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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-24
(45)【発行日】2023-11-01
(54)【発明の名称】紙製容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 3/04 20060101AFI20231025BHJP
   B65D 3/00 20060101ALI20231025BHJP
   B65D 43/04 20060101ALI20231025BHJP
   B65D 43/08 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
B65D3/04
B65D3/00 B
B65D43/04 100
B65D43/08 100
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019151582
(22)【出願日】2019-08-21
(65)【公開番号】P2021031088
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000145987
【氏名又は名称】株式会社昭和丸筒
(72)【発明者】
【氏名】橘 毅
(72)【発明者】
【氏名】岡本 保
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-057811(JP,U)
【文献】特開2002-019756(JP,A)
【文献】実公昭15-009881(JP,Y1)
【文献】登録実用新案第348571(JP,Z1)
【文献】特開2013-180532(JP,A)
【文献】実開平03-009873(JP,U)
【文献】特開2012-066855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/00 - 1/48
B65D 3/00 - 3/00
B65D 21/00 - 21/08
B65D 43/04 - 43/08
F16B 7/00 - 7/22
F16J 15/16 - 15/53
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向一方に開口部を有する有底筒状の紙製の胴体と、
前記開口部を閉塞可能とする紙製の蓋体とを備え、
前記胴体は、周壁部と底面部とを有し、
前記蓋体は、周壁部と天面部とを有し、
前記胴体の周壁部と前記蓋体の周壁部とには相互に螺合するための螺合部がそれぞれ設けられており、
前記螺合部の少なくとも一部が片面段ボールにより形成されている
ことを特徴とする紙製容器。
【請求項2】
前記胴体の周壁部の外周面には螺合部が形成され、前記蓋体の周壁部の内周面には螺合部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の紙製容器。
【請求項3】
前記胴体の周壁部の内周面には螺合部が形成され、前記蓋体の周壁部の外周面には螺合部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の紙製容器。
【請求項4】
前記蓋体には当該蓋体の螺合部の雄ネジの外径よりも大きな外径のフランジ部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の紙製容器。
【請求項5】
雄ネジを形成する前記胴体もしくは前記蓋体の周壁部において、前記螺合部よりも先端部側に、雌ネジを形成する前記蓋体もしくは前記胴体の雌ネジの内径と比較して、外径が同等もしくは小さい導入部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の紙製容器。
【請求項6】
雌ネジを形成する前記胴体もしくは前記蓋体の周壁部において、前記螺合部よりも先端部側に、雄ネジを形成する前記蓋体もしくは前記胴体の雄ネジの外径と比較して、内径が同等もしくは大きい導入部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の紙製容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はネジ蓋付き紙製容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ネジ蓋付き紙製容器としては、紙缶体の端部に断面がU字状をした薄板状の金属・プラスチック等の補強材を嵌着積層し、この補強材によって補強された部分にネジ部を押圧成形し、周縁部にネジを有する蓋体を螺合するようにして成る紙缶が提案されている。この紙製容器によれば、紙缶であるにも拘わらずネジ蓋を使用できる(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
また、内筒の外周面に細い紙紐または麻紐等を螺旋状に所定の間隔をおいて巻き付け、その上に紙又は布等を接着することによって突条部を構成し、蓋筒にこの内筒の突条部に対応する螺旋状の溝を内側面に設けた紙製容器が提案されている。この紙製容器によれば、螺合部を紙等の天然素材で形成させることができる(例えば、下記特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭61-153718号公報
【文献】実開平6-57811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたものは、押圧成形した紙製容器のネジ部は、紙の水分量の影響によりネジ部の形状が伸縮し、安定しないため、紙とは異なる金属・プラスチック等の材料で補強する必要があった。このため、廃棄には分別処理が必要となり、環境問題に配慮に欠けるという問題があった。
【0006】
また、特許文献2に開示されたものは、内筒の外周面にネジ山として細い紐を螺旋状に巻き付けた突条部と蓋筒の内周面に形成されたネジ溝とのピッチや位置を合わせて螺合部を形成させることが技術的に困難であった。
【0007】
本発明はこのような従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、簡単に螺合部が形成でき、環境に配慮した紙製容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、本発明に係る紙製容器は、軸方向一方に開口部を有する有底筒状の紙製の胴体と、前記開口部を閉塞可能とする紙製の蓋体とを備え、前記胴体は、周壁部と底面部とを有し、前記蓋体は、周壁部と天面部とを有し、前記胴体の周壁部と前記蓋体の周壁部とには相互に螺合するための螺合部がそれぞれ設けられており、前記螺合部の少なくとも一部が片面段ボールにより形成されていることを特徴とする紙製容器。
【0009】
これによれば、簡単に螺合部が形成でき、環境に配慮した紙製容器を提供することができる。
【0010】
また、前記胴体の周壁部の外周面には螺合部が形成され、前記蓋体の周壁部の内周面には螺合部が形成されているものであってもよい。
【0011】
また、前記胴体の周壁部の内周面には螺合部が形成され、前記蓋体の周壁部の外周面には螺合部が形成されているものであってもよい。
【0012】
また、前記蓋体には当該蓋体の螺合部の雄ネジの外径よりも大きな外径のフランジ部が形成されているものであってもよい。
【0013】
また、雄ネジを形成する前記胴体もしくは前記蓋体の周壁部において、前記螺合部よりも先端部側に、雌ネジを形成する前記蓋体もしくは前記胴体の雌ネジの内径と比較して、外径が同等もしくは小さい導入部が設けられているものであってもよい。
【0014】
また、雌ネジを形成する前記胴体もしくは前記蓋体の周壁部において、前記螺合部よりも先端部側に、雄ネジを形成する前記蓋体もしくは前記胴体の雄ネジの外径と比較して、内径が同等もしくは大きい導入部が設けられているものであってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡単に螺合部が形成でき、環境に配慮した紙製容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1の実施形態の紙製容器の斜視図である。
図2】第1の実施形態の紙製容器の一部を切り欠いて示す正面図である。
図3】第2の実施形態の紙製容器の斜視図である。
図4】第2の実施形態の紙製容器の一部を切り欠いて示す正面図である。
図5】第3の実施形態の紙製容器の斜視図である。
図6】第3の実施形態の紙製容器の一部を切り欠いて示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照して説明する。
【0018】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について図1図2を参照しつつ説明する。本発明の第1の実施形態の紙製容器1は、図1に示すように、胴体2と蓋体3とを備える。
【0019】
胴体2は筒状であり、軸方向一方には開口部4が形成されており、他方には底面部5が形成された有底筒状形状である。
【0020】
胴体2は円筒状の鉄芯に帯状の紙テープを螺旋状に複数枚巻き、各層を接着剤で固定して製造される(スパイラル巻き)。周壁部21の軸方向他方端は内側にカールして曲げられており、底面部5を形成させる紙製の底板と接着されている。
【0021】
胴体2の周壁部21の開口部側の外周面には蓋体3と螺合するための螺合部22が形成されている。螺合部22は片面段ボールによって形成さている。片面段ボールは、周壁部にリード角が10°となるように接着されている。
【0022】
片面段ボールは、1枚のライナに波形に形成された中芯を貼り合せた段ボールである。本発明では、使用される紙の品種は特に限定されるものではない。波形の段の種類はFフルート、30cmあたりの段の数は120、段の高さは0.6mmである。しかし、段の種類は特に限定されるものではなく、30cmあたりの段の数は30以上、段の高さは0.4mm~5.0mm程度が好ましい。より好ましくは30cmあたりの段の数は80以上、段の高さは0.4mm~1.5mmである。
【0023】
胴体2の螺合部22は雄ネジを形成しており、配置された片面段ボールの波形凹凸形状の凸部がネジ山、凹部がネジ溝として機能している。
【0024】
紙製容器1のサイズは特に限定されるものではないが、胴体2の内径は直径6mmから直径130mmが好ましい。
【0025】
蓋体3は筒状であり、一方に天面部6が形成されている。蓋体3はスパイラル巻きにより製造される。周壁部31の一方端が内側に曲げられており、天面部6を形成する紙製の天板が接着されている。
【0026】
蓋体3の周壁部31の内周面には胴体2と螺合するための螺合部32が形成されている。螺合部32は片面段ボールによって形成されている。片面段ボールは、周壁部32の内周面にリード角が10°となるように接着されている。
【0027】
蓋体3の螺合部32は雌ネジを形成しており、配置された片面段ボールの波形凹凸形状の凸部がネジ山、凹部がネジ溝として機能している。
【0028】
蓋体3の螺合部32に用いられる片面段ボールは、胴体2の螺合部22に用いられる片面段ボールと、段の種類が同じ、Fフルート、30cmあたりの段の数は120、段の高さは0.6mmが使用されている。
【0029】
胴体2の螺合部22と対応する蓋体3の螺合部32に同じ種類の片面段ボールを使用することにより、雄ネジと雌ネジのネジのピッチ、ネジ山の高さ、リードを容易に合わせることが可能となる。
【0030】
螺合部を片面段ボールで形成させることによりオール紙製の容器を容易に製造することができる。また、多条ネジを容易に形成させることができ、少ない回転で素早く脱着できる蓋体3付きの紙製容器1を安価に製造できる。
【0031】
胴体2及び蓋体3は、紙を主体として構成されておればよく、気密性等の要求特性に応じて、アルミ箔等の金属層やポリエチレン等の樹脂層等を適宜、設けることもできる。
【0032】
<第2の実施形態>
次に、本発明に係る紙製容器1の第2の実施形態について図3図4を参照しつつ説明する。以下の説明では、第1の実施形態と異なる構成について説明することとし、同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0033】
雄ネジが形成された胴体2の周壁部21の外周面には、螺合部22よりも先端部側に、雌ネジが形成された蓋体3の螺合部32の雌ネジの内径と比較して、同等もしくは小さい外径を持つ導入部7が設けられている。
【0034】
導入部7を設けることで、胴体2と蓋体3とを螺合する際に、蓋体3がまず導入部7に挿入され、軸方向へのズレを防止することが可能であるため、蓋体3の斜め被りを防止することができる。
【0035】
<第3の実施形態>
次に、本発明に係る紙製容器1の第3の実施形態について説明する。第1、第2の実施形態と異なる構成について説明することとし、同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0036】
胴体2の周壁部21の内周面に螺合部22が形成されており、蓋体3の周壁部31の外周面には、胴体2の螺合部22に対応する螺合部32が形成されている。胴体2の螺合部22に雌ネジが形成され、蓋体3の螺合部32に雄ネジが形成されている。
【0037】
胴体2は筒状であり、軸方向一方には開口部4が形成されており、周壁部21の軸方向他方端は、内側に折り返され、底面部5を形成する紙製の底板を挟み込むように接着されている。
【0038】
蓋体3には外径が蓋体3の螺合部32の雄ネジの外径より大きなフランジ部8が形成されている。蓋体3の周壁部31の一方端が外側に折り曲げられており、フランジ部8を構成する紙製の天板部と接着されている。フランジ部8は、胴体2と蓋体3とを螺合させたとき、胴体2の周壁部22の開口部側の端面と当接することにより、蓋体3が胴体2に入り込むことを防止できる。
【0039】
上記実施形態において、片面段ボールを使用することにより、螺合部22、32に多条ネジを形成させたが、リード角を小さくすることにより、一条ネジとすることもできる。
【0040】
また、胴体2及び蓋体3がスパイラル巻きにより製造されるものを説明したが、特に限定されるものではない。円筒状の鉄芯に巻きつける位置が軸方向で変化しない手法(平巻き)を採用することもできる。
【0041】
また、螺合部22、32は、スパイラル巻きにより周壁部を製造後、片面段ボールをさらに貼り付けて形成させるものを説明したが、特に限定されるものではなく、周壁部を製造時に他の紙テープと同様に鉄芯に巻き付けて製造しても構わない。
【0042】
また、胴体2の周壁部21と底面部5及び蓋体3の周壁部31と天面部6の接合方法は上記実施形態に限定されるものではない。
【0043】
また、上記実施形態2において、雄ネジが形成された胴体2の周壁部21において、螺合部22よりも先端部側に導入部を設けたものを説明したが、実施形態3において、雄ネジが形成された蓋体3の周壁部31において、螺合部32よりも先端部側に導入部を設けることもできる。さらに、実施形態1、3において、雌ネジが形成された、蓋体3もしくは胴体2の周壁部において、螺合部よりも先端部側に導入部を設けることもできる。この場合、導入部の内径は、雄ネジの外径と比較して、同等もしくは大きくなるように設けられる。これにより、蓋体3の斜め被りを防止することができる。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 紙製容器
2 胴体
21 周壁部
22 螺合部
3 蓋体
31 周壁部
32 螺合部
4 開口部
5 底面部
6 天面部
7 導入部
8 フランジ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6