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特許7372354コンテンツ配信のためのレイテンシマネジメント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】コンテンツ配信のためのレイテンシマネジメント
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/433 20110101AFI20231024BHJP
   H04N 21/435 20110101ALI20231024BHJP
【FI】
H04N21/433
H04N21/435
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021574864
(86)(22)【出願日】2020-07-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(86)【国際出願番号】 EP2020070042
(87)【国際公開番号】W WO2021009255
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2022-02-15
(31)【優先権主張番号】62/875,063
(32)【優先日】2019-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】19186801.7
(32)【優先日】2019-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510185767
【氏名又は名称】ドルビー・インターナショナル・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100188813
【弁理士】
【氏名又は名称】川喜田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(72)【発明者】
【氏名】ウォールターズ,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】クラウス,カート
【審査官】鈴木 順三
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0232763(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0166135(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0101341(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0312294(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0206906(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 - 21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配信チャネルを介したメディアコンテンツの再生のための方法であって、前記メディアコンテンツは、それぞれのコンテンツタイプを有する連続したメディア番組を含み、
メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさの指標を受信するステップであって、メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさは、前記メディア番組のコンテンツタイプに関連付けられているステップと、
前記メディア番組の少なくとも一部を受信するステップと、
前記メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさの指標に基づいて、前記メディア番組の再生を調整するステップと、
を含み、
前記メディア番組の再生を調整するステップは、前記メディア番組についての再生レイテンシに対する影響の受けやすさの前記指標が前記配信チャネルの前または後のメディア番組に対して変化する場合に、前記メディア番組に対して再生速度を調整して、メディア番組データが再生される前にバッファリングされる前記メディア番組データの量を調整するステップを含み、
メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさの前記指標は、前記メディア番組のメタデータにおいて伝送され、再生レイテンシに対するメディア番組の影響の受けやすさの変更の指標が、帯域内イベントを介して送信される、
方法。
【請求項2】
メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさの前記指標は、前記メディア番組データが再生される前に許容されるレイテンシの定性的指標を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記メディア番組の再生を調整するステップは、前記メディア番組についての再生レイテンシに対する影響の受けやすさの前記指標が前記配信チャネルの前または後のメディア番組に対して変化する場合に、前記受信されたメディア番組のコンテンツを変更するステップを含む、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記現在のメディア番組が前記前のメディア番組に対してより大きいレイテンシを許容する場合、または、前記後のメディア番組が前記現在のメディア番組に対してより大きいレイテンシを許容する場合に、追加のコンテンツが前記現在のメディア番組に挿入される、または、
前記現在のメディア番組が前記前のメディア番組に対してより小さいレイテンシを必要とする場合、または、前記後のメディア番組が前記現在のメディア番組に対してより小さいレイテンシを必要とする場合に、前記現在のメディア番組においてコンテンツがスキップされる、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
メディア番組は、複数の連続したセグメントを含み、
前記メディア番組の再生を調整するステップは、前記メディア番組データが再生される前に、バッファリングされるセグメントの数を調整するステップであって、必要に応じて前記メディア番組の少なくとも1つのセグメントがスキップされるか、または、繰り返されるステップを含む、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記メディア番組の再生を調整するステップは、再生デバイスのメディアプレーヤにおいて前記メディア番組に対して再生モードを、前記メディア番組のセグメント全体の受信を待ってから前記メディア番組を再生するモードと、前記メディア番組のセグメント全体の受信を待たずに前記メディア番組を再生する他のモードとの間で切り換えるステップを含む、
請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさの前記指標は、前記配信チャネルを介した配信のための前記連続したメディア番組のためのスケジューラによって生成される
請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
メディア番組についての再生レイテンシに対する影響の受けやすさは、前記メディア番組の開始の前に送信される、
請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記メディア番組の再生を調整するステップは、前記メディア番組の開始に対して非同期であり、必要に応じて前記前のメディア番組の再生を調整するステップを含む、
請求項に記載の方法。
【請求項10】
配信チャネルを介したメディアコンテンツの再生のためのデバイスであり、前記メディアコンテンツは、それぞれのコンテンツタイプを有する連続したメディア番組を含み、
メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさの指標を受信する受信器であって、メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさは、前記メディア番組のコンテンツタイプに関連付けられている、受信器と、
前記メディア番組の少なくとも一部を受信する受信器と、
前記メディアコンテンツを再生する再生ユニットと、
前記受信されたメディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさの指標に基づいて、前記メディア番組の再生を調整するコントローラと、
を備えるデバイスであって、
前記再生ユニットは、前記メディア番組の受信されたセグメントのためのバッファを備え、
前記コントローラは、前記メディア番組についての再生レイテンシに対する影響の受けやすさの前記指標が調整すべき前記配信チャネルの前または後のメディア番組に対して変化する場合に、番組データが再生される前に、前記メディア番組に対して再生速度を調整することによって、バッファリングされる番組データの量を調整し、
メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさの前記指標は、前記メディア番組のメタデータにおいて伝送され、再生レイテンシに対するメディア番組の影響の受けやすさの変更の指標が、帯域内イベントを介して送信され、
メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさの前記指標を受信する前記受信器は、前記メディア番組のメタデータを復号し、前記帯域内イベントを受信して再生レイテンシに対するメディア番組の影響の受けやすさの変更の前記指標を取得するように構成されている、
デバイス。
【請求項11】
追加のメディアコンテンツを挿入するか、または、メディアコンテンツを除去するように、前記受信されたメディア番組のコンテンツを調整するメディアコンテンツ変更器をさらに備える、
請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
配信チャネルを介したメディアコンテンツの配信のためのシステムであって、前記メディアコンテンツは、それぞれのコンテンツタイプを有する連続したメディア番組を含み、
前記配信チャネルを介した連続配信のために、前記メディア番組をスケジューリングするスケジューラと、
前記メディア番組を連続したメディアストリーム内にパッケージ化する少なくとも1つのパッケージ化器であって、前記パッケージ化器は、前記メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさの指標を前記メディアストリームに付加するように構成され、メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさは、前記メディア番組のコンテンツタイプに関連付けられている、パッケージ化器と、
を備え
前記パッケージ化器は、前記メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさの指標を前記メディア番組のメタデータ内にパッケージ化し、帯域内イベントを介して再生レイテンシの変更を送信するように構成されている、
システム。
【請求項13】
前記メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさに応じて、前記メディア番組に対して符号化モードを調整することをさらに実行する、
請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2019年7月17日に出願された米国仮出願第62/875,063号(参照番号:D18140USP1)および2019年7月17日に出願された欧州出願第19186801.7号(参照番号:D18140EP)に基づく優先権を主張するものであり、両出願の開示内容をすべて本願に援用する。
【0002】
本文書は、コンテンツ配信(content delivery)のためのレイテンシ(latency)マネジメントに関する。特に、本文書は、従来の「24時間/7日」放送チャネル(または、連続した番組を有する任意のチャネル)およびそのチャネルのIPネットワークを介した配信に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的に、従来の「24時間/7日」放送チャネルは、典型的には、ニュース、映画、広告、連続作品(episodes)、(ライブ)ゲームショー、ライブスポーツなどの連続した番組から構成される。通常、そのような放送チャネルにおいては、正しい番組を正しい時間に送信することが、特定の(番組)スケジューラを介して自動化されている。
【0004】
IPネットワークを介したA/Vコンテンツ配信の多くの問題の1つに、レイテンシがある。一般に、顧客は、ライブ放送(例えば、スポーツ、ライブゲームショーなど)に対して、配信のレイテンシが低いことを重要視する。しかし、IPネットワークにおいてレイテンシを低くすることは、一般に、常に可能なわけではなく、典型的には、運営者側に(ビットレート)コストがかかる。さらに、低レイテンシストリーミングは、高レイテンシストリーミングと比較して、バッファ不足(例えば、ネットワーク接続のジッターによるもの)になりやすいことがよく知られている。なぜなら、低レイテンシストリーミングは、典型的には、再生デバイスにおいて使用されるバッファがより小さいことを意味するからである。
【0005】
今日、レイテンシは、通常、ストリームと結びついており、あるストリームに対して経時的に(少なくとも一期間にわたり)一定であると考えられている。しかし、放送チャネル上でレイテンシの影響を受けやすい番組(ライブスポーツなど)はわずかであり、他の番組(映画など)はそうではない。
【0006】
したがって、主に低レイテンシを必要とする番組(ライブスポーツなど)に対して低レイテンシストリーミングが必要である。番組がレイテンシの影響を受けやすくない場合(映画など)は、より高いレイテンシに切り換えることが可能である。
【発明の概要】
【0007】
上記問題(および使用例)の一部または全てに鑑み、本開示は、配信チャネルを介したメディアコンテンツの再生のための方法およびデバイス、ならびに配信チャネルを介したメディアコンテンツの配信のためのシステムを提案する。これらは、それぞれの独立請求項の特徴を有する。
【0008】
広い側面として、本開示は、配信チャネルを介したメディアコンテンツの再生のための方法を提供する。配信チャネルは、一般に、ブロードキャスト、マルチキャスト、またはユニキャストなどの方式で、音声または映像番組がユーザ(受信者)に配信(送信)されるチャネルを指し得る。例えば、そのような配信チャネルは、(従来の)「24時間/7日」放送チャネルであり得る。メディアコンテンツは、一般に、ニュース、映画、広告、連続作品、(ライブ)ゲームショー、ライブスポーツなどの連続したメディア番組を含み得る。特に、メディアコンテンツ内の特定のメディア番組に対して、その特定のメディア番組についてのコンテンツタイプもメディアコンテンツとともに与えられる。コンテンツタイプは任意の適切な方式で表現および配信され得ることが当業者によって理解および認識されるであろう。例えば、コンテンツタイプは、メディア番組のビットストリームのヘッダにおいて、または、プログラムに付随するメタデータにおいて、特定のまたは付加的なフィールドを使用して表現または指示され得る。他の例として、コンテンツタイプは、ルックアップテーブルを使用して指示されてもよい。同様に、コンテンツタイプは、メディア番組の配信とともにリアルタイムで配信(送信)されてもよいし、メディア番組の配信の前に共有されてもよい。メディアコンテンツは、メディアストリームにおいて搬送され、コンテンツ配信サーバからユーザデバイスへ、通信ネットワーク、例えば、インターネットプロトコルに基づくネットワークを介して配信され得る。
【0009】
特に、上記方法は、メディア番組の再生レイテンシ(メディア番組に対する目標レイテンシとも呼ぶ)に対する影響の受けやすさ(sensitivity)の指標を、(例えば、ユーザデバイス、受信器、または再生デバイスにおいて)受信すること(ステップ)を含んでいてもよい。より詳細には、メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさは、メディア番組のコンテンツタイプに関連付けられる。言い換えると、メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさは、メディア番組のコンテンツタイプに基づいて設定される。しかし、所望の再生レイテンシに影響を与える他の要因があり得る。例えば、ライブスポーツは、一般に低レイテンシが好ましいが、サービス運営者は、低レイテンシが非常に重要であるスポーツ番組(大きな大会の最終試合)と、より重要でない試合とを区別したいと考えるかもしれない。したがって、メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさの指標に基づいてメディア番組の再生を調整すること(adapting)は、目標再生レイテンシを決定するために他の要因が同様に考慮されることを排除しない。
【0010】
上記方法は、メディア番組の少なくとも一部を受信することをさらに含んでもよい。メディア番組の一部は、一般に、メディア番組の、例えば、表現および/または配信方法/仕組みに応じたメディア番組の所定数のフレーム(ピクチャ、データのチャンクなど)を指すことが当業者によって理解および認識されるであろう。上記方法は、メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさの指標に基づいて、メディア番組の再生を調整することをさらに含み得る。
【0011】
いくつかの例において、メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさの別の指標が受信され、同じメディア番組の再生が、受信された指標に基づいて徐々に調整される。これは、複数の目標レイテンシが再生デバイスに順次与えられるように複数回繰り返され得る。影響の受けやすさの複数の指標を採用することが、例えば、後のまたは別の番組に遷移する前に再生特性を徐々に管理するために利用され得る。そうしなければ、当該遷移は、番組間の目標レイテンシにおける飛び上がり(jump)により、欠落を引き起こすか、または、ユーザの感じ方に他の悪影響を及ぼす。このように、単一の指標に基づく目標レイテンシにおける単一の飛び上がりに加えて、メディア番組の再生を所定の期間にわたって調整することが提案される。これは、サーバ側で目標レイテンシを徐々に(複数ステップにて)変更し、したがって、受信された再生レイテンシ指標シーケンスによって、受信器(デコーダ)側で調整速度を遠隔に制御することを可能にする。
【0012】
いくつかの例において、メディア番組の再生の調整は、例えば、受信器または再生デバイスにおいて、メディア番組のバッファリングを調整することを含んでもよい。特に、メディア番組の再生を調整するステップは、メディア番組データが再生される前に、(再生デバイスにおいて)バッファリングされるメディア番組データの量を調整することを含んでもよい。(再生デバイスにおける)バッファリング機構がアプリケーションレベル、システムレベル、または任意の他の適切な方式で実装され得ることが当業者によって理解されるであろう。例えば、後のまたは別の番組への遷移の前に受信器バッファレベルを徐々に管理するように、メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさにおける変更に対する複数のインクリメンタル指標が適用され得る。そうしなければ、当該遷移は、番組間の目標レイテンシにおける飛び上がりにより、欠落を引き起こすか、または、ユーザの感じ方に他の悪影響を与える。
【0013】
いくつかの例において、メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさの指標は、メディア番組データが再生される前に許容されるレイテンシの定性的指標または定量的指標を含んでいてもよい。例として、レイテンシの定性的指標は、再生メディア番組のレイテンシに対するユーザの影響の受けやすさ、例えば、より長いレイテンシが番組視聴者に気づかれ得るかどうか、および/または、短いレイテンシが気づかれ得るアーチファクト(例えば、ジッター、フレーム欠落など)を引き起こし得るかどうかに関連していてもよい。いくつかの場合において、そのような定性的指標は、「高い」、「中間」、または「低い」として単純に表現され得る。他方、レイテンシの定量的指標は、例えば、許容される最大レイテンシまたは目標レイテンシ(例えば、5秒)であり得る。
【0014】
いくつかの例において、メディア番組の再生の調整は、メディア番組に対して再生速度を調整することを含んでもよい。いくつかの場合において、メディア番組の再生速度は、例えば、フレーム数/秒(fps)として表現され得る。例えば、番組再生のノーマル速度が20fpsである場合、再生速度を2倍にすることは、番組が40fpsで再生されることを意味する。
【0015】
いくつかの例において、メディア番組の再生は、受信されたメディア番組のコンテンツを変更することを含んでもよい。特に、受信されたメディア番組のコンテンツは、メディア番組についての再生レイテンシに対する影響の受けやすさの指標が配信チャネルの前または後のメディア番組に対して変化する場合、変更されてもよい。一般的に、いくつかの場合において、これは、再生デバイス(例えば、再生デバイスのアプリケーション)が、例えば、追い上げる(catchup)ために、メディア番組のセグメント(フレーム)の一部または全部をスキップし得ることを意味する。いくつかの他の場合において、再生デバイス(例えば、再生デバイスのアプリケーション)は、例えば、スローダウンするために、いくつかの「サイレント」または繰り返しのセグメントまたはフレームを挿入する必要があり得る。そのような変更は、典型的には、視聴者によって気づかれ得るので、いくつかの場合/シナリオにおいては、より望ましくないと考えられることがある。
【0016】
いくつかの例において、追加のコンテンツ(例えば、フレームまたはセグメント単位)が現在のメディア番組に挿入されてもよい。特に、追加のコンテンツの挿入は、現在のメディア番組が前のメディア番組に対してより大きいレイテンシを許容する場合、または、後のメディア番組が現在のメディア番組に対してより大きいレイテンシを許容する場合に行われてもよい。いくつかの場合において、これは、再生デバイスにおけるバッファサイズを大きくする必要があること、および、バッファを適切に満たすことができることを意味する。
【0017】
いくつかの他の例において、コンテンツ(例えば、フレームまたはセグメント単位)は、現在のメディア番組においてスキップされてもよい。特に、コンテンツをスキップすることは、現在のメディア番組が前のメディア番組に対してより小さいレイテンシを必要とするか、または、後のメディア番組が現在のメディア番組に対してより小さいレイテンシを必要とする場合に行われてもよい。いくつかの場合において、これは、再生デバイスにおけるバッファサイズを小さくする必要があること、および、バッファを適切に空にすることができることを意味する。
【0018】
いくつかの例において、メディア番組は、複数の連続したセグメントを含むと考えることができる。セグメント化は、例えば、メディア番組を受信器に送信するために適用されるトランスポートモードまたはトランスポートフォーマットに依存し得る。すなわち、この場合、メディアプレーヤの内部処理は、セグメント単位で構成され得る。これに対応して、メディア番組の再生の調整は、メディア番組データが再生される前に、バッファリングされるセグメントの数を調整することを含み得る。オプションとして、上記のように、必要に応じて、メディア番組の少なくとも1つのセグメントがスキップまたは繰り返され得る。
【0019】
いくつかの例において、メディア番組の再生の調整は、メディア番組に対して再生モード(例えば、再生デバイスにおけるメディアプレーヤの再生モード)を切り換えることを含んでもよい。再生モードが、例えば、メディアプレーヤによるメディア番組の異なる出力方式に関連し得ることが当業者によって理解および認識されるであろう。例えば、ある再生モードにおいて、メディアプレーヤは、(トランスポートフォーマットの)セグメントの全体が受信されるまで、メディア番組の処理または出力を遅らせてもよい。他方、別の再生モードにおいて、メディアプレーヤは、復号のための十分なメディアデータを受信した直後に再生する。このように、低い目標レイテンシに対する指標を受信した場合、再生モードは、低レイテンシの要件に対応するモードに切り換えられ、例えば、完全なセグメントを受信することを待たずにできるだけ早くメディアデータを出力し得る。
【0020】
いくつかの例において、メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさの指標は、メディア番組に関連付けられた帯域外メタデータにおいて搬送されてもよい。そのようなメタデータが、例えば、ISO IEC 23009-1に準拠したMedia Program Description(MPD)、または、任意の他の適切なメタデータにおいて搬送され得ることが当業者によって理解されるであろう。メタデータは、例えば、再生デバイスの起動時、配信チャネルへの切り換え時、メディアストリームへの最初のアクセス時、および/または、配信チャネル内の新しいメディア番組の開始時に読み込まれる構成ファイルとして、多くの異なる方式で再生デバイスに与えられてもよい。この目的のために、再生デバイスには、構成ファイル、または、再生デバイスが通信ネットワークを介してアクセス可能な構成ファイルへのリンクが与えられてもよい。
【0021】
いくつかの例において、メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさの指標は、配信チャネルを介した配信のための連続したメディア番組のための(番組)スケジューラによって生成されてもよい。(番組)スケジューラは、(例えば、放送者または運営者側における、または独立したエンティティとしての)コンテンツ配信システムのネットワーク側に設置され得る。必要に応じて、スケジューラは、影響の受けやすさの指標をメディア番組のメタデータに任意の適切な方式を介して付加/挿入する役割を有していてもよい。しかし、他の適切なエンティティ(機能ブロック)、例えば、さらに上流に位置するネットワークエンティティを使用して、影響の受けやすさの指標をメディア番組のメタデータに付加し得る。いずれの場合も、後のステップまたはエンティティ(特に、多重化およびセグメント化ステップ)も同様にこのメタデータを(明示的に)サポートすべきである。
【0022】
いくつかの例において、上記方法は、エンコーダ側において、メディア番組に対して符号化モードを調整することをさらに含んでもよい。符号化モードを調整することは、例えば、レイテンシが極めて重要であるコンテンツについては低減されたフレームサイズでコンテンツを符号化し、レイテンシの影響を受けにくいコンテンツについてはより長いフレーム期間に再び切り換えること意味し得ることが当業者によって理解および認識されるであろう。特に、符号化モードは、メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさに応じて、調整されてもよい。
【0023】
いくつかの例において、メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさにおける変更の指標は、帯域内イベント(inband events)を介して送信されてもよい。例えば、そのような帯域内イベントは、ISO IEC 23009-1に準拠して定義され得る。メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさにおける変更を送信する帯域内イベントを受信することによって、再生デバイスは、本開示に提案されるように、メディア番組(例えば、MPD)に対するメタデータを再読し、メディア番組に関連付けられたメディアストリームの内部処理を再構成することができる。
【0024】
いくつかの例において、メディア番組についての再生レイテンシに対する影響の受けやすさは、特定のメディア番組の開始よりも先(前)に送信されてもよい。そのような場合、再生デバイス(例えば、再生デバイスのプレーヤ)が予め準備(例えば、バッファの準備、再生モードの調整など)を始めることができ、メディア番組(異なるレイテンシを有する)のシームレスな視聴体験を楽しむことができる。
【0025】
いくつかの例において、メディア番組の再生の調整は、メディア番組の開始に対して非同期であってもよい。例えば、再生デバイスのプレーヤアプリケーションは、レイテンシの影響を受けやすい番組の開始の前または後、すなわち、メディア番組の開始に関係なく非同期(または、緩く同期するだけの)方式でより低いレイテンシに切り換わってもよい。必要に応じて、メディア番組の再生の調整は、前のメディア番組の再生を調整することを含んでいてもよい。
【0026】
別の広い側面として、配信チャネルを介したメディアコンテンツの再生のためのデバイスが提供される。配信チャネルは、一般に、ブロードキャストまたはマルチキャストなどの方式で、音声または映像番組がユーザ(受信者)に配信(送信)されるチャネルを指し得る。例えば、そのような配信チャネルは、(従来の)「24時間/7日」放送チャネルであり得る。メディアコンテンツは、一般に、ニュース、映画、広告、連続作品、(ライブ)ゲームショー、ライブスポーツなどの連続したメディア番組を含み得る。特に、メディアコンテンツ内の特定のメディア番組に対して、その特定のメディア番組についてのコンテンツタイプも与えられる。コンテンツタイプは任意の適切な方式で表現および配信され得ることが当業者によって理解および認識されるであろう。例えば、コンテンツタイプは、メディア番組のビットストリームのヘッダにおいて、特定のまたは付加的なフィールドを使用して表現または指示され得る。他の例として、コンテンツタイプは、ルックアップテーブルを使用して指示され得る。同様に、コンテンツタイプは、メディア番組の配信とともにリアルタイムで配信(送信)されてもよいし、メディア番組の配信の前に共有されてもよい。一般に、上記デバイスは、上記方法ステップのいずれかを行うように構成され得る。
【0027】
特に、上記デバイスは、メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさの指標を受信する受信器を備えてもよい。より詳細には、メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさは、メディア番組のコンテンツタイプに関連付けられ得る。上記デバイスは、メディアストリームを介してメディア番組の少なくとも一部を受信する受信器をさらに備えてもよい。メディア番組の一部は、一般に、例えば、メディア番組の表現および/または配信に応じた、メディア番組の所定数のフレーム(ピクチャ、データのチャンクなど)を指す。メディア番組の影響の受けやすさの指標を受信する受信器、および、メディア番組を受信する受信器は、例えば、単一のビットストリーム内にパッケージ化された両方のタイプの情報(すなわち、影響の受けやすさの指標およびメディア番組)を受信し、区別することのできる単一の受信器として実装され得ることが当業者によって理解されるであろう。言い換えると、メディア番組の影響の受けやすさの指標を受信する受信器、および、メディア番組を受信する受信器は、論理的に分離され得るが、必ずしも物理的に分離されているとは限らない。両方のタイプの情報は、単一の物理的な受信器によって受信され得る。例えば、1つの物理的な受信器のみがメディア番組の影響の受けやすさの指標およびメディア番組の両方を受信するように機能してもよい。そのような場合、上記デバイスは、同じ物理的な受信器において受信され得る異なる入力信号を分離するための適切な機構を備えてもよい。いくつかの例において、受信器は、インターネットプロトコル(IP)に基づく通信ネットワークを介して情報を受信するように構成される。異なる物理層(無線または有線、銅、ファイバ)およびアプリケーションプロトコル(UDP、TCP、http、…)がメディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさを搬送するメディアストリームおよび/またはメタデータの配信のために使用され得る。通信ネットワークは、コンテンツ配信ネットワークとも呼ばれる場合がある。
【0028】
上記デバイスは、メディアコンテンツを再生する再生ユニットをさらに備えてもよい。再生ユニットは、例えば、メディアコンテンツの再生のための所定の適切なアプリケーションを起動し得る。上記デバイスは、受信されたメディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさの指標に基づいて、メディア番組の再生を適合させるためのコントローラをさらに備えてもよい。
【0029】
いくつかの例において、上記デバイスの再生ユニット(例えば、メディアプレーヤ)は、メディア番組の受信されたセグメント用のバッファを備えてもよい。他方、いくつかの場合において、バッファは、例えばオペレーティングシステムによって提供され、その場合に再生ユニットは、任意の適切な方式でそのバッファにアクセスおよび利用するように構成され得る。バッファがメモリ(記憶)ブロックとして、または、任意の他の適切な方式で実装され得ることが当業者によって理解されるであろう。さらに、コントローラは、再生レイテンシに対する影響の受けやすさの指標に基づいて、番組データが再生される前に、バッファリングされる番組データの量を調整するように構成され得る。
【0030】
いくつかの例において、上記デバイスは、受信されたメディア番組のコンテンツを調整して、追加のメディアコンテンツを挿入したり、メディアコンテンツを除去したりするように構成されたメディアコンテンツ変更器(media content modifier)をさらに備えてもよい。いくつかの場合において、メディアコンテンツ変更器は、追加のコンテンツ(例えば、フレームまたはセグメント単位)を現在のメディア番組内に挿入/付加するように構成され得る。例えば、追加のコンテンツの挿入は、現在のメディア番組が前のメディア番組に対してより大きいレイテンシを許容する場合、または、後のメディア番組が現在のメディア番組に対してより大きいレイテンシを許容する場合に行われ得る。いくつかの他の例において、メディアコンテンツ変更器は、所定のコンテンツ(またはその一部)をスキップまたは除去するように構成されてもよい。これは、例えば、現在のメディア番組が前のメディア番組に対してより小さいレイテンシを必要とするか、または、後のメディア番組が現在のメディア番組に対してより小さいレイテンシを必要とする場合に行われ得る。
【0031】
いくつかの例において、メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさの指標を受信する受信器は、例えば、上記のように再生レイテンシに対する影響の受けやすさの指標(または、そのような影響の受けやすさにおける変更)がどのようにかつどこで再生デバイスに配信されるかに応じて、メディア番組のメタデータを復号するか、または、帯域内イベントを受信するように構成されてもよい。メタデータの一例は、ISO IEC 23009-1に準拠したMPDであり得る。帯域内イベントの一例は、ISO IEC 23009-1に準拠して定義された帯域内イベントであり得る。
【0032】
さらに別の広い側面として、配信チャネルを介したメディアコンテンツの配信のためのシステムが提供される。配信チャネルは、一般に、ブロードキャストまたはマルチキャスト方式などで、音声または映像番組がユーザ(受信者)に配信(送信)されるチャネルを指し得る。例えば、そのような配信チャネルは、(従来の)「24時間/7日」放送チャネルであり得る。メディアコンテンツは、一般に、ニュース、映画、広告、連続作品、(ライブ)ゲームショー、ライブスポーツなどの連続したメディア番組を含み得る。特に、メディアコンテンツ内の特定のメディア番組に対して、その特定のメディア番組についてのコンテンツタイプも与えられる。コンテンツタイプは任意の適切な方式で表現および配信され得ることが当業者によって理解および認識されるであろう。例えば、コンテンツタイプは、メディア番組のビットストリームのヘッダにおいて、特定のまたは付加的なフィールドを使用して表現または指示され得る。他の例として、コンテンツタイプは、ルックアップテーブルを使用して指示され得る。同様に、コンテンツタイプは、メディア番組の配信とともにリアルタイムで配信(送信)されてもよいし、メディア番組の配信の前に共有されてもよい。上記システムは、コンテンツ配信サーバと、コンテンツプロバイダサーバなどの他のコンポーネントとを備えてもよい。
【0033】
特に、上記システムは、配信チャネルを介した連続配信のためにメディア番組をスケジューリングするスケジューラを備えてもよい。一般的に、スケジューリングプロセスは、メディア番組に対して配信チャネルの適切な時間をスケジューリング(割り当て)することを含み得る。メディア番組のスケジューリングが番組計画表、番組の重要度および/または緊急度などの異なる状況および/または要件に応じて行われ得ることが当業者によって理解されるであろう。上記システムは、メディア番組を連続したメディアストリーム内に任意の適切な方式でパッケージ化(カプセル化)するように構成される少なくとも1つのパッケージ化器(または、カプセル化器)をさらに備えてもよい。特に、パッケージ化器は、メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさのそれぞれの指標をメディアストリームに付加するように構成されてもよい。上記に例示したように、メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさは、メディア番組のコンテンツタイプに関連付けられている。
【0034】
いくつかの例において、パッケージ化器は、例えば、レイテンシが極めて重要であるコンテンツについては短縮されたセグメント期間でメディア番組を符号化し、レイテンシの影響を受けにくいコンテンツについてはより長いセグメント期間に再び切り換えることによって、メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさに応じて、メディア番組に対する符号化モードをさらに調整するように構成されてもよい。
【0035】
いくつかの例において、パッケージ化器は、例えば、上記のように再生レイテンシに対する影響の受けやすさの指標がどのようにかつどこで再生デバイスに配信されるかに応じて、メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさの指標をメディア番組のメタデータまたは帯域内イベント内にさらに挿入するように構成されてもよい。メタデータの一例は、ISO IEC 23009-1に準拠したMPDであり得る。帯域内イベントの一例は、ISO IEC 23009-1に準拠して定義された帯域内イベントであり得る。
【0036】
本開示の別の側面は、少なくとも1つのプロセッサを備えるプログラム可能なコンピュータまたは専用のハードウェア上で実行するためのコンピュータソフトウェア命令を実現する、コンピュータソフトウェア、コンピュータプログラム製品、または、任意のメディアもしくはデータであって、その少なくとも1つのプロセッサに本文書に開示の方法ステップ、特に本文書に提示された上記開示の方法のいずれかを行わせるコンピュータソフトウェア、コンピュータプログラム製品、または、任意のメディアもしくはデータに関する。
【0037】
上記開示の装置の実装例は、限定しないが、1つ以上のプロセッサ、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、および/または、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)の使用を含み得る。また、上記装置の実装例は、ソフトウェアプログラマブルプロセッサなどの他の従来のおよび/またはカスタマイズされたハードウェアの使用を含み得る。
【0038】
デバイス/装置の特徴は、多くのやり方で相互に交換され得ることが理解されるであろう。特に、上記開示のデバイスの詳細を方法として実装することができるし、その逆も可能であることが当業者に理解されるであろう。さらに、明示的に開示しないが、上記の側面は、多くのやり方で組み合わされ得る。当業者は、明らかに排除される矛盾を生じさせない限り、側面および特徴/ステップのこれらの組み合わせが可能であることを理解するであろう。
【0039】
本発明の他のさらなる実施形態が、以下の説明、および添付の図面を参照することによって明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
本開示の実施形態を添付の図面を参照し、例として、以下に説明する。
図1図1は、メディアコンテンツの一例を模式的に例示する。
図2図2は、メディアコンテンツの配信のためのシステムの一例を模式的に例示する。
図3図3は、本発明の一実施形態に係るメディアコンテンツの再生のためのデバイスの一例を模式的に例示する。
図4図4は、本発明の一実施形態に係るメディアコンテンツの再生のための方法の一例を模式的に例示する。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、本発明の一実施形態に係るメディアコンテンツストリーム100の一部分の一例を模式的に図示する。メディアコンテンツストリーム100は、一般に、連続した(異なる)メディア番組101~106を含む。例えば、図1に示す例において、メディアコンテンツストリーム100は、期間t1~t2内のライブスポーツ番組101(例えば、フットボールの試合)、期間t2~t3内の広告番組102、期間t3~t4内のニュース番組103、期間t4~t5内の映画番組104、期間t5~t6内の別のニュース番組105、および期間t6~t7内のライブゲームショー番組106を含み得る。なお、図1は、「24時間/7日」方式で連続的に動作するメディアコンテンツ配信チャネルの一部分だけを示す。
【0042】
メディアコンテンツストリーム100は、他のメディア番組を別の期間において含んでいてもよく、図1に示すメディアコンテンツストリーム100は、例示を目的とした一例にすぎないことが当業者によって理解されるであろう。特に、メディアコンテンツストリーム100は、コンテンツ配信者からコンテンツ配信ネットワークの配信チャネル(図1に図示せず)を介して配信され得る。配信チャネルは、一般に、ブロードキャスト、マルチキャストもしくはユニキャスト方式、またはさらにポイントツーポイント(ビデオオンデマンド(VOD)など)方式などによって、音声または映像番組がエンドユーザ(受信者/視聴者)に配信(送信)されるチャネル(例えば、無線または有線チャネル)を指し得る。例えば、そのような配信チャネルは、(従来の)「24時間/7日」放送チャネルまたは任意の他の適切なチャネルであることが当業者によって理解および認識されるであろう。視聴者(再生デバイス)は、受信されたメディア番組を適切な方式(例えば、適切なプレーヤアプリケーションの使用、適切なコーデックの起動など)で再生し得る。
【0043】
さらに、メディアコンテンツストリーム100の配信を容易にするために、特定のメディア番組に対するコンテンツタイプ(図1に図示せず)がメディアコンテンツストリーム100内の当該特定のメディア番組に対して与えられ得る。一般に、メディア番組のコンテンツタイプは、ニュース、スポーツ、ショー、映画などの複数のコンテンツクラスにおけるメディア番組の広い分類を与える。コンテンツタイプは、メディア番組を製作したコンテンツプロバイダによって設定されてもよいし、コンテンツ配信ネットワークの運営者によって設定されてもよい。コンテンツタイプは、任意の適切な方式で表現および配信され得ることが当業者によって理解および認識されるであろう。例えば、コンテンツタイプは、メディア番組のヘッダにおいて、特定のまたは付加的なフィールドを使用して表現または指示されてもよい。他の例として、コンテンツタイプは、ルックアップテーブルを使用して指示されてもよい。同様に、コンテンツタイプは、メディア番組の配信とともにリアルタイムで配信(送信)されてもよいし、メディア番組の配信の前に共有されてもよい。
【0044】
さらに、特定のメディア番組の再生レイテンシ(目標レイテンシとも呼ぶ)に対する影響の受けやすさの指標がさらに与えられ得る。特に、メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさは、メディア番組データが再生される前に許容される、メディア番組のコンテンツタイプに関連付けられたレイテンシの定性的指標または定量的指標であってもよい。
【0045】
メディア番組に対する目標レイテンシを決定する重要な要素は、コンテンツタイプである。言い換えると、コンテンツタイプは、目標レイテンシの規定に影響を与え/支配する。しかし、コンテンツタイプから目標レイテンシの指標に至るための特定のステップがあり得る。なぜなら、マッピングに必ずしもあいまいさがないというわけではないからである。例えば、コンテンツ配信者は、異なるサッカーの試合に対して、そのサッカーの試合の重要度に基づいて、異なる目標レイテンシを選択し得る。他のコンテンツタイプ(非ライブコンテンツなど)として、コンテンツ配信者が目標レイテンシに対して、固定されたデフォルト値をさらなる調節/微調節なしに選択し得るものも存在する。しかし、それ以外の場合には、番組スケジュールを作成する人がそのようなデフォルト値から外れるように選択することもある(例えば、世界大会の最終戦のサッカー試合に可能な限り最も低いレイテンシを与え、他方、他のサッカーの試合には、そのような積極的に低い値を目標としない)。このように、メディア番組の目標レイテンシは、コンテンツタイプに基づいて決定されるが、コンテンツタイプに応じて排他的に設定されるわけではない。
【0046】
再生デバイス側において、メディア番組の少なくとも一部、および、メディア番組に対する目標レイテンシが受信される。メディア番組の一部は、一般に、例えばメディア番組の表現および/または配信方法/仕組みに応じたメディア番組の所定数のフレーム(ピクチャ、データのチャンクなど)を指す。次に、メディア番組の再生がその目標レイテンシに基づいて調整される。目標レイテンシは、一ステップで変更されてもよく(例えば、低から高へ)、再生デバイスにおけるメディアプレーヤは、それにしたがって調整され得る。さらに、例えば、バッファレベルおよび/または再生速度を追い上げるか、または、スローダウンさせるために、再生デバイスにおけるメディアプレーヤの所定の期間にわたる調整が提案される。受信側のプレイアウト調整アルゴリズム(playout adaptation algorithm)は、所与の目標レイテンシと目標レイテンシの更新との間の補間を行う所与の特性を有し得るが、目標レイテンシの更新は、目標レイテンシにおける飛び上がりが過度に大きい場合、望ましくないやり方で行われることがある。したがって、サーバ側で示された目標レイテンシを徐々に(複数ステップで)変更し、したがって、例えば、異なる目標レイテンシを有する別の番組に移る前に、受信器側で遠隔に調整速度を制御し、バッファレベルを管理でき得る。このように、目標レイテンシを一度にジャンプさせることに加えて、メディア番組の再生を所定の期間にわたって設けた複数のステップにわたって調整することが提案される。後者の場合において、送信される目標レイテンシは、再生レイテンシに対する複数の順次の指標において、サーバによって徐々に変更される。
【0047】
図2は、メディアコンテンツを配信するためのシステム200の一例を模式的に例示する。メディアコンテンツは、図1に示す101~106において示される連続したメディア番組を含み得る。図2の例において、システム200は、例えば、異なるメディア番組(例えば、図1に示す101~106において示されるメディア番組)を準備および提供するサービス(コンテンツ)プロバイダ210を含み得る。限定しないが例として、コンテンツプロバイダ210は、運営者、映像番組プラットフォーム、または任意の他の適切なプロバイダであり得ることが当業者によって理解されるであろう。特に、いくつかの場合において、番組は、スポーツ、ライブゲームショーなどのライブ(リアルタイム)番組211であり得る。いくつかの他の場合において、番組は、広告、映画などの非リアルタイム番組212であり得る。そのような非リアルタイム番組212は、番組が開始される前に準備(制作)され得る。
【0048】
利用可能な番組211および212は、リアルタイムでまたは予めシステム200のスケジューラ220に配信/送信され得る。スケジューラ220は、例えば、独立型アプリケーション、コントローラの機能ブロックとして、または任意の他の適切な方式で実装され得ることが当業者によって理解および認識されるであろう。スケジューラ220は、コンピュータ内に、または、コンテンツプロバイダ210に(適切な無線、有線などの方式で)接続可能なサーバ内に設置され得る。スケジューラは、コンテンツ配信システムの一部であってもよい。
【0049】
スケジューラ220は、配信チャネルを介した連続配信のためにメディア番組をスケジューリングするように構成され得る。メディア番組のスケジューリングは、番組計画表、番組の優先度などの異なる状況および/または要件に応じて行われ得ることが当業者によって理解されるであろう。一般的に、スケジューリングプロセスは、例えば、配信チャネルの特性に基づいて、配信チャネルの適切な時間リソースをメディア番組に対してスケジューリング(割り当て)することを含み得る。次いで、スケジューリングされたメディア番組は、例えば、メディア番組を連続したメディアストリームに任意の適切な方式でパッケージ化/符号化するエンコーダ、パッケージ化器(packager)、セグメント化器(segmenter)、暗号化器、および/または、マニフェストジェネレータ(manifest generator)(これらの機能は、若干異なる順序で現れてもよく、組み合わせてより少ない処理ステップにまとめてもよい)230に、適切なインタフェース221を介して、配信/受け渡しされ得る。パッケージ化されたメディア番組(すなわち、メディアコンテンツ)は、適切なネットワーク接続231、例えば、IP接続を介して、エンドユーザの再生デバイス240に配信(例えば、ブロードキャスト)され得る。符号化/復号は、音声および/または映像符号化/復号などの任意のメディアコンテンツのそれぞれの処理を指し得る。
【0050】
メディア番組を適切にスケジューリングおよび配信することの他に、スケジューラ220は、メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさを少なくとも1つのパッケージ化器230などの下流のデバイスに、適切なインタフェース222を介して、示す役割も有し得る。したがって、同様に、少なくとも1つのパッケージ化器230は、メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさの指標をエンドユーザの再生デバイス240に、適切な方式で適切なネットワーク接続232を介して伝播し得る。
【0051】
特に、いくつかの場合において、パッケージ化器230は、メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさの指標をメディア番組自体とともにビットストリーム内にパッケージ化(多重化)するように構成できる。例えば、メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさの指標は、パッケージ化器230によって、メディア番組のメタデータ内にパッケージ化(カプセル化)され得る。メタデータの一例は、ISO IEC 23009-1に準拠したMPDであり得る。さらに、再生レイテンシに対する影響の受けやすさの指標などのメタデータにおける変更は、帯域内イベントを介して送信され得る。このように構成されるので、それぞれメディア番組および影響の受けやすさの指標を配信するために使用される2つの論理(ネットワーク)接続231および232は、必ずしも分離されなくてもよく、したがって、1つの適切な接続だけを使用して、メディア番組および影響の受けやすさの指標の両方を再生デバイス240に配信できる。
【0052】
いくつかの場合において、パッケージ化器230は、例えば、レイテンシが極めて重要であるコンテンツについては短縮されたセグメント期間でメディア番組を符号化し、レイテンシの影響を受けにくいコンテンツについてはより長いセグメント期間に再び切り換えることによって、それぞれのメディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさに応じて、メディア番組に対する符号化モードをさらに調整するように構成され得る。
【0053】
再生デバイス240は、典型的には、受信器、バッファ、プロセッサ、ディスプレイ/モニタ、スピーカなどの1つ以上の適切なコンポーネントを備えること(詳細は後述)が当業者によって理解および認識されるであろう。特に、受信したメディアコンテンツを適切に再生するために、再生デバイス240は、典型的には、特にメディア番組の所望のレイテンシをサポートしながら、その再生チェーン(例えば、アプリケーション、コーデック、バッファなど)をセットアップする必要がある。特に、異なる場合に応じて、セットアップは、レイテンシを低減(または増加)するために再生デバイスにおいてバッファリングされるセグメント(またはフレーム)の数を低減(または増加)することを含み得る。さらに、セットアップは、異なる場合(使用されるトランスポートフォーマットなど)に応じて、特定の(例えば、低レイテンシ)再生モードに切り換えることを含み得る。低レイテンシモードの一例は、ISO/IEC 23000-19に規定されたCommon Media Application Format(CMAF)に基づく、ETSI TS 103 285 V1.3.1に規定された低レイテンシプレゼンテーションであってもよい。
【0054】
図3は、本発明の一実施形態に係るメディアコンテンツを再生するデバイス300の一例を模式的に例示する。デバイス300は、図2の再生デバイス240に対応し得る。配信チャネルによって提供されるメディアコンテンツは、連続したメディア番組を含む図1のメディアコンテンツ100に対応する、または同様のものであり得、それぞれメディア番組に関連付けられたコンテンツタイプを有する。
【0055】
特に、デバイス300は、メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさの指標を受信する受信器301を備え得る。メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさは、メディア番組のコンテンツタイプに関連付けられている。上に例示したように、影響の受けやすさの指標は、デバイス300によって受信される前に、図2のスケジューラ220によってスケジューリングされ、図2の少なくとも1つのパッケージ化器230によってパッケージ化され得る。影響の受けやすさの指標がパッケージ化器側でどのようにパッケージ化(符号化)されたかに応じて、受信器301は、そのような指標を適切にアンパッケージ化(抽出または復号)するようにも構成され得る。例えば、影響の受けやすさの指標がメタデータ(ISO IEC 23009-1に準拠したMPDなど)内に存在する場合、受信器301は、そのようなメタデータから指標を抽出するように構成され得る。いくつかの例において、メタデータは、起動時、配信チャネルへの切り換え時、メディアストリームへの最初のアクセス時、および/または配信チャネル内の新しいメディア番組の開始時に、受信器301によって読まれる構成ファイルとして提供される。
【0056】
デバイス300は、メディア番組の少なくとも一部を受信する受信器302をさらに備え得る。メディア番組の一部は、一般に、例えばメディア番組の表現および/または配信に応じたメディア番組の所定数のフレーム(ピクチャ、ある量のデータなど)を指す。
【0057】
メディア番組の影響の受けやすさの指標(すなわち、目標レイテンシ)を受信する受信器301、および、メディア番組を受信する受信器302は、両方の入力(すなわち、影響の受けやすさの指標およびメディア番組)を受信し、区別することのできる単一の受信器として実装されてもよいことが当業者によって理解されるであろう。言い換えると、メディア番組の影響の受けやすさの指標を受信する受信器301、および、メディア番組を受信する受信器302は、論理的に分離され得るが、必ずしも物理的に分離されているとは限らない。両方の入力は、単一の物理的な受信器によって受信されてもよい。例えば、1つの物理的な受信器がメディア番組の影響の受けやすさの指標およびメディア番組の両方を受信するように機能してもよい。そのような場合、デバイス300は、同じ物理的な受信器において受信され得る異なる入力信号を分離するための適切な機構を備え得る。
【0058】
デバイス300は、メディアコンテンツのメディア番組を再生する再生ユニット310をさらに備え得る。再生ユニット310は、例えば、メディアコンテンツを再生するための所定の適切なアプリケーション(および必要に応じて適切なコーデック)を起動し得ることが当業者によって理解されるであろう。いくつかの場合において、デバイスの再生ユニットは、メディア番組の受信したセグメントを格納し、それにアクセスするためのバッファ315を備え得る。他方、いくつかの場合において、バッファは、例えばオペレーティングシステムによって与えられ、その場合に、再生ユニットは、そのバッファを任意の適切な方式でアクセスおよび利用するように構成され得る。バッファ315は、例えば、メモリ(記憶)ブロックとして、または、任意の他の適切な方式で実装され得ることが当業者によって理解されるであろう。
【0059】
デバイス300は、受信された再生レイテンシに対する影響の受けやすさの指標に基づいて、メディア番組の再生を調整するコントローラ320をさらに備え得る。いくつかの場合において、コントローラ320は、番組データが再生される前に、再生レイテンシに対する影響の受けやすさの指標に基づいて、バッファリングされる番組データの量を調整するように構成され得る。特に、再生デバイス300における変更は、非同期な形態で行うことができる。すなわち、再生(例えば、デバイス300のプレーヤアプリケーション上での再生)は、レイテンシの影響を受けやすい番組の開始の前または後でより低いレイテンシに(例えば、コントローラ320によって)切り換えられ得る。いずれの場合においても、再生は、より高いレイテンシ再生からより低いレイテンシ再生へ追い上げるか、または、そのレイテンシを増加させるかのいずれかを行う必要がある。コントローラ320は、目標レイテンシにおける望ましくない大きな飛び上がりを回避するために、現在の目標レイテンシと新たに受信された目標レイテンシとの間を補間するためのプレイアウト調整アルゴリズムを備え得る。
【0060】
いくつかの場合において、デバイス300は、追加のメディアコンテンツを挿入するか、または、メディアコンテンツを除去するように、受信されたメディア番組のコンテンツを調整するように構成されたメディアコンテンツ変更器330をさらに備えてもよい。特に、メディアコンテンツ変更器330は、現在のメディア番組に追加のコンテンツ(例えば、フレームまたはセグメント単位)を挿入/追加するように構成され得る。追加のコンテンツは、例えば、「サイレント」(空)セグメントまたは繰り返しセグメントであり得る。例えば、追加のコンテンツの挿入は、現在のメディア番組が前のメディア番組に対してより大きなレイテンシを許容する場合、または、後のメディア番組が現在のメディア番組に対してより大きなレイテンシを許容する場合に行われ得る。いくつかの他の例において、メディアコンテンツ変更器330は、所定のコンテンツ(またはその一部)をスキップまたは除去するように構成され得る。例えば、これは、現在のメディア番組が前のメディア番組に対してより小さいレイテンシを必要とするか、または、後のメディア番組が現在のメディア番組に対してより小さいレイテンシを必要とする場合に行われ得る。しかし、いくつかの場合において、そのようにコンテンツを追加または除去する変更は、視聴者によって気づかれ得るので、より望ましくないと考えられることがある。
【0061】
代替または追加の方法として、コントローラ320(または、デバイス300の他のいずれかのコンポーネント)は、レイテンシを追い上げるか、または、増加するかのいずれかを行うために、再生速度をリアルタイムよりも速くするか、または、遅くするように制御するように構成され得る。例えば、再生ユニット310は、再生速度を変更することができるアルゴリズムを含み得る。このアルゴリズムは、音声用のピッチ補正と組み合わされることが多い。典型的には、再生速度の変更は、音声信号のピッチを変更することなく行われるべきである。一般的に、速度再生における10%~20%の差異は、通常は、視聴者に気づかれない/不快とならないと考えられる。したがって、より高いレイテンシ(例えば、25秒)からより低いレイテンシ(例えば、2秒)へ移る遷移期間は、約230秒間(およそ4分間)再生を速める(例えば、10%だけ)必要があり得る。そのような場合においてこれは、短い期間の番組(例えば、広告)については、遷移期間が実際のコンテンツよりも長いので、レイテンシを変更する可能性がより少ないことを意味する。
【0062】
さらに、特に、小さいセグメントから大きいセグメントへの切り換え(低レイテンシから高レイテンシへの切り換え)時に、再バッファリングイベント(例えば、復号のためのデータが欠落したためにプレーヤが再生を中断する必要がある場合など)を防止するために、デバイス300は、予めそのような変更を通知されるべきである。例えば、ISO/IEC 23009-1において定義された帯域内イベントを、そのような信号送信に使用することができる。また、上記のように、同じまたは異なる帯域内イベントを使用して、レイテンシに対する影響の受けやすさの変更をプレーヤに通知することができる。また、例えば、帯域内イベントを使用して、MPDにおける変更を送信してもよい。そのような帯域内イベントを受信した場合、プレーヤは、再生レイテンシに対する影響の受けやすさにおける変更などの番組メタデータにおける変更を決定するためにMPDに再度アクセスし得る。
【0063】
なお、図3において、簡潔のために、デバイス300内の各ユニット/コンポーネント間の配線は省略している。しかし、デバイス300内のユニット/コンポーネント間で(内部の)メッセージを送受信するためのそのような配線をデバイス300が必要に応じて備え/提供し得ることが当業者によって理解および認識されるであろう。また、デバイス300を正常に動作させるために、デバイス300内に他のユニット/コンポーネントも存在し得るが、それらは図3に図示されていないこともある。そのようなユニット/コンポーネントは、例えば、再生された番組を表示するためのディスプレイ/モニタ、音声を出力するための1つ以上のスピーカなどを含み得るが、これらに限定されない。
【0064】
図4は、本発明の一実施形態に係るメディアコンテンツを再生する方法400の一例を模式的に例示する。方法400は、例えば、図3の再生デバイス300によって行われ得る。メディアコンテンツは、連続したメディア番組およびそのメディア番組に関連付けられたそれぞれのコンテンツタイプを含む図1のメディアコンテンツ100に対応する、または同様のものであり得る。
【0065】
特に、方法400は、メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさの指標を受信するステップS410を含み得る。特に、メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさは、メディア番組のコンテンツタイプに関連付けられている。方法400は、メディア番組の少なくとも一部を受信するステップS420をさらに含み得る。最後に、方法400は、メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさの指標に基づいて、メディア番組の再生を調整するステップS430も含み得る。
【0066】
なお、上記の装置(デバイス)の特徴は、それぞれ方法の特徴に対応するが、簡潔のために、方法の特徴は、明示的に記載しない場合がある。本文書の開示は、そのような方法の特徴にも拡張されると考えられる。特に、本開示は、上記のデバイスを動作させる方法、および/または、これらのデバイスのそれぞれの要素を提供および/または配置することに関すると理解される。
【0067】
また、上記開示の実施形態は、ハードウェアおよび/またはソフトウェア構成を使用して多くの方式で実装できる。例えば、上記開示の実施形態は、専用のハードウェア、および/または、ハードウェア上で実行可能なソフトウェアと連携させたそのハードウェアを使用することによって実装され得る。図におけるコンポーネントおよび/または要素は、単なる例であり、本開示の特定の実施形態を実装する、任意のハードウェア、ハードウェアと組み合わせたソフトウェア、ファームウェア、埋め込み論理コンポーネント、または2つ以上のそのようなコンポーネントの組み合わせの使用または機能の範囲を限定しない。
【0068】
さらに、本明細書および図面は、本開示の原理の例示にすぎない。当業者は、本発明の原理を実現し、本発明の趣旨および範囲に含まれる種々の構成を、本明細書において明示的に記載または図示されていなくても、実装できるであろう。さらに、本開示に概説されたすべての例および実施形態は、主に、提案された方法の原理を読者が理解することを手助けするような説明を目的とするだけであることが明白に意図される。さらに、本発明の原理、側面、および実施形態ならびにそれらの具体的な例を提供する本明細書におけるすべての文言は、それらの均等物を包含することが意図される。
【0069】
本発明の様々な側面は、以下の列挙実施形態例(enumerated example embodiment:EEE)から理解され得る。
1.配信チャネルを介したメディアコンテンツの再生のための方法であって、前記メディアコンテンツは、それぞれのコンテンツタイプを有する連続したメディア番組を含み、
メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさの指標を受信するステップであって、メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさは、前記メディア番組のコンテンツタイプに関連付けられているステップと、
前記メディア番組の少なくとも一部を受信するステップと、
前記メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさの指標に基づいて、前記メディア番組の再生を調整するステップと、
を含む方法。
2.前記メディア番組の再生を調整するステップは、前記メディア番組のバッファリングを調整するステップ、特にメディア番組データが再生される前に、バッファリングされる前記メディア番組データの量を調整するステップを含む、EEE1の方法。
3.メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさの前記指標は、前記メディア番組データが再生される前に許容されるレイテンシの定性的指標を含む、EEE1または2の方法。
4.前記メディア番組の再生を調整するステップは、前記メディア番組のための再生速度を調整するステップを含む、いずれかの先行するEEEの方法。
5.前記メディア番組の再生を調整するステップは、前記メディア番組についての再生レイテンシに対する影響の受けやすさの前記指標が前記配信チャネルの前または後のメディア番組に対して変化する場合に、前記受信されたメディア番組のコンテンツを変更するステップを含む、いずれかの先行するEEEの方法。
6.前記現在のメディア番組が前記前のメディア番組に対してより大きいレイテンシを許容する場合、または、前記後のメディア番組が前記現在のメディア番組に対してより大きいレイテンシを許容する場合に、追加のコンテンツが前記現在のメディア番組に挿入される、EEE5の方法。
7.前記現在のメディア番組が前記前のメディア番組に対してより小さいレイテンシを必要とするか、または、前記後のメディア番組が前記現在のメディア番組に対してより小さいレイテンシを必要とする場合に、前記現在のメディア番組においてコンテンツがスキップされる、EEE5の方法。
8.メディア番組は、複数の連続したセグメントを含み、前記メディア番組の再生を調整するステップは、前記メディア番組データが再生される前に、バッファリングされるセグメントの数を調整するステップであって、必要に応じて前記メディア番組の少なくとも1つのセグメントがスキップされるか、または、繰り返される、ステップを含む、EEE6または7の方法。
9.前記メディア番組の再生を調整するステップは、再生デバイスのメディアプレーヤにおいて前記メディア番組に対して再生モードを切り換えるステップを含む、いずれかの先行するEEEの方法。
10.メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさの別の指標が受信され、前記メディア番組の再生は、前記受信された指標に基づいて徐々に調整される、いずれかの先行するEEEの方法。
11.メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさの前記指標は、前記配信チャネルを介した配信のための前記連続したメディア番組のためのスケジューラによって生成され、必要に応じて前記メディア番組のメタデータに付加される、いずれかの先行するEEEの方法。
12.前記メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさに応じて、前記メディア番組に対して符号化モードを調整するステップをさらに含む、いずれかの先行するEEEの方法。
13.メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさの変更の指標は、例えば、ISO IEC 23009-1に準拠して、帯域内イベントを介して送信される、いずれかの先行するEEEの方法。
14.メディア番組についての再生レイテンシに対する影響の受けやすさは、前記メディア番組の開始の前に送信される、EEE13の方法。
15.前記メディア番組の再生を調整するステップは、前記メディア番組の開始に対して非同期であり、必要に応じて前記前のメディア番組の再生を調整するステップを含む、EEE14の方法。
16.配信チャネルを介したメディアコンテンツの再生のためのデバイスであって、前記メディアコンテンツは、それぞれのコンテンツタイプを有する連続したメディア番組を含み、
メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさの指標を受信する受信器であって、メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさは、前記メディア番組のコンテンツタイプに関連付けられている、受信器と、
前記メディア番組の少なくとも一部を受信する受信器と、
前記メディアコンテンツを再生する再生ユニットと、
前記受信されたメディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさの指標に基づいて、前記メディア番組の再生を調整するコントローラと、
を備えるデバイス。
17.前記再生ユニットは、前記メディア番組の受信されたセグメントのためのバッファを備え、前記コントローラは、前記再生レイテンシに対する影響の受けやすさの指標に基づいて、前記番組データが再生される前に、バッファリングされる番組データの量を調整する、EEE16のデバイス。
18.追加のメディアコンテンツを挿入するか、または、メディアコンテンツを除去するように、前記受信されたメディア番組のコンテンツを調整するメディアコンテンツ変更器をさらに備える、EEE16または17のデバイス。
19.メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさの指標を受け取る前記受信器は、前記メディア番組のメタデータを復号すること、および、帯域内イベントを受信することの少なくとも一方を行うように構成される、EEE16~18のいずれかのデバイス。
20.配信チャネルを介したメディアコンテンツの配信のためのシステムであって、前記メディアコンテンツは、それぞれのコンテンツタイプを有する連続したメディア番組を含み、
前記配信チャネルを介した連続配信のために、前記メディア番組をスケジューリングするスケジューラと、
前記メディア番組を連続したメディアストリーム内にパッケージ化する少なくとも1つのパッケージ化器であって、前記パッケージ化器は、前記メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさの指標を前記メディアストリームに付加するように構成され、メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさは、前記メディア番組のコンテンツタイプに関連付けられている、パッケージ化器と、
を備えるシステム。
21.前記パッケージ化器は、前記メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさに応じて、前記メディア番組に対して符号化モードを調整するように構成される、EEE20のシステム。
22.前記パッケージ化器は、前記メディア番組の再生レイテンシに対する影響の受けやすさの前記指標を前記メディア番組のメタデータ内にパッケージ化すること、および、再生レイテンシにおける変更を帯域内イベントを介して送信することの少なくとも一方を行うように構成される、EEE20または21のシステム。
図1
図2
図3
図4