(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-24
(45)【発行日】2023-11-01
(54)【発明の名称】組み合わせ選定システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20231025BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
G06Q50/10
G08G1/00 Z
(21)【出願番号】P 2022066261
(22)【出願日】2022-04-13
(62)【分割の表示】P 2017063935の分割
【原出願日】2017-03-28
【審査請求日】2022-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】郭 裕之
(72)【発明者】
【氏名】三好 貴子
(72)【発明者】
【氏名】藤田 郷詩
(72)【発明者】
【氏名】阿部 克彦
(72)【発明者】
【氏名】芳田 元
(72)【発明者】
【氏名】栗本 智行
【審査官】久宗 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-076028(JP,A)
【文献】国際公開第2016/121174(WO,A1)
【文献】特開2005-044120(JP,A)
【文献】特開2016-206469(JP,A)
【文献】特開2016-007363(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0089399(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G08G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に同乗するユーザーの組み合わせを選定するシステムであって、
前記移動体に搭乗した各ユーザーの感情に関連する少なくとも1種類の指標を検出する生体センサを有する検出部と、
前記各ユーザーについて、前記生体センサによって検出された前記指標の検出値を、前記各ユーザーの、該検出値が検出された時に前記移動体に同乗していた他のユーザーに対する感情データとして記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記感情データに基づき、前記移動体に同乗すべき前記ユーザーの組み合わせを選定する演算部と
を備え、
前記演算部は、前記感情データに基づき過去の同乗履歴を総合して、前記ユーザーの各々の他のユーザーに対する感情の良し悪しの傾向を示す感情レベルを算出し、
前記演算部は、前記ユーザーが、第1のユーザーと、前記第1のユーザーと同乗したこ
とのない第2のユーザーと、
前記第1のユーザー及び前記第2のユーザー
と同乗したことのある第3のユーザー
及び第4のユーザーとを含む場合、前記第1のユーザーの前記第2のユーザーに対する前記感情レベル
を推定
し、
前記第1のユーザーの前記第2のユーザーに対する前記感情レベルの推定は、前記第1のユーザーの前記第3のユーザーに対する前記感情レベルが、前記第1のユーザーの前記第4のユーザーに対する前記感情レベルよりも高いとき、前記第1のユーザーの前記第2のユーザーに対する前記感情レベルを、前記第3のユーザーの前記第2のユーザーに対する前記感情レベルに設定することを含むことを特徴とする組み合わせ選定システム。
【請求項2】
前記記憶部は、前記検出値を前記感情データとして記憶する感情履歴データベースと、前記感情レベルを記憶する感情レベルデータベースとを有することを特徴とする請求項1に記載の組み合わせ選定システム。
【請求項3】
前記演算部は、前記移動体に同乗する前記ユーザーの組み合わせを選定した結果、前記移動体の定員に満たない組み合わせが2つ以上できた場合は、それらをそのまま決定した組み合わせとすることを特徴とする請求項1又は2に記載の組み合わせ選定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両等の移動体に同乗するユーザーの組み合わせを選定するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
同一の方向に移動する人々が1台の車両に乗り合わせて移動することにより、燃料を節約し、交通渋滞を抑制することができる。このような乗り合い型のカーシェアリングを活用するため、同乗する人の組み合わせを選定するサービスが提供されることが望まれる。
【0003】
例えば特許文献1には、互いに信頼度が高いと思われる者同士を同乗者に選定する装置が記載されている。特許文献1に記載の装置は、各ユーザーの端末にアドレスが登録されている者を、そのユーザーからの信頼度が高い相手とみなす。また、特許文献1に記載の装置は、あるユーザーの端末に登録されていなくとも、そのユーザーの端末に登録されている者の端末に登録されている者、すなわち、2ステップでつながる者を次に信頼度が高いものとみなし、3ステップでつながる者、4ステップでつながる者となるに従い、順に信頼度が下がるとみなす。このように設定した信頼度に基づき、信頼度が高いもの同士が同じ車両に乗り合わせるように、組み合わせが選定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の方法では、比較的自己の交友関係に近い人が乗り合いの相手に選定されることにより、ある程度の安心感を得ることができた。しかしながら、このような安心感は、実際に乗り合わせたときの感情の良し悪し、又は快適さとは必ずしも一致するとは限らなかった。
【0006】
このような点を鑑み、本発明は、車両や船舶、航空機等の移動体に同乗するユーザーの組み合わせを選定する際に、ユーザーの感情に配慮した同乗者の組み合わせを選定できるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の少なくともいくつかの実施形態は、移動体(2)に同乗するユーザーの組み合わせを選定するシステム(1)であって、前記移動体に搭乗した各ユーザーの感情に関連する少なくとも1種類の指標を検出する生体センサ(5)を有する検出部(3)と、前記各ユーザーについて、前記生体センサによって検出された前記指標の検出値を、各ユーザーの、該検出値が検出された時に前記移動体に同乗していた他のユーザーに対する感情データとして記憶する記憶部(7)と、前記記憶部に記憶された前記感情データに基づき、前記移動体に同乗すべき前記ユーザーの組み合わせを選定する演算部(6)とを備えることを特徴とする。前記演算部は、前記感情データに基づき過去の同乗履歴を総合して、前記ユーザーの各々の他のユーザーに対する感情の良し悪しの傾向を示す感情レベルを算出し、前記演算部は、前記ユーザーが、第1のユーザーと、前記第1のユーザーと同乗したことのない第2のユーザーと、前記第1のユーザー及び前記第2のユーザーと同乗したことのある第3のユーザー及び第4のユーザーとを含む場合、前記第1のユーザーの前記第2のユーザーに対する前記感情レベルを、推定し、前記第1のユーザーの前記第2のユーザーに対する前記感情レベルの推定は、前記第1のユーザーの前記第3のユーザーに対する前記感情レベルが、前記第1のユーザーの前記第4のユーザーに対する前記感情レベルよりも高いとき、前記第1のユーザーの前記第2のユーザーに対する前記感情レベルを、前記第3のユーザーの前記第2のユーザーに対する前記感情レベルに設定することを含んでも良い。
【0008】
この構成によれば、過去に乗り合わせたときの感情データに基づき乗り合いの相手を選定するため、ユーザーは、好感の持てる相手と移動体に同乗することができ、又は、不快な相手と移動体に同乗することを避けることができる。
【0009】
本発明の少なくともいくつかの実施形態は、上記構成において、前記生体センサは、前記移動体の座席(2a)に設置されたことを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、ユーザーが生体センサを身につける必要がなく、また、着席したユーザーに生体センサが近接するため、ユーザーの皮膚から分泌される気体等を検知し易くなる。
【0011】
本発明の少なくともいくつかの実施形態は、上記構成のいずれかにおいて、前記記憶部は、前記移動体から独立したデータセンタに設けられることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、データを集中管理でき、個人情報の漏洩リスクを減らすことができる。
【0013】
本発明の少なくともいくつかの実施形態は、上記構成において、前記検出部から前記データセンタへの前記検出値の送信は、無線によって行われることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、簡易かつ迅速にデータをデータセンタに送ることができる。
【0015】
本発明の少なくともいくつかの実施形態は、上記構成のいずれかにおいて、前記演算部は、前記感情データに基づき過去の同乗履歴を総合して、前記ユーザーの各々の、他のユーザーに対する感情の良し悪しの傾向を示す感情レベルを算出し、該感情レベルに基づいて前記移動体に同乗する前記ユーザーの組み合わせを選定することを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、過去の実績に基づいて算出された感情レベルによって移動体に同乗する他のユーザーが選定されるため、ユーザーは、快適な相手と同乗でき、又は不快な相手と同乗することを回避できる。
【0017】
本発明の少なくともいくつかの実施形態は、上記構成において、前記演算部は、特定の前記ユーザーと、該特定の前記ユーザーからの前記感情レベルが高い前記ユーザーとを組み合わせることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、特定のユーザーに着目して、乗り合いの組み合わせを選定するため、特定のユーザーが快適な相手と移動体に同乗できる。
【0019】
本発明の少なくともいくつかの実施形態は、上記の感情レベルを算出する構成において、前記演算部は、所定のユーザーと、該所定のユーザーからの前記感情レベルが所定の値以下の他のユーザーとを組み合わせないことを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、ユーザーは不快な相手と同乗することを回避できる。
【0021】
本発明の少なくともいくつかの実施形態は、上記の感情レベルを算出する構成において、前記演算部は、各々の組み合わせに属する前記ユーザー間の前記感情レベルの平均値が高くなるように、組み合わせを選定することを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、全てのユーザーが比較的良い感情を有する他のユーザーと同乗することができる。
【0023】
本発明の少なくともいくつかの実施形態は、感情レベルを算出することに代えて、前記演算部は、前記感情データに基づき、互いに良い感情を抱くグループに前記ユーザーを分類し、同一の前記グループに属する前記ユーザー同士を、優先的に前記移動体に同乗する者として組み合わせることを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、あらかじめグループ化しておくことにより、組み合わせの選定処理を簡略化することができる。
【0025】
本発明の少なくともいくつかの実施形態は、上記構成のいずれかにおいて、前記検出部は、2種類以上の前記感情データを取得することを特徴とする。
【0026】
この構成によれば、2種類以上の感情データに基づき乗り合いの組み合わせを選定するため、感情に基づく乗り合いの組み合わせを高い精度で選定することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、過去に乗り合わせたときの感情データに基づき同乗者を選定するため、ユーザーは、好感の持てる相手と移動体に同乗でき、又は、不快な相手と移動体に同乗することを避けることができる。
【0028】
生体センサが動体の座席に設置された実施形態においては、ユーザーが生体センサを身につける必要がなく、また、着席したユーザーに生体センサが近接するため、ユーザーの皮膚から分泌される気体等を検知し易くなる。
【0029】
記憶部が移動体から独立したデータセンタに設けられた実施形態においては、データを集中管理でき、個人情報の漏洩リスクを減らすことができる。
【0030】
無線によって検出部からデータセンタへの感情データを送信する実施形態においては、簡易かつ迅速にデータをデータセンタに送ることができる。
【0031】
感情レベルを算出する実施形態においては、過去の実績に基づいて算出された感情レベルによって移動体に同乗する他のユーザーが選定されるため、ユーザーは、快適な相手と同乗でき、又は不快な相手との同乗を避けることができる。
【0032】
特定のユーザーから他のユーザーへの感情レベルに着目して組み合わせを選定する実施形態においては、特定のユーザーが快適な相手と同乗することができる。
【0033】
感情レベルが所定の値以下のユーザーを組み合わせない実施形態においては、ユーザーは、不快な相手との同乗を避けることができる。
【0034】
各々の組み合わせに属するユーザー間の感情レベルの平均値が高くなるように、組み合わせを選定する実施形態においては、全てのユーザーが比較的良い感情を有する他のユーザーと同乗することができる。
【0035】
あらかじめ、互いに良い感情を抱くグループにユーザーを分類しておく実施形態においては、組み合わせの選定処理を簡略化することができる。
【0036】
検出部が2種類以上の感情データを取得する実施形態においては、感情に基づく乗り合いの組み合わせを高い精度で選定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図2】実施形態に係るシステムの処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、実施形態に係る組み合わせ選定システム1の機能を示すブロック図である。
【0039】
システム1は、車両2に搭載された検出部3と、検出部3から情報を受信するデータセンタ4とを備える。
【0040】
検出部3は、人の感情に関する指標を検出する生体センサ5を有する。生体センサ5によって検出された指標の検出値は、データセンタ4に送られる。生体センサ5は、車両2の乗員の各々について指標を検出する。生体センサ5は、例えば、車両2の乗員の、脈拍、体温、脳波等を計測する機器、汗等の乗員の皮膚から分泌される液体又は気体を検出する機器、汗等によって変動する皮膚の電気抵抗を測定する皮膚コンダクタ等であるが、これらに限定されない。生体センサ5は、車両2の座席2a等に固定されたものでも、リストバンド等のように携帯可能なものでもよく、測定対象者に対して接触式のものでも非接触式のものでもよい。生体センサ5を座席2aに固定した場合には、ユーザーが生体センサを身につける必要がなく、また、着席したユーザーに生体センサ5が近接するため、ユーザーの皮膚から分泌される気体等を検出し易くなる。生体センサ5をリストバンドに設けた場合、生体センサ5を皮膚に接触させることができ、ユーザーの脈拍、体温、汗、又は皮膚の電気抵抗の検出又は測定が容易となる。検出部3に設けられる生体センサ5は、1つでもよいが、得られる情報の精度を高めるため、2種類以上の感情に関する指標を検出するために2つ以上であってもよい。生体センサ5が検出した指標の検出値の検出部3からデータセンタ4への送信は無線で行われることが好ましく、無線で送信することにより簡易かつ迅速に感情データをデータセンタ4に送ることができる。
【0041】
データセンタ4は、演算部6及び記憶部7を含むパソコン等の情報処理装置を有する。データセンタ4は、集中管理して、個人情報の漏洩リスクを低減するため、車両2から独立して設けられることが好ましい。演算部6は、検出部3が検出した指標の検出値を含む感情データに基づき、各ユーザーの他のユーザーに対する感情の良し悪しの傾向を示す感情レベルを算出する感情レベル算出部8と、感情レベルに基づき同乗者の組み合わせを選定する組み合わせ選定部9とを有する。記憶部7は、生体センサ5によって検出された指標の検出値を、各ユーザーの、該検出値が検出された時に前記移動体に同乗していた他のユーザーに対する感情データとして記憶する感情履歴データベース10と、感情レベル算出部によって算出された感情レベルを記憶する感情レベルデータベース11とを有する。
【0042】
ユーザーは、データセンタ4と情報の送受信が可能なユーザー端末12、例えば、スマートフォンやパソコン等を保有している。ユーザー端末12は、ユーザーによって入力された、乗り合いで車両2を利用したい時間、出発地及び目的地等を、ユーザーIDとともにデータセンタ4に送信し、データセンタ4から同乗者の組み合わせ結果を受信する。
【0043】
図2を参照して、乗り合いの組み合わせの選定手順を説明する。システム1を利用するユーザーは、あらかじめユーザー登録を行い、ユーザーIDを保有している。
【0044】
データセンタ4は、ユーザー端末12から、ユーザーID、並びに、そのユーザーが入力した車両2を乗り合いで利用したい時間、出発地及び目的地を受信する(ST(ステップ)1)。
【0045】
組み合わせ選定部9は、時間、出発地又は出発エリア、及び目的地又は目的エリアごとに、乗り合い希望ユーザーを区分する(ST2)。
【0046】
組み合わせ選定部9は、乗り合いを希望する各ユーザーの、他の乗り合いを希望するユーザーに対する感情レベルを感情レベルデータベース11から取得する(ST3)。次に、取得した感情レベルに基づき、乗り合いの組み合わせを選定し、組み合わせの結果をユーザー端末12に送信する(ST4)。
【0047】
組み合わせ選定部9は、各々の組み合わせに属するユーザー間の数値化された感情レベル(数値の高い方が、感情が良好であることを示す)の平均値が高くなるように、組み合わせを選定してもよい。例えば、6人のユーザーを3人ずつ組み合わせて、2つのグループに分けることを考える。このとき、1つのグループにおける感情レベルは6つある(ユーザーA、B及びCからなるグループでは、ユーザーAからユーザーBに対する感情レベル、ユーザーAからユーザーCに対する感情レベル、ユーザーBからユーザーAに対する感情レベル、ユーザーBからユーザーCに対する感情レベル、ユーザーCからユーザーAに対する感情レベル、及びユーザーCからユーザーBに対する感情レベル)。この6つの感情レベルの平均値が、それぞれのグループで高くなるように設定される。2つのグループの感情レベルの平均値が、互いに同程度に高いことが好ましい。このように組み合わせを選定することにより、全てのユーザーが比較的良い感情を有する他のユーザーと同乗することができる。
【0048】
また、組み合わせ選定部9は、特定のユーザーの他のユーザーに対する感情レベルに基づき組み合わせを選定しても良い。例えば、運転をするユーザーや割り増し料金を支払っているユーザーを特定のユーザーとして、この特定のユーザーからの感情レベルが高い他のユーザーを、この特定のユーザーと同じ車両2に乗り合わせるように組み合わせる。このように組み合わせを選定することにより、特定のユーザーが快適に乗り合いを利用することができる。
【0049】
また、組み合わせ選定部9は、悪感情を抱く者が同じ車両2に乗り合わせないように組み合わせを選定しても良い。例えば、組み合わせ選定部9は、原則として、申し込み順に従い、1つの車両2に乗り合わせる者を選定し、その車両2の定員に達したら、それ以降に申し込んだユーザーを他の車両2に乗り合わせるように選定する。ただし、既にある車両2に乗り合わせることが決定しているユーザーと、これから組み合わせようとするユーザーとの間の感情レベルが所定の値よりも低い場合、そのユーザーを他の車両に振り分ける。申し込み締め切り時間までに、定員に満たない組み合わせが2つ以上できた場合は、それらをそのまま決定した組み合わせとしてもよく、また、それらを所定の方法(例えば、上記のいずれかの方法や、無作為に組み合わせる方法)により組み合わせをやり直してもよい。このように組み合わせを選定することにより、悪い感情を抱く者と同乗することを避けることができる。なお、上述の特定のユーザーに着目する選定方法において、特定のユーザー以外のユーザーに本方法を適用してもよい。
【0050】
また、感情レベルデータベース11には、感情レベルに代えて、好感情を抱くもの同士をグループ化したデータを保存しておき、組み合わせ選定部9は、同一グループに属するユーザー同士を優先的に乗り合わせるように選定しても良い。このように組み合わせを選定することにより、組み合わせの選定処理を簡略化することができる。
【0051】
ユーザーは、選定された組み合わせに従って、車両2に乗り合う。このとき、生体センサ5が各ユーザーの感情に関連する指標を検出する。検出部3から送信された指標の検出値は、データセンタ4によって受信される。受信された検出値は、検出対象のユーザーのユーザーID、及びその検出値が検出された時に同乗していた他のユーザーのユーザーIDに関連付けられて、感情データとして、感情履歴データベース10に保存される(ST5)。1つの指標に関して、各ユーザーの感情データは、そのユーザーが乗り合いを利用した回数だけ作成される。
【0052】
感情レベルは、感情データに基づき、過去の同乗履歴を総合して算出される。そのため、感情履歴データベース10が更新されると、感情レベル算出部8は、更新された情報に関係するユーザーの他のユーザーに対する感情レベルを算出し直し、感情レベルデータベース11に保存された感情レベルを更新する(ST6)。1種類の指標の検出に基づく感情データから、1種類の感情レベルを算出してもよく、2種類以上の指標の検出に基づく感情データから、1種類の感情レベルを算出してもよく、2種類以上の指標の検出に基づく感情データから、2種類以上の感情レベルを算出してもよい。
【0053】
1種類の指標に基づく感情データから、1種類の感情レベルを算出する場合であれば、例えば、あるユーザーの、同乗したことのある他のユーザーに対する感情レベルは、同乗したときの感情データの平均値として算出される。なお、ユーザーによって、検出値の分布態様が異なるため、感情データから感情レベルを算出する際に、正規化等の統計的処理を行うことが好ましい。3名以上が同乗している場合、1人のユーザーの指標の検出値は、他の2人以上のユーザーに対する感情が混ざった結果生じたものであるが、乗り合いの利用回数が増えて、異なるユーザーとの組み合わせにおける感情データが蓄積されることにより、あるユーザーの他の1人のユーザーに対する感情レベルの精度は上がるといえる。
【0054】
あるユーザーの、同乗したことのない他のユーザーに対する感情レベルは、初期値(例えば、全ユーザー間の感情レベルの平均値)に設定される。また、あるユーザーの、同乗したことのない他のユーザーに対する感情レベルは、第3のユーザーの当該他のユーザーに対する感情レベルに基づき、推定してもよい。例えば、ユーザーAは、ユーザーBと同乗したことがなく、ユーザーC及びDは、それぞれユーザーA及びBと同乗したことがあるとき、ユーザーAのユーザーCに対する感情レベルが、ユーザーDに対する感情レベルよりも高いとき、ユーザーAのユーザーBに対する感情レベルを、ユーザーCのユーザーBに対する感情レベルに設定してもよい。
【0055】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、車両2に代えて船舶や航空機等の他の移動体の乗り合いに本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0056】
1:組み合わせ選定システム
2:車両
2a:座席
3:検出部
4:データセンタ
5:生体センサ
6:演算部
7:記憶部
8:感情レベル算出部
9:組み合わせ選定部
10:感情履歴データベース(DB)
11:感情レベルデータベース(DB)
12:ユーザー端末