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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】グローブボックス
(51)【国際特許分類】
   B60R 7/06 20060101AFI20231024BHJP
   E05B 83/30 20140101ALI20231024BHJP
   E05C 21/00 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
B60R7/06 G
E05B83/30 A
E05C21/00 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022165770
(22)【出願日】2022-10-14
【審査請求日】2022-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 淳也
【審査官】佐々木 智洋
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-227530(JP,A)
【文献】特開2000-062541(JP,A)
【文献】特開2009-255812(JP,A)
【文献】特開2013-249607(JP,A)
【文献】特開2015-209095(JP,A)
【文献】特開2021-133707(JP,A)
【文献】国際公開第2013/118326(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/129100(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/06
E05B 83/30
E05C 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両室内に回動自在に設けられ、回動して開閉するアウター部と、
前記アウター部の閉状態を解除可能にロックする棒状のロック部と、
前記アウター部の閉状態のロックを解除するための操作部と、前記操作部と前記ロック部とを連動させる連動部と、前記操作部および前記連動部が設けられるベース部と、を有するロック機構と、
前記ロック部が突没可能な貫通孔を有し、前記ロック部および前記ロック機構が組付けられた前記アウター部の内壁部を閉じるインナー部と、
開口を有する凹状に形成され、前記ロック部を受ける受け座部と、
前記アウター部の内壁部と前記ロック機構とを互いに、前記受け座部の開口する方向と同じ直線方向に組付ける嵌合部と、
を備え、
前記インナー部は、前記アウター部の内壁部側から前記貫通孔に向かって前記インナー部の内側に傾斜する傾斜部を有し、
前記傾斜部は、前記アウター部と前記インナー部との組付けの際において、前記ロック部の長手方向の先端部と摺接する、
ことを特徴とするグローブボックス。
【請求項2】
前記ベース部は、前記操作部を回動自在に軸支するとともに囲う凹状に形成され、
前記アウター部は、
前記操作部を前記アウター部の外壁部側に露出させる開口部と、
前記開口部の縁に沿って前記アウター部の内壁部側に凸状に形成され、前記ベース部の端部と重なり合うように接合されて、前記操作部の操作空間を形成する凸状部と、
前記凸状部の端部から離間して前記凸状部の外壁部に設けられ、前記ベース部の端部と接触して、前記凸状部に対する前記ベース部の接合位置を規制するガイド部と、
を有し、
前記操作部は、前記ベース部の端部から内側に離間し、
前記ベース部の端部と前記操作部との離間距離は、前記凸状部の端部と前記ガイド部との離間距離よりも大きく、
前記アウター部の内壁部からの前記ガイド部の最大高さは、前記アウター部の内壁部からの前記ロック機構の最大高さ以下であり且つ前記凸状部の頂部の高さよりも大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載のグローブボックス。
【請求項3】
前記アウター部は、前記凸状部の頂部側から前記開口部側に下る傾斜状の第1係合部を有し、
前記ベース部は、前記凸状部との接合において前記第1係合部と係合する傾斜状の第2係合部を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載のグローブボックス。
【請求項4】
前記連動部は、前記ロック部と嵌合する嵌合ピンを有し、前記ベース部に回動自在に軸支されて回動を前記ロック部の長手方向の往復動作に変換し、
前記ベース部は、前記嵌合ピンと嵌合した状態の前記ロック部の揺動を抑制する爪部を有し、
前記ロック部は、
前記ロック部の長手方向に対して垂直な幅方向に長い孔であり、前記嵌合ピンが嵌入される嵌合孔と、
前記ロック部の長手方向に長い孔であり、前記爪部が嵌入される爪孔と、
を有し、
前記爪部は、前記連動部の回動中心から前記嵌合孔の長手方向の外側へ向かう方向とは逆方向に突起して、前記爪孔の縁部と重なり合う、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載のグローブボックス。
【請求項5】
前記ロック部は、前記アウター部の回動方向の荷重を受ける受け面を有し、
前記受け面は、円弧形状に形成されている、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載のグローブボックス。
【請求項6】
前記連動部の動作に伴う前記ロック部の動作方向を前記ロック部の長手方向に規制する規制ピンをさらに備え、
前記ロック部は、前記ロック部の長手方向に長い孔であり、前記規制ピンが挿通される規制孔を有する、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載のグローブボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グローブボックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両室内に据え付けの収納装置としてグローブボックスが知られている。一般に、グローブボックスは、開閉可能な蓋(リッド)としての機能を有するアウター部と、物品の収納空間を形成するインナー部と、上記アウター部を閉状態にロックするための一対のロッドと、上記アウター部の閉状態のロックを解除するように上記一対のロッドを動作させるロック機構と、を備えている。また、このロック機構は、ロック解除の操作を行うためのノブと、当該ノブの操作に応じて上記一対のロッドを動作させるリンク部と、これらノブおよびリンク部が各々回動自在に組付けられるベース部と、を備えている。
【0003】
上記グローブボックスにおいて、一対のロッドは、各々、ロック機構のリンク部に連結され、当該リンク部の回動に伴って互いに長手方向の逆向きに往復動作する。ロック機構のベース部は、アウター部の裏側(内壁側)から開口部を介して表側(外壁側)にノブを露出させるように、アウター部の内壁部に組付けられる。インナー部は、アウター部の内壁部との間に上記一対のロッドおよびロック機構を囲うように、アウター部に組付けられる。このとき、一対のロッドの各先端部は、インナー部の側壁部に形成された貫通孔を介して突没可能となっている。
【0004】
このようなグローブボックスは、例えば、インストルメントパネルに回動自在に取り付けられ、インナー部による物品の収納空間が閉塞された状態(以下、閉状態という)と開放された状態(以下、開状態という)とを回動によって変化させる。また、グローブボックスは、インナー部の貫通孔から突出した一対のロッドの各先端部とインストルメントパネル内の両側壁に形成された各孔との係合により、閉状態にロックされる。このグローブボックスの閉状態は、ノブを操作してリンク部を回動させるとともに一対のロッドの各先端部をインナー部の内側へ移動させることにより、解除される。
【0005】
なお、従来のグローブボックスとしては、例えば、特許文献1、2に記載のロック装置を備えたグローブボックスが開示されている。あるいは、特許文献3に記載のロック機構を備えたグローブボックスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5828888号公報
【文献】特許第6291028号公報
【文献】特許第6579288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に、上述したような従来のグローブボックスの組立では、例えば、アウター部にロック機構を組付ける際、ベース部の下端部の片側をアウター部の内壁部に差し込み、この差し込んだ下端部を中心にベース部をアウター部側へ回転しつつ、ベース部の嵌合孔にアウター部の嵌合爪を嵌め込んでいる。つぎに、当該ロック機構に一対のロッドを組付ける際、アウター部の内壁部に設けられた挿通孔部(例えば、特許文献2に記載の第1挿通孔部および第2挿通孔部等)にロッドの先端部を挿通し、この挿通した先端部を中心にロッドをアウター部側へ回転しつつ、ロッドの嵌合孔にロック機構のリンク部のピンを嵌め込んでいる。
【0008】
このように、従来のグローブボックスの組立では、部品を差し込み(挿通)後に回転しつつ嵌合する等、一部品の組付け毎に少なくとも2段階の作業が必要になる。このため、グローブボックスの各部品の組付けが煩雑であるとともに、組付ける部品点数が多いグローブボックスの組立に多大な手間および時間(タクトタイム)が掛かってしまう。特に、グローブボックスの大量生産においては、組立に掛かる手間および時間の増加が生産能力を圧迫することから、グローブボックスの生産ラインを増設する等の必要性に迫られる恐れがある。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、組立に掛かる手間および時間を低減することができるグローブボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るグローブボックスは、車両室内に回動自在に設けられ、回動して開閉するアウター部と、前記アウター部の閉状態を解除可能にロックする棒状のロック部と、前記アウター部の閉状態のロックを解除するための操作部と、前記操作部と前記ロック部とを連動させる連動部と、前記操作部および前記連動部が設けられるベース部と、を有するロック機構と、前記ロック部が突没可能な貫通孔を有し、前記ロック部および前記ロック機構が組付けられた前記アウター部の内壁部を閉じるインナー部と、前記アウター部の内壁部と前記ロック機構とを互いに直線方向に組付ける嵌合部と、前記直線方向に開口する凹状に形成され、前記ロック部を受ける受け座部と、を備え、前記インナー部は、前記アウター部の内壁部側から前記貫通孔に向かって前記インナー部の内側に傾斜する傾斜部を有し、前記傾斜部は、前記アウター部と前記インナー部との組付けの際において、前記ロック部の長手方向の先端部と摺接する、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るグローブボックスは、上記の発明において、前記ベース部は、前記操作部を回動自在に軸支するとともに囲う凹状に形成され、前記アウター部は、前記操作部を前記アウター部の外壁部側に露出させる開口部と、前記開口部の縁に沿って前記アウター部の内壁部側に凸状に形成され、前記ベース部の端部と重なり合うように接合されて、前記操作部の操作空間を形成する凸状部と、前記凸状部の端部から離間して前記凸状部の外壁部に設けられ、前記ベース部の端部と接触して、前記凸状部に対する前記ベース部の接合位置を規制するガイド部と、を有し、前記操作部は、前記ベース部の端部から内側に離間し、前記ベース部の端部と前記操作部との離間距離は、前記凸状部の端部と前記ガイド部との離間距離よりも大きく、前記アウター部の内壁部からの前記ガイド部の最大高さは、前記アウター部の内壁部からの前記ロック機構の最大高さ以下である、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るグローブボックスは、上記の発明において、前記アウター部は、前記凸状部の頂部側から前記開口部側に下る傾斜状の第1係合部を有し、前記ベース部は、前記凸状部との接合において前記第1係合部と係合する傾斜状の第2係合部を有する、ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係るグローブボックスは、上記の発明において、前記連動部は、前記ロック部と嵌合する嵌合ピンを有し、前記ベース部に回動自在に軸支されて回動を前記ロック部の長手方向の往復動作に変換し、前記ベース部は、前記嵌合ピンと嵌合した状態の前記ロック部の揺動を抑制する爪部を有し、前記ロック部は、前記ロック部の長手方向に対して垂直な幅方向に長い孔であり、前記嵌合ピンが嵌入される嵌合孔と、前記ロック部の長手方向に長い孔であり、前記爪部が嵌入される爪孔と、を有し、前記爪部は、前記連動部の回動中心から前記嵌合孔の長手方向の外側へ向かう方向とは逆方向に突起して、前記爪孔の縁部と重なり合う、ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るグローブボックスは、上記の発明において、前記ロック部は、前記アウター部の回動方向の荷重を受ける受け面を有し、前記受け面は、円弧形状に形成されている、ことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係るグローブボックスは、上記の発明において、前記連動部の動作に伴う前記ロック部の動作方向を前記ロック部の長手方向に規制する規制ピンをさらに備え、前記ロック部は、前記ロック部の長手方向に長い孔であり、前記規制ピンが挿通される規制孔を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、グローブボックスの組立に掛かる手間および時間を低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の実施形態に係るグローブボックスの一構成例を示す表側斜視図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係るグローブボックスの一構成例を示す裏側斜視図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係るグローブボックスの内部構成の一例を示す斜視図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係るグローブボックスのアウター部の一構成例を示す表側斜視図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係るグローブボックスのアウター部の一構成例を示す裏側斜視図である。
図6図6は、アウター部とロック機構とを組付けた状態を示す図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係るグローブボックスのロック部の一構成例を示す斜視図である。
図8図8は、本発明の実施形態におけるロック部の第1ロッドの一構成例を示す図である。
図9図9は、図8に示す第1ロッドを先端側から見た図である。
図10図10は、グローブボックスのインナー部側壁の貫通孔から第1ロッドの突没部が突出した状態を示す図である。
図11図11は、本発明の実施形態におけるロック部の第2ロッドの一構成例を示す図である。
図12図12は、本発明の実施形態におけるロック機構の一構成例を示す斜視図である。
図13図13は、図12に示すロック機構を操作部側から見た斜視図である。
図14図14は、図12に示すロック機構の分解図である。
図15図15は、図12に示すロック機構にロック部を組付けた状態を示す斜視図である。
図16図16は、本発明の実施形態におけるロック機構の操作部の一構成例を示す図である。
図17図17は、本発明の実施形態におけるロック機構の連動部の一構成例を示す図である。
図18図18は、本発明の実施形態におけるロック機構のベース部の一構成例を示す斜視図である。
図19図19は、図18に示すベース部の内側構成の一例を示す斜視図である。
図20図20は、第2ロッドの揺動を抑制するための爪部と爪孔の縁部との重なり合いの状態を示す図である。
図21図21は、本発明の実施形態に係るグローブボックスのインナー部の一構成例を示す斜視図である。
図22図22は、図21に示すインナー部の内部構成の一例を示す斜視図である。
図23図23は、図21に示すインナー部のA-A線断面模式図である。
図24図24は、本発明の実施形態におけるロック部とロック機構との組付けの一例を示す図である。
図25図25は、本発明の実施形態におけるアウター部に対するロック組立品の組付けの一例を示す図である。
図26図26は、本発明の実施形態におけるアウター部の凸状部とロック組立品のベース部との接合時の位置関係を示す図である。
図27A図27Aは、ロック組立品が組付けられたアウター部の開口部近傍を外壁部側から見た図である。
図27B図27Bは、ロック組立品のベース部とアウター部の凸状部との見切り線の一例を示す図である。
図28図28は、本発明の実施形態におけるアウター部に対するインナー部の組付けの一例を示す斜視図である。
図29図29は、図28に示すアウター部とインナー部との組付けの一例を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、添付図面を参照して、本発明に係るグローブボックスの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、各図面において、同一構成部分には同一符号が付されている。
【0019】
(グローブボックスの構成)
まず、本発明の実施形態に係るグローブボックスの構成について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るグローブボックスの一構成例を示す表側斜視図である。図1には、このグローブボックス10を表側(アウター部1側)から見た図が示されている。図2は、本発明の実施形態に係るグローブボックスの一構成例を示す裏側斜視図である。図2には、このグローブボックス10を裏側(インナー部4側)から見た図が示されている。図3は、本発明の実施形態に係るグローブボックスの内部構成の一例を示す斜視図である。図3には、図2に示すグローブボックス10からインナー部4を除いた図が示されている。
【0020】
本発明の実施形態に係るグローブボックス10は、自動車のインストルメントパネル等の車両室内に開閉可能に設けられ、物品を出し入れ可能に収納する収納装置である。詳細には、図1~3に示すように、グローブボックス10は、開閉可能なリッドとしての機能を有するアウター部1と、アウター部1の閉状態を解除可能にロックするロック部2と、ロック部2を作動させるためのロック機構3と、物品の収納機能を有するインナー部4と、を備える。
【0021】
アウター部1の外壁部11は、グローブボックス10の表側の壁部である。アウター部1が閉状態である場合、この外壁部11は、例えばインストルメントパネルの外表面(座席側の壁面)の一部をなす。アウター部1の内壁部12は、この外壁部11とは反対側の壁部である。図3に示すように、アウター部1の内壁部12には、ロック機構3が嵌合部5、6によって組付けられる。このとき、図1に示すように、アウター部1に形成された開口部13を介して、ロック機構3のノブ側がアウター部1の外壁部11側に露出した状態となっている。
【0022】
また、図3に示すように、ロック部2は、長短一対のロッドである第1ロッド2Aおよび第2ロッド2Bからなる。第1ロッド2Aおよび第2ロッド2Bは、互いに長手方向の反対側に先端部を向けた態様で、ロック機構3に各々組付けられる。このとき、第1ロッド2Aの先端部は、凹状の受け座部7に受けられている。第2ロッド2Bの先端部は、凹状の受け座部8に受けられている。
【0023】
また、図1、2に示すように、インナー部4は、アウター部1の内壁部12との間にロック部2およびロック機構3を覆うように、アウター部1に組付けられる。このインナー部4によって、グローブボックス10における物品の収納空間が形成される。ロック部2の先端部は、例えば図1、2に示される第1ロッド2Aの先端部のように、インナー部4の側壁部に形成された貫通孔を介して突没可能となっている。
【0024】
特に図示しないが、上記のようなグローブボックス10は、例えば、車両室内においてインストルメントパネルにおける助手席側の一部分に設けられる。このグローブボックス10において、アウター部1がインナー部4をインストルメントパネルの内側に閉塞した場合、この状態のアウター部1は閉状態である。すなわち、グローブボックス10は、閉状態である。このとき、ロック部2の先端部は、インナー部4の側壁部の貫通孔から突出し、インストルメントパネル内の側壁に形成された孔(以下、ロック孔という)と係合する。これにより、上記アウター部1の閉状態がロックされる。一方、アウター部1がインナー部4をインストルメントパネルの内側から車両室内の座席側へ開放した場合、この状態のアウター部1は開状態である。すなわち、グローブボックス10は、開状態である。このとき、ロック部2の先端部は、上記貫通孔を介してインナー部4の内側へ移動して、上記ロック孔との係合を解除する。これにより、上記アウター部1の閉状態のロックが解除される。
【0025】
なお、本実施形態において、グローブボックス10は、図1、3に示すように、アウター部1の外壁部11に向かって中央から幅方向の一端側(例えば図1の紙面左側)に偏った位置にロック機構3が設けられている。これにより、例えば、助手席側に位置するグローブボックス10のロック機構3は、運転席からユーザの手が届きやすく、容易に操作可能になっている。すなわち、このグローブボックス10は、左ハンドル型の車両に好適なものである。特に図示しないが、グローブボックス10は、アウター部1の外壁部11に向かって中央から幅方向の他端側(例えば図1の紙面右側)に偏った位置にロック機構3を備えたもの、すなわち、右ハンドル型の車両に好適なものであってもよい。
【0026】
以下、グローブボックス10を構成するアウター部1、ロック部2、ロック機構3およびインナー部4等の各構成部について、詳細に説明する。
【0027】
(アウター部の構成)
アウター部1の構成について詳細に説明する。図4は、本発明の実施形態に係るグローブボックスのアウター部の一構成例を示す表側斜視図である。図5は、本発明の実施形態に係るグローブボックスのアウター部の一構成例を示す裏側斜視図である。図6は、アウター部とロック機構とを組付けた状態を示す図である。
【0028】
アウター部1は、車両室内に回動自在に設けられ、回動して開閉するものである。詳細には、図4~6に示すように、アウター部1は、開口部13と、凸状部14と、ガイド部15と、第1係合部16と、嵌合爪17と、軸支部18とを備える。
【0029】
開口部13は、図3に示したようにアウター部1の内壁部12に組付けられたロック機構3の操作部(後述する)をアウター部1の外壁部11側に露出させるものである(図1参照)。例えば、図4、5に示すように、開口部13は、アウター部1の外壁部11側と内壁部12側とを通じさせるように、アウター部1の所定の部位(ロック機構3が組付けられる部位)に形成される。この開口部13の開口サイズは、ロック機構3のベース部37のサイズに応じて設定されることが好ましい。
【0030】
凸状部14は、図4、5に示すように、開口部13の縁に沿って、アウター部1の内壁部12側に凸状に形成される。凸状部14の端部14aは、図6に示すように、ロック機構3のベース部37の端部と重なり合うように接合される。これにより、凸状部14は、アウター部1の外壁部11側から内壁部12側に凹む空間、すなわち、ロック機構3の操作部(具体的には後述するノブ)を操作するための空間である操作空間を形成する。
【0031】
ガイド部15は、凸状部14に対するロック機構3のベース部37の接合位置を規制するものである。詳細には、図5、6に示すように、ガイド部15は、凸状部14の側壁部から頂部に亘って突起するリブ状をなし、凸状部14の端部14aから所定の距離離間するように、凸状部14の外壁部に設けられる。このガイド部15の、アウター部1の内壁部12からの最大高さH1は、ロック機構3の最大高さH2以下である。本明細書において、ロック機構3の最大高さH2は、アウター部1の内壁部12に組付けられたロック機構3の、アウター部1の内壁部12からの最大高さである。例えば、図6に示すように、ロック機構3の最大高さH2は、アウター部1の内壁部12から、ロック機構3のベース部37に設けられた受け座部7の上端部までの高さである。このようなガイド部15は、アウター部1の内壁部12にロック機構3が組付けられる際、ベース部37の端部と接触する。これにより、ガイド部15は、ベース部37の端部を凸状部14に対する接合位置へ案内するとともに、凸状部14に対するベース部37の接合位置を、ベース部37と凸状部14との重なり合う領域が過大とならないように規制する。
【0032】
第1係合部16は、ロック機構3のベース部37の内壁部に形成された第2係合部(後述する)と係合して、ベース部37と凸状部14との見切り線を形成する。詳細には、図5、6に示すように、第1係合部16は、開口部13を挟んで対向する凸状部14の両側の側壁に沿って、凸状部14の頂部側から開口部13側に下る傾斜状に形成される。このような第1係合部16は、アウター部1の内壁部12にロック機構3が組付けられた際、ベース部37の第2係合部と係合し、これにより、ベース部37と凸状部14との見切り線を、ロック機構3の操作部の奥側(凸状部14の頂部側)に隠れるように形成する。
【0033】
嵌合爪17は、アウター部1とインナー部4とを互いに組付けるためのものである。例えば、図5に示すように、嵌合爪17は、アウター部1の周縁部に沿って複数、内壁部12に立設される。このような嵌合爪17は、アウター部1にインナー部4が組付けられる際、インナー部4の嵌合孔(図示せず)と嵌合する。
【0034】
軸支部18は、車両室内にアウター部1を回動自在に設けるためのものである。例えば、図4、5に示すように、軸支部18は、アウター部1の内壁部12から下端部側へ延在するアーム状に形成され、内壁部12に複数設けられる。軸支部18は、例えば車両室内の所定部位(例えばインストルメントパネル)に設けられた回動軸(図示せず)に取り付けられる。アウター部1は、この軸支部18が軸支する回動軸を中心に回動自在であり、回動して開閉する。
【0035】
また、アウター部1は、図5に示すように、ロック機構3を組付けるための嵌合爪5aおよび嵌合孔6bと、ロック部2を受ける受け座部8と、を備えている。嵌合爪5aは、例えば図5、6に示すように、開口部13の端部(凸状部14とは反対側の端部)の近傍に配置され、アウター部1の内壁部12に立設される。嵌合爪5aは、アウター部1の内壁部12にロック機構3が組付けられる際、ベース部37の嵌合孔5bと嵌合する。すなわち、これら互いに嵌合し合う嵌合爪5aおよび嵌合孔5bは、アウター部1とロック機構3とを互いに直線方向に組付ける嵌合部5を構成する。
【0036】
嵌合孔6bは、例えば図5、6に示すように、凸状部14の頂部に設けられる。嵌合孔6bは、アウター部1の内壁部12にロック機構3が組付けられる際、ベース部37の嵌合爪6aと嵌合する。すなわち、これら互いに嵌合し合う嵌合爪6aおよび嵌合孔6bは、アウター部1とロック機構3とを互いに直線方向に組付ける嵌合部6を構成する。これら嵌合爪6aおよび嵌合孔6bの嵌合方向は、上述した嵌合爪5aおよび嵌合孔5bの嵌合方向と同じ直線方向である。
【0037】
受け座部8は、ロック部2を受ける受け座部の一例である。詳細には、図5に示すように、受け座部8は、上述した嵌合部5、6の各嵌合方向と同じ直線方向に開口する凹状に形成され、アウター部1の内壁部12に設けられる。受け座部8は、ロック機構3に組付けられる長短一対のロック部2(図3参照)のうち、長い方の第2ロッド2Bを受ける。より詳細には、受け座部8は、第2ロッド2Bの先端部を、その長手方向に往復動作可能な状態で受ける。
【0038】
(ロック部の構成)
ロック部2の構成について詳細に説明する。図7は、本発明の実施形態に係るグローブボックスのロック部の一構成例を示す斜視図である。図7には、上述したアウター部1の内壁部12側(図3参照)から見たロック部2が図示されている。ロック部2は、上述したアウター部1の閉状態を解除可能にロックする棒状の構造体であり、例えば図7に示すように、長短一対の第1ロッド2Aおよび第2ロッド2Bからなる。このロック部2のうち、第1ロッド2Aは短い方のロッドであり、第2ロッド2Bは長い方のロッドである。以下、第1ロッド2Aおよび第2ロッド2Bの各構成について詳細に説明する。
【0039】
<第1ロッドの構成>
ロック部2の第1ロッド2Aの構成について詳細に説明する。図8は、本発明の実施形態におけるロック部の第1ロッドの一構成例を示す図である。図9は、図8に示す第1ロッドを先端側から見た図である。図9には、図8に示す第1ロッド2Aの突没部21Aを先端側(図8中の太線矢印の方向)から見た図が示されている。図8、9に示すように、第1ロッド2Aは、突没部21Aと、基端部22Aと、連結部23Aと、嵌合孔24Aと、規制孔25Aと、受け面27A、28Aとを有する。なお、図8において、長手方向F1は第1ロッド2Aの長手方向であり、幅方向F2は、第1ロッド2Aの幅方向である。これらの長手方向F1および幅方向F2は、互いに垂直な方向である。
【0040】
突没部21Aは、第1ロッド2Aの長手方向F1の先端部であり、第1ロッド2Aが長手方向F1に往復動作した際、インナー部4の貫通孔(後述する)を通じて突没する。基端部22Aは、ロック機構3の連動部(後述する)に組付けられる部分である。連結部23Aは、突没部21Aと基端部22Aとを一体に連結する部分である。例えば、図8に示すように、連結部23Aは、突没部21Aと基端部22Aとを、互いに第1ロッド2Aの幅方向F2に離間した位置関係となるように連結している。
【0041】
嵌合孔24Aは、第1ロッド2Aをロック機構3の連動部に組付けるための孔である。詳細には、図8に示すように、嵌合孔24Aは、ロック部2の長手方向(図8では第1ロッド2Aの長手方向F1)に対して垂直な幅方向F2に長い孔であり、基端部22Aの一端部側(突没部21Aとは反対側の端部側)に形成されている。この嵌合孔24Aには、ロック機構3の連動部に第1ロッド2Aが組付けられる際、この連動部の嵌合ピン(後述する)が嵌入される。
【0042】
規制孔25Aは、第1ロッド2Aの動作方向を規制するための孔である。詳細には、図8に示すように、規制孔25Aは、第1ロッド2Aの長手方向F1に長い孔であり、基端部22Aにおける嵌合孔24Aよりも突没部21A側に形成されている。この規制孔25Aには、ロック機構3の連動部に第1ロッド2Aが組付けられる際、ロック機構3の規制ピン(後述する)が挿通される。
【0043】
受け面27A、28Aは、アウター部1の回動方向F3(図9参照)の荷重を受ける面である。詳細には、図9に示すように、受け面27Aは、第1ロッド2Aの厚さ方向の両端のうちの一端面であり、受け面28Aは、当該厚さ方向の両端のうちの他端面である。これらの受け面27A、28Aは、各々、円弧形状に形成されており、回動方向F3と交差する。すなわち、受け面27A、28Aは、各々、回動方向F3の荷重を受ける。
【0044】
なお、第1ロッド2Aの厚さ方向は、第1ロッド2Aの長手方向F1および幅方向F2(図8参照)に対して垂直な方向である。また、アウター部1の回動方向F3の荷重は、グローブボックス10の自重によって回動方向F3に掛かる荷重である。
【0045】
図10は、グローブボックスのインナー部側壁の貫通孔から第1ロッドの突没部が突出した状態を示す図である。図10に示すように、第1ロッド2Aは、インナー部4の側壁部に形成された貫通孔を介して突没部21Aを突出させる。この状態において、突没部21Aは、受け面27A、28Aに回動方向F3の荷重を受ける。例えば、受け面27Aは、回動方向F3の荷重として、インナー部4の貫通孔の縁部からグローブボックス10の自重を受ける。受け面28Aは、突没部21Aが車両室内のロック孔(図示せず)と係合した際において、回動方向F3の荷重として、当該ロック孔の内壁面からグローブボックス10の自重を受ける。
【0046】
このような受け面27A、28Aは、突没部21Aに掛かる回動方向F3の荷重の偏りを抑制するという観点から、回動方向F3と直交する面であることが好ましい。具体的には、図10に示すように、受け面28Aの基準方向F4と接線方向F5とのなす角度θは直角(90°)であることが好ましい。ここで、基準方向F4は、アウター部1の回動中心軸(グローブボックス10の回動中心軸)と直交し且つ受け面28Aに接する方向である。接線方向F5は、回動方向F3と受け面28Aとの交点において回動方向F3に接する方向である。特に図示しないが、基準方向F4を、アウター部1の回動中心軸と直交し且つ受け面27Aに接する方向とし、接線方向F5を、回動方向F3と受け面27Aとの交点において回動方向F3に接する方向とした場合、受け面27Aについても、基準方向F4と接線方向F5とのなす角度θは直角であることが好ましい。
【0047】
<第2ロッドの構成>
ロック部2の第2ロッド2Bの構成について詳細に説明する。図11は、本発明の実施形態におけるロック部の第2ロッドの一構成例を示す図である。図11には、説明の便宜上、図7に示す第2ロッド2Bのうち連結部23Bおよびその近傍部を省略した図が示されている。図7、11に示すように、第2ロッド2Bは、突没部21Bと、基端部22Bと、連結部23Bと、嵌合孔24Bと、規制孔25Bと、爪孔26Bと、受け面27B、28Bとを有する。なお、図11において、長手方向F1は第2ロッド2Bの長手方向であり、幅方向F2は、第2ロッド2Bの幅方向である。これらの長手方向F1および幅方向F2は、図8に示した第1ロッド2Aの長手方向および幅方向と同様である。
【0048】
突没部21Bは、第2ロッド2Bの長手方向F1の先端部であり、第2ロッド2Bが長手方向F1に往復動作した際、インナー部4の貫通孔を通じて突没する。基端部22Bは、ロック機構3の連動部に組付けられる部分である。連結部23Bは、突没部21Bと基端部22Bとを一体に連結する部分である。例えば、図7、11に示すように、連結部23Bは、突没部21Bと基端部22Bとを、互いに第2ロッド2Bの幅方向F2に離間した位置関係となるように連結している。
【0049】
嵌合孔24Bは、第2ロッド2Bをロック機構3の連動部に組付けるための孔である。詳細には、図11に示すように、嵌合孔24Bは、ロック部2の長手方向(図11では第2ロッド2Bの長手方向F1)に対して垂直な幅方向F2に長い孔であり、基端部22Bの一端部側(突没部21Bとは反対側の端部側)に形成されている。この嵌合孔24Bには、ロック機構3の連動部に第2ロッド2Bが組付けられる際、この連動部の嵌合ピン(後述する)が嵌入される。
【0050】
規制孔25Bは、第2ロッド2Bの動作方向を規制するための孔である。詳細には、図11に示すように、規制孔25Bは、第2ロッド2Bの長手方向F1に長い孔であり、基端部22Bにおける嵌合孔24Bよりも突没部21B側に形成されている。この規制孔25Bには、ロック機構3の連動部に第2ロッド2Bが組付けられる際、ロック機構3の規制ピン(後述する)が挿通される。
【0051】
爪孔26Bは、第2ロッド2Bの揺動を抑制するための孔である。詳細には、図11に示すように、爪孔26Bは、第2ロッド2Bの長手方向F1に長い孔であり、基端部22Bにおける規制孔25Bよりも突没部21B側に形成されている。この爪孔26Bには、ロック機構3の連動部に第2ロッド2Bが組付けられる際、ロック機構3の爪部(後述する)が嵌入される。また、図11に示すように、爪孔26Bは、当該爪部の突起と重なり合う縁部29Bを有している。
【0052】
受け面27B、28Bは、アウター部1の回動方向F3の荷重を受ける面である。詳細には、図7、11に示すように、受け面27Bは、第2ロッド2Bの厚さ方向の両端のうちの一端面であり、受け面28Bは、当該厚さ方向の両端のうちの他端面である。これらの受け面27B、28Bは、各々、上述した第1ロッド2Aの受け面27A、28Aと同様に、円弧形状に形成され且つ回動方向F3と交差する。すなわち、受け面27B、28Bの各々が受ける回動方向F3の荷重は、上述した第1ロッド2Aの受け面27A、28Aと同様である。
【0053】
(ロック機構の構成)
ロック機構3の構成について詳細に説明する。図12は、本発明の実施形態におけるロック機構の一構成例を示す斜視図である。図12には、このロック機構3を連動部側から見た図が示されている。図13は、図12に示すロック機構を操作部側から見た斜視図である。図14は、図12に示すロック機構の分解図である。図15は、図12に示すロック機構にロック部を組付けた状態を示す斜視図である。
【0054】
ロック機構3は、上述したアウター部1の閉状態を解除可能にロックするロック部2を、ユーザの操作に応じて作動させるものである。図12~15に示すように、ロック機構3は、操作部31と、連動部34と、ベース部37とを備える。以下、ロック機構3の操作部31、連動部34およびベース部37の各構成について詳細に説明する。
【0055】
<操作部の構成>
操作部31の構成について詳細に説明する。図16は、本発明の実施形態におけるロック機構の操作部の一構成例を示す図である。操作部31は、アウター部1の閉状態のロックを解除するためのものである。詳細には、図13、14、16に示すように、操作部31は、ユーザに操作されるノブ32と、ノブ32に付勢力を付与するばね33とを有する。
【0056】
ノブ32は、アウター部1の閉状態のロックを解除する操作を行うためのものである。図16に示すように、ノブ32は、回動軸32aと、作用部32bとを有する。ノブ32は、回動軸32aがベース部37(図13、14参照)に軸支されることにより、ベース部37に回動自在に組付けられる。ノブ32がベース部37に組付けられた際、ノブ32の作用部32bは、凹状のベース部37の内側に配置される。詳細には、図16に示すように、この作用部32bは、ベース部37に組付けられた連動部34のリンク部35の突起部35gと対向する。ノブ32は、ユーザの操作に応じて、回動軸32aを中心に回動するとともに、作用部32bにより、リンク部35の突起部35gを押圧する。これにより、ノブ32は、リンク部35を作動(回動)させる。
【0057】
ばね33は、図13、14に示すように、ベース部37の内側とノブ32の裏側との間に介在するように配置される。ばね33は、常に自然長よりも縮んだ状態にあり、ノブ32を回動前の初期状態にする方向の付勢力を付与する。ばね33は、図16に示すようにノブ32が回動した際、この回動したノブ32を、上記付勢力によって初期状態に戻す。
【0058】
<連動部の構成>
連動部34の構成について詳細に説明する。図17は、本発明の実施形態におけるロック機構の連動部の一構成例を示す図である。連動部34は、上述した操作部31とロック部2(具体的には第1ロッド2Aおよび第2ロッド2B)とを連動させるものである。詳細には、図12~15、17に示すように、連動部34は、操作部31の動作に応じてロック部2を動作させるリンク部35と、リンク部35に付勢力を付与するばね36とを有する。
【0059】
リンク部35は、ベース部37に回動自在に軸支されて、自身の回動をロック部2の長手方向F1の往復動作に変換する。詳細には、図17に示すように、リンク部35は、回動軸部35aと、第1アーム部35bと、第1嵌合ピン35cと、第2アーム部35dと、第2嵌合ピン35eと、第3アーム部35fとを有する。また、図16に示すように、リンク部35は、突起部35gを有する。
【0060】
回動軸部35aは、リンク部35の回動の中心軸となるものである。図17に示すように、回動軸部35aは、ベース部37の軸支部37aに回動自在に軸支される。これにより、リンク部35は、ベース部37に対して回動自在に組付けられる。
【0061】
第1アーム部35bは、リンク部35の回動を第1ロッド2Aの長手方向F1の往復動作に変換するものである。詳細には、図17に示すように、第1アーム部35bは、回動軸部35aからリンク部35の回動の径方向に延在するように形成される。この第1アーム部35bの表面には、第1嵌合ピン35cが立設されている。第1嵌合ピン35cは、ロック部2と嵌合する嵌合ピンの一つである。具体的には、図17に示すように、第1嵌合ピン35cは、第1ロッド2Aの嵌合孔24Aに嵌入される。例えば、第1嵌合ピン35cと嵌合孔24Aとの嵌合方向は、リンク部35の回動軸部35aとベース部37の回動軸部37bとの嵌合方向と同じ直線方向である。
【0062】
また、図16に示すように、第1アーム部35bの裏面には、上述したノブ32の作用部32bと接触する突起部35gが設けられている。この突起部35gは、ベース部37に形成された挿通孔37dに挿通されて、この作用部32bの近傍に配置される。
【0063】
第2アーム部35dは、リンク部35の回動を第2ロッド2Bの長手方向F1の往復動作に変換するものである。詳細には、図17に示すように、第2アーム部35dは、回動軸部35aからリンク部35の回動の径方向(例えば上記第1アーム部35bとは反対方向)に延在するように形成される。この第2アーム部35dの表面には、第2嵌合ピン35eが立設されている。第2嵌合ピン35eは、ロック部2と嵌合する嵌合ピンの一つである。具体的には、図17に示すように、第2嵌合ピン35eは、第2ロッド2Bの嵌合孔24Bに嵌入される。例えば、第2嵌合ピン35eと嵌合孔24Bとの嵌合方向は、上述した第1嵌合ピン35cと嵌合孔24Aとの嵌合方向と同じ直線方向である。
【0064】
第3アーム部35fは、図17に示すように、回動軸部35aから、リンク部35の回動の径方向であって上述した第1アーム部35bおよび第2アーム部35dとは異なる方向に延在するように形成される。第3アーム部35fは、ベース部37に組付けられたばね36の延在部と接触し、この延在部を介して、ばね36の付勢力を受ける。
【0065】
ばね36は、図17に示すように、ベース部37のばねピン37cに組付けられる。また、図17に示すように、ばね36は、2つの延在部を有する。これら2つの延在部のうち、一方の延在部は、上述したリンク部35の第3アーム部35fと接触している。他方の延在部は、ベース部37の所定部に嵌め込まれている。ばね36は、上記延在部を介して常に、リンク部35を回動前の初期状態にする方向の付勢力を第3アーム部35fに付与する。リンク部35は、上述したノブ32の回動に連動して回動した後、上記ばね36の付勢力により、回動前の初期状態に戻る。
【0066】
上述した構成を有する連動部34は、ノブ32の回動に応じて、回動軸部35aを中心にリンク部35を所定方向(図17では反時計回りの方向)に回動させる。これにより、連動部34は、第1ロッド2Aおよび第2ロッド2Bを、各々の突没部21A、21Bがインナー部4の内側へ没入するよう、長手方向F1における互いに逆方向に移動させる。この結果、アウター部1の閉状態のロックが解除される。その後、連動部34は、ばね36の付勢力により、回動軸部35aを中心にリンク部35を上記所定方向とは反対方向(図17では時計回りの方向)に回動させる。これにより、連動部34は、第1ロッド2Aおよび第2ロッド2Bを、各々の突没部21A、21Bがインナー部4の外側へ突出するよう、長手方向F1における互いに逆方向に移動させる。
【0067】
<ベース部の構成>
ベース部37の構成について詳細に説明する。図18は、本発明の実施形態におけるロック機構のベース部の一構成例を示す斜視図である。図19は、図18に示すベース部の内側構成の一例を示す斜視図である。ベース部37は、上述した操作部31および連動部34が設けられる構造体である。詳細には、ベース部37は、上述した操作部31のノブ32を回動自在に軸支するとともに囲う凹状(図13参照)に形成された構造体であり、図18に示すように、嵌合孔5bと、嵌合爪6aと、受け座部7とを有する。
【0068】
嵌合孔5bは、例えば図18、19に示すように、ベース部37の開口端部(端部37f)とは反対側の端部に設けられる。嵌合孔5bは、アウター部1の凸状部14にベース部37が組付けられる際、アウター部1の嵌合爪5aと嵌合する。嵌合爪6aは、例えば図18、19に示すように、ベース部37の端部37f側の上部に設けられる。嵌合爪6aは、アウター部1の凸状部14にベース部37が組付けられる際、凸状部14の嵌合孔6bと嵌合する。
【0069】
受け座部7は、ロック部2を受ける受け座部の一例である。詳細には、図18、19に示すように、受け座部7は、上述したリンク部35の嵌合ピンとロック部2の嵌合孔との嵌合方向と同じ直線方向に開口する凹状に形成され、例えば、ベース部37の端部37fとは反対側の端部に設けられる。ここで、リンク部35の嵌合ピンとしては、上述した第1嵌合ピン35cおよび第2嵌合ピン35e(図17参照)が挙げられる。ロック部2の嵌合孔としては、第1ロッド2Aの嵌合孔24Aおよび第2ロッド2Bの嵌合孔24Bが挙げられる。また、受け座部7は、上述した第2ロッド2Bを受ける受け座部8(図3、5参照)の凹状と同じ向きに開口することが好ましい。受け座部7は、ロック機構3に組付けられる長短一対のロック部2(図3参照)のうち、短い方の第1ロッド2Aを受ける。より詳細には、受け座部7は、第1ロッド2Aの先端部(図15等に示す突没部21A)を、その長手方向F1に往復動作可能な状態で受ける。
【0070】
また、ベース部37は、図18、19に示すように、軸支部37aと、回動軸部37bと、ばねピン37cと、挿通孔37dと、第2係合部37eと、規制ピン38a、38bと、爪部39とをさらに有する。
【0071】
軸支部37aは、上述した操作部31のノブ32を回動自在に軸支するための貫通孔であり、図18、19に示すように、凹状のベース部37の各側壁部に形成されている。軸支部37aには、ノブ32の回動軸32a(図16参照)が回動自在に嵌入される。回動軸部37bは、上述したリンク部35の回動軸部35aと嵌合されるピン状の構造体であり、図18、19に示すように、ベース部37の上部に立設される。回動軸部37bは、リンク部35の回動軸部35aの回動中心部に形成された貫通孔に嵌入される。これら回動軸部35a、37b同士の嵌合方向は、リンク部35の嵌合ピンとロック部2の嵌合孔との嵌合方向と同じ直線方向であることが好ましい。
【0072】
ばねピン37cは、上述した連動部34のばね36(図17参照)を組付けるためのピンである。ばねピン37cは、図18、19に示すように、ベース部37の上部に立設される。挿通孔37dは、上述したリンク部35の突起部35g(図16参照)を挿通する貫通孔である。挿通孔37dは、例えば図18に示すように、リンク部35の第3アーム部35fの回動軌跡に沿って形成される。
【0073】
第2係合部37eは、上述したアウター部1の凸状部14に形成された第1係合部16と係合して、ベース部37と凸状部14との見切り線を形成する。詳細には、図19に示すように、第2係合部37eは、ベース部37の上部側から下部側(凹状の開口側)に下る傾斜状をなすように、ベース部37の内壁面に形成される。すなわち、第2係合部37eは、上述した第1係合部16と係合し得る傾斜状をなしている。このような第2係合部37eは、アウター部1の凸状部14にベース部37が組付けられた際、凸状部14の第1係合部16と係合し、これにより、ベース部37と凸状部14との見切り線を形成する。
【0074】
規制ピン38a、38bは、連動部34の動作に伴うロック部2の動作方向をロック部2の長手方向F1に規制するものである。詳細には、図18に示すように、規制ピン38aは、ベース部37において第1ロッド2Aの基端部22Aが配置される領域に立設される。規制ピン38aは、第1ロッド2Aの基端部22Aに形成されている規制孔25A(図8参照)に挿通される。この規制孔25Aに対する規制ピン38aの挿通方向は、上述したリンク部35の第1嵌合ピン35cと第1ロッド2Aの嵌合孔24Aとの嵌合方向と同じ直線方向であることが好ましい。規制ピン38aは、規制孔25Aに対して相対的に摺接することにより、第1ロッド2Aの動作方向を、この規制孔25Aの長手方向、すなわち第1ロッド2Aの長手方向F1に規制する。
【0075】
また、図18に示すように、規制ピン38bは、ベース部37において第2ロッド2Bの基端部22Bが配置される領域に立設される。規制ピン38bは、第2ロッド2Bの基端部22Bに形成されている規制孔25B(図11参照)に挿通される。この規制孔25Bに対する規制ピン38bの挿通方向は、上述したリンク部35の第2嵌合ピン35eと第2ロッド2Bの嵌合孔24Bとの嵌合方向と同じ直線方向であることが好ましい。規制ピン38bは、規制孔25Bに対して相対的に摺接することにより、第2ロッド2Bの動作方向を、この規制孔25Bの長手方向、すなわち第2ロッド2Bの長手方向F1に規制する。
【0076】
爪部39は、連動部34の嵌合ピンと嵌合した状態のロック部2の揺動、より具体的には、リンク部35の第2嵌合ピン35eに嵌合孔24Bを嵌合させた状態の第2ロッド2Bの揺動を抑制するものである。図18、19に示すように、爪部39は、先端部が鉤状に突起した構造体であり、ベース部37の端部37fの近傍であって第2ロッド2Bの基端部22Bが配置される領域に設けられている。爪部39は、リンク部35に第2ロッド2Bが組付けられる際、この第2ロッド2Bの基端部22Bの爪孔26Bに対して摺接可能に嵌入される。爪部39は、この爪孔26Bの縁部29Bと重なり合うことにより、第2ロッド2Bの揺動(例えば第2嵌合ピン35eを中心とする幅方向F2への揺動)を抑制する。これら爪部39と爪孔26Bとの嵌合方向は、上述したリンク部35の第2嵌合ピン35eと第2ロッド2Bの嵌合孔24Bとの嵌合方向と同じ直線方向であることが好ましい。
【0077】
図20は、第2ロッドの揺動を抑制するための爪部と爪孔の縁部との重なり合いの状態を示す図である。図20に示すように、爪部39は、第2ロッド2Bの嵌合孔24Bにおける第2嵌合ピン35eの逃げ方向F6とは逆方向(特定方向F7)に突起して、爪孔26Bの縁部29Bと重なり合う。
【0078】
ここで、第2ロッド2Bの嵌合孔24Bに嵌入された状態の第2嵌合ピン35eは、図20に示すように、リンク部35の回動に伴い、第2アーム部35dとともに回動する。このとき、第2嵌合ピン35eは、嵌合孔24Bの内部において、連動部34(リンク部35)の回動中心Cから嵌合孔24Bの長手方向の外側へ向かう方向に移動しつつ、嵌合孔24Bを伴って第2ロッド2Bの長手方向に移動する。このように第2嵌合ピン35eが回動時に回動中心Cから嵌合孔24Bの長手方向の外側へ移動する方向が、上記逃げ方向F6である。爪部39は、上述したように特定方向F7に突起した形状をなして爪孔26Bに嵌入された場合、たとえ第2ロッド2Bが揺動しようとしても、常に縁部29Bと重なり合った状態を維持し、第2ロッド2Bの揺動に抗して爪孔26Bと係合する。これにより、爪部39は、第2ロッド2Bの揺動を抑制することができる。
【0079】
(インナー部の構成)
インナー部4の構成について詳細に説明する。図21は、本発明の実施形態に係るグローブボックスのインナー部の一構成例を示す斜視図である。図22は、図21に示すインナー部の内部構成の一例を示す斜視図である。図23は、図21に示すインナー部のA-A線断面模式図である。インナー部4は、グローブボックス10の物品収納機能を担うとともに、ロック部2およびロック機構3が組付けられたアウター部1の内壁部12を、ロック部2が突没可能な状態で閉じるものである。詳細には、図21~23に示すように、インナー部4は、物品収納部41と、囲い部43と、嵌合孔46と、を有する。また、インナー部4は、囲い部43の側壁部に、突没口44、45と、傾斜部47、48とを有する。
【0080】
物品収納部41は、図21、22に示すように、上側に開口する有底の構造体であり、囲い部43の外壁部からインナー部4の背面側(アウター部1の組付け側とは反対側)へ延在するように、囲い部43と一体形成されている。物品収納部41は、囲い部43の外壁部との間に、物品を出し入れ可能に収納するための収納空間42を形成する。
【0081】
囲い部43は、上述したアウター部1の内壁部12との間に、ロック部2およびロック機構3を囲うものである。詳細には、図21、22に示すように、囲い部43は、部品を囲う内部空間を有してアウター部1の内壁部12(図3参照)を閉じる蓋状に形成される。この囲い部43の一部は、アウター部1の内壁部12に組付けられたロック部2およびロック機構3を囲う内部空間を有するために、凸状に形成されている。囲い部43は、アウター部1の内壁部12との間に、これらロック部2およびロック機構3を動作可能に囲って、当該内壁部12を閉じるようにアウター部1に組付けられる。例えば、図21、22に示すように、囲い部43には、嵌合孔46が複数形成されている。アウター部1にインナー部4が組付けられる際、これら複数の嵌合孔46の各々には、アウター部1の嵌合爪17(図5参照)が嵌入される。なお、これら複数の嵌合孔46と嵌合爪17との嵌合方向は、アウター部1の内壁部12にロック機構3を組付ける際の嵌合部5、6の嵌合方向と同じ直線方向であることが好ましい。
【0082】
また、図21~23に示すように、囲い部43は、突没口44、45と、傾斜部47、48とを有する。突没口44、45は、各々、ロック部2が突没可能な貫通孔である。詳細には、図22、23に示すように、突没口44、45は、各々、囲い部43の互いに対向する両側の側壁部に形成されている。一方の突没口44は、第1ロッド2Aの突没部21Aが突没する貫通孔である。他方の突没口45は、第2ロッド2Bの突没部21Bが突没する貫通孔である。
【0083】
傾斜部47、48は、アウター部1にインナー部4が組付けられる際、ロック部2の長手方向の各先端部をインナー部4の内側へ移動させるものである。詳細には、図23に示すように、傾斜部47は、囲い部43の互いに対向する両側の側壁部のうち、一方の側壁部に形成される。より詳細には、傾斜部47は、囲い部43の開口端部43aと突没口44との間に形成される。傾斜部47は、図23に示すように、囲い部43の開口端部43a側から突没口44に向かってインナー部4の内側に傾斜する。このような傾斜部47は、アウター部1とインナー部4との組付けの際において、第1ロッド2Aの突没部21Aと摺接し、当該組付けの進行に伴い、突没部21Aをインナー部4の内側へ移動させる。
【0084】
また、図23に示すように、傾斜部48は、囲い部43の互いに対向する両側の側壁部のうち、他方の側壁部に形成される。より詳細には、傾斜部48は、囲い部43の開口端部43aと突没口45との間に形成される。傾斜部48は、図23に示すように、囲い部43の開口端部43a側から突没口45に向かってインナー部4の内側に傾斜する。このような傾斜部48は、アウター部1とインナー部4との組付けの際において、第2ロッド2Bの突没部21Bと摺接し、当該組付けの進行に伴い、突没部21Bをインナー部4の内側へ移動させる。
【0085】
なお、囲い部43の開口端部43aは、アウター部1に対する囲い部43の組付け側の端部である。すなわち、囲い部43の開口端部43a側は、インナー部4が組付けられるアウター部1の内壁部12側と同じ意味である。
【0086】
(ロック部とロック機構との組付け)
ロック部2とロック機構3との組付けについて詳細に説明する。図24は、本発明の実施形態におけるロック部とロック機構との組付けの一例を示す図である。ロック部2とロック機構3との組付けにおいては、まず、ロック機構3の組立を説明し、その後、このロック機構3に対するロック部2の組付けを説明する。
【0087】
図24に示すように、操作部31をベース部37に組付ける場合、ばね33をベース部37の内部に組付け、このばね33をベース部37とノブ32との間に挟むように、ノブ32をベース部37の内部に組付ける。このとき、ノブ32をベース部37の内部に向かって直線方向に押し込みつつ、ノブ32の回動軸32aをベース部37の軸支部37aに嵌め入れる。
【0088】
また、連動部34をベース部37に組付ける場合、リンク部35の第1アーム部35bの突起部35gをベース部37の挿通孔37dに挿通するように、リンク部35の回動軸部35aとベース部37の回動軸部37bとを嵌合する。このとき、リンク部35の回動軸部35aの中央部に形成されている嵌合孔を、ベース部37の回動軸部37bに対して直線方向(回動軸部37bの軸方向)に嵌合する。続いて、ばね36をベース部37のばねピン37cに組付け、このばね36の一方の延在部をベース部37の切欠部に嵌め入れ、他方の延在部をリンク部35の第3アーム部35fに当接させる。
【0089】
以上のようにして、ロック機構3が組み立てられる。なお、ロック機構3の組立において、操作部31および連動部34の各部品の組付け順は、特に限定されず、所望の組付け順であってもよい。
【0090】
上述したように組み立てたロック機構3にロック部2を組付ける場合、図24に示すように、ロック機構3のリンク部35に第1ロッド2Aおよび第2ロッド2Bを組付ける。例えば、第1ロッド2Aをリンク部35に組付ける場合、第1ロッド2Aの規制孔25Aに規制ピン38aを挿通しつつ、第1ロッド2Aの嵌合孔24Aとリンク部35の第1嵌合ピン35cとを嵌合し、これに並行して、第1ロッド2Aの突没部21Aを受け座部7に取り付ける。このとき、規制孔25Aと規制ピン38aとの挿通方向と、嵌合孔24Aと第1嵌合ピン35cとの嵌合方向と、突没部21Aと受け座部7との取付方向(差し入れ方向)とは、互いに同じ直線方向である。
【0091】
また、第2ロッド2Bをリンク部35に組付ける場合、第2ロッド2Bの規制孔25Bに規制ピン38bを挿通しつつ、第2ロッド2Bの嵌合孔24Bとリンク部35の第2嵌合ピン35eとを嵌合し且つ第2ロッド2Bの爪孔26Bと爪部39とを嵌合する。このとき、規制孔25Bと規制ピン38bとの挿通方向と、嵌合孔24Bと第2嵌合ピン35eとの嵌合方向と、爪孔26Bと爪部39との嵌合方向とは、互いに同じ直線方向である。さらに、第2ロッド2Bとロック機構3との組付け方向は、上述した第1ロッド2Aとロック機構3との組付け方向と同じ直線方向である。
【0092】
以上のようにして、ロック機構3に対するロック部2の組付けが完了し、図24に示すように、ロック組立品9が得られる。ロック組立品9は、ロック機構3にロック部2が組付けられたものである。なお、ロック機構3に対するロック部2の組付けにおいて、第1ロッド2Aおよび第2ロッド2Bの組付け順は、特に限定されず、所望の組付け順であってもよい。
【0093】
(アウター部に対するロック組立品の組付け)
アウター部1に対するロック組立品9の組付けについて詳細に説明する。図25は、本発明の実施形態におけるアウター部に対するロック組立品の組付けの一例を示す図である。図25に示すように、ロック組立品9は、アウター部1の内壁部12側から開口部13を覆うように、凸状部14および受け座部8に組付けられる。
【0094】
詳細には、図25に示すように、ロック組立品9のベース部37をアウター部1の内壁部12側から凸状部14に近づけ、ベース部37の端部37fを、アウター部1の開口部13側からガイド部15に当接させる。続いて、ベース部37の端部37fをガイド部15に摺接させながら、ベース部37を開口部13および凸状部14に近づける。このようにガイド部15によって凸状部14に対するベース部37の接合位置を規制しながら、ベース部37の下端部と開口部13の縁部とを接合するとともに、ベース部37の端部37fと凸状部14とを接合する。このとき、ベース部37の嵌合孔5bとアウター部1の嵌合爪5aとを嵌合しつつ、ベース部37の嵌合爪6aと凸状部14の嵌合孔6bとを嵌合し、さらには、ベース部37の第2係合部37eとアウター部1の第1係合部16とを係合させる。これら嵌合爪5aと嵌合孔5bとの嵌合方向と、嵌合爪6aと嵌合孔6bとの嵌合方向と、第1係合部16と第2係合部37eとの係合方向とは、互いに同じ直線方向である。
【0095】
これに並行して、図25に示すように、ロック組立品9の第2ロッド2Bの突没部21Bを、アウター部1の受け座部8に取り付ける。このとき、突没部21Bと受け座部8との取付方向(差し入れ方向)は、上述した嵌合爪5aと嵌合孔5bとの嵌合方向および嵌合爪6aと嵌合孔6bとの嵌合方向と同じ直線方向である。
【0096】
図26は、本発明の実施形態におけるアウター部の凸状部とロック組立品のベース部との接合時の位置関係を示す図である。アウター部1の凸状部14に対するロック組立品9のベース部37(すなわちロック機構3のベース部37)の接合位置は、上述したように、ガイド部15によって規制される。すなわち、凸状部14とベース部37との接合時の位置関係は、ガイド部15を基準に設定される。
【0097】
詳細には、図26に示すように、ガイド部15は、アウター部1の内壁部12からの最大高さH1が凸状部14の頂部よりも大きくなるように、凸状部14の外壁部に設けられている。このため、凸状部14にベース部37を接合する際、このベース部37の端部37fをガイド部15に容易に接触(摺接)させることができる。
【0098】
また、図26に示すように、ベース部37に組付けられている操作部31のノブ32は、ベース部37の端部37fから内側に離間している。これらベース部37の端部37fと操作部31(より具体的にはノブ32の端部)との離間距離L1は、凸状部14の端部14a(頂部側の端部)とガイド部15との離間距離L2よりも大きい。このため、ベース部37と凸状部14とを接合する際、ベース部37の端部37fをガイド部15に接触させていれば、ベース部37内のノブ32と凸状部14の端部14aとが互いに離間し、ノブ32と凸状部14との接触が回避される。これにより、ノブ32を傷つけることなく、ベース部37と凸状部14とを接合することができる。また、ベース部37の端部37fとノブ32の端部との離間距離L1を、凸状部14の端部14aとガイド部15との離間距離L2を超えない程度に小さくできるので、ベース部37の小型化をし易くなり、この結果、ベース部37に要するコストを低減することができる。
【0099】
図27Aは、ロック組立品が組付けられたアウター部の開口部近傍を外壁部側から見た図である。図27Bは、ロック組立品のベース部とアウター部の凸状部との見切り線の一例を示す図である。なお、図27Bには、図27Aに示すアウター部1の外観からノブ32を除いた図が示されている。
【0100】
図27A、27Bに示すように、ロック機構3のベース部37とアウター部1の凸状部14とを接合した場合、アウター部1に操作空間31aが形成されるとともに、ベース部37と凸状部14との見切り線が形成される。操作空間31aは、アウター部1の開口部13を介して外壁部11側に露出するノブ32を操作する(回動させる)ための空間である。この操作空間31aは、ベース部37の内部空間と凸状部14の内部空間とを連通させることにより、アウター部1の開口部13から適度な奥行き(ノブ32の操作に適した奥行き)を有するように形成される。
【0101】
また、図27A、27Bに示すように、操作空間31aを囲う内壁面には、ベース部37と凸状部14との見切り線(以下、「操作空間31a内の見切り線」と略記する場合がある)が形成される。この操作空間31a内の見切れ線のうち、凸状部14の第1係合部16とベース部37の第2係合部37eとの係合による見切り線は、図27Bに示すように、操作空間31aの奥側から開口部13の近傍に至る内壁部に形成されている。
【0102】
ここで、第1係合部16および第2係合部37eは、上述したように、凸状部14の頂部側(図27A、27Bでは操作空間31aの奥側)から開口部13側に下る傾斜状に形成されている。このため、操作空間31a内の見切り線は、図27Aに示すように、ノブ32よりも奥側に隠れた状態になる。これにより、当該見切り線が見え難くなることから、操作空間31aの見た目が良好になり、延いては、グローブボックス10の外観の向上に寄与する。
【0103】
(アウター部に対するインナー部の組付け)
アウター部1に対するインナー部4の組付けについて詳細に説明する。図28は、本発明の実施形態におけるアウター部に対するインナー部の組付けの一例を示す斜視図である。図29は、図28に示すアウター部とインナー部との組付けの一例を示す断面模式図である。
【0104】
図28、29に示すように、アウター部1の内壁部12には上述のロック組立品9が組付けられており、インナー部4は、このロック組立品9を囲い部43の内部に囲うように、内壁部12側からアウター部1に組付けられる。このとき、インナー部4の囲い部43をアウター部1の内壁部12に押し付け、インナー部4の周縁部の嵌合孔(例えば図21、22に示す嵌合孔46)とアウター部1の周縁部の嵌合爪(例えば図5に示す嵌合爪17)とを嵌合する。
【0105】
また、上記アウター部1とインナー部4との組付けにおいては、図29に示すように、囲い部43が、一方の傾斜部47を第1ロッド2Aの突没部21Aに押し付けるとともに、他方の傾斜部48を第2ロッド2Bの突没部21Bに押し付ける(状態S1)。なお、第1ロッド2Aの突没部21Aは一方の受け座部7に受けられ、第2ロッド2Bの突没部21Bは他方の受け座部8に受けられている。
【0106】
続いて、アウター部1とインナー部4との組付けの進行に伴い、囲い部43は、アウター部1にさらに近づく。このとき、図29に示すように、囲い部43は、一方の傾斜部47を突没部21Aの傾斜状の先端面に摺接して、突没部21Aをインナー部4の内側へ移動させる。これと同時に、囲い部43は、他方の傾斜部48を突没部21Bの傾斜状の先端面に摺接して、突没部21Bをインナー部4の内側へ移動させる(状態S2)。
【0107】
その後、アウター部1とインナー部4との組付けが完了し、囲い部43の周縁部は、アウター部1の周縁部と嵌合する。このとき、図29に示すように、囲い部43は、一方の傾斜部47から突没口44に亘って突没部21Aに摺接して、突没部21Aを突没口44から突出させる。これと同時に、囲い部43は、他方の傾斜部48から突没口45に亘って突没部21Bに摺接して、突没部21Bを突没口45から突出させる(状態S3)。この状態S3において、突没部21Aは、突没口44によって摺動可能に囲まれた状態となり、これにより、第1ロッド2Aは、受け座部7に受けられた状態に位置決めされる。これと同時に、突没部21Bは、突没口45によって摺動可能に囲まれた状態となり、これにより、第2ロッド2Bは、受け座部8に受けられた状態に位置決めされる。
【0108】
以上のようにして、アウター部1に対するインナー部4の組付けが完了し、図28に示すように、グローブボックス10が得られる。上記アウター部1に対するインナー部4の組付け方向(嵌合方向)は、アウター部1に対するロック組立品9の組付け方向と同じ直線方向であることが好ましい。
【0109】
なお、上述したロック機構3の組立からアウター部1とインナー部4との組付けに至る各作業工程は、一連の生産ラインにおいて行われてもよいし、複数の生産ラインに分けて行われてもよい。例えば、ロック機構3の組立からロック部2とロック機構3との組付けに至る一連の作業工程(すなわちロック組立品9の組立工程)を、グローブボックス10の生産ライン(以下、主生産ラインという)とは別の生産ライン(以下、副生産ラインという)において行い、ロック組立品9とアウター部1との組付けからアウター部1とインナー部4との組付けに至る一連の作業工程を主生産ラインにおいて行ってもよい。この場合、副生産ラインにおいて組み立てられたロック組立品9を主生産ラインに供給し、当該副生産ラインの作業と並行して、主生産ラインにおいてグローブボックス10の組立を行ってもよい。
【0110】
以上、説明したように、本発明の実施形態に係るグローブボックス10は、車両室内に回動自在に設けられて開閉するアウター部1と、アウター部1の閉状態を解除可能にロックするロック部2と、ロック部2を動作させるロック機構3と、ロック部2およびロック機構3が組付けられたアウター部1の内壁部12を閉じるインナー部4と、アウター部1の内壁部12とロック機構3とを互いに直線方向に組付ける嵌合部5、6と、当該直線方向に開口する凹状に形成され、ロック部2を受ける受け座部と、を備え、ロック機構3は、アウター部1のロック解除のための操作部31と、操作部31とロック部2とを連動させる連動部34と、操作部31および連動部34が設けられるベース部37と、を備えている。また、インナー部4は、ロック部2が突没可能な貫通孔と、アウター部1の内壁部側から前記貫通孔に向かってインナー部4の内側に傾斜する傾斜部と、を有し、前記傾斜部は、アウター部1とインナー部4との組付けの際において、ロック部2の長手方向の先端部と摺接するようにしている。
【0111】
このため、アウター部1とロック機構3との組付け方向(嵌合方向)と同じ直線方向に、ロック部2を前記受け座部に取り付け可能であるとともに、アウター部1に対するインナー部4の組付けに伴い、ロック部2を前記傾斜部に沿ってスライドさせて、前記貫通孔から突出させることができる。これにより、一部品の組付け毎に要する作業を、部品同士を直線方向に組付ける1段階の作業(ワンアクション)に減らすことができ、この結果、部品同士の組付けの煩雑さを軽減できることから、グローブボックスの組立に掛かる手間および時間を大幅に低減することができる。延いては、グローブボックスの生産能力の圧迫を回避することができ、この結果、生産ラインを増設する等の必要性に迫られることなく、生産コストおよび作業時間を抑えてグローブボックスを大量生産することができる。
【0112】
また、本発明の実施形態に係るグローブボックス10では、ベース部37は、操作部31を回動自在に軸支するとともに囲う凹状に形成されている。アウター部1は、操作部31をアウター部1の外壁部側に露出させる開口部13と、開口部13の縁に沿ってアウター部1の内壁部側に凸状に形成され、ベース部37の端部と重なり合うように接合されて、操作部31の操作空間を形成する凸状部14と、凸状部14の端部から離間して凸状部14の外壁部に設けられ、ベース部37の端部と接触して、凸状部14に対するベース部37の接合位置を規制するガイド部15と、を有している。また、操作部31は、ベース部37の端部から内側に離間し、ベース部37の端部と操作部31との離間距離は、凸状部14の端部とガイド部15との離間距離よりも大きく、アウター部1の内壁部からのガイド部15の最大高さは、アウター部1の内壁部からのロック機構3の最大高さ以下としている。
【0113】
このため、ベース部37と凸状部14とを接合する際、ベース部37の端部とガイド部15との接触により、ベース部37の端部を凸状部14との接合位置へ容易に案内できるとともに、当該接合位置を、凸状部14と操作部31とが互いに離間するように規制することができる。この結果、操作部31と凸状部14との接触による操作部31の損傷を防止することができ、これにより、操作部31の見栄えを損なうことなく、ベース部37と凸状部14とを接合することができる。
【0114】
また、本発明の実施形態に係るグローブボックス10では、アウター部1が、凸状部14の頂部側から開口部13側に下る傾斜状の第1係合部16を有し、ベース部37が、凸状部14との接合において当該第1係合部16と係合する傾斜状の第2係合部37eを有している。このため、凸状部14とベース部37との見切り線を、アウター部1の外壁部側から見て、操作部31の操作空間の手前側(開口部13側)から奥側(凸状部14の頂部側)へ傾斜するように形成することができる。これにより、当該見切り線を操作部31よりも奥側に隠すことができ、当該見切り線が見え難くなることから、上記操作空間の見た目が良好になり、グローブボックス10の外観の向上に寄与することができる。
【0115】
また、本発明の実施形態に係るグローブボックス10では、連動部34は、ロック部2と嵌合する嵌合ピンを有し、ベース部37に回動自在に軸支されて、回動をロック部2の長手方向の往復動作に変換するものであり、ベース部37は、前記嵌合ピンと嵌合した状態のロック部2の揺動を抑制する爪部39を有している。また、ロック部2は、ロック部2の長手方向に対して垂直な幅方向に長い孔であって前記嵌合ピンが嵌入される嵌合孔と、ロック部2の長手方向に長い孔であって爪部39が嵌入される爪孔26Bと、を有し、爪部39は、連動部34の回動中心から前記嵌合孔の長手方向の外側へ向かう方向とは逆方向に突起して、爪孔26Bの縁部と重なり合うようにしている。
【0116】
このため、たとえロック部2が揺動しようとしても、爪部39は、爪孔26Bの縁部と常に重なり合った状態を維持し、ロック部2の揺動に抗して爪孔26Bと係合することができる。これにより、ロック部2の意図せぬ揺動を抑制することができる。この結果、ロック部2が組付けられた状態のロック機構3(すなわちロック組立品9)を取り扱う際のロック部2(詳細には長尺の第2ロッド2B)の揺動を抑制できることから、ロック組立品9をグローブボックス10の一部品として取り扱いやすくなり、ロック組立品9の態様でロック部2およびロック機構3を一括してアウター部1の内壁部に容易に組付けることができる。また、副生産ラインによるロック組立品9の生産と、主生産ラインによるグローブボックス10の生産とを並行して行えるとともに、副生産ラインによるロック組立品9をグローブボックス10の一部品として主生産ラインに供給して、主生産ラインによるグローブボックス10の生産を行える。したがって、主生産ラインで扱うグローブボックス10の部品点数を減らすことができ、主生産ラインにおいてグローブボックス10の生産に掛かる手間および時間を大幅に低減することができる。
【0117】
また、本発明の実施形態に係るグローブボックス10では、ロック部2は、アウター部1の回動方向の荷重を受ける受け面を有し、前記受け面は、円弧形状に形成されている。このため、ロック部2をその長手方向の回りに傾かせても、アウター部1の回動方向に対して常に垂直な方向から、ロック部2の受け面によって上記荷重を受けることができ、これにより、ロック部2の受け面に掛かる上記荷重のロスを低減することができる。また、グローブボックス10の幅方向(左右方向)にロック部2を反転させたとしても、ロック部2の上記受け面の作用を確保することができ、このため、グローブボックス10が左ハンドル型または右ハンドル型のいずれの車両に設けられるグローブボックスであっても、ロック部2を構成する長短一対のロッド部材を共用することができる。この結果、ロック部2を、左ハンドル型と右ハンドル型とで別々に生産する必要が無く、上記ロッド部材の金型に掛かるコストを低減できることから、グローブボックスの生産コストを低減することができる。
【0118】
また、本発明の実施形態に係るグローブボックス10は、連動部34の動作に伴うロック部2の動作方向をロック部2の長手方向に規制する規制ピンをさらに備え、ロック部2は、ロック部2の長手方向に長い孔であって前記規制ピンが挿通される規制孔を有している。このため、連動部34の回動を、ロック部2の長手方向の往復動作に適切に変換することができる。
【0119】
なお、上述した実施形態では、アウター部1とロック機構3との組付けのための嵌合部として、アウター部1の嵌合爪5aとロック機構3の嵌合孔5bとからなる嵌合部5と、ロック機構3の嵌合爪6aとアウター部1(凸状部14)の嵌合孔6bとからなる嵌合部6と、を例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、嵌合爪5aはロック機構3のベース部37に設けられてもよいし、嵌合孔5bはアウター部1に設けられてもよい。また、嵌合爪6aはアウター部1の凸状部14に設けられてもよいし、嵌合孔6bはロック機構3のベース部37に設けられてもよい。
【0120】
また、上述した実施形態では、ロック部2のうち短い方の第1ロッド2Aを受ける凹状の受け座部7がロック機構3のベース部37に設けられていたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、受け座部7は、アウター部1の内壁部12に設けられてもよい。
【0121】
また、上述した実施形態では、ロック部2として長短一対のロッド(第1ロッド2Aおよび第2ロッド2B)からなるものを例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、ロック部2は、長さが同じ一対のロッドからなるものでもよいし、単一のロッドからなるものでもよいし3つ以上のロッドからなるものでもよい。
【0122】
また、上述した実施形態では、インナー部4(囲い部43)の互いに対向する両側の側壁部に、ロック部2の各先端部と摺接する傾斜部47、48が各々設けられていたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、インナー部4の側壁部には、上述した傾斜部47、48の少なくとも一つが設けられていてもよい。この場合、インナー部4の側壁部は、第1ロッド2Aおよび第2ロッド2Bのうち、インナー部4の貫通孔(突没口)からの突出量がより大きいロッド側の傾斜部を少なくとも有することが好ましい。また、上述した傾斜部47、48は、例えば図23に示したように平面形状に形成されてもよいし、円弧形状(R形状)に形成されてもよい。
【0123】
また、上述した実施形態では、ロック部2を構成する一対のロッドとして、連結部を介して屈曲した形状のロッドを例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、当該一対のロッドは、屈曲せず直線形状のロッドであってもよい。
【0124】
また、上述した実施形態により本発明が限定されるものではなく、上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。その他、上述した実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0125】
1 アウター部
2 ロック部
2A 第1ロッド
2B 第2ロッド
3 ロック機構
4 インナー部
5、6 嵌合部
5a、6a 嵌合爪
5b、6b 嵌合孔
7、8 受け座部
9 ロック組立品
10 グローブボックス
11 外壁部
12 内壁部
13 開口部
14 凸状部
14a 端部
15 ガイド部
16 第1係合部
17 嵌合爪
18 軸支部
21A、21B 突没部
22A、22B 基端部
23A、23B 連結部
24A、24B 嵌合孔
25A、25B 規制孔
26B 爪孔
27A、27B、28A、28B 受け面
29B 縁部
31 操作部
31a 操作空間
32 ノブ
32a 回動軸
32b 作用部
33 ばね
34 連動部
35 リンク部
35a 回動軸部
35b 第1アーム部
35c 第1嵌合ピン
35d 第2アーム部
35e 第2嵌合ピン
35f 第3アーム部
35g 突起部
36 ばね
37 ベース部
37a 軸支部
37b 回動軸部
37c ばねピン
37d 挿通孔
37e 第2係合部
37f 端部
38a、38b 規制ピン
39 爪部
41 物品収納部
42 収納空間
43 囲い部
43a 開口端部
44、45 突没口
46 嵌合孔
47、48 傾斜部
C 回動中心
F1 長手方向
F2 幅方向
F3 回動方向
F4 基準方向
F5 接線方向
F6 逃げ方向
F7 特定方向
【要約】
【課題】組立に掛かる手間および時間を低減することができるグローブボックスを提供すること。
【解決手段】本発明の一態様であるグローブボックスは、回動して開閉するアウター部と、前記アウター部の閉状態を解除可能にロックするロック部と、前記アウター部の閉状態のロックを解除する動作を前記ロック部に行わせるロック機構と、前記ロック部が突没可能な貫通孔を有し、前記ロック部と前記ロック機構とが組付けられた前記アウター部の内壁部を閉じるインナー部と、前記アウター部の内壁部と前記ロック機構とを互いに直線方向に組付ける嵌合部と、前記直線方向に開口する凹状に形成され、前記ロック部を受ける受け座部とを備える。前記インナー部は、前記アウター部の内壁部側から前記貫通孔に向かい前記インナー部の内側に傾斜する傾斜部を有する。前記傾斜部は、前記アウター部と前記インナー部との組付けの際に、前記ロック部の先端部と摺接する。
【選択図】図1
図1
図2
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図4
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図27A
図27B
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図29