(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-24
(45)【発行日】2023-11-01
(54)【発明の名称】皮膚外用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/19 20060101AFI20231025BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20231025BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20231025BHJP
A61Q 15/00 20060101ALI20231025BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
A61K8/19
A61K8/37
A61K8/34
A61Q15/00
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2018242937
(22)【出願日】2018-12-26
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】398039945
【氏名又は名称】ニベア花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125092
【氏名又は名称】佐藤 玲太郎
(72)【発明者】
【氏名】池田 浩二
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 桂子
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-026956(JP,A)
【文献】国際公開第2014/088039(WO,A1)
【文献】特開2015-134736(JP,A)
【文献】特開2017-132723(JP,A)
【文献】特開2005-126423(JP,A)
【文献】特開2014-101356(JP,A)
【文献】米国特許第05098694(US,A)
【文献】Parsenn Produkte, Switzerland,Deodorant Stick,Mintel GNPD [online],2017年01月,Internet <URL:https://portal.mintel.com>,ID#4581097, [検索日:2023.06.01], 表題部分及び成分
【文献】Murnauer Markenvertrieb, Germany,Mineral Deo Spray,Mintel GNPD [online],2018年10月,Internet <URL:https://portal.mintel.com>,ID#6047989, [検索日:2023.06.01], 表題部分及び成分
【文献】Douglas Cosmetics, Germany,Purifying Exfoliating Mask,Mintel GNPD [online],2018年08月,Internet <URL:https://portal.mintel.com>,ID#5922059, [検索日:2023.06.01], 表題部分及び成分
【文献】Laboratoire Nuxe, France,Long-Lasting Deodorant,Mintel GNPD [online],2018年05月,Internet <URL:https://portal.mintel.com>,ID#5685945, [検索日:2023.06.01], 表題部分及び成分
【文献】Sirius, Germany,Alkaline Body Emulsion,Mintel GNPD [online],2016年12月,Internet <URL:https://portal.mintel.com>,ID#4477977, [検索日:2023.06.01], 表題部分及び成分
【文献】Elizabeth Arden, USA,Anti-Perspirant Deodorant Roll On,Mintel GNPD [online],2018年05月,Internet <URL:https://portal.mintel.com>,ID#5663243, [検索日:2023.06.01], 表題部分及び成分
【文献】Boscia, USA,Deodorant,Mintel GNPD [online],2017年02月,Internet <URL:https://portal.mintel.com>,ID#4598613, [検索日:2023.06.01], 表題部分及び成分
【文献】Nature Cosmetic Group of Swedish Lapland, Sweden,Neutral Deodorant,Mintel GNPD [online],2017年08月,Internet <URL:https://portal.mintel.com>,ID#5005761, [検索日:2023.06.01], 表題部分及び成分
【文献】Laboratorios Byly, Spain,Deodorant Foot Cream,Mintel GNPD [online],2016年02月,Internet <URL:https://portal.mintel.com>,ID#3826493, [検索日:2023.06.01], 表題部分及び成分
【文献】Ericson Laboratoire, France,Survivine Serum,Mintel GNPD [online],2010年10月,Internet <URL:https://portal.mintel.com>,ID#1415156, [検索日:2023.06.26], 表題部分及び成分
【文献】Aria Cosmetics, Malaysia,Perfumed Spray Deodorant,Mintel GNPD [online],2012年06月,Internet <URL:https://portal.mintel.com>,ID#1805274, [検索日:2023.01.25], 表題部分及び成分
【文献】Carolina Herrera, USA,Chic for Men Deodorant Natural Spray,Mintel GNPD [online],2004年09月,Internet <URL:https://portal.mintel.com>,ID#305414, [検索日:2023.01.25], 表題部分及び成分
【文献】Mentholatum Pharmaceutical, China,Men's Roll On,Mintel GNPD [online],2018年04月,Internet <URL:https://portal.mintel.com>,ID#5591541, [検索日:2023.01.25], 表題部分及び成分
【文献】Dr. Organic, UK,Deodorant Roll-On,Mintel GNPD [online],2018年09月,Internet <URL:https://portal.mintel.com>,ID#5939601, [検索日:2023.01.25], 表題部分及び成分
【文献】Instituto Espanol, Spain,Deodorant Roll-On,Mintel GNPD [online],2018年11月,Internet <URL:https://portal.mintel.com>,ID#6121683, [検索日:2023.01.25], 表題部分及び成分
【文献】DM Drogerie Markt, Hungary,Deodorant Roll-On,Mintel GNPD [online],2016年11月,Internet <URL:https://portal.mintel.com>,ID#4403415, [検索日:2023.01.25], 表題部分及び成分
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A61P 1/00-43/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)デオドラント成分と、
(B)脂肪酸エステルと、
を含有し、
前記(A)デオドラント成分が
、銀担持ゼオライ
トであり、
前記(B)脂肪酸エステルが、炭素数6から12の脂肪酸と炭素数1から6の多価アルコールとのモノエステルから選ばれる1種以上であることを特徴とする皮膚外用組成物。
【請求項2】
さらに、(C)溶解剤として、炭素数1から3のアルコールを0.001質量%以上90質量%以下で含有することを特徴とする請求項1に記載の皮膚外用組成物。
【請求項3】
(C)溶解剤を実質的に含有しないことを特徴とする請求項1に記載の皮膚外用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用組成物に関する。
【0002】
皮膚外用組成物は、デオドラント成分を配合して、足臭、腋臭や汗臭を予防・改善する目的で使用されることが多い。足臭、腋臭や汗臭は、主に、毛穴周辺に発達しているアポクリン腺から皮膚上に分泌される脂肪やタンパク質等を含む分泌物が皮膚常在菌によって分解されることで発生することが知られている。腋臭の発生に関与する菌としては、コリネバクテリウムキセロシス、また、汗臭に関与する菌としては、黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌が代表的である。そのため、皮膚外用組成物には、デオドラント成分として、制汗成分の他に、抗菌成分、殺菌成分が配合されていることが多い。
【0003】
コリネバクテリウム属菌は、皮膚外用組成物中に配合することができる既存の抗菌剤・殺菌剤が効きにくい細菌であることが分かっている。例えば、イソプロメチルフェノールは、広範囲の抗菌・抗真菌スペクトルと高い安全性を有する抗菌剤であるが、コリネバクテリウム属菌に対する抗菌作用は低いものである。コリネバクテリウム属菌に対する抗菌成分に関して、例えば、特許文献1には、クエン酸エステルを有効成分とする抗菌剤が開示されている。
【0004】
また、皮膚外用組成物に配合されることが多い制汗成分として、クロルヒドロキシアルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム(みょうばん)等のアルミニウム塩が挙げられる。アルミニウム塩は、抗菌性も有しているが、その抗菌性は十分なものではない。そのため、抗菌効果を高めるために、アルミニウム塩の配合量を増やすと、べたつき等好ましくない使用感が生じ、また皮膚に対する刺激が問題となる。
【0005】
本出願人も、特許文献2に示すように、アルミニウム塩の抗菌作用が、グリチルレチン酸又はその誘導体を併用することにより、著しく増強されることを見出し、グリチルレチン酸又はその誘導体、及びアルミニウム塩を含有する抗菌剤組成物を開発している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2002-255807号公報
【文献】特開2012-056917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、コリネバクテリウム属菌に効果を有する抗菌剤・殺菌剤の作用は、いまだ十分ではなく、デオドラント成分の配合量を増やせば、皮膚外用組成物の安定性が低下したり、使用感が悪化したり、皮膚刺激性を誘発したりするおそれがあった。
【0008】
したがって、本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、極めて低濃度でデオドラント効果の高い皮膚外用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の発明者は、この課題に鑑み、鋭意研究を行った。その結果、デオドラント成分と、脂肪酸及び/又は脂肪酸エステルとを組み合わせて皮膚外用組成物に配合することにより、デオドラント成分が低濃度でもデオドラント効果を発揮することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明は、以下の構成によって把握される。
(1)本発明の第1の態様は、皮膚外用組成物であって、(A)デオドラント成分と、(B)脂肪酸及び/又は脂肪酸エステルと、を含有することを特徴とする。
(2)本発明の第2の態様は、上記(A)デオドラント成分が、グリチルレチン酸、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ハロカルバン、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、レゾルシン、塩酸クロルヘキシジン、フェノール、フェノキシエタノール、安息香酸誘導体、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル、トリクロロカルバニリド、トリエチルシトレート、ヘキサクロロフェン、グルコン酸クロルヘキシジン、トリクロサン、サリチル酸、ソルビン酸、塩化リゾチーム、エチルヘキシルグリセリン、銀担持ゼオライト、銀担持シリカ、植物抽出物、抗菌性香料、金属塩、金属酸化物、珪藻土、粘土鉱物及び活性炭から選ばれる1種又は2種以上である(1)に記載の皮膚外用組成物である。
(3)本発明の第3の態様は、上記(B)脂肪酸及び/又は脂肪酸エステルが、炭素数6から12の脂肪酸及び/又は炭素数6から12の脂肪酸と炭素数1から6の多価アルコールとのモノエステルから選ばれる1種以上であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の皮膚外用組成物である。
(4)本発明の第4の態様は、さらに、(C)溶解剤として、炭素数1から3のアルコールを0.001質量%以上90質量%以下で含有することを特徴とする(1)~(3)のいずれか1つに記載の皮膚外用組成物である。
(5)本発明の第4の態様は、上記(C)の溶解剤を実質的に含有しないことを特徴とする(1)~(3)のいずれか1つに記載の皮膚外用組成物である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、本構成を有しない場合に比して、極めて低濃度で抗菌・殺菌効果の高い皮膚外用組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明するが、これらは例示の目的で掲げたものであって、これらにより本発明を限定するものではない。
【0013】
本発明の皮膚外用組成物は、(A)デオドラント成分と、(B)脂肪酸及び/又は脂肪酸エステルとを含有する。
【0014】
((A)デオドラント成分)
本発明に用いられる(A)デオドラント成分は、一般に、化粧料、医薬品分野で用いられ得るものであって、抗菌作用、殺菌作用、制汗作用を発揮する任意の成分をいう。デオドラント成分としては、例えば、グリチルレチン酸、イソプロピルメチルフェノール、トリクロカルバン、パラベン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、レゾルシン、塩酸クロルヘキシジン、フェノール、フェノキシエタノール、安息香酸誘導体、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル、トリクロロカルバニリド、トリエチルシトレート、ヘキサクロロフェン、グルコン酸クロルヘキシジン、トリクロサン、サリチル酸、ソルビン酸、塩化リゾチーム、エチルヘキシルグリセリン、クレゾール、感光素101号、感光素201号、感光色素301号、感光色素401号、フェノキシエタノール、1,2-ペンタンジオール、ピロクトンオラミン、ハロカルバン、ポピドンヨード、ヨウ化カリウム、ヨウ素、銀担持ゼオライト、銀担持シリカ、ワレモコウエキス、クジンエキス、エンメイソウエキス、クワエキス、ユーカリエキス、ローズマリーエキス、ビワエキス、ウワウルシエキス、ホップエキス、ユッカエキス、アロエエキス、ケイヒエキス、ガジュツエキス等の植物抽出物、フェネチルアルコール、ジヒドロファルネソール、ジアセチル、チモール、トランス-2-ヘキセナール、リナロール、1,8-シネオール、アセトイン及びこれらの誘導体等の抗菌性香料、酸化亜鉛等の金属酸化物、硫酸銅、酢酸銅、塩化第二銅、硫酸亜鉛、パラフェノールスルホン酸亜鉛、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、クロルヒドロキシアルミニウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム等の金属塩、珪藻土、粘土鉱物及び活性炭等が挙げられる。これらは、1種単独又は2種以上の混合物として用いることができる。これらの中でも、グリチルレチン酸、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ハロカルバン、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、レゾルシン、塩酸クロルヘキシジン、フェノール、フェノキシエタノール、安息香酸誘導体、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル、トリクロロカルバニリド、トリエチルシトレート、ヘキサクロロフェン、グルコン酸クロルヘキシジン、トリクロサン、サリチル酸、ソルビン酸、塩化リゾチーム、エチルヘキシルグリセリン、銀担持ゼオライト、銀担持シリカ、植物抽出物、抗菌性香料、金属塩、金属酸化物、珪藻土、粘土鉱物及び活性炭が好ましく、グリチルレチン酸、イソプロピルメチルフェノール、金属塩、金属酸化物、銀担持ゼオライト及び活性炭が特に好ましい。
【0015】
(A)デオドラント成分の配合量は、本発明の皮膚外用組成物全体に対して、0.01質量%以上40.0質量%以下とすることが好ましく、特に、0.05質量%以上20.0質量%以下とすることが好ましい。0.01質量%未満であると、(B)脂肪酸及び/又は脂肪酸エステルと併用しても、十分なデオドラント効果が得られず、一方、40.0質量%を超えると、製剤中での溶解や分散が困難となる。
【0016】
((B)脂肪酸及び/又は脂肪酸エステル)
本発明に用いられる(B)脂肪酸及び/又は脂肪酸エステルは、炭素数6から12の脂肪酸及び/又は炭素数6から12の脂肪酸と炭素数1から6の多価アルコールとのモノエステルから選ばれる1種以上を皮膚外用組成物に含有させる。
【0017】
コリネバクテリウム属菌や黄色ブドウ球菌、アクネ桿菌が属するグラム陽性細菌に対しては、炭素数8から12の飽和脂肪酸、炭素数14、16及び18の不飽和脂肪酸、グリセリン脂肪酸エステルが抗菌作用を示し、また、アシネトバクター属菌が属するグラム陰性菌に対しては、炭素数8以下の脂肪酸が抗菌作用を示すことが知られている。本発明の皮膚外用組成物は、(A)デオドラント成分と(B)脂肪酸及び/又は脂肪酸エステルとを併用することで、従来知られていた効果よりも極めて低濃度で、デオドラント効果を得ることができる。
【0018】
これらの中でも、脂肪酸は、相乗効果の観点から、カプリン酸が好ましい。また、脂肪酸エステルは、臭気や溶解性の観点から、炭素数8から12の脂肪酸と炭素数3から6の多価アルコールとのエステルが好ましく、グリセリンモノカプリル酸エステル、グリセリンモノカプリン酸エステル、グリセリンモノラウリン酸エステル、プロピレングリコールモノカプリン酸エステル、ジグリセリンモノラウリン酸エステルがより好ましい。
【0019】
(B)脂肪酸及び/又は脂肪酸エステルの配合量は、本発明の皮膚外用組成物全体に対して、0.01質量%以上10.0質量%以下とすることが好ましく、特に、0.05質量%以上1.0質量%以下とすることが好ましい。0.01質量%未満であると、(A)デオドラント成分と併用しても、十分なデオドラント効果が得られず、一方、1.0質量%を超えると、臭気や製剤中での均一な溶解が問題となる。
【0020】
本発明の皮膚外用組成物において、(A)デオドラント成分の含有量(質量%)と、(B)脂肪酸及び/又は脂肪酸エステルの含有量(質量%)との質量比((A):(B))は、組成物の安定性、使用感や性能等の観点から、0.005:99.995以上99.8:0.2以下の範囲で任意に調整することができる。
【0021】
((C)溶解剤)
本発明の皮膚外用組成物は、さらに、(C)溶解剤として、炭素数1から3のアルコールを本発明の皮膚外用組成物全体に対して、0.001質量%以上90質量%以下で含有することが好ましい。炭素数1から3のアルコールは、(B)脂肪酸及び/又は脂肪酸エステルの溶解性を向上させる。炭素数1から3のアルコールとしては、一価又は多価アルコール類のいずれでもよく、例えば、メタノール、エタノール、無水エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、プロピレングリコール、グリセリンが挙げられる。これらは、1種単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0022】
一方、本発明の皮膚外用組成物の皮膚に対する刺激性を低下させるために、上記(C)溶解剤を実質的に含有しないことが好ましい。
【0023】
(油剤)
本発明の皮膚外用組成物には、さらに(D)油剤を配合することが好ましい。(D)油剤としては、一般に化粧料、医薬品分野で用いられ得るものであれば特に限定はなく、例えば、炭化水素油、合成エステル油、シリコーン油、シリコーン誘導体、動植物油、リン脂質、高級脂肪酸、高級アルコール、フッ素系油剤等が挙げられる。これらは、1種単独又は2種以上の混合物として用いることができる。また、(D)油剤の常温での状態は、液状、半固形、固形のいずれも使用することができる。
【0024】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、イソパラフィン、パラフィン、α-オレフィンオリゴマー、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
【0025】
合成エステル油としては、例えば、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、乳酸オクチルドデシル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、12―ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸アルキルグリコール、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリル、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、テトライソステアリン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、(イソステアリン酸/セバシン酸)ジトリメチロールプロパンオリゴエステル、トリエチルヘキサン酸エリスリチル、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、イソステアリン酸トレハロースエステルズ、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリスリチル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、テトライソステアリン酸ジグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、(アジピン酸・2-エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセリルオリゴエステル、(2-ヘキシルデカン酸・セバシン酸)ジグリセリルオリゴエステル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸エチル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、トリイソパルミチン酸グリセリン、酢酸エチル、酢酸ブチル、クエン酸トリエチル、トリ(ベヘン酸/イソステアリン酸/エイコサン二酸)グリセリル、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル、(ベヘン酸/エイコサン二酸)ポリグリセリル、コハク酸ビスエトキシジグリコール、ジイソノナン酸ネオペンチルグリコール、(イソステアリン酸ポリグリセリル-2/ダイマージリノール酸)コポリマー、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油、ジ(カプリル酸/カプリン酸)プロパンジオール、ジイソステアリン酸プロパンジオール、オクタカプリル酸ポリグリセリル-6、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール等が挙げられる。
【0026】
シリコーン油としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン等の環状ポリシロキサン、ポリオキシエチレンポリアルキルシロキサン等が挙げられる。また、シリコーン誘導体としては、例えば、アモジメチコン、アミノプロピルジメチコン等のアミノ変性シリコーン、ジメチコンコポリオール、ポリオキシアルキレンシリコーン等のポリエーテル変性シリコーン、シクロメチコン等の環状シリコーン、メチルポリシロキサン及び高重合メチルポリシロキサン等のジメチコン、メチルフェニルポリシロキサン等のフェニル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、アクリルシリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、架橋型シリコーン等が挙げられる。
【0027】
動植物油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、グレープシード油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カロット油、キューカンバー油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、月見草油、カカオ脂、ヤシ油、牛脂、羊脂、馬脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヤシ油、硬化パーム油、硬化牛脂、硬化ヒマシ油、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、カポックロウ、サトウキビロウ、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ジョジョバロウ、セラックロウ等が挙げられる。
【0028】
リン脂質としては、例えば、大豆リン脂質、水添大豆リン脂質、菜種リン脂質、水添菜種リン脂質、卵黄リン脂質、水添卵黄リン脂質等のレシチン類が挙げられる。
【0029】
高級脂肪酸としては、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン(ベヘニン)酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0030】
高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の分枝鎖アルコール等が挙げられる。
【0031】
フッ素系油剤としては、例えば、パーフルオロデカリン、パーフルオロアダマンタン、パーフルオロブチルテトラハイドロフラン、パーフルオロオクタン、パーフルオロノナン、パーフルオロペンタン、パーフルオロデカン、パーフルオロドデカン等が挙げられる。
【0032】
これらの中でも、(A)デオドラント成分の皮膚残存性を高め、擦れたり汗をかいたりするような実使用場面においても持続性を高める観点から、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、ワセリン等の固形又は半固形の非極性炭化水素油の他、シリコーン油やシリコーン誘導体等を用いることが好ましい。
【0033】
本発明の皮膚外用組成物における(D)油剤の含有量は、用途や所望の効果の程度に応じて適宜設定され得るが、例えば、皮膚外用組成物の総質量に対し、(D)油剤が、0.01質量%以上60質量%以下が好ましく、0.1質量%以上50質量%以下がより好ましい。
【0034】
(粉体成分)
本発明の皮膚外用組成物には、さらに、(E)粉体成分を配合することが好ましい。(E)粉体成分を含有することにより、本発明の皮膚外用組成物を塗布したときのさらさら感と、(A)デオドラント成分の皮膚残存性がより一層効果的に高められる。(E)粉体成分としては、一般に化粧料、医薬品分野で用いられ得るものであれば特に限定はなく、例えば、タルク、マイカ、カオリン、魚鱗箔、絹雲母、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、雲母チタン、バーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、酸化マグネシウム、無水ケイ酸、シリコーン粉末、ゼオライト、ベントナイト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、窒化ホウ素、二酸化チタン、金粉、銀紛、銅紛等の無機粉体成分;ナイロン粉末、ポリアミド樹脂粉末、ポリエチレン粉末、ポリプロピレン粉末、ポリエステル粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、ポリアクリル酸アルキル粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四フッ化エチレン粉末、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂、微結晶繊維粉体、デンプン末、ラウロイルリジンセルロース粉末等の有機粉体成分;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、パルミチン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム等の金属石鹸;有機顔料;無機顔料等が挙げられる。これらは、1種単独又は2種以上の混合物として用いることができる。これらの中でも、本発明の皮膚外用組成物を塗布した際に、さらさら感や白残りの少なさといった使用性の観点から、タルク、無水ケイ酸、ポリアクリル酸アルキル粉末を含有することが好ましい。
【0035】
(E)粉体成分は、その少なくとも一部が撥水化処理あるいは親水化処理等の表面処理が施されていてもよい。撥水化処理としては、例えば、シリコーン化合物処理、フッ素化合物処理、界面活性剤処理、増粘剤処理、金属石鹸処理、アミノ酸処理、油剤処理、アクリル処理等があげられる。また、親水化処理としては、無機リン酸塩処理、アルギン酸処理等があげられる。
【0036】
(E)粉体成分の含有量は、皮膚外用組成物の総質量に対し、0.1質量%以上50質量%以下とすることが好ましく、特に、1.0質量%以上40質量%以下とすることが好ましい。0.1質量%未満であると、さらさら感が得にくく、一方、50質量%を超えると、容器に収納した皮膚外用組成物が取り出しにくくなるおそれがある。
【0037】
(その他の有効成分)
本発明の皮膚外用組成物には、デオドラント以外に、本発明の効果を阻害しない範囲で、保湿成分、賦活化成分、抗炎症成分、抗アレルギー成分、美白成分、ビタミン類、DNAの損傷の予防及び/又は修復作用を有する成分、収斂成分、紫外線防御成分、活性酸素抑制成分等の、化粧品や医薬部外品に添加しうる有効成分を配合することができる。これらは、1種単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0038】
(その他の成分)
皮膚外用組成物には、上記の成分以外に、本発明の効果を阻害しない範囲で、グリセリン、ジグリセリン、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール等の炭素数4以上の多価アルコール;セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール;カラギーナン、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース等の増粘剤;トコフェロール及びその誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体等の酸化防止剤;エデト酸塩、リン酸、ポリリン酸ナトリウム等の金属イオン封鎖剤;動物及び植物エキス;クエン酸、酒石酸等のpH調整剤;シリコーン類、界面活性剤(アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性)、防腐剤、着色剤、香料等を適宜配合することができる。
【0039】
本発明の皮膚外用組成物は、常法に従って製造することができ、例えば、W/O型、O/W型、O/W/O型、W/O/W型、W/Si型等の乳化型、パウダー分散の非水系型、固形型、液状型、スティック型、揮発性油型、粉状型、ゼリー型、ジェル型、ペースト型、乳化高分子型、シート型、ミスト型、スプレー型等の種々の剤型とすることができる。
【0040】
また、本発明の皮膚外用組成物の用途は、特に限定はなく、例えば、化粧水、乳液、クリーム、ジェル、美容液、日焼け止め用化粧料、パック、マスク、ハンドクリーム、ボディローション、ボディークリーム、エッセンス等の基礎化粧料;洗顔料、メイク落とし、ひげそり剤、ボディーシャンプー等の洗浄用化粧料;リップクリーム、口紅等の口唇用化粧料、白粉・打粉、ファンデーション、マスカラ、頬紅、アイライナー、アイシャドー、眉墨、アイブロー等のメイクアップ化粧料;シャンプー、リンス、トリートメント等の毛髪用化粧料;デオドラント剤等が挙げられる。
【0041】
これらの中でも、本発明の皮膚外用組成物は、優れたデオドラント効果を有することから、デオドラント剤に配合し、デオドラント製品として利用することが好ましい。デオドラント剤としては、エアゾール型、ミスト型、ロールオン型、スティック型、クリーム型等の様々な剤型とすることができる。本発明の皮膚外用組成物を配合したデオドラント剤は、常法に従って製造することができる。
【0042】
エアゾール型の場合、(A)デオドラント成分と、(B)脂肪酸及び/又は脂肪酸エステルを含む皮膚外用組成物の他に、原液に配合した有効成分を均一に肌に付着させるために、噴射剤を含むことが好ましい。
【0043】
噴射剤としては、例えば液化石油ガスLPG(プロパン、n-ブタン、イソブタン)、イソペンタン、ジメチルエーテル、炭酸ガス、窒素ガス等が挙げられる。噴射剤の20℃における蒸気圧(ゲージ圧)は、0.10MPa以上0.35MPa以下が好ましく、0.15MPa以上0.25MPa以下がより好ましい。
【0044】
原液の含有量(質量%)と、噴射剤の含有量(質量%)との質量比(原液:噴射剤)は、1:99以上99:1以下が好ましく、2:98以上96:4以下がより好ましく、5:95以上40:60以下がさらに好ましい。上記範囲内であると、有効成分が均一に皮膚に付着しやすくなる。
【実施例】
【0045】
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
【0046】
[実施例1~10、比較例1及び2]
表1に示す処方のデオドラントスティックを常法に従って製造し、匂い強度変化を評価した。結果を表1に示す。
【0047】
<匂い強度変化>
試験実施前に、3名の専門パネラーが被験者5名の左右の腋の臭気強度を評価した。被験者の腋の片方に試験試料を塗布し、もう片方は未塗布とした。塗布24時間後に3名の専門パネラーが左右の腋の臭気を評価し、発汗前と比較した。24時間後の匂い強度が、試料を塗布した部位が未塗布部に比べ、非常に匂いを抑制している場合は◎、匂いを抑制している場合は〇、やや匂いを抑制している場合は△、臭いに差がない場合は×とした。その結果を表1~4に示す。
【0048】
【0049】
[実施例11及び12]
表2に示す処方のロールオン型制汗剤を常法に従って製造し、匂い強度変化を評価した。結果を表2に示す。
【0050】
【0051】
[実施例13]
表3に示す処方のO/Wクリームを常法に従って製造し、匂い強度変化を評価した。結果を表3に示す。
【0052】
【0053】
[実施例14]
表4に示す処方のデオドラントスプレーを常法に従って製造し、匂い強度変化を評価した。結果を表4に示す。
【0054】
【0055】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。