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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-24
(45)【発行日】2023-11-01
(54)【発明の名称】光電気混載基板
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/12 20060101AFI20231025BHJP
   G02B 6/42 20060101ALN20231025BHJP
【FI】
G02B6/12 301
G02B6/42
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019068302
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020166188
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】古根川 直人
(72)【発明者】
【氏名】一ノ瀬 幸史
【審査官】野口 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-151570(JP,A)
【文献】特開2010-054916(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0124021(US,A1)
【文献】特開2015-232639(JP,A)
【文献】特開2014-095782(JP,A)
【文献】特開2014-106355(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0287335(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12-6/14
6/26-6/27
6/30-6/34
6/42-6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光導波路および電気回路基板を厚み方向一方側に向かって順に備え、
前記電気回路基板は、プリント配線板と電気的に接続するための端子を含み、
前記端子が、前記厚み方向に投影したときに、前記光導波路とずれており、
前記電気回路基板は、金属支持層、ベース絶縁層および前記端子を前記厚み方向一方側に向かって順に備え、
前記厚み方向に直交する直交方向に沿う断面視で、前記ベース絶縁層の前記直交方向両端部のそれぞれは、前記金属支持層の前記直交方向両端部のそれぞれから、前記直交方向両外側のそれぞれに突出し
前記電気回路基板の面積に対する、前記光導波路および前記電気回路基板の重複部分の面積の百分率が、5%以上、70%以下であることを特徴とする、光電気混載基板。
【請求項2】
前記光導波路が、前記厚み方向および光の伝送方向に直交する直交方向に沿う断面視で、前記電気回路基板に対して、前記直交方向内側に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の光電気混載基板。
【請求項3】
前記電気回路基板の面積に対する、前記光導波路および前記電気回路基板の重複部分の面積の百分率が、5%以上、50%以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の光電気混載基板。
【請求項4】
前記端子は、前記厚み方向および光の伝送方向に直交する直交方向において互いに間隔を隔てて複数配置され、
前記複数の端子は、前記光導波路の前記直交方向中央部を前記伝送方向に沿って通過する中央線に対して、対称に配置されていることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の光電気混載基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電気混載基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂からなる光導波路、および、電気回路基板を厚み方向に順に備える光電気混載基板が知られている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載の光電気混載基板では、電気回路基板は、外部基板の端子と電気的に接続するための外部側端子を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2018-151570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、外部側端子と、外部基板の端子との接続方法は、種々あるが、例えば、それらの間にはんだを配置し、次いで、はんだに超音波を当てて、はんだを溶解させる方法(1)がある。
【0006】
他にも、外部側端子と、外部基板の端子との間に、異方性導電膜(ACF)や異方性導電ペースト(ACP)を配置し、次いで、外部側端子と、ACFまたはACPと、端子とを、熱圧着する方法(2)などが挙げられる。なお、ACFまたはACPは、導電性粒子を含んでおり、厚み方向の熱圧着によって、厚み方向の導電性を発現する。
【0007】
しかし、方法(1)では、光導波路が樹脂からなり、比較的柔軟であることから、超音波が、外部側端子を介して光導波路に逃げる(光導波路で拡散する)。そのため、はんだが十分に溶解せず、その結果、外部側端子と、外部基板の端子との電気的に接続信頼性が低下するという不具合がある。
【0008】
他方、方法(1)において、はんだが完全に溶解するように、超音波の出力を高めると、光電気混載基板が損傷する、具体的には、光導波路が電気回路基板から剥離したり、光導波路の伝送損失が増大したりする。さらには、光電気混載基板に接続される光学素子が損傷するという不具合がある。
【0009】
また、方法(2)では、光導波路が柔軟であることから、熱圧着時の熱および圧力が光導波路に逃げる。そのため、ACFまたはACPにおいて、導電性粒子が厚み方向に配向せず、その結果、外部側端子と、外部基板の端子との電気的に接続信頼性が低下するという不具合がある。
【0010】
他方、方法(2)において、導電性粒子が厚み方向に十分に配向するように、熱圧着の加熱温度や圧力を高めると、光電気混載基板が損傷し、さらには、光学素子が損傷するという不具合がある。
【0011】
本発明は、光電気混載基板やこれに実装される光学素子の損傷を抑制できながら、プリント配線板との電気的な接続信頼性に優れる光電気混載基板を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明(1)は、光導波路および電気回路基板を厚み方向一方側に向かって順に備え、前記電気回路基板は、プリント配線板と電気的に接続するための端子を含み、前記端子が、前記厚み方向に投影したときに、前記光導波路とずれている、光電気混載基板を含む。
【0013】
この光電気混載基板では、端子が、厚み方向に投影したときに、光導波路とずれている。つまり、端子は、光導波路と重ならない。
【0014】
そのため、超音波を用いて、プリント配線板を光電気混載基板に実装する方法(1)であれば、かかる超音波が光導波路に逃げることを抑制しながら、端子と、プリント配線板の端子とを確実に接続することができる。また、上記した作用を奏するので、通常の出力の超音波を用いることができるため、光電気混載基板やこれに実装される光学素子の損傷を抑制できる。
【0015】
また、ACFまたはACPの熱圧着により、プリント配線板を光電気混載基板に実装する方法(2)であれば、かかる熱や圧力が光導波路に逃げることを抑制しながら、端子と、プリント配線板の端子とを確実に接続することができる。また、上記した作用を奏するので、通常の加熱温度や圧力で端子を熱圧着することができるため、光電気混載基板やこれに実装される光学素子の損傷を抑制できる。
【0016】
従って、この光電気混載基板では、光電気混載基板やこれに実装される光学素子の損傷を抑制できながら、端子と、プリント配線板の端子とを優れた接続信頼性で電気的に接続することができる。
【0017】
本発明(2)は、前記光導波路が、前記厚み方向および伝送方向に直交する直交方向に沿う断面視で、前記電気回路基板に対して、前記厚み方向および伝送方向に直交する直交方向内側に配置されている、(1)に記載の光電気混載基板を含む。
【0018】
この光電気混載基板では、光導波路が、断面視で、前記電気回路基板に対して、内側に配置されているので、反りを低減できる。
【0019】
本発明(3)は、前記電気回路基板の面積に対する、前記光導波路および前記電気回路基板の重複部分の面積の百分率が、5%以上、50%以下である、(1)または(2)に記載の光電気混載基板を含む。
【0020】
この光電気混載基板では、光導波路および電気回路基板の重複部分の面積の百分率が50%以下であるので、光電気混載基板の反りを抑制することができ、ひいては、電気回路基板からの光導波路の剥離も抑制できる。一方、光導波路および電気回路基板の重複部分の面積の百分率が5%以上であるので、光導波路の配置の自由度を確保でき、また、光電気混載基板における光の伝送特性を確保できる。
【0021】
本発明(4)は、前記電気回路基板は、金属支持層、ベース絶縁層および前記端子を前記厚み方向一方側に向かって順に備え、前記金属支持層の面積に対する、前記金属支持層および前記ベース絶縁層の重複部分の面積の百分率が、5%以上、50%以下である、(1)~(3)のいずれか一項に記載の光電気混載基板を含む。
【0022】
この光電気混載基板では、金属支持層およびベース絶縁層の重複部分の面積の百分率が50%以下であるので、金属支持層の特性に起因する反りを抑制することができ、ひいては、電気回路基板からの光導波路の剥離も抑制できる。金属支持層およびベース絶縁層の重複部分の面積の百分率が5%以上であるので、金属支持層の配置の自由度を確保できる。
【0023】
本発明(5)は、前記端子は、前記厚み方向および伝送方向に直交する直交方向において互いに間隔を隔てて複数配置され、前記複数の端子は、前記光導波路の直交方向における中央部を前記伝送方向に沿って通過する中央線に対して、対称に配置されている、(1)~(4)のいずれか一項に記載の光電気混載基板を含む。
【0024】
この光電気混載基板では、複数の端子が、光導波路の中央線に対称に配置されているので、光電気混載基板の直交方向における反りを低減できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の光電気混載基板によれば、光電気混載基板やこれに実装される光学素子の損傷を抑制できながら、端子と、プリント配線板の端子とを優れた接続信頼性で電気的に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明の光電気混載基板の一実施形態の平面図を示す。
図2図2は、図1に示す光電気混載基板のX-X線に沿う側断面図を示す。
図3図3は、図1に示す光電気混載基板のY-Y線に沿う正断面図を示す。
図4図4は、図1に示す光電気混載基板に光学素子およびプリント配線板を実装した態様の平面図を示す。
図5図5は、図3に示す光電気混載基板の変形例(ベース絶縁層の下面全面が金属支持層の上面に配置される変形例)を示す。
図6図6は、図3に示す光電気混載基板の変形例(光導波路が電気回路基板の幅方向両端部に配置される変形例)を示す。
図7図7は、図6に示す光電気混載基板のさらなる変形例(第1光導波路の幅方向一端部が電気回路基板から幅方向一方側に突出し、第2光導波路の幅方向他端部が電気回路基板から幅方向他方側に突出する変形例)を示す。
図8図8は、図3に示す光電気混載基板の変形例(光導波路における第1端子と対向する領域に開口を形成した変形例)を示す。
図9図9は、図3に示す光電気混載基板の変形例(複数の第1端子が、光導波路の中央線に対して非対称に配置される変形例)を示す。
図10図10は、比較例1の光電気混載基板の正断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の光電気混載基板の一実施形態を、図1図4を参照して説明する。
【0028】
光電気混載基板1は、長手方向(光の伝送方向の一例)に延びる略シート形状を有する。光電気混載基板1は、光導波路2と、電気回路基板3とを上側(厚み方向一方側の一例)に向かって順に備える。
【0029】
光導波路2は、光電気混載基板1の下側部分に位置する。光導波路2は、長手方向に延びる略シート形状を有する。また、光導波路2の外形形状は、平面視において、光電気混載基板1の外形形状に含まれており、具体的には、次に説明する電気回路基板3より小さい。図3に示すように、光導波路2は、光電気混載基板1における幅方向中間部(具体的には、略中央部)に配置される。また、光導波路2の幅方向中央部を通過し、長手方向に沿う中央線CLは、光電気混載基板1の幅方向中央部を通過し、長手方向に沿う中央線と一致する。
【0030】
光導波路2は、アンダークラッド層4、コア層5およびオーバークラッド層6を下側(厚み方向他方側の一例)に向かって順に備える。
【0031】
コア層5の正断面視における周面は、アンダークラッド層4およびオーバークラッド層6に被覆されている。なお、コア層5は、複数のコア部23を含む。複数のコア部23は、幅方向(厚み方向および光の伝送方向に直交する直交方向の一例)に互いに間隔を隔てて複数(3つ)配置されている。複数のコア部23のそれぞれは、長手方向に沿って延びる。複数のコア部23のそれぞれの長手方向一端部には、ミラー7が形成されている。光導波路2の材料としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂などの透明材料が挙げられる。好ましくは、光信号の伝送性の観点から、エポキシ樹脂が挙げられる。
【0032】
電気回路基板3は、光導波路2の上側に配置されている。電気回路基板3は、長手方向に延びる略板形状を有する。電気回路基板3は、光電気混載基板1の平面視における外形形状を形成する。つまり、平面視において、電気回路基板3の外形形状は、光電気混載基板1の外形形状と同一である。
【0033】
また、図3に示すように、幅方向に沿う断面視で、電気回路基板3の幅方向両端部は、光導波路2より、幅方向両外側に配置されている。詳しくは、電気回路基板3の幅方向両端部は、光導波路2の幅方向両端面から、幅方向両外側に突出する。換言すれば、光導波路2は、幅方向に沿う断面視で、電気回路基板3の幅方向両端面の幅方向内側に位置する(寄る)(内側に偏在する)。
【0034】
また、図2に示すように、長手方向に沿う断面視で、電気回路基板3の長手方向一端部は、光導波路2より、長手方向一方側に配置されている。詳しくは、電気回路基板3の長手方向一端部は、光導波路2の長手方向一端面から、長手方向一方側に突出する。換言すれば、光導波路2は、長手方向に沿う断面視で、電気回路基板3の長手方向一端部の長手方向他方側に位置する(後退する)。
【0035】
電気回路基板3は、金属支持層8、ベース絶縁層9および導体層10を、上側に向かって順に備える。金属支持層8は、第2端子12(後述)に対応する領域に形成されている。一方、図3に示すように、金属支持層8は、幅方向に沿う断面視で、光導波路2に対してわずかに大きいサイズを有する。金属支持層8の材料としては、例えば、ステンレスなどの金属材料が挙げられる。
【0036】
ベース絶縁層9は、電気回路基板3と同一の平面視形状を有する。ベース絶縁層9は、上下方向に投影したときに、金属支持層8を包含しており、具体的には、幅方向に沿う断面視で、ベース絶縁層9の幅方向両端部のそれぞれは、金属支持層8の幅方向両端部のそれぞれから、幅方向両外側のそれぞれに突出する。
【0037】
ベース絶縁層9の材料としては、例えば、ポリイミドなどの絶縁材料が挙げられる。
【0038】
導体層10は、端子の一例としての第1端子11、第2端子12、および、図示しない配線を備える。
【0039】
第1端子11は、プリント配線板(PCB)15と電気的に接続するための端子である。第1端子11は、光電気混載基板1の長手方向一端部に複数配置されている。具体的には、複数の第1端子11は、長手方向一端部において、後述するPCB実装接合エリア16(図4参照)に配置されている。複数の第1端子11は、平面視において、次に説明する複数の第2端子12(図1において図示せず)を囲うように略コ字形状に配置されている。
【0040】
なお、図4が参照されるように、PCB実装接合エリア16は、後述するプリント配線板15と平面視において重複するエリアであって、長手方向他方側に向かって開放される略コ字形状のエリアである。なお、PCB実装接合エリア16は、長手方向にそれぞれ延び、幅方向に互いに間隔が隔てられる2つの長手エリア17と、2つの長手エリア17の長手方向一端部を連結する連結エリア18とを含む。2つの長手エリア17および連結エリア18のそれぞれにおいて、複数の第1端子11が、互いに間隔を隔てて整列配置されている。
【0041】
また、第1端子11は、光導波路2の中央線CLに対して、対称に配置されている。
【0042】
導体層10の材料としては、例えば、銅などの導体材料が挙げられる。
【0043】
電気回路基板3の面積(平面積と同義。以下同様。)に対する、光導波路2および電気回路基板3の重複部分の面積の百分率は、例えば、50%以下であり、また、例えば、1%以上、好ましくは、5%以上である。なお、図3では、光導波路2および電気回路基板3の重複部分は、第1領域OL1として示される。
【0044】
光導波路2および電気回路基板3の重複部分の面積の百分率が上記した上限以下であれば、光電気混載基板1の反りを抑制することができ、ひいては、電気回路基板3からの光導波路2の剥離も抑制できる。一方、上記した面積の百分率が上記した下限以上であれば、光導波路2の配置の自由度を確保でき、また、光電気混載基板1における光の伝送特性を確保できる。
【0045】
また、金属支持層8の面積に対する、金属支持層8およびベース絶縁層9の重複部分の面積の百分率は、例えば、50%以下であり、また、例えば、1%以上、好ましくは、5%以上である。なお、図3では、金属支持層8およびベース絶縁層9の重複部分は、第2領域OL2として示される。
【0046】
なお、第1領域OL1は、第2領域OL2より狭い。
【0047】
金属支持層8およびベース絶縁層9の重複部分の面積の百分率が、上記した上限以下であれば、金属支持層8のばね特性に起因する反りを抑制することができ、ひいては、電気回路基板3からの光導波路2の剥離も抑制できる。一方、金属支持層8およびベース絶縁層9の重複部分の面積の百分率が上記した下限以上であれば、金属支持層8の配置の自由度を確保できる。
【0048】
そして、この第1端子11は、図1図3に示すように、上下方向に投影したときに、光導波路2とずれている。つまり、第1端子11は、上下方向に投影したときに、光導波路2と重ならない。換言すれば、第1端子11の下側には、光導波路2が配置されていない。
【0049】
具体的には、図1および図3に示すように、長手エリア17の第1端子11は、幅方向に沿う断面視で、光導波路2の両外側に間隔を隔てて配置されている。詳しくは、長手エリア17の第1端子11は、光導波路2の幅方向両端面の両外側に、間隔が隔てられている。
【0050】
また、図1および図2に示すように、連結エリア18の第1端子11は、長手方向に沿う断面視で、光導波路2の長手方向一方側に間隔を隔てて配置されている。詳しくは、連結エリア18の第1端子11は、光導波路2の長手方向一端面の長手方向一方側に、間隔が隔てられている。
【0051】
詳しくは、光導波路2の長手方向一端部は、平面視略コ字形状のPCB実装接合エリア16で囲まれる内側領域13内に配置される。つまり、幅方向に沿う断面視で、2つの長手エリア17は、光導波路2の幅方向両外側に隔てて配置される。また、長手方向に沿う断面視で、連結エリア18は、光導波路2の長手方向一方側に隔てて配置される。
【0052】
第1端子11と光導波路2との平面視におけるずれ量は、最短距離として定義される。
【0053】
図2に示すように、第2端子12は、光学素子14と電気的に接続するための端子である。第2端子12は、平面視において、電気回路基板3の長手方向一端部の中央部に複数配置されている。複数の第2端子12は、第1端子11と間隔を隔てられている。複数の第2端子12は、長手方向および幅方向に互いに間隔を隔てて整列配置されている。なお、複数の第2端子12は、上下方向に投影したときに、光導波路2と重複する。
【0054】
図示しない配線は、複数の第1端子11のそれぞれおよび複数の第2端子12のそれぞれを電気的に接続する。
【0055】
なお、この電気回路基板3は、図示しないが、配線(図示せず)を被覆するカバー絶縁層をベース絶縁層9の上面において備えてもよい。
【0056】
この光電気混載基板1は、公知の方法によって得られ、例えば、まず、電気回路基板3を作製し、次いで、光導波路2を電気回路基板3の下面に作り込む。
【0057】
次に、光電気混載基板1に、光学素子14およびプリント配線板15を実装する方法を説明する。
【0058】
まず、光電気混載基板1、光学素子14、プリント配線板15のそれぞれを準備する。
【0059】
図1および図2の仮想線で示され、図4の実線で示される光学素子14は、光電気混載基板1より小さい平面視サイズを有する略板形状を有する。具体的には、光学素子14は、PCB実装接合エリア16内の内側領域13に配置されるサイズを有する。光学素子14は、その下面において、出入口21および電極22を備える。
【0060】
出入口21は、光学素子14からミラー7に光を出射する光の出口として構成されているか、または、ミラー7からの光を受光する光の入口として構成されている。
【0061】
電極22は、第2端子12に対応して、複数設けられている。
【0062】
具体的には、光学素子14としては、第2端子12から電気の入力を受けて、出入口21から光を出射可能であるレーザーダイオード(LD)や発光ダイオード(LED)(VCSELを含む)、例えば、ミラー10からの光を受光して、第2端子12に電気信号を出力するフォトダイオード(PD)などが挙げられる。
【0063】
図2および図3の仮想線で示され、図4の実線で示されるプリント配線板15は、長手方向に延び、光電気混載基板1より幅広の略平板形状を有する。プリント配線板15は、光電気混載基板1に実装される際、上記したPCB実装接合エリア16に対応する長手方向他端部を有する。具体的には、プリント配線板15の長手方向他端部は、幅方向中央が長手方向一方側に向かって平面視略矩形状に切り欠かれた形状を有する。具体的には、プリント配線板15の長手方向他端部は、平面視において、長手方向他方側に向かって開放される略コ字形状を有する。
【0064】
プリント配線板15は、支持板19および第3端子20を備える。
【0065】
支持板19は、長手方向に延びる板形状をなし、プリント配線板15の外形形状を形成する。支持板19の材料としては、例えば、ガラス繊維強化エポキシ樹脂などの硬質材料が挙げられる。
【0066】
第3端子20は、複数の第1端子11に対応して複数設けられている。複数の第3端子20は、支持板19の長手方向他端部の下面に互いに間隔を隔てて整列配置されている。第3端子20の材料としては、例えば、銅などの導体材料が挙げられる。
【0067】
次いで、この方法では、まず、光学素子14を光電気混載基板1に実装する。具体的には、電極22および第2端子12を公知の電気的な接続方法で接続するとともに、出入口21とミラー7とを光学的に接続する。
【0068】
その後、この方法では、光学素子14が実装された光電気混載基板1に、プリント配線板15を実装する。
【0069】
プリント配線板15の実装方法として、例えば、超音波を利用して、第3端子20および第1端子11を電気的に接続する方法(1)が挙げられる。
【0070】
この方法(1)では、まず、溶融可能部材25を第1端子11の上面に配置する。溶融可能部材の材料としては、例えば、はんだ、金などが挙げられる。
【0071】
続いて、第3端子20の下面が、溶融可能部材25の上端に接触するように、配置する。
【0072】
続いて、第1端子11および/または第3端子20に超音波振動を与える。
【0073】
これによって、溶融可能部材25が溶融(リフロー)して、第1端子11および第3端子20が電気的に接続される。
【0074】
その後、必要により、PCB実装接合エリア16に、接着剤(図示せず)を流し入れて、その後、これを硬化させて、プリント配線板15と光電気混載基板1とを接着する。
【0075】
また、プリント配線板15の実装方法として、異方性導電膜(ACF)や異方性導電ペースト(ACP)を用いる方法(2)を挙げることもできる。
【0076】
方法(2)では、図示しないACFまたはACPを、第1端子11および第3端子20の間に介在させ、その後、光電気混載基板1、プリント配線板15、および、ACFまたはACPを、熱プレスする。熱プレスの条件は、使用するACFまたはACPの種類によって適宜設定される、光電気混載基板1、プリント配線板15、さらには、光学素子14が損傷しない条件が選択される。
【0077】
上記した熱プレスによって、ACFまたはACPにおいて、導電性粒子が上下方向に配向し、これによって、第1端子11および第3端子20が電気的に接続される。
【0078】
これによって、光電気混載基板1に、光学素子14およびプリント配線板15を実装する。
【0079】
そして、この光電気混載基板1では、第1端子11が、上下方向に投影したときに、光導波路2とずれている。つまり、第1端子11は、光導波路2と重ならない。
【0080】
そのため、超音波を用いて、プリント配線板15を光電気混載基板1に実装する方法(1)であれば、かかる超音波が光導波路2に逃げることを抑制しながら、第1端子11と、プリント配線板15の第3端子20とを確実に接続することができる。また、上記した作用を奏するので、通常の出力の超音波を用いることができるため、光電気混載基板1の損傷を抑制する、具体的には、光導波路2が電気回路基板3から剥離したり、光導波路2の伝送損失が増大したりすることを抑制できる。さらには、光電気混載基板1に実装される光学素子14の損傷を抑制できる。
【0081】
また、ACFまたはACPの熱圧着により、プリント配線板15を光電気混載基板1に実装する方法(2)であれば、かかる熱や圧力が光導波路2に逃げることを抑制しながら、第1端子11と、光電気混載基板1の第3端子20とを確実に接続することができる。また、上記した作用を奏するので、通常の加熱温度や圧力で第1端子11を熱圧着することができるため、光導波路2が電気回路基板3から剥離したり、光導波路2の伝送損失が増大したりすることを抑制でき、さらには、光電気混載基板1に実装される光学素子14の損傷を抑制できる。
【0082】
従って、この光電気混載基板1では、光電気混載基板1や光学素子14の損傷を抑制できながら、第1端子11と、プリント配線板15の第3端子20とを優れた接続信頼性で電気的に接続することができる。
【0083】
この光電気混載基板1では、光導波路2が、幅方向における断面視で、電気回路基板3に対して、幅方向内側に配置されているので、反りを低減できる。
【0084】
この光電気混載基板1では、光導波路2および電気回路基板3の重複部分の面積の百分率が、50%以下であるので、光電気混載基板1の反りを抑制することができ、ひいては、電気回路基板3からの光導波路2の剥離も抑制できる。一方、光導波路2および電気回路基板3の重複部分の面積の百分率が上記した5%以上であるので、光導波路2の配置の自由度を確保でき、また、光電気混載基板1における光の伝送特性を確保できる。
【0085】
この光電気混載基板1では、金属支持層8およびベース絶縁層9の重複部分の面積の百分率が、50%以下であるので、金属支持層8のばね特性に起因する反りを抑制することができ、ひいては、電気回路基板3からの光導波路2の剥離も抑制できる。一方、金属支持層8およびベース絶縁層9の重複部分の面積の百分率が5%以上であるので、金属支持層8の配置の自由度を確保できる。
【0086】
この光電気混載基板では、複数の第1端子11が、光導波路3の中央線CLに対称に配置されているので、光電気混載基板1の幅方向における反りを低減できる。
【0087】
<変形例>
以下の各変形例において、上記した一実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、各変形例は、特記する以外、一実施形態態と同様の作用効果を奏することができる。さらに、一実施形態およびその変形例を適宜組み合わせることができる。
【0088】
一実施形態では、光導波路2および電気回路基板3の重複部分の面積の百分率の上限値を50%と設定しているが、これに限定されず、100%以下、好ましくは、80%以下、より好ましくは、70%以下であってもよい。なお、光導波路2および電気回路基板3の重複部分の面積の百分率が70%である態様を、図5の仮想線で描画する。
【0089】
一実施形態では、金属支持層8およびベース絶縁層9の重複部分の面積の百分率の上限値を50%と設定しているが、これに限定されず、100%以下、好ましくは、80%以下、より好ましくは、70%以下であってもよい。なお、金属支持層8およびベース絶縁層9の重複部分の面積の百分率が100%である態様を、図5の実線で描画する。
【0090】
図5の変形例で示すように、幅方向に沿う断面視で、ベース絶縁層9の下面全面は、金属支持層8の上面に配置されている。
【0091】
一実施形態では、幅方向に沿う断面視で、光導波路2は、電気回路基板3の幅方向中間部に配置されているが、例えば、図6に示すように、電気回路基板3の幅方向両端部に配置されていてもよい。
【0092】
図6に示す変形例では、光導波路2は、光電気混載基板1の幅方向一端部および他端部にそれぞれ配置される第1光導波路27および第2光導波路28を分離して備える。第1光導波路27および第2光導波路28は、幅方向において、互いに間隔を隔てて配置される。上下方向に投影したときに、第1光導波路27および第2光導波路28の間に、複数の第1端子11が配置される。第1光導波路27および第2光導波路28は、互いに同一の層構成を有しており、具体的には、アンダークラッド層4、コア層5およびオーバークラッド層6を有する。
【0093】
第1光導波路27の幅方向一端面は、電気回路基板3の幅方向一端面と面一である。第2光導波路28の幅方向他端面は、電気回路基板3の幅方向他端面と面一である。
【0094】
一方、第1光導波路27の幅方向他端面と、第2光導波路28の幅方向一端面とは、上下方向に投影したときに、電気回路基板3と重複する(に含まれる)。
【0095】
図7に示すように、第1光導波路27の幅方向一端部が、電気回路基板3から、幅方向一方側に突出してもよい。第2光導波路28の幅方向他端部が、電気回路基板3から、幅方向他方側に突出してもよい。
【0096】
図8に示すように、光導波路2における第1端子11と対向する領域に、開口29を形成することもできる。開口29は、光導波路2のアンダークラッド層4およびオーバークラッド層6を上下方向に貫通し、コア部23に平行するスリットである。1つの開口29は、上下方向に投影したときに、複数(図8では、図示されず)の第1端子11を含む。但し、光導波路2の外形形状は、電気回路基板3の外形形状と同一である。
【0097】
図9に示すように、幅方向に沿う断面視において、複数の第1端子11が、光導波路2の中央線CLに対して、非対称に配置されてもよい。具体的には、光導波路2が、光電気混載基板1における幅方向一方側部分に配置される。複数の第1端子11が、光電気混載基板1における幅方向他方側部分に配置される。
【実施例
【0098】
以下に実施例比較例、および参考例2~4を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、何ら実施例比較例、および参考例2~4に限定されない。また、以下の記載において用いられる配合割合(割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
【0099】
実施例1比較例1、2、および参考例2~4
表1に記載の各図に対応する光電気混載基板1を100個製造した。
【0100】
<実装評価>
まず、各実施例各比較例、および参考例2~4における100個の光電気混載基板1のそれぞれに、100個の光学素子14のそれぞれと、100個のプリント配線板15のそれぞれとを、順次実装した。
【0101】
実施例1比較例1、および参考例2~4の光電気混載基板1には、プリント配線板15を、通常の出力である1000Wの超音波で、接合した。
【0102】
一方、比較例2の光電気混載基板1には、プリント配線板15を、通常より高い出力である5000Wの超音波で、接合した。
【0103】
その後、下記の項目を評価した。それらの結果を表1に示す。
【0104】
(導通率)
各実施例各比較例、および参考例2~4の光電気混載基板1およびプリント配線板15間の導通率を求めた。
【0105】
(反り量)
各実施例、および参考例2~4の光電気混載基板1の幅方向の反り量を、レーザ顕微鏡を用いて求めた。
【0106】
(電気回路基板からの光導波路の剥離率)
各実施例各比較例、および参考例2~4の光電気混載基板1における電気回路基板3からの光導波路2の剥離率を、レーザ顕微鏡を用いて求めた。
【0107】
(光学素子の損傷率)
各実施例各比較例、および参考例2~4の光電気混載基板1に実装された光学素子14の損傷率を、レーザ顕微鏡を用いて求めた。
【0108】
(光導波路の伝送損失)
各実施例各比較例、および参考例2~4の光電気混載基板1における光導波路2の伝送損失を、光学素子14(VCSEL)の出力に基づいて、求めた。
【0109】
【表1】
【符号の説明】
【0110】
1 光電気混載基板
2 光導波路
3 電気回路基板
8 金属支持層
9 ベース絶縁層
11 第1端子
15 プリント配線板
CL 中央線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10