IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラ株式会社の特許一覧 ▶ 独立行政法人理化学研究所の特許一覧 ▶ 株式会社オーガンテクノロジーズの特許一覧

<>
  • 特許-容器 図1
  • 特許-容器 図2
  • 特許-容器 図3
  • 特許-容器 図4
  • 特許-容器 図5
  • 特許-容器 図6
  • 特許-容器 図7
  • 特許-容器 図8
  • 特許-容器 図9
  • 特許-容器 図10
  • 特許-容器 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-24
(45)【発行日】2023-11-01
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   C12M 3/00 20060101AFI20231025BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20231025BHJP
   C12N 5/071 20100101ALN20231025BHJP
【FI】
C12M3/00 Z
C12M1/00 C
C12N5/071
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021551269
(86)(22)【出願日】2020-09-28
(86)【国際出願番号】 JP2020036731
(87)【国際公開番号】W WO2021065831
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2021-11-08
(31)【優先権主張番号】P 2019180898
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503359821
【氏名又は名称】国立研究開発法人理化学研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】508253111
【氏名又は名称】株式会社オーガンテック
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】坂井 久
(72)【発明者】
【氏名】岸本 恭介
(72)【発明者】
【氏名】森 悠
(72)【発明者】
【氏名】辻 孝
(72)【発明者】
【氏名】岡本 尚一
【審査官】野村 英雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/108069(WO,A1)
【文献】特開2019-135947(JP,A)
【文献】小川美帆,"毛髪を“種”から再生する未来の再生医療",現代化学,日本,2019年04月01日,No. 577,pp. 26-29
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00- 3/10
C12Q 1/00- 3/00
C12N 1/00- 7/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口した凹部と、
前記凹部の底面から上方に向けて延びて設けられた複数の第1壁部と、
前記凹部の底面から上方に向けて延びて設けられ、前記複数の第1壁部と対向する複数の第2壁部と、
ポリマー、金属、化学繊維により長さが3~10mm、直径が0.02~1.20mmに形成され、前記凹部内において前記複数の第1壁部と前記複数の第2壁部との間に配された複数のガイド糸と、
複数の前記ガイド糸のそれぞれの先端部に配された複数の再生用毛包原基と、
それぞれ底部分が前記複数の第1壁部及び前記複数の第2壁部の上端よりも下方に位置する溝を上端に備え、前記複数の第1壁部と前記複数の第2壁部との間に設けられて前記溝において複数の前記ガイド糸を支持する複数の支持部と、を備えていることを特徴とする、容器。
【請求項2】
請求項1に記載の容器であって、
複数の前記支持部は、前記ガイド糸の長手方向に交わる第1方向に並んで配されている、容器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の容器であって、
前記凹部内に、前記ガイド糸の長手方向に交わる第1方向に並んで配された複数のサブ容器を備え、
複数の前記サブ容器のそれぞれに、1本の前記ガイド糸及び1本の前記ガイド糸の先端部に配された1つの前記再生用毛包原基が配されている、容器。
【請求項4】
請求項3に記載の容器であって、
複数の前記サブ容器は、それぞれ着脱可能に前記凹部内に配されている、容器。
【請求項5】
請求項3または4に記載の容器であって、
複数の前記サブ容器のそれぞれは、前記サブ容器を貫通する貫通孔を有しており、
前記貫通孔は、前記凹部の前記開口よりも下方に位置している、容器。
【請求項6】
請求項2に記載の容器であって、
前記支持部は、前記凹部内に前記第1方向に沿って配され、かつ前記凹部の底面から上方に延びている、壁部である、容器。
【請求項7】
請求項6に記載の容器であって、
前記壁部は、前記第1方向に延びるとともに、前記第1方向に交わる第2方向に延びている複数の溝部を有しており、
複数の前記ガイド糸は、複数の前記溝部のそれぞれに配されている、容器。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2019年9月30日に出願された日本国特許出願2019-180898号の優先権を主張するものであり、この先の出願の開示全体をここに参照のために取り込む。
【技術分野】
【0002】
本開示は、再生毛包原基を収納する容器に関する。
【背景技術】
【0003】
男性型脱毛症(AGA)をはじめ、先天性脱毛、瘢痕(はんこん)、熱傷性脱毛、女性の休止期脱毛などの脱毛症の治療方法として、患者の正常な頭皮から摂取した少量の毛包器官から上皮性幹細胞と間葉性幹細胞とを分離し、これらの幹細胞からなる細胞集団を凝集させたものにガイド糸を挿入して再生毛包原基を製造し、この再生毛包原基を患者の脱毛症部位に移植するようにした治療方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
このような毛包再生治療によれば、毛包器官から分離した上皮性幹細胞と間葉性幹細胞とを培養することで少量の検体から大量の再生毛包原基を製造することができるので、侵襲性を高めることなく、患者の頭皮の毛髪(毛包)の総数を増加させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2012/108069号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の実施形態に係る容器は、上方に開口した凹部と、前記凹部の底面から上方に向けて延びて設けられた複数の第1壁部と、前記凹部の底面から上方に向けて延びて設けられ、前記複数の第1壁部と対向する複数の第2壁部と、ポリマー、金属、化学繊維により長さが3~10mm、直径が0.02~1.20mmに形成され、前記凹部内において前記複数の第1壁部と前記複数の第2壁部との間に配された複数のガイド糸と、複数の前記ガイド糸のそれぞれの先端部に配された複数の再生用毛包原基と、それぞれ底部分が前記複数の第1壁部及び前記複数の第2壁部の上端よりも下方に位置する溝を上端に備え、前記複数の第1壁部と前記複数の第2壁部との間に設けられて前記溝において複数の前記ガイド糸を支持する複数の支持部と、を備えていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の第1の実施形態に係る容器の、容器本体部から蓋部を取り外した状態の斜視図である。
図2図1に示す容器の、容器本体部に蓋部を取り付けた状態の断面図である。
図3図1に示す容器本体部の、凹部の内部構造を示す斜視図である。
図4図1に示す容器本体部の、凹部の内部構造を示す平面図である。
図5】本開示の第2の実施形態に係る容器の断面図である。
図6図5に示す容器本体部の斜視図である。
図7図5に示す容器本体部の平面図である。
図8】本開示の第3の実施形態に係る容器の、容器本体部から蓋部を取り外した状態の斜視図である。
図9】本開示の第4の実施形態に係る容器の、容器本体部から蓋部を取り外した状態の斜視図である。
図10】本開示の第5の実施形態に係る容器の、容器本体部から蓋部を取り外した状態の斜視図である。
図11図10に示すサブ容器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
上記の毛包再生治療においては、製造した再生毛包原基を、患者の脱毛症部位に移植する治療現場にまで輸送するために、複数の再生毛包原基を収納して、輸送することが可能な容器の開発が求められている。
【0009】
本開示の目的は、複数の再生毛包原基を収納し、輸送可能な容器を提供することにある。
【0010】
本開示の実施形態によれば、複数の再生毛包原基を収納し、それを観察し、品質を維持しつつ輸送することが可能な容器を提供することができる。
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本開示に係る容器を例示説明する。
【0012】
図1に示す本開示の第1の実施形態に係る容器1は、容器本体部10と蓋部30とを有している。
【0013】
容器本体部10及び蓋部30は、例えば、それぞれ透明なポリスチレン、テフロン(登録商標)、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、環状ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルメタクリレート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリメチルペンテン、シリコン樹脂、アクリル、PFAなどの合成樹脂材料又は透明なガラス等の透明な材料で形成されたものとすることができるが、その材料は種々変更可能である。容器本体部10と蓋部30は、互いに同一の材料で形成されていてもよく、互いに異なる材料で形成されていてもよい。
【0014】
容器本体部10は、上方に開口した凹部11を有している。本実施の形態では、容器本体部10は、互いに隔離されて並べて配置された複数(10個)の凹部11を有している。それぞれの凹部11は、再生毛包原基2を収容することができる。
【0015】
複数の凹部11の内部には、それぞれ再生毛包原基2が配されている。再生毛包原基2は、ガイド糸3の先端に配されてガイド糸3と一体化されており、ガイド糸3とともに凹部11の内部に収納されている。なお、本実施形態では、ガイド糸3は、再生毛包原基2を貫通している。
【0016】
図2に示すように、容器1に収納される再生毛包原基2は、複数の上皮性細胞2aを含む細胞集団と、複数の間葉性細胞2bを含む細胞集団とで構成されたものとすることができる。この場合、複数の上皮性細胞2aを含む細胞集団よりもガイド糸3の先端側(図2中で左側)に複数の間葉性細胞2bを含む細胞集団が配置されているのが好ましい。
【0017】
「上皮性細胞」とは、上皮組織から採取した細胞及び採取した細胞を培養して得られる細胞を意味し、例えば毛包由来バルジ領域の外毛根鞘の最外層から採取した細胞(バルジ領域由来の上皮性細胞)、成体又は胎児皮膚の表皮から採取した細胞、多能性幹細胞から誘導した上皮性細胞、毛包、皮膚を構成する上皮性幹細胞に分化する可能性がある上皮性前駆細胞やそれらの幹細胞などを挙げることができる。
【0018】
「間葉性細胞」とは、間葉組織から採取した細胞及び採取した細胞を培養して得られる細胞を意味し、例えば、毛乳頭由来の細胞(例えば、毛乳頭細胞)、毛母細胞、毛根鞘細胞、内毛根鞘細胞、外毛根鞘細胞(最外層の細胞を除く)、成体又は胎児皮膚間葉性細胞、多能性幹細胞から誘導した毛包間葉性細胞、血液細胞を含まない骨髄細胞、骨髄由来の間葉性細胞、顎骨内部の骨髄細胞、頭部神経堤細胞に由来する間葉性細胞またはこれらの細胞に分化する可能性がある間葉性前駆細胞や幹細胞等を挙げることができる。
【0019】
「多能性幹細胞」とは、生体の様々な組織に分化する能力を有する細胞を意味し、例えば、ES細胞(Embryonic stem cells)、ntES細胞 (nuclear transfer Embryonic stem cells)、EG細胞(Embryonic germ cells)、GS細胞(Germline stem cells)、iPS細胞(induced Pluripotent Stem cells)が挙げられる。
【0020】
なお、再生毛包原基2は、上記以外の他の構成のものであってもよい。また、再生毛包原基2は例えば、特許文献1に記載されている方法で作製することができる。
【0021】
ガイド糸3は、例えばナイロン等のポリマー、ステンレス等の金属、炭素繊維、ガラス繊維等の化学繊維などにより糸状(繊維状)に形成されたものである。本実施の形態では、ガイド糸3はナイロン製である。また、ガイド糸3の長さは3~10mmとすることができ、ガイド糸3の直径は0.02~1.20mmとすることができる。本実施の形態では、ガイド糸3の長さは5mm、ガイド糸3の直径は0.5mmである。
【0022】
図2に示すように、それぞれの凹部11の内部には培養液4が充填されており、複数の再生毛包原基2は培養液4に浸されている。培養液4は、再生毛包原基2を培養するために調製された液体である。培養液4としては、動物細胞の培養に用いられる基礎培地でよく、例えばダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)やAdvanced DMEM/F12培地などを挙げることができる。また、上皮性細胞又は間葉性細胞を効率的に増殖させるために血清やFGF(Fibroblast growth factor)、EGF(Epidermal growth factor)等の細胞増殖因子を添加することができる。また、細胞の機能を維持するための添加剤としてY27632、Noggin又はSAGなどを添加してもよく、PenicillinやStreptomycin等の抗生物質を必要に応じて添加してもよい。上皮性細胞又は間葉性細胞の性質によって基礎培地、血清、細胞増殖因子、添加剤を適宜変更する。
【0023】
容器1は、それぞれの凹部11の内部に、再生毛包原基2を所定位置に保持するための保持構造5を有している。それぞれの凹部11に設けられる保持構造5の構成は互いに同一である。以下に、凹部11の形状及び凹部11の内部に設けられた保持構造5の構成について説明する。
【0024】
図2図4に示すように、凹部11は、例えば外形が矩形の底面11aと、底面11aの縁部に垂直に連なる4つの内壁面11b、11c、11d、11eで区画されている。凹部11の開口は、内壁面11bと内壁面11eとの間隔が内壁面11cと内壁面11dとの間隔よりも大きい長方形状となっており、例えば開口の縁11fは底面11aと平行な平面となっている。なお、凹部11は、再生毛包原基2を収容することができれば、上記構成に限られない。
【0025】
なお、底面11aの面積は、10~200mmであり、内壁面11b、11c、11d、11eの高さは、3~10mmに設定されていればよい。また、凹部11の体積は、例えば30~2000mmに設定されていればよい。
【0026】
本明細書及び特許請求の範囲においては、容器本体部10の底面11aに垂直で、底面11aから凹部11の開口に向けた方向を上方向とし、その反対を下方向とする。
【0027】
再生毛包原基2及びガイド糸3は、例えば、ガイド糸3の長手方向が底面11aに平行であるとともに内壁面11b、11eに垂直であり、且つ、ガイド糸3の再生毛包原基2が配される先端部3aが内壁面11bの側を向く姿勢で、凹部11の内部に収納されている。また、複数の凹部11及び複数の保持構造5は、ガイド糸3の長手方向に直交するとともに底面11aに平行な第1方向に並べて配置されている。
【0028】
保持構造5は、第1壁部12と第2壁部13とを有している。第1壁部12と第2壁部13は、それぞれ底面11aから上方に向けて延びる壁部として構成されており、凹部11の内部に再生毛包原基2とともに収納されたガイド糸3の長手方向に交わるように互いに対向して配置されている。第1壁部12の第2壁部13の側を向く面はストッパ面12aとなっており、第2壁部13の第1壁部12の側を向く面はストッパ面13aとなっている。
【0029】
第1壁部12及び第2壁部13は、第1壁部12と第2壁部13との間(ストッパ面12aとストッパ面13aの間)にガイド糸3を配置することができるように離れて配置されている。本実施の形態では、第1壁部12と第2壁部13との間の距離(間隔)はガイド糸3の長さと再生毛包原基2の長さを足した長さ(ガイド糸3が再生毛包原基2を貫通している場合は、ガイド糸3の長さ)よりも大きくなっており、第1壁部12と第2壁部13との間に、真っ直ぐに延びたガイド糸3を、その長手方向の一端を第1壁部12に対向させるとともに他端を第2壁部13に対向させた姿勢で配置することができるようになっている。
【0030】
第1壁部12及び第2壁部13は、凹部11の内部において、ガイド糸3の先端部3aに配された再生毛包原基2の凹部11の内部での移動を低減することができる。
【0031】
また、第1壁部12と第2壁部13との間の距離はガイド糸3の長さよりも大きくしてもよい。なお、第1壁部12と第2壁部13との間の距離(間隔)は3.2~11.0mmとすることができる。本実施の形態では、その距離(間隔)は7mmである。
【0032】
ストッパ面12aは、上方から下方に向けて徐々に第2壁部13に近づくように内側に傾斜してもよい。同様に、ストッパ面13aは、上方から下方に向けて徐々に第1壁部12に近づくように内側に傾斜してもよい。これにより、第1壁部12及び第2壁部13は、それぞれ上方に向けて薄くなっている。このような構成により、凹部11の内部に再生毛包原基2を収納する際に、ガイド糸3の長手方向の何れか一方の端部がストッパ面12a、13aに接したとしても、当該端部がストッパ面12a、13aにより案内されてストッパ面12a、13aに沿って移動するようにして、再生毛包原基2及びガイド糸3の凹部11の内部への配置を容易にすることができる。
【0033】
なお、ストッパ面12aあるいはストッパ面13aの傾斜角θ1あるいはθ2は2~50°とすることができる。本実施の形態では、その傾斜角θ1あるいはθ2は30°である。また、第1壁部12及び第2壁部13の高さは、例えば2~10mmに設定されていればよい。
【0034】
また、第1壁部12と第2壁部13との間の上端の距離は、ガイド糸3より大きく、第1壁部12と第2壁部13との間の下端の距離は、ガイド糸3より小さくしてもよい。この場合、例えば、第1壁部12と第2壁部13との間の上端の距離は、6~16mmに設定される。また、第1壁部12と第2壁部13との間の下端の距離は、5~15mmに設定される。
【0035】
第1壁部12と第2壁部13との間には、複数の支持部14、15が設けられている。本実施の形態では、第1壁部12と第2壁部13との間に、2つの支持部14、15が設けられている。支持部14、15は、それぞれ凹部11の底面11aから上方に延びるとともに凹部11に収納されたガイド糸3の長手方向に直交する第1方向に沿って配された壁部として構成されている。支持部14、15は、互いにガイド糸3の長手方向に間隔を空けて離れて配置されるとともに、凹部11の内壁面11b、11c、11d,11eから離れて配置されている。また、支持部14、15の上端は、凹部11の開口の縁11fよりも下方に位置している。なお、第1壁部12と第2壁部13との間に、3つ以上の支持部を設けた構成としてもよい。
【0036】
支持部14及び支持部15は、支持部14と支持部15との距離、支持部15と第1壁部12との距離及び支持部14と第2壁部13との距離が、均一になるように配置されてもよい。または、ガイド糸3を中央でつかみ易くなるように配置されてもよい。なお、支持部14の中央と支持部15の中央との互いにガイド糸3の長手方向の間隔は1~5mmとすることができる。本実施の形態では、その間隔は2mmである。
【0037】
支持部14の上端にはガイド糸3が配される溝14aが設けられている。溝14aは断面がV字形状となっており、その底部分は、第1壁部12及び第2壁部13の一方側から他方側に向かうようにガイド糸3の長手方向(第1方向に直交する第2方向)に沿うとともに底面11aと平行に延びている。支持部14は、溝14aにおいて、ガイド糸3の先端部3aとは反対側の基端側の部分を支持することができる。溝14aの断面がV字形状となっていることにより、ガイド糸3を溝14aに挿入しやすく、溝14aの底部で固定しやすいという効果がある。なお、本発明において溝14aは、V字形状に限られない。
【0038】
同様に、支持部15の上端にはガイド糸3が配される溝15aが設けられている。溝15aは断面がV字形状となっており、その底部分は、支持部14の溝14aの底部分と同軸に延びている。支持部15は、溝15aにおいてガイド糸3の先端部3aを支持することができる。溝15aの断面がV字形状となっていることにより、ガイド糸3を溝15aに挿入しやすく、溝15aの底部で固定しやすいという効果がある。なお、本発明において溝15aは、V字形状に限られない。
【0039】
ガイド糸3を支持する溝14a、15aの底部分は、それぞれ第1壁部12及び第2壁部13の上端よりも下方に位置している。これにより、溝14a、15aに配されたガイド糸3を、その長手方向の移動が第1壁部12及び第2壁部13により規制されるように、第1壁部12及び第2壁部13の間に配置することができる。
【0040】
また、ガイド糸3を支持する溝14a、15aの底部分は、凹部11の底面11aから開口の縁11fまでの高さの半分の高さよりも下方に位置している。これにより、凹部11に収納した再生毛包原基2が、凹部11に収納された培養液4に効果的に浸されるようにすることができる。
【0041】
さらに、支持部14、15の底面11aからの高さは、凹部11の開口の縁11fと支持部14、15の上端との距離よりも大きくなっている。なお、支持部14、15の高さは、例えば、1.5~10mmに設定されていればよい。
【0042】
このように、本実施の形態の容器1では、複数の凹部11のそれぞれに支持部14、15を設け、複数のガイド糸3を支持部14、15で支持する構成としたので、それぞれのガイド糸3の先端部に配された複数の再生毛包原基2を、底面11aに対して上方に離れた位置に保持することができる。
【0043】
また、支持部14、15にガイド糸3が配される溝14a、15aを設けたことにより、支持部14、15に支持されたガイド糸3の横方向(第1方向)への移動を規制して、ガイド糸3の先端部3aに配された再生毛包原基2の凹部11の内部での横方向への移動を低減することができる。
【0044】
さらに、ガイド糸3の長手方向に離れる2つの支持部14、15を設けるようにしたので、2つの支持部14、15の間においてガイド糸3の中間部を底面11aから浮いた状態に保持することができる。これにより、容器1を開封して凹部11の内部から再生毛包原基2を取り出す際に、支持部14と支持部15との間において、ピンセット等の道具によりガイド糸3の中間部を容易に摘むようにすることができる。したがって、容器1から再生毛包原基2を取り出す作業を容易に行うことが可能となる。
【0045】
支持部14、15の溝14a、15aの底部分よりも上方側の部分は、それぞれ上方に向かって薄くなる形状となっている。より具体的には、支持部14の溝14aの底部分よりも上方側の部分は、支持部15の側を向く面及び第2壁部13の側を向く面の両方が下方から上方に向けて互いに接近するように傾斜することで上方に向かって薄くなっている。一方、支持部15の溝15aの底部分よりも上方側の部分は、支持部14の側を向く面のみが傾斜することで上方に向かって薄くなっている。
【0046】
なお、支持部14、15の溝14a、15aの底部分よりも上方側の部分の傾斜角θ3,θ4は30~88°とすることができる。本実施の形態では、それらの傾斜角θ3,θ4は45°である。
【0047】
このように、支持部14、15の溝14a、15aの底部分よりも上方側の部分を、それぞれ上方に向かって薄くなる形状としたので、容器1を開封して凹部11の内部から再生毛包原基2を取り出す際に、支持部14と支持部15との間にピンセット等の道具を挿入し易くして、支持部14と支持部15との間においてガイド糸3を摘む作業をさらに容易にすることができる。したがって、ピンセット等の道具によりガイド糸3を摘んで再生毛包原基2を容器1から取り出す作業をさらに容易に行うことが可能となる。
【0048】
容器1に収納されている再生毛包原基2は、支持部14と第2壁部13との間においてピンセット等の道具によりガイド糸3の先端部3aとは反対側の基端部を摘んで凹部11から取り出すこともできる。この場合においても、支持部14の第2壁部13の側を向く面と第2壁部13のストッパ面13aとを傾斜させた構成としているので、支持部14と支持部15との間にピンセット等の道具を容易に挿入することが可能となる。したがって、ピンセット等の道具によりガイド糸3の基端部を摘んで再生毛包原基2を容器1から取り出す作業も容易に行うことができる。また、後述するように、蓋部30は、押え凸部32および押え凸部33を有している場合、押え凸部32、33が対向する受け台部16と受け台部17に挿入しやすくできる。
【0049】
支持部14、15のガイド糸3の長手方向の長さは、ガイド糸3の支持部14、15により支持される支持領域が、ガイド糸3の支持部14、15に支持されない非支持領域よりも小さくなるように設定されている。これにより、容器1に収納されているガイド糸3のピンセット等の道具により摘むことが可能な領域を大きくして、凹部11の内部から再生毛包原基2を取り出す際に、ピンセット等の道具によりガイド糸3を摘む作業をより容易に行い得るようにすることができる。
【0050】
支持部14と支持部15との間には、これらの支持部14、15に隣接して受け台部16が設けられている。また、支持部14と第2壁部13との間には、これらに隣接して受け台部17が設けられている。受け台部16、17は、それぞれ凹部11の底面11aから上方に向けて突出するとともに第1方向に沿って延びる凸部として構成されている。受け台部16、17の高さは、支持部14、15のガイド糸3を支持する溝14a、15aの底部分よりも低くなっており、溝14a、15aに配されたガイド糸3と受け台部16、17の上面との間には所定の隙間が設けられるようになっている。
【0051】
支持部14と支持部15との間に受け台部16を設けたことにより、容器1を開封して凹部11の内部から再生毛包原基2を取り出すために、支持部14と支持部15との間にピンセット等の道具を挿入してガイド糸3の中間部を摘む際に、当該道具の先端を受け台部16に当接させてガイド糸3を摘み易い位置に保持することができる。同様に、支持部14と第2壁部13との間に受け台部17を設けたことにより、支持部14と第2壁部13との間にピンセット等の道具を挿入し、当該道具でガイド糸3の基端部を摘んで凹部11から取り出す際においても、当該道具の先端を受け台部17に当接させてガイド糸3を摘み易い位置に保持することができる。したがって、ピンセット等の道具によりガイド糸3を摘んで再生毛包原基2を容器1から取り出す作業をさらに容易に行うことが可能となる。
【0052】
受け台部16の第1方向の長さ(幅)は、受け台部17の当該長さ(幅)よりも長くなっている。より具体的には、受け台部17の第1方向の長さは支持部14、15及び第2壁部13の第1方向の長さと同一であるのに対して、受け台部16の第1方向の長さは、支持部14、15及び第2壁部13の第1方向の長さよりも長くなっている。これにより、支持部14と支持部15との間にピンセット等の道具を挿入してガイド糸3を摘む際に、当該道具の先端を、その作業の最中に受け台部16に当接させることができる。よって、ピンセット等の道具によりガイド糸3を摘んで再生毛包原基2を容器1から取り出す作業をさらに容易に行うことが可能となる。
【0053】
保持構造5は、それぞれ支持部15の側部に一体に連なるとともに内壁面11c、11dから凹部11の内方に向けて突出する一対の側壁18、19を有している。一対の側壁18、19は、凹部11の底面11aから上方に延びるとともに凹部11に収納されたガイド糸3の長手方向に平行な壁部として構成されている。なお、一対の側壁18、19は、凹部11の内壁面11c、11dであってもよい。
【0054】
凹部11の内部には再生毛包原基2が格納される格納部20が設けられてもよい。格納部20は、第1壁部12、支持部15及び一対の側壁18、19に取り囲まれた領域として凹部11の内部に区画形成されている。
【0055】
図2に示すように、第1壁部12、支持部15及び一対の側壁18、19の上端は、それぞれ凹部11の開口の縁11fよりも下方に位置しており、培養液4は、その液面が、第1壁部12、支持部15及び一対の側壁18、19の上端よりも上方に位置するように、凹部11の内部に所定量(例えば300μL)だけ収納されている。凹部11に収納された培養液4は、凹部11の内部の、第1壁部12、支持部15及び一対の側壁18、19の内側の格納部20に配されるとともに、凹部11の内部の当該格納部20を除いた他の領域にも配されている。
【0056】
また、凹部11の内部において、格納部20とそれ以外の他の領域は、第1壁部12、支持部15及び一対の側壁18、19の上端よりも上方側において、培養液4が流出入可能なように連続している。したがって、格納部20は、所定の量の培養液4が収納された状態となるので、再生毛包原基2は培養液4に浸された状態に維持される。
【0057】
ガイド糸3は支持部15に設けた溝15aにより支持されるので、ガイド糸3の先端部3aに配された再生毛包原基2は格納部20の内部に保持されて、側壁18、19等に接触することが低減して、再生毛包原基2の破損を低減することができる。
【0058】
また、格納部20の底面20aから支持部15の溝15aの底部分までの距離は、格納部20に配される再生毛包原基2のガイド糸3の長手方向に垂直な方向に沿った直径の半分(ガイド糸3の長手方向に垂直な方向へ向けた最大幅の半分)よりも大きくなっている。なお、この高さは、例えば、0.5~2mmに設定されていればよい。これにより、格納部20に配される再生毛包原基2が格納部20の底面20aに接触することを低減することができる。
【0059】
上記構成によれば、再生毛包原基2を容器1の格納部20に保持した状態で収納しつつ、格納部20に配された再生毛包原基2に培養液4の栄養が行き亘るようにすることができるので、再生毛包原基2の品質低下を低減することができる。
【0060】
図1に示すように、蓋部30は、容器本体部10の外形に対応した細長い矩形板状の蓋本体31を備えている。
【0061】
図2に示すように、蓋部30が容器本体部10に固定されると、蓋本体31が複数の凹部11の全ての開口を覆い、容器本体部10は閉塞される。あるいは、蓋本体31は、それぞれの凹部11の開口の縁11fの全周に、溶着、接着等の手段により液密に固定されることで、それぞれの凹部11の開口を密封してもよい。
【0062】
蓋部30は、蓋本体31に配された少なくとも一つの押え凸部を、さらに備えていてもよい。具体的には、蓋本体31には、蓋本体31の下面から下方に延びる少なくとも一つの押え凸部が設けられてもよい。本実施の形態では、蓋本体31の下面に一対の押え凸部32、33が設けられている。押え凸部32、33は、ガイド糸3の長手方向に間隔を空けて互いに平行に配置されている。蓋部30が容器本体部10に固定されると、押え凸部32は支持部14と支持部15との間の領域に位置し、押え凸部33は支持部14と第2壁部13との間の領域に位置するようになっている。なお、蓋本体31は、一つの押え凸部のみが設けられた構成としてもよい。また、蓋本体31は、3つ以上の押え凸部が設けられた構成としてもよい。
【0063】
押え凸部32のガイド糸3の長手方向に沿った長さは受け台部16のガイド糸3の長手方向に沿った長さよりも小さくなってもよく、これにより、押え凸部32を支持部14と支持部15との間の領域に配置することができる。同様に、押え凸部33のガイド糸3の長手方向に沿った長さは受け台部17のガイド糸3の長手方向に沿った長さよりも小さくなってもよく、これにより押え凸部33を支持部14と第2壁部13との間の領域に配置することができる。
【0064】
また、押え凸部32のガイド糸3の長手方向に沿った長さは支持部14と支持部15との間のガイド糸3の長手方向に沿った長さよりも小さくなってもよく、これにより、支持部14と支持部15の間に押え凸部32を挿入しやすくすることができる。同様に、押え凸部33のガイド糸3の長手方向に沿った長さは支持部14、15のガイド糸3の長手方向に沿った長さよりも小さくなってもよく、これにより、支持部14と第2壁部13の間に押え凸部33を挿入しやすくすることができる。
【0065】
押え凸部32、33の下端は、それぞれ第1壁部12及び第2壁部13の上端よりも下方に位置する構成とすることができる。これにより、再生毛包原基2を凹部11の内部の格納部20に収納している状態において、ガイド糸3を、第1壁部12と第2壁部13との間に位置するように上下方向に位置決めすることができる。
【0066】
押え凸部32、33の下端は、それぞれ支持部14、15のガイド糸3を支持する溝14a、15aの底部分よりも上方に位置する構成とすることができる。これにより、支持部14、15の溝14a、15aに配置されたガイド糸3の、その上方側への移動を押え凸部32、33により規制して、ガイド糸3を上下方向に位置決めすることができる。
【0067】
格納部20は、凹部11の外側から視認可能となっている。本実施の形態では、容器本体部10及び蓋部30は、それぞれ全体が、透明な材質で構成されており、凹部11の外側の任意の方向から格納部20を視認可能となっている。これにより、凹部11に収納されている再生毛包原基2を、容器1の平面22aを通して外部から観察し、その状態を確認することができる。これにより、容器1に収納された再生毛包原基2の状態を適宜確認し、管理することが可能となる。
【0068】
図1図3に示すように、格納部20に収納された再生毛包原基2をより効果的に観察することができるようにするために、容器本体部10には窪み部21が設けられている。図2に示すように、窪み部21は、容器本体部10の格納部20に対応する位置に設けられており、凹部11の外側に開口するように凹部11の外側底面11gから上方に向けて凹んでいる。容器本体部10の格納部20に対応する位置に窪み部21が設けられることにより、格納部20の底面20aは凹部11の底面11aよりも上方に位置し、その分、格納部20は上下方向に狭くなっている。窪み部21が設けられた部分における容器本体部10の底壁は平らな窓壁22となっており、窓壁22の外側を向く平面22aは凹部11の外側底面11gよりも上方に位置している。これにより、平面22aから格納部20の底面20aまでの上下方向の距離は、凹部11の外側底面11gから格納部20の底面20aまでの上下方向の距離よりも小さくなっている。
【0069】
上記の通り、容器本体部10の格納部20に対応する位置に窪み部21を設けたことにより、容器本体部10の平面22aと凹部11の格納部20の底面20aまでの距離を、窪み部21を設けない場合よりも小さくすることができる。したがって、格納部20に収納された再生毛包原基2を、平面22aの側から窓壁22を通して、より近接した位置から観察することができる。当該観察は、例えば顕微鏡等を用いて行うことができる。
【0070】
本実施の形態では、容器本体部10及び蓋部30を、それぞれ全体が透明なものとしたが、少なくとも容器本体部10の窓壁22が透明であれば、その他の部分は不透明であっても透明であってもよい。
【0071】
図5は本開示の第2の実施形態に係る容器100の断面図であり、図6図5に示す容器本体部10の斜視図であり、図7図5に示す容器本体部10の平面図である。なお、図5図7においては、前述した部材に対応する部材には同一の符号を付し、再度の説明は省略する。
【0072】
図5図7に示す本開示の第2の実施形態に係る容器100は、容器本体部10を閉塞する部材として、蓋本体31に一対の押え凸部32、33を備えた構成の蓋部30に替えて、合成樹脂材料、アルミニウム合金等により薄く柔軟なシート状に形成された蓋40を用いるようにしたものである。蓋40は、それぞれの凹部11の開口の縁11fの全周に、溶着、接着等の手段により液密に固定されることで、それぞれの凹部11の開口を全て覆って密封している。
【0073】
容器100において、容器本体部10に設けられる第1壁部12及び第2壁部13の上端は凹部11の開口の縁11fと同一の高さに位置しており、蓋40は第1壁部12及び第2壁部13の上端に接触している。
【0074】
また、容器本体部10に設けられる一対の支持部14、15の上端も凹部11の開口の縁11fと同一の高さに位置しており、蓋40は一対の支持部14、15の上端にも接触している。蓋40を一対の支持部14、15の上端に接触させた構成とすることにより、溝14a、15aの開口を蓋40により閉塞することができる。したがって、蓋40に押え凸部32、33に相当する部分を設けることなく、ガイド糸3を溝14a、15aの内部に保持することができる。
【0075】
容器100では、蓋40に押え凸部32、33に相当する部材が設けられていないので、ガイド糸3が一対の支持部14、15の溝14a、15aに沿って当該溝14a、15aの上端側にまで移動する可能性がある。しかし、培養液4が凹部11の内部の全体に満たされており、その液面は凹部11の開口の縁11fと同じ高さに位置している。したがって、ガイド糸3が溝14a、15aの上端側にまで移動しても、再生毛包原基2は培養液4に浸された状態に維持される。
【0076】
また、第1壁部12及び第2壁部13の上端は凹部11の開口の縁11fと同一の高さに位置しているので、ガイド糸3が溝14a、15aの上端側にまで移動しても、第1壁部12及び第2壁部13により、ガイド糸3を長手方向に位置決めすることができる。
【0077】
さらに、支持部14、15の溝14a、15aは、支持部14、15の上端から下方に向けた深さが、それぞれ再生毛包原基2のガイド糸3の長手方向に垂直な方向に沿った直径(ガイド糸3の長手方向に垂直な方向へ向けた最大幅の半分)よりも深くなるように構成することができる。これにより、ガイド糸3が溝14a、15aに支持された状態において、再生毛包原基2が蓋40に接触することを低減することができる。
【0078】
容器100において、第1壁部12及び第2壁部13の上端及び一対の支持部14、15の上端は、それぞれ蓋40に溶着、接着等の手段により固定された構成とすることもできる。
【0079】
図8は本開示の第3の実施形態に係る容器200の、容器本体部10から蓋部30を取り外した状態の斜視図である。なお、図8においては、前述した部材に対応する部材には同一の符号を付し、再度の説明は省略する。
【0080】
図1に示す容器1は、容器本体部10に、第1方向に並べて複数(10個)の凹部11を設けた構成となっているが、図8に示す本開示の第3の実施形態に係る容器200のように、容器本体部10に、第1方向に並べて複数(10個)の凹部11を設けるとともに、複数の凹部11からなる凹部11の列を第2方向に並べて複数列(5列)設けた構成とすることもできる。すなわち、第3の実施形態に係る容器200では、容器本体部10は、複数(50個)の凹部11及び保持構造5が碁盤目状に配置された構成となっている。
【0081】
また、第3の実施形態に係る容器200では、蓋部30として、容器本体部10の外形に合わせたより大型のものが用いられ、蓋部30により全ての凹部11が閉塞される。
【0082】
このような構成の第3の実施形態に係る容器200によれば、それぞれの凹部11にガイド糸3とともに再生毛包原基2を収納することができるので、より多くの毛包再生原基2を収納し、その品質低下を低減しつつ輸送することができる。
【0083】
なお、図8においては、便宜上、1つの凹部11、保持構造5、再生毛包原基2、ガイド糸3及び培養液4にのみ符号を付してある。
【0084】
図9は本開示の第4の実施形態に係る容器300の、容器本体部10から蓋部30を取り外した状態の斜視図である。なお、図9においては、前述した部材に対応する部材には同一の符号を付し、再度の説明は省略する。
【0085】
図1に示す容器1では、容器本体部10に第1方向に並べて複数(10個)の凹部11を設け、それぞれの凹部11に保持構造5を設けるとともに再生毛包原基2及びガイド糸3を配するようにしているが、図9に示す本開示の第4の実施形態に係る容器300のように、容器本体部10に1つの凹部11のみを設け、当該凹部11の内部に、第1方向に並べて複数の保持構造5を設けるとともに、それぞれの保持構造5に保持させて複数の再生毛包原基2及びガイド糸3を配するようにしてもよい。すなわち、第4の実施形態に係る容器300は、第1の実施形態に係る容器1から、隣り合う凹部11を隔離していた隔壁を取り除いた構成である。
【0086】
このような構成の第4の実施形態に係る容器300では、1つの凹部11に充填されている培養液4に、それぞれの保持構造5に保持されている全ての再生毛包原基2及びガイド糸3が浸されている。したがって、凹部11に培養液4を充填する作業を容易にすることができるとともに、再生毛包原基2を患者の脱毛症部位に移植する前に、凹部11から培養液4を排出し、再生毛包原基2を洗浄するための液体を凹部11に充填する作業を容易に行い得るようにすることができる。
【0087】
なお、図9においては、便宜上、1つの凹部11、保持構造5、再生毛包原基2、ガイド糸3及び培養液4にのみ符号を付してある。
【0088】
図10は本開示の第5の実施形態に係る容器400の、容器本体部10から蓋部30を取り外した状態の斜視図であり、図11図10に示すサブ容器10Bの斜視図である。なお、図10図11においては、前述した部材に対応する部材には同一の符号を付し、再度の説明は省略する。
【0089】
図10に示す本開示の第5の実施形態に係る容器400では、容器本体部10がメイン容器10Aと複数のサブ容器10Bとを有する構成となっている。複数のサブ容器10Bは、それぞれメイン容器10Aに対して着脱可能となっている。
【0090】
図10に示すように、メイン容器10Aは、凹部11を構成する1つのメイン凹部11Aを有しており、メイン凹部11Aの内部に、複数(10個)のサブ容器10Bが第1方向に並べて配されている。それぞれのサブ容器10Bは、メイン凹部11Aの内周壁に対して間隔を空けて配置されるとともに、隣り合うサブ容器10Bの間には僅かに間隔が空けられている。
【0091】
図11に示すように、それぞれのサブ容器10Bの内部は、メイン凹部11Aとともに凹部11を構成するサブ凹部11Bとなっている。それぞれのサブ容器10Bのサブ凹部11Bの内部には、第1の実施形態の容器1におけるのと同様の保持構造5が設けられており、これらの保持構造5に保持されて、それぞれのサブ容器10Bのサブ凹部11Bの内部には、1本のガイド糸3及び当該ガイド糸3の先端部に配された1つの再生毛包原基2が配されている。容器400においては、サブ凹部11Bが、第1の実施形態の容器1における凹部11に相当する。なお、メイン凹部11Aの開口と、サブ凹部11Bの開口は、同一の高さとなっている。
【0092】
それぞれのサブ容器10Bには、当該サブ容器10Bを貫通する貫通孔50が設けられている。本実施の形態では、それぞれのサブ容器10Bには、内壁面11c、11dの部分において周壁部分を貫通する2つの貫通孔50が設けられている。これらの貫通孔50は、メイン凹部11A及びサブ凹部11Bの開口よりも下方に位置しており、メイン凹部11Aの内部及びサブ凹部11Bの内部に開口している。したがって、貫通孔50により、メイン凹部11Aとサブ凹部11Bとが連通されている。
【0093】
培養液4は、メイン凹部11Aと、それぞれのサブ容器10Bのサブ凹部11Bとに充填されている。上記の通り、貫通孔50によりメイン凹部11Aとサブ凹部11Bとが連通されているので、それぞれのサブ容器10Bのサブ凹部11Bは、メイン凹部11Aを介して互いに連通している。
【0094】
このような構成を有する第5の実施形態に係る容器400によれば、それぞれのサブ容器10Bのサブ凹部11Bに培養液4を充填する作業を容易にすることができるとともに、再生毛包原基2を患者の脱毛症部位に移植する前に、それぞれのサブ容器10Bのサブ凹部11Bから培養液4を排出し、再生毛包原基2を洗浄するための液体をそれぞれのサブ容器10Bのサブ凹部11Bに充填する作業を容易に行い得るようにすることができる。
【0095】
また、第5の実施形態に係る容器400では、複数のサブ容器10Bは、それぞれメイン容器10Aのメイン凹部11Aに着脱可能に配されているので、再生毛包原基2を患者の脱毛症部位に移植する際に、メイン容器10Aからサブ容器10Bを一つずつ取り出して作業を行うことができる。これにより、再生毛包原基2の患者の脱毛症部位への移植作業を容易に行い得るようにすることができる。
【0096】
なお、図10においては、便宜上、1つのサブ容器10B及び当該サブ容器10Bのサブ凹部11B、保持構造5、再生毛包原基2、ガイド糸3、培養液4及び貫通孔50にのみ符号を付してある。
【0097】
本開示は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0098】
例えば、前記実施の形態の容器1、100、200、300、400において、保持構造5は、複数のガイド糸3を支持する複数の支持部14、15を備えていれば、その構成ないし形状は種々変更可能である。例えば、保持構造5は、第1壁部12、第2壁部13、受け台部16、17を備えない構成とすることができる。また、保持構造5は、それぞれの凹部11に支持部が1つのみ設けられた構成とすることもできる。
【0099】
また、前記実施の形態の容器1、100、200、300、400では、保持構造5を並べて配置する第1方向を、ガイド糸3の長手方向に直交する方向としたが、ガイド糸3の長手方向に交わる方向であれば、直交する方向に限られない。
【0100】
さらに、図1図5図8に示す容器1、容器100、200においても、隣り合う凹部11を隔離する隔壁に貫通孔を設け、隣り合う凹部11を貫通孔により連通させる構成としてもよい。
【0101】
さらに、図9図10に示す容器300、400においても、図8に示す容器200のように、碁盤目状に並ぶ複数の凹部11ないしサブ容器10B(サブ凹部11B)を設けた構成とすることもできる。
【0102】
さらに、図10に示す容器400においては、サブ容器10Bをメイン容器10Aと一体に構成するなど、サブ容器10Bをメイン容器10Aに対して着脱できない構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0103】
1 容器
2 再生毛包原基
3 ガイド糸
4 培養液
5 保持構造
10 容器本体部
10A メイン容器
10B サブ容器
11 凹部
11A メイン凹部
11B サブ凹部
11a 底面
11b 内壁面
11c 内壁面
11d 内壁面
11e 内壁面
11f 開口の縁
12 第1壁部
12a ストッパ面
13 第2壁部
13a ストッパ面
14 支持部
14a 溝
15 支持部
15a 溝
16 受け台部
17 受け台部
18 側壁
19 側壁
20 格納部
20a 底面
21 窪み部
22 窓部
22a 平面
30 蓋部
31 蓋本体
32 凸部
33 凸部
40 蓋
50 貫通孔
100 容器
200 容器
300 容器
400 容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11