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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-24
(45)【発行日】2023-11-01
(54)【発明の名称】ドアライニング
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/02 20060101AFI20231025BHJP
   B60R 7/04 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
B60R13/02 B
B60R7/04 T
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022150552
(22)【出願日】2022-09-21
(62)【分割の表示】P 2021016718の分割
【原出願日】2016-08-02
(65)【公開番号】P2022171946
(43)【公開日】2022-11-11
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】井上 正行
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-123412(JP,U)
【文献】特開2004-255996(JP,A)
【文献】特開平07-076214(JP,A)
【文献】特開平10-086670(JP,A)
【文献】米国特許第06116672(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/02
B60R 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用のドアのドアライニングであって、乗員の腕を支えるアームレストが配置されたドアライニング本体と、前記ドアライニング本体に取り付けられたドアライニング化粧板を備え、
前記ドアライニング化粧板は、本体部と、本体部を覆う表皮部材と、を備え、
前記表皮部材は、第1部位と、第1部位の上に重なった第2部位と、前記第1部位と前記第2部位の間に位置する底部と、を有し、前記第1部位と前記第2部位の間に開口を有して物入れを構成し、
前記第2部位の少なくとも一部は、前記ドアライニング化粧板の上下方向における中央より上に位置し、
前記第2部位は、車両の左右方向における位置が前記アームレストと重なり、
前記第1部位および前記第2部位は、前記物入れに物が入っていない状態で前記底部よりも前記開口が広いV字型の断面を形成していることを特徴とするドアライニング。
【請求項2】
車両用のドアのドアライニングであって、乗員の腕を支えるアームレストが配置されたドアライニング本体と、前記ドアライニング本体に取り付けられたドアライニング化粧板を備え、
前記ドアライニング化粧板は、本体部と、本体部を覆う表皮部材と、を備え、
前記表皮部材は、第1部位と、第1部位の上に重なった第2部位を有し、前記第1部位と前記第2部位の間に開口を有して物入れを構成し、
前記第2部位の少なくとも一部は、前記ドアライニング化粧板の上下方向における中央より上に位置し、
前記第2部位は、車両の左右方向における位置が前記アームレストと重なり、
前記表皮部材は、前記第2部位の前記開口を構成する縁と前記第1部位を繋ぎ、前記第1部位および前記第2部位と重なる第3部位と、を有し、
前記第1部位、前記第2部位および前記第3部位は、1枚の部材からなり、
前記第1部位は、前記第2部位の上端より上まで延び、
前記第2部位は、前記第1部位の下端より下まで延びていることを特徴とするドアライニング。
【請求項3】
車両用のドアのドアライニングであって、乗員の腕を支えるアームレストが配置されたドアライニング本体と、前記ドアライニング本体に取り付けられたドアライニング化粧板と、ドアインナーハンドル装着部と、を備え、
前記ドアライニング化粧板は、本体部と、本体部を覆う表皮部材と、を備え、
前記表皮部材は、第1部位と、第1部位の上に重なった第2部位と、前記第1部位と前記第2部位の間に位置する底部と、を有し、前記第1部位と前記第2部位の間に開口を有して物入れを構成し、
前記第2部位の少なくとも一部は、前記ドアライニング化粧板の上下方向における中央より上に位置し、
前記第2部位は、車両の左右方向における位置が前記アームレストと重なり、
前記底部は、前記ドアインナーハンドル装着部の下端よりも上に位置することを特徴とするドアライニング。
【請求項4】
前記ドアライニング化粧板は、車室内に向けて凸となるように屈曲する屈曲部を備え、
前記屈曲部は、上下方向において、前記第2部位と、前記アームレストと、の間に位置することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のドアライニング。
【請求項5】
前記開口は、車両後方にいくほど下に位置するように傾斜して配置されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のドアライニング。
【請求項6】
前記ドアライニングは、上側に開いたドアポケットを有し、
前記第2部位の一部は、車両の左右方向における位置が、前記ドアポケットと重なることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載のドアライニング。
【請求項7】
前記ドアライニング化粧板は、前記アームレストより上に配置され、かつ、前記アームレストから所定距離離れて位置することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載のドアライニング。
【請求項8】
前記ドアライニング化粧板は、前記ドアライニング本体に対して着脱可能であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載のドアライニング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアに配置されるドアライニングに関する。
【背景技術】
【0002】
従来一般に知られている乗用車などの車両用ドアは、車室側のインナパネルを覆うドアライニングを備えている。
【0003】
このようなドアライニングとして、肩保護部と腰保護部(アームレスト)との間に、腰保護部の上面の位置に底部が設けられ、上方が開口する箱状の収容部を有するものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-62450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のドアライニングにおいては、収容部の乗員側の接触面が1枚の表皮部材で構成されているため、ドア面へ腕や肩が当たったときに感触があまり良くないという問題がある。そして、カードなどの厚みが小さい小物を収容した場合には、収容部内で小物ががたつきやすい問題点があった。
【0006】
本発明は、以上のような技術的背景に鑑みてなされたものであり、腕や肩の当たりがソフトとなるドアライニングを提供することを目的とする。また、カードなどの厚みが小さい小物の収容に適したドアライニングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した課題を解決するため本発明は、車両用のドアのドアライニングであって、ドアライニング本体と、ドアライニング本体に取り付けられたドアライニング化粧板を備え、ドアライニング化粧板は、本体部と、本体部を覆う表皮部材を備え、表皮部材は、第1部位と、第1部位の上に重なった第2部位を有する。
【0008】
これによれば、第1部位と第2部位が重なることでドアライニング化粧板がクッション性を有するので、ドアライニングは、腕や肩などの当たりがソフトになる。
【0009】
また、前記した構成において、表皮部材は、第1部位と第2部位の間に開口を有して物入れを構成していてもよい。
【0010】
これによれば、ドアライニング化粧板にカードなどの厚みが小さい小物を収容することができる。重なった第1部位と第2部位の間を物入れとすることで、小物の傷付きや、車両の走行時に小物が動くことによって発生するガタ音を抑制することできる。
【0011】
また、前記した構成において、物入れは、底部を有する構成としてもよい。
【0012】
これによれば、ドアライニング化粧板の物入れが底部を有するため、小物を物入れに入れたときに小物が落ちにくい。
【0013】
また、前記した構成において、ドアライニング化粧板は、縫製または溶着により物入れを区分けした区分け部を有する構成としてもよい。
【0014】
これによれば、区分け部によって物入れを適当な大きさにすることができる。また、これにより布などの表皮部材で構成された物入れであっても、小物の保持力を持たせることができるので、小物を安定して収容できる。また、縫製または溶着によって、ドアライニング化粧板のデザイン性が向上する。
【0015】
また、前記した構成において、区分け部は、上側が下側よりも車両の後ろ側に位置するように傾斜している構成としてもよい。
【0016】
これによれば、車両の急制動時に、区分け部の上端が小物の前端に当たり、小物の移動を規制するので小物の回転を抑制し、小物の飛び出しを抑制することできる。
【0017】
また、前記した構成において、開口は、車両の後ろ側に傾斜して配置されている構成としてもよい。
【0018】
これによれば、物入れの開口が車両の後ろ側に傾斜しているので、物入れに小物を出し入れし易い。
【0019】
また、前記した構成において、ドアライニング本体は、車両の前後方向に延びるアームレストを有し、ドアライニング化粧板は、アームレストの上側に配置される構成としてもよい。
【0020】
これによれば、ドアライニング化粧板がアームレストにのせた腕や肩のクッションとなり、腕や肩の当たりがソフトになる。
【0021】
また、前記した構成において、ドアライニング本体は、アームレストの下側に、ドアポケットが設けられている構成としてもよい。
【0022】
これによれば、ドアライニング化粧板の小物入れには、厚みが小さい小物を収容し、ドアポケットには、厚みが大きいものを収容することができる。
【0023】
また、前記した構成において、表皮部材は、第2部位の開口を構成する縁と第1部位を繋ぎ、第1部位および第2部位と重なる第3部位を有し、第1部位、第2部位および第3部位は、1枚の部材からなる構成とすることができる。
【0024】
これによれば、表皮部材の重なる部分が1枚の部材で構成されるので、部品点数や工程数が少なく、安価に製造することできる。また、表皮部材につなぎ目がないので、美観が向上し、耐久性もよい。
【0025】
また、前記した構成において、ドアライニング化粧板は、ドアライニング本体に対して着脱可能であってもよい。
【0026】
これによれば、ドアライニング化粧板を色違い、材質違い、機能違いなどの他のドアライニング化粧板と取り替えることができる。そして、ドアライニング化粧板が物入れを有する場合は、物入れの掃除がし易くなる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、第1部位と第2部位が重なることで、ドアライニング化粧板がクッション性を有するので、ドアライニングは、腕や肩などの当たりがソフトになる。
【0028】
本発明によれば、ドアライニング化粧板にカードなどの厚みが小さい小物を収容することができ、小物の傷付きや、車両の走行時に小物が動くことによって発生するガタ音を抑制することできる。
【0029】
本発明によれば、ドアライニング化粧板の物入れが底部を有するため、小物を物入れに入れたときに小物が落ちにくい。
【0030】
本発明によれば、区分け部によって物入れを適当な大きさにすることができる。また、これにより布などの表皮部材で構成された物入れであっても、小物の保持力を持たせることができるので、小物を安定して収容できる。また、縫製または溶着によって、ドアライニング化粧板のデザイン性が向上する。
【0031】
本発明によれば、車両の急制動時に、区分け部の上端が小物の前端に当たり、小物の移動を規制するので小物の回転を抑制し、小物の飛び出しを抑制することできる。
【0032】
本発明によれば、物入れの開口と底部が車両の後ろ側に傾斜しているので、物入れに小物を出し入れし易い。
【0033】
本発明によれば、ドアライニング化粧板がアームレストにのせた腕や肩のクッションとなり、腕や肩の当たりがソフトになる。
【0034】
本発明によれば、ドアライニング化粧板の小物入れには、厚みが小さい小物を収容し、ドアポケットには、厚みが大きいものを収容することができる。
【0035】
本発明によれば、表皮部材の重なる部分が1枚の部材で構成されるので、部品点数や工程数が少なく、安価に製造することできる。また、表皮部材につなぎ目がないので、美観が向上し、耐久性もよい。
【0036】
本発明によれば、ドアライニング化粧板を色違い、材質違い、機能違いなどの他のドアライニング化粧板と取り替えることができる。そして、ドアライニング化粧板が物入れを有する場合は、物入れの掃除がし易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明に係るドアライニングが装着された車両用ドアを示す図である。
図2図1のX-X線に沿うドアライニングの断面図である。
図3】ドアライニング化粧板を示す図である。
図4図3のY-Y線に沿うドアライニング化粧板の断面図である。
図5】ドアライニング化粧板に小物を入れたときの図(a)と、小物を入れた状態で急制動したときの図(b)である。
図6】第1~第3変形例に係るドアライニング化粧板を示す図(a)~(c)である。
図7】第4変形例に係るドアライニング化粧板の断面図である。
図8】第5変形例に係るドアライニング化粧板を示す図(a)と断面図(b)である。
図9】第6変形例に係るドアライニング化粧板を示す図(a)と断面図(b)である。
図10】第7変形例に係るドアライニング化粧板を示す図(a)と断面図(b)である。
図11】第8変形例に係るドアライニング化粧板を示す図(a)と断面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本明細書において、前後、上下、左右はドアライニングが適用される車両を基準とする。
図1に示すように、車両用ドア1は、車室側に本発明の一実施例に係るドアライニング10を備えている。ドアライニング10は、樹脂製のドアライニング本体20と、ドアライニング本体20に取り付けられたドアライニング化粧板30とを備えている。ドアライニング化粧板30は、例えば、ビス止めやスナップ係合などにより、ドアライニング本体20に対して着脱可能に固定されている。
【0039】
ドアライニング本体20の車室に面する表面側の上下方向中間部には、車両の前後方向に延びるようにアームレスト21が配置されている。アームレスト21の上側には、ドアライニング化粧板30が配置され、ドアライニング化粧板30の前側には、ドアインナーハンドル装着部22が配置されている。そして、アームレスト21の下側にはドアポケット23が設けられ、ドアポケット23の前側には、ドアスピーカーグリル24が配置されている。
【0040】
図2に示すように、アームレスト21は、乗員の腕を支えられるように、ドアライニング本体20から車室に向かって突出している。アームレスト21の上部には、クッション材21Aが配置されている。
【0041】
ドアポケット23は、ドアライニング本体20の下端20Aから上側の所定範囲に配置され、上側に開いた断面視U字状に形成されている。断面で見たドアポケット23の幅(ドアポケット23の内側の空間の左右方向の幅)は、後述するドアライニング化粧板30の物入れMの幅よりも広くなっている。
【0042】
ドアライニング化粧板30は、樹脂からなる本体部32と、本体部32を覆う表皮部材40を備えている。そして、図3に示すように、ドアライニング化粧板30は、逆台形状に形成され、上寄りの位置に物入れMを有している。ドアライニング化粧板30は、縫製または溶着により物入れMを区分けした区分け部33を有している。
【0043】
区分け部33は4つ設けられ、これにより物入れMは5つの収容部34に区分けされている。4つの区分け部33は、それぞれ、ドアライニング化粧板30の上端30Aから下方へ向かって、上側が下側よりも車両の後ろ側に位置するように傾斜した直線状に延び、これらが互いに平行に配置されている。
【0044】
図4に示すように、表皮部材40は、表皮部材40の表面側を構成する表皮材40Aと、表皮材40Aの裏側に貼り付けられた緩衝材40Bとからなる。表皮材40Aは、例えば、布、皮革、樹脂などの材料からなり、本実施形態においては、一例として連続する1枚のシートからなる。緩衝材40Bは、スポンジやゴムなどからなり、表皮材40Aより厚いシート状をしている。
【0045】
表皮部材40は、本体部32の上端32Bから本体部32の表側に沿って上下方向中央付近まで延びる第1部位41と、本体部32の下端32Cから本体部32の表側に沿って上方に延び、さらに第1部位41の車室側に重なった第2部位42とを有している。また、表皮部材40は、第1部位41の下端と第2部位42の上端を繋ぐ第3部位43を有している。第1部位41から第3部位43にかけては、表皮部材40を表皮材40Aが対面するように折り畳むことで構成され、第2部位42から第3部位43にかけては、表皮部材40を緩衝材40Bが対面するように折り畳むことで構成されている。
これにより、表皮部材40は、第1部位41と、第2部位42および第3部位43との間に、上方に開いた開口35を有して物入れMを構成している。第3部位43は、別の言い方をすると、第2部位42の開口35を構成する縁42Aと第1部位41を繋ぎ、第1部位41および第2部位42の間に挟まれ、第1部位41および第2部位42と重なっている。
【0046】
物入れMは、底部36を有している。底部36は、第1部位41と第3部位43を繋ぐ折返し部分により構成されている。
【0047】
以上のように構成されたドアライニング10の作用効果について説明する。
ドアライニング化粧板30の表皮部材40は、第1部位41、第2部位42および第3部位43を有し、これらが重なって3重になっているで、クッション性が増して、腕や肩の当たりがソフトになる。そして、ドアライニング化粧板30は、アームレスト21の上側に配置されているので、ドアライニング化粧板30がアームレスト21にのせた腕や肩のクッションとなる。
【0048】
図5(a)に示すように、ドアライニング化粧板30は、物入れMを有しているので、例えば、カード、筆記具、携帯電話などの厚みが小さい小物を収容することができる。そして、物入れMが表皮部材40からなるので、収容した小物の傷付きを抑制することができる。特に、本実施形態では、表皮部材40は、緩衝材40Bを有するので、収容した小物が傷つきにくい。また、表皮部材40が重なった部分の間を物入れMとしているので、小物を入れた場合には、第1部位41と、第2部位42および第3部位43とで、小物を挟持するように保持する。このため、車両の走行時に小物が動くことによって発生するガタ音を防止することできる。また、物入れMは、表皮部材40が小物を挟持するように保持するため、小物の上部を露出させて収納することもできるので、取り出すときにはすぐに小物を掴むことができて取り出し易い。さらに、アームレスト21の下側にはドアポケット23が設けられているので、カードなどの厚みが小さい小物は、ドアライニング化粧板30の物入れMに収容し、厚みが大きいものは、ドアポケット23に収容することで、使い分けが可能となっている。
【0049】
物入れMは、区分け部33で区分けされていることで小物に適した大きさにすることができる。また、区分け部33によって、ドアライニング化粧板30のデザイン性が向上する。
【0050】
図5(b)に示すように、車両を急制動したときには、筆記具や携帯電話などの小物に前方への慣性力が加わるので、物入れMから飛び出してしまう恐れがある。しかし、区分け部33が、上側が下側よりも車両の後ろ側に位置するように傾斜しているため、小物が前方に移動しようとするときには、必ず、開口35の前端P(区分け部33に区分けされた物入れUの上端)が小物の前端に当たる。つまり、区分け部33が高い位置で小物の移動を規制するので、小物の回転を抑制し、小物の飛び出しを抑制することできる。
【0051】
表皮部材40は、1枚の部材で構成されるので、部品点数や工程数が少なく、安価に製造することできる。また、表皮部材40につなぎ目がないので、美観が向上し、耐久性もよい。
【0052】
ドアライニング化粧板30は、ドアライニング本体20に対して着脱可能であるので、ドアライニング化粧板30を色違い、材質違い、機能違いの物と取り替えることができる。そして、取り外すことにより物入れMの掃除がし易くなっている。
【0053】
以上に本発明の一実施形態について説明したが、本発明は前記した実施形態に限定されることなく、適宜変更して実施することが可能である。以下、本発明を実施する場合の種々の変形例について説明する。なお、以下の説明において、前記実施形態の各部材と対応する部材については同じ符号を付して説明を省略する。
【0054】
[第1変形例]
前記実施形態では、ドアライニング化粧板30の区分け部33は、上側が下側よりも車両の後ろ側に位置するように傾斜していたが、本発明はこれに限定されず、傾斜していなくてもよい。例えば、図6(a)に示すドアライニング化粧板50のように、区分け部53は、上端30Aから下方へ向かって垂直に延び、傾斜していなくてもよい。ドアライニング化粧板50は、開口35、底部36および区分け部53によって収容部54が矩形になっている。このため、収容部54は、矩形の小物を収容し易い。
【0055】
[第2変形例]
前記実施形態では、物入れMの開口35がドアライニング化粧板30の上端30Aと平行に配置されていたが、図6(b)に示すドアライニング化粧板60のように、開口65は、その開いた方向が車両の後側に傾斜していてもよい。このドアライニング化粧板60は、底部66は、開口65と平行に、つまり、車両後方にいくほど下に位置するように傾斜して配置されている。そして、区分け部63は、ドアライニング化粧板60の上端30Aから下方へ向かって垂直に延びている。このような構成によれば、物入れMの開口が車両の後ろ側に傾斜しているので、物入れMに小物を出し入れし易い。
【0056】
[第3変形例]
また、図6(c)に示すように、第3変形例に係るドアライニング化粧板70は、物入れMの開口75が車両の後ろ側に傾斜して配置され、底部76は、開口75と平行に配置されている。そして、区分け部73は、開口75および底部76に直交して、ドアライニング化粧板70の上端30Aから下方へ向かって車両の前側に傾斜している。これにより、収容部74は矩形となっている。収容部74が矩形であるため、特に矩形の小物を収容し易い。さらに、底部76が車両の後ろにいくほど下に位置するように傾斜しているので、急制動時に小物が前方に移動しようとするときには、小物が移動しにくい。
【0057】
[第4変形例]
前記実施形態では、ドアライニング化粧板30の表皮部材40が1枚の部材で構成されていたが、本発明はこれに限定されず、複数枚の部材で構成されていてもよい。
【0058】
例えば、図7に示すように、第4変形例のドアライニング化粧板80の表皮部材81は、表皮部材81の表面側を構成する第1表皮材82と第2表皮材83との2枚の表皮材と、2枚の表皮材の裏側に貼り付けられた緩衝材84とからなる。第1表皮材82は、本体部32の上端32Bから本体部32の表側に沿って上下方向中央付近まで延びている。第2表皮材83は、本体部32の下端32Cから本体部32の表側に沿って上方に延び、さらに第1表皮材82の上に重なっている。そして、表皮部材81は、第1表皮材82の下端と第2表皮材83を例えば縫製などにより連結する連結部85を有している。これにより、表皮部材81は、第1表皮材82と、第2表皮材83との間に、上方に開いた開口86を有して物入れMを構成している。物入れMは、連結部85によって第1表皮材82の下端と第2表皮材83の間に構成された底部88を有している。
このようにしても、ドアライニング化粧板80は、表皮部材81によって物入れMを構成することができる。複数の表皮材で物入れを構成することにより、物入れの配置や、デザインの自由度が増す。
【0059】
[第5変形例]
前記実施形態では、ドアライニング化粧板30の物入れMが5つの収容部34を有していたが、本発明はこれに限定されず、図8(a),(b)に示すドアライニング化粧板90のように、区分け部を配置することなく収容部が1つであってもよい。ドアライニング化粧板90は、開口95がドアライニング化粧板90の上端90A付近に位置し、底部96が下端90B付近に位置して、物入れMが、上下方向において、ドアライニング化粧板90の上下方向の大きさの半分以上を占めている。このように、物入れMを区分けしないことで、地図などの比較的大きくて薄い物を収容することができる。
【0060】
[第6変形例]
また、図9(a),(b)に示す第6変形例のドアライニング化粧板100のように、物入れMを上下2段に配置してもよい。ドアライニング化粧板100は、区分け部103の間隔が大きい所と小さい所とがあり、区分け部103が等間隔に配置されていない。この間隔は、収容する小物に合わせて適宜決定することができる。このような構成によれば、小物を数多く収容することができる。また、色々な大きさの小物に対応することができる。
【0061】
[第7変形例]
前記実施形態では、物入れMの下部に底部36を有していたが、本発明はこれに限定されず、物入れの下部に底部を有していない構成としてもよい。
【0062】
例えば、図10(a),(b)に示すように、第7変形例のドアライニング化粧板110の表皮部材112は、第1表皮部材112Aと、第1表皮部材112Aの上から重なる第2表皮部材112Bからなる。第1表皮部材112Aと第2表皮部材112Bは、ドアライニング化粧板110の左右端で接着によって互いに接合されている。表皮部材112は、第1表皮部材112Aと第2表皮部材112Bとの間に、上方に開いた第1開口115と下方に開いた第2開口116を有して物入れMを構成している。そして、物入れMは、区分け部113によって収容部114に区分けされている。第1表皮部材112Aと第2表皮部材112Bは、区分け部113によっても、接合されている。このような構成によっても、ドアライニング化粧板110が重ね合わせた表皮部材112を有するので、クッション性が増して、腕や肩の当たりがソフトになる。また、ドアライニング化粧板110が物入れMを有するので、小物を収容することができる。第1表皮部材112Aと第2表皮部材112Bが区分け部113によっても接合されているので、第1表皮部材112Aと第2表皮部材112Bの間に小物を挟む保持力があり、小物を保持することが可能となっている。第2開口116が下向きであるので、埃やゴミなどが堆積しにくく、物入れMを清潔に保つことができる。
【0063】
[第8変形例]
また、図11(a),(b)に示すように、第8変形例に係るドアライニング化粧板120の物入れMは、前記実施形態に係るドアライニング化粧板30の上下を逆さまにしたような構成となっている。物入れMは、上側に底部126を有し、下側に開口125を有している。このような構成によっても、ドアライニング化粧板120が重ね合わせた表皮部材40を有するので、クッション性が増して、腕や肩の当たりがソフトになる。また、ドアライニング化粧板120が物入れMを有するので、小物を収容することができる。開口125が下向きであるが、区分け部123が表皮の重なった部分を接合しているので、重なった表皮と表皮の間の保持力で小物を保持することが可能となっている。そして、底部124が上側にあり、開口121が下向きであるので、埃やゴミなどが入りにくく、物入れMを清潔に保つことができる。
【0064】
前記各実施形態では、ドアライニング化粧板が台形状の板で構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、矩形、多角形、楕円などの板から構成されていてもよい。
【0065】
前記各実施形態では、区分け部を構成する縫製・溶着が直線で構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、区分け部は、曲線状、折れ曲がった線状、交差した複数の線状であってもよく、連続していない途切れた線状であってもよい。
【0066】
前記各実施形態では、表皮部材の重なりが2重または3重であったが、重ね合わせが4重以上であってもよい。
【0067】
前記各実施形態では、緩衝材40Bは、表皮材40Aよりやや厚い構成であったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、緩衝材が表皮材より薄くてもよく、緩衝材がない構成としてもよい。
【0068】
さらに、本発明のドアライニングは、乗用車に限らずバスやトラック等の他の車両に適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 車両用ドア
10 ドアライニング
20 ドアライニング本体
21 アームレスト
23 ドアポケット
30 ドアライニング化粧板
32 本体部
33 区分け部
34 収容部
35 開口
36 底部
40 表皮部材
41 第1部位
42 第2部位
43 第3部位
M 物入れ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11