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特許7372477電池セル及びその製造方法と製造システム、電池並びに電力消費装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-23
(45)【発行日】2023-10-31
(54)【発明の名称】電池セル及びその製造方法と製造システム、電池並びに電力消費装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/367 20210101AFI20231024BHJP
   H01M 50/35 20210101ALI20231024BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20231024BHJP
   H01M 50/103 20210101ALI20231024BHJP
   H01M 50/586 20210101ALI20231024BHJP
   H01M 50/591 20210101ALI20231024BHJP
   H01M 50/593 20210101ALI20231024BHJP
   H01M 50/474 20210101ALI20231024BHJP
   H01M 50/477 20210101ALI20231024BHJP
【FI】
H01M50/367
H01M50/35 101
H01M50/342 101
H01M50/103
H01M50/586
H01M50/591
H01M50/593
H01M50/474
H01M50/477
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022549349
(86)(22)【出願日】2021-07-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-19
(86)【国際出願番号】 CN2021109404
(87)【国際公開番号】W WO2023004722
(87)【国際公開日】2023-02-02
【審査請求日】2022-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【弁理士】
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】雷 育永
【審査官】川口 陽己
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0171482(US,A1)
【文献】特開2021-96950(JP,A)
【文献】米国特許第3940287(US,A)
【文献】特開昭50-128830(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112688019(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109686874(CN,A)
【文献】特開2019-145478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/30-50/392
H01M 50/50-50/598
H01M 50/40-50/497
H01M 50/10-50/198
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルであって、
電極組立体と、
前記電極組立体を収容するための収容スペースが設けられ、第1方向に沿った一側に位置する第1側板を備えるハウジングと、
前記第1側板に設置される圧力逃がし機構と、
前記ハウジングを密封するためのカバー組立体と、を備え、
前記ハウジングの前記第1側板の内面には前記内面に沿って延伸する第1流路が設けられ、前記第1流路は、前記収容スペース内のガスを前記圧力逃がし機構にガイドし、圧力が閾値に達する場合に前記圧力逃がし機構を作動させて前記圧力を放出することに用いられ、
前記第1流路は第1中間流路及び第1エッジ流路を備え、前記第1エッジ流路は前記第1側板の前記内面の円周方向のエッジに沿って延伸しかつ前記収容スペースに連通し、前記第1中間流路は前記第1エッジ流路を前記圧力逃がし機構に連通させる電池セル。
【請求項2】
前記第1中間流路は前記第1側板の前記内面に設置される第1中間凹溝を備え、前記第1中間凹溝の一端は前記圧力逃がし機構に連通し、他端は前記第1エッジ流路に連通することを特徴とする請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記第1中間凹溝は複数であり、各前記第1中間凹溝はいずれも前記圧力逃がし機構及び前記第1エッジ流路に連通することを特徴とする請求項2に記載の電池セル。
【請求項4】
少なくとも2つの前記第1中間凹溝は互いに平行であり、又は
複数の前記第1中間凹溝は前記圧力逃がし機構を中心として周りへ放射状で延伸することを特徴とする請求項3に記載の電池セル。
【請求項5】
前記第1エッジ流路は前記第1側板の前記内面の円周方向のエッジに設置されかつ前記円周方向のエッジに沿って延伸する第1エッジ凹溝を備え、各前記第1中間凹溝はいずれも前記第1エッジ凹溝に連通することを特徴とする請求項2~4のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項6】
前記第1エッジ凹溝はリング形又はノッチ付きリング形であり、又は前記第1エッジ凹溝は前記円周方向のエッジに沿って間隔をおいて設置される複数のサブ凹溝を備えることを特徴とする請求項5に記載の電池セル。
【請求項7】
前記第1側板の内面には前記収容スペースへ突出する第1突起部が形成され、前記第1突起部は前記内面から離れた上面を有し、前記第1中間流路及び前記第1エッジ流路は前記第1突起部の上面と前記内面との間のスペースに形成されることを特徴とする請求項1に記載の電池セル。
【請求項8】
前記第1中間流路は複数の第1中間サブ流路を備え、前記第1突起部は複数であり、複数の前記第1突起部は前記圧力逃がし機構を中心として周りへ放射状で延伸しかつ相互に間隔をおいて配置され、隣接する2つの第1突起部と前記第1側板の前記内面との間に前記第1中間サブ流路が形成され、
前記ハウジングは第2方向において対向して設置される1対の第2側板を備え、前記第2方向は前記第1方向に垂直であり、
前記ハウジングは第3方向において対向して設置される1対の第3側板をさらに備え、前記第3方向は前記第1方向及び前記第2方向に垂直であり、
各前記第1突起部の前記圧力逃がし機構から離れた端部と、隣接する第2側板又は隣接する第3側板との間に隙間が設けられ、前記隙間は前記第1エッジ流路の一部を形成することを特徴とする請求項7に記載の電池セル。
【請求項9】
前記第1突起部の前記上面に絶縁層が設けられる請求項7又は8に記載の電池セル。
【請求項10】
前記第1中間流路が前記圧力逃がし機構に連通する位置から、前記第1中間流路の長さの少なくとも一部の深さは前記圧力逃がし機構から離れた方向に沿って徐々に減少する請求項1~9のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項11】
前記第1側板と前記電極組立体との間に設置され、前記電極組立体を支持する支持部材であって、前記支持部材は対向して設置される第1表面及び第2表面を備え、前記第1表面は前記第1側板に面しており、前記第2表面は前記電極組立体に面しており、前記支持部材の前記第1表面に第2流路が設けられ、前記第2流路は前記第1中間流路及び前記収容スペースに連通する支持部材をさらに備える請求項1~10のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項12】
前記第2流路は前記第1流路の形状とマッチングする請求項11に記載の電池セル。
【請求項13】
前記支持部材は前記第1方向に沿って前記支持部材を貫通する第1貫通孔を備え、前記第1貫通孔は前記第1中間流路と前記収容スペースを連通させる請求項11又は12に記載の電池セル。
【請求項14】
前記電極組立体の一部を包み、かつ前記電極組立体と前記ハウジングを仕切ることに用いられ、前記電極組立体と前記支持部材との間に位置する第1サイドフィルムを備えた絶縁フィルムをさらに備え、
前記第1サイドフィルムは前記第1方向に沿って前記第1サイドフィルムを貫通する第2貫通孔を備え、前記第2貫通孔と前記第1貫通孔の前記第1方向における投影が重ならない請求項13に記載の電池セル。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の電池セルを備える電池。
【請求項16】
請求項15に記載の電池を備える電力消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の実施例は電池分野に関し、かつさらに具体的には、電池セル及びその製造方法と製造システム、電池並びに電力消費装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電池セルは電子機器、たとえば携帯電話、ノートパソコン、電気自転車、電気自動車、電動飛行機、電動汽船、電動玩具自動車、電動玩具汽船、電動玩具飛行機及び電動工具等に幅広く使用されている。電池セルは、ニッケルカドミウム電池セル、ニッケル水素電池セル、リチウムイオン電池セル及び二次アルカリ亜鉛マンガン電池セル等を含んでもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電池技術の発展には、電池セルの性能の向上以外に、安全問題も無視できない問題である。電池セルの安全問題が保証できない場合、該電池セルは使用できない。従って、電池セルの安全性を如何にして強化するかは、電池技術の解決すべき技術的課題である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願の実施例は、電池セル及びその製造方法と製造システム、電池並びに電力消費装置を提供し、電池セルの安全性を強化することができる。
【0005】
本願の第1態様によれば、本願の実施例は電池セルを提供し、電極組立体、ハウジング、圧力逃がし機構及びカバー組立体を備える。ハウジングには、電極組立体を収容するための収容スペースが設けられ、ハウジングは第1方向に沿った一側に位置する第1側板を備え、圧力逃がし機構は第1側板に設置され、カバー組立体はハウジングを密封することに用いられ、ハウジングの第1側板の内面には内面に沿って延伸する第1流路が設けられ、第1流路は、収容スペース内のガスを圧力逃がし機構にガイドし、圧力が閾値に達する場合に圧力逃がし機構を作動させて圧力を放出することに用いられる。第1流路は第1中間流路及び第1エッジ流路を備え、第1エッジ流路は第1側板の内面の円周方向のエッジに沿って延伸しかつ収容スペースに連通し、第1中間流路は第1エッジ流路を圧力逃がし機構に連通させる。
【0006】
上記解決策において、本願の実施例ではハウジングの第1側板に第1流路が設置され、第1流路は第1中間流路及び第1エッジ流路を備える。電池セルが熱暴走しガスをリリースすると、第1エッジ流路は、ガスが収容スペースからハウジングのエッジに沿って流れて第1中間流路まで移動するようにガイドし、次に第1中間流路を通過してガスを圧力逃がし機構にガイドし、圧力逃がし機構をタイムリーに作動させてガスを放出し、電池セルが熱暴走する時の排気速度を向上させ、電池セルの安全性を向上させることができる。
【0007】
いくつかの実施例では、第1中間流路は第1側板の内面に設置される第1中間凹溝を備え、第1中間凹溝の一端は圧力逃がし機構に連通し、他端は第1エッジ流路に連通する。電池セルに熱暴走が発生すると、リリースしたガスは第1中間凹溝に沿って収容スペースから圧力逃がし機構にガイドして排出され、電極組立体の遮断により排気に影響を与えることはなく、電池セルが熱暴走する時の排気速度を向上させ、電池セルの安全性を向上させ、また、第1中間凹溝は第1側板の内面に設置され、収容スペースを占有することにより電池セルのエネルギー密度に影響を与えることはない。
【0008】
いくつかの実施例では、第1中間凹溝は複数であり、各第1中間凹溝はいずれも圧力逃がし機構及び第1エッジ流路に連通する。
【0009】
いくつかの実施例では、少なくとも2つの第1中間凹溝は相互に平行であり、第1中間凹溝の長さ方向に沿った排気効率を向上させることに役立つ。又は複数の第1中間凹溝は圧力逃がし機構を中心として周りへ放射状で延伸し、圧力逃がし機構の円周方向での排気効率を向上させることに役立つ。
【0010】
いくつかの実施例では、第1エッジ流路は第1側板の内面の円周方向のエッジに設置されかつ円周方向のエッジに沿って延伸する第1エッジ凹溝を備え、各第1中間凹溝はいずれも第1エッジ凹溝に連通する。第1エッジ凹溝を設置することにより、ガスは第1エッジ凹溝を通過して最も近い第1中間凹溝に移動し圧力逃がし機構にガイドして排出され、ガスの移動経路を縮め、排気をより順調にし、排気効率を向上させ、また、特定の第1中間凹溝が詰まられる場合、ガスは第1エッジ凹溝を通過して他の第1中間凹溝に移動して排出され、排気の信頼性を向上させる。
【0011】
いくつかの実施例では、第1エッジ凹溝はリング形又はノッチ付きリング形であり、又は第1エッジ凹溝は円周方向のエッジに沿って間隔をおいて設置される複数のサブ凹溝を備える。
【0012】
いくつかの実施例では、第1側板の内面には収容スペースへ突出する第1突起部が形成され、第1突起部は内面から離れた上面を有し、第1中間流路及び第1エッジ流路は第1突起部の上面と内面との間のスペースに形成される。該実施例では、第1突起部の上面は電極組立体を支持することに用いられ、第1突起部の上面と内面との間のスペースに第1中間流路及び第1エッジ流路が形成され、電極組立体の遮断により排気に影響を与えることはなく、電池セルが熱暴走する時の排気速度を向上させ、電池セルの安全性を向上させることができる。
【0013】
いくつかの実施例では、第1中間流路は複数の第1中間サブ流路を備え、第1突起部は複数であり、複数の第1突起部は圧力逃がし機構を中心として周りへ放射状で延伸し、2つの隣接する第1突起部と第1側板の内面との間に第1中間サブ流路が形成され、ハウジングは第2方向において対向して設置される1対の第2側板を備え、第2方向は第1方向に垂直であり、ハウジングは第3方向において対向して設置される1対の第3側板をさらに備え、第3方向は第1方向及び第2方向に垂直であり、各第1突起部の圧力逃がし機構から離れた端部と、隣接する第2側板又は隣接する第3側板との間に隙間が設けられ、隙間は第1エッジ流路の一部を形成する。圧力逃がし機構を中心として周りへ放射状で延伸する複数の第1突起部を設置し、第1中間流路及び第1エッジ流路を形成することにより、圧力逃がし機構の円周方向での排気効率を向上させることができる。また、特定の第1中間サブ流路が詰まられる場合、ガスは第1エッジ流路を通過して他の第1中間サブ流路に移動して排出され、排気の信頼性を向上させる。
【0014】
いくつかの実施例では、第1突起部の上面に絶縁層が設けられ、絶縁層は電極組立体とハウジングとの間の絶縁を実現することに用いられ、支持部材を付加的に設置する必要がなく、スペースに対する占有を減少させ、電池セルの排気に影響を与えないとともに、電池セルのエネルギー密度を向上させるのに役立つ。
【0015】
いくつかの実施例では、第1中間流路が圧力逃がし機構に連通する位置から、第1中間流路の長さの少なくとも一部の深さは圧力逃がし機構から離れた方向に沿って徐々に減少する。さらに第1中間流路の長さの少なくとも一部の深さは圧力逃がし機構に近い方向に沿って徐々に増加し、圧力逃がし機構の排気方向へ傾斜する斜面を形成し、ガスを圧力逃がし機構にガイドして排出するのにより役立ち、排気効率を向上させる。
【0016】
いくつかの実施例では、支持部材は、第1側板と電極組立体との間に設置され、電極組立体を支持し、支持部材は対向して設置される第1表面及び第2表面を有し、第1表面は第1側板に面しており、第2表面は電極組立体に面しており、支持部材の第1表面に第2流路が設けられ、第2流路は第1中間流路と収容スペースを連通させる。支持部材に第2流路が形成され、第1中間流路と収容スペースを連通させ、排気のための流路の横断面積を増加し、排気効率を向上させることができる。
【0017】
いくつかの実施例では、第2流路は第1流路の形状とマッチングする。第2流路は第1流路の形状とマッチングすることにより、組み合わせられた後に排気のための流路の横断面積を増大し、排気効率を向上させることができる。
【0018】
いくつかの実施例では、支持部材は第1方向に沿って支持部材を貫通する第1貫通孔を備え、第1貫通孔は第1中間流路と収容スペースを連通させる。
【0019】
いくつかの実施例では、電極組立体の一部を包み、かつ電極組立体とハウジングを仕切るための絶縁フィルムをさらに備え、絶縁フィルムは電極組立体と支持部材との間に位置する第1サイドフィルムを備え、第1サイドフィルムは第1方向に沿って第1サイドフィルムを貫通する第2貫通孔を備え、第2貫通孔と前記第1貫通孔の前記第1方向における投影は重ならない。絶縁フィルムの第1サイドフィルムにおける第2貫通孔と支持部材における第1貫通孔の第1方向における投影は重ならず、電極組立体と第1側板との間の確実な絶縁を実現することができ、絶縁フィルムの第1サイドフィルムにおける第2貫通孔は、支持部材における第1貫通孔と連携することができ、収容スペースのガスは第2貫通孔、第1貫通孔、第1中間流路を通過して圧力逃がし機構に入って排出され、絶縁フィルムの内部スペースの排気効率を向上させる。
【0020】
本願の第2態様によれば、第1態様の電池セルを備える電池を提供する。
【0021】
本願の第3態様によれば、第2態様の電池を備える電力消費装置を提供する。
【0022】
いくつかの実施例では、電力消費装置は車両、船又は宇宙機である。
【0023】
本願の第4態様によれば、電池セルの製造方法を提供し、電極組立体を提供するステップと、電極組立体を収容するための収容スペースが設けられ、第1方向に沿った一側に位置する第1側板を備えるハウジングを提供するステップと、第1側板に設置される圧力逃がし機構を提供するステップと、ハウジングを密封するためのカバー組立体を提供するステップと、電極組立体、ハウジング、圧力逃がし機構及びカバー組立体を組み立てて電池セルを形成するステップと、を含み、ハウジングを提供するステップは、ハウジングの第1側板の内面には内面に沿って延伸する第1流路を形成するステップを含み、第1流路は、収容スペース内のガスを圧力逃がし機構にガイドし、圧力が閾値に達する場合に圧力逃がし機構を作動させて圧力を放出することに用いられ、第1流路は第1中間流路及び第1エッジ流路を備え、第1エッジ流路は第1側板の内面の円周方向のエッジに沿って延伸しかつ収容スペースに連通し、第1中間流路は第1エッジ流路を圧力逃がし機構に連通させる。
【0024】
本願の第5態様によれば、電池セルの製造システムを提供し、電極組立体を提供するための電極組立体提供装置と、ハウジング提供装置であって、ハウジングを提供することに用いられ、ハウジングには電極組立体を収容するための収容スペースが設けられ、ハウジングは第1方向に沿った一側に位置する第1側板を備えるハウジング提供装置と、第1側板に設置された圧力逃がし機構を提供するための圧力逃がし機構提供装置と、ハウジングを密封するためのカバー組立体を提供するためのカバー組立体提供装置と、電極組立体、ハウジング、圧力逃がし機構及びカバー組立体を組み立てて電池セルを形成するための組み立て装置と、を備え、ハウジングの第1側板の内面には内面に沿って延伸する第1流路が形成され、第1流路は、収容スペース内のガスを圧力逃がし機構にガイドし、圧力が閾値に達する場合に圧力逃がし機構を作動させて圧力を放出することに用いられ、第1流路は第1中間流路及び第1エッジ流路を備え、第1エッジ流路は第1側板の内面の円周方向のエッジに沿って延伸しかつ収容スペースに連通し、第1中間流路は第1エッジ流路を圧力逃がし機構に連通させる。
【0025】
本願に係る電池セル及びその製造方法と製造システム、電池並びに電力消費装置は、電池セルが熱暴走する時の排気効率を向上させ、電池セルの安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
ここで説明される図面は本願をさらに理解するためのものであり、本願の一部を構成し、本願の例示的実施例及びその説明は、本願を解釈するためのものであり、本願に対する不適切な限定を構成するものではない。図面において、
【0027】
図1】本願のいくつかの実施例に係る車両の構造模式図である。
図2】本願のいくつかの実施例に係る電池の分解模式図である。
図3図2に示される電池モジュールの構造模式図である。
図4】本願のいくつかの実施例に係る電池セルの分解模式図である。
図5】本願のいくつかの実施例に係る電池セルのハウジングの構造模式図である。
図6】本願のいくつかの実施例に係る電池セルの上面模式図である。
図7図6に示される図5の実施例のハウジングを用いた電池セルのB-B箇所の断面模式図である。
図8図7に示される電池セルのC箇所の拡大模式図である。
図9図7に示される電池セルのD箇所の拡大模式図である
図10図6に示される図5の実施例のハウジングを用いた電池セルのE-E箇所の断面模式図である
図11図10に示される電池セルのF箇所の拡大模式図である
図12】本願の別の実施例に係る電池セルのハウジングの構造模式図である。
図13】本願の別の実施例に係る電池セルのハウジングの構造模式図である。
図14】本願の別の実施例に係る電池セルのハウジングの構造模式図である。
図15図6に示される図14の実施例のハウジングを用いた電池セルのE-E箇所の断面模式図の部分拡大模式図である。
図16】本願の別の実施例に係る支持部材が設けられる電池セルの構造模式図である。
図17】本願の別の実施例に係る電池セルの支持部材の構造模式図である。
図18】本願の別の実施例に係る電池セルの支持部材の構造模式図である。
図19】本願の別の実施例に係る電池セルの支持部材の構造模式図である。
図20】本願の別の実施例に係る支持部材及び絶縁フィルムが設けられる電池セルの構造模式図である。
図21】本願の別の実施例に示される絶縁フィルムの構造模式図である。
図22】本願のいくつかの実施例に係る電池セルの製造方法のフローチャートである。
図23】本願のいくつかの実施例に係る電池セルの製造システムの例示的なブロック図である。
【0028】
図面において、図は実際の縮尺で描かれていない。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本願の実施例の目的、技術案及び利点をより明瞭にするために、以下、本願の実施例の図面を参照しながら、本願の実施例の技術案を明確に説明し、明らかなように、説明される実施例は本願の一部の実施例に過ぎず、全部の実施例ではない。本願の実施例に基づき、当業者が創造的労働を必要とせずに取得したすべての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0030】
特に定義されていない限り、本願で使用されるあらゆる技術用語及び科学用語はすべて当業者が通常理解する意味と同じであり、本願では出願される明細書で使用される用語は具体的な実施例を説明するためのものに過ぎず、本願を制限するものではなく、本願の明細書、特許請求の範囲及び上記図面の簡単な説明における用語「含む」、「有する」及びそれらの任意の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図する。本願の明細書、特許請求の範囲又は上記図面における用語「第1」、「第2」等は異なる対象を区別することに用いられ、特定の順次又は一次と二次との関係を説明するためのものではない。
【0031】
本願に言及される「実施例」は、実施例と組み合わせて説明された特定の特徴、構造又は特性が本願の少なくとも1つの実施例に含まれてもよいことを意味する。明細書の異なる位置に現れる該語句は必ずしも同じ実施例を指すわけではなく、他の実施例と互いに排他的に独立した又は代替の実施例でもない。
【0032】
本願の説明において、さらに説明する必要がある点として、特に明確な規定及び限定がない限り、用語「取付」、「連結」、「接続」、「取り付け」は、広義に理解すべきであり、例えば、固定して接続されてもよく、取り外し可能に接続され、又は一体的に接続されてもよい。直接連結されてもよく、中間媒体を介して間接的に連結されてもよく、2つの素子の内部の連通であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本願での具体的な意味を理解することができる。
【0033】
本願における「及び/又は」という用語は、関連対象の関連関係を説明するためのものに過ぎず、3つの関係が存在することを示し、例えば、A及び/又はBは、Aが単独で存在すること、AとBが同時に存在すること、Bが単独で存在することの3つの状況を示すことができる。また、本願における「/」という文字は、一般的に前後の関連対象が「又は」の関係であることを示す。
【0034】
本願の実施例では、同じ参照番号は同一部材を示し、かつ簡潔にするために、異なる実施例では、同一部材の詳細な説明は省略される。図面に示される本願の実施例における様々な部材の厚さ、長さ、幅等のサイズ、及び集成装置の全体厚さ、長さ、幅等のサイズは例示的な説明に過ぎず、本願を限定するものではないと理解されるべきである。
【0035】
本願の説明に出現する「複数の」とは、2つ以上(2つを含む)を意味する。
【0036】
本願では、電池セルはリチウムイオン二次電池セル、リチウムイオン一次電池セル、リチウム硫黄電池セル、ナトリウムリチウムイオン電池セル、ナトリウムイオン電池セル又はマグネシウムイオン電池セル等を含んでもよく、本願の実施例はこれについて限定しない。電池セルは、円筒状、扁平状、直方体又は他の形状等であってもよく、同様に、本願の実施例はこれについて限定しない。電池セルは、一般的に、パッケージ方式に従って、円筒形電池セル、角形電池セル及びソフトパック電池セルの3種類に分けられ、同様に、本願の実施例はこれについて限定しない。
【0037】
本願の実施例に言及される電池は、より高い電圧及び容量を提供するように1つ又は複数の電池セルを備える単一の物理モジュールである。たとえば、本願に言及される電池は電池モジュール又は電池パック等を含んでもよい。電池は、一般的に、1つ又は複数の電池セルをパッケージするためのボックスを備える。ボックスは、液体や他の異物が電池セルの充電又は放電に悪影響を与えることを回避することができる。
【0038】
電池セルは電極組立体及び電解質を備え、電極組立体は正極板、負極板及びセパレーターを備える。電池セルは主に正極板と負極板との間の金属イオンの移動に依存して動作する。正極板は正極集電体及び正極活物質層を備え、正極活物質層は正極集電体の表面に塗布され、正極集電体は正極集電部及び正極集電部から突出する正極凸部を備え、正極集電部に正極活物質層が塗布され、正極凸部の少なくとも一部には正極活物質層が塗布されておらず、正極凸部が正極タブとして使用される。リチウムイオン電池を例として、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質層は正極活物質を含み、正極活物質はコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元リチウム又はマンガン酸リチウム等であってもよい。負極板は負極集電体及び負極活物質層を備え、負極活物質層は負極集電体の表面に塗布され、負極集電体は負極集電部及び負極集電部から突出する負極凸部を備え、負極集電部に負極活物質層が塗布され、負極凸部の少なくとも一部には負極活物質層が塗布されておらず、負極凸部は負極タブとして使用される。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質層は負極活物質を含み、負極活物質はカーボン又はシリコーン等であってもよい。溶断が発生せずに高電流が流れることを確保するために、正極タブは、複数であり、一体に積層され、負極タブは、複数であり、一体に積層される。セパレーターの材質はPP(polypropylene、ポリプロピレン)又はPE(polyethylene、ポリエチレン)等であってもよい。また、電極組立体は、巻回型構造であってもよく、積層型構造であってもよく、本願の実施例はこれらに限定されない。
【0039】
電池セルはケーシング組立体を備えてもよく、ケーシング組立体の内部に収容キャビティを有し、該収容キャビティはケーシング組立体が電極組立体及び電解質のために提供される密閉スペースである。
【0040】
電池セルの場合、主な安全危険は充電及び放電過程に起因するとともに、適切な環境温度の設計があり、不要な損失を効果的に回避するために、電池セルは、一般的に少なくとも3重の保護対策がある。具体的には、保護対策は少なくともスイッチング素子、適切なセパレーター材料の選択及び圧力逃がし機構を含む。スイッチング素子とは、電池セル内の温度又は抵抗が所定の閾値に達する場合に電池の充電又は放電を停止できる素子である。セパレーターは正極板と負極板を分離することに用いられ、温度が所定の数値に上昇すると、それに付着されたミクロンスケール(ひいてはナノスケール)の微孔を自動的に溶解し、それにより金属イオンがセパレーターを通過できなくなり、電池セルの内部反応を停止することができる。
【0041】
圧力逃がし機構とは、電池セルの内部圧力が所定の閾値に達する場合に作動して内部圧力を放出する素子又は部材である。該閾値設計は設計ニーズによって異なる。前記閾値は電池セル内の正極板、負極板、電解液及びセパレーターのうちの1つ又は複数の材料によって決められる。圧力逃がし機構は、防爆弁、空気弁、逃がし弁又は安全弁等の形を用いてもよく、かつ具体的に感圧素子又は構造を用いてもよく、すなわち、電池セルの内部圧力が所定の閾値に達すると、圧力逃がし機構は動作し又は圧力逃がし機構に設けられる脆弱構造が破裂、それにより内部圧力又は温度が放出するための開口又は通路が形成される。
【0042】
本願に言及される「作動」とは、圧力逃がし機構が動作し又は所定の状態にアクティベーションされ、それにより電池セルの内部圧力が放出されることである。圧力逃がし機構が生成する動作は、圧力逃がし機構の少なくとも一部が破裂し、粉砕し、引き裂かれ又は開かれること等を含んでもよいが、それらに限定されない。圧力逃がし機構が作動すると、電池セルの内部の高温高圧物質は排出物として作動部位から外部へ排出される。この方式によって圧力が制御可能である状況で電池セルに圧力を放出させることができ、それにより、潜在的でより深刻な事故を回避することができる。
【0043】
本願に言及される電池セルからの排出物は、電解液、溶解又は分裂した正負極板、セパレーターの破片、反応により生じた高温高圧気体、炎等を含むがそれらに限定されない。
【0044】
電池セルにおける圧力逃がし機構は電池セルの安全性に重要な影響を与える。たとえば、短絡、過充電等の現象が発生する場合、電池セルの内部に熱暴走が発生するため圧力が急激に上昇する可能性がある。この状況で圧力逃がし機構が作動することにより内部圧力を外部へリリースし、電池セルの爆発、発火を防止することができる。
【0045】
圧力逃がし機構は通常にケーシング組立体に取り付けられる。発明者らは、電池セルのエネルギー密度を向上させるために、電池セルの内部のガスが流れるためのスペースが制限され、熱暴走時にガスが排出する速度が低くなり、また、圧力逃がし機構はケーシング組立体の内部の部材によって遮られる可能性があるため、排気が不順調になり、潜在的な安全上の問題を引き起こすことを発見した。
【0046】
これに鑑みて、本願の実施例は技術案を提供し、該技術案では、電池セルは電極組立体、ハウジング、圧力逃がし機構及びカバー組立体を備える。ハウジングには、電極組立体を収容するための収容スペースが設けられ、ハウジングは第1方向に沿った一側に位置する第1側板を備え、圧力逃がし機構は第1側板に設置され、カバー組立体はハウジングを密封することに用いられ、ハウジングの第1側板の内面には内面に沿って延伸する第1流路が設けられ、第1流路は、収容スペース内のガスを圧力逃がし機構にガイドし、圧力が閾値に達する場合に圧力逃がし機構を作動させて圧力を放出することに用いられる。第1流路は第1中間流路及び第1エッジ流路を備え、第1エッジ流路は第1側板の内面の円周方向のエッジに沿って延伸しかつ収容スペースに連通し、第1中間流路は第1エッジ流路を圧力逃がし機構に連通させる。この構造を有する電池セルは熱暴走時に高温高圧気体を圧力逃がし機構にガイドし、排気速度を向上させ、安全性能を向上させる。
【0047】
本願の実施例で説明される技術案は電池及び電池を使用する電力消費装置に適用できる。
【0048】
電力消費装置は、車両、携帯電話、携帯機器、ノートパソコン、汽船、宇宙機、電動玩具及び電動工具等であってもよい。車両は、燃料自動車、ガス燃料自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は純粋な電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー式自動車等であってもよく、宇宙機は、飛行機、ロケット、スペースシャトル及び宇宙船等を含む。電動玩具は、ゲーム機、電気自動車玩具、電動汽船玩具及び電動飛行機玩具等の固定式又は移動式の電動玩具を含み、電動工具は金属切削電動工具、粉砕電動工具、組み立て電動工具及び鉄道電動工具を含み、たとえば、電動ドリル、電動研磨機、電動スパナ、電動ドライバ、電動ハンマー、インパクトドリル、コンクリートバイブレーター及び電気プレーナー等を含む。本願の実施例は上記電力消費装置を特別に限定しない。
【0049】
以下の実施例では、説明の便宜上、電力消費装置が車両であることを例として説明する。
【0050】
図1は本願のいくつかの実施例に係る車両の構造模式図である。図1に示すように、車両1の内部に電池2が設置され、電池2は車両1の底部又は前部又は尾部に設置されてもよい。電池2は車両1の給電に使用でき、たとえば、電池2は車両1の操作電源として使用できる。
【0051】
車両1はコントローラ3及びモータ4をさらに備えてもよく、コントローラ3は電池2がモータ4に給電するように制御することに用いられ、たとえば、車両1の始動、ナビゲーション及び運転時の動作電力需要に用いられる。
【0052】
本願のいくつかの実施例では、電池2は車両1の操作電源として使用できるだけでなく、車両1の駆動電源として使用され、燃料又は天然ガスを代替又は部分的に代替して車両1に駆動動力を提供することができる。
【0053】
図2は本願のいくつかの実施例に係る電池の分解模式図である。図2に示すように、電池2はボックス5及び電池セル(図2には図示しない)を備え、電池セルはボックス5内に収容される。
【0054】
ボックス5は電池セルを収容することに用いられ、ボックス5はさまざまな構造とされてもよい。いくつかの実施例では、ボックス5は第1ボックス部51及び第2ボックス部52を備えてもよく、第1ボックス部51と第2ボックス部52は相互に結合され、第1ボックス部51と第2ボックス部52は共同で電池セルを収容するための収容スペース53を制限する。第2ボックス部52は一端が開けられた中空構造であってもよく、第1ボックス部51は板状構造であり、第1ボックス部51は第2ボックス部52の開口側に結合され、これにより、収容スペース53を有するボックス5を形成し、また、第1ボックス部51と第2ボックス部52はいずれも一側が開けられた中空構造であってもよく、第1ボックス部51の開口側が第2ボックス部52の開口側に結合され、これにより、収容スペース53を有するボックス5を形成する。もちろん、第1ボックス部51及び第2ボックス部52は、円筒状、直方体等の様々な形状であってもよい。
【0055】
第1ボックス部51と第2ボックス部52の接続後の密封性を向上させるために、第1ボックス部51と第2ボックス部52との間にシーラント、シールリング等のシール部材が設置されてもよい。
【0056】
第1ボックス部51が第2ボックス部52の最上部に結合されると仮定すると、第1ボックス部51は上部ボックスカバーと呼ばれてもよく、第2ボックス部52は下部ボックスと呼ばれてもよい。
【0057】
電池2において、電池セルは1つであってもよく、複数であってもよい。電池セルが複数である場合、複数の電池セルは相互に直列接続又は並列接続又は直並列接続であってもよく、
直並列接続とは、複数の電池セルには直列接続も並列接続もあることである。複数の電池セルは相互に直接直列接続又は並列接続又は一体に直並列接続され、次に、複数の電池セルで構成されるものを全体としてボックス5内に収容するようにしてもよく、もちろん、複数の電池セルは、まず直列接続又は並列接続又は直並列接続されて電池モジュール6を構成し、次に、複数の電池モジュール6は直列接続又は並列接続又は直並列接続されて一体になり、かつボックス5内に収容されることもよい。
【0058】
図3図2に示される電池モジュールの構造模式図である。図3に示すように、いくつかの実施例では、電池セル7は複数であり、複数の電池セル7は、まず直列接続又は並列接続又は直並列接続されて電池モジュール6を構成する。次に、複数の電池モジュール6は直列接続又は並列接続又は直並列接続されて一体になり、かつボックス内に収容される。
【0059】
電池モジュール6における複数の電池セル7は相互にバス部材を介して電気的接続を実現し、電池モジュール6における複数の電池セル7の並列接続又は直列接続又は直並列接続を実現する。
【0060】
図4は本願のいくつかの実施例に係る電池セルの分解模式図である。
【0061】
図4に示すように、本願の実施例により提供される電池セル7は電極組立体10及びケーシング組立体20を備え、電極組立体10はケーシング組立体20内に収容される。
【0062】
いくつかの実施例では、電池セル7は、電極組立体10、ハウジング21、圧力逃がし機構30及びカバー組立体22を備える。ハウジング21には電極組立体10を収容するための収容スペース218が設けられ、ハウジング10は第1方向Zに沿った一側に位置する第1側板212を備え、圧力逃がし機構30は、第1側板212に設置され、カバー組立体22は、ハウジング21を密封することに用いられ、ハウジング21の第1側板212の内面2120には内面2120に沿って延伸する第1流路が設けられ、第1流路は、収容スペース218内のガスを圧力逃がし機構30にガイドし、圧力が閾値に達する場合に圧力逃がし機構30を作動させて圧力を放出することに用いられる。
【0063】
いくつかの実施例では、ケーシング組立体20はさらに電解質、たとえば電解液を収容することに用いられる。ケーシング組立体20は様々な構造形態であってもよい。
【0064】
いくつかの実施例では、ケーシング組立体20はハウジング21及びカバー組立体22を備えてもよく、ハウジング21は一側が開けられた中空構造であり、カバー組立体22はハウジング21の開口箇所に結合されかつ密封接続を形成し、電極組立体10及び電解質を収容するための収容キャビティを形成する。
【0065】
ハウジング21は、円筒状、直方体等の様々な形状であってもよい。ハウジング21の形状は電極組立体10の具体的な形状に応じて決められる。たとえば、電極組立体10が円筒状構造である場合、円筒状ハウジングを選択して使用することができ、電極組立体10が直方体構造である場合、直方体ハウジングを選択して使用することができる。
【0066】
いくつかの実施例では、カバー組立体22はエンドカバー221を備え、エンドカバー221はハウジング21の開口箇所に結合される。エンドカバー221は様々な構造であってもよく、たとえば、エンドカバー221は板状構造である。例示的に、図4では、ハウジング21は直方体構造であり、エンドカバー221は板状構造であり、エンドカバー221はハウジング21の最上部の開口箇所に結合される。
【0067】
エンドカバー221は絶縁材料(たとえばプラスチック)で製造されてもよく、導電性材料(たとえば金属)で製造されてもよい。エンドカバー221が金属材料で製造される場合、カバー組立体22は絶縁板をさらに備えてもよく、絶縁板がエンドカバー221の電極組立体10に面する一側に位置し、エンドカバー221と電極組立体10を絶縁して分離する。
【0068】
いくつかの実施例では、カバー組立体22は電極端子222をさらに備えてもよく、電極端子222はエンドカバー221に取り付けられる。電極端子222は2つであり、2つの電極端子222はそれぞれ正極電極端子及び負極電極端子として定義され、正極電極端子及び負極電極端子はいずれも電極組立体10に電気的に接続され、電極組立体10によって生成される電気エネルギーを出力することに用いられる。
【0069】
別のいくつかの実施例では、ケーシング組立体20は他の構造であってもよく、たとえば、ケーシング組立体20はハウジング21及び2つのカバー組立体22を備え、ハウジング21は対向する両側が開けられた中空構造であり、1つのカバー組立体22はハウジング21の1つの開口箇所に対応して結合されかつ密封接続を形成し、これにより、電極組立体10及び電解質を収容するための収容キャビティを形成する。この構造では、1つのカバー組立体22に2つの電極端子222が設けられ、もう1つのカバー組立体22に電極端子222が設置されないようにしてもよく、また、2つのカバー組立体22にそれぞれ1つの電極端子222が設置されることもよい。
【0070】
電池セル7において、ケーシング組立体20内に収容される電極組立体10は1つであってもよく、複数であってもよい。例示的に、図4では、電極組立体10は2つである。
【0071】
電極組立体10は正極板、負極板及びセパレーターを備える。電極組立体10は巻回型電極組立体、積層型電極組立体又は他の形態の電極組立体であってもよい。
【0072】
いくつかの実施例では、電極組立体10は巻回型電極組立体である。正極板、負極板及びセパレーターはいずれもテープ状構造である。本願の実施例は正極板、セパレーター及び負極板を順に積層して2回以上巻回して電極組立体10を形成することができる。
【0073】
別のいくつかの実施例では、電極組立体10は積層型電極組立体である。具体的には、電極組立体10は複数の正極板及び複数の負極板を備え、正極板と負極板は交互に積層され、積層方向が正極板の厚さ方向及び負極板の厚さ方向に平行である。
【0074】
電極組立体10の外形から見れば、電極組立体10は本体部11及び本体部11に接続されるタブ部12を備える。例示的に、タブ部12は本体部11のカバー組立体22に近い端から延伸する。
【0075】
いくつかの実施例では、タブ部12は2つであり、2つのタブ部12はそれぞれ正極タブ部及び負極タブ部として定義される。正極タブ部及び負極タブ部は本体部11の同一端から延伸してもよく、それぞれ本体部11の反対の両端から延伸してもよい。
【0076】
本体部11は電極組立体10が充放電機能を実現する核心部分であり、タブ部12は本体部11が生成する電流を引出することに用いられる。本体部11は正極集電体の正極集電部、正極活物質層、負極集電体の負極集電部、負極活物質層及びセパレーターを備える。正極タブ部は複数の正極タブを備え、負極タブ部は複数の負極タブを備える。
【0077】
タブ部12は電極端子222に電気的に接続される。タブ部12は溶接等の方式によって電極端子222に直接接続されてもよく、他の部材を介して電極端子222に間接的に接続されてもよい。たとえば、電池セル7は集電部材13をさらに備え、集電部材13は電極端子222とタブ部12とを電気的に接続することに用いられる。集電部材13は2つであり、2つの集電部材13はそれぞれ正極集電部材及び負極集電部材として定義され、正極集電部材は正極電極端子と正極タブ部とを電気的に接続することに用いられ、負極集電部材は負極電極端子と負極タブ部とを電気的に接続することに用いられる。電池セル7に複数の電極組立体10が設けられる場合、複数の電極組立体10の正極集電部材は一体的に設置されてもよく、複数の電極組立体10の負極集電部材は一体的に設置されてもよい。
【0078】
第1側板212はケーシング組立体20の第1方向Zに沿った一側に位置する。ケーシング組立体20のハウジング21は第1方向Zの第1側板212に対向する他側に端部開口を有する。
【0079】
ハウジング21は一端が開けられた中空構造である場合、第1側板212はハウジング21の電極組立体10のカバー組立体22から離れた一側に位置する底板である。
【0080】
圧力逃がし機構30が第1側板212に設置される。圧力逃がし機構30は第1側板212の一部であってもよく、第1側板212とは別個の構造であってもよい。第1側板212には自体の厚さ方向に沿って貫通する第1圧力逃がし孔210が設置され、圧力逃がし機構30は溶接等の方式によって第1側板212に固定されかつ第1圧力逃がし孔210を被覆する。圧力逃がし機構30は第1圧力逃がし孔210を密封し、第1側板212の内外両側のスペースを分離し、電解質が通常に動作する時に第1圧力逃がし孔210から流出することを回避する。
【0081】
圧力逃がし機構30は電池セル7の内部圧力が閾値に達する場合に作動して内部圧力を放出することに用いられる。電池セル7が生成するガスが多すぎてハウジング21の内部圧力が高くなって閾値に達すると、圧力逃がし機構30は動作し又は圧力逃がし機構30に設けられる脆弱構造が破裂され、ガス及び他の高温高圧物質は圧力逃がし機構30に裂けた開口及び第1圧力逃がし孔210から外部へリリースし、さらに電池セル7が爆発することを回避する。
【0082】
圧力逃がし機構30は各種の可能な圧力逃がし構造であってもよく、本願の実施例はこれについて限定しない。たとえば、圧力逃がし機構30は感圧圧力逃がし機構であってもよく、感圧圧力逃がし機構は感圧圧力逃がし機構が設けられる電池セル7の内部気圧が閾値に達する場合に破裂できるように配置される。
【0083】
いくつかの実施例では、圧力逃がし機構30にエンボス、凹溝又は他の構造が形成され、圧力逃がし機構30の部分強度を減少させかつ圧力逃がし機構30に脆弱構造を形成し、電池セル7の内部圧力が閾値に達する場合、圧力逃がし機構30は脆弱構造箇所で破裂し、圧力逃がし機構30は破裂箇所に設置される部分に沿って折り曲げて開口を形成し、高温高圧物質を放出する。
【0084】
短絡、過充電等の現象が発生する場合、電池セル7に熱暴走が発生しかつ大量の高温高圧物質、たとえば高温高圧気体がリリースされ、第1流路はガスが流れるようにガイドし、収容スペース218内のガスを圧力逃がし機構30にガイドすることができ、ガスは圧力逃がし機構30の圧力受け表面に作用しかつ圧力逃がし機構30に圧力を印加し、ガスの増加に伴って、圧力逃がし機構30が受けた圧力が大きくなり、圧力逃がし機構30は圧力が閾値に達する場合に作動して、ガス及び他の高温高圧物質を電池セル7の外部に放出し、それにより電池セル7の内部圧力を外部へリリースし、電池セル7の爆発、発火を防止する。
【0085】
本願の実施例はハウジング21の第1側板212に第1流路を設置することにより、電池セル7が熱暴走する時にリリースしたガスを収容スペース218から圧力逃がし機構30にガイドし、圧力逃がし機構30がタイムリーに作動してガスを放出するようにすることができ、電池セル7が熱暴走する時の排気速度を向上させ、電池セル7の安全性を向上させる。
【0086】
図5は本願のいくつかの実施例に係る電池セルのハウジングの構造模式図である。図6は本願のいくつかの実施例に係る電池セルの上面模式図である。図7図6に示される図5の実施例のハウジングを用いた電池セルのB-B箇所での断面模式図である。図8図7に示される電池セルのC箇所での拡大模式図である。図9図7に示される電池セルのD箇所での拡大模式図である。図10図6に示される図5の実施例のハウジングを用いた電池セルのE-E箇所での断面模式図である。図11図10に示される電池セルのF箇所での拡大模式図である。
【0087】
図5図11を参照し、いくつかの実施例では、第1流路は第1中間流路215及び第1エッジ流路216を備え、第1エッジ流路216は第1側板212の内面2120の円周方向のエッジに沿って延伸しかつ収容スペース218に連通し、第1中間流路215は第1エッジ流路216を圧力逃がし機構30に連通させる。
【0088】
いくつかの実施例では、第1中間流路215は内面2120に延伸する第1中間凹溝2141を備え、各第1中間凹溝2141の一端は圧力逃がし機構30に連通し、他端は第1エッジ流路216に連通する。電池セル7に熱暴走が発生すると、リリースしたガスは第1中間凹溝2141に沿って収容スペース218から圧力逃がし機構30にガイドして排出され、電極組立体10の遮断により排気に影響を与えることはなく、電池セル7が熱暴走する時の排気速度を向上させ、電池セル7の安全性を向上させ、また、第1中間凹溝2141が第1側板212の内面2120に設置され、収容スペース218を占有することにより電池セル7のエネルギー密度に影響を与えることはない。
【0089】
いくつかの実施例では、第1中間流路215は複数の第1中間凹溝2141を備え、各第1中間凹溝2141は圧力逃がし機構30及び第1エッジ流路216に連通する。複数の第1中間凹溝2141は電池セル7が熱暴走する時の排気速度を向上させ、電池セル7の安全性を向上させることができ、この他、特定の第1中間凹溝2141が詰まられても、ガスは第1エッジ流路216を通過して他の第1中間凹溝2141に移動して、次に圧力逃がし機構30から排出され、排気の信頼性を向上させる。また、第1中間凹溝2141が第1側板212の内面に設置され、収容スペース218を占有することにより電池セル7のエネルギー密度に影響を与えることはない。
【0090】
いくつかの実施例では、ハウジング21における複数の第1中間凹溝2141は圧力逃がし機構30を中心として周りへ放射状で延伸する。
【0091】
具体的には、複数の第1中間凹溝2141は共同で第1中間流路215を構成し、複数の第1中間凹溝2141は圧力逃がし機構30を中心として周りへ放射状で延伸する。放射状で延伸することとは複数の第1中間凹溝2141が圧力逃がし機構30を中心とし、複数の第1中間凹溝2141がほぼ圧力逃がし機構30の中心を軸とする半径方向に沿って延伸することである。複数の第1中間凹溝2141の一端は圧力逃がし機構30に連通し、いくつかの実施例では、複数の第1中間凹溝2141は第1圧力逃がし孔210に接続される。そのうち一部の第1中間凹溝2141の他端は隣接する第2側板213の近くまで延伸し、他部の第1中間凹溝2141の他端は第3側板211の近くまで延伸する。
【0092】
いくつかの実施例では、第1エッジ流路216は第1側板212の内面2120の円周方向のエッジに設置されかつ円周方向のエッジに沿って延伸する第1エッジ凹溝2142を備え、各第1中間凹溝2141はいずれも第1エッジ凹溝2142に連通する。第1エッジ凹溝2142を設置することにより、ガスは第1エッジ凹溝2142を通過して最も近い第1中間凹溝2141に移動し圧力逃がし機構30にガイドして排出され、ガスの移動経路を縮め、排気をより順調にし、排気効率を向上させ、また、特定の第1中間凹溝2141が詰まられる場合、ガスはさらに第1エッジ凹溝2142を通過して他の第1中間凹溝2141に移動して排出され、排気の信頼性を向上させる。いくつかの実施例では、第1エッジ凹溝2142は全体として連通しているリング形である。
【0093】
図5に示すように、ハウジング21は第3方向Yに沿って対向して設置される1対の第2側板213、及び第2方向Xに沿って対向して設置される1対の第3側板211を備える。第2側板213及び第3側板211はいずれも第1側板212に接続され、かつ隣接する第2側板213と第3側板211は相互に接続されて共同で収容スペース218を形成する。第2方向Xは第1方向Zに垂直でありかつ第3方向Yに垂直である。第3方向Yは第1方向Zに垂直でありかつ第2方向Xに垂直である。
【0094】
図8に示すように、該実施例では、収容スペース218は電極組立体10と各第2側板213との間に設置される第1隙間G1を備え、隣接する第2側板213の近くまで延伸する一部の第1エッジ凹溝2142は第1隙間G1に連通する。収容スペース218は電極組立体10と各第3側板211との間に設置される第2隙間G2をさらに備え、第3側板213の近くまで延伸する一部の第1エッジ凹溝2142は第2隙間G2に連通する。このように、電池セル7に熱暴走が発生する時、ガスは第1側板212の円周方向においてそれぞれ第1隙間G1及び第2隙間G2を通過して第1エッジ凹溝2142に沿って第1中間凹溝2141にガイドされ、次に第1中間凹溝2141を通過して圧力逃がし機構30に移動することができる。この他、電極組立体10の内部に生成したガスは、第1中間凹溝2141を直接通過して圧力逃がし機構30に入ることができる。電池セル7が熱暴走する時の排気速度を向上させ、電池セル7の安全性を向上させる。
【0095】
図8に示すように、収容スペース218は電極組立体10と各第2側板213との間に設置される第1隙間G1を備える。第1エッジ凹溝2142は第1隙間G1に連通する。第1中間凹溝2141は第1エッジ凹溝2142を介して第1隙間G1に連通し、さらに第1中間流路215が第1エッジ流路216を介して収容スペース218に連通することを実現する。
【0096】
図9に示すように、いくつかの実施例では、第1中間流路215が圧力逃がし機構30に連通する位置から、第1中間流路215の長さの少なくとも一部の深さHは圧力逃がし機構30から離れた方向に沿って徐々に減少する。
【0097】
具体的には、第1中間流路215が圧力逃がし機構30に連通する位置から、第1中間流路215を構成する各第1中間凹溝2141の第3方向Yに沿った長さの少なくとも一部において、第1中間凹溝2141の深さHは圧力逃がし機構30から離れた方向に沿って徐々に減少する。図9に示すように、第1中間凹溝2141の長さの少なくとも一部の深さHは圧力逃がし機構30に近い方向に沿って徐々に増加し、圧力逃がし機構30の排気方向に向かって傾斜する斜面を形成し、ガスを圧力逃がし機構30にガイドして排出することに役立ち、排気効率を向上させる。斜面は直線状又は弧線状で傾斜してもよい。
【0098】
長さの一部とは、深さHが変化する部分が第3方向Yにおいて圧力逃がし機構30に接続されている第1中間流路215の長さの一部のみを占め、長さの残りの部分の第1中間流路215の深さが変わらなくてもよいことである。別の実施例では、第1中間流路215はまた、第1中間流路215の長さ全体にわたって深さHが変化してもよい。
【0099】
第1中間流路215が圧力逃がし機構30に連通する位置とは、第1中間流路215が圧力逃がし機構30のエッジに接続される位置である。ハウジング21に第1圧力逃がし孔210が設置される場合、第1中間流路215が圧力逃がし機構30に連通する位置とは、第1中間流路215が第1圧力逃がし孔210に接続される位置である。
【0100】
図10及び図11を参照し、電極組立体10と各第3側板211との間に第2隙間G2が形成され、第1エッジ凹溝2142は第2隙間G2に連通する。第1中間凹溝2141は第1エッジ凹溝2142を介して第2隙間G2に連通し、さらに第1中間流路215が第1エッジ流路216を介して収容スペース218に連通することを実現する。さらに、電池セル7が生成するガスが多すぎてハウジング21の内部圧力が高くなって閾値に達する場合、ガスは第2隙間G2を通過した後、電極組立体10により遮断されなくなり、複数の第1中間凹溝2141を通過して圧力逃がし機構30に移動して排出されてもよい。
【0101】
この他、いくつかの実施例では、電極組立体10の内部に生成するガスはまた、第1中間流路215を直接通過して圧力逃がし機構30に入ってもよい。
【0102】
図12は本願の別の実施例に係る電池セルのハウジングの構造模式図である。
【0103】
図12に示すように、該実施例では、図5の実施例におけるハウジング21との違いは、第1中間流路215を構成する複数の第1中間凹溝2141が少なくとも2つの相互に平行である第1中間凹溝2141を備えることである。図12に示すように、第1中間流路215は第3方向Yに沿って延伸する2つの第1中間凹溝2141及び第2方向Xに沿って延伸する2つの第1中間凹溝2141を備える。各第1中間凹溝2141はいずれも圧力逃がし機構30及び第1エッジ凹溝2142に連通する。第1中間凹溝2141の数は2つに限定されず、その延伸方向も第3方向Y又は第2方向Xに限定されない。
【0104】
図13は本願の別の実施例に係る電池セルのハウジングの構造模式図である。
【0105】
図13に示すように、該実施例では、図5の実施例におけるハウジング21との違いは、第1エッジ凹溝2142が連続的に設置されておらず、ノッチ付きリング形であり、又は第1エッジ凹溝2142が円周方向のエッジに沿って間隔をおいて設置される複数のサブ凹溝を備え、各サブ凹溝が第1中間凹溝2141を介して圧力逃がし機構30に連通することである。
【0106】
図14は本願の別の実施例に係る電池セルのハウジングの構造模式図である。図15図6に示される図14の実施例のハウジングを用いた電池セルのE-E箇所での断面模式図の部分拡大模式図である。
【0107】
図14、15に示すように、いくつかの実施例では、ハウジング21では、第1側板212の内面には収容スペース218へ突出する第1突起部2143が形成され、第1突起部2143は内面2120から離れた上面2140を有し、第1中間流路215及び第1エッジ流路216は第1突起部2143の上面2140と内面2120との間のスペースに形成される。該実施例では、第1突起部2143の上面2140は電極組立体10を支持することに用いられ、第1突起部2143の上面2140と内面2120との間のスペースに第1中間流路215及び第1エッジ流路216が形成され、電池セル7が熱暴走する時の排気速度を向上させ、電池セル7の安全性を向上させる。
【0108】
いくつかの実施例では、図14に示すように、第1中間流路215は圧力逃がし機構30に連通する複数の第1中間サブ流路2151を備え、第1突起部2143は複数であり、複数の第1突起部2143は圧力逃がし機構30を中心として周りへ放射状で延伸しかつ間隔をおいて配置され、隣接する2つの第1突起部2143と内面2120との間に第1中間サブ流路2151が形成される。各第1突起部2143の圧力逃がし機構30から離れた端部と、隣接する第2側板213又は隣接する第3側板211との間に第5隙間G5が設けられ、第5隙間G5は第1エッジ流路216の一部を形成する。圧力逃がし機構30を中心として周りへ放射状で延伸する複数の第1突起部2143を設置し、第1中間流路215及び第1エッジ流路216を形成することにより、圧力逃がし機構30の円周方向の排気効率を向上させることができる。第5隙間G5を設置することにより、ガスはさらに第1側板212のエッジの円周方向に沿って移動し、第1エッジ流路216を形成することができる。この他、特定の第1中間サブ流路2151が詰まられる場合、ガスはまた、第1エッジ流路216を通過して他の第1中間サブ流路2151に移動して排出され、排気の信頼性を向上させる。
【0109】
具体的には、隣接する2つの第1突起部2143と内面2120との間に第1中間サブ流路2151が形成され、複数の第1中間サブ流路2151は圧力逃がし機構30を中心として周りへ放射状で延伸しかつ間隔をおいて配置される。放射状で延伸することとは、複数の第1中間サブ流路2151が圧力逃がし機構30を中心とし、複数の第1中間サブ流路2151がほぼ圧力逃がし機構30の中心点を軸とする半径方向に沿って延伸することである。複数の第1中間サブ流路2151の一端は圧力逃がし機構30に連通し、いくつかの実施例では、複数の第1中間サブ流路2151は第1圧力逃がし孔210に接続される。そのうち一部の第1中間サブ流路2151の他端は第2側板213の近くまで延伸し、第1隙間G1に連通し、他部の第1中間サブ流路2151の他端は第3側板211の近くまで延伸し、第2隙間G2に連通する。隣接する第1中間サブ流路2151同士はまた、第5隙間G5を介して連通してもよい。
【0110】
図8及び11に示すように、該実施例では、収容スペース218は電極組立体10と各第2側板213との間に設置される第1隙間G1を備え、第2側板213の近くまで延伸する一部の第1中間サブ流路2151は第1隙間G1に連通する。収容スペース218は電極組立体10と各第3側板211との間に設置される第2隙間G2をさらに備え、第3側板213の近くまで延伸する一部の第1中間サブ流路2151は第2隙間G2に連通する。このように、電池セル7に熱暴走が発生する場合、ガスは圧力逃がし機構30の円周方向において第1中間流路215に沿って圧力逃がし機構30にガイドされ、電池セル7が熱暴走する時の排気速度を向上させ、電池セル7の安全性を向上させる。この他、特定の第1中間サブ流路2151が詰まられる場合、ガスはまた、第1エッジ流路216を通過して他の第1中間サブ流路2151に移動して排出され、排気の信頼性を向上させる。
【0111】
この他、いくつかの実施例では、電極組立体10の内部に生成するガス第1中間サブ流路2151を直接通過して圧力逃がし機構30に入ってもよい。
【0112】
この他、図12~14の実施例では、図9の実施例を参照してもよく、第1中間流路215が圧力逃がし機構30に連通する位置から、第1中間流路215の長さの少なくとも一部の深さHは圧力逃がし機構30から離れた方向に沿って徐々に減少する。
【0113】
以上の実施例では、第1突起部2143の上面2140にさらに絶縁層が設けられ、絶縁層は電極組立体10とハウジング21との間の絶縁を実現することに用いられ、支持部材を付加的に設置する必要がなく、収容スペース218に対する占有を減少させ、電池セル7の排気に影響を与えないとともに、電池セル7のエネルギー密度を向上させるのに役立つ。
【0114】
図16は本願の別の実施例に係る電池セルの構造模式図である。
【0115】
図16に示すように、該実施例では、以上の実施例との違いは、支持部材40を追加することである。支持部材40は電極組立体10と第1側板212との間に設置されかつ電極組立体10を支持することに用いられる。電極組立体10、支持部材40及び第1側板212は第1方向Zに沿って順に設置される。例示的に、支持部材40は絶縁材料で製造され、第1側板212と電極組立体10を絶縁的に分離することができる。支持部材40は電極組立体10を支持でき、電池セル7が振動する時に電極組立体10の揺動を減少させ、電極組立体10の活物質の欠落のリスクを低減する。
【0116】
支持部材40は電極組立体10に直接当接されて電極組立体10を支持してもよく、他の部材を介して電極組立体10を支持してもよい。たとえば、電池セル7は電極組立体10の本体部11の外側に被覆される絶縁フィルム50をさらに備え、絶縁フィルム50の一部は支持部材40と電極組立体10との間に位置し、支持部材40は絶縁フィルム50を介して電極組立体10を支持する。支持部材40は対向して設置される第1表面41及び第2表面42を有し、第1表面41は第1側板2120に面しており、第2表面42は電極組立体10に面している。
【0117】
いくつかの実施例では、支持部材40は第1側板212に当接されてもよく、たとえば、図5~11の実施例では、支持部材40は電極組立体10の重力作用で第1側板212に当接され、第1側板212の内面2120に接触するようにしてもよい。図8を参照し、支持部材40は第3方向Yにおいて第3側板213との間に第3隙間G3が形成され、この他、図11における実施例を参照し、支持部材40は第2方向Xにおいて隣接する第2側板211との間に第4隙間G4が形成される。第1隙間G1は第3隙間G3を介して第1エッジ流路216に連通する。第2隙間G2は第4隙間G4を介して第1エッジ流路216に連通する。
【0118】
支持部材40は第1方向Zにおいて第1側板212と間隔をおいて設置されてもよい。たとえば、図14、15の実施例では、支持部材40は第1突起部2143の表面に配置され、第1側板212の内面2120と間隔をおいて設置されることもよい。
【0119】
図17は本願の別の実施例に係る電池セルの支持部材の構造模式図である。図18は本願の別の実施例に係る電池セルの支持部材の構造模式図である。図19は本願の別の実施例に係る電池セルの支持部材の構造模式図である。
【0120】
いくつかの実施例では、支持部材40に第2流路が設けられ、第2流路は第1中間流路215と収容スペース218を連通させる。支持部材40に第2流路が形成され、第1中間流路215と収容スペース218を連通させ、排気の流路面積を増加し、排気効率を向上させることができる。
【0121】
図17に示すように、いくつかの実施例では、第2流路は第1方向Zに沿って支持部材40を貫通する第1貫通孔401を備え、第1貫通孔401は第1方向Zにおいて第1中間流路215と収容スペース218を連通させる。第1貫通孔401により、電極組立体10の内部に生成するガスは第1貫通孔401を通過して支持部材40を貫通して第1中間流路215に直接入ることができ、排気効率を向上させる。
【0122】
図18に示すように、いくつかの実施例では、第2流路は第1流路の形状とマッチングする。第2流路は第1流路の形状とマッチングすることにより、組み合わせられると排気の流路の横断面積を増大し、排気効率を向上させることができる。具体的には、第2流路は第1中間流路215及び第1エッジ流路216の形状とマッチングし、一体に組み合わせられると排気の流路の横断面積を増加し、排気効率を向上させることができる。
【0123】
いくつかの実施例では、第2流路は第1表面41に設けられる第2中間流路402を備え、第2中間流路402は第1隙間G1及び/又は第2隙間G2に連通し、かつ第2中間流路402は第1中間流路215の形状と一致する。支持部材40には、第1隙間G1及び/又は第2隙間G2、及び第1中間流路215に連通する第2中間流路402を設置することにより、排気の流路面積を増加し、排気効率を向上させることができる。
【0124】
いくつかの実施例では、支持部材40に第2圧力逃がし孔43が設けられ、第2圧力逃がし孔43はハウジング21における第1圧力逃がし孔210の位置に対応する。第2中間流路402は第2圧力逃がし孔43を中心として周りへ放射状で延伸する。第2中間流路402は第2圧力逃がし孔43と第1隙間G1及び/又は第2隙間G2を連通させる。
【0125】
いくつかの実施例では、支持部材40の円周方向のエッジに第2エッジ流路403がさらに設けられ、第2エッジ流路403は第1エッジ流路216の形状と一致する。第1側板212のエッジ排気の流路面積を増加し、排気効率を向上させることができる。
【0126】
図19に示すように、いくつかの実施例では、支持部材40に第1貫通孔401、第2中間流路402及び第2エッジ流路403が設置され、第1貫通孔401は第2中間流路402に連通する。排気の流路面積をさらに増加し、排気効率を向上させることができる。
【0127】
図20は本願の別の実施例に係る支持部材及び絶縁フィルムが設けられる電池セルの構造模式図である。図21は本願の別の実施例に示される絶縁フィルムの構造模式図である。
【0128】
図20図21に示すように、いくつかの実施例では、電池セル7は電極組立体10の本体部11の外側に被覆される絶縁フィルム50をさらに備え、絶縁フィルム50の一部は支持部材40と電極組立体10との間に位置し、支持部材40は絶縁フィルム50を介して電極組立体10を支持する。支持部材40は対向して設置される第1表面41及び第2表面42を備え、第1表面41は第1側板2120に面しており、第2表面42は絶縁フィルム50に面している。
【0129】
いくつかの実施例では、絶縁フィルム50は電極組立体10の一部を包み、かつ電極組立体10とハウジング21を仕切ることに用いられる。絶縁フィルム50は電極組立体10と支持部材40との間に位置する第1サイドフィルム501を備え、第1サイドフィルム501は第2貫通孔5011を有し、第2貫通孔5011と、支持部材40の第1貫通孔401及び第2圧力逃がし孔43との第1方向Zにおける投影は重ならない。絶縁フィルム50の第1サイドフィルム501の第2貫通孔5011と、支持部材40における第1貫通孔401及び第2圧力逃がし孔43との第1方向Zにおける投影は重ならないことにより、電極組立体10とハウジング21の第1側板212との直接接触を回避することができ、電極組立体10と第1側板212との間の確実な絶縁を実現するとともに、第1貫通孔401及び第2貫通孔5011を介して収容スペース218と第1中間流路215を連通させることを実現し、排気効率を向上させることができる。
【0130】
いくつかの実施例では、図21及び図8に示すように、第1サイドフィルム501は絶縁フィルム50の第1方向Zにおける一側に位置する。絶縁フィルム50には第3方向Yにおいて対向して設置される第3サイドフィルム502が設けられ、第3サイドフィルム502の第1サイドフィルム501に近い位置に開口510が設けられ、分離フィルム50で包まれる電極組立体10内に生成するガスは、一方では第2貫通孔5011及び第1貫通孔402を介して第1中間流路215に接続することができ、他方では開口510及び第1隙間G1、第3隙間G3を介して第1エッジ流路216に接続することができ、さらに圧力逃がし機構30を介して排出され、排気の流路面積を増加し、排気効率を向上させることができる。
【0131】
図22は本願のいくつかの実施例に係る電池セルの製造方法のフローチャートである。
【0132】
図22に示すように、本願の実施例の電池セルの製造方法は、
電極組立体を提供するステップS100と、
電極組立体を収容するための収容スペースが設けられ、第1方向に沿った一側に位置する第1側板を備えるハウジングを提供するステップS200と、
第1側板に設置される圧力逃がし機構を提供するステップS300と、
ハウジングを密封するためのカバー組立体を提供するステップS400と、
電極組立体、ハウジング、圧力逃がし機構及びカバー組立体を組み立てて電池セルを形成するステップS500と、を含み、
ハウジングを提供するステップS200は、ハウジングの第1側板の内面には内面に沿って延伸する第1流路を形成することをさらに含み、第1流路は、収容スペース内のガスを圧力逃がし機構にガイドし、圧力が閾値に達する場合に圧力逃がし機構を作動させて圧力を放出することに用いられる。第1流路は第1中間流路及び第1エッジ流路を備え、第1エッジ流路は第1側板の内面の円周方向のエッジに沿って延伸しかつ収容スペースに連通し、第1中間流路は第1エッジ流路を圧力逃がし機構に連通させる。
【0133】
なお、上記電池セルの製造方法によって製造される電池セルの関連構造は、上記各実施例により提供される電池セルを参照されたい。
【0134】
上記電池セルの製造方法に基づいて電池セルを組み立てる場合、上記ステップに従って順に行う必要がなく、つまり、実施例に言及される順序に従ってステップを実行してもよく、実施例に言及されるものと異なる順序に従ってステップを実行してもよく、又はいくつかのステップを同時に実行する。たとえば、ステップS100、S200、S300、S400が特定の順序で実行されることはなく、同時に実行されてもよい。
【0135】
図23は本願のいくつかの実施例に係る電池セルの製造システムの例示的なブロック図である。
【0136】
図23に示すように、本願の実施例の電池セルの製造システム8は、電極組立体を提供するための電極組立体提供装置81と、ハウジング提供装置82であって、ハウジングを提供することに用いられ、ハウジングには電極組立体を収容するための収容スペースが設けられ、ハウジングは第1方向に沿った一側に位置する第1側板を備えるハウジング提供装置82と、第1側板に設置された圧力逃がし機構を提供するための圧力逃がし機構提供装置83と、ハウジングを密封するためのカバー組立体を提供するためのカバー組立体提供装置84と、電極組立体、ハウジング、圧力逃がし機構及びカバー組立体を組み立てて電池セルを形成するための組み立て装置85と、を備え、ハウジングの第1側板の内面には内面に沿って延伸する第1流路が形成され、第1流路は、収容スペース内のガスを圧力逃がし機構にガイドし、圧力が閾値に達する場合に圧力逃がし機構を作動させて圧力を放出することに用いられる。第1流路は第1中間流路及び第1エッジ流路を備え、第1エッジ流路は第1側板の内面の円周方向のエッジに沿って延伸しかつ収容スペースに連通し、第1中間流路は第1エッジ流路を圧力逃がし機構に連通させる。
【0137】
上記製造システムによって製造された電池セルの関連構造は、上記各実施例により提供される電池セルを参照されたい。
【0138】
なお、矛盾がない場合、本願における実施例及び実施例における特徴は相互に組み合わせることができる。
【0139】
最後に、以上の実施例は本願の技術案を説明するためのものに過ぎず、それを制限するためのものではない。上記実施例を参照して本願を詳細に説明したが、当業者であれば理解できるように、上記各実施例に記載の技術案を修正し、又は技術的特徴の一部に対して均等置換を行うことができるが、これらの修正や置換は、対応する技術案の本質を本願の各実施例の技術案の精神及び範囲から逸脱させるものではない。
【符号の説明】
【0140】
1 車両
2 電池
3 コントローラ
4 モータ
5 ボックス
6 電池モジュール
7 電池セル
10 電極組立体
11 本体部
12 タブ部
13 集電部材
20 ケーシング組立体
21 ハウジング
22 カバー組立体
30 機構
40 支持部材
41 第1表面
42 第2表面
43 孔
50 絶縁フィルム
51 第1ボックス部
52 第2ボックス部
53 収容スペース
81 電極組立体提供装置
82 ハウジング提供装置
83 機構提供装置
84 カバー組立体提供装置
85 組み立て装置
210 孔
211 第3側板
212 第1側板
213 第2側板
215 第1中間流路
216 第1エッジ流路
218 収容スペース
221 エンドカバー
222 電極端子
401 第1貫通孔
402 第2中間流路
403 第2エッジ流路
501 第1サイドフィルム
502 第3サイドフィルム
510 開口
2120 内面
2140 上面
2141 第1中間凹溝
2142 第1エッジ凹溝
2143 第1突起部
2151 第1中間サブ流路
5011 第2貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23