(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-24
(45)【発行日】2023-11-01
(54)【発明の名称】球面継手及びそれを備えるロボットの関節構造体
(51)【国際特許分類】
F16C 11/06 20060101AFI20231025BHJP
B25J 17/00 20060101ALI20231025BHJP
F16C 11/10 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
F16C11/06 L
B25J17/00 K
F16C11/10 F
(21)【出願番号】P 2019159743
(22)【出願日】2019-09-02
【審査請求日】2022-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】掃部 雅幸
(72)【発明者】
【氏名】柚木崎 創
(72)【発明者】
【氏名】烏山 純一
【審査官】糟谷 瑛
(56)【参考文献】
【文献】特表平03-501403(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0345547(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 11/06-11/10
F16C 17/10
B25J 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボール部材と、
前記ボール部材と球面接触する内周面を有するソケットと、を備え、
前記ソケットは、前記内周面を形成し、開口部を有するケージ部と、前記ケージ部に設けられている接続部と、を有し、
前記ケージ部には、前記開口部の空間を小さくするように、かつ、前記ボール部材と当接しないように構成されている、締め付け部材が配置されていて、
前記開口部は、前記内周面のうち、最も荷重がかかる部分以外の部分に形成されて
おり、
前記ケージ部が前記締め付け部材により締め付けられ、前記開口部に空間が生じている、球面継手。
【請求項2】
前記ソケットの前記ケージ部は、C字状に形成されていて、前記締め付け部材は、前記ケージ部の両端部を近接するように構成されている、請求項1に記載の球面継手。
【請求項3】
前記ソケットは、2以上に分割されていて、
前記締め付け部材は、分割されている前記ソケットを連結するように構成されている、請求項1に記載の球面継手。
【請求項4】
前記接続部は、棒状に形成されていて、
前記ソケットの前記内周面のうち、最も荷重がかかる部分は、前記接続部の延伸方向に位置する部分である、請求項1~3のいずれか1項に記載の球面継手。
【請求項5】
前記請求項1~4のいずれか1項に記載の球面継手を備える、ロボットの関節構造体。
【請求項6】
前記球面継手は、前記開口部が前記ロボットの外方に位置するように配置されている、請求項5に記載のロボットの関節構造体。
【請求項7】
人型ロボットの足首関節又は股関節に用いられる、請求項6に記載のロボットの関節構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球面継手及びそれを備えるロボットの関節構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットの関節構造に用いるための駆動機構が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されている駆動機構は、例えば、人型ロボットの足首関節などの関節部を駆動させるためのものである。そして、当該駆動機構では、足首関節を構成する第1リンク部材の先端部と第2リンク部材の基端部とが球状継手(球面継手)によって連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている駆動機構であっても、ロボットの荷重が球面継手にかかり、がたつきが生じるおそれがあった。具体的には、球面継手を構成するボール部材と球面接触するソケットの内周面が摩耗したり、ソケット内に充填されているグリスが切れたりすると、球面継手にがたつきが生じるおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、がたつきが生じると、ソケットの内周面の曲率半径を小さくすることで、ボール部材との接触面積を増大させて、がたつきを解消することができる、又はがたつきの発生を抑制することができる、球面継手及びそれを備えるロボットの関節構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記従来の課題を解決するために、本発明に係る球面継手は、ボール部材と、前記ボール部材と球面接触する内周面を有するソケットと、を備え、前記ソケットは、前記内周面を形成し、開口部を有するケージ部と、前記ケージ部に設けられている棒状の接続部と、を有し、前記ケージ部には、前記開口部の空間を小さくするように、かつ、前記ボール部材と当接しないように構成されている、締め付け部材が配置されていて、前記開口部は、前記内周面のうち、最も荷重がかかる部分以外の部分に形成されている。
【0007】
これにより、ボール部材とソケット内周面との間で、がたつきが生じても、がたつきを解消することができる、又はがたつきの発生を抑制することができる。
【0008】
また、本発明に係るロボットの関節構造体は、前記球面継手を備える。
【0009】
これにより、ボール部材とソケット内周面との間で、がたつきが生じても、がたつきを解消することができる、又はがたつきの発生を抑制することができる。
【0010】
本発明の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施形態の詳細な説明から明らかにされる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の球面継手及びそれを備えるロボットの関節構造体によれば、ボール部材とソケット内周面との間で、がたつきが生じても、がたつきを解消することができる、又はがたつきの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本実施の形態1に係る関節構造体を備える、ロボットの概略構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本実施の形態1に係る球面継手を備える、ロボットの関節構造体の概略構成を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図3に示す継手機構をIV-IV線で切断した断面図である。
【
図6】
図6は、本実施の形態2に係る球面継手を有する継手機構の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、全ての図面において、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、全ての図面において、本発明を説明するための構成要素を抜粋して図示しており、その他の構成要素については図示を省略している場合がある。さらに、本発明は以下の実施の形態に限定されない。
【0014】
(実施の形態1)
本実施の形態1に係る球面継手は、ボール部材と、ボール部材と球面接触する内周面を有するソケットと、を備え、ソケットは、内周面を形成し、開口部を有するケージ部と、ケージ部に設けられている棒状の接続部と、を有し、ケージ部には、開口部の空間を小さくするように、かつ、ボール部材と当接しないように構成されている、締め付け部材が配置されていて、開口部は、内周面のうち、最も荷重がかかる部分以外の部分に形成されている。
【0015】
また、本実施の形態1に係る球面継手では、ソケットのケージ部は、C字状又はU字状に形成されていて、締め付け部材は、ケージ部の両端部を近接するように構成されていてもよい。
【0016】
また、本実施の形態1に係る球面継手では、ソケットの内周面のうち、最も荷重がかかる部分は、接続部の延伸方向に位置する部分であってもよい。
【0017】
本実施の形態1に係るロボットの関節構造体では、前記いずれかの球面継手を備える。
【0018】
また、本実施の形態1に係るロボットの関節構造体では、球面継手は、開口部がロボットの外方に位置するように配置されていてもよい。
【0019】
また、本実施の形態1に係るロボットの関節構造体では、人型ロボットの足首関節又は股関節に用いられてもよい。
【0020】
以下、本実施の形態1に係る球面継手及びそれを備えるロボットの関節構造体の一例について、
図1~
図5を参照しながら説明する。
【0021】
[ロボットの構成]
まず、本実施の形態1に係る関節構造体を備える、ロボットの構成について、
図1を参照しながら説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態1に係る関節構造体を備える、ロボットの概略構成を示す模式図である。
【0023】
図1に示すように、ロボット200は、胴体201と、頭202と、一対の腕203、203と、一対の脚204、204と、胴体201内に配置されている制御装置110と、を備えている。脚204は、後述する本実施の形態1に係る関節構造体100を介して、胴体201の一部を構成する腰208に接続されていてもよい。
【0024】
[ロボットの関節構造体の構成]
図2は、本実施の形態1に係る球面継手を備える、ロボットの関節構造体の概略構成を示す斜視図である。なお、
図2においては、ロボットの関節構造体における上下方向、前後方向、及び左右方向を図における上下方向、前後方向、及び左右方向として表している。
【0025】
図2に示すように、本実施の形態1に係るロボットの関節構造体100は、第1リンク10、第2リンク20、第1直動アクチュエータ30A、第2直動アクチュエータ30B、及び関節部40を備えている。
【0026】
第1リンク10と第2リンク20は、関節部40を介して、回動自在に連結されている。そして、本実施の形態1に係るロボットの関節構造体100では、第1直動アクチュエータ30A及び第2直動アクチュエータ30Bが進退動作をすることで、第2リンク20が第1リンク10に対して、相対的に揺動するように構成されている。
【0027】
なお、本実施の形態1に係るロボットの関節構造体100では、第1リンク10がロボットの下肢部分を構成し、第2リンク20がロボットの足の部分を構成し、関節部40が足首の関節を構成する形態を採用しているが、これに限定されない。
【0028】
関節構造体100は、例えば、第1リンク10がロボットの胴体の下半身部分(腰部分)を構成し、第2リンク20がロボットの大腿部分を構成し、関節部40がロボットの股関節を構成する形態であってもよい。関節部40がロボットの股関節を構成する形態では、
図2に示す上下方向を反対にした構成となる。
【0029】
第1リンク10は、箱状に形成されているフレーム部材11と、短冊状に形成されている取り付け部材12と、箱状に形成されているブロック部材13と、を有している。取り付け部材12は、フレーム部材11における前面の下端部に設けられている。ブロック部材13は、フレーム部材11における後面の上端部に設けられている。
【0030】
また、第2リンク20は、板状の第1部材21と、柱状(ここでは、円柱状)の第2部材22と、を有している。第2部材22には、一対のフランジ部23A、23Bが設けられている。
【0031】
第1リンク10と第2リンク20は、ブロック部材50を介して接続されている。具体的には、ブロック部材50は、前後方向に沿って延在する第1軸部材51を介して、取り付け部材12の後面の下端部に、回動自在に取り付けられている。また、ブロック部材50は、一対のフランジ部23A、23Bの間に配置されていて、これらの部材には、左右方向に沿って延在する第2軸部材52が挿通されている。
【0032】
これにより、第2リンク20は、第1リンク10に対して、相対的にロール軸(第1軸部材51)回りに、及びピッチ軸(第2軸部材52)回りに揺動することができる。
【0033】
また、第1リンク10のフレーム部材11の左側面には、第1直動アクチュエータ30Aが配置されている。同様に、第1リンク10のフレーム部材11の右側面には、第2直動アクチュエータ30Bが配置されている。なお、第2直動アクチュエータ30Bは、第1直動アクチュエータ30Aと構成は同じであるため、その詳細な説明は省略する。
【0034】
第1直動アクチュエータ30Aは、ここでは、駆動モータ(サーボモータ)31、筐体32、ロッド部材33、プーリ34、及びベルト35を有している。筐体32の内部には、ボールねじ機構が配置されている(図示せず)。また、ボールねじ機構を構成するナットが、ロッド部材33と接続されている。そして、第1直動アクチュエータ30Aは、駆動モータ31の回転が、プーリ34及びベルト35を介して、ボールねじ機構に伝達されて、ロッド部材33が、筐体32に対して、相対的に進退駆動するように構成されている。なお、第1直動アクチュエータ30Aは、上記構成に限定されず、公知の種々の直動アクチュエータを用いることができる。
【0035】
また、第1直動アクチュエータ30Aの基端部(筐体32の上端部)は、左右方向に沿って延在する第3軸部材53により、ブロック部材13に回動自在に接続されている。第1直動アクチュエータ30Aの先端部(ロッド部材33の下端部)には、関節部40が接続されている。
【0036】
関節部40は、第1リンク部材1、第2リンク部材2、及び第3リンク部材3を有している。なお、第2直動アクチュエータ30Bの先端部に接続されている関節部40は、第1直動アクチュエータ30Aの先端部に接続されている関節部40と同様に構成されているため、その詳細な説明は省略する。
【0037】
第1リンク部材1の先端部は、左右方向に沿って延在する第5軸部材55により、フレーム部材11の下部に回動自在に接続されている。また、第1リンク部材1の後端部は、U字状に形成されていて、ロッド部材33を左右方向から挟むように配置されている。そして、第1リンク部材1の後端部には、左右方向に沿って延在する第4軸部材54が挿通されている。
【0038】
第2リンク部材2は、筒状に形成されていて、上端部と下端部のそれぞれには、本実施の形態1に係る球面継手60が配置されている(
図3~
図5参照)。なお、以下においては、第2リンク部材2と、当該第2リンク部材2の両端部に配置されている球面継手60と、から構成される機構を継手機構41と称することもある。また、継手機構41(球面継手60)の詳細な説明は後述する。
【0039】
継手機構41の上端部は、U字状に形成されているロッド部材33の後端部の内部空間に配置されている。換言すると、ロッド部材33の後端部は、継手機構41の上端部を左右方向から挟むように配置されている。また、上述したように、第1リンク部材1の後端部は、ロッド部材33の後端部を左右方向から挟むように配置されている。
【0040】
また、継手機構41の上端部及びロッド部材33の後端部には、第4軸部材54が挿通されている。換言すると、第4軸部材54は、第1リンク部材1の後端部、ロッド部材33の後端部、及び継手機構41の上端部を挿通するように配置されている。
【0041】
継手機構41の下端部は、U字状に形成されている第3リンク部材3の上端部の内部空間に配置されている。換言すると、第3リンク部材3の上端部は、継手機構41の下端部を左右方向から挟むように配置されている。また、継手機構41の下端部及び第3リンク部材3の上端部には、第6軸部材56が挿通されている。さらに、第3リンク部材3の下端部は、第2リンク部材2の第2部材22に接続されている。
【0042】
上記構成により、関節部40は、第1直動アクチュエータ30A及び第2直動アクチュエータ30Bが、ともに、伸長動作をする、又は退縮動作をすることにより、第2リンク20が第1リンク10に対して、相対的にピッチ軸(第2軸部材52)回りに揺動させることができる。また、関節部40は、第1直動アクチュエータ30A及び第2直動アクチュエータ30Bのうち、一方の直動アクチュエータが、伸長動作をし、他方の直動アクチュエータが退縮動作をすることにより、第2リンク20が第1リンク10に対して、相対的にロール軸(第1軸部材51)回りに揺動させることができる。
【0043】
[継手機構の構成]
次に、継手機構41の構成について、
図2~
図5を参照しながら説明する。
【0044】
図3は、
図2に示す継手機構の背面図である。
図4は、
図2に示す継手機構の側面図である。
図5は、
図3に示す継手機構をIV-IV線で切断した断面図である。
【0045】
図3~
図5に示すように、継手機構41は、第2リンク部材2、及び球面継手60を備えていて、球面継手60は、適宜な手段により、第2リンク部材2に固定されている。例えば、第2リンク部材2の内周面と後述する球面継手60の接続部62Bの外周面にねじが切られていて、球面継手60は、第2リンク部材2にねじ止めされていてもよい。また、例えば、球面継手60は、第2リンク部材2に溶接により固定されていてもよい。
【0046】
球面継手60は、ボール部材61、ソケット62、及び締め付け部材63を有している。ボール部材61は、球状に形成されている。また、本実施の形態1においては、ボール部材61には、関節構造体100における左右の側面が切りかかれていて、平面が形成されている。また、ボール部材61には、左右方向に延びるように貫通孔61Aが形成されていて、貫通孔61Aには、第4軸部材54又は第6軸部材56が挿通されている。
【0047】
ソケット62は、ボール部材61と球面接触する内周面が形成されている、ケージ部62Aと、ケージ部62Aの外周面から延びるように形成されている、棒状の接続部62Bと、を有する。
【0048】
また、ケージ部62Aには、スリット状に形成されている、開口部6Cが設けられている。換言すると、ケージ部62Aは、C字状(又はU字状)に形成されている。開口部6Cは、内周面のうち、最も荷重がかかる部分以外の部分に形成されている。
【0049】
ここで、内周面のうち、最も荷重がかかる部分は、接続部62Bの延伸方向に位置する部分であってもよい。また、内周面の内、最も荷重がかかる部分は、第1直動アクチュエータ30A(第2直動アクチュエータ30B)のロッド部材33の進退方向(関節部40における上下方向)に位置する部分であってもよい。
【0050】
なお、球面継手60は、開口部6Cがロボット200の外方に位置するように配置されていてもよい。具体的には、ロボット200が人型ロボットである場合に、球面継手60は、開口部6Cが前方又は後方に位置するように、ロボット200に配置されていてもよい。また、ロボット200が人型ロボットである場合に、球面継手60は、開口部6Cが左方又は右方に位置するように、ロボット200に配置されていてもよい。
【0051】
また、開口部6Cは、接続部62Bの延伸方向に対して垂直な方向に位置するように、ケージ部62Aに形成されていてもよい。
【0052】
さらに、ケージ部62Aの開口部6Cを形成する両端部には、後部に延びるように、突起部6A、6Bが設けられている。突起部6A、6Bは、ケージ部62Aの外周面から突出するように設けられている。また、突起部6A、6Bには、上下方向に延びるように、かつ、ケージ部62Aの内周面と連通しないように、貫通孔が設けられていて、当該貫通孔には、締め付け部材63が嵌挿されている。
【0053】
締め付け部材63は、突起部6A、6Bを近接させることで、開口部6Cの空間体積を小さくすることができる。これにより、ケージ部62Aの内周面の曲率半径を小さくすることができる。
【0054】
また、締め付け部材63は、ボール部材61と当接しないように構成されている。これにより、ボール部材61の移動が制限されることがない。
【0055】
このように構成されている、本実施の形態1に係る球面継手60及びそれを備えるロボットの関節構造体100では、開口部6Cの空間を小さくする、締め付け部材63が、ケージ部62Aの突起部6A、6Bに配置されている。
【0056】
これにより、ケージ部62Aの内周面が摩耗したり、ソケット62内に充填されているグリスが切れたりして、球面継手にがたつきが生じても、締め付け部材63により、ケージ部62Aの内周面の曲率半径を小さくすることで、がたつきを解消することができる。また、がたつきが発生する前に、締め付け部材63により、ケージ部62Aの内周面の曲率半径を小さくすることで、がたつきの発生を抑制することができる。
【0057】
また、本実施の形態1に係る球面継手60及びそれを備えるロボットの関節構造体100では、締め付け部材63は、ボール部材61と当接しないように構成されている。これにより、ボール部材61の移動が制限されることがない。
【0058】
さらに、本実施の形態1に係る球面継手60及びそれを備えるロボットの関節構造体100では、開口部6Cがロボット200の外方に位置するように配置されている。
【0059】
これにより、突起部6A、6Bが、ロボット200の動作に干渉することを抑制することができる。また、締め付け部材63に容易にアクセスすることができるので、ロボット200(球面継手60)のメンテナンス作業を容易に実行することができる。
【0060】
(実施の形態2)
本実施の形態2に係る球面継手は、実施の形態1に係る球面継手において、ソケットが、2以上に分割されていて、締め付け部材は、分割されているソケットを連結するように構成されている。
【0061】
以下、本実施の形態2に係る球面継手の一例について、
図5を参照しながら説明する。
【0062】
図6は、本実施の形態2に係る球面継手を有する継手機構の概略構成を示す断面図である。
【0063】
図6に示すように、本実施の形態2に係る球面継手60は、実施の形態1に係る球面継手60と基本的構成は同じであるが、ソケット62が2以上(ここでは、2つ)に分割されている点が異なる。具体的には、ソケット62のケージ部62Aが上下に分割されている。
【0064】
また、本実施の形態2に係る球面継手60では、ケージ部62Aの前部にも、前方に突出するように、突起部6A、6Bが設けられていて、当該突起部6A、6Bの間に開口部6Cが設けられている。さらに、前方の突起部6A、6Bにも、締め付け部材63が配置されている。
【0065】
なお、本実施の形態2においては、ケージ部62Aの前部と後部の両方に、開口部6Cを設ける形態を採用しているが、いずれか一方にのみ、開口部6Cを設ける形態を採用してもよい。
【0066】
このように構成されている、本実施の形態2に係る球面継手60であっても、実施の形態1に係る球面継手60と同様の作用効果を奏する。
【0067】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良又は他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の球面継手及びそれを備えるロボットの関節構造体は、がたつきを解消することができる、又はがたつきの発生を抑制することができるため、有用である。
【符号の説明】
【0069】
1 第1リンク部材
2 第2リンク部材
3 第3リンク部材
6A 突起部
6B 突起部
6C 開口部
10 第1リンク
11 フレーム部材
12 取り付け部材
13 ブロック部材
20 第2リンク
21 第1部材
22 第2部材
23A フランジ部
23B フランジ部
30A 第1直動アクチュエータ
30B 第2直動アクチュエータ
31 駆動モータ
32 筐体
33 ロッド部材
34 プーリ
35 ベルト
40 関節部
41 継手機構
50 ブロック部材
51 第1軸部材
52 第2軸部材
53 第3軸部材
54 第4軸部材
55 第5軸部材
56 第6軸部材
60 球面継手
61 ボール部材
61A 貫通孔
62 ソケット
62A ケージ部
63 締め付け部材
100 関節構造体
110 制御装置
200 ロボット
201 胴体
202 頭
203 腕
204 脚
208 腰