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  • 特許-安全装置及びアスファルトフィニッシャ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-24
(45)【発行日】2023-11-01
(54)【発明の名称】安全装置及びアスファルトフィニッシャ
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/48 20060101AFI20231025BHJP
【FI】
E01C19/48 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022181958
(22)【出願日】2022-11-14
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】522445332
【氏名又は名称】立石 英路
(74)【代理人】
【識別番号】100174805
【弁理士】
【氏名又は名称】亀山 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】立石 英路
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特公平02-000483(JP,B2)
【文献】特開平08-327748(JP,A)
【文献】特許第2518495(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/00-19/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスファルトフィニッシャの車両本体の前方にある物を検出する接触センサと、
前記接触センサが前記物を検出した際、前記車両本体の移動を規制する安全制御装置と、
を備え、
前記車両本体は、
運転席と
前記運転席よりも前方に設けられたホッパと、を備え、
前記接触センサは前記ホッパよりも前方に位置し、
前記車両本体の前方にはプッシュローラが設けられ、
前記プッシュローラは、
前記車両本体の前端面に設けられた緩衝装置と、
前記車両本体の前方に配された水平軸と、
前記緩衝装置から伸び前記水平軸を保持するアームと、を備え、
前記接触センサは、前記車両本体の前端面に設けられるとともに、前記プッシュローラよりも後方に位置することを特徴とする安全装置。
【請求項2】
前記接触センサを収容するケーシング備え、
前記ケーシングは、
前記車両本体に取り付けられるベース部材と、
前記ベース部材に対し、揺動自在に設けられる揺動部材と、を備え、
前記接触センサは、前記揺動部材が基準位置から揺動したか否かを検出可能となっていることを特徴とする請求項記載の安全装置。
【請求項3】
アスファルトフィニッシャの車両本体の前方にある物を検出する接触センサと、
前記接触センサが前記物を検出した際、前記車両本体の移動を規制する安全制御装置と、
前記車両本体に設けられた前記車両本体の移動及び停止を制御する伝動制御部と、を備え、
前記安全制御装置は、前記伝動制御部による前記車両本体の伝動制御を有効にする有効状態と、当該伝動制御を無効にする無効状態と、の間で切り替え自在にする伝動切替部を備え、
前記接触センサが前記物を検出している間、前記伝動切替部は前記無効状態にし、
前記安全制御装置は、
前記伝動切替部による制御が有効となる制御有効状態と、前記伝動切替部による制御が無効となる制御無効状態との間で切り替え自在にするモード切替部と、
前記制御有効状態にする有効位置と前記制御無効状態にする無効位置との間で切り替え自在なモード切替スイッチと、を備え、
前記モード切替スイッチは、前記有効位置に付勢されるとともに、前記接触センサが前記物を検出しているとき前記無効位置に切替可能であることを特徴とする安全装置。
【請求項4】
前記アスファルトフィニッシャのスクリードは、上位置と下位置との間で切り替え自在であり
前記モード切替部は、前記スクリードが下位置の場合には前記制御有効状態にする一方、前記スクリードが上位置の場合には前記制御無効状態にすることを特徴とする請求項記載の安全装置。
【請求項5】
前記車両本体に設けられた前記車両本体の移動及び停止を制御する伝動制御部を備え、
前記安全制御装置は、前記伝動制御部による前記車両本体の伝動制御を有効にする有効状態と、当該伝動制御を無効にする無効状態と、の間で切り替え自在にする伝動切替部を備え、
前記接触センサが前記物を検出している間、前記伝動切替部は前記無効状態にし、
前記安全制御装置は、
前記伝動切替部による制御が有効となる制御有効状態と、前記伝動切替部による制御が無効となる制御無効状態との間で切り替え自在にするモード切替部と、
前記制御有効状態にする有効位置と前記制御無効状態にする無効位置との間で切り替え自在なモード切替スイッチと、を備え、
前記モード切替スイッチは、前記有効位置に付勢されるとともに、前記接触センサが前記物を検出しているとき前記無効位置に切替可能であることを特徴とする請求項1または2記載の安全装置。
【請求項6】
アスファルトフィニッシャであって、
車両本体と、
前記車両本体に設けれられた運転席と、
前記車両本体に設けられ、前記運転席よりも前方に設けられたホッパと、
請求項1ないし4のうちいずれか1項記載の安全装置と、
を備えることを特徴とするアスファルトフィニッシャ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全装置及びアスファルトフィニッシャに関する。
【背景技術】
【0002】
ダンプトラックから供給されるアスファルト合材(以下、舗装材という)を収容してコンベアへ搬出する舗装機械として、例えば特許文献1に開示されたアスファルトフィニッシャがある。一般的にアスファルトフィニッシャは、ダンプトラックの荷台から舗装材の供給を受け、車体前部に設けられたホッパに収容する。ホッパに収容された舗装材はコンベアにより後方へ搬送されて路面に落下し、スクリュスプレッダによって路面に撒き拡げられる。路面に撒かれた舗装材はスクリードにより敷き均され、平滑に仕上げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-105434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ホッパに収容された舗装材が冷やされると、舗装材がホッパの内壁面にへばりついてしまう。このため、作業員は、舗装材が冷えて固まる前に、スコップ等を用いて、内壁面に付着した舗装材をそぎ落としながら、舗装作業を行う必要がある。
【0005】
一方、舗装作業は、アスファルトフィニッシャが低速で前進しながら行われる。よって、アスファルトフィニッシャの運転者は、車両本体の側方や、前方に注意を払いながら、車両本体を前進させるとともに、スクリードによる施工状態を確認する必要がある。
【0006】
しかしながら、内壁面に付着した舗装材をそぎ落とす作業者と運転席の間には、ホッパが存在するため、運転席からの視認性は低い。さらに、当該作業者は、前屈みになる場合も多いため、運転席からの視認性は極めて低くなる。加えて、ホッパの開閉度合いは、舗装材の量が少なるにつれて小さくなる。このため、運転席から見ると、ホッパの前方が死角となりやすい。また、作業中は、エンジンやスクリードの振動や騒音により作業員の声も通りにくい。
【0007】
この結果、前方にいる作業員に気づかずに、車両本体を前進させてしまい、作業者を轢いてしまう事故が発生してしまう。
【0008】
本発明は、斯かる実情に鑑み、アスファルトフィニッシャの安全性を確保する安全装置及びこれを備えたアスファルトフィニッシャを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の安全装置は、アスファルトフィニッシャの車両本体の前方にある物を検出する接触センサと、前記接触センサが前記物を検出した際、前記車両本体の移動を規制する安全制御装置と、を備え、前記車両本体は、運転席と前記運転席よりも前方に設けられたホッパと、を備え、前記接触センサは前記ホッパよりも前方に位置し、前記車両本体の前方にはプッシュローラが設けられ、前記プッシュローラは、前記車両本体の前端面に設けられた緩衝装置と、前記車両本体の前方に配された水平軸と、前記緩衝装置から伸び前記水平軸を保持するアームと、を備え、前記接触センサは、前記車両本体の前端面に設けられるとともに、前記プッシュローラよりも後方に位置することを特徴とする。
【0010】
前記接触センサを収容するケーシング備え、前記ケーシングは、前記車両本体に取り付けられるベース部材と、前記ベース部材に対し、揺動自在に設けられる揺動部材と、を備え、前記接触センサは、前記揺動部材が基準位置から揺動したか否かを検出可能となっていることがL好ましい。
【0011】
本発明の安全装置は、アスファルトフィニッシャの車両本体の前方にある物を検出する接触センサと、前記接触センサが前記物を検出した際、前記車両本体の移動を規制する安全制御装置と、前記車両本体に設けられた前記車両本体の移動及び停止を制御する伝動制御部と、を備え、前記安全制御装置は、前記伝動制御部による前記車両本体の伝動制御を有効にする有効状態と、当該伝動制御を無効にする無効状態と、の間で切り替え自在にする伝動切替部を備え、前記接触センサが前記物を検出している間、前記伝動切替部は前記無効状態にし、前記安全制御装置は、前記伝動切替部による制御が有効となる制御有効状態と、前記伝動切替部による制御が無効となる制御無効状態との間で切り替え自在にするモード切替部と、前記制御有効状態にする有効位置と前記制御無効状態にする無効位置との間で切り替え自在なモード切替スイッチと、を備え、前記モード切替スイッチは、前記有効位置に付勢されるとともに、前記接触センサが前記物を検出しているとき前記無効位置に切替可能であることを特徴とする。
【0012】
前記アスファルトフィニッシャのスクリードは、上位置と下位置との間で切り替え自在であり、
前記モード切替部は、前記スクリードが下位置の場合には前記制御有効状態にする一方、前記スクリードが上位置の場合には前記制御無効状態にすることが好ましい。
【0013】
前記車両本体に設けられた前記車両本体の移動及び停止を制御する伝動制御部と、を備え、前記安全制御装置は、前記伝動制御部による前記車両本体の伝動制御を有効にする有効状態と、当該伝動制御を無効にする無効状態と、の間で切り替え自在にする伝動切替部を備え、前記接触センサが前記物を検出している間、前記伝動切替部は前記無効状態にし、前記安全制御装置は、前記伝動切替部による制御が有効となる制御有効状態と、前記伝動切替部による制御が無効となる制御無効状態との間で切り替え自在にするモード切替部と、前記制御有効状態にする有効位置と前記制御無効状態にする無効位置との間で切り替え自在なモード切替スイッチと、を備え、前記モード切替スイッチは、前記有効位置に付勢されるとともに、前記接触センサが前記物を検出しているとき前記無効位置に切替可能であることが好ましい。
【0014】
本発明は、アスファルトフィニッシャであって、車両本体と、前記車両本体に設けれられた運転席と、前記車両本体に設けられ、前記運転席よりも前方に設けられたホッパと、上記の安全装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、アスファルトフィニッシャの安全性を確保する安全装置及びアスファルトフィニッシャを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】アスファルトフィニッシャの概要を示す側面図である。
図2】プッシュローラ及び安全装置の概要を示す側面図である。
図3】(A)は、接触子が張り出した状態の安全装置の概要を示す断面図である。(B)は、接触子が埋没した状態の安全装置の概要を示す断面図である。
図4】コントローラの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示すように、アスファルトフィニッシャ2は、車両本体10と、車両本体10の前方部に設けられたホッパ20と、車両本体10の後方部に設けられた運転席30と、車両本体10の後方に設けられたスクリード40と、車両本体10に設けられ各部品を制御するコントローラ50と、を備える。
【0018】
車両本体10は、エンジン(図示しない)を備える。エンジンの動力はコントローラ50を介して、車輪Wに伝わる。コントローラ50により、車両本体10は、所定の速度で移動するとともに、所定のタイミングで静止することができる。
【0019】
ホッパ20は、その両側部21が左右一対の油圧シリンダ22により左右に開閉されるように構成されている。また、ホッパ20の両側部21は、ホッパ20の側方にある物体を検知する左右一対の超音波センサ24が配設されている。ホッパ20の底部に設けられるコンベア(図示しない)により、ホッパ20に収容された舗装材は、整地された地面に撒かれる。
【0020】
スクリード40は、舗装材を路面上に均一にならすものであり、高さ方向に移動可能となっている。このため、スクリード40を地面に近づけながら走行することにより、整地された地面に撒かれた舗装材を所定の厚みに敷き詰め、均すことができる。
【0021】
スクリード40が下位置であるとき(図1)、コントローラ50により車両本体10は作業モードとなる一方、スクリード40が上位置であるとき、コントローラ50により車両本体10は走行モードとなる。作業モードでは、車両本体10の移動速度は低速に限られ、ホッパ20の制御やスクリード40の高さ調整等、舗装作業に必要な各制御が可能となる。走行モードでは、車両本体10の移動速度は低速から高速まで遷移可能である一方、ホッパ20の制御やスクリード40の高さ調整等、舗装作業に必要な各制御は規制される。
【0022】
図1~2に示すように、さらに、アスファルトフィニッシャ2は、車両本体10の前端面10Aに設けられたプッシュローラ60と、車両本体10の前端面に設けられたセンサユニット70と、を備える。センサユニット70は、プッシュローラ60よりも下方に設けられる。また、センサユニット70の前端は、プッシュローラ60の前端よりも後方に位置する。
【0023】
プッシュローラ60は、車両本体10の前端面10Aに設けられる緩衝装置61と、車両本体10の前方に配された水平軸(図示しない)と、緩衝装置61から延びるとともに水平軸を支持するアーム63と、水平軸に対して回動自在に取り付けられるローラ64と、を備える。
【0024】
ダンプトラックがホッパ20に向けて舗装材を投入するために、車両本体10に向かって後退する際、ダンプトラックの左右後輪がローラ64に当たる。ダンプトラックから衝撃は、緩衝装置61によって緩衝される。プッシュローラ60により、施工不具合(ダンプトラックからの衝撃によって舗装面にスクリードマークが生じてしまう不具合等)を回避できる。
【0025】
図2に示すように、センサユニット70は、車両本体10の前端面10Aに固定されるケーシング71と、ケーシング71に収容される接触センサ72と、を備える。
【0026】
図3に示すように、ケーシング71は、車両本体10の前端面10Aに配される箱状のベース部材71Aと、ベース部材71Aの前端に配される蓋部材71Bと、ベース部材71A及び蓋部材71Bを連結するヒンジ71Cと、を備える。ヒンジ71Cにより、蓋部材71Bは、揺動自在となる。
【0027】
接触センサ72は、ベース部材71Aに設けられる収容筒72Aと、収容筒72Aに収容された接触子72Bと、収容筒72Aに収容された付勢部材(図示しない)と、を備える。収容筒72Aは前方に向かって伸びる。接触子72Bは、後端が収容筒72Aに収容され、前端が収容筒72Aから突出するように配されるとともに、前後方向において収容筒72A内を移動自在になっている。これにより、接触子72Bは、収容筒72Aにおいて出没自在となっている。接触子72Bは、付勢部材により、突出状態に付勢される。
【0028】
蓋部材71Bが接触子72Bに当接した状態となっているとき(図3(B))に、蓋部材71Bが前方から後方向きの力を受けると、蓋部材71Bは揺動し、接触センサ72の接触子72Bは、後方へ退く(図3(A))。
【0029】
図1に示すように、運転席30は車両本体10の上部に設けられる。運転席30の前方部には操作パネル80が設けられる。
【0030】
図4に示すように、操作パネル80には、車両本体の前進、後退、及び停止を切り替える走行レバー81と、スクリード40を上下方向に移動させるためのスクリード操作レバー82と、ホッパ20の開閉制御を行うホッパ操作レバー83と、警告ランプ86と、ホーン87と、車輪の向きを変えるハンドル(図示しない)と、各部を操作する各種操作スイッチ(図示しない)と、所定の光、音や映像を出力する各種出力装置(図示しない)と、が設けられる。なお、警告ランプ86と、ホーン87とは、操作パネル80とは別に、運転席30の前方部に設けられていてもよい(図1)。
【0031】
図4に示すように、コントローラ50は、エンジンの動力を車輪Wに伝える伝動制御部51と、接触センサ72からのセンシング信号を検出する検出部52と、伝動制御部51を制御する伝動切替部54と、伝動切替部54による制御の有効及び無効を切り替えるモード切替部55と、各部を制御する車両制御部58と、を備える。
【0032】
伝動切替部54は、伝動制御部51による車両本体の伝動制御を有効にする有効状態と、当該伝動制御を無効にする無効状態と、の間で切り替え自在である。検出部52がセンシング信号を検出しているとき、伝動切替部54は有効状態にして、検出部52がセンシング信号を検出していないとき、伝動切替部54は無効状態にする。
【0033】
モード切替部55は、スクリード40が下位置の場合には伝動切替部54による制御を有効にする一方、スクリード40が上位置の場合には伝動切替部54による制御を無効にする。
【0034】
次に、アスファルトフィニッシャ2の作動について説明する。
【0035】
運転者は、運転席30に座り、操作パネル80に設けられた各種レバー、スイッチを操作して、車両本体10を舗装作業の現場まで走行させる。
【0036】
舗装作業の現場では、ダンプトラックがアスファルトフィニッシャ2の前方に位置し、そのまま、アスファルトフィニッシャ2に向かって後退する。後退は、ダンプトラックの車輪がプッシュローラ60に当接するまで行われる。ダンプトラックの車輪がプッシュローラ60に当接後、運転者は、ホッパ操作レバー83を操作して、ホッパ20を開く。その後、ダンプトラックから舗装材がホッパ20へ投入される。舗装材のホッパ20への投入が完了後、ダンプトラックはアスファルトフィニッシャ2から離れる。
【0037】
その後、運転者による走行レバー81の操作により、スクリード40は下位置にセットされたアスファルトフィニッシャ2は、低速度で前方に向かって走行する。ホッパ20の底部に設けられるコンベア(図示しない)により、ホッパ20に収容された舗装材は、整地された地面に撒かれる。
【0038】
一方、作業員は、アスファルトフィニッシャ2の前方に立って、舗装材が冷やされ固まる前に、ホッパ20の内壁面に付着した舗装材をそぎ落とす。このとき、作業員がアスファルトフィニッシャ2に近接したとき、接触センサ72の接触子72Bは、作業員と接触する。これにより、接触子72Bは後方へ退くため(図3(A))、接触センサ72は、所定のセンシング信号を出力する。検出部52は、接触センサ72から出力されたセンシング信号を検出する。
【0039】
検出部52がセンシング信号を検出しているとき、伝動切替部54は、伝動状態から伝動退避状態に切り替える。これにより、エンジンの動力が車輪Wに伝わらず、走行が規制される結果、アスファルトフィニッシャ2は静止する。
【0040】
すなわち、接触センサ72と、検出部52と、伝動切替部54とが安全装置として機能する。
【0041】
検出部52がセンシング信号を検出しているとき、伝動切替部54の制御の下、車両制御部58は、警告ランプ86を作動させるとともに、ホーン87を鳴動させる。これにより、アスファルトフィニッシャ2の前方に物が存在していることを運転者に報知する。
【0042】
接触センサ72の接触子72Bから作業員が離れると、接触子72Bは前方へ進出する(図3(B))。これにより、接触センサ72は所定のセンシング信号を出力しないため、検出部52は接触センサ72から出力されたセンシング信号を検出しない。結果、伝動切替部54は、伝動退避状態から伝動状態に切り替える。これにより、エンジンの動力が車輪Wに伝わり、アスファルトフィニッシャ2は再び低速移動の下、舗装作業を行うことができる。
【0043】
このように、安全装置(接触センサ72と、検出部52と、伝動切替部54)によれば、接触センサ72と作業員との接触によって、エンジンの動力が車輪Wに伝わらず、アスファルトフィニッシャ2は停止するため、作業者を轢かずに済む。
【0044】
安全装置には、モード切替部55(図4)。やモード切替スイッチ84が含まれていてもよい。モード切替部55は、コントローラ50に設けられるものであり、伝動切替部54による制御が有効となる制御有効状態と、伝動切替部による制御が無効となる制御無効状態との間で切り替え自在にする。モード切替スイッチ84は、操作パネル80に設けられるものであり、制御有効状態にする有効位置と制御無効状態にする無効位置との間で、手動による切り替えが可能となっている。また、モード切替スイッチ84は、有効位置に付勢されることが好ましい。
【0045】
これにより、アスファルトフィニッシャ2の前方に物体があると判定されたとき、モード切替スイッチ84を無効位置にすることにより、アスファルトフィニッシャ2を後方へ走行させて、当該物体から車両本体を退避させることができる。
【0046】
さらにまた、舗装作業が完了し当該現場から引き上げる際、スクリード操作レバー82の操作により、スクリード40は上位置となる。そして、モード切替部55は、スクリード40が下位置の場合には制御有効状態にする一方、スクリード40が上位置の場合には制御無効状態にすることが好ましい。これにより、高速移動する際、伝動切替部54による制御により急停車する事態を回避できる。
【0047】
なお、センサユニット70は、プッシュローラ60よりも上方に設けられていてもよい。また、プッシュローラ60本来の機能する範囲であれば、センサユニット70の前端は、プッシュローラ60の前端よりも前方に位置していてもよい。
【0048】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0049】
2 アスファルトフィニッシャ
10 車両本体
10A 前端面
20 ホッパ
21 両側部
22 油圧シリンダ
24 超音波センサ
30 運転席
40 スクリード
50 コントローラ
51 伝動制御部
52 検出部
54 伝動切替部
55 モード切替部
58 制御部
60 プッシュローラ
70 センサユニット
71 ケーシング
72 接触センサ
72A 収容筒
72B 接触子
80 操作パネル
81 走行レバー
82 スクリード操作レバー
83 ホッパ操作レバー
84 モード切替スイッチ
86 警告ランプ
87 ホーン

【要約】      (修正有)
【課題】安全装置及びアスファルトフィニッシャを提供する。
【解決手段】コントローラ50は、エンジンの動力を車輪Wに伝える伝動制御部51と、接触センサ72からのセンシング信号を検出する検出部52と、伝動制御部51を制御する伝動切替部54と、伝動切替部54による制御の有効及び無効を切り替えるモード切替部55と、を備える。伝動切替部54は、伝動制御部51による車両本体の伝動制御を有効にする有効状態と、当該伝動制御を無効にする無効状態と、の間で切り替え自在である。検出部52がセンシング信号を検出しているとき、伝動切替部54は有効状態にして、検出部52がセンシング信号を検出していないとき、伝動切替部54は無効状態にする。モード切替部55は、スクリード40が下位置の場合には伝動切替部54による制御を有効にする一方、スクリード40が上位置の場合には伝動切替部54による制御を無効にする。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4