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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-24
(45)【発行日】2023-11-01
(54)【発明の名称】給湯装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/10 20220101AFI20231025BHJP
   F24D 17/00 20220101ALI20231025BHJP
   F24H 15/104 20220101ALI20231025BHJP
   F24H 15/212 20220101ALI20231025BHJP
【FI】
F24H1/10 Z
F24D17/00 P
F24H15/104
F24H15/212
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019032934
(22)【出願日】2019-02-26
(65)【公開番号】P2020139633
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2022-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 剛英
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-025602(JP,A)
【文献】特開2014-228174(JP,A)
【文献】特開2013-238326(JP,A)
【文献】米国特許第6536464(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/10
F24D 17/00
F24H 15/104
F24H 15/212
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯栓に対して出湯する給湯装置であって、
加熱機構と、
前記給湯栓の閉止時に循環ポンプが作動すると、前記給湯装置の外部で前記給湯栓をバイパスする外部経路と併せて、流体が前記加熱機構を通過する即湯循環経路を形成する内部経路と、
前記即湯循環経路の流体温度を検出するための温度検出器と、
前記加熱機構及び前記循環ポンプの作動及び停止を指示する制御器とを備え、
前記制御器は、
切替温度よりも低温時にバイパス経路を形成するとともに前記切替温度よりも高温時に前記バイパス経路を閉塞する感熱止水バイパス弁の接続を伴って前記即湯循環経路が形成されているか否かを判別するテストモードにおいて、前記循環ポンプ及び前記加熱機構を作動した下で、前記温度検出器によって前記流体温度が前記切替温度に対応させて定められた判定温度まで上昇したことが検知された場合に、前記感熱止水バイパス弁が接続されずに前記即湯循環経路が形成されていると判定する、給湯装置。
【請求項2】
前記制御器は、前記循環ポンプ及び前記加熱機構を作動した下で、予め定められた時間が経過しても、前記温度検出器によって前記流体温度が前記判定温度まで上昇したことが検知されない場合に、前記感熱止水バイパス弁の接続によって前記即湯循環経路が形成されていると判定する、請求項1記載の給湯装置。
【請求項3】
前記即湯循環経路での通流を検知するための流量検出器を更に備え、
前記制御器は、前記温度検出器によって前記流体温度が前記判定温度まで上昇したことが検知される前に前記流量検出器によって前記即湯循環経路の流量が予め定められた閾値よりも低下したことが検知されると、前記感熱止水バイパス弁の接続によって前記即湯循環経路が形成されていると判定する、請求項1記載の給湯装置。
【請求項4】
前記即湯循環経路での通流を検知するための流量検出器を更に備え、
前記制御器は、前記テストモードにおいて、前記加熱機構を停止する一方で前記循環ポンプを作動した状態において前記流量検出器によって前記即湯循環経路での通流が検知さ
れた後に、前記循環ポンプ及び前記加熱機構を作動した状態を形成する、請求項1または2に記載の給湯装置。
【請求項5】
前記制御器は、前記給湯装置の試運転が指示されたときに前記テストモードを実行する、請求項1~4のいずれか1項に記載の給湯装置。
【請求項6】
前記制御器は、前記テストモードの開始前において前記温度検出器によって検出される前記流体温度が前記判定温度よりも高いときには、前記テストモードの開始を禁止する、請求項1~5のいずれか1項に記載の給湯装置。
【請求項7】
前記制御器は、前記テストモードにおける前記感熱止水バイパス弁の接続有無に関する判別結果を記憶する記憶部を有し、
前記制御器は、前記記憶部に記憶された前記判別結果に応じて、前記給湯栓の閉止中に前記循環ポンプ及び前記加熱機構を作動する即湯運転モードでの前記循環ポンプ及び前記加熱機構の停止条件を切替える、請求項1~6のいずれか1項に記載の給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は給湯装置及び給湯システムに関し、より特定的には、即湯機能を有する給湯装置及び給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
給湯装置の一型式として、給湯が長時間オフされた後であっても給湯開始直後から適温の湯を出力する、いわゆる、即湯機能を具備するものがある。通常、即湯機能を実現するためには、給湯オフ中にも熱源を経由する循環経路を形成するモード(以下、「即湯運転モード」)を設ける必要がある。
【0003】
米国特許第6536464明細書(特許文献1)には、ワックスサーモを用いたサーモスタット制御のバイパスバルブ(以下、「クロスオーババルブ」とも称する)を外部接続することで上記即湯機能のための循環経路を形成する構成が開示される。これにより、給湯装置側に当該クロスオーババルブの制御機能を追加しなくても、簡易な取り付け工事によって、即湯機能が実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第6536464明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
当該即湯運転モードでは、給湯装置の内部又は外部に設けられた循環ポンプの作動により、熱源を経由する循環経路(以下、即湯循環経路)が形成される。一方で、即湯循環経路の形成は、クロスオーババルブを接続するのではなく、循環用配管を追加配置することによっても可能である。
【0006】
クロスオーババルブが外部接続された構成では、熱源からの受熱によって即湯循環経路の水温が上昇すると、ワックスサーモによって物理的に当該経路が閉塞される。一方で、クロスオーババルブが外部接続されていない構成では、即湯循環経路の水温が上昇しても循環配管等を経由して当該経路の形成が継続される。このため、即湯機能を有する給湯装置では、クロスオーババルブに代表される感熱止水バイパス弁の外部接続の有無によって、即湯運転モードでの制御を切替える必要が生じる。
【0007】
一方で、クロスオーババルブ(感熱止水バイパス弁)の外部接続は、通常、取り付け施工時に、作業者がフロントパネルの開放後に内部の配線やスイッチを操作する等の特別な操作入力を行うことによって、給湯装置のコントローラに認識されていた。このため、施工者の作業負荷の増大が懸念される。
【0008】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、即湯機能を有する給湯装置及び給湯システムにおいて、給湯装置に対してクロスオーババルブに代表される感熱止水バイパス弁が外部接続されているか否かを自動的に判定する機能を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある局面では、給湯栓に対して出湯する給湯装置であって、加熱機構と、給湯栓の閉止時に循環ポンプが作動すると形成される内部経路と、流量検出器と、温度検出器と、加熱機構及び加熱機構の作動及び停止を指示する制御器とを備える。内部経路は、給湯装置の外部で給湯栓をバイパスする外部経路と併せて、流体が加熱機構を通過する即湯循環経路を形成する。流量検出器は、即湯循環経路での通流を検知する。温度検出器は、即湯循環経路の流体温度を検出する。制御器は、テストモードにおいて、循環ポンプ及び加熱機構を作動した下で、温度検出器によって流体温度が予め定められた判定温度まで上昇したことが検知されるか否かに基づいて、感熱止水バイパス弁の接続によって即湯循環経路が形成されているか否かを判別する。
【0010】
本発明の他のある局面では、加熱機構を有する給湯装置と、低温水配管と、高温水配管と、給湯装置の内部又は外部に配置される循環ポンプと、給湯栓の閉止時に循環ポンプが作動することにより形成される即湯循環経路と、即湯循環経路での通流を検知する流量検出器と、即湯循環経路の流体温度を検出する温度検出器とを備える。低温水配管は、給湯装置の入水ポートに低温水を導入する。高温水配管は、給湯装置の出湯ポートと給湯栓との間を接続する。即湯循環経路は、給湯装置の外部で低温水配管及び高温水配管の少なくとも一方を含むとともに給湯栓をバイパスし、かつ、給湯装置の内部で加熱機構を通過するように形成される。給湯装置は、加熱機構及び循環ポンプの作動及び停止を指示する制御器をさらに有する。制御器は、テストモードにおいて、循環ポンプ及び加熱機構を作動した下で、温度検出器によって流体温度が予め定められた判定温度まで上昇したことが検知されるか否かに基づいて、感熱止水バイパス弁の接続によって即湯循環経路が形成されているか否かを判別する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、制御器によるテストモードの実行により、即湯機能を有する給湯装置及び給湯システムにおいて、感熱止水バイパス弁が給湯装置に外部接続されているか否かを自動的に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】循環配管の配設による即湯機能を有する給湯システムの構成を説明するブロック図である。
図2図1に示されたコントローラのハードウェア構成例を説明するブロック図である。
図3】クロスオーババルブの接続による即湯機能を有する給湯システムの構成を説明するブロック図である。
図4図2に示されたクロスオーババルブによる流路の切替を説明する図表である。
図5図1及び図3に示した給湯システムの各々における即湯運転モードの制御動作を説明するフローチャートである。
図6図1及び図に示された給湯システムの即湯運転モードの停止条件を比較する図表である。
図7】本実施の形態に係る給湯装置によるテストモードの制御処理の第1の例を説明するフローチャートである。
図8】本実施の形態に係る給湯装置によるテストモードの制御処理の第2の例を説明するフローチャートである。
図9】変形例に係る給湯装置に対して循環配管が外部接続された給湯システムの構成を説明するブロック図である。
図10】変形例に係る給湯装置に対してクロスオーババルブが外部接された給湯システムの構成を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお以下では、図中の同一又は相当部分には同一符号を付して、その説明は原則的に繰返さないものとする。
【0014】
まず、上述のクロスオーババルブを外部接続することなく、循環配管によって即湯循環経路を形成する給湯システムを説明する。
【0015】
図1は、循環配管の配設による即湯機能を有する給湯システムの構成を説明するブロック図である。
【0016】
図1を参照して、給湯システム1Aは、給湯装置100と、低温水配管110と、高温水配管120と、循環配管130とを備える。給湯装置100は、入水ポート11と、出湯ポート12と、循環ポート13とを有する。
【0017】
低温水配管110には、逆止弁112を介して、低温水が供給される。低温水は、代表的には、図示しない水道管から供給される。低温水配管110は、入水ポート11と接続される。高温水配管120は、出湯ポート12及び給湯栓330の間を接続する。循環配管130は、高温水配管120及び循環ポート13の間を接続する。
【0018】
給湯装置100は、コントローラ10と、入水経路20と、出湯経路25と、循環経路28と、熱源機30と、熱交換器40と、循環ポンプ80とを含む。入水経路20は、逆止弁21を経由して、入水ポート11と、熱交換器40の入力側(上流側)との間に形成される。
【0019】
熱源機30は、代表的には、ガス又は石油等の燃焼による熱量を発生するバーナによって構成される。熱交換器40は、熱源機30が発生した熱量を用いて、入水経路20によって導入された低温水(流体)の温度を上昇させる。従って、熱源機30及び熱交換器40によって「加熱機構」の一実施例を構成することができる。或いは、ヒートポンプ又は発電時の排熱を利用して「加熱機構」を構成することも可能である。
【0020】
出湯経路25は、熱交換器40の出力側(下流側)と、出湯ポート12との間に形成される。循環経路28は、循環ポート13及び入水経路20(接続点22)の間に形成される。
【0021】
循環ポンプ80は、循環経路28に接続される。或いは、循環ポンプ80は、給湯装置100の外部である循環配管130に配置されてもよい。循環ポンプ80の作動及び停止は、コントローラ10によって制御される。
【0022】
入水経路20には、低温水の流量値を出力する流量検出器81が配置され、循環経路28には、流量検出器82が配置される。流量検出器82は、流量検出器81と同様に実際の流量値を出力するセンサで構成されてもよく、通流の有無を検出する水流センサ(スイッチ)によって構成されてもよい。流量検出器81及び82による検出値は、コントローラ10へ入力される。
【0023】
更に、出湯経路25には温度検出器71が配置され、循環経路28には、温度検出器72が配置される。温度検出器71及び72によって検出された流体温度は、コントローラ10へ入力される。
【0024】
図2は、コントローラ10のハードウェア構成例を説明するブロック図である。
図2を参照して、コントローラ10は、代表的にはマイクロコンピュータによって構成される。コントローラ10は、CPU(Central Processing Unit)15と、メモリ16と、入出力(I/O)回路17と、電子回路18とを含む。CPU15、メモリ16及びI/O回路17は、バス19を経由して、相互に信号の授受が可能である。電子回路18は、所定の演算処理を専用のハードウェアによって実行するように構成される。電子回路18は、CPU15及びI/O回路17との間で信号の授受が可能である。
【0025】
CPU15は、I/O回路17を通じて、温度検出器71,72及び流量検出器81,82を含む各センサからの出力信号(検出値)を受ける。更に、CPU15は、I/O回路17を通じて、リモートコントローラ92に入力された操作指示を示す信号を受ける。操作指示は、例えば、給湯装置100の運転スイッチのオンオフ操作、給湯設定温度、及び、各種の時刻予約設定(「タイマ設定」とも称する)を含む。CPU15は、当該操作指示に従って給湯装置100が動作するように、熱源機30及び循環ポンプ80を含む各構成機器の動作を制御する。
【0026】
CPU15は、報知装置95を制御することによって、視覚又は聴覚によって認識できる情報を出力することが可能である。例えば、報知装置95は、文字及び図形等の視認可能な情報を画面表示することによって情報を出力できる。この場合には、報知装置95は、リモートコントローラ92に設けられた表示画面によって構成することができる。或いは、報知装置95は、スピーカによって構成されて、音声又はメロディ等を用いて情報を出力することも可能である。
【0027】
再び図1を参照して、給湯装置100の動作を説明する。
給湯栓330が開放される開栓時には、低温水の供給圧力によって、入水経路20に低温水が導入される。給湯装置100の運転スイッチのオン中に、流量検出器81によって、最小作動流量(MOQ)を超える流量が検出されると、コントローラ10が熱源機30を作動させる。この結果、熱源機30及び熱交換器40によって加熱された高温水が出湯経路25及び出湯ポート12を経由して、高温水配管120及び給湯栓330に出力されることよって、給湯運転が実行される。給湯運転時には、循環ポンプ80は停止されるとともに、温度検出器71によって検出される流体温度(出湯温度)が、リモートコントローラ92に入力された給湯設定温度に制御されるように、熱源機30(加熱機構)による加熱量が制御される。
【0028】
給湯運転の停止時には、出湯経路25及び高温水配管120内に滞留する流体の温度が低下するため、次回の給湯運転の開始後に、給湯栓330から適温の高温水が出力されるまでに長時間を要することが懸念される。このため、給湯装置100には、給湯運転の開始後、速やかに適温の高温水を供給するための即湯機能が設けられる。即湯機能は、給湯栓330が閉止された閉栓時に、循環ポンプ80の作動によって、熱源機30及び熱交換器40を含む即湯循環経路を形成することで実現される。
【0029】
例えば、ユーザは、タイマ設定によって即湯運転モードの実行期間を指示することができる。当該タイマ設定は、例えば、リモートコントローラ92の操作によって入力することが可能である。或いは、即湯運転モードの実行期間は、ユーザの過去の使用履歴の学習により、自動的に設定されてもよい。
【0030】
即湯運転モードでは、循環ポンプ80及び熱源機30(加熱機構)を作動することで、給湯装置100の内部に、循環ポート13、循環経路28、入水経路20(接続点22よりも下流側)、熱交換器40(加熱機構)、出湯経路25、及び、出湯ポート12を含む流体経路(内部経路)を形成することができる。更に、給湯装置100の外部には、出湯ポート12、高温水配管120、循環配管130、及び、循環ポート13を含む、給湯栓330をバイパスする流体経路(外部経路)を形成することができるので、上記内部経路と併せて、即湯循環経路を形成することができる。この結果、給湯システム1Aでは、閉栓時にも当該即湯循環経路に適温の高温水を通流することにより、開栓直後から適温の高温水に給湯運転が開始可能となる。
【0031】
このように、図1に示された給湯システム1Aでは、給湯装置100に対する循環配管130の配設により、クロスオーババルブを接続することなく、コントローラ10による循環ポンプ80の制御を伴って即湯機能が実現される。
【0032】
図3は、クロスオーババルブの接続による即湯機能を有する給湯システムの構成を説明するブロック図である。
【0033】
図3を参照して、給湯システム1Bは、図1と同様の給湯装置100と、低温水配管110と、高温水配管120と、クロスオーババルブ200とを備える。低温水配管110は、図1と同様に逆止弁112を介して低温水の供給を受ける。給湯装置100の入水ポート11及び循環ポート13は、低温水配管110と接続される。
【0034】
循環ポンプ80は、図1の給湯システム1Aと同様に、循環経路28に接続することができる。或いは、循環ポンプ80は、給湯装置100の外部において、低温水配管110及び循環ポート13の間に接続されてもよい。又、コントローラ10についても、給湯システム1Aと同様に構成することが可能である。
【0035】
クロスオーババルブ200は、特許文献1に記載されたサーモスタット制御のバイパスバルブと同様に構成されて、ポート201~204と、ワックスサーモ210とを有する。ポート201及び203は内部で連通しており、ポート202及び204は内部で連通している。ワックスサーモ210は、ポート201及び203と、ポート202及び204との間に接続される。
【0036】
ワックスサーモ210は、低温時には、ポート201及び203と、ポート202及び204との間にバイパス経路を形成する。一方で、ワックスサーモ210は、高温時には熱膨張力によって当該バイパス経路を閉塞するように構成される。バイパス経路の形成及び閉塞の切替温度は、ワックスサーモ210の材質及び構成等によって、予め設計される。以下では、クロスオーババルブ200での流体温度が上記切替温度よりも高いときを高温時、流体温度が上記切替温度よりも低いときを低温時とも称する。
【0037】
このように、クロスオーババルブ200は、「感熱止水バイパス弁」の一実施例に対応する。又、バイパス経路の圧損は、ポート201及び203が連通する経路、及び、ポート202及び204が連通する経路の各々の圧損よりも高くなるように設計される。
【0038】
ポート201は、高温水配管120と接続され、ポート202は、低温水配管110と接続される。ポート203及び204は、給湯栓330と接続される。ポート203及び204と給湯栓330との間には、手動遮断用のバルブ331及び332をそれぞれ設けることができる。バルブ331及び332が開放された状態で、給湯装置100は通常運転する。
【0039】
図4には、図3に示されたクロスオーババルブ200による流路の切替を説明する図表が示される。
【0040】
図4及び図3を参照して、ポート203及び204から給湯栓330への経路が形成される開栓時には、上述した圧損の関係により、高温時及び低温時のいずれにおいても、高温水配管120及び給湯栓330の間の流路Pa、及び、低温水配管110及び給湯栓330の間の流路Pbが形成される。
【0041】
一方で、ポート203及び204から給湯栓330への経路が遮断される閉栓時には、低温時と高温時との間で流路が切替えられる。低温時には、ワックスサーモ210に形成されるバイパス経路により、ポート201及び202の間、即ち、高温水配管120及び低温水配管110の間に、流路Pcが形成される。一方で、高温時には、上記バイパス経路が閉塞されることにより、高温水配管120及び低温水配管110の間の流路が遮断される。
【0042】
給湯運転時には、図1の給湯システム1Aと同様に、低温水配管110から入水ポート11に導入された低温水を、熱源機30及び熱交換器40(加熱機構)で加熱した高温水が、出湯ポート12及び高温水配管120、並びに、クロスオーババルブ200(流路Pa)を経由して、給湯栓330から出力される。
【0043】
即湯運転モードでは、循環ポンプ80の作動により、給湯装置100の外部に、出湯ポート12から、高温水配管120、クロスオーババルブ200(流路Pc)、及び、低温水配管110を経由して、循環ポート13に至る流体経路(外部経路)を形成することができる。更に、循環ポンプ80の作動時には、給湯装置100の内部において、図1と同様の内部経路を形成することができるので、上記外部経路と併せて、即湯循環経路を形成することができる。この結果、給湯システム1Bにおいても、閉栓時に当該即湯循環経路に適温の高温水を通流することによって、開栓直後から高温水による給湯運転が開始可能となる即湯機能が実現される。
【0044】
このように、給湯装置100にクロスオーババルブ200が接続された給湯システム1B(図3)、及び、給湯装置100にクロスオーババルブ200が接続されていない給湯システム1A(図1)のいずれによっても、循環ポンプ80の作動によって、即湯運転モードを実行することができる。
【0045】
図5には、給湯システム1A及び1Bの各々における即湯運転モードの制御動作を説明するフローチャートが示される。
【0046】
図5を参照して、コントローラ10は、ステップ(以下、単に「S」とも表記する)100により、即湯運転モードの開始条件が成立しているか否かを判定する。例えば、当該開始条件は、給湯運転停止中(閉栓中)、かつ、設定された即湯運転モードの実行期間内であって、更に、温度検出器71の検出温度が予め定められた温度よりも低下したときに成立する。
【0047】
コントローラ10は、開始条件の成立時(S100のYES判定時)には、S110以降の処理を起動することによって、即湯運転モードを開始する。一方で、開始条件の非成立時(S100のNO判定時)には、S110以降の処理は起動されない。
【0048】
コントローラ10は、S110では、循環ポンプ80の作動指令を生成する。これにより、給湯システム1A,1Bでは上述の即湯循環経路が形成される。更に、S120により、熱源機30の作動指令が生成されることにより、加熱が開始される。これにより、即湯循環経路を通過する流体の温度が上昇する。
【0049】
コントローラ10は、即湯運転モード中には、S130により、開栓(給湯栓330)により給湯運転が開始されたか否かを検知する。例えば、S130では、流量検出器81による検出値の変化(増加)に基づいて、給湯運転の開始を検知することができる。コントローラ10は、給湯運転の開始が検知されると(S130のYES判定時)、S160に処理を進めて循環ポンプ80の停止指令を生成する。これにより、即湯運転モードは一旦終了されて、処理はS100に戻される。
【0050】
コントローラ10は、閉栓中、即ち、給湯運転が開始されていないとき(S130のNO判定時)には、S140に処理を進めて、即湯運転モードの停止条件が成立しているか否かを判定する。給湯システム1A及び1Bでは、開栓されるまでに即湯循環経路の流体温度が上昇すると、循環ポンプ80及び熱源機30を一旦停止して、給湯運転の開始を待機することがエネルギ効率上好ましいが、給湯システム1A及び1Bの間では、即湯運転モードの停止条件が異なってくる。
【0051】
図6は、給湯システム1A及び1Bの即湯運転モードの停止条件を比較する図表である。
【0052】
図6及び図1を参照して、給湯システム1A(図1)では、流体温度が上昇しても、循環配管130を経由して当該即湯循環経路での通流が継続される。従って、温度検出器71又は72による検出温度によって、温度上昇を検知できる。この結果、温度検出器71又は72による検出温度Tdに基づき、例えば、検出温度Tdが予め定められた閾値Trよりも上昇すると、循環ポンプ80及び熱源機30(加熱機構)の停止による即湯運転モードの停止を指示することができる。
【0053】
これに対して、図及び図6を参照して、給湯システム1B(図)では、即湯循環経路の流体温度が上昇すると、クロスオーババルブ200による流路(バイパス流路)が閉塞されるため、当該即湯循環経路の流量が低下する。このため、温度検出器71又は72によって、温度上昇を検知することができなくなる。従って、クロスオーババルブ200が接続された給湯システム1Bでは、温度検出器71又は72による検出値ではなく、流量検出器81又は82によって、即湯循環経路の流量低下に応じて、例えば、流量検出器81又は82による検出流量Qdが予め定められた閾値Qrよりも低下すると、即湯運転モードの停止を指示することができる。或いは、流量検出器82が水流スイッチで構成される場合には、当該水流スイッチのオフに応じて、即湯運転モードの停止を指示することができる。
【0054】
再び図5を参照して、コントローラ10は、S140により、図6に示された、給湯システム1A及び1Bの間で異なるモード停止条件が成立したか否かを判定する。モード停止条件が成立するまで、即ち、即湯循環経路の流体温度が上昇するまで(S140のNO判定時)には、S140により、即湯運転モードを継続、即ち、循環ポンプ80及び熱源機30の作動が継続されて、S130~S145の処理が繰り替えされる。
【0055】
コントローラ10は、即湯循環経路の流体温度の上昇に応じてモード停止条件が成立すると(S140のYES判定時)、S150により、熱源機30の停止指令を生成して加熱を停止するとともに、S160により、循環ポンプ80の停止指令を生成する。これにより、即湯運転モードが終了されて、処理はS100に戻される。
【0056】
このように即湯運転モードの停止条件が異なるため、コントローラ10は、給湯装置100の外部において、クロスオーババルブ200の接続有りによる即湯循環経路(給湯システム1B)、及び、クロスオーババルブ200の接続無しによる即湯循環経路(給湯システム1A)のいずれによって即湯機能が実現されているかの情報を、例えば、メモリ16(図2)内に予め記憶することが必要である。
【0057】
このような情報は、例えば、クロスオーババルブの取り付け施工時に、作業者がフロントパネルの開放後に内部の配線やスイッチを操作する等の特別な操作入力を行う態様で、コントローラ10に入力することができる。一方で、このような態様では、施工者の作業負荷の増大、及び、当該操作入力忘れによるトラブルが問題となることが懸念される。
【0058】
従って、本実施の形態に係る給湯装置では、クロスオーババルブ接続有無を自動的に判別するテストモードが導入される。
【0059】
図7は、本実施の形態に係る給湯装置によるテストモードの制御処理の第1の例を説明するフローチャートである。図7に示した制御処理は、コントローラ10によって実行される。
【0060】
図7を参照して、コントローラ10は、S200により、テストモードの開始条件が成立しているか否かを判定する。例えば、当該開始条件は、リモートコントローラ92に対して、予め定められた特殊な入力を行うことで成立する。或いは、当該開始条件は、給湯装置100の試運転が指示された場合に、当該試運転の一環として自動的に成立することとしてもよい。又、給湯装置100がコンセントによって電源に接続される電源投入時、或いは、給湯装置100の初回の運転スイッチのオン時に、開始条件を成立させることも可能である。或いは、テストモードの開始のみについては、上述のような、フロントパネルの開放後に内部の配線やスイッチを操作する等の特別な操作によって指示されてもよい。
【0061】
コントローラ10は、テストモード開始条件の成立時(S200のYES判定時)には、S210以降の処理を起動することによって、テストモードを開始する。一方で、開始条件の非成立時(S200のNO判定時)には、S210以降の処理は起動されない。
【0062】
コントローラ10は、S210では、循環ポンプ80の作動指令を生成する。これによって、これにより、給湯システム1A,1Bでは上述の即湯循環経路が形成される。更に、コントローラ10は、S230により、熱源機30の作動指令を生成することによって、加熱を開始する。
【0063】
コントローラ10は、S210の後、S230を実行する前に、S220により、即湯循環経路の流量を判定することができる。S220での判定は、図6に示した、給湯システム1Bでの即湯運転モードの終了条件を用いて実行することができる。
【0064】
例えば、流量検出器81又は82の検出値により、即湯循環経路の通流が検知されない場合(S220のNO判定時)には、コントローラ10は、S280により、報知装置95によるエラー報知とともに、テストモードを終了する。このようにすると、テストモードにおいて、即湯循環経路に水流が無いのに加熱が開始されることを防止できる。これより、テストモードでの過加熱の発生を回避できる。
【0065】
コントローラ10は、正常に即湯循環経路が形成されている場合(S220のYES判定時)には、上記S230に処理を進めて、熱源機30及び循環ポンプ80が作動する状態を形成する。
【0066】
コントローラ10は、熱源機30(加熱機構)及び循環ポンプ80が作動する状態下で、S240により、温度検出器71又は72による検出温度Td(即ち、即湯循環経路での流体温度)を、予め定められた判定温度Tthと比較する。当該判定温度Tthは、上述のクロスオーババルブ200の切替温度と対応させて定められる。具体的には、判定温度Tthは、クロスオーババルブ200の低温時にはS240がNO判定とされる一方で、クロスオーババルブ200の高温時にはS240がYES判定とされるように設定される。
【0067】
給湯システム1B(図)では、即湯循環経路での流体温度がクロスオーババルブ200の切替温度よりも上昇すると、即湯循環経路の通流が低下するため、実際に温度検出器71又は72によってTd>Tthは検出されない。一方で、給湯システム1A(図1)では、即湯循環経路での流体温度がクロスオーババルブ200の切替温度相当まで上昇しても、通流が継続されるため、温度検出器71又は72によってTd>Tthを検出することができる。
【0068】
従って、コントローラ10は、熱源機30(加熱機構)及び循環ポンプ80が作動する状態で温度上昇(Td>Tth)が検知されると(S240のYES判定時)、S250により、クロスオーババルブ200の接続無しによる即湯循環経路(給湯システム1A)が形成されていると判定して、テストモードを終了する。
【0069】
一方で、コントローラ10は、S260により、加熱開始(S230)から予め定められた一定時間が経過したか否かを判定し、当該一定時間が経過しても、温度上昇(Td>Tth)が検知されないとき(S240のNO判定時、かつ、S260のYES判定時)には、S270により、クロスオーババルブ200の接続有りによる即湯循環経路(給湯システム1B)が形成されていると判定して、テストモードを終了する。
【0070】
この結果、本実施の形態に係る給湯装置では、コントローラ10によって実行されるテストモードによって、即湯循環経路を形成するためにクロスオーババルブが外部接続されているか否かを自動的に判定することが可能となる。
【0071】
更に、コントローラ10では、テストモードを終了する際には、S250及びS270のいずれと判定されたかを示す情報が、メモリ16に不揮発的に記憶される。記憶された当該情報を用いて、給湯装置100では、図6に示された、即湯運転モードの終了条件を、クロスオーババルブ200の接続有無に対応させて、適切に切替えることができる。このように、コントローラ10によるテストモードでの判定結果は、作業者等による操作を要することなくメモリ16に自動的に格納されるので、作業者による入力忘れによるトラブルを回避することができる。
【0072】
上述のテストモードでは、流体温度の上昇に伴う即湯循環経路上で流量の変化を検知することで、クロスオーババルブ200が接続されていることが検知される。このため、既に流体温度が高い状態(クロスオーババルブ200の切替温度よりも高温時)からテストモードを開始すると、正しい判定結果が得られないことが懸念される。従って、S200で判定されるテストモードの開始条件に、温度検出器71又は72によって検出される流体温度が予め定められた開始条件温度(例えば、S240での判定温度Tth)よりも低いこと、を含めることができる。このようにすると、流体温度が当該開始条件温度よりも高い場合には、テストモードの開始を禁止することによって、クロスオーババルブ220のバイパス経路Pcが既に閉塞されている状態からテストモードが実行されることを防止できる。
【0073】
図8は、本実施の形態に係る給湯装置によるテストモードの制御処理の第2の例を説明するフローチャートである。図8に示した制御処理についても、コントローラ10によって実行される。
【0074】
図8を参照して、コントローラ10は、図7に示した制御処理において、S260に代えてS265を実行する。コントローラ10は、S265では、熱源機30(加熱機構)及び循環ポンプ80が作動する状態で、S220と同様に、即湯循環経路の流量を判定する。その他のステップの処理については、図7と同様であるので、詳細な説明は繰り返さない。
【0075】
コントローラ10は、即湯循環経路の通流が検知されない場合(S265のNO判定時)には、図7と同様のS270により、クロスオーババルブ200の接続有りによる即湯循環経路(給湯システム1B)が形成されていると判定して、テストモードを終了する。
【0076】
一方で、即湯循環経路の通流が検知される場合(S265のNO判定時)には、S240による判定が継続される。従って、給湯システム1Aでは、即湯循環経路の流体温度が上昇することにより、S240がYESとされて、図7と同様のS250に処理が進められる。この結果、クロスオーババルブ200の接続無しによる即湯循環経路(給湯システム1A)が形成されていると判定して、テストモードを終了することができる。
【0077】
このように、図8の制御処理を用いても、図7と同様に、コントローラ10によって実行されるテストモードによって、即湯循環経路を形成するためにクロスオーババルブが外部接続されているか否かを自動的に判定することができる。
【0078】
更に、図8の制御処理によれば、クロスオーババルブ200でのワックスサーモ210の作動をより直接的に判定することができるので、クロスオーババルブが外部接続されているか否かの判定精度を向上することができる。
【0079】
図1及び図3では、循環ポート13を有する給湯装置100による即湯機能を説明したが、循環ポート13の配置は必須ではなく、入水ポート11及び出湯ポート12のみを有する給湯装置を用いても、クロスオーババルブの外部接続有及び外部接続無の両方のケースで、即湯機能を実現することができる。
【0080】
図9は、変形例に係る給湯装置に対して循環配管が外部接続された給湯システムの構成を説明するブロック図である。
【0081】
図9を参照して、給湯システム2Aは、変形例に係る給湯装置100Xと、低温水配管110と、高温水配管120と、循環配管130とを備える。給湯装置100Xは、循環ポート13を具備することなく、入水ポート11及び出湯ポート12を有する。従って、給湯装置100Xの内部には、図1の給湯装置100とは異なり、循環経路28が設けられない。
【0082】
又、給湯装置100Xでは、バイパス経路29及び流量調整弁90が配置される。このようなバイパス構成では、低温水の一部が熱交換器40をバイパスされて非加熱のまま、熱交換器40の下流で混合されることによって、出湯ポート12から高温水が供給される。これにより、熱交換器40(加熱機構)からの出力温度を高くすることができるので、熱源機30の排気が熱交換器40の表面で冷却されることによって発生するドレンの抑制に有利である。
【0083】
尚、当該バイパス構成は、循環ポート13を有する給湯装置100にも同様に適用することが可能である。同様に、循環ポート13が設けられない給湯装置100Xにおいても、給湯装置100と同様に、バイパス経路29及び流量調整弁90を非配置として、低温水の全量が熱交換器40を通過する構成とすることも可能である。即ち、本実施の形態の対象となる給湯装置は、バイパス経路を有する構成(図9)及びバイパス経路を有さない構成(図1)の両方に適用することができる。
【0084】
低温水配管110には、逆止弁112を介して、低温水が供給される。低温水配管110は、入水ポート11と接続される。高温水配管120は、出湯ポート12及び給湯栓330の間を接続する。循環配管130は、高温水配管120及び低温水配管110の間を接続する。
【0085】
循環ポンプ80は、循環配管130に接続することができる。循環ポンプ80が停止される給湯運転時には、給湯栓330の開放により、低温水配管110から入水ポート11へ導入された低温水の少なくとも一部が、加熱機構(熱源機30及び熱交換器40)によって加熱される。加熱によって得られた高温水は、出湯ポート12から高温水配管120を経由して、給湯栓330から出力される。これにより、給湯装置100Xでも、給湯装置100と同様に給湯運転を実行できる。
【0086】
一方で、閉栓時に循環ポンプ80が作動すると、給湯装置100の内部に、入水ポート11、入水経路20、熱交換器40(加熱機構)、出湯経路25、及び、出湯ポート12を含む流体経路(内部経路)を形成することができる。更に、給湯装置100の外部には、出湯ポート12から、高温水配管120、循環配管130、及び、低温水配管110を経由して、入水ポート11に至る、給湯栓330をバイパスする流体経路(外部経路)を形成することができる。この結果、給湯システム2Aにおいても、即湯循環経路を形成することができる。
【0087】
又、給湯システム2Aでは、給湯システム1Aと同様に、流体温度が上昇しても即湯循環経路が継続的に形成される。従って、図7及び図8の制御処理に従うテストモードにより、S240がYES判定されることによって、クロスオーババルブ200の接続無しによる即湯循環経路が形成されていると判定することができる。
【0088】
図10は、変形例に係る給湯装置に対してクロスオーババルブが外部接続された給湯システムの構成を説明するブロック図である。
【0089】
図10を参照して、給湯システム2Bは、図9と同様の給湯装置100Xと、低温水配管110と、高温水配管120と、クロスオーババルブ200とを備える。逆止弁112を介して低温水の供給を受ける低温水配管110は、給湯装置100Xの入水ポート11と接続される第一端と、クロスオーババルブ200のポート202と接続される第二端とを有する。クロスオーババルブ200と、低温水配管110、高温水配管120、及び、給湯栓330との接続は、図2に示した給湯システム1Bと同様である。
【0090】
給湯システム2Bにおいて、給湯運転時には、低温水配管110から入水ポート11に導入された低温水の少なくとも一部が、加熱機構(熱源機30及び熱交換器40)によって加熱される。給湯システム1Bと同様に、加熱によって得られた高温水は、出湯ポート12及び高温水配管120、並びに、クロスオーババルブ200(流路Pa)を経由して、給湯栓330から出力される。
【0091】
即湯運転モードでは、閉栓時に循環ポンプ80が作動することにより、給湯装置100Xの外部に、出湯ポート12から、高温水配管120、クロスオーババルブ200(流路Pc)、及び、低温水配管110を経由して、入水ポート11に至る流体経路(外部経路)を形成することができる。更に、給湯装置100Xの内部において、図9と同様に、入水ポート11、入水経路20、熱交換器40(加熱機構)、出湯経路25、及び、出湯ポート12を通過する内部経路を形成することができる。当該内部経路及び外部経路によって、給湯システム2Bにおいても、即湯循環経路を形成することができる。
【0092】
又、給湯システム2Bでは、給湯システム1Bと同様に、流体温度が上昇すると即湯循環経路が遮断されるので、図7及び図8の制御処理に従うテストモードにより、S260がYES判定、又は、S265がNO判定されることによって、クロスオーババルブ200の接続有りによる即湯循環経路が形成されていると判定することができる。
【0093】
尚、給湯システム2A及び2Bにおいて、循環ポンプ80は、上記と同様の即湯循環経路を形成可能であれば、図9及び図10での例示に限定されること、給湯装置100Xの外部又は内部の任意の個所に配置することができる。即ち、循環ポンプ80が給湯装置100,100Xに内蔵されない構成においても、循環ポンプ80の停止及び作動を制御するコントローラ10を備えることによって、本実施の形態に係るテストモードを実現することが可能である。
【0094】
又、本実施の形態で示した、特許文献1に記載されたクロスオーババルブ200は、「感熱止水バイパス弁」の一例に過ぎず、温度に応じて形成及び閉塞が切替えられるバイパス経路を有するバルブであれば、本実施の形態において、クロスオーババルブ200に代えて用いることが可能である。
【0095】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0096】
1A,1B,2A,2B 給湯システム、10 コントローラ、11 入水ポート、12 出湯ポート、13 循環ポート、15 CPU、16 メモリ、17 I/O回路、18 電子回路、19 バス、20 入水経路、21,112 逆止弁、25 出湯経路、28 循環経路、29 バイパス経路、30 熱源機、40 熱交換器、71,72 温度検出器、80 循環ポンプ、81,82 流量検出器、90 流量調整弁、92 リモートコントローラ、95 報知装置、100,100X 給湯装置、110 低温水配管、120 高温水配管、130 循環配管、200 クロスオーババルブ、201,202,203,204 ポート、210 ワックスサーモ、330 給湯栓、331 バルブ、Qd 検出流量、Td 検出温度。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10