器縁24又はその上の好適には封止されたカバー23との間の確実なシールをもたらす。
-作業チャンバ90内へのアプローチ75は、引き続き閉じたドア5によって遮断されているが、その時点では、旋回接近された容器受け6によって外方に対しても遮断されているので、中間空間70は、そこでは全方向で緊密に絶縁されている。
-容器2の内容物の安全性試験を行うことができ、これにより、プロセスの継続前に、内容物が清浄度要求を満たすことが確認される。
-第1のシール72が機能する。
【0036】
図6A及び図6B-プロセス段階5
そこでは、以下の状況にある。
-除染ユニット4が起動され、これにより、中間空間70と、中間空間70に面する全ての表面、つまり中間フランジ71の内側の環状面と、カバー23の外側面と、第1シール72における場合により露出した面とが無菌にされる。
【0037】
図7A及び図7B-プロセス段階6
そこでは、以下の状況にある。
-除染ユニット4がオフされる、又はオンされた状態を維持して引っ込められる。
-ドア5が、作業チャンバ90の内部への移動によって開かれるので、作業チャンバ900の内部から、アプローチ75が、中間空間70内においてカバー23までアクセス可能である。
【0038】
図8A及び図8B-プロセス段階7
そこでは、以下の状況にある。
-移送機器95の工具ヘッド96に設けられた分離工具が使用され、中間空間70へ向けて旋回され、これにより、カバー23が切り抜かれ、したがって、物体3が容器2から取り出し可能になる。
【0039】
図9A及び図9B-プロセス段階8
そこでは、以下の状況にある。
-移送機器95の工具ヘッド96に設けられた把持工具が使用され、これにより、切り抜かれたカバー23が、場合により物体3の上に載置されるインサート28も、作業チャンバ90の内部に移される。
【0040】
図10A及び図10B-プロセス段階9
そこでは、以下の状況にある。
-搬送装置95の工具ヘッド96に設けられた把持工具によって、物体3が把持され、容器2から持ち上げられ、作業チャンバ90内に移動される。
-物体3は、物体3内に格納された収容体30とともに、コンテインメント設備9内の別の処理プロセスに供される。
-空の物体3は、容器2内に戻すことができる。
-この構造体は、プロセス段階1又は2にもたらされ、つまり、ドア5が、閉位置に移動され、これにより、アクセスフランジ71に対して再びシールされる。容器受け6が、アクセスフランジ71から旋回離反され、これにより、そこでは空の容器2又は空の物体3が充填された容器2が、容器受け6から取り除かれる。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の観点として以下を含む。
1.
a)ゲートユニット(7)を備え、ゲートユニット(7)は、
aa)壁(91)に配置されたアクセスフランジ(71)であって、外部から作業チャンバ(90)内へのアプローチ(75)を形成する、アクセスフランジ(71)と、
ab)アプローチ(75)を密に閉じるドア(5)であって、開位置へ向けて作業チャンバ(90)内に移動することができる、ドア(5)と、を有し、
b)容器受け(6)を備え、容器受け(6)は、
ba)容器受け(6)内に導入された容器(2)を保持するための捕集部(60)と、
bb)容器(2)を捕集部(60)内に装入するための開口部(65)と、
bc)アクセスフランジ(71)と相互作用するフランジ(61)と、を有する、
半透過性のカバー(23)によって密封された容器(2)から、コンテインメント設備(9)の、壁(91)によって包囲された作業チャンバ(90)内に無菌の物体(3)を汚染なく導入するための構造体において、
c)除染ユニット(4)を備え、除染ユニット(4)は、ドア(5)が閉じて、容器受け(6)がアクセスフランジ(71)に連結されて、容器受け(6)内に容器(2)が収容された状態で、カバー(23)の、ドア(5)に面する外側面を除染するように設定されていることを特徴とする、構造体。
2.
a)ドア(5)は、閉位置で、作業チャンバ(90)の側からシール作用をもってアクセスフランジ(71)に接合されていて、アクセスフランジ(71)は、アプローチ(75)に位置する中間空間(70)を囲繞し、
b)容器受け(6)内に設置された容器(2)のカバー(23)は、容器受け(6)がアクセスフランジ(71)に旋回接近された状態で、フランジ(61)とアクセスフランジ(71)との間でシールされていることを特徴とする、上記1の構造体。
3.
アプローチ(75)内へ向いた作用方向を有する除染ユニット(4)が、直接にドア(5)に、又はドア(5)とアクセスフランジ(71)とを有するゲートユニット(7)の側方に組み込まれていることを特徴とする、上記1又は2の構造体。
4.
除染ユニット(4)は、放射線源、例えばUVC、UV、Eビーム若しくはパルス光である、又は例えばH 2 2 溶液を霧化するための燻蒸装置であることを特徴とする、上記1から3のいずれか1つの構造体。
5.
除染ユニット(4)は、さらに、ドア(5)の、外方を向いた表面と、中間空間(70)と、アクセスフランジ(71)の、中間空間(70)に面する面とを除染するために使用可能であることを特徴とする、上記2から4のいずれか1つの構造体。
6.
作業チャンバ(90)内で工具ヘッド(96)を有する移送機器(95)が、ドア(5)が開いて、容器受け(6)がアクセスフランジ(71)に連結されて、容器(2)が容器受け(6)内に収容された状態で、
a)カバー(23)の除染された部分を容器(2)から外し、作業チャンバ(90)内に移し、
b)容器(2)内に任意選択的に存在し、物体(3)上に位置するインサート(28)を、作業チャンバ(90)内に移し、
c)容器受け(6)内に位置する容器(2)から、容器(2)の中で静止している物体(3)を、作業チャンバ(90)内に移す
ように設定されていることを特徴とする、上記1から5のいずれか1つの構造体。
7.
実験室技術、製薬産業又はバイオテクノロジでの使用に応じて、
a)容器(2)は、槽状のタブの形態を有し、
b)物体(3)は、収容体(30)、例えばバイアル又はシリンジを収容するための凹状の収容輪郭(31)のパターンを有するネストの形態を有する
ことを特徴とする、上記1から6のいずれか1つの構造体。
8.
a)構造体に、例えば袋状の包み(21、22)を含むパッケージ(1)から容器(2)を解放するとともに、コントロールされたクリーンルーム技術的な条件下で、容器受け(6)内に設置される前に容器(2)を用意するように設定された、フィルタ(80)を通って流れる空気流を有する入口ステーション(8)が対応付けられていて、
b)容器(2)を密閉する、例えばタイベック(登録商標)などの不織布からなるカバー(23)が、容器(2)の内部空間(20)内に位置する、収容体(30)を有する物体(3)を無菌状態に保持し、
c)容器(2)を密閉するカバー(23)は、好適には、容器(2)の容器縁(24)に封止されている
ことを特徴とする、上記1から7のいずれか1つの構造体。
9.
上記1から8のいずれか1つの構造体を用いて、容器(2)からコンテインメント設備(9)内に無菌の物体(3)を汚染なく導入する方法において、
以下のプロセス段階のシーケンス
a)コントロールされたクリーンルーム技術的な条件下で、入口ステーション(8)において、包み(21、22)から、カバー(23)によって密閉され、物体(3)を含む容器(2)を取り出す、段階と、
b)コンテインメント設備(9)の作業チャンバ(90)内に汚染なく導入するために、カバー(23)によって密閉されたそれぞれ個々の容器(2)を、容器(2)の中に収容された無菌の物体(3)とともに用意し、その際、
-作業チャンバ(90)へのアプローチ(75)は、外方へ開いているが、コンテインメント設備(9)内へはドア(5)によって閉じられていて、除染ユニット(4)は、非作動であり、容器受け(6)の捕集部(60)は、開いていて空であり、容器受け(6)は、ゲートユニット(7)から離されている、段階と、
c)用意された個々の容器(2)を捕集部(60)内に設置し、その際、
-引き続きアプローチ(75)は、外方へ開いているが、コンテインメント設備(9)内へはドア(5)によって閉じられていて、除染ユニット(4)は、非作動であり、容器受け(6)は、ゲートユニット(7)から離されているが、そこでは捕集部(60)に容器(2)が充填されている、段階と、
d)容器受け(6)をゲートユニット(7)に移動接近させ、その際、
-ゲートユニット(7)のアクセスフランジ(71)とフランジ(61)とが相互にシールされていて、
-引き続きコンテインメント設備(9)内へのアプローチ(75)は、ドア(5)によって閉じられていて、除染ユニット(4)は、非作動であり、捕集部(60)に容器(2)が充填されていて、
-アプローチ(75)は、外方へ、つまりゲートユニット(7)にシール作用をもって連結された容器受け(6)によって閉じられている、段階と、
e)除染ユニット(4)を起動する又は作動状態にし、その際、
-引き続きゲートユニット(7)のアクセスフランジ(71)とフランジ(61)とが相互にシールされていて、コンテインメント設備(9)内へのアプローチ(75)は、ドア(5)によって閉じられていて、捕集部(60)に容器(2)が充填されていて、アプローチ(75)は、外方へも、つまりゲートユニット(7)にシール作用をもって連結された容器受け(6)によって閉じられていて、そこでは、
-カバー(23)の、ドア(5)に対して露出した外側面と、中間空間(70)と、中間空間(70)に面する全ての表面とが無菌状態にされる、段階と、
f)除染ユニット(4)をオフする又は非作動状態にし、ドア(5)を開き、その際、
-引き続きゲートユニット(7)のアクセスフランジ(71)とフランジ(61)とが相互にシールされていて、捕集部(60)に容器(2)が充填されていて、アプローチ(75)は、外方へ、つまりゲートユニット(7)に密に連結された容器受け(6)によって閉じられていて、カバー(23)の外側面と、中間空間(70)と、中間空間(70)に面する全ての表面とは無菌状態にあり、そこでは、
-コンテインメント設備(9)内へのアプローチ(75)が開いている、段階と、
g)容器(2)のカバー(23)を切断して開放し、その際、
-引き続きゲートユニット(7)のアクセスフランジ(71)とフランジ(61)とが相互にシールされていて、捕集部(60)に容器(2)が充填されていて、アプローチ(75)が、外方へ、つまりゲートユニット(7)に密に連結された容器受け(6)によって閉じられていて、カバー(23)の外側面と、中間空間(70)と、中間空間(70)に面する全ての表面とは無菌状態にあり、コンテインメント設備(9)内へのアプローチ(75)は、開いていて、そこでは、
-容器(2)の中に位置する物体(3)へのアクセスが解放されている、段階と、
h)容器(2)から物体(3)を取り出し、後続処理のために、物体(3)を、物体(3)内に格納された収容体(30)とともに、コンテインメント設備(9)の作業チャンバ(90)内に移し、その際、
-引き続きゲートユニット(7)のアクセスフランジ(71)とフランジ(61)とが相互にシールされていて、アプローチ(75)が、外方へ、つまりゲートユニット(7)に密に連結された容器受け(6)によって閉じられていて、コンテインメント設備(9)内へのアプローチ(75)は、開いていて、そこでは、
-捕集部(60)に空の容器(2)だけが充填されている、段階と、
i)構造体を初期段階に戻す、つまりドア(5)を閉位置に移動させ、ドア(5)は、これによりアクセスフランジ(71)に対して再びシールされていて、容器受け(6)をアクセスフランジ(71)から旋回離反させ、捕集部(60)から空の容器(2)を取り除く、段階と
を有することを特徴とする、方法。
10.
a)容器受け(6)を、捕集部(60)内に設置された容器(2)とともに、ゲートユニット(7)に移動接近させた後で、除染ユニット(4)を起動する又は作用状態にする前に、物体(3)の安全性試験を行い、これにより、容器(2)の内容物が清浄度要求を満たしているか確認され、その際、
b)安全性試験で不都合な結果が示されると、容器受け(6)は、ゲートユニット(7)から旋回離反され、これにより、いわば欠陥のある容器(2)が捕集部(60)から取り除かれる
ことを特徴とする、上記9の方法。
11.
容器(2)のカバー(23)を切断して開放すること、容器(2)から物体(3)を取り出すこと、及びコンテインメント設備(9)の作業チャンバ(90)内に物体(3)と物体(3)内に格納された収容体(30)とを移すことを、作業チャンバ(90)内に位置決めされた移送機器(95)を用いて行うことを特徴とする、上記9の方法。
12.
カバー(23)の切り抜かれた部分を、作業チャンバ(90)内に位置決めされた移送機器(95)を用いて、作業チャンバ(90)内に移すことを特徴とする、上記11の方法。
13.
a)無菌の内容物、つまり容器(2)内に収容された物体(3)と物体(3)に保持された収容体(30)とを含む、カバー(23)によって密閉された個々の容器(2)には、少なくとも1つの包み(21、22)が備え付けられていて、これにより、搬入状態でパッケージ(1)が形成され、
b)容器受け(6)内に設置する前の個々の容器(2)の用意を、構造体に属する入口ステーション(8)において、コントロールされたクリーンルーム技術的な条件下で、それぞれのパッケージ(1)からの容器(2)の解放として行う
ことを特徴とする、上記9から12のいずれか1つの方法。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B