IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オートネットワーク技術研究所の特許一覧 ▶ 住友電装株式会社の特許一覧 ▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧 ▶ 住友電工プリントサーキット株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-センサユニット 図1
  • 特許-センサユニット 図2
  • 特許-センサユニット 図3
  • 特許-センサユニット 図4
  • 特許-センサユニット 図5
  • 特許-センサユニット 図6
  • 特許-センサユニット 図7
  • 特許-センサユニット 図8
  • 特許-センサユニット 図9
  • 特許-センサユニット 図10
  • 特許-センサユニット 図11
  • 特許-センサユニット 図12
  • 特許-センサユニット 図13
  • 特許-センサユニット 図14
  • 特許-センサユニット 図15
  • 特許-センサユニット 図16
  • 特許-センサユニット 図17
  • 特許-センサユニット 図18
  • 特許-センサユニット 図19
  • 特許-センサユニット 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】センサユニット
(51)【国際特許分類】
   G01K 1/14 20210101AFI20231024BHJP
   G01K 1/16 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
G01K1/14 E
G01K1/16
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022080610
(22)【出願日】2022-05-17
(62)【分割の表示】P 2020193160の分割
【原出願日】2017-10-12
(65)【公開番号】P2022103290
(43)【公開日】2022-07-07
【審査請求日】2022-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500400216
【氏名又は名称】住友電工プリントサーキット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 慎一
(72)【発明者】
【氏名】内田 淑文
(72)【発明者】
【氏名】津曲 隆行
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-78851(JP,A)
【文献】実公昭58-54690(JP,Y2)
【文献】特開平8-68699(JP,A)
【文献】特開平8-240487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00 ー 19/00
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検出体に設けられた収容部内に取り付けられるセンサユニットであって、
導電路が形成された可撓性を有する帯状の導電路構成体と、
前記導電路構成体の表面において前記導電路に接続されたセンサ素子と、
前記導電路構成体において前記センサ素子が設けられた部分の裏面に接着剤を介して取り付けられるとともに、前記被検出体と接触する板材と、
前記導電路構成体の表面に配され、前記収容部に弾性圧縮されることにより、弾発力によって前記導電路構成体の裏面側の部分と前記板材とを前記被検出体に向けて押し付ける弾性部材と、を備え、
前記板材のうち前記接着剤を介して前記導電路構成体に取り付けられる面から前記被検出体と接触する面までは、一部材によって構成されており、
前記弾性部材は、前記収容部内に対して水平方向に挿入されるようになっており、
前記弾性部材は、前記水平方向にのびる平面を有し、
前記センサ素子と前記弾性部材の間に樹脂を流し込んで硬化させたモールド部を備える、センサユニット。
【請求項2】
前記収容部は、前記弾性部材を上方から覆う部材である、請求項1に記載のセンサユニット。
【請求項3】
前記収容部は、箱形状の部材である、請求項1または請求項2に記載のセンサユニット。
【請求項4】
前記弾性部材は、前記センサ素子を収容する凹状のセンサ収容部を有する、請求項1または請求項2に記載のセンサユニット。
【請求項5】
前記弾性部材は、コーティングされた弾性部材である、請求項1または請求項2に記載のセンサユニット。
【請求項6】
前記センサ素子は、樹脂によって覆われたセンサ素子である、請求項1または請求項2に記載のセンサユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、センサユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、温度センサを有するバッテリ装置として、特開2003-229110号公報(下記特許文献1)に記載のものが知られている。このバッテリ装置の温度センサは、ケースに固定される温度検出プレートに固定されており、温度センサを、ケース内に収容された二次電池の表面に接近させることで二次電池の温度を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-229110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の装置は、温度検出プレートと二次電池との間の寸法公差などにより、温度センサと二次電池との間隔にばらつきが生じやすい。このため、温度センサが二次電池に近接せずに温度が検出できなくなったり、温度検出プレートと二次電池との間で温度センサが押し潰されたりする虞がある。
【0005】
本明細書では、検出対象に対してセンサを適切な圧力によって接触させることでセンサの検出精度が低下することを抑制する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示されるセンサユニットは、被検出体に設けられた収容部内に取り付けられるセンサユニットであって、導電路が形成された可撓性を有する帯状の導電路構成体と、前記導電路構成体の表面において前記導電路に接続されたセンサ素子と、前記導電路構成体の表面に弾性変形可能に設けられ、前記収容部内において弾性圧縮されることにより、弾発力によって前記導電路構成体の裏面側の部分を前記被検出体に向けて押し付ける弾性部材とを備える構成とした。
【0007】
このような構成のセンサユニットによると、センサ素子が接続された導電路構成体の裏面側の部分を、弾性部材の弾発力によって、被検出体に向けて押し付ける。これにより、導電路構成体の裏面側の部分が被検出体から浮き上がることを抑制し、被検出体に対してセンサ素子を近接した状態に配置することができるから、被検出体に対するセンサ素子の検出精度が低下することを抑制することができる。また、導電路構成体の裏面側の部分と被検出体との間隔が寸法公差などによって狭くなっていたとしても、押付部材が弾性圧縮されることになるから、センサ素子が押し潰されて破損することを抑制することができる。
【0008】
本明細書によって開示されるセンサユニットは、以下の構成としてもよい。
前記弾性部材は、前記センサ素子が接続された前記導電路構成体と共に弾性圧縮した状態で前記収容部内に挿入されて前記被検出体に組み付けられる構成としてもよい。
【0009】
このような構成によると、収容部内に弾性部材を弾性圧縮させて挿入することで、弾性部材の弾発力によって導電路構成体の裏側の部分を被検出体に向けて適切な圧力によって接触させ、センサユニットを被検出体に取り付けることができる。
【0010】
前記センサ素子は、前記被検出体の温度を検出する温度センサであり、前記導電路構成体の裏面には、板材が取り付けられている構成としてもよい。
このような構成によると、センサ素子が接続された導電路構成体を収容部内に挿入する際に、導電路構成体が擦れて損傷することを防ぐことができる。また、導電路構成体が板材によって補強されているから、センサ素子を導電路に接続する作業性を向上させることができる。
【0011】
前記板材は、熱伝導性の高い金属板材である構成にしてもよい。
このような構成によると、板材が被検出体の熱を集める集熱効果を発揮することで、センサ素子によって被検出体の温度を安定的に検出することができる。
【0012】
前記センサ素子は、前記弾性部材によって覆われている構成にしてもよい。
このような構成によると、センサ素子が他の部材に接触するなどして損傷することを防ぐことができる。
【0013】
前記弾性部材は、前記導電路構成体における前記センサ素子の周囲に近接して配置されている構成にしてもよい。
【0014】
このような構成によると、弾性部材がセンサ素子の周囲に近接して配されているから、例えば、弾性部材がセンサ素子から離れた部分に配されている場合に比べて、センサ素子が接続された導電路構成体の裏面側の部分を、被検出体に対して適切な圧力によって確実に接触させることができる。
【0015】
前記弾性部材と前記センサ素子との間には、前記センサ素子を覆う樹脂製のモールド部が設けられている構成としてもよい。
このような構成によると、モールド部によってセンサ素子を他の部材から保護することができる。
【0016】
前記弾性部材における前記導電路構成体とは反対側の位置には、前記センサ素子と共に前記弾性部材全体を覆う蓋体が取り付けられている構成としてもよい。
【0017】
このような構成によると、センサユニットを収容部内に挿入する際に、蓋体によってセンサ素子を他の部材から保護することができる。また、弾性部材が収容部内に収容されると、蓋体によって弾性部材全体が均一に弾性圧縮されるから、センサ素子が接続された導電路構成体の裏面側の部分を、被検出体に対して均一に接触させることができる。
【0018】
前記蓋体は、前記導電路構成体に密着する本体部と、前記本体部における前記収容部への挿入方向前端の位置に前記導電路構成体側に向けて傾斜して延びる誘い込み部とを備えている構成とした。
【0019】
このような構成によると、弾性部材を収容部に挿入する際に、誘い込み部によって弾性部材が滑らかに収容部内に案内されるから、センサユニットの取付作業性を向上させることができる。
【0020】
前記導電路構成体は、前記弾性部材が設けられた位置から屈曲可能に延出された屈曲部を有しており、前記導電路構成体の表面には、前記弾性部材に積層して配置される第2弾性部材が前記屈曲部を介して設けられている構成としてもよい。
【0021】
このような構成によると、屈曲部を屈曲させて第2弾性部材を弾性部材に積層して配置することで、第2弾性部材によってセンサ素子を他の部材から保護することができる。つまり、第2弾性部材を別部品とする場合に比べて、部品点数を削減できるので、部品管理性や組付作業性を向上させることができる。
【0022】
前記導電路構成体において前記第2弾性部材が設けられた部分の裏面には、保護板が取り付けられている構成としてもよい。
このような構成によると、弾性部材に積層して配置された第2弾性部材を収容部内に挿入する際に、導電路構成体が擦れて損傷することを防ぐことができる。
【0023】
前記収容部は、前記センサユニットが挿入される開口部を有しており、前記開口部には、前記センサユニットが前記収容部内における正規の位置に至った際に、前記弾性部材と前記弾性部材の挿抜方向に係止する抜止部が設けられている構成としてもよい。
このような構成によると、被検出体の収容部からセンサユニットが脱落することを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0024】
本明細書によって開示される技術によれば、検出対象に対してセンサを適切な圧力によって接触させることでセンサの検出精度が低下することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施形態1に係る温度センサユニットが機器の収容部に取り付けられた状態を示す斜視図
図2】温度センサユニットが収容部に取り付けられた状態を示す断面図
図3】温度センサユニットを収容部に取り付ける前の状態を示す断面図
図4】温度センサユニットの弾性部材に保護板を取り付ける前の状態を示す斜視図
図5】実施形態2に係る温度センサユニットが機器の収容部に取り付けられた状態を示す断面図
図6】温度センサが固定されたFPCに弾性部材を取り付ける前の状態を示す断面図
図7】実施形態3に係る温度センサユニットの斜視図
図8】温度センサユニットを収容部に取り付ける前の状態を示す断面図
図9】温度センサユニットが機器の収容部に取り付けられた状態を示す断面図
図10】実施形態4に係る温度センサユニットの斜視図
図11】温度センサユニットが機器の収容部に取り付けられた状態を示す断面図
図12】温度センサユニットの屈曲部を屈曲させる前の状態を示す斜視図
図13】温度センサユニットの屈曲部を屈曲させる前の状態を示す平面図
図14】実施形態5に係る温度センサユニットの断面図
図15】温度センサが固定されたFPCに弾性部材を取り付ける前の状態を示す断面図
図16】実施形態6に係る温度センサユニットの断面図
図17】他の実施形態に係る温度センサユニットの断面図
図18】FPCに固定された弾性部材に保護板を取り付ける前の状態を示す平面図
図19】他の実施形態に係る温度センサユニットの断面図
図20】FPCに固定された弾性部材に保護板を取り付ける前の状態を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
<実施形態1>
本明細書に開示された技術における実施形態1について図1から図4を参照して説明する。
【0027】
本実施形態は、産業用プリンタや産業用ロボットなどに搭載される機器10に装着されるセンサユニット20を示している。
【0028】
機器10は、機器10の外面である上面12Aにセンサユニット20を収容する収容部14を有している。
【0029】
収容部14は、図2および図3に示すように、収容部14の一側面である後面14Aに開口部15を有する扁平な箱形のフード状に形成されている。収容部14の開口部15は、機器10の上面12Aを含むようにして横長な略矩形状に形成されており、この開口部15からセンサユニット20を収容部14の内部空間16に収容するようになっている。
【0030】
また、収容部14の開口部15における上縁には、下方に向かって突出するユニット係止部(「抜止部」の一例)17が設けられている。ユニット係止部17は、丸みを帯びた形態とされており、開口部15の全幅に亘って形成されている。
【0031】
センサユニット20は、図2から図5に示すように、帯状をなすフレキシブルプリント基板(以下、「FPC」とも言う)(「導電路構成体」の一例)30と、FPC30の一端部(図3の図示左端部)である前端部31に接続される温度センサ(「センサ素子」の一例)40と、温度センサ40の周囲に近接して配される弾性部材50と、FPC30に取り付けられる第1板材(「板材」の一例)60と、弾性部材50に取り付けられる第2板材(「蓋体」の一例)70とを備えて構成されている。
【0032】
FPC30は、銅箔からなる前後方向に延びる一対の検出線(「導電路」の一例)33を、一対の検出線33よりも幅広な帯状の絶縁性フィルム35で被覆して形成されている。FPC30の前端部31の上面である表面30Aには、一対の検出線33が露出した一対の接続部37が設けられている。一対の接続部37は、絶縁性フィルム35を除去することにより形成されている。
【0033】
一方、FPC30の後端部(図示省略)における一対の検出線33には、機器10を制御する図示しない制御ユニットが接続されている。
【0034】
温度センサ40は、図3から図5に示すように、略方形状をなすセンサ本体41と、センサ本体41の長辺方向の両端部に設けられた一対のリード部42とを有している。一対のリード部42は、センサ本体41の下面41Aから互いに離れる方向に突出した形態をなしている。温度センサ40は、一対のリード部42をFPC30における一対の接続部37に半田などで接続することにより、一対の検出線33に電気的に接続されている。これにより、温度センサ40からの検出信号がFPC30の一対の検出線33を通じて制御ユニットに入力される。
【0035】
また、センサ本体41は、一対のリード部42が一対の接続部37に接続されると、FPC30の表面30Aの直上に配置されるようになっている。
【0036】
弾性部材50は、例えば、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、ゴム材、または、これらの発泡樹脂および発泡ゴムなど、弾性を有する柔らかい弾性材からなる。弾性部材50は、図3から図5に示すように、FPC30の幅寸法とほぼ同じ寸法の平面視略矩形の枠状をなしている。弾性部材50は、温度センサ40の側方を全周に亘って囲むように温度センサ40に近接して配されており、弾性部材50は、FPC30の前端部31の表面30A上に、例えば、公知の接着剤などによって接着されている。
【0037】
弾性部材50の高さ寸法(図4における上下方向の寸法)H50は、収容部14の内部空間16の高さ寸法H16および温度センサ40の高さ寸法よりも大きく設定されており、センサユニット20を収容部14に対して取り付けると、弾性部材50は、収容部14の内部空間16内において高さ方向に圧縮された状態で収容部14内に完全に収容される。また、弾性部材50は、収容部14内において弾性圧縮された状態においても、その高さ寸法が温度センサ40の高さ寸法よりも大きくなるように設定されている。
【0038】
詳細には、センサユニット20を収容部14に対して取り付ける際には、弾性部材50を高さ方向に押し潰すようにして弾性変形させる。そして、弾性部材50を弾性変形させた状態で、収容部14の開口部15から収容部14の内部空間16内に挿入する。センサユニット20が収容部14の奥部14Bに至った正規の位置まで挿入されると、弾性部材50が開口部15におけるユニット係止部17を乗り越えてユニット係止部17よりも収容部14の奥部14B側に配置された状態となる。
【0039】
ここで、弾性部材50は、ユニット係止部17を乗り越えることで高さ方向にやや弾性復帰するものの、完全に弾性復帰した状態には至らず、高さ方向に圧縮された状態で、収容部14内に収容されるようになっている。つまり、弾性部材50の弾発力によって、FPC30および第1板材60を機器10側に押圧し、温度センサ40をFPC30および第1板材60を介して機器10に接触させることができるようになっている。
【0040】
また、弾性部材50が収容部14内に収容されると、弾性部材50とユニット係止部17とがセンサユニット20の挿抜方向である前後方向に係止可能となり、センサユニット20の収容部14からの抜け止めが図られるようになっている。
【0041】
第1板材60は、FPC30の前端部31の下面である裏面30Bに取り付けられている。第1板材60は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金などの伝熱性に優れた金属板材とされている。第1板材60の幅寸法は、FPC30の幅寸法とほぼ同じ寸法に設定されている。また、第1板材60の前後方向の長さ寸法は、弾性部材50の前後方向の長さ寸法とほぼ同じに設定されており、第1板材60は、FPC30を挟んで弾性部材50が配置された位置の真裏に、例えば、公知の接着剤などによって接着されている。
【0042】
つまり、第1板材60は、弾性部材50の外径寸法とほぼ同じ大きさに設定されており、弾性部材50が配される部分のFPC30は、第1板材60によって補強されている。また、第1板材60の下面61は、滑りをよくするために、摩擦係数が小さくなるように滑らかに加工されている。
【0043】
第2板材70は、第1板材60とほぼ同じ大きさの平板状に形成されている。第2板材70は、温度センサ40および弾性部材50の上面50A全体を外方(上方)から覆うようにして弾性部材50の上面50Aに、例えば、公知の接着剤などによって接着されている。これにより、温度センサ40や弾性部材50が他の部材に接触するなどして、破損することを抑制することができるようになっている。また、第2板材70は、例えば、合成樹脂などからなる樹脂板とされており、第2板材70の上面71は、弾性部材50の上面50Aにおける摩擦係数よりも小さくなるように滑らかに加工されている。なお、第2板材70は、上面50Aの摩擦係数が、弾性部材50の上面50Aにおける摩擦係数よりも小さくなるように加工されていればよく、金属板材によって構成されてもよい。
【0044】
本実施形態は、以上のような構成であって、続いて、センサユニット20の作用および効果について説明する。
【0045】
センサユニット20を収容部14の内部空間16内に収容する際には、まず、センサユニット20を機器10の上面12Aに配置し、第2板材70を上方から押圧する。ここで、第2板材70が上方から押圧されると、第2板材70が弾性部材50の上面全体を覆っているから、弾性部材50全体が高さ方向に均一に弾性圧縮される。
【0046】
次に、弾性部材50が圧縮された状態のセンサユニット20を収容部14内に挿入する。ここで、センサユニット20を収容部14内に挿入する際には、機器10の上面12Aに対してセンサユニット20を摺動させることになる。
ところが、センサユニット20の裏面には、第1板材60が取り付けられているから、センサユニット20が機器10の上面12Aを摺動することによってFPC30が損傷することを防ぐと共に、センサユニット20を第1板材60によって滑らかに摺動させることができるようになっている。
【0047】
また、センサユニット20を収容部14内に挿入する際には、収容部14の開口部15におけるユニット係止部17と第2板材70とが摺動することになるものの、第2板材70の上面71は、弾性部材50の上面50Aにおける摩擦係数よりも小さくなるように加工されているから、センサユニット20を収容部14内に滑らかに挿入させることができるようになっている。
【0048】
そして、センサユニット20が収容部14内における正規の位置まで挿入されると、弾性部材50が開口部15におけるユニット係止部17を乗り越えてユニット係止部17よりも収容部14の奥部14B側に配置された状態となる。ここで、弾性部材50は、ユニット係止部17を乗り越えることでやや弾性復帰するものの、完全に弾性復帰した状態には至らず、高さ方向に圧縮された状態で、収容部14内に収容される。
【0049】
したがって、弾性部材50は、収容部14内において弾性圧縮されることにより、弾発力によってFPC30および第1板材60を機器10側に向けて押し付ける。つまり、センサユニット20を収容部14内に挿入するだけで、弾性部材50の弾発力によって、センサユニット20を収容部14内に保持することができる。また、弾性部材50の弾発力によって、製造公差や組付公差などの寸法公差によるセンサユニット20の収容部14内における浮き上がりを防止し、機器10の温度を、FPC30および第1板材60を介して温度センサ40に伝えることができる。これにより、温度センサ40の検出精度が低下することを抑制することができる。
【0050】
さらに、弾性部材50は、温度センサ40を全周に亘って囲むように近接して配されており、FPC30の裏面30Bには、平板状の第1板材60が取り付けられているから、例えば、弾性部材が、弾性部材が温度センサの一側方にのみ離れて配されていたり、平板状の第1板材が取り付けられていない場合に比べて、機器10に対して温度センサ40の一部が浮き上がった状態になることを抑制し、温度センサ40の検出精度が低下することをさらに抑制することができる。
【0051】
したがって、例えば、センサユニットを収容部内に保持するための保持構造と、センサユニットの収容部内における浮き上がりを防止するための浮き上がり防止構造とをそれぞれ設ける場合に比べて、センサユニット220の構成を簡素化することができる。
【0052】
なお、センサユニット20は、弾性部材50が高さ方向に圧縮されることで収容部14内に保持される構成となっているものの、弾性部材50とユニット係止部17とがセンサユニット20の挿抜方向である前後方向に係止することで、センサユニット20の収容部14からの抜け止めが図られている。
【0053】
また、仮に、収容部の内部空間の高さ寸法が寸法公差などによって狭くなっていたとしても、弾性圧縮された状態における弾性部材50の高さ寸法は、温度センサ40の高さ寸法よりも大きくなるように設定されているから、温度センサ40が押し潰されて破損することを抑制することができる。
【0054】
ところで、温度センサ40は、弾性部材50がFPC30および第1板材60を機器10側に押し付けることで、温度センサ40がFPC30および第1板材60を介して接触する構成となっているものの、例えば、第1板材の熱伝導度が低かったり、第1板材の下面に凹凸などがある場合には、機器10の温度を温度センサ40に対して安定して伝えることができなくなってしまう。
【0055】
ところが、本実施形態の第1板材60は、熱伝導性に優れた平板状の金属板材によって構成されているから、機器10の温度を集熱して温度センサ40に伝えることができる。これにより、温度センサ40によって機器10の温度を安定的に検出し、温度センサ40の検出精度を向上させることができる。
【0056】
また、第1板材60は、FPC30を補強しているから、FPC30の一対の接続部37に対して温度センサ40の一対のリード部42を接続する際に、接続作業性を向上させることができる。
【0057】
以上のように、本実施形態によると、FPC30の前端部31における表面30Aに弾性変形可能な弾性部材50を取り付け、収容部14内において弾性部材50の弾発力によってFPC30および第1板材60を押し付ける。これにより、温度センサ40をFPC30および第1板材60を介して機器10に接触させることができる。したがって、温度センサ40が製造公差や組付公差などによって機器10から浮き上がることを抑制することができる。この結果、温度センサ40の検出精度が低下することを抑制することができる。
【0058】
また、弾性部材50をFPC30に貼り付けるなどして取り付けるだけだから、例えば、FPC上に取付座を設けて、取付座に浮き上がりを防止するための付勢部材などを設ける場合に比べて、センサユニット220の構成を簡略化することができる。ひいては、センサユニット220の小型化および部品点数の削減を図ることができる。
【0059】
<実施形態2>
次に、実施形態2について図5および図6を参照して説明する。
実施形態2は、実施形態1におけるセンサユニット20の第2板材70を省くと共に、弾性部材50の形状を変更したものであって、実施形態1と共通する構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、実施形態1と同じ構成については同一の符号を用いるものとする。
【0060】
実施形態2におけるセンサユニット120の弾性部材150は、略方形のブロック状をなしており、弾性部材150の下端部中央には、温度センサ40を収容するセンサ収容部151が凹状に凹んで設けられている。
【0061】
弾性部材150は、センサ収容部151内に温度センサ40を上方から収容するようにしてFPC30に取り付けられている。そして、弾性部材150がFPC30に取り付けられた状態では、弾性部材150によって温度センサ40およびFPC30の前端部31全体が弾性部材150によって覆われている。
【0062】
また、弾性部材150の上面150Aは、滑りをよくするために、摩擦係数が小さくなるように滑らかに加工されている。
すなわち、本実施形態によると、FPC30および温度センサ40を保護しつつ、センサユニット220の部品点数をさらに削減することができる。
【0063】
<実施形態3>
次に、実施形態3について図7から図9を参照して説明する。
実施形態3は、実施形態1におけるセンサユニット20の第2板材70の形状を変更すると共に、収容部14の奥行き寸法をやや大きくしたものであって、実施形態1と共通する構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、実施形態1と同じ構成については同一の符号を用いるものとする。
【0064】
実施形態3のセンサユニット220における第2板材270は、弾性部材50の上面50Aに取り付けられる本体部271と、本体部271から傾斜して延出される誘い込み部272とを備えて構成されている。
【0065】
本体部271は、弾性部材50の上面50A全体を覆う略方形の平板状をなしている。
誘い込み部272は、本体部271において収容部14に対して挿入する側である前側縁から前方に向かうほどFPC30が配される下側に向けて傾斜して延びる幅広な平板状に形成されており、本体部271の全幅に亘って形成されている。
【0066】
したがって、収容部14の開口部15からセンサユニット220を収容部内に挿入する場合には、センサユニット220を収容部14の開口部15に向けてスライドさせると、収容部14のユニット係止部17にセンサユニット220の第2板材270における誘い込み部272が当接する。
【0067】
なお、本実施形態の場合、センサユニット220を収容部14の開口部15に向けてスライドさせるときには、弾性部材50を圧縮しなくてもよく、第2板材70を押圧して弾性部材50を圧縮してもよい。
【0068】
そして、さらに、そのままセンサユニット220を収容部14内に向けて挿入すると、誘い込み部272がユニット係止部17によって押圧されて弾性部材50が圧縮される。また、これと同時に、センサユニット220が収容部14内に案内される。
【0069】
つまり、センサユニット220を収容部14内に挿入する際に、誘い込み部272によってセンサユニット220を収容部14内に滑らかに案内することができるようになっている。
【0070】
<実施形態4>
次に、実施形態4について図10から図13を参照して説明する。
実施形態4は、実施形態1におけるセンサユニット20を変更したものであって、実施形態1と共通する構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、実施形態1と同じ構成については同一の符号を用いるものとする。
【0071】
実施形態4のセンサユニット320は、図12に示すように、FPC330と、FPC330に接続される温度センサ40と、温度センサ40の周囲に近接して配される弾性部材350と、FPC330に取り付けられる第1板材60と、FPC330に取り付けられる第2板材(「保護板」の一例)70とを備えて構成されている。
【0072】
温度センサ40は、FPC330の前端部からやや後方の位置に取り付けられている。
弾性部材350は、実施形態1における弾性部材50の高さ寸法を約半分にした2つの分割弾性部材351からなり、分割弾性部材351を高さ方向に2枚積層して構成されるようになっている。
【0073】
分割弾性部材351の1枚は、温度センサ40の側方を全周に亘って囲むように温度センサ40に近接して配される第1分割弾性部材(「弾性部材」の一例)351Lとされており、第1分割弾性部材351Lは、FPC330の表面330A上に、例えば、公知の接着剤などによって接着されている。
【0074】
分割弾性部材351のもう1枚は、FPC330の前端部における表面330A上に取り付けられる第2分割弾性部材(「第2弾性部材」の一例)351Uとされており、例えば、公知の接着剤などによって接着される。
【0075】
FPC330における第1分割弾性部材351Lと第2分割弾性部材351Uとの間の長さ寸法は、分割弾性部材351を2枚積層した状態の高さ寸法よりも長く設定されており、この部分は、屈曲可能な屈曲部338とされている。
そして、この屈曲部338を屈曲させることで2枚の分割弾性部材351を積層することができるようになっている。
【0076】
また、第1分割弾性部材351Lの下方には、FPC330を介して第1板材60が、例えば、公知の接着剤などによって接着されており、第2分割弾性部材351Uの下方には、FPC330を介して第2板材70が、例えば、公知の接着剤などによって接着されている。
【0077】
したがって、FPC330の屈曲部338を屈曲させて第1分割弾性部材351L上に第2分割弾性部材351Uを重ね合わせることで、センサユニット320が構成されるようになっている。
【0078】
なお、第1分割弾性部材351Lと第2分割弾性部材351Uとは、それぞれの分割弾性部材351同士が摩擦によって前後にずれないように構成されているものの、例えば、公知の接着剤などによって接着されてもよい。
【0079】
したがって、本実施形態によると、温度センサ40の状態を確認した後、2枚の分割弾性部材351を重ね合わせて、センサユニット220を収容部14に取り付けることができる。
【0080】
また、本実施形態によると、屈曲部338を介して第1分割弾性部材351Lと第2分割弾性部材351Uとが繋がっているから、温度センサ40の状態を確認してから温度センサ40を覆う必要がある場合には、例えば、第2板材や第2分割弾性部材を別部品とする場合に比べて、部品点数を削減でき、部品管理性や組付作業性を向上させることができる。
【0081】
<実施形態5>
次に、実施形態5について図14から図15を参照して説明する。
実施形態5は、実施形態1におけるセンサユニット20の第2板材70を省くと共に、弾性部材50の形状を変更したものであって、実施形態1と共通する構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、実施形態1と同じ構成については同一の符号を用いるものとする。
【0082】
実施形態5におけるセンサユニット420の弾性部材450は、略方形のブロック状をなしており、温度センサ40およびFPC30の前端部31全体を上方から覆うようにしてFPC30の表面30A上に取り付けられている。
【0083】
したがって、弾性部材450がFPC30に取り付けられた状態では、弾性部材450において温度センサ40が配された部分の上部が上方に盛り上がった状態となっている。
【0084】
すなわち、本実施形態によると、弾性部材450をブロック状に形成し、弾性部材450を、温度センサ40が取り付けられたFPC30に取り付けるだけだから、弾性部材450の加工作業が非常に容易となっている。つまり、センサユニット420の製造するための作業工数を削減することができる。
【0085】
なお、弾性部材450が上方に盛り上がっているものの、弾性部材450は、弾性を有する柔らかい弾性材によって構成されているため、弾性部材450が高さ方向に弾性圧縮されることで、温度センサ40が損傷することはない。
【0086】
<実施形態6>
次に、実施形態6について図16を参照して説明する。
実施形態6は、実施形態1におけるセンサユニット20の第2板材70を省くと共に、温度センサ40と弾性部材50との間にモールド部を形成したものであって、実施形態1と共通する構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、実施形態1と同じ構成については同一の符号を用いるものとする。
【0087】
実施形態6のセンサユニット520におけるモールド部580は、温度センサ40と弾性部材50との間に、樹脂を流し込んで硬化させたものであって、モールド部580は、温度センサ40と弾性部材50とFPC30の表面30Aとに密着した状態となっている。
【0088】
また、モールド部580は、弾性部材50の高さ寸法よりもやや小さい高さ寸法となるように設定されており、弾性部材50がモールド部580よりも上方に突出する形態となっている。
【0089】
したがって、センサユニット520が収容部14内に収容された場合には、モールド部580が収容部14に接触すること防ぎつつ、弾性部材50によってFPC30および第1板材60を機器10に押し付け、温度センサ40の検出精度が低下することを抑制することができるようになっている。
【0090】
また、温度センサ40は、モールド部580によって完全に覆われた状態となっているから、他の部材や外部から侵入する液体、塵埃などが温度センサ40に接触することを防止し、温度センサ40の検出精度が低下することをさらに抑制することができるようになっている。
【0091】
<他の実施形態>
本明細書で開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
【0092】
(1)上記実施形態では、収容部14の開口部15からセンサユニット20を収容部14内に挿入して収容部14にセンサユニット20,120,220,320,420,520を取り付ける構成とした。しかしながら、これに限らず、下方に開口する箱形状の収容部によってセンサユニットを上方から覆うようにして、収容部を機器に組み付け、収容部内にセンサユニットを取り付ける構成としてもよい。
【0093】
(2)上記実施形態では、FPC30,330の裏面に第1板材60を取り付けた構成とした。しかしながら、これに限らず、FPC30の裏面30Bに保護フィルムを貼り付けてもよく、FPCの下面の絶縁性フィルムの厚みを大きく構成してもよい。
【0094】
(3)上記実施形態では、センサ素子として温度センサ40を用いた構成とした。しかしながら、これに限らず、センサ素子として、振動センサや角度センサなど様々なセンサを用いた構成にしてもよい。
【0095】
(4)上記実施形態1,3では、弾性部材50の上面50Aに蓋体として、樹脂板からなる第2板材70を取り付けた構成とした。しかしながら、これに限らず、弾性部材の上面に、蓋体として、保護フィルムなどを取り付ける構成としてもよい。
【0096】
(5)上記実施形態では、弾性部材50,150,350を、弾性を有する柔らかい弾性材によって構成した。しかしながら、これに限らず、弾性部材をコーティングするなど防水性を付与することでセンサユニットを防水化してもよく、温度センサを樹脂などによって覆うことで、温度センサの保護性能、絶縁性能、止水性能を向上させる構成にしてもよい。
【0097】
(6)上記実施形態では、可撓性を有する導電路構成体としてFPC30,330を用いた構成とした。しかしながら、これに限らず、導電路構成体として、フレキシブルフラットケーブルなどを用いる構成にしてもよい。
【0098】
(7)上記実施形態では、弾性部材50,150,350によって温度センサの周囲を全周に亘って囲む構成とした。しかしながら、これに限らず、図17および図18に示すように、弾性部材650の幅方向両側の部分を省いた構成にしてもよく、図19および図20に示すように、弾性部材750の後側部分を省いた構成にしてもよい。
【符号の説明】
【0099】
10:機器(「被検出体」の一例)
14:収容部
15:開口部
17:ユニット係止部(「抜止部」の一例)
20,120,220,320,420,520:センサユニット
33:検出線(「導電路」の一例)
30,330:FPC(「導電路構成体」の一例)
40:温度センサ(「センサ素子」の一例)
50,150,350:弾性部材
60:第1板材(「板材」の一例)
70,270:第2板材(「蓋体」、「保護板」の一例)
271:本体部
272:誘い込み部
338:屈曲部
351L:第1分割弾性部材(「弾性部材」の一例)
351U:第2分割弾性部材(「第2弾性部材」の一例)
580:モールド部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20