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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-24
(45)【発行日】2023-11-01
(54)【発明の名称】水中油型毛髪化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/892 20060101AFI20231025BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20231025BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20231025BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20231025BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20231025BHJP
   A61K 8/89 20060101ALI20231025BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
A61K8/892
A61K8/06
A61K8/73
A61K8/37
A61K8/42
A61K8/89
A61Q5/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019223882
(22)【出願日】2019-12-11
(65)【公開番号】P2021091635
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】592262543
【氏名又は名称】日本メナード化粧品株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中間 満雄
【審査官】阪▲崎▼ 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-168091(JP,A)
【文献】特表2018-533641(JP,A)
【文献】特開2020-164478(JP,A)
【文献】特開2016-060716(JP,A)
【文献】特開2018-095583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(a)~(f)
(a)0.2~2.0重量%のタマリンドガム
(b)0.1~1.0重量%のヒドロキシエチルセルロース
(c)0.5~3.0重量%のステアリン酸ソルビタン
(d)1.0~3.0重量%のステアルトリモニウムクロリド
(e)10.0~30.0重量%の揮発性シリコーン
(f)0.2~2.0重量%のジメチコノール
を含有することを特徴とする水中油型毛髪化粧料。
【請求項2】
成分(e)揮発性シリコーンがシクロペンタシロキサンであることを特徴とする請求項1記載の水中油型毛髪化粧料。
【請求項3】
25℃における粘度が5,000~15,000mPa・sであることを特徴とする請求項1又は2記載の水中油型毛髪化粧料。
【請求項4】
洗い流さないことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項記載の水中油型毛髪化粧料。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪になめらかさ、うるおい、まとまりを与え、かつ乳化安定性の高い水中油型毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪は、乾燥、紫外線、パーマ、ブリーチ、ヘアカラー等によって損傷を受けることが知られており、これまでに、さまざまなヘアケア製品が開発されている。例えば、ヘアリンス、ヘアトリートメント、ヘアパック、ヘアマスク等の洗い流す製品や、ヘアオイル、ヘアミルク、ヘアクリーム、ヘアミスト等の洗い流さない製品がある。これらのヘアケア製品には、コンディショニング成分としてカチオン性界面活性剤、揮発性シリコーンが配合される場合が多い。
【0003】
一般的に、製剤に適度な粘性を付与するために、アクリル酸系水溶性高分子の一つであるカルボキシビニルポリマーや天然高分子の一つであるキサンタンガム等の増粘剤が用いられる。しかしながら、これらの高分子増粘剤はアニオン性であるため、カチオン性界面活性剤を含有するヘアケア製品に配合することができない。また、カチオン性界面活性剤と高級アルコールと水とでゲルを形成する(非特許文献1)ことによって製剤に粘性を付与する方法があるが、比較的多量の高級アルコールを配合する必要があるため、使用感が重くなる欠点がある。
【0004】
これまでに、ポリフェノール化合物とカチオン性ポリマーとアミノ変性シリコーンと炭素数2~3のアルキル鎖を有するアルコールを含有することを特徴とする洗い流さない毛髪化粧料(特許文献1)、カチオン性界面活性剤、炭素数14~22の高級アルコール、分岐脂肪酸の炭素数2~6のアルキルエステル、ダイマー酸のエステルを含有することを特徴とする毛髪化粧料(特許文献2)、プロピレンオキシドの付加モル数が1~10であるフィトステロール誘導体、ジカルボン酸ジエステル、ジメチコノール、ポリエーテル変性シリコーンを含有する毛髪化粧料(特許文献3)、高重合シリコーン、高重合アミノ変性シリコーン、高級アルコールを含有する毛髪処理剤(特許文献4)等の技術が提案されてきた。しかしながら、毛髪になめらかさ、うるおい、まとまりを与え、かつ乳化安定性の高い水中油型毛髪化粧料の提供が更に望まれている。
【0005】
揮発性シリコーンは、表面張力が低く、伸展性に優れるため、コンディショニング成分としてヘアケア商品に配合される。しかしながら、揮発性シリコーンは、その高い揮発性のために乳化しにくく、乳化後の製剤の安定性も低いという欠点を有する。
【0006】
これまでに、揮発性シリコーン、シリコーン系界面活性剤、メタクリル酸グルセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリル共重合体、多価アルコール及び/又は糖アルコールを含有する皮膚用乳化化粧料(特許文献5)、デンプン及びエーテル化デンプンから選ばれる1種又は2種以上、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸アルキル共重合体及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上、ポリアクリルアミド化合物、揮発性油剤及び不揮発性シリコーン油から選ばれる1種又は2種以上を含有する水中油型乳化組成物(特許文献6)等の技術が提案されてきた。しかしながら、毛髪になめらかさ、うるおい、まとまりを与え、かつ乳化安定性の高い水中油型毛髪化粧料の提供が更に望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2010-235470号公報
【文献】特開2011-98926号公報
【文献】特開2011-105630号公報
【文献】特許第5439090号公報
【文献】特開2009-149622号公報
【文献】特開2015-117209号公報
【非特許文献】
【0008】
【文献】野田 章等、粧技誌、第20巻第2号、103-110、1986
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、毛髪になめらかさ、うるおい、まとまりを与え、かつ乳化安定性の高い水中油型毛髪化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
即ち、本発明は、次の成分(a)~(f)
(a)0.2~2.0重量%のタマリンドガム
(b)0.1~1.0重量%のヒドロキシエチルセルロース
(c)0.5~3.0重量%のステアリン酸ソルビタン
(d)1.0~3.0重量%のステアルトリモニウムクロリド
(e)10.0~30.0重量%の揮発性シリコーン
(f)0.2~2.0重量%のジメチコノール
を含有することを特徴とする水中油型毛髪化粧料を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、成分(e)揮発性シリコーンがシクロペンタシロキサンであることを特徴とする水中油型毛髪化粧料を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、25℃における粘度が5,000~15,000mPa・sであることを特徴とする水中油型毛髪化粧料を提供するものである。
【0013】
また、本発明は、洗い流さないことを特徴とする水中油型毛髪化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の水中油型毛髪化粧料は、毛髪になめらかさ、うるおい、まとまりを与え、かつ乳化安定性の高い水中油型毛髪化粧料である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明における(a)タマリンドガムは、インドや東南アジアで生育する巨大常緑樹であるタマリンドの種子を分離精製して得られる多糖類であり、β-1,4-グルカンからなる主鎖にキシロースやガラクトースが側鎖として結合した構造を有している。市販品としては、例えばグリロイド6C(DSP五協フード&ケミカル株式会社)等を使用することができる。
【0016】
(a)タマリンドガムの含有量は、0.2~2.0重量%である。0.2重量%未満では、水中油型毛髪化粧料の乳化安定性が低下する。一方、2.0重量%を超えると、毛髪に塗布した際にべたつき感が強くなり、目的の使用感を出すことができない。
【0017】
本発明における(b)ヒドロキシエチルセルロースは、セルロースに酸化エチレンを付加することにより水溶性にしたノニオン性多糖類である。市販品としては、例えばNatrosol250HR(AQUALON)等を使用することができる。
【0018】
(b)ヒドロキシエチルセルロースの含有量は、0.1~1.0重量%である。0.1重量%未満では、水中油型毛髪化粧料の乳化安定性が低下する。一方、1.0重量%を超えると、毛髪に塗布した際にまとまり感が強くなりすぎるため、目的の使用感を出すことができない。
【0019】
本発明における(c)ステアリン酸ソルビタンは、ソルビタン脂肪酸エステルの一種であり、ステアリン酸とソルビトールを反応させることによって得られるノニオン性界面活性剤である。市販品としては、例えばNIKKOL SS-10V(日光ケミカルズ株式会社)等を使用することができる。
【0020】
(c)ステアリン酸ソルビタンの含有量は0.5~3.0重量%である。0.5重量%未満では、水中油型毛髪化粧料の乳化安定性が低下する。一方、3.0重量%を超えると、毛髪に塗布した際にまとまり感が強くなりすぎるため、目的の使用感を出すことができない。
【0021】
本発明における(d)ステアルトリモニウムクロリドは、四級アンモニウム塩に属するカチオン性界面活性剤の一種である。市販品としては、例えばカチナールSTC-70ET(東邦化学工業株式会社)、NIKKOL CA-2450(日光ケミカルズ株式会社)等を使用することができる。
【0022】
(d)ステアルトリモニウムクロリドの含有量は1.0~3.0重量%である。1.0重量%未満では、水中油型毛髪化粧料の乳化安定性が低下する。一方、3.0重量%を超えると、毛髪に塗布した際にまとまり感が強くなりすぎるため、目的の使用感を出すことができない。
【0023】
本発明における(e)揮発性シリコーンは、気圧1atmにおける沸点が250℃以下のシリコーンであり、例えば、シクロテトラシロキサン、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、粘度が2cs以下のジメチコン等が挙げられる。これらの揮発性シリコーンは、単独で使用しても良いし、2種類以上を組み合わせて使用しても良い。尚、塗布後の毛髪のなめらかさの点からシクロペンタシロキサンを含有するのが好ましい。
【0024】
(e)揮発性シリコーンの含有量は10.0~30.0重量%である。10.0重量%未満では、塗布後の毛髪になめらかさを付与することができない。一方、30.0重量%を超えると、水中油型毛髪化粧料の乳化安定性が低下する。
【0025】
本発明における(f)ジメチコノールは、ジメチコンの分子両端末にシラノール(Si-OH)基を有する高重合の重合体であり、ガム状のシリコーンである。市販品としては、例えばBELSIL CM3092(旭化成ワッカーシリコーン株式会社)等を使用することができる。
【0026】
(f)ジメチコノールの含有量は0.2~2.0重量%である。0.2重量%未満では、水中油型毛髪化粧料を毛髪に塗布した際のうるおいを十分に付与することができない。一方、2.0重量%を超えると、毛髪に塗布した際にべたつき感が強くなりすぎるため、目的の使用感を出すことができない。
【0027】
本発明における水中油型毛髪化粧料の25℃における粘度は特に限定されないが、5,000~15,000mPa・sであることが好ましい。5,000mPa・s未満では、水中油型毛髪化粧料を毛髪へ塗布する際、ベースが手から垂れやすくなる場合がある。一方、15,000mPa・sを超えると、水中油型毛髪化粧料をポンプ容器に充填して繰り返し使用した場合、容器の底にベースが残ってしまい、最後まで使用できない場合がある。尚、粘度の測定方法は特に限定されないが、例えば、毛細管粘度計、単一円筒型回転粘度計、円錐平型回転粘度計、振動式粘度計等が挙げられる。
【0028】
本発明の水中油型毛髪化粧料は、例えば濡れた状態の毛髪に塗布しても良いし、乾いた状態の毛髪に塗布しても良い。また、塗布後は洗い流しても良いし、洗い流さなくても良い。本発明の水中油型毛髪化粧料の効果を最大限に発揮させるためには、乾いた状態の毛髪に塗布し、塗布後は洗い流さないのが好ましい。
【0029】
本発明の水中油型毛髪化粧料には、上記必須成分の他に、通常の水中油型毛髪化粧料に用いられる成分として、例えばノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、水性成分、油性成分、シリコーン類、高級アルコール、水溶性高分子、酸化防止剤、粉体、香料、キレート剤、防腐剤、pH調整剤、美容成分等を、本発明の効果を損なわない範囲にて含有することができる。
【実施例
【0030】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲がこれらに限定されるものではない。尚、含有量については、他に指定のない限り重量%を表す。
【0031】
下記の表1~3に挙げた組成を有する水中油型毛髪化粧料を調製し、以下に示す方法にて水中油型毛髪化粧料の使用感、乳化安定性、ベースの粘性及び容器内のベースの残存を評価した。
【0032】
(製造方法)
成分1~5を均一混合し、80℃に加温し水相とする。成分6~11を均一混合し、80℃に加温し油相とする。水相に油相を加えて乳化し、80℃にて30分間ホモミキサーで撹拌した後、冷却を開始する。68℃で成分12を添加し、30℃にて冷却停止することにより、水中油型毛髪化粧料を得た。
【0033】
(使用感の評価方法)
15名の専門パネルにより、シャンプーにて毛髪を洗浄し、ドライヤーで毛髪を乾燥させた後、1gの水中油型毛髪化粧料を毛髪に塗布した。塗布5分後に「毛髪のなめらかさ」、「毛髪のうるおい」、「毛髪のまとまり」、「毛髪のべたつきの無さ」について評価し、以下の基準にて示した。
◎:12名以上が良いと評価した。
○:8~11名が良いと評価した。
△:4~7名が良いと評価した。
×:良いと評価した人が3名以下。
【0034】
(乳化安定性の評価方法)
水中油型毛髪化粧料を50℃の恒温槽に2ヵ月放置した後、目視判定を行い、以下の基準にて示した。
◎:油浮きが認められず、乳化状態を保っている。
○:わずかに油浮きが認められるが、乳化状態を保っている。
△:明らかに油浮きが認められるが、乳化状態を保っている。
×:乳化状態を保つことができず、分離している。
【0035】
(ベースの垂れの評価方法)
水中油型毛髪化粧料をポンプ容器に充填し、15名の専門パネルにより、ベースを手に取り出した際の「ベースの垂れ」について評価し、以下の基準にて示した。
◎:12名以上が問題無いと評価した。
○:8~11名が問題無いと評価した。
△:4~7名が問題無いと評価した。
×:問題無いと評価した人が3名以下。
【0036】
(容器内のベースの残存)
水中油型毛髪化粧料をポンプ容器に充填し、ディスペンサーを繰り返し手で押して容器からベースを出し、ベースが出なくなった時点の容器内のベース残量(g)を測定した。
〇:2g未満
△:2g以上5g未満
×:5g以上
【0037】
表1の実施例1~4に示したように、所定量のタマリンドガムを含有した場合、評価した全ての項目において満足する結果が得られた。一方、タマリンドガムを含有しない場合(比較例1)やタマリンドガムの含有量が所定量よりも少ない場合(比較例2)は乳化安定性及びベースの垂れの点において、タマリンドガムの含有量が所定量よりも多い場合(比較例3)は毛髪のべたつきの無さ及び容器内のベースの残存の点において、タマリンドガム以外の多糖類を含有した場合(比較例4)は乳化安定性の点において、それぞれ満足する結果が得られなかった。
【0038】
表1の実施例5~8に示したように、所定量のヒドロキシエチルセルロースを含有した場合、評価した全ての項目において満足する結果が得られた。一方、ヒドロキシエチルセルロースを含有しない場合(比較例5)やヒドロキシエチルセルロースの含有量が所定量よりも少ない場合(比較例6)は乳化安定性及びベースの垂れの点において、ヒドロキシエチルセルロースの含有量が所定量よりも多い場合(比較例7)は毛髪のまとまり及び容器内のベースの残存の点において、ヒドロエキシエチルセルロース以外の多糖類を含有した場合(比較例8)は乳化安定性の点において、それぞれ満足する結果が得られなかった。
【0039】
【表1】

※1 グリロイド6C(DSP五協フード&ケミカル株式会社)
※2 Natrosol250HR(AQUALON)
※3 NIKKOL SS-10V(日光ケミカルズ)
※4 カチナールSTC-70ET(東邦化学工業株式会社)
※5 KF-995(信越化学工業株式会社)
※6 BELSIL CM3092(旭化成ワッカーシリコーン株式会社)
【0040】
表2の実施例9~12に示したように、所定量のステアリン酸ソルビタンを含有した場合、評価した全ての項目において満足する結果が得られた。一方、ステアリン酸ソルビタンを含有しない場合(比較例9)やステアリン酸ソルビタンの含有量が所定量よりも少ない場合(比較例10)は乳化安定性及びベースの垂れの点において、ステアリン酸ソルビタンの含有量が所定量よりも多い場合(比較例11)は毛髪のまとまり及び容器内のベースの残存の点において、ステアリン酸ソルビタン以外のノニオン性界面活性剤を含有した場合(比較例12)は乳化安定性及びベースの垂れの点において、それぞれ満足する結果が得られなかった。
【0041】
表2の実施例13~15に示したように、所定量のステアルトリモニウムクロリドを含有した場合、評価した全ての項目において満足する結果が得られた。一方、ステアルトリモニウムクロリドを含有しない場合(比較例13)やステアルトリモニウムクロリドの含有量が所定量よりも少ない場合(比較例14)は乳化安定性の点において、ステアルトリモニウムクロリドの含有量が所定量よりも多い場合(比較例15)は毛髪のまとまりの点において、ステアルトリモニウムクロリド以外のカチオン性界面活性剤を含有した場合(比較例16)は乳化安定性の点において、それぞれ満足する結果が得られなかった。
【0042】
【表2】
【0043】
表3の実施例16~19に示したように、所定量の揮発性シリコーンを含有した場合、評価した全ての項目において満足する結果が得られた。一方、揮発性シリコーンを含有しない場合(比較例17)や揮発性シリコーンの含有量が所定量よりも少ない場合(比較例18)は毛髪のなめらかさの点において、揮発性シリコーンの含有量が所定量よりも多い場合(比較例19)は乳化安定性の点において、揮発性シリコーン以外のシリコーンを含有した場合(比較例20)は毛髪のなめらかさの点において、それぞれ満足する結果が得られなかった。
【0044】
表3の実施例20~23に示したように、所定量のジメチコノールを含有した場合、評価した全ての項目において満足する結果が得られた。一方、ジメチコノールを含有しない場合(比較例21)やジメチコノールの含有量が所定量よりも少ない場合(比較例22)は毛髪のうるおいの点において、ジメチコノールの含有量が所定量よりも多い場合(比較例23)は毛髪のべたつきの無さ及び容器内のベースの残存の点において、ジメチコノール以外のシリコーンを含有した場合(比較例24)は毛髪のうるおいの点において、それぞれ満足する結果が得られなかった。
【0045】
【表3】

※7 SH 200 Fluid-1.5cs(東レ・ダウコーニング株式会社)
【0046】
次に、本発明のその他の実施例を示す。いずれにおいても毛髪のなめらかさ、うるおい、まとまり、べたつきの無さ、乳化安定性に優れていた。
【0047】
(実施例24:水中油型毛髪化粧料)
(成分) (重量%)
(1)精製水 残 余
(2)タマリンドガム※1 1.5
(3)ヒドロキシエチルセルロース※2 0.3
(4)pH調整剤 適 量
(5)防腐剤 適 量
(6)ステアリン酸ソルビタン※3 1.5
(7)ステアリン酸PEG-25 1.0
(8)ステアルトリモニウムクロリド※8 1.0
(9)セチルアルコール 2.0
(10)ジメチコン(粘度2cs)※9 15.0
(11)ジメチコノール※6 0.5
(12)香料 適 量
※8 NIKKOL CA-2450(日光ケミカルズ株式会社)
※9 SH200C-2cs(東レ・ダウコーニング株式会社)
【0048】
(製造方法)
成分(1)~(5)を均一混合して80℃に加温して水相とする。成分(6)~(11)を均一混合して80℃に加温して油相とする。水相に油相を加えて乳化し、80℃にて30分間ホモミキサーで撹拌した後、冷却を開始する。68℃で成分(12)を添加し、30℃にて冷却停止することにより、水中油型毛髪化粧料を得た。
【0049】
(実施例25:水中油型毛髪化粧料)
(成分) (重量%)
(1)精製水 残 余
(2)タマリンドガム※1 0.5
(3)ヒドロキシエチルセルロース※2 0.8
(4)pH調整剤 適 量
(5)防腐剤 適 量
(6)ステアリン酸ソルビタン※3 2.5
(7)ステアリン酸PEG-25 0.5
(8)ステアルトリモニウムクロリド※4 2.5
(9)セチルアルコール 1.0
(10)シクロペンタシロキサン※5 15.0
(11)ジメチコノール※6 2.0
(12)香料 適 量
【0050】
(製造方法)
成分(1)~(5)を均一混合して80℃に加温して水相とする。成分(6)~(11)を均一混合して80℃に加温して油相とする。水相に油相を加えて乳化し、80℃にて30分間ホモミキサーで撹拌した後、冷却を開始する。68℃で成分(12)を添加し、30℃にて冷却停止することにより、水中油型毛髪化粧料を得た。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明によれば、毛髪になめらかさ、うるおい、まとまりを与え、かつ乳化安定性の高い水中油型毛髪化粧料を提供することができ、化粧品だけでなく、医薬品等にも応用可能である。