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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-24
(45)【発行日】2023-11-01
(54)【発明の名称】畜肉又は魚肉加工食品用品質改良剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 29/10 20160101AFI20231025BHJP
   A23L 13/60 20160101ALI20231025BHJP
   A23L 13/00 20160101ALI20231025BHJP
【FI】
A23L29/10
A23L13/60 A
A23L13/00 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019141640
(22)【出願日】2019-07-31
(65)【公開番号】P2021023159
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】390010674
【氏名又は名称】理研ビタミン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉川 隆一
(72)【発明者】
【氏名】中西 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】藤井 淳
【審査官】吉森 晃
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-116673(JP,A)
【文献】特開昭62-215370(JP,A)
【文献】特開2015-221046(JP,A)
【文献】特開平01-179667(JP,A)
【文献】特開平01-112969(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 29/10
A23L 13/60
A23L 17/00
A23L 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)構成脂肪酸100質量%中のステアリン酸及び/又はオレイン酸の含有量が50質量%以上であるソルビタン脂肪酸エステルを0.1~20質量%並びに(b)賦形剤を60~99.9質量%含有し、粉末状大豆蛋白素材を含有しないことを特徴とする畜肉加工食品用品質改良剤。
【請求項2】
請求項1に記載の畜肉加工食品用品質改良剤を畜肉加工食品生地に添加することを特徴とする畜肉加工食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畜肉又は魚肉加工食品用品質改良剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、畜肉ソーセージ、魚肉ソーセージ等の畜肉又は魚肉加工食品は一般消費者に親しまれている。これらの食品は、量販店等で購入後に、加熱処理を行って温かい状態で食べる場合、油感(食品中の油由来のコクを指し、以下同じ)があり、また口溶け(咀嚼時の口溶けを指し、以下同じ)が良いが、冷めた状態で食べる場合、例えば、加熱処理を行わずに食べる場合や、加熱処理後に冷めてから食べる場合、油感がなく、また口溶けが悪いためにネチャついた食感になるという問題がある。
【0003】
ソーセージ、魚肉ソーセージ等の畜肉又は魚肉加工食品の品質を改良する技術としては、例えば、コハク酸モノグリセリドあるいはコハク酸ジグリセリドを含有するハム・ソーセージ類用改質剤(特許文献1)、ソーセージエマルジヨンに対して添加脂肪は0~15重量%、加水は15~35重量%とし、脂肪酸エステル類と増粘性の気泡安定剤を添加して、強制的に空気を送り込み、攪拌混合、成形、加熱して得られることを特徴とする含気性食肉製品(特許文献2)等が提案されている。
【0004】
しかし、これらの技術では、油感や口溶けが十分でなく、また畜肉又は魚肉加工食品の呈味に悪影響を及ぼす場合がある。そこで、冷めた状態でも、油感があり、口溶けの良い畜肉又は魚肉加工食品を製造可能で、かつ、畜肉又は魚肉加工食品の呈味に悪影響を及ぼさない品質改良剤が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平7‐203905号公報
【文献】特開平9‐207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、畜肉又は魚肉加工食品の呈味に悪影響を与えず、冷めた状態でも油感があり、かつ口溶けの良い畜肉又は魚肉加工食品を製造可能な品質改良剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の脂肪酸で構成されるソルビタン脂肪酸エステルと、賦形剤を含有する品質改良剤を用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、この知見に基づきさらに研究を重ね、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、
(1)(a)主構成脂肪酸がステアリン酸及び/又はオレイン酸であるソルビタン脂肪酸エステル並びに(b)賦形剤を含有することを特徴とする畜肉又は魚肉加工食品用品質改良剤、
(2)上記(1)に記載の畜肉又は魚肉加工食品用品質改良剤を畜肉又は魚肉加工食品生地に添加することを特徴とする畜肉又は魚肉加工食品の製造方法、からなっている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の品質改良剤を使用することにより、冷めた状態でも、油感があり、かつ、口溶けの良い畜肉又は魚肉加工食品を製造できる。また、本発明の品質改良剤を使用して製造した畜肉又は魚肉加工食品は、好ましい呈味を有する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の畜肉又は魚肉加工食品用品質改良剤(以下単に「品質改良剤」という)に用いられる(a)主構成脂肪酸がステアリン酸及び/又はオレイン酸であるソルビタン脂肪酸エステル(以下「(a)ソルビタン脂肪酸エステル」という)は、ソルビトール及び/又はその縮合物(ソルビタン、ソルバイド等)と脂肪酸との直接エステル化反応等により製造されるものであって、ステアリン酸及び/又はオレイン酸を主構成脂肪酸とするものである。該ソルビタン脂肪酸エステルは、モノエステル体、ジエステル体、トリエステル体等のいずれであっても良く、あるいはそれらの混合物であっても良い。
【0011】
ここで、本発明の品質改良剤に用いられる(a)ソルビタン脂肪酸エステルにおいて「主構成脂肪酸がステアリン酸及び/又はオレイン酸である」とは、該ソルビタン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸(構成脂肪酸)の大部分はステアリン酸及び/又はオレイン酸であるが、本発明の目的及び効果が達成される範囲で、それら以外の脂肪酸が一種類又は二種類以上含まれても良いとの意味である。より具体的には、該ソルビタン脂肪酸エステルの構成脂肪酸100質量%中のステアリン酸及び/又はオレイン酸の含有量は、通常50質量%以上、好ましくは80質量%以上である。
【0012】
ここで、本発明の品質改良剤に用いられる(a)ソルビタン脂肪酸エステルの構成脂肪酸100質量%中のステアリン酸及び/又はオレイン酸、並びにそれら以外の脂肪酸の含有量は、該ソルビタン脂肪酸エステルの製造の原料である脂肪酸100質量%中の含有量と同じであるが、この含有量は、製造されたソルビタン脂肪酸エステルについて下記工程(1)~(3)を実施して測定しても良い。
(1)試料の調製
「基準油脂分析試験法(I)」(社団法人 日本油化学会編)の[2.4.1.2-1996 メチルエステル化法(三フッ化ホウ素メタノール法)]に準じて試料を調製する。
(2)測定方法
「基準油脂分析試験法(I)」(社団法人 日本油化学会編)の[2.4.2.2-1996 脂肪酸組成(FID昇温ガスクロマトグラフ法)]に準じて測定する。
(3)定量
データ処理装置により記録されたピーク面積の総和に対する各ピーク面積の百分率をもって構成脂肪酸の含有量とする。
【0013】
本発明の品質改良剤に用いられる(a)ソルビタン脂肪酸エステルのうち、ステアリン酸を主構成脂肪酸とするソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、ポエムS‐65V(商品名;構成脂肪酸100質量%中のステアリン酸含有量53質量%;理研ビタミン社製)、ポエムS‐60V(商品名;構成脂肪酸100質量%中のステアリン酸含有量50質量%;理研ビタミン社製)等が商業的に製造・販売されており、本発明ではこれらを用いることができる。
【0014】
本発明の品質改良剤に用いられる(a)ソルビタン脂肪酸エステルのうち、オレイン酸を主構成脂肪酸とするソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、ポエムO‐80V(商品名;構成脂肪酸100質量%中のオレイン酸含有量80質量%;理研ビタミン社製)等が商業的に製造・販売されており、本発明ではこれらを用いることができる。
【0015】
本発明の品質改良剤100質量%中の(a)ソルビタン脂肪酸エステルの配合量としては、通常0.1~20質量%、好ましくは1~10質量%である。
【0016】
本発明の品質改良剤に用いられる(b)賦形剤としては、粉末状の食品素材であれば特に制限はなく、例えば、澱粉、加工澱粉等の澱粉類;デキストリン、水飴等の澱粉分解物;乳糖、トレハロース等の糖類;マルチトール、エリスリトール、キシリトール等の糖アルコール等が挙げられ、好ましくは、澱粉分解物、糖類である。これら(b)賦形剤は、一種類のみを単独で用いても良く、二種類以上を組み合わせて用いても良い。
【0017】
本発明の品質改良剤100質量%中の(b)賦形剤の配合量としては、通常60~99.9質量%、好ましくは80~95質量%である。
【0018】
本発明の品質改良剤の製造方法としては、(a)ソルビタン脂肪酸エステルと(b)賦形剤とを均一に混合できる方法であれば特に制限はない。混合方法を例示すれば、(a)ソルビタン脂肪酸エステルが液状の場合、(a)ソルビタン脂肪酸エステルを(b)賦形剤に添加してフードプロセッサー等で混練する方法等が挙げられる。(a)ソルビタン脂肪酸エステルが固体状(例えば、粉末状、ビーズ状等)の場合は、そのまま(b)賦形剤に混合する方法等が挙げられる。
【0019】
前記製造方法において、あらかじめ(a)ソルビタン脂肪酸エステル及び油脂を混合し、必要であれば加熱及び溶融して調整した液状の油脂組成物を、(b)賦形剤に混練しても良い。このようにすることで、(a)ソルビタン脂肪酸エステルに適度な流動性が付与され、(b)賦形剤に均一に混練することができる。
【0020】
本発明の品質改良剤には、本発明の効果を阻害しない範囲で、酸化防止剤、有機酸塩、無機酸塩、アミノ酸等を配合することができる。中でも、(a)ソルビタン脂肪酸エステルとして、主構成脂肪酸がオレイン酸であるソルビタン脂肪酸エステルを用いる場合、酸化防止剤を用いることが、本発明の品質改良剤の安定性の観点から好ましい。
【0021】
上記酸化防止剤としては、一般に食品に用いられる酸化防止剤であれば特に制限はないが、例えば、トコフェロール、カンゾウ油抽出物、ゴマ油不けん化物、γ-オリザノール、カテキン、没食子酸、クロロゲン酸、酵素処理ルチン、ブドウ種子抽出物、ローズマリー抽出物、ヒマワリ抽出物、クエルセチン、ヤマモモ抽出物等が挙げられ、好ましくはトコフェロールである。
【0022】
本発明が対象となる畜肉又は魚肉加工食品としては、例えば、畜肉ソーセージ、魚肉ソーセージ、畜肉ハム、魚肉ハム、テリーヌ、ミートペースト等が挙げられるが、特に、畜肉ソーセージ、魚肉ソーセージが、本発明が効果的である。なお、ここでいう畜肉ソーセージ、魚肉ソーセージは、それぞれ日本農林規格又は品質表示基準で規定される「ソーセージ」、「魚肉ソーセージ」を含むが、これらに限定されない。
【0023】
本発明の品質改良剤の使用方法に特に制限はないが、例えば、畜肉又は魚肉加工食品生地を調整する工程において、本発明の品質改良剤を畜肉又は魚肉加工食品生地に添加する方法等が挙げられる。本発明の品質改良剤を畜肉又は魚肉加工食品生地に添加することによる畜肉又は魚肉加工食品の製造方法も本発明に含まれる。
【0024】
本発明の品質改良剤の使用量としては特に制限はないが、畜肉又は魚肉加工食品の原料として用いられる畜肉又は魚肉100質量部に対し、通常0.1~3.0質量部、好ましくは0.5~2.0質量部である。
【0025】
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例
【0026】
[品質改良剤の調製]
(1)原材料
1)ソルビタン脂肪酸エステル1(商品名:ポエムS‐65V;主構成脂肪酸:ステアリン酸;理研ビタミン社製)
2)ソルビタン脂肪酸エステル2(商品名:ポエムS‐60V;主構成脂肪酸:ステアリン酸;理研ビタミン社製)
3)ソルビタン脂肪酸エステル3(商品名:ポエムO‐80V;主構成脂肪酸:オレイン酸;理研ビタミン社製)
4)ソルビタン脂肪酸エステル4(商品名:ポエムB‐150;主構成脂肪酸:ベへニン酸;理研ビタミン社製)
5)ソルビタン脂肪酸エステル5(商品名:L‐300;主構成脂肪酸:ラウリン酸;理研ビタミン社製)
6)モノグリセリン脂肪酸エステル1(商品名:エマルジーMS;主構成脂肪酸:ステアリン酸;理研ビタミン社製)
7)モノグリセリン脂肪酸エステル2(商品名:エマルジーOL‐100H;主構成脂肪酸:オレイン酸;理研ビタミン社製)
8)ジグリセリン脂肪酸エステル1(商品名:ポエムDS‐100A;主構成脂肪酸:ステアリン酸;理研ビタミン社製)
9)ジグリセリン脂肪酸エステル2(商品名:ポエムDO‐100V;主構成脂肪酸:オレイン酸;理研ビタミン社製)
10)プロピレングリコール脂肪酸エステル1(商品名:リケマールPS‐100;主構成脂肪酸:ステアリン酸;理研ビタミン社製)
11)プロピレングリコール脂肪酸エステル2(商品名:リケマールPO‐100V;主構成脂肪酸:オレイン酸;理研ビタミン社製)
12)グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル1(商品名:ポエムW‐60;主構成脂肪酸:ステアリン酸;理研ビタミン社製)
13)グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル2(商品名:PANODAN AB‐100VEG;主構成脂肪酸:オレイン酸;DANISCO社製)
14)グリセリンコハク酸脂肪酸エステル1(商品名:ポエムB‐20;主構成脂肪酸:ステアリン酸;理研ビタミン社製)
15)グリセリンコハク酸脂肪酸エステル2(試作品;主構成脂肪酸:オレイン酸)
16)レシチン(商品名:SLPペースト;辻製油社製)
17)デキストリン(商品名:H‐PDX;松谷化学工業社製)
18)トコフェロール(商品名:Eオイル400;理研ビタミン社製)
19)菜種油(商品名:ナタネ白絞油;ボーソー油脂社製)
【0027】
(2)品質改良剤の配合
上記原材料を用いて調製した品質改良剤1~19の配合組成を表1に示す。このうち、品質改良剤1~4は本発明に係る実施例であり、品質改良剤5~19はそれらに対する比較例である。
【0028】
【表1】
【0029】
(3)品質改良剤の調製方法
(3-1)品質改良剤1について
表1に示した配合割合に従って原材料の合計が100gとなるように量りとり、ビニール袋に入れて手で持ち1分間均一に混合し、品質改良剤1を得た。
【0030】
(3-2)品質改良剤2、3、5~7、9、11、13、15について
表1に示した配合割合に従って原材料の合計が100gとなるように量りとり、ビーカーに乳化剤及び油脂を入れ、60℃に加熱及び溶融しながらスパチュラで1分間混合した。該混合物を50℃まで冷ました後、賦形剤に添加し、フードプロセッサー(型式:MK‐K48;パナソニック社製)にて3分間混練し、品質改良剤2、3、5~7、9、11、13、15を得た。
【0031】
(3-3)品質改良剤4、10、12、14について
表1に示した配合割合に従って原材料の合計が100gとなるように量りとり、ビーカーに乳化剤及び酸化防止剤を入れ、スパチュラで1分間混合した。該混合物を賦形剤に添加し、フードプロセッサー(型式:MK‐K48;パナソニック社製)にて3分間混練し、品質改良剤4、10、12、14を得た。
【0032】
(3-4)品質改良剤8及び16について
表1に示した配合割合に従って原材料の合計が100gとなるように量りとり、ビーカーに乳化剤、酸化防止剤及び油脂を入れ、60℃に加熱及び溶融しながらスパチュラで1分間混合した。該混合物を50℃まで冷ました後、賦形剤に添加し、フードプロセッサー(型式:MK‐K48;パナソニック社製)にて3分間混練し、品質改良剤8及び16を得た。
【0033】
(3-5)品質改良剤17について
表1に示した配合割合に従って原材料の合計が100gとなるように量りとり、乳化剤を賦形剤に添加し、フードプロセッサー(型式:MK‐K48;パナソニック社製)にて3分間混練し、品質改良剤17を得た。
【0034】
(3-6)品質改良剤18及び19について
品質改良剤18及び19は、原材料が一種類のみであるため、当該原材料そのものを品質改良剤18及び19とした。
【0035】
[品質改良剤の評価]
(1)畜肉ソーセージの調製
豚ウデ挽肉(デンマーク産冷凍品を解凍して6mmにミンチしたもの 脂肪分30%含有)1000g、食塩(商品名:精製塩;関東塩業社製)15g、亜硝酸ナトリウム(商品名;オルガノフードテック社製)1g、アスコルビン酸ナトリウム(商品名;BASF社製)0.5g、トリポリリン酸ナトリウム(商品名;太平化学産業社製)3g、グルタミン酸ナトリウム(商品名:MSG Fペーパー;味の素社製)1g、白コショウ(商品名:白コショウ末;カネカサンスパイス社製)1g、グラニュー糖(商品名;三井製糖社製)5g、品質改良剤1~19のうちいずれか10gを、縦型ミキサー(型式:Kitchen Aid;FMI社製)を用いて、1分間ミキシングを行った。その後、氷水150gを加え、畜肉ソーセージ生地が10℃になるまでさらにミキシングを行い、畜肉ソーセージ生地を得た。
得られた畜肉ソーセージ生地を真空包装機(型式:V‐380G;東静電気社製)を用いて脱気し、脱気後、直径20mmの塩化ビニリデン製ケーシングに充填した。充填後、75℃で60分ボイルし、ボイル後、氷水中で30分間冷却し、畜肉ソーセージ1~19を得た。
また、対象例として、品質改良剤を使用しないこと以外は同様に調整し、畜肉ソーセージ20を得た。
【0036】
(2)油感、口溶け及び呈味の評価試験
畜肉ソーセージ1~20を、真空包装機(型式:V‐380G;東静電気社製)を用いて真空パックした後、恒温槽にて60℃まで加温し、加温した畜肉ソーセージを、20℃になるまで室温にて冷却した。冷却後の畜肉ソーセージ1~20を喫食し、油感、口溶け及び呈味について官能評価試験を行った。試験では、表2に示す評価基準に従って10名のパネラーで評価し、評点の平均値を求め、以下の基準に従って記号化した。
◎:極めて良好 平均点3.5以上
○:良好 平均点2.5以上、3.5未満
△:やや悪い 平均点1.5以上、2.5未満
×:悪い 平均点1.5未満
【0037】
【表2】
【0038】
(3)結果
上述した(2)の評価試験の結果を表3に示した。
【0039】
【表3】
【0040】
本発明の品質改良剤1~4を添加した場合、油感及び口溶けの双方の評価項目において「◎」の優れた結果であった。また、呈味は畜肉ソーセージとして好ましいものであった。
これに対し、比較例の品質改良剤5及び6を添加した場合、油感及び口溶けの双方の評価項目において「◎」の結果であったものの、畜肉ソーセージとして好ましい呈味ではなかった。また、比較例の品質改良剤7~19を添加した場合、油感及び口溶けの双方の評価項目において「△」であり、本発明に比べて劣っていた。