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特許7372345パラキシレンをトルエンから分離するためのプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】パラキシレンをトルエンから分離するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   C07C 7/04 20060101AFI20231024BHJP
   C07C 15/08 20060101ALI20231024BHJP
   C07C 2/86 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
C07C7/04
C07C15/08
C07C2/86
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021566012
(86)(22)【出願日】2020-05-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(86)【国際出願番号】 US2020031420
(87)【国際公開番号】W WO2020231672
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2021-12-20
(31)【優先権主張番号】16/408,806
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598055242
【氏名又は名称】ユーオーピー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100133765
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ、ロバート エディソン
(72)【発明者】
【氏名】モンタルバーノ、ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】アーノルド、エレン
【審査官】中島 芳人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0253245(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105566030(CN,A)
【文献】特表2016-508862(JP,A)
【文献】特表2017-523157(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 7/
C07C 15/
C07C 2/
B01D 3/14、1/28
C10G 7/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パラキシレン分離のためのプロセスであって、
トルエンメチル化ゾーン(14)において、トルエンをメタノールでアルキル化して、パラキシレン及びトルエンを含むメチル化流出液(22)を提供すること、
分画カラム(26)において、前記メチル化流出液(22)を、少なくとも、パラキシレンを含む流出流(48)、トルエンを含む再循環流(50)、及びC~C炭化水素を含むオーバーヘッド流(46)に分離すること、
パラキシレン回収ゾーンにおいて、パラキシレンを含む前記流出液流(48)からパラキシレンを回収すること、及び
前記オーバーヘッド流(46)を水性流(54)、燃料ガス流(56)、及び液体炭化水素流(57)に分離する前に前記オーバーヘッド流(46)から熱を回収すること、を含み、
前記オーバーヘッド流(46)から熱を回収することが、
第1の圧縮ゾーン(58)において、前記オーバーヘッド流(46)を圧縮して、圧縮されたオーバーヘッド流(59)を提供することと、
前記オーバーヘッド流(46)が圧縮された後、前記圧縮されたオーバーヘッド流(59)から熱を移送することと、を含む、
プロセス。
【請求項2】
前記圧縮されたオーバーヘッド流(59)から熱を移送する前に、前記圧縮されたオーバーヘッド流(59)を第2の圧縮ゾーン(64)において圧縮することを更に含み、前記第2の圧縮ゾーンが、少なくとも1つの圧縮機(70)と、少なくとも1つの分離容器(66)と、を備える、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
パラキシレンをトルエンから分離するための装置であって、
入口(38)及び複数の出口(46、48、50)を備える分画カラム(26)であって、前記分画カラム(26)が、前記流れを分離するために、前記入口を介して、トルエン及びパラキシレンを含む流れ(38)を受容し、かつ少なくとも前記複数の出口から第1の出口を介するパラキシレンを含む流出液流(48)と、前記複数の出口から第2の出口を介するトルエンを含む再循環流(50)と、前記複数の出口から第3の出口を介するオーバーヘッド流(46)と、を提供するように構成されている、分画カラムと、
前記オーバーヘッド流(46)を圧縮して、圧縮されたオーバーヘッド流(59)を提供するように構成されている圧縮ゾーン(58)と、
前記圧縮されたオーバーヘッド流(59)を水性流(54)、燃料ガス流(56)、及び液体炭化水素流(57)に分離する前に前記圧縮されたオーバーヘッド流(59)から熱を除去するように構成された少なくとも1つの熱交換器(42、44、74、76)を備える、熱回収ゾーン(60)と、を備える、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パラキシレンを分離するためのプロセス及び装置に関し、より具体的には、パラキシレンをトルエンから分離するプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
芳香族化合物、特にベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、及びキシレン(オルト、メタ、及びパラ異性体)は、一般に「BTEX」又はより単純に「BTX」と称され、石油化学産業において極めて有用な化学物質である。これらは、ポリスチレン、スチレンブタジエンゴム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、無水フタル酸、溶媒、ポリウレタン、安息香酸、及び多くの他の成分などの材料の構築ブロックを表現する。従来、BTEXは、例えば、触媒改質又は分解精製プロセスユニットにおいて、化石燃料石油画分の分離及び処理によって石油化学工業のために得られる。異なる芳香族化合物は、特定の化合物の回収を増加させるための様々な分離ユニット、並びに処理ユニットを有する芳香族コンビナートにおいて各々から分離され得る。
【0003】
具体的には、パラキシレン及びメタキシレンは、化学及び繊維産業において重要な原材料である。パラキシレン由来のテレフタル酸は、今日広く使用されているポリエステル布地及び他の物品を生成するために使用される。パラキシレンを生成するために利用される1つのプロセスは、トルエンメチル化プロセスである。
【0004】
トルエンメチル化プロセスは、メタノールを使用してトルエンをアルキル化して、全キシレンに対して非常に高い(90+%)選択性でパラキシレンを生成する。反応流出液の分画は、ライトエンド、水、オキシジェネート及び酸、ベンゼン、未変換トルエン、キシレン、並びにより重い成分の生成物を含む成分を分離するために最終的に必要である。分離は、ライトエンド除去及びパラキシレンの粗回収のために動作する第1の分画カラムを使用して、「緩い」分割をまず実施することによって実現され得る。次いで、得られた生成物流は、所望のキシレン生成物からのトルエンの更なる分離のために、より大きい芳香族コンビナート内で第2の分画カラムに転送され得る。代替的に、キシレン分離は、分画カラムを介してのみ達成することができ、事実上、ベンゼン及びトルエンの全ては、唯一の末端生成物がキシレン及びより重い芳香族であるように、内部で再循環される。
【0005】
2つのカラムを備え、第1のカラムが「緩い」分割を実施する構成の欠点は、トルエンで共沸騰するトルエンメチル化反応において生成されたオキシジェネートが、芳香族コンビナート中の下流ユニットを移動及び損傷させる機会をより多く与えることである。例えば、オキシジェネートは、パラキシレン分離ユニット内で吸着剤を損傷させ得る。この問題は、特に、トルエンを脱収着材として利用するパラキシレン分離ユニットに関する懸念である。とはいえ、1つの利点は、第1の分画カラムが、そのより低い底部温度に起因して、第2の分画カラムと対比して、芳香族コンビナート内での熱統合により適していることである。
【0006】
しかしながら、いずれの構成でも、トルエン及びキシレンの、所望の又はふさわしい分離を達成するために、分画カラム中の実質的に増加する分画要件(すなわち、凝縮器及びリボイラのデューティ)を必要とする。
【0007】
したがって、トルエンからのキシレンの分離に関する効果的かつ効率的なプロセスが依然として必要とされている。追加的に、オキシジェネートが下流に移動するリスクを低減するかかるプロセスが望ましい。
【発明の概要】
【0008】
1つ以上のプロセス及び装置が発明され、これが、トルエンからのキシレンの分離に関する効果的かつ効率的なプロセスを提供する。本プロセス及び装置によれば、熱ポンプが、トルエンをキシレンから分離する分画カラムに組み込まれる。
【0009】
概して、圧縮されたオーバーヘッド流は、分画カラムを部分的に再沸騰させるため、並びに、トルエンメチル化ユニット内の予熱供給部などの他の熱回収目的のために使用されてもよい。全体として、熱ポンプは、分画カラムのエネルギー効率を改善させ、同時に、上述の構成効果(すなわち、オキシジェネート移動を制限すること)を可能にする。
【0010】
したがって、本発明は、少なくとも1つの態様において、パラキシレン及びトルエンを含むメチル化流出液を提供するために、トルエンメチル化ゾーンにおいて、トルエンをメタノールでアルキル化することと、分画カラムにおいて、メチル化流出液を、少なくとも、パラキシレンを含む流出液流、トルエンを含む再循環流、及びC~C炭化水素を含むオーバーヘッド流に分離することと、パラキシレン回収ゾーンにおいて、パラキシレンを含む流出液流からパラキシレンを回収することと、第1の圧縮ゾーンにおいて、オーバーヘッド流を圧縮して、圧縮されたオーバーヘッド流を提供することと、オーバーヘッド流が圧縮された後、圧縮されたオーバーヘッド流から熱を移送することと、によって、パラキシレン分離のためのプロセスを提供することとして特徴付けられ得る。
【0011】
本発明はまた、1つ以上の態様において、トルエン流をトルエンメチル化ゾーンに通過させることと、メタノール流をトルエンメチル化ゾーンに通過させることであって、トルエンメチル化ゾーンが、トルエンをパラキシレンに変換する条件下で操作され、パラキシレン及びトルエンを含むメチル化流出液を提供する、通過させることと、少なくとも、パラキシレンを含む流出液流、トルエンを含む再循環流、及びオーバーヘッド流にメチル化流出液を分離するように構成された分画カラムに、メチル化流出液を通過させることと、パラキシレン生成物流を提供するように構成されたパラキシレン回収ゾーンに、パラキシレンを含む流出液流を通過させることと、オーバーヘッド流を圧縮し、かつ圧縮されたオーバーヘッド流を提供するように構成された圧縮ゾーンに、オーバーヘッド流を通過させることと、少なくとも1つの熱交換器において、圧縮されたオーバーヘッド流から熱を除去するように構成された熱回収ゾーンに、圧縮されたオーバーヘッド流を通過させることと、によってパラキシレン分離に関するプロセスを提供することとして、特徴付けられ得る。
【0012】
1つ以上の態様では、本発明は、パラキシレンをトルエンから分離するための装置を提供することとして広く特徴付けられ得る。装置は、入口及び複数の出口を有する分画カラムを含み得、入口を介して、トルエン及びパラキシレンを含む流れを受容し、流れを分離し、少なくとも複数の出口から第1の出口を介するパラキシレンを含む流出液流と、複数の出口から第2の出口を介するトルエンを含む再循環流と、複数の出口から第3の出口を介するオーバーヘッド流と、を提供するように構成されている。装置は、オーバーヘッド流を圧縮して、圧縮されたオーバーヘッド流を提供するように構成されている圧縮ゾーンを更に含んでもよい。装置はまた、圧縮されたオーバーヘッド流から熱を除去するように構成された少なくとも1つの熱交換器を備える熱回収ゾーンを含んでもよい。
【0013】
それらの全てが任意の方式で組み合わせ可能となり得る、本発明の更なる態様、実施形態、及び詳細が、以下の本発明の詳細な説明に記載される。
定義
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「流」、「原料」、「生成物」、「部」又は「部分」は、直鎖、分岐鎖、又は環状アルカン、アルケン、アルカジエン、及びアルキンなどの様々な炭化水素分子、並びに任意選択で他の物質、例えば、水素などの気体、又は、重金属などの不純物、並びに硫黄及び窒素化合物を含んでもよい。上記の各々は、芳香族及び非芳香族炭化水素も含み得る。
【0015】
炭化水素分子は、C、C、C、Cnと略されてもよく、式中、「n」は、1種以上の炭化水素分子中の炭素原子の数を表し、又は略語は、例えば、非芳香族又は化合物の形容詞として使用されてもよい。同様に、芳香族化合物は、A、A、A、Anと略されてもよく、式中、「n」は、1種以上の芳香族分子中の炭素原子の数を表す。更に、下付き文字「+」又は「-」は省略された1種以上の炭化水素の表記と共に使用することができ、例えば、C3+又はC3-、これは、省略された1種以上の炭化水素を含む。例として、略語「C3+」は、3個以上の炭素原子の1種以上の炭化水素分子を意味する。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「ゾーン」は、1つ以上の設備機器及び/又は1つ以上のサブゾーンを含む領域を指すことができる。設備機器として、1つ以上の反応器つまり反応容器、分離容器、蒸留塔、加熱器、交換器、パイプ、ポンプ、圧縮機、及びコントローラが挙げられるが、これらに限定されない。加えて、反応器、乾燥機、又は容器などの設備機器は、1つ以上のゾーン又はサブゾーンを更に含むことができる。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「富む」は、少なくとも一般的に50モル%、好ましくは70モル%の流れ内の化合物又は化合物種の量を意味し得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の1つ以上の例示的な実施形態について、以下の図面の各図と併せて以下に説明する。
【0019】
図1】本発明の一態様によるプロセスフロー図を示す。
【0020】
図2】本発明の別の態様によるプロセスフロー図を示す。
【0021】
対応する参照文字は、いくつかの図面にわたって対応する要素を示す。当業者であれば、簡潔さ及び明瞭さのために図中の要素が示されており、必ずしも正確な縮尺でないことを理解するであろう。例えば、図中の要素のいくつかの寸法は、本開示の様々な実施形態の理解を改善するのに役立つように、他の要素に対して誇張されてもよい。また、商業的に実現可能な実施形態において有用である又は必要とされる一般的であるが十分に理解された要素は、多くの場合、本開示のこれらの様々な実施形態を見やすくするために示されていない。
【発明を実施するための形態】
【0022】
上述したように、本明細書に記載される実施形態では、熱ポンプは、トルエンとキシレンとを分離する分画カラムに組み込まれる。例えば、2段階の圧縮が、分画カラム上の側方リボイラでオーバーヘッド流を交換するのに十分な駆動力を得るために使用され得る。圧縮プロセスからのエネルギー回収を最大限にするために、オーバーヘッドは、必要に応じて分割され、例えば、主トルエンメチル化注入のために水を予熱すること、及び/又は分画カラムへの液体供給の予熱をすることなど、他の熱交換ゾーンに割り当てられ得る。その結果として、熱ポンプの更なる利点は、ユニット内の燃料要件(燃焼した加熱器のデューティ)の低減である。前述したように、分画は、高エネルギー要件を使って、望ましい分離(ベンゼン/トルエンが内部トルエンメチル化ユニット再循環に限定され、かつキシレン及びより重い種のみ純生成物としてユニットを出る)をもたらす。それゆえ、分画カラムは、圧縮されたカラムオーバーヘッドとの交換を介して加熱される、より低いポンプ周辺で修正される。この補助熱は、主(底部)再沸騰デューティの一部を相殺する。
【0023】
これらの一般原理を念頭に置いて、本発明の1つ以上の実施形態は、以下の説明が限定することを意図するものではないという理解の下で説明される。
【0024】
図1に示されるように、トルエン流10は、メタノール流12と共に、トルエンメチル化ゾーン14を通過する。トルエン流10は、一般式C(6-n)のアルキル芳香族炭化水素の供給を受容するより大きい芳香族コンビナートからであり得、式中、nは0~5の整数であり、各Rは、任意の組み合わせで、CH、C、C、又はCであり得る。かかる芳香族含有供給流は、ベンゼン、トルエン、及び芳香族を含有し、典型的には、ナフテンを含む高級芳香族及び脂肪族炭化水素を含有する。芳香族に富む供給は、限定されるものではないが、触媒改質、ナフサの水蒸気熱分解、軽質オレフィン及びより重い芳香族に富む副生成物(「分解ガソリン」と称されることが多いガソリンに含まれる材料を含む)を生じさせる蒸留物又は他の炭化水素、並びに、ガソリン域に含まれる生成物を生じさせる蒸留物及び重油の触媒又は熱分解を含む、様々な原料由来であり得る。熱分解又は他の分解操作からの生成物は、概して、生成物の品質に影響を及ぼし、並びに/又は触媒若しくは内部に用いられた吸着剤を損傷し得る、硫黄、オレフィン、及び他の化合物を除去するために、コンビナートに投入される前に、業界において周知のプロセスに従って水素処理される。触媒分解からのライトサイクル油はまた、既知の技術によって、有益に水素処理及び/又は水素分解されて、ガソリン域に含まれる製品を生じさせ得、水素処理は、好ましくは、また芳香族に富む供給流を生じさせるための触媒改質も含む。改質ゾーンは、既知のように、概して、供給を受容する改質ユニットを含む。改質ユニットは、典型的には、改質触媒を含む。通常、かかる流れはまた、オレフィン化合物及びライトエンド、例えばブタン、並びにより軽質の炭化水素、好ましくはペンタンを除去するためにも処理されるが、しかしながら、かかる除去は、本開示の広義の態様の実践には必須ではなく、図示されていない。このように図示されていないが、典型的な芳香族コンビナートとしては、例えば、芳香族抽出ゾーン、トランスアルキル化ゾーン、トルエンメチル化ゾーン14、及びパラキシレン抽出ゾーン、並びにキシレン異性化ゾーンが挙げられる。
【0025】
図1に戻ると、トルエン流10は、トルエンメチル化ゾーン14に注入される前に、再循環流16(下で考察される)からの炭化水素と混合されてもよい。トルエンメチル化ゾーン14は、トルエン流10、メタノール流12、及び触媒並びに反応物を、反応器18を通って上方に流動化させるか、又は「リフトする」ために使用されるリフト水20の流れを受容する、反応器18を含む、流動床反応ゾーンであり得る。反応器18は、既知の条件下で動作し、その結果、トルエンは、メタノールとアルキル化されて、キシレンを生成する。
【0026】
トルエンメチル化流出液流22は、とりわけ、トルエンメチル化流出液流22の少なくとも一部分を受容するための入口を有し、トルエンメチル化流出液流22を分離する、分画カラム26を含む分離ゾーン24を通過する。分離ゾーン24はまた、水流32、34、36を生成する他の分離容器27、28、30を含み得、そのいくつかは、いくらかのメタノールを含み得る。最後の容器30からの炭化水素流38は、分画カラム26を通過する。
【0027】
上で考察されたように、トルエンからのキシレンの分離は、エネルギー集約的である。したがって、分画カラム26は、分画カラム26への供給流のうちの1つ上に、底部リボイラ40、側方リボイラ42、少なくとも1つの交換器44を含み得る。分画カラム26は、C~C炭化水素を含む、第1の出口を介するオーバーヘッド流46、第2の出口を介する底部流48、及びトルエンメチル化ゾーン14に再循環され得る、第3の出口を介する側方引き込み流50を提供する。底部流48は、パラキシレンを含み、これは、パラキシレンを回収するために、パラキシレン抽出ユニット(図示せず)に送られ得る。
【0028】
本プロセスによれば、オーバーヘッド流46が、容器52内で、水性流54と、燃料ガス流56と、トルエンを含み、上記の再循環流16として、トルエンメチル化ゾーン14に再循環され得る、液体炭化水素流57と、に分離される前に、オーバーヘッド流46から熱が回収される。それゆえ、分画カラム26内の分離のエネルギー効率は、オーバーヘッド流46から熱を回収することによって改善される。
【0029】
したがって、図2に示されるように、オーバーヘッド流46は、圧縮機を有する第1の圧縮ゾーン58内で圧縮され、次いで、圧縮されたオーバーヘッド流59は、熱交換ゾーン60内で熱を移送するために使用され得る。熱交換ゾーン60から、凝縮器62が、流れを冷却するために使用され、次いで、流れは、受容容器52(上で考察された、図1を参照されたい)を通過する。
【0030】
例示的な実施形態では、圧縮流59は、例えば、圧縮されたオーバーヘッド流が第2の圧縮機70内で更に圧縮される前に、圧縮されたオーバーヘッド流から液相68を分離するノックアウトドラム66を有する、第2の圧縮ゾーン64を通過する。第2の圧縮ゾーン64後の圧縮されたオーバーヘッド流は、熱交換ゾーン60を通過し得る。ノックアウトドラム66からの液相68は、容器52を通過し得る。
【0031】
例示的な熱交換ゾーン60では、圧縮されたオーバーヘッド流は、2つ以上の部分72a、72bに分割される。第1の部分72aは、少なくとも1つの熱交換器、例えば、(例えば、トルエンメチル化流出液流22から分離された水性流36、54の少なくとも一部から形成され得る)水性再循環流75用の熱交換器74を通過する。図1を参照されたい。第1の部分72aはまた、分画カラム26用の供給交換器44を通過し得る(図1を参照)。第2の部分72bは、分画カラム26の側方リボイラ42(図1参照)、リフト水交換器76(図1参照)、又はその両方を通過し得る。図示された熱交換ゾーン60は、単なる例示であり、圧縮流59及び交換器の部分の任意の数が使用されてもよい。
【0032】
当業者には理解されるように、本発明の実施形態は、トルエンメチル化ユニット内に厳密な生成物分画が存在するとき、好ましくは芳香族コンビナート内の、トルエンメチル化ユニット内での熱移送及び回収をより良好にバランスさせるための経済的な方式を提供する。この利益は、代替的な供給シナリオ、又はコンビナートの全体的なエネルギーバランスが異なる状況のために変化し得る。
【0033】
理論的評価によれば、2年にわたる経済的節約は、本明細書で指定される追加の設備を組み込むことと関連する初期投資コストを相殺するであろう。この理論的評価は、トルエンメチル化ユニットへの3,400KMTA供給からの1,700KMTAパラキシレン生成と、8,000時間/年稼働する状態のコンビナートに基づくものであった。
【0034】
弁、ポンプ、フィルタ、冷却器などの様々な他の構成要素は、それらの詳細が十分に当業者の知識の範囲内であり、またそれらの説明が、本発明の実施形態の実践又は理解に必須ではないため、図面には示されていないことが、当業者には認識及び理解されるべきである。
【0035】
上記のライン、導管、ユニット、デバイス、容器、周囲環境、ゾーン、又は同様のもののいずれも、センサ、測定デバイス、データ捕捉デバイス、又はデータ送信デバイスを含む1つ以上の監視構成要素で装備されてもよい。監視構成要素からの信号、プロセス、又は状態測定値、並びにデータを使用して、プロセス機器内、その周囲、及びその上の状況を監視することができる。監視構成要素によって生成又は記録された信号、測定値、及び/又はデータは、プライベート若しくはパブリック、一般的若しくは特定的、直接若しくは間接的、有線若しくは無線、暗号化若しくは非暗号化、及び/又はそれらの組み合わせであってもよい1つ以上のネットワーク又は接続を介して収集、処理、及び/又は送信されてもよい。本明細書は、この点において限定することを意図するものではない。
【0036】
監視構成要素によって生成又は記録された信号、測定値、及び/又はデータは、1つ以上のコンピューティングデバイス又はシステムに送信されてもよい。コンピューティングデバイス又はシステムは、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、1つ以上のコンピューティングデバイスに1つ以上の工程を含み得るプロセスを実行させる、コンピュータ可読命令を記憶するメモリと、を含み得る。例えば、1つ以上のコンピューティングデバイスは、1つ以上の監視構成要素から、プロセスと関連付けられた機器の少なくとも一部品に関連するデータを受信するように構成されてもよい。1つ以上のコンピューティングデバイス又はシステムは、データを分析するように構成されてもよい。データの分析に基づいて、1つ以上のコンピューティングデバイス又はシステムは、本明細書に記載される1つ以上のプロセスの1つ以上のパラメータに対する1つ以上の推奨される調整を決定するように構成されてもよい。1つ以上のコンピューティングデバイス又はシステムは、本明細書に記載される1つ以上のプロセスの1つ以上のパラメータに対する1つ以上の推奨される調整を含む暗号化又は非暗号化データを送信するように構成されてもよい。
特定の実施形態
【0037】
以下を特定の実施形態と併せて説明するが、この説明は、前述の説明及び添付の特許請求の範囲を例示するものであり、限定するものではないことが理解されるであろう。
【0038】
本発明の第1の実施形態は、パラキシレン分離のためのプロセスであって、プロセスは、トルエンメチル化ゾーンにおいて、トルエンをメタノールでアルキル化して、パラキシレン及びトルエンを含むメチル化流出液を提供することと、分画カラムにおいて、メチル化流出液を、少なくとも、パラキシレンを含む流出液流、トルエンを含む再循環流、及びC~C炭化水素を含むオーバーヘッド流に分離することと、パラキシレン回収ゾーンにおいて、パラキシレンを含む流出液流からパラキシレンを回収することと、第1の圧縮ゾーンにおいて、オーバーヘッド流を圧縮して、圧縮されたオーバーヘッド流を提供することと、オーバーヘッド流が圧縮された後、圧縮されたオーバーヘッド流から熱を移送することと、を含む。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、圧縮されたオーバーヘッド流から熱を移送する前に、圧縮されたオーバーヘッド流を第2の圧縮ゾーンにおいて圧縮することを更に含み、第2の圧縮ゾーンは、少なくとも1つの圧縮機及び少なくとも1つの分離容器を備える。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、少なくとも1つの熱交換器において、圧縮されたオーバーヘッド流から第1の交換器流まで、熱を移送することを更に含む。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、圧縮されたオーバーヘッド流を少なくとも第1の部分及び第2の部分に分割することと、第1の熱交換器において、圧縮されたオーバーヘッド流の第1の部分から第1の交換器流に熱を移送することと、第2の熱交換器において、圧縮されたオーバーヘッド流の第2の部分から第2の交換器流に熱を移送することと、を更に含む。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、凝縮器において、第1の部分及び第2の部分から熱が移送された後、第1の部分及び第2の部分を凝縮させて、凝縮された流れを提供することと、受容容器において、凝縮された流れを燃料ガス流及び少なくとも1つの液体流に分離することと、を更に含む。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、第3の熱交換器において、圧縮されたオーバーヘッド流の第1の部分から第3の交換器流に、第1の交換器の下流に熱を移送することと、第4の熱交換器において、圧縮されたオーバーヘッド流の第2の部分から、第4の交換器流に、第2の交換器の下流に熱を移送することと、を更に含む。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、凝縮器において、圧縮されたオーバーヘッド流から熱が移送された後、圧縮されたオーバーヘッド流を凝縮させて、凝縮された流れを提供することと、受容容器において、凝縮された流れを燃料ガス流及び少なくとも1つの液体流に分離することと、を更に含む。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、受容容器はまた、圧縮されたオーバーヘッド流の液相を受容する。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、少なくとも1つの液相を、受容容器からトルエンメチル化ゾーンに再循環させることを更に含む。
【0039】
本発明の第2の実施形態は、パラキシレン分離のためのプロセスであり、プロセスは、トルエン流をトルエンメチル化ゾーンに通過させることと、メタノール流をトルエンメチル化ゾーンに通過させることであって、トルエンメチル化ゾーンが、トルエンをパラキシレンに変換する条件下で操作され、パラキシレン及びトルエンを含むメチル化流出液を提供する、通過させることと、少なくとも、パラキシレンを含む流出液流、トルエンを含む再循環流、及びオーバーヘッド流にメチル化流出液を分離するように構成された分画カラムに、メチル化流出液を通過させることと、パラキシレン生成物流を提供するように構成されたパラキシレン回収ゾーンに、パラキシレンを含む流出液流を通過させることと、オーバーヘッド流を圧縮し、圧縮されたオーバーヘッド流を提供するように構成された圧縮ゾーンに、オーバーヘッド流を通過させることと、少なくとも1つの熱交換器において圧縮されたオーバーヘッド流から熱を除去するように構成された熱回収ゾーンに、圧縮されたオーバーヘッド流を通過させることと、を含む。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、熱回収ゾーンは、複数の熱交換器を含む。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、圧縮されたオーバーヘッド流は、圧縮されたオーバーヘッド流を熱回収ゾーンに通過させる前に、圧縮機及び容器を備える圧縮ゾーンを通過する。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、圧縮されたオーバーヘッド流を複数の圧縮されたオーバーヘッド流に分割することと、複数の圧縮されたオーバーヘッド流から少なくとも1つの熱交換器に、各圧縮されたオーバーヘッド流を通過させることと、を更に含む。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、複数のオーバーヘッド流からの各圧縮されたオーバーヘッド流は、少なくとも2つの熱交換器を通過する。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、熱回収ゾーン内の少なくとも1つの熱交換器において、圧縮されたオーバーヘッド流から熱を除去した後に、圧縮されたオーバーヘッド流を凝縮器に通過させて、凝縮された流れを提供することと、凝縮された流れを、燃料ガス流、少なくとも1つの流れ、及び少なくとも1つの液体炭化水素流に分離するように構成された受容容器に、凝縮された流れを通過させることと、を更に含む。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、少なくとも1つの液体炭化水素流をトルエンメチル化ゾーンに再循環させることを更に含む。
【0040】
本発明の第3の実施形態は、トルエンからパラキシレンを分離するための装置であり、装置は、入口及び複数の出口を備える分画カラムであって、分画カラムが、入口を介して、トルエン及びパラキシレンを含む流れを受容し、流れを分離し、及び少なくとも、複数の出口から第1の出口を介するパラキシレンを含む流出液流と、複数の出口から第2の出口を介するトルエンを含む再循環流と、複数の出口から第3の出口を介するオーバーヘッド流と、を提供するように構成されている、分画カラムと、オーバーヘッド流を圧縮して、圧縮されたオーバーヘッド流を提供するように構成されている圧縮ゾーンと、圧縮されたオーバーヘッド流から熱を除去するように構成された少なくとも1つの熱交換器を備える、熱回収ゾーンと、を備える。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第3の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、熱回収ゾーンは、複数の熱交換器を更に備える。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第3の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、圧縮されたオーバーヘッド流の第1の部分を第1の熱交換器に通過させるように構成された第1の導管と、圧縮されたオーバーヘッド流の第2の部分を第2の熱交換器に通過させるように構成された第2の導管と、を更に備える。本発明の一実施形態は、本段落の先の実施形態から本段落の第3の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又は全てであり、圧縮ゾーンは、少なくとも2つの圧縮機及び容器を備える。
【0041】
更に説明することなく、前述の説明を使用して、当業者が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明を最大限まで利用し、かつ本発明の本質的な特性を容易に確認することができ、本発明の様々な変更及び修正を行い、様々な使用及び条件に適合させることができると考えられる。したがって、先行する好ましい特定の実施形態は、単なる例示として解釈されるべきであり、いかなるようにも本開示の残りを限定するものではなく、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれる様々な修正及び同等の構成を網羅することを意図するものである。
【0042】
上記では、全ての温度は摂氏度で記載され、全ての部及び百分率は、別途記載のない限り、重量基準である。
【0043】
上記の本発明の詳細な説明において、少なくとも1つの例示的な実施形態を提示してきたが、膨大な数の変形例が存在する点を理解されたい。例示的な実施形態は、あくまで実例にすぎず、いかなる意味でも本発明の範囲、適用可能性、又は構成の限定を目的としていない点もまた理解されるはずである。むしろ、上記の詳細な説明は、発明の例示的な実施形態を実施するうえで便利な指針を当業者に提供するものであり、添付の特許請求の範囲及びそれらの法的均等物に記載される発明の範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態に記載される機能及び要素の配置に様々な変更がなされ得る点は理解されよう。

図1
図2