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特許7372401ヘッドマウントディスプレイ連携表示システム、及び、表示装置とヘッドマウントディスプレイとを含むシステム、及び、その表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】ヘッドマウントディスプレイ連携表示システム、及び、表示装置とヘッドマウントディスプレイとを含むシステム、及び、その表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/00 20060101AFI20231024BHJP
   G09G 5/14 20060101ALI20231024BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20231024BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
G09G5/00 550C
G09G5/00 510A
G09G5/00 530M
G09G5/14 A
G09G5/00 550B
G09G5/00 530D
G09G5/00 510V
G06F3/01 510
H04N5/64 511A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022119394
(22)【出願日】2022-07-27
(62)【分割の表示】P 2019239005の分割
【原出願日】2015-12-18
(65)【公開番号】P2022166023
(43)【公開日】2022-11-01
【審査請求日】2022-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】関口 隆昭
(72)【発明者】
【氏名】松原 孝志
(72)【発明者】
【氏名】金丸 隆
(72)【発明者】
【氏名】内田 尚和
(72)【発明者】
【氏名】若林 正樹
(72)【発明者】
【氏名】森 直樹
【審査官】西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-119297(JP,A)
【文献】国際公開第2015/107625(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/179427(WO,A1)
【文献】特開2015-177404(JP,A)
【文献】特開2011-048440(JP,A)
【文献】特開2001-215920(JP,A)
【文献】特開2009-253786(JP,A)
【文献】特開2012-233962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 5/00 - 5/42
G06F 3/01
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次情報を表示する表示装置と前記一次情報を撮像するヘッドマウントディスプレイ装置とを含むヘッドマウントディスプレイ連携表示システムにおけるヘッドマウントディスプレイ装置であって、
装着者が閲覧可能な情報を表示する表示部と、
前記装着者が向いている方向のカメラ画像を撮像する撮像部と、
前記装着者の視線方向に基づいてカメラ画像内注視点を検出するカメラ画像内注視点検出部と、
前記表示装置と通信可能な通信部と、
制御部を備え、
前記表示装置は、前記通信部を介して受信した前記カメラ画像と前記カメラ画像内注視点にもとづいて前記一次情報に対する前記装着者の注視点の位置情報を算出し、該位置情報が前記一次情報の領域である一次情報領域にあると判断した場合に、前記一次情報の注視点位置に関連する二次情報を出力し、
前記制御部は、前記二次情報を前記通信部により受信すると、該二次情報を前記表示部に表示し、
前記二次情報が前記表示部に表示されているときに、前記表示装置が、前記位置情報が前記一次情報領域にないと判断した場合に、前記二次情報の属性に応じて設定された時間経過後に前記二次情報を消去する消去指示を出力し、
前記制御部は、前記消去指示を前記通信部により受信すると、前記二次情報を消去するように前記表示部を制御することを特徴とするヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ装置であって、
周囲の音を音声データとして取得する音声取得部を備え、
前記表示装置は、前記通信部を介して受信した前記音声データにおいて特定のキーワードが検出された場合に前記キーワードに関連する情報を前記二次情報として出力し、
前記制御部は、前記二次情報を前記通信部により受信すると、前記キーワードに関連する二次情報を前記表示部に表示することを特徴とするヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項3】
一次情報を表示する表示装置と前記一次情報を撮像するヘッドマウントディスプレイ装置とを含むヘッドマウントディスプレイ連携表示システムにおけるヘッドマウントディスプレイ装置であって、
装着者が閲覧可能な情報を表示する表示部と、
前記装着者が向いている方向のカメラ画像を撮像する撮像部と、
前記装着者の視線方向に基づいてカメラ画像内注視点を検出するカメラ画像内注視点検出部と、
前記表示装置と通信可能な通信部と、
制御部を備え、
前記表示装置は、前記通信部を介して受信した前記カメラ画像と前記カメラ画像内注視点にもとづいて前記一次情報に対する前記装着者の注視点の位置情報を算出し、該位置情報が前記一次情報の領域である一次情報領域にあると判断した場合に、前記一次情報の注視点位置に関連する二次情報を出力し、
前記制御部は、前記二次情報を前記通信部により受信すると、該二次情報を前記表示部に表示し、
前記二次情報が前記表示部に表示されているときに、前記表示装置が、前記位置情報が前記一次情報領域にないと判断した場合に、前記二次情報の属性に応じて設定された前記二次情報の透過率変更指示を出力し、
前記制御部は、前記二次情報の透過率変更指示を前記通信部により受信すると、前記二次情報の透過率を変更するように前記表示部を制御することを特徴とするヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のヘッドマウントディスプレイ装置であって、
周囲の音を音声データとして取得する音声取得部を備え、
前記表示装置は、前記通信部を介して受信した前記音声データにおいて特定のキーワードが検出された場合に前記キーワードに関連する情報を前記二次情報として出力し、
前記制御部は、前記二次情報を前記通信部により受信すると、前記キーワードに関連する二次情報を前記表示部に表示することを特徴とするヘッドマウントディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドマウントディスプレイを利用した表示システム及び表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
主たる表示装置に表示された第一の情報(以降、一次情報と称する)に関連する第二の情報(以降、二次情報と称する)を、頭部装着型の表示装置(ヘッドマウントディスプレイ、Head Mounted Display、以降HMD)に表示する技術が考案されている。
【0003】
本技術分野の背景技術として、特開2001-215920号公報(特許文献1)がある。特許文献1では、HMDの装着者が主たる表示装置の画面に表示された一次情報を閲覧する際、HMDによって検出した装着者の頭部の方向や視線方向に応じて、当該方向に存在する一次情報に関連する二次情報をHMDに表示する技術について述べている。この技術により、主たる表示装置に表示する情報(一次情報)が削減されて装置の大型化を回避できるとともに、装着者は頭部あるいは視線を動かすだけで必要な情報(二次情報)を確認できるため、装置の操作性を向上することができる。
【0004】
また、特開2010-237522号公報(特許文献2)がある。特許文献2では、HMDの装着者が大型スクリーンに投射された一次情報を閲覧する際、装着者の座席とスクリーンの位置関係に基づいて一次情報に隣接する適切な位置に二次情報を表示する技術について述べている。この技術により、映画(一次情報)の視聴時等においてHMDの装着者のみが見えるように母国語による字幕(二次情報)を表示する等を実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-215920号公報
【文献】特開2010-237522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1は、HMDによって検出した装着者の注視点に存在する情報の二次情報を表示する旨を記載している。しかしながら、HMDが検出する注視点は、装着者の視界での位置を示すものである。すなわち、この視界は、主たる表示装置が表示する一次情報の他に周囲の風景も含み、また、装着者が主たる表示装置の正面にいるとは限らないため、装着者の立ち位置に応じて一次情報は異なった形状になる。そのため、装着者が一次情報の内部のどこを注視しているかを知るためには、HMDによって検出した注視点を何らかの手段によって一次情報内の座標に変換する必要があるが、特許文献1ではその手段について何ら開示されていない。
【0007】
また、特許文献2は、装着者の座席とスクリーンの位置関係をもとに座標変換を行い、HMDでの二次情報の表示位置を計算するものであるが、装着者が座席を離れ別の位置から一次情報を閲覧する場合には対応できない。
【0008】
また、特許文献1および2のいずれも、一次情報を閲覧中にのみ二次情報を表示するものであるため、装着者が一次情報から目を離すと二次情報を閲覧することができない。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、HMDの装着者が移動する場合や主たる表示装置から目を離す場合でも、主たる表示装置に表示される一次情報の二次情報をHMDに適切に表示する手段を開示するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は、その一例を挙げるならば、表示装置とヘッドマウントディスプレイとを含むシステムであって、表示装置は、画像を表示可能な第1の表示部または画像を投射可能な投射部を備え、ヘッドマウントディスプレイと通信可能な第1の通信部を備え、ヘッドマウントディスプレイは、ヘッドマウントディスプレイの装着者が観賞可能な画像を表示する第2の表示部と、ヘッドマウントディスプレイの装着者の視線方向を検出する視線検出部とを備え、表示装置と通信可能な第2の通信部を備え、第1の通信部および第2の通信部を介して送受信した情報にもとづいて、表示装置の第1の表示部に表示された画像または投射部により投射された画像に対するヘッドマウントディスプレイの装着者の視線の注視点の位置を検出する注視点検出部を、表示装置またはヘッドマウントディスプレイのいずれかに備え、注視点検出部は、注視点が画像上にある場合に注視点の位置に対応する画像内の位置情報を算出し、ヘッドマウントディスプレイは、画像において算出された位置に表示されている対象データに関する関連データを、表示装置との通信またはその他の通信を介して取得し、第2の表示部に表示するように構成する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、HMDの装着者の位置や視線の方向に関わらず適切な二次情報を選択し表示できるため、HMDの装着者の行動の自由度を高め、より自然な態様で二次情報を閲覧できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1におけるHMD連携型表示システムの動作概要を説明する図である。
図2】実施例1におけるHMD連携型表示システムの全体構成図である。
図3】実施例1における一次情報データベースの構成図である。
図4】実施例1における二次情報データベースの構成図である。
図5】実施例1における一次情報の選択操作を説明する図である。
図6】実施例1における一次情報の選択処理のフローチャートである。
図7】実施例1におけるカメラ画像およびカメラ画像内注視点を説明する図である。
図8】実施例1における注視点による二次情報の選択処理のフローチャートである。
図9】実施例1における一次情報内注視点の計算処理のフローチャートである。
図10】実施例1における射影変換の概要を説明する図である。
図11】実施例1における射影変換の概要を説明する他の図である。
図12】実施例1における二次情報の消去処理のフローチャートである。
図13】実施例1における音声で二次情報を選択する動作概要を説明する図である。
図14】実施例1における音声による二次情報の選択処理のフローチャートである。
図15】実施例2におけるHMD連携型表示システムの動作概要を説明する図である。
図16】実施例2におけるHMD連携型表示システムの全体像を示す図である。
図17】実施例2におけるHMD連携型表示システムの全体構成図である。
図18】実施例2における二次情報データベースの構成を説明する図である。
図19】実施例2におけるカメラ画像およびカメラ画像内注視点を説明する図である。
図20】実施例2における注視点による二次情報の選択処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0014】
本実施例は、教育現場において、プロジェクタでスクリーンに投影した教育用コンテンツ(一次情報)に関連する補足情報(二次情報)を、教師が装着したHMDに表示する例について説明する。本実施例により、教師は生徒に対して自然な態様で授業を行いつつ、教育用コンテンツに関連した補足情報を閲覧することが可能となる。
【0015】
図1は、本実施例におけるHMD連携型表示システムの動作の概要を説明する図である。図1において、投射装置100は、教育用コンテンツ(例では世界地図)をスクリーン930に投射している。教師910は、HMD300を介して投射されたコンテンツと生徒920を交互に見つつ授業を行っている。この時、HMD300を介して教師910が見る光景は、最初は画面351に示すように、教育用コンテンツ(世界地図)と、コンテンツの表示を操作するためのボタン(例では「前」「次」)のみである。次に教師910が世界地図上のグリーンランド付近を注視すると、画面352に示すように、補足情報(例では国名、主都、公用語)が表示される。次に教師910が生徒920の方向を見ると、画面353に示すように、コンテンツの表示を操作するボタンは消去される一方、世界地図を見ていなくても補足情報は表示され続ける。その後、一定時間が経過すると、画面354に示すように、補足情報も消去される。このような動作により、例えば補足情報を得るために逐一教育用コンテンツの方向を見直して該当箇所を注視するといった不自然な動作を行わずに授業を行うことができる。
【0016】
図2は、本実施例におけるHMD連携型表示システムの全体構成図である。図2において、本システムは、投射装置100、表示装置200、およびHMD300から構成される。投射装置100と表示装置200、および表示装置200とHMD300は、通信により接続されている。
【0017】
投射装置100は、表示する一次情報を入力するための信号入力部110、表示を制御する制御部120、およびスクリーンに一次情報を投射する表示部130から構成される。
【0018】
表示装置200は、一次情報データベース510および二次情報データベース520を格納する記録部210、一次情報や二次情報の出力等の各種処理を行う制御部220、投射装置100に一次情報を出力する信号出力部230、HMD300と通信を行う通信部240、HMD300から取得した情報をもとに、一次情報内における注視点の位置を検出する注視点検出部であり、注視点の位置情報である座標を計算し算出する注視点計算部250、HMD装着者等の音声を認識する音声認識部260、表示装置200の操作を行うための操作部270、および表示部280から構成される。なお、注視点計算部250、および音声認識部260は、専用のハードウェアとして実現する構成としても良いし、制御部220が実行するソフトウェアモジュールとして実現する構成としても良い。また、注視点計算部250は、HMD300に設けても良い。
【0019】
HMD300は、装着者が見ている方向の風景を撮像する撮像部310、撮像したカメラ画像内における、装着者の視線方向を検出する視線検出部である、注視点を検出するカメラ画像内注視点検出部320、HMD装着者等の音声を取得する音声取得部330、取得したカメラ画像540やカメラ画像内注視点550や音声データ560を表示装置200に送信する等の各種制御処理を行う制御部340、表示装置200と通信を行う通信部350、および表示装置から取得した二次情報570を装着者が閲覧または観賞可能な画像として表示する表示部360から構成される。
【0020】
なお、本実施例においては、投射装置100はプロジェクタに相当し、表示装置200はプロジェクタに接続するPC(Personal Computer)に相当するが、プロジェクタを用いた形態に限るものではなく、投射装置100が一般的なディスプレイ装置である場合や、投射装置100と表示装置200を一体化した専用の装置を用いる場合にも応用可能である。また、HMD300は、頭部に装着して主に表示を行う装置と、腰などに装着して主にHMDのコントロールを行う装置に分かれた構成としても良い。
【0021】
図3は、本実施例における一次情報データベース510の構造図である。図3において、一次情報データベース510は、一次情報識別子511、一次情報の名称512、一次情報を格納しているファイルの名称513、および一次情報が表示中か否かを示す表示中フラグ514から構成される。なお、表示中フラグ514は、表示中は‘1’、非表示の場合は‘0’として以降説明する。
【0022】
図4の上図は、本実施例における二次情報データベース520の構造図である。図4上図において、二次情報データベース520は、関連する一次情報を識別する一次情報識別子521、HMD装着者の注視点に基づき二次情報を選択するための注視点範囲522、音声に基づき二次情報を選択するためのキーワード523、二次情報524、および二次情報の属性525から構成される。なお、図4下に例示した地図が示すとおり、本実施例において一次情報の座標系は左上が(0、0)、右下が(1920、1080)で定義され、図4上図の二次情報データベースの1行目の注視点範囲(1680、70)~(1880、250)はグリーンランド付近、2行目の注視点範囲(700、720)~(1000,870)はオーストラリア付近を示す座標を意味している。二次情報データベースの3行目、および4行目での注視点範囲(0、0)~(1920、1080)は、注視点が一次情報の範囲内にあれば常に二次情報(例では「前」ボタンおよび「次」ボタン)を表示することを意味している。
【0023】
以上が、本実施例のHMD連携型表示システムの構成である。以下、本システムの動作の流れに沿って本実施例を説明する。
【0024】
図5は、本実施例における表示装置の表示部280に表示される、スクリーン930に投射する教育用コンテンツ(一次情報)の選択操作を説明する図である。図5において、画面281は教育用コンテンツの選択画面であり、世界地図を表示するためのアイコン282を含む、複数のアイコンを表示している。ここでアイコン282を選択すると、図5下に示すように、世界地図283が表示される。なお、世界地図283において、四隅に、斜線で示したマーカー284が表示されている。これは、一次情報の表示領域を特定するための識別情報であり、詳細は後述する。
【0025】
図6は、本実施例における、一次情報の選択時における制御部220の処理のフローチャートである。図6において、制御部220は、一次情報データベース510から一次情報の一覧を読み込み、各コンテンツを意味するアイコンからなる選択画面281に表示する(ステップS2201)。次に、ステップS2202で、ユーザがコンテンツを選択するまで待つ。次に、ユーザが選択した一次情報に対応するファイル513を読み込み、信号出力部230および投射装置100を介してスクリーン930に投射する(ステップS2203)。最後に、選択した一次情報の表示中フラグ514を1にセットし、終了する(ステップS2204)。
【0026】
図7は、図6のステップS2203において教育用コンテンツが投射されたスクリーン930を、教師910がHMD300を介して閲覧した際に、HMD300の撮像部310およびカメラ画像内注視点検出部320が取得するカメラ画像540およびカメラ画像内注視点550を示したものである。図は、教師910がスクリーン930に向かって少し右側の位置から一次情報を閲覧しており、グリーンランド付近を注視している様子を示している。
【0027】
図8は、本実施例における、図7に示したカメラ画像540およびカメラ画像内注視点550をHMD300から受信した際に表示装置200の制御部220において実行される、二次情報を選択する処理のフローチャートである。図8において、制御部220は、まず、一次情報データベース510を参照し、表示中フラグが1にセットされている一次情報があるかを判断する(ステップS2211)。なお、図5で示した操作により、一次情報データベース510の1行目(世界地図)の表示中フラグが1にセットされている。次に、カメラ画像内注視点550が一定時間同一であったか否か、すなわち、教師910の注視点がある特定の場所に滞留しているか否かを判断する(ステップS2212)。この判断は、例えば、前回受信したカメラ画像内注視点との距離差が所定の閾値未満である状態が一定時間続いたか否かを判定する等の処理によって実現できる。次に、注視点計算部250を用いて一次情報内注視点を計算する(ステップS2213)。この処理の詳細は後述する。
【0028】
次に、一次情報内注視点の計算に成功したか否かを判定する(ステップS2214)。一次情報内注視点の計算に成功した場合、すなわち、教師910の注視点が一次情報の方向(すなわち、スクリーン930の方向)にある場合、ステップS2213で計算した一次情報内注視点を記憶する(ステップS2215)。次に、二次情報データベース520を参照し、表示中の一次情報に関係する二次情報のうち、ステップS2213で記憶した一次情報内注視点が、二次情報データベース520の注視点範囲522の範囲内に存在する二次情報を表示する(ステップS2216)。一方、ステップS2214において一次情報内注視点の計算に失敗した場合、すなわち、1次情報のマーカー範囲外を注視している場合は、ステップS2215において記憶した一次情報内注視点に対応する二次情報(すなわち、現在表示している二次情報)に対して、二次情報の属性525に応じて消去タイマーをセットする(ステップS2217)。消去タイマーとは、HMD300に表示した二次情報を消去するまでの時間であり、例えば、二次情報の属性525がテキストの場合は60秒後に消去し、二次情報の属性525がボタンの場合は0秒後(すなわちすぐに)消去するようにセットする。これによって、教師910が生徒920の方向を見た場合、ボタンは即座に消去されるが、テキストは一定時間表示され続ける、といった動作になる。なお、本二次情報選択フローの1番最初に一次情報内注視点の計算に失敗した場合は、記憶している一次情報内注視点はないので、消去タイマーをセットしない。このように、装着者の注視点の位置情報が一次情報にあると判断した場合と、一次情報にないと判断した場合とで、二次情報を継続表示するか即消去するかといった表示方法を変更する。言い換えれば、表示レイアウトまたは表示メニューを変更するようにしても良い。
【0029】
図9は、前述したステップS2213で実行される、注視点計算部250を用いて一次情報内注視点を計算する処理を示したフローチャートである。注視点計算部250は、まず、一次情報の四隅に付与されたマーカー284を検出する(ステップS2501)。次に、マーカーを検出できたか判定する(ステップS2502)。マーカーを検出できなかった場合は計算に失敗したとして終了し、検出できた場合は、後述する射影変換により一次情報内での注視点の座標を算出し(ステップS2503)、終了する。
【0030】
図10は、前述のステップS2503で実行される、射影変換の概要を説明する図である。以降で説明する計算により、カメラ画像での座標系251における注視点の座標が、一次情報内での座標系252における座標に変換することができる。
【0031】
図10において、カメラ画像での座標系251を、左上が(0、0)、右下が(100、100)となる平面とする。一方、一次情報内での座標系252を、左上が(0、0)、右下が(1920、1080)となる平面とする。ここで、ステップS2501で検出した4隅のマーカーによって特定されるカメラ画像内での一次情報の領域253を、一次情報内での座標系での領域に変換する。この変換の計算式としては様々なものがあるが、本実施例では、一般的な射影変換の式254を使用する。ここで、(x、y)は変換前(カメラ画像での座標系251)の座標、(u、v)は変換後(一次情報内での座標系252)の座標である。射影変換の式254は、未知数が8つ(a1、b1、c1、a2、b2、c2、a0、b0)存在する。よって、双方の座標系において対応する座標がわかっている4つの点を代入して8つの式を得ることにより、未知数を導出することができる。座標の対応表255は、図9のステップS2501で検出した4つのマーカーの座標(x、y)と、変換後の座標(u、v)の対応を示したものである。左上の座標(10、20)は(0、0)に、右上の座標(70、18)は(1920、0)に、左下の座標(12、80)は(0、1080)に、右下の座標(65、82)は(1920、1080)に、それぞれ対応する。これらの値を射影変換の式254に代入すると8つの式からなる連立方程式が得られ、これを解くことにより、未知数の計算結果256が得られる。注視点の座標変換結果257は、未知数の計算結果256を用いて射影変換の式254により計算を行うと、(60、28)は(1635、148)に変換されることを示している(なお、ここで計算結果は整数で丸めている)。以上の計算により、カメラ画像での座標系における注視点は、一次情報内での座標系における座標に変換される。
【0032】
なお、本実施例では、図5図7に記載した例のように斜線模様のマーカーを一次情報の四隅に表示し、これを画像認識することにより一次情報の領域を検出することを想定して記載しているが、このようなマーカーとしては、他にも様々な技術を利用可能である。例えば、斜線以外の模様を用いるとしても良いし、そもそもマーカーを表示するのではなく、スクリーン930側に領域検出用の物理的なデバイスを埋め込む方式を用いるとしても良い。また、人間に見える可視の模様ではなく、赤外線カメラ等を用いた不可視のマーカーを用いることとしても良い。
【0033】
また、図10では、一次情報の領域の4隅の座標を用いて射影変換を行う例について記載したが、射影変換の方式はこれに限るものではない。例えば、図11は、射影変換の別の方法を示す概念図である。HMD装着者が一次情報を閲覧する際、スクリーン930に近接する位置に立つと、図11に示したカメラ画像541のように、4隅のマーカーがカメラ画像に入らない場合がある。このような場合、カメラ画像での座標系258と一次情報内での座標系259において一次情報の領域の4隅の座標の対応を用いるのではなく、1つのマーカーでの四隅の座標をもとに射影変換の式254の未知数を求めることにより、注視点の座標変換を行うことができる。他にも、あらかじめ定めた4点の座標を用いるのではなく、カメラ画像と一次情報の双方に対して画像認識を行い、特徴のある点(特徴点)を動的に4つ抽出した上で、この4点をもとに射影変換の未知数を導出することもできる。このような手法は、例えば人間の顔を様々な角度から認識する場合の処理などで広く利用されている。
【0034】
最後に、図12は、図8のステップS2217においてセットした消去タイマーが所定の時刻に達した場合に起動される、二次情報を消去する処理を示したフローチャートである。図12において、消去タイマーが所定の時刻に達した場合、制御部220は、HMDに表示している二次情報を消去する(ステップS2221)。前述したように二次情報の属性に応じて消去タイマーの値を変更することにより、スクリーン930から目を離して生徒920を見た場合に、ボタンはすぐに消去されるが、テキスト(補足情報)は表示され続ける、といった動作が可能である。
【0035】
以上説明した内容により、図1に示した動作が可能となる。すなわち、HMD300を介して教師910がスクリーン930の方向を見た際の光景は、最初は図1の画面351である。次に、世界地図上のグリーンランド付近を注視すると、図8のステップS2216までの処理により、図1の画面352になる。次に生徒920の方向を見た場合、図8のステップS2217でセットした消去タイマーの時間が経過するまでは図1の画面353になりテキスト(補足情報)が表示され続ける。最後にテキストに設定した消去タイマーの時間が経過すると、図1の画面354になる。
【0036】
なお、図8のステップS2217において、消去タイマーをセットすることに加えて、二次情報の属性525に応じてHMDに表示する二次情報の透過率を変更するとしても良い。例えば、教師910がスクリーン930の方向を見ている場合は、図1の画面352に示すように、補足情報の透過率は0%、すなわち非透過で表示するが、教師910が生徒920の方向を見ている場合は、図1の画面353に例示するように、補足情報の透過率を50%、すなわち半透明にして表示するとしても良い。これによって、補足情報を表示することによって生徒920の様子が見えなくなることを回避することができる。
【0037】
次に、本実施例の別の動作として、一次情報を閲覧していない場合でも音声によって二次情報を表示する動作の例を説明する。
【0038】
図13は、本実施例における、音声により二次情報の表示を行う動作の概要を説明する図である。図13は、これまでに説明した動作に続いて、教師910が生徒920の方向を見ており、生徒920が「何人くらい住んでいるの」との質問を行い、教師910が「人口は…」と発話した様子を示している。この時、HMD300を介して教師910が見る光景は、最初は画面355に示すように生徒のみが見え、次に「人口は…」と発話すると、画面356に示すように補足情報(例では国名、人口、人口密度)を表示する。なお、発話は生徒からの音声に反応して補足情報を表示するようにしても良い。また、その際、発話をとらえて、キーワードを表示し、そのキーワードを注視することで補足情報を表示するようにしても良い。
【0039】
図14は、本実施例における、HMD300の音声取得部によってこの教師910の発話を取得し、その音声データ560を表示装置200の制御部220が受信した際に実行される、二次情報を選択する処理のフローチャートである。図14において、図8と同様に、制御部220は、まず、一次情報データベース510を参照し、表示中フラグが1にセットされている一次情報があるかを判断する(ステップS2311)。次に、受信した音声データ560に対して音声認識処理を実行する(ステップS2313)。なお、この音声認識処理は、表示装置200内部で実行する方式に限るものではなく、インターネット等を介して音声認識を行うサーバーと通信を行い実行するとしても良い。また、音声認識処理のトリガは、所定周期で常に行うようにしても良いし、または所定のボタンが押された場合に行うようにしても良い。次に、音声認識による音声データ560からテキストへの変換処理が成功したかを判断する(ステップS2314)。なお、この判断は単純に音声認識の実行可否によって判断しても良いし、一般的な音声認識技術が出力する変換結果の信頼度をもとに判断しても良い。また、声紋分析等の技術を併用することによって発話者を識別することにより、生徒920の発話は無視し、教師910の発話のみに限って成功と判断しても良い。次に、音声からテキストへの変換に成功した場合は、二次情報データベース520を参照し、現在表示中の一次情報に関係する二次情報のうち、図8のステップS2215で記憶した一次情報内注視点が、二次情報データベース内の注視点範囲522の範囲内に存在し、かつ、変換後のテキストに二次情報データベース520のキーワード523に示した言葉が含まれる二次情報を表示する(ステップS2315)。図4に示した二次情報データベースの例では、キーワードに「人口」が設定されている5行目の二次情報が表示されることになる。
【0040】
また、ここでは発話内容に特定のキーワードが含まれる場合はすぐに二次情報を表示する例を示したが、音声を認識後にすぐに表示するのではなく、認識したキーワードを表示したボタンをHMDに表示して、そのボタンを選択することにより二次情報を表示するものとしても良い。また、発話内容がキーワードと完全に一致しなくても、文字列の類似度を判定することにより、発話内容がキーワードに類似する場合には二次情報を表示するとしても良い。
【0041】
以上の処理により、図13に示した動作が可能となる。すなわち、HMD300を介して教師910が生徒920の方向を見た際の光景は、最初は図1の画面355である。次に教師910が「人口は…」と発話すると、図14のステップS2315までの処理により、図1の画面356になる。
【0042】
以上、本実施例は、HMDから取得するカメラ画像と、カメラ画像に対するHMDの装着者の注視点とから、一次情報に対する装着者の注視点の位置情報を算出して、この位置情報に関連する二次情報を選択して表示するとともに、HMDの装着者が一次情報を見ている場合と、一次情報を見ていない場合とで、HMDに表示する二次情報の表示方法を変更する。これにより、教師は生徒に対して自然な態様で授業を行いつつ、スクリーンに投影した教育用コンテンツの補足情報を得ることが可能となる。
【0043】
言い換えると、本実施例は、表示装置とヘッドマウントディスプレイとを含むシステムであって、表示装置は、画像を表示可能な第1の表示部または画像を投射可能な投射部を備え、ヘッドマウントディスプレイと通信可能な第1の通信部を備え、ヘッドマウントディスプレイは、ヘッドマウントディスプレイの装着者が観賞可能な画像を表示する第2の表示部と、ヘッドマウントディスプレイの装着者の視線方向を検出する視線検出部とを備え、表示装置と通信可能な第2の通信部を備え、第1の通信部および第2の通信部を介して送受信した情報にもとづいて、表示装置の第1の表示部に表示された画像または投射部により投射された画像に対するヘッドマウントディスプレイの装着者の視線の注視点の位置を検出する注視点検出部を、表示装置またはヘッドマウントディスプレイのいずれかに備え、注視点検出部は、注視点が画像上にある場合に注視点の位置に対応する画像内の位置情報を算出し、ヘッドマウントディスプレイは、画像において算出された位置に表示されている対象データに関する関連データを、表示装置との通信またはその他の通信を介して取得し、第2の表示部に表示するように構成する。
【0044】
また、表示装置とヘッドマウントディスプレイとを含むヘッドマウントディスプレイ連携表示システムであって、表示装置は、一次情報を表示する第1の表示部または一次情報を投射する投射部または画像信号を出力する信号出力部と、ヘッドマウントディスプレイと通信可能な第1の通信部と、一次情報に対するヘッドマウントディスプレイの装着者の注視点の位置情報を算出する注視点計算部を備え、ヘッドマウントディスプレイは、装着者が閲覧可能な二次情報を表示する第2の表示部と、表示装置と通信可能な第2の通信部と、装着者が向いている方向のカメラ画像を撮像する撮像部と、カメラ画像に対する装着者の注視点を検出するカメラ画像内注視点検出部を備え、表示装置は、第1の通信部および第2の通信部を介して送受信した検出した注視点にもとづいて注視点計算部により一次情報に対する装着者の注視点の位置情報を算出し、位置情報に関連する二次情報を選択し、位置情報が一次情報にあると判断した場合と、ないと判断した場合とで、第2の表示部における二次情報の表示方法を変更するように構成する。
【0045】
これにより、HMDの装着者の位置や視線の方向に関わらず適切な二次情報を選択し表示できるため、HMDの装着者の行動の自由度を高め、より自然な態様で二次情報を閲覧できるという効果がある。
【実施例2】
【0046】
本実施例は、一般の家庭等において、TVに表示された放送内容(一次情報)に関連する補足情報(二次情報)を、TVの視聴者が装着したHMDに表示する例について説明する。本実施例により、TV視聴時に、放送内容だけでは得られない補足情報を得ることが可能となるとともに、TVから目を離しても二次情報を閲覧することが可能となる。
【0047】
図15は、本実施例における、HMD連携型表示システムの動作の概要を説明する図である。図15において、表示装置400は、TV放送の内容を画面に表示している。なお、図15で示した画面は、TV放送の内容として商品A、商品B、商品C、商品Dの4つの商品の情報を提供する番組を放送している様子を示している。視聴者911は、この表示された画面を、HMD300を介して閲覧している。この時にHMD300を介して視聴者911が見る光景は、最初は画面357に示すように、TV画面と、TVを操作するためのボタン(例としてTVの音量を調節するためのボタン「音量+」「音量―」を示している)のみが見える。次に視聴者911がTV画面に表示された商品Aを注視すると、画面358に示すように、補足情報(例では商品Aを販売している店舗、価格、電話番号)が表示される。次にTV画面から目を離すと、画面359に示すように、TVを操作するためのボタンは消去される一方、TV画面を見ていなくても補足情報は表示され続ける。このように動作することで、例えば補足情報に表示された店舗に電話をかけるためTVの近くを離れる場合において、補足情報を確認することができる。
【0048】
図16は、本実施例における、HMD連携型表示システムの全体像を説明する図である。図16において、本システムは、送信アンテナ950を介して放送信号を送信する放送設備940と、その放送信号を受信し表示する表示装置400、およびHMD300から構成される。表示装置400は、通常の放送信号の他、インターネット等の通信網960経由で通信データを受信することも可能である。なお、このような、放送信号と通信データの双方を受信して表示する装置としては、例えばハイブリッドキャスト(Hybridcast:登録商標)に対応したTV等が存在する。本実施例では、このような装置を用いることにより、放送信号により受信するTV放送(一次情報)に関連する二次情報データベースを、インターネット経由で通信により取得する。
【0049】
図17は、本実施例における、HMD連携型表示システムの全体構成図である。図17において、本実施例の表示装置400は、実施例1で記載した表示装置200に対して、放送信号と通信データの双方を視聴可能なTV等の装置が含むいくつかのモジュールを加えたものである。表示装置400は、放送信号を受信するチューナ部420、受信した放送信号を映像、音声、データといった各種の信号に分離して出力する分離部430、受信した映像信号の復調等の処理を行う表示制御部440、映像を表示する表示部450、受信した音声信号の復調等の処理を行う音声制御部460、音声を出力するスピーカ470を含む。これらのモジュールは、放送信号を視聴するために一般的なTVで必要とされるモジュールである。これらのモジュールに加え、表示装置400は、インターネット等の通信網を介して通信データを受信するIP(Internet Protocol)通信部410、現在視聴中のチャンネル番号等を格納する番組識別情報580および二次情報データベース590を格納する記録部210、一次情報や二次情報の出力等の各種処理を行う制御部220、HMD300と通信を行う通信部240、HMD300から取得した情報をもとに一次情報内における注視点の座標を計算する注視点計算部250、HMD装着者等の音声を認識する音声認識部260を含む。なお、注視点計算部250、および音声認識部260は、専用のハードウェアとして実現する構成としても良いし、制御部220が実行するソフトウェアモジュールとして実現する構成としても良い。HMD300の構成は、実施例1と同様である。
【0050】
図18は、本実施例における、二次情報データベース590の構成を説明する図である。図18において、二次情報データベース590は、番組識別情報591、二次情報が有効な期間を示す時間帯592、HMD装着者の注視点に基づき二次情報を選択するための注視点範囲593、二次情報594、および二次情報の属性595から構成される。なお、図18下の画面が示すとおり、本実施例において一次情報の座標系は左上が(0、0)、右下が(1920、1080)で定義され、二次情報データベースの1行目の注視点範囲(300、50)~(900、450)は商品Aの画像を含む矩形の範囲、2行目の注視点範囲(1000、50)~(1600、450)は商品Bの画像を含む矩形の範囲を示す座標である。
【0051】
以上が、本実施例のHMD連携型表示システムの構成である。以下、本システムの動作の流れに沿って本実施例を説明する。なお、表示装置400を操作してTV放送を視聴する操作は、一般的に用いられるTVの操作方法と同様であるので割愛する。また、以降、チャンネル1を視聴している想定で説明する。
【0052】
図19は、視聴者911がHMD300を介して表示装置400の方向を見た際に、HMD300の撮像部310およびカメラ画像内注視点検出部320が取得するカメラ画像540およびカメラ画像内注視点550を示したものである。図19においては、視聴者911が表示装置400に向かって少し右側の位置から一次情報を閲覧しており、商品Aを注視している様子を示している。
【0053】
図20は、本実施例における、カメラ画像540およびカメラ画像内注視点550をHMD300から受信した際に表示装置400の制御部220において実行される、二次情報を選択する処理のフローチャートである。図20において、制御部220は、まず、記録部210に番組識別情報580が記録されているかを判断する(ステップS2411)。現在チャンネル1を視聴中のため、番組識別情報580は存在し、視聴中の番組としてチャンネル1が記載されている。次に、カメラ画像内注視点550が一定時間同一であったか否か、すなわち、視聴者911の注視点がある特定の場所に滞留しているか否かを判断する(ステップS2412)。次に、注視点計算部250を用いて一次情報内注視点を計算する(ステップS2413)。この処理の詳細は、実施例1の図9から図11を用いて説明した内容と同様である。
【0054】
次に、一次情報内注視点の計算に成功したか否かを判定する(ステップS2414)。一次情報内注視点の計算に成功した場合、すなわち、視聴者911の注視点が一次情報の方向(すなわち、表示装置400の方向)にある場合、ステップS2413で計算した一次情報内注視点を記憶する(ステップS2415)。次に、二次情報データベース590を参照し、現在視聴中の番組に関係する二次情報のうち、記憶した一次情報内注視点が二次情報データベース内の注視点範囲593の範囲内に存在し、かつ現在時刻が二次情報データベースの時間帯592の範囲内である二次情報を表示する(ステップS2416)。
【0055】
一方、ステップS2414において一次情報内注視点の計算に失敗した場合は、ステップS2415において記憶された一次情報内注視点に対応する二次情報(すなわち、現在表示している二次情報)に対して、二次情報の属性595に応じて消去タイマーをセットする(ステップS2417)。例えば、二次情報の属性595がテキストの場合は60秒後に消去し、二次情報の属性595がボタンの場合は0秒後(すなわちすぐに)消去するようにセットする。これによって、視聴者911が表示装置400から目を離した場合、ボタンは即座に消去されるが、テキストは一定時間表示され続ける、といった動作になる。 以降の処理は、実施例1と同様である。
【0056】
以上の処理により、図15に示した動作が可能となる。すなわち、HMD300を介して視聴者911が見る光景は、最初は図15の画面357である。次に商品Aを注視すると、図20のステップS2416までの処理により、図15の画面358になる。次に表示装置400から目を離して別の場所へ移動した場合は、図15の画面359になる。
【0057】
以上、本実施例は、ヘッドマウントディスプレイと接続された表示装置であって、一次情報を表示する表示部または一次情報を投射する投射部または一次情報を出力する信号出力部と、ヘッドマウントディスプレイと通信可能な通信部と、一次情報に対するヘッドマウントディスプレイの装着者の注視点の位置情報を算出する注視点計算部を備え、通信部を介して受信した情報にもとづいて所定の手順により一次情報に対する装着者の注視点の位置情報を算出し、位置情報に関連する二次情報を選択し、位置情報が一次情報の方向にあると判断した場合と、位置情報が一次情報の方向にないと判断した場合とで、ヘッドマウントディスプレイに表示する二次情報を変更するように構成する。
【0058】
これにより、TV視聴時に放送内容だけでは得られない補足情報を得ることが可能となるとともに、TVから目を離しても二次情報を閲覧することが可能となり、視聴者の行動の自由度を高めることができる。
【0059】
本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであって、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0060】
100:投射装置、110:信号入力部、120:制御部(投射装置)、130:表示部(投射装置)、200:表示装置、210:記録部、220:制御部(表示装置)、230:信号出力部、240:通信部(表示装置)、250:注視点計算部、260:音声認識部、270:操作部、280:表示部(表示装置)、300:ヘッドマウントディスプレイ、310:撮像部、320:カメラ画像内注視点検出部、330:音声取得部、340:制御部(ヘッドマウントディスプレイ)、350:通信部(ヘッドマウントディスプレイ)、 360:表示部(ヘッドマウントディスプレイ)、400:表示装置、410:IP通信部、420:チューナ部、430:分離部、440:表示制御部、450:表示部(表示装置)、460:音声制御部、470:スピーカ、510:一次情報データベース、520:二次情報データベース、530:一次情報、540:カメラ画像、550:カメラ画像内注視点、560:音声データ、 570:二次情報、580:番組識別情報、590:二次情報データベース、910:教師、911:視聴者、920:生徒、930:スクリーン、940:放送設備、950:送信アンテナ、960:インターネット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
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図20