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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-24
(45)【発行日】2023-11-01
(54)【発明の名称】車両の走行制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 20/20 20160101AFI20231025BHJP
   B60K 6/442 20071001ALI20231025BHJP
   B60K 6/52 20071001ALI20231025BHJP
   B60L 50/16 20190101ALI20231025BHJP
   B60L 50/61 20190101ALI20231025BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20231025BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20231025BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
B60W20/20 ZHV
B60K6/442
B60K6/52
B60L50/16
B60L50/61
B60L58/12
B60W10/06 900
B60W10/08 900
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020055676
(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公開番号】P2021154812
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 学
(72)【発明者】
【氏名】清水 亮
【審査官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-100013(JP,A)
【文献】特開2019-162955(JP,A)
【文献】特開2019-081467(JP,A)
【文献】特開2019-142252(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 20/20
B60K 6/442
B60K 6/52
B60W 10/06
B60W 10/08
B60L 50/16
B60L 50/61
B60L 58/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される駆動用バッテリと、
前記車両に搭載される内燃機関と、
前記内燃機関が稼働することで生じる動力を電力に変換する発電機と、
前記駆動用バッテリから供給される電力又は前記発電機から供給される電力により駆動するモータと、
前記内燃機関が稼働することで生じる動力及び前記モータが駆動することで生じる動力を前記車両の駆動輪に選択的に伝達する駆動伝達機と、
シリーズモードまたはパラレルモードの少なくともいずれか一方の走行モードを判定し、前記走行モードを切り替える制御部と、を備え、
前記シリーズモードは、前記発電機で発電しつつ前記内燃機関と前記駆動伝達機との駆動力の伝達を切断し、前記モータの駆動力で前記駆動輪を駆動する走行モードであり、
前記パラレルモードは、前記内燃機関と前記駆動伝達機との駆動力の伝達を接続し、前記内燃機関の駆動力と前記モータの駆動力とで前記駆動輪を駆動する走行モードであり、
前記車両の走行に際し要求される出力である要求出力の前記シリーズモードから前記パラレルモードに切り替える際の閾値を所定出力に設定し、
前記制御部は、
記要求出力が前記パラレルモードにおけるパラレル最大出力より大きいときは、前記走行モードを前記シリーズモードに切り替え、
前記要求出力が前記パラレル最大出力よりも小さい出力である前記所定出力よりも小さいときは、前記走行モードを前記パラレルモードに切り替え、
前記走行モードを前記シリーズモードに設定中であって、前記要求出力が前記所定出力以上前記パラレル最大出力以下のときは、前記走行モードを前記シリーズモードに維持する車両の走行制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記走行モードを前記パラレルモードに設定中であって、前記要求出力が前記所定出力以上前記パラレル最大出力以下のときは、前記走行モードを前記パラレルモードに維持する、請求項1に記載の車両の走行制御装置。
【請求項3】
前記所定出力は、前記内燃機関の最大出力である、請求項1または2に記載の車両の走行制御装置。
【請求項4】
前記駆動用バッテリの状態に応じて変動する最大放電電力を検出する最大放電電力検出部を備え、
前記制御部は、前記パラレル最大出力を算出するパラレル最大出力算出部を有しており、
前記パラレル最大出力算出部は、前記内燃機関の最大出力に、前記最大放電電力で前記モータを駆動した場合の最大出力を加算して前記パラレル最大出力を算出する、請求項1~3のいずれか一項に記載の車両の走行制御装置。
【請求項5】
前記車両の速度を検出する速度検出部と、
前記駆動用バッテリの蓄電量を検出する蓄電量検出部と、を備え、
前記制御部は、前記シリーズモードまたは前記パラレルモードの少なくともいずれか一方の走行モードを判定し、前記走行モードを切り替える走行モード判定部と、前記走行モードが前記パラレルモードに切り替わることを制限する速度であるパラレル車速を算出するパラレル車速算出部と、を有し、
前記パラレル車速算出部は、前記駆動用バッテリの蓄電量に従って前記パラレル車速を算出し、
前記走行モード判定部は、前記車両の速度が前記パラレル車速以下であるときは、前記走行モードを前記シリーズモードに切り替える、請求項1~4のいずれか一項に記載の車両の走行制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両の走行制御装置に係り、特にエンジン及びモータの制御の最適化を図る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、エンジン(内燃機関)及びモータを備え、該モータに供給する電力を蓄電する駆動用バッテリが搭載されたハイブリット自動車が広く普及している。
また、このようなハイブリット自動車では、エンジン及びモータの制御により、出力性能の向上と燃費性能(エネルギ効率)の向上の両立を図ることができる。具体的には、エンジンの動力を電力に変換して走行する所謂シリーズモードやエンジンの動力を機械的に伝達して走行する所謂パラレルモード等があり、最適な条件下で最適な走行モードを実行することについて開発が進められている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-001868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、複数の条件下における、各最適な走行モードを実行しようとすると、各条件の切り替わる範囲において、走行モードが短時間で交互に切り替わることが考えられる。このように走行モードが短時間で交互に切り替わると、エンジンの稼働量が頻繁に変動し、車両の搭乗者にとって不快感を生じさせる虞があった。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、走行モードの切り替えを適切な時期に実行することができる車両の走行制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明の車両の走行制御装置は、車両に搭載される駆動用バッテリと、前記車両に搭載される内燃機関と、前記内燃機関が稼働することで生じる動力を電力に変換する発電機と、前記駆動用バッテリから供給される電力又は前記発電機から供給される電力により駆動するモータと、前記内燃機関が稼働することで生じる動力及び前記モータが駆動することで生じる動力を前記車両の駆動輪に選択的に伝達する駆動伝達機と、シリーズモードまたはパラレルモードの少なくともいずれか一方の走行モードを判定し、前記走行モードを切り替える制御部と、を備え、前記シリーズモードは、前記発電機で発電しつつ前記内燃機関と前記駆動伝達機との駆動力の伝達を切断し、前記モータの駆動力で前記駆動輪を駆動する走行モードであり、前記パラレルモードは、前記内燃機関と前記駆動伝達機との駆動力の伝達を接続し、前記内燃機関の駆動力と前記モータの駆動力とで前記駆動輪を駆動する走行モードであり、前記車両の走行に際し要求される出力である要求出力の前記シリーズモードから前記パラレルモードに切り替える際の閾値を所定出力に設定し、前記制御部は、前記要求出力が前記パラレルモードにおけるパラレル最大出力より大きいときは、前記走行モードを前記シリーズモードに切り替え、前記要求出力が前記パラレル最大出力よりも小さい出力である前記所定出力よりも小さいときは、前記走行モードを前記パラレルモードに切り替え、前記走行モードを前記シリーズモードに設定中であって、前記要求出力が前記所定出力以上前記パラレル最大出力以下のときは、前記走行モードを前記シリーズモードに維持することを特徴とする。
【0006】
これにより、要求出力がパラレル最大出力より大きいときは、走行モードをシリーズモードに切り替える一方、シリーズモード走行中に要求出力がパラレル最大出力以下となっても、要求出力が所定出力以上のときは、走行モードをシリーズモードに維持することで、一度シリーズモードに切り替えられた走行モードが、パラレル最大出力や要求出力の変動により要求出力がパラレル最大出力以下となることで、すぐさまパラレルモードに切り替わることを抑制することが可能とされる。
【0007】
その他の態様として、前記制御部は、前記走行モードを前記パラレルモードに設定中であって、前記要求出力が前記所定出力以上前記パラレル最大出力以下のときは、前記走行モードを前記パラレルモードに維持するのが好ましい。
これにより、要求出力が所定出力より小さいときは、走行モードをパラレルモードに切り替える一方、パラレルモード走行中に要求出力が所定出力以上となっても、要求出力がパラレル最大出力以下のときは、走行モードをパラレルモードに維持することで、一度パラレルモードに切り替えられた走行モードが、パラレル最大出力や要求出力の変動により要求出力が所定出力以下となることで、すぐさまシリーズモードに切り替わることを抑制することが可能とされる。
【0008】
その他の態様として、前記所定出力は、前記内燃機関の最大出力であるのが好ましい。
これにより、走行モードをシリーズモードからパラレルモードに切り替える際の要求出力の閾値である所定出力を内燃機関の最大出力とすることで、例えば、仮に駆動用バッテリの放電電力が全くないような場合のパラレル最大出力である内燃機関の最大出力を所定出力とし、走行モードがパラレルモードに切り替えられた際に要求出力がすぐさま不足することを抑制することが可能とされる。
【0009】
その他の態様として、前記駆動用バッテリの状態に応じて変動する最大放電電力を検出する最大放電電力検出部を備え、前記制御部は、前記パラレル最大出力を算出するパラレル最大出力算出部を有しており、前記パラレル最大出力算出部は、前記内燃機関の最大出力に、前記最大放電電力で前記モータを駆動した場合の最大出力を加算して前記パラレル最大出力を算出するのが好ましい。
【0010】
これにより、パラレル最大出力として、内燃機関の最大出力に、最大放電電力検出部によって検出される最大放電電力でモータを駆動した場合の最大出力を加算した出力を用いるようにすることで、駆動用バッテリの最大放電電力が変動することによるパラレル最大出力の変動を算出することが可能とされる。
その他の態様として、前記車両の速度を検出する速度検出部と、前記駆動用バッテリの蓄電量を検出する蓄電量検出部と、を備え、前記制御部は、前記シリーズモードまたは前記パラレルモードの少なくともいずれか一方の走行モードを判定し、前記走行モードを切り替える走行モード判定部と、前記走行モードが前記パラレルモードに切り替わることを制限する速度であるパラレル車速を算出するパラレル車速算出部と、を有し、前記パラレル車速算出部は、前記駆動用バッテリの蓄電量に従って前記パラレル車速を算出し、前記走行モード判定部は、前記車両の速度が前記パラレル車速以下であるときは、前記走行モードを前記シリーズモードに切り替えるのが好ましい。
【0011】
これにより、車両の速度が駆動用バッテリの蓄電量に従って算出したパラレル車速以下であるときは、走行モードをシリーズモードに切り替えることで、駆動用バッテリの充電を優先することが可能とされる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の車両の走行制御装置によれば、要求出力がパラレル最大出力より大きいときは、走行モードをシリーズモードに切り替える一方、シリーズモード走行中に要求出力がパラレル最大出力以下となっても、要求出力が所定出力以上のときは、走行モードをシリーズモードに維持したので、一度シリーズモードに切り替えられた走行モードが、パラレル最大出力や要求出力の変動により要求出力がパラレル最大出力以下となることで、すぐさまパラレルモードに切り替わることを抑制することができる。これにより、走行モードの切り替えを適切な時期に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るプラグインハイブリッド車の概略構成図である。
図2】本発明に係る車両の走行制御装置の制御に係るハイブリッドCUの接続構成が示されたブロック図である。
図3】縦軸が駆動軸における最大駆動力、横軸が車両の速度で示されたグラフである。
図4】ハイブリッドCUが実行する、本発明に係る車両の走行制御装置の制御手順を示すルーチンのフローチャートである。
図5】走行モード判定部による走行モード判定の制御手順を示すルーチンのフローチャートである。
図6】車両の走行状態及び走行モードの変動の一例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づき本発明の一実施形態について説明する。
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係るプラグインハイブリッド車(以下、車両1という)の概略構成図が示されている。
本実施形態の車両1は、エンジン2(内燃機関)の出力によって前輪(駆動輪)3を駆動して走行可能であるとともに、前輪3を駆動する電動のフロントモータ(モータ)4及び後輪5を駆動する電動のリヤモータ(モータ)6を備えた四輪駆動車である。エンジン2は、減速機(駆動伝達機)7を介して前輪3の駆動軸8を駆動可能であるとともに、発電機9を駆動して発電させることが可能な内燃機関である。
【0015】
フロントモータ4は、フロントインバータ10を介して、車両1に搭載された駆動用バッテリ11及び発電機9から高電圧の電力を供給されて駆動し、減速機7を介して前輪3の駆動軸8を駆動する。減速機7には、エンジン2の出力軸と前輪3の駆動軸8との間の動力伝達路を断接切換え可能なクラッチ7aが内蔵されている。
リヤモータ6は、リヤインバータ12を介して駆動用バッテリ11及び発電機9から高電圧の電力を供給されて駆動し、減速機13を介して後輪5の駆動軸8を駆動する。発電機9によって発電された電力は、フロントインバータ10を介して駆動用バッテリ11を充電可能であるとともに、フロントモータ4及びリヤモータ6に電力を供給可能である。
【0016】
駆動用バッテリ11は、リチウムイオン電池等の二次電池で構成され、複数の電池セルをまとめて構成された図示しない電池モジュールを有している。また、駆動用バッテリ11は、電池モジュールの電圧や温度等の電池モジュールの状態を監視するバッテリマネジメントユニット(以下、BMU11aという。)を備えている。
フロントインバータ10は、フロントモータコントロールユニット10aとジェネレータコントロールユニット10bを有している。以下、コントロールユニットを省略してCUという。フロントモータCU10aは、後述するハイブリッドCU20からの制御信号に基づきフロントモータ4の出力を制御する。ジェネレータCU10bは、ハイブリッドCU20からの制御信号に基づき発電機9の出力(発電電力)を制御する機能を有する。
【0017】
リヤインバータ12は、リヤモータCU12aを有している。リヤモータCU12aは、ハイブリッドCU20からの制御信号に基づきリヤモータ6の出力を制御する機能を有する。車両1の図示しない運転席における運転手の足元には、図示しないアクセルペダルが配設されている。アクセルペダルは、運転手が踏圧することで車両1の速度を調整するペダルである。このアクセルペダルには、アクセル開度センサ23が設けられており、アクセル開度センサ23は、アクセルペダルの踏圧量、すなわち運転手による要求トルク情報を検出することが可能である。また、前輪3の近傍には、駆動軸8の回転速度を検出する車輪速センサ25が配設されている。
【0018】
図2を参照すると、本発明に係る車両の走行制御装置の制御に係るハイブリッドCU20の接続構成がブロック図で示されている。ハイブリッド(制御部)CU20は、エンジン2の運転制御をはじめとして車両1の走行制御を行うための制御装置であり、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、中央処理装置(CPU)等を含んで構成されている。
【0019】
このハイブリッドCU20の入力側には、BMU(最大放電電力検出部、蓄電量検出部)11a、アクセル開度センサ23及び車輪速センサ(速度検出部)25が電気的に接続されている。これにより、ハイブリッドCU20は、BMU11aからは駆動用バッテリ11の電圧等の情報が入力され、アクセル開度センサ23からは運転手による要求トルク情報が入力され、車輪速センサ25からは駆動軸8の回転速度、すなわち前輪3の回転速度が入力される。
【0020】
また、ハイブリッドCU20の出力側には、エンジン2、クラッチ7a、フロントインバータ10及びリヤインバータ12が電気的に接続されている。これにより、ハイブリッドCU20は、エンジン2を制御することで発電及び前輪3の駆動をすることができ、クラッチ7aを制御することで減速機7におけるエンジン2の出力軸と前輪3の駆動軸8との間の動力伝達路の断接を切換えることができる。また、ハイブリッドCU20は、フロントインバータ10及びリヤインバータ12を制御することでフロントモータ4及びリヤモータ6を制御し、前輪3及び後輪5を駆動することができる。
【0021】
ここで、ハイブリッドCU20は、本発明に係る車両の走行制御装置の制御を実行するべく、パラレル車速算出部31、走行モード判定部33、走行モード制御部35及び記憶部37が備えられている。パラレル車速算出部31は、BMU11aから入力される駆動用バッテリ11の電圧等の情報に基づいて、後述するパラレル車速Vpを算出する算出部である。走行モード判定部33は、車両1の走行状態等に基づいて車両1の走行モードをシリーズモード、パラレルモード等の走行モードのうち、最適な走行モードを判定する判定部である。
【0022】
ここで、シリーズモードは、減速機7のクラッチ7aを切断してエンジン2により発電機9を作動し、発電機9により発電された電力及び駆動用バッテリ11から供給される電力によりフロントモータ4やリヤモータ6を駆動して車両1を走行させる走行モードである。また、シリーズモードでは、エンジン2の回転速度を目標回転速度に設定し、余剰出力によって発電した電力を駆動用バッテリ11に供給して駆動用バッテリ11を充電することができる。したがって、シリーズモードでは、フロントモータ4やリヤモータ6を駆動することによる駆動力のみで走行し、エンジン2を発電にのみ使用して走行することができる。
【0023】
一方、パラレルモードは、減速機7のクラッチ7aを接続し、エンジン2から減速機7を介して機械的に動力を伝達して前輪3を駆動させる走行モードである。したがって、パラレルモードでは、エンジン2から機械的に伝達される動力とフロントモータ4やリヤモータ6を駆動することによる駆動力とを利用して車両1を走行させることができる。
図3を参照すると、縦軸が駆動軸8における最大駆動力(駆動力)、横軸が車両1の速度(車速)でグラフが示されており、シリーズモードとパラレルモードとを比較した際のそれぞれの利点について、図3に沿って説明する。シリーズモードは、車両1の停止状態から第1速度V1(例えば100km/h)までの速度帯において、パラレルモードよりも最大駆動力が大きい。また、パラレルモードは、第1速度V1以降の速度帯において、シリーズモードよりも最大駆動力が大きい。したがって、駆動力を優先して走行モードを選択する場合、第1速度V1を基準にして両走行モードを切り替えることが好ましい。
【0024】
一方、パラレルモードは、車速Vnが第2速度V2(例えば50km/h)以上である場合、シリーズモードと比較してエネルギ効率が良好な走行モードである。したがって、エネルギ効率を優先して走行モードを選択する場合、第2速度V2を基準にして両走行モードを切り替えることが好ましい。
図2に戻り、走行モード判定部33は、パラレル最大出力算出部41、要求出力算出部43及び走行モード設定部45を有している。パラレル最大出力算出部41は、車両1の走行モードがパラレルモードのときにおける最大出力(パラレル最大出力Wm)を算出することが可能な算出部である。要求出力算出部43は、アクセル開度センサ23よって検出されるアクセルペダルの踏圧量に基づいて運転手から要求されている車両1の加速度を達成するために必要な出力(要求出力Wr)を算出する算出部である。走行モード設定部45は、パラレル最大出力算出部41及び要求出力算出部43の算出結果に基づいて走行モードを設定する設定部である。
【0025】
走行モード制御部35は、車輪速センサ25から入力される前輪3の回転速度により算出可能な車速Vn、パラレル車速算出部31によって算出されるパラレル車速Vp及び走行モード判定部33によって判定される走行モードに基づいて、エンジン2、クラッチ7a、フロントインバータ10及びリヤインバータ12を制御する制御部である。記憶部37は、各算出部や判定部、特に走行モード判定部33の後述する走行モード設定部の判別結果を記憶することが可能なメモリである。
【0026】
図4を参照すると、ハイブリッドCU20が実行する、本発明に係る車両の走行制御装置の制御手順を示すルーチンがフローチャートで示されており、以下、同フローチャートに沿い説明する。
ステップS10では、パラレル車速算出部31によってパラレル車速Vpを算出し、ステップS20に移行する。具体例としては、BMU11aから入力される駆動用バッテリ11の蓄電量が50%以下のとき、パラレル車速Vpを第1速度V1とし、駆動用バッテリ11の蓄電量が50%より高いとき、第2速度V2とする。
【0027】
ステップS20では、車両1の車速Vnがパラレル車速Vpより速いか否かを判別する。ステップS20の判別結果が偽(No)で車速Vnがパラレル車速Vp以下であると判別すると、ステップS60に移行して走行モードをシリーズモードにし、本ルーチンを繰り返し実行する。一方、ステップS20の判別結果が真(Yes)で車速Vnがパラレル車速Vpより速いと判別すると、ステップS30に移行する。
【0028】
ここで、上記したように、シリーズモードでは、余剰出力によって発電した電力を駆動用バッテリ11に供給して駆動用バッテリ11を充電することができるため、車両1を走行させつつ駆動用バッテリ11を充電することができる。したがって、ステップS10で駆動用バッテリ11の蓄電量が50%以下のときは、駆動用バッテリ11の蓄電量が50%より高いときと比較してパラレル車速Vpを高い値に設定することで(ステップS10)、駆動用バッテリ11を充電することを優先することができる。
【0029】
ステップS30では、走行モード判定部33による走行モード判定を実行し、ステップS40に移行する。
図5を参照すると、走行モード判定部33による走行モード判定の制御手順を示すルーチンがフローチャートで示されている。ステップS110では、パラレル最大出力算出部41により、パラレルモードにおける最大出力(パラレル最大出力Wm)を算出してステップS120に移行する。具体的には、まず、予め記憶部37に記憶させたエンジン2の出力特性から車速Vn時におけるエンジン2の最大出力(所定出力、エンジン最大出力We)を算出し、BMU11aから入力される駆動用バッテリ11の放電電力並びに予め記憶部37に記憶させたフロントモータ4及びリヤモータ6の出力特性から車速Vn時におけるフロントモータ4の最大出力及びリヤモータ6の最大出力を算出する。そして、エンジン最大出力Weにフロントモータ4の最大出力及びリヤモータ6の最大出力を加算する。これにより、車速Vn時に走行モードがパラレルモードになる場合の最大出力であるパラレル最大出力Wmを算出することができる。
【0030】
ステップS120では、要求出力算出部43により要求出力Wrを算出し、ステップS130に移行する。ステップS130では、要求出力Wrがパラレル最大出力Wmより大きいか否かを判別する。ステップS130の判別結果が真(Yes)で、要求出力Wrがパラレル最大出力Wmより大きいと判別するとステップS160に移行し、最適な走行モードはシリーズモードであると判定(シリーズ判定)してステップS170に移行する。一方、ステップS130の判別結果が偽(No)で、要求出力Wrがパラレル最大出力Wm以下であると判別するとステップS140に移行する。
【0031】
ステップS140では、要求出力Wrがエンジン最大出力We以上か否かを判別する。ステップS140の判別結果が偽(No)で、要求出力Wrがエンジン最大出力Weより小さいと判別するとステップS150に移行し、最適な走行モードはパラレルモードであると判定(パラレル判定)してステップS170に移行する。一方、ステップS140の判別結果が真(Yes)で、要求出力Wrがエンジン最大出力We以上であると判別すると、現状の走行モードを維持してステップS170に移行する。なお、説明の便宜上、現状の走行モードを維持することを維持判定(ステップS190)とする。
【0032】
このようにステップS110~160では、パラレル最大出力Wm及び要求出力Wrを算出し(ステップS110、120)、要求出力Wrがパラレル最大出力Wmより大きいときは(ステップS130でYes)、シリーズ判定をする(ステップS160)一方、要求出力Wrがエンジン最大出力Weより小さいときは(ステップS140でNo)、パラレル判定をする(ステップS150)ことで、駆動力を優先する必要がある状況下ではパラレルモード設定する一方、エネルギ効率を優先することが可能な状況下ではシリーズモードを設定することができる。
【0033】
ステップS170では、ステップS150、160及びステップS190で判定した走行モードを記憶部37に記憶して走行モード判定部33による走行モード判定を終了し、車両の走行制御装置の制御手順を示すルーチンに戻る(図4)。
ステップS40では、記憶部37に記憶されている走行モード、すなわちステップS30で走行モード判定を実行して得た判定結果がパラレルモードか否かを判別する。ステップS40の判別結果が真(Yes)で判定結果がパラレルモードであると判別すると、ステップS50に移行して走行モードをパラレルモードに設定し、本ルーチンを繰り返し実行する。一方、ステップS40の判別結果が偽(No)で判定結果がパラレルモードではない、換言すると、判定結果がシリーズモードであると判別すると、ステップS60に移行して走行モードをシリーズモードに設定し、本ルーチンを繰り返し実行する。
【0034】
これにより、ステップS40~60では、走行モード判定(ステップS30)を実行して得た判定結果に基づいて走行モードを設定し、最適な走行モードで車両1を走行させることができる。
図6を参照すると、車両1の走行状態及び走行モードの変動の一例を示すタイミングチャートが示されている。以下、同タイミングチャート及び図4、5に沿い、本発明に係る車両の走行制御装置による作用効果を説明する。
【0035】
この一例では、アクセルペダルの踏圧量(以下、アクセル開度ともいう。)は、本タイミングチャートが始まる最初の時期である開始時期T0から所定期間後の第5時期T5までの間、一定の値で保たれ、第5時期T5から第7時期T7にかけて徐々にアクセル開度が低下し、その後第8時期T8までの間、一定の値で保たれ、第8時期T8から第10時期T10にかけて徐々にアクセル開度が上昇し、その後一定の値で保たれていると仮定する。また、この一例では、開始時期T0の直前に記憶部37に記憶されている走行モードは、パラレルモードであると仮定する。なお、説明の便宜上、車速Vnはパラレル車速Vpより速い速度であって一定であると仮定して説明する。また、開始時期T0から第10時期T10までの期間は20秒ほどの期間であるとする。
【0036】
開始時期T0から第1時期T1までの期間では、例えば駆動用バッテリ11の蓄電量の変化により駆動用バッテリ11の放電電力が低下する。これにより、開始時期T0から第1時期T1までの期間では要求出力Wrがパラレル最大出力Wmより小さい一方、第1時期T1の直後、アクセル開度が一定の値で保たれているにも関わらず、要求出力Wrがパラレル最大出力Wmより大きくなる。
【0037】
ここで、図5によると、開始時期T0から第1時期T1までの期間ではステップS130の判別結果が偽(No)で、かつ、ステップS140の判別結果が真(Yes)となるため、走行モード判定による判定結果が維持判定となり(ステップS190)、走行モードはパラレルモードが維持される(ステップS170、図4のステップS40でYes、ステップS50)。また、第1時期T1の直後(第1時期T1から第2時期T2までの期間)、ステップS130の判別結果が真(Yes)となるため、走行モード判定による判定結果がシリーズ判定となり(ステップS160)、走行モードはシリーズモードとなる(ステップS170、図4のステップS40でNo、ステップS60)。したがって、本発明に係る走行モード判定により、パラレルモードでは要求出力を満たせないときは、走行モードを速やかにシリーズモードに切り替えることができる。
【0038】
第1時期T1から第2時期T2までの期間では、駆動用バッテリ11の放電電力が低下したあと、蓄電量や温度等の変化により、駆動用バッテリ11の放電電力が上昇する。これにより、第1時期T1から第2時期T2までの期間までの期間では要求出力Wrがパラレル最大出力Wmより大きい一方、第2時期T2の直後、アクセル開度が一定の値で保たれているにも関わらず、要求出力Wrがパラレル最大出力Wmより小さくなる。
【0039】
ここで、図5によると、また、第2時期T2の直後(第2時期T2から第3時期T3までの期間)、ステップS130の判別結果が偽(No)で、かつ、ステップS140の判別結果が真(Yes)となるため、開始時期T0から第1時期T1までの期間と同様に、走行モード判定による判定結果が維持判定となる(ステップS190)。
一方で、第1時期T1から第2時期T2までの期間、すなわち第2時期T2の直前では、走行モードはシリーズモードであるため、開始時期T0から第1時期T1までの期間と異なり、走行モードはシリーズモードが維持される(ステップS170、図4のステップS40でNo、ステップS60)。
【0040】
このように、駆動用バッテリ11の放電電力が変動する場合であっても、走行モード判定による判定結果は、維持判定とシリーズ判定とを往復することとなるため、走行モードはシリーズモードのまま変動しない。したがって、駆動用バッテリ11の放電電力の変動により走行モードがシリーズモードとパラレルモードとで連続的に切り替わることを抑制しつつ、要求出力を満たすように出力を保つことができる。
【0041】
ここで、上記したように、パラレル最大出力Wmは、エンジン最大出力Weにフロントモータ4の最大出力及びリヤモータ6の最大出力を加算して求められる値である。また、エンジン最大出力Weはエンジン特性により定まる一方、フロントモータ4の最大出力及びリヤモータ6の最大出力は駆動用バッテリ11の放電電力により変動する。
したがって、パラレル最大出力Wmは、原則としてエンジン最大出力Weより下回ることはない。ゆえに、走行モード判定において、パラレル判定となるための条件としてエンジン最大出力Weを閾値とし、要求出力Wrがエンジン最大出力We以上である場合(ステップS130でYesまたはステップS140でYes)は走行モードをシリーズモードで保つようにすることで、駆動用バッテリ11の放電電力の変動による出力不足が生じることを確実に防止することができる。
【0042】
第2時期T2から第5時期T5までの期間では、アクセル開度が一定の値で保たれているにも関わらず、駆動用バッテリ11の放電電力が上昇と低下を繰り返す。なお、第2時期T2から第5時期T5までの期間では、第1時期T1から第2時期T2までの期間及び第2時期T2から第3時期T3までの期間と同様の判定結果となるので、ここでの説明は省略する。
【0043】
第5時期T5から第7時期T7までの期間、アクセル開度が低下することにより、要求出力Wrもまた低下する。特に、第6時期T6の直後では、要求出力Wrがエンジン最大出力Weより小さくなる。ここで、図5によると、第6時期T6の直後(第6時期T6から第9時期T9までの期間)ではステップS130の判別結果が偽(No)で、かつ、ステップS140の判別結果が偽(No)となるため、走行モード判定による判定結果がパラレル判定となる(ステップS150)。
【0044】
したがって、第1時期T1から第6時期T6までの期間、走行モード判定による判定結果が維持判定またはシリーズ判定であったために走行モードがシリーズモードで保たれていたのに対し、第6時期T6から第9時期T9までの期間は、判定結果がパラレル判定となるため、走行モードがパラレルモードに切り替わる(ステップS50)。
このように、走行モード判定において、要求出力Wrが閾値であるエンジン最大出力Weより低い場合(ステップS140でNo)は、走行モードをパラレルモードに切り替えるようにすることで、出力不足が生じない状況下でパラレルモードを的確に選択して車両1の走行に係るエネルギ効率を向上させることができる。
【0045】
さらに、第8時期T8から第10時期T10までの期間、再びアクセル開度が上昇することにより、要求出力Wrもまた上昇する。したがって、図5によると、第9時期T9以降は、ステップS130の判別結果が偽(No)で、かつ、ステップS140の判別結果が真(Yes)となるため、走行モード判定による判定結果が維持判定となり(ステップS190)、走行モードはパラレルモードが維持される(ステップS170、図4のステップS40でYes、ステップS50)。このように、要求出力Wrがパラレル最大出力Wm以下である期間は、出力不足が生じていないため、シリーズモードに切り替えることなくパラレルモードを維持するようにして車両1の走行に係るエネルギ効率を向上させることができる。
【0046】
以上説明したように、本発明に係る車両1の走行制御装置では、車両1に搭載される駆動用バッテリ11と、車両1に搭載されるエンジン2と、エンジン2が稼働することで生じる動力を電力に変換する発電機9と、駆動用バッテリ11から供給される電力又は発電機9から供給される電力により駆動するフロントモータ4及びリヤモータ6と、エンジン2が稼働することで生じる動力及びフロントモータ4が駆動することで生じる動力を車両1の駆動輪に選択的に伝達する減速機7と、シリーズモードまたはパラレルモードの少なくともいずれか一方の走行モードを判定し、該走行モードを切り替えるハイブリッドCU20と、を備える。
【0047】
ここで、シリーズモードは、発電機9で発電しつつエンジン2と減速機7との駆動力の伝達を切断し、フロントモータ4及びリヤモータ6の駆動力で駆動輪を駆動する走行モードであり、パラレルモードは、エンジン2と減速機7との駆動力の伝達を接続し、エンジン2の駆動力とフロントモータ4及びリヤモータ6の駆動力とで駆動輪を駆動する走行モードである。
【0048】
そして、ハイブリッドCU20は、車両1の走行に際し要求される出力である要求出力Wrがパラレルモードにおけるパラレル最大出力Wmより大きいときは(ステップS130でYes)、走行モードをシリーズモードに切り替え、要求出力Wrがパラレル最大出力Wmよりも小さい出力である所定出力よりも小さいときは(ステップS140でNo)、走行モードをパラレルモードに切り替え、走行モードをシリーズモードに設定中であって、所定出力以上(ステップS140でYes)パラレル最大出力Wm以下(ステップS130でNo)のときは、走行モードをシリーズモードに維持する(ステップS190、ステップS170、ステップS40でNo、ステップS60)。
【0049】
従って、要求出力Wrがパラレル最大出力Wmより大きいときは、走行モードをシリーズモードに切り替える一方、要求出力Wrがパラレル最大出力Wm以下であっても、要求出力Wrが所定出力以上のときは、走行モードをシリーズモードに維持したので、一度シリーズモードに切り替えられた走行モードが、パラレル最大出力Wmや要求出力Wrの変動により要求出力Wrがパラレル最大出力Wm以下となることで、すぐさまパラレルモードに切り替わることを抑制することができる。
【0050】
そして、ハイブリッドCU20は、走行モードをパラレルモードに設定中であって、要求出力Wrが所定出力以上(ステップS140でYes)パラレル最大出力Wm以下(ステップS130でNo)のときは、走行モードをパラレルモードに維持する(ステップS190、ステップS170、ステップS40でYes、ステップS50)。
従って、要求出力Wrが所定出力より小さいときは、走行モードをパラレルモードに切り替える一方、パラレルモード走行中に要求出力Wrが所定出力以上であっても、要求出力Wrがパラレル最大出力Wm以下のときは、走行モードをパラレルモードに維持したので、一度パラレルモードに切り替えられた走行モードが、パラレル最大出力Wmや要求出力Wrの変動により要求出力Wrが所定出力以下となることですぐさまシリーズモードに切り替わることを抑制することができる。
【0051】
また、上記の所定出力として、エンジン2の最大出力であるエンジン最大出力Weを用いたので、例えば、仮に駆動用バッテリ11の放電電力が全くないような場合のパラレル最大出力Wmであるエンジン2の最大出力、すなわち想定され得る最も低いパラレル最大出力Wmを所定出力とすることができ、走行モードがパラレルモードに切り替えられた際に要求出力Wrがすぐさま不足することを抑制することができる。
【0052】
そして、駆動用バッテリ11の状態に応じて変動する最大放電電力を検出するBMU11aを備え、ハイブリッドCU20は、パラレル最大出力Wmを算出するパラレル最大出力算出部41を有しており、パラレル最大出力算出部41は、エンジン最大出力Weに、最大放電電力でフロントモータ4及びリヤモータ6を駆動した場合の最大出力を加算してパラレル最大出力Wmを算出したので、駆動用バッテリ11の状態(電池容量、電池温度、電池電圧等)に応じて最大放電電力が変動することによるパラレル最大出力Wmの変動を算出することができる。
【0053】
そして、車両1の速度を検出する車輪速センサ25と、駆動用バッテリ11の蓄電量を検出するBMU11aとを備え、ハイブリッドCU20は、シリーズモードまたはパラレルモードの少なくともいずれか一方の走行モードを判定し、走行モードを切り替える走行モード判定部33と、走行モードがパラレルモードに切り替わることを制限する速度であるパラレル車速Vpを算出するパラレル車速算出部31を有し、パラレル車速算出部31は、駆動用バッテリ11の蓄電量に従ってパラレル車速Vpを算出し、走行モード判定部33は、車両1の速度がパラレル車速Vp以下であるときは(ステップS20でNo)、走行モードをシリーズモードに切り替えたので(ステップS60)、駆動用バッテリ11の充電を優先することができる。
【0054】
以上で本発明に係る車両の走行制御装置の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、本実施形態では、シリーズモードとパラレルモード等を備える車両を説明したが、駆動用バッテリ11から供給される電力によりフロントモータ4やリヤモータ6を駆動して車両1を走行させるEV走行モードを更に備えた車両も含まれる。
【0055】
また、本実施形態では、フロントモータ4及びリヤモータ6を搭載した車両1として説明したが、一方のモータのみを搭載した車両であってもよい。
また、本実施形態では、要求出力算出部43がアクセルペダルの踏圧量に基づいて運転手から要求されている車両1の加速度を達成するために必要な出力を算出するとしたが、車両1の速度を一定速度に保つよう運転手が任意で設定可能な所謂クルーズコントロールで設定された速度を保つために必要な出力を算出するようにしてもよく、要求される加速度や速度から要求出力を算出することができればよい。
【0056】
また、本実施形態では、所定出力としてエンジン最大出力Weを用いて説明したが、エンジン最大出力Weよりも大きい出力にしてもよく、パラレル最大出力Wmの変動と連動して変動するようにしてもよい。
また、本実施形態では、ステップS10で駆動用バッテリ11の蓄電量に応じてパラレル車速Vpを設定するようにしたが、駆動用バッテリ11の温度等により充放電電力が比較的低い場合、運転手が駆動用バッテリ11の電力を積極的に使用しつつ燃料の消費を抑制するような走行モードや雪道に特化した走行モード、高出力に特化した走行モード等の特殊な走行モードを選択している場合には、それらの条件に応じてパラレル車速Vpを設定するようにしてもよい。
【0057】
また、本実施形態では、図5、6のフローを用いてハイブリッドCU20による制御態様を説明したが、同フローの順番は一例であり、本発明を実施可能な程度に順番を入れ替えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 車両
2 エンジン(内燃機関)
3 前輪(駆動輪)
4 フロントモータ(モータ)
6 リヤモータ(モータ)
7 減速機(駆動伝達機)
9 発電機
11 駆動用バッテリ
11a BMU(最大放電電力検出部、蓄電量検出部)
20 ハイブリッドCU(制御部)
25 車輪速センサ(速度検出部)
31 パラレル車速算出部
33 走行モード判定部
41 パラレル最大出力算出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6