(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-24
(45)【発行日】2023-11-01
(54)【発明の名称】車両用サイドミラー
(51)【国際特許分類】
B60R 1/07 20060101AFI20231025BHJP
B60Q 1/34 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
B60R1/07
B60Q1/34 B
(21)【出願番号】P 2019213329
(22)【出願日】2019-11-26
【審査請求日】2022-09-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年11月28日にロサンゼルスオートショーにて公開 平成31年1月1日にメキシコ国内にて販売開始 平成31年1月11日に東京オートサロンにて公開 平成31年3月1日にアメリカ国内にて販売開始 平成31年3月1日にドイツ国内にて販売開始 令和元年5月24日に日本国内にて販売開始
(73)【特許権者】
【識別番号】000147660
【氏名又は名称】株式会社ペンストン
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】安友 政人
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-217818(JP,A)
【文献】特開2009-166725(JP,A)
【文献】特開2005-319907(JP,A)
【文献】特開2017-052358(JP,A)
【文献】特開2019-051769(JP,A)
【文献】特開2005-212754(JP,A)
【文献】特開2005-067391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/00-99/00
B60Q 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラーを保持するミラーハウジングと、
上記ミラーハウジングを車両前方側から覆うハウジングカバーと、
上記ハウジングカバーの開口部から車両前方側へ向けて露出する
露出部を有し車両前後方向及び車両左右方向に延びるターンランプ及び該ターンランプを車両後方側から保持するターンランプハウジングを含むターンランプユニットと、
上記ハウジングカバーの内部に配設される電装部材と、を備えた車両用サイドミラーにおいて、
上記電装部材のハーネスは上記ターンランプハウジングと一体的に形成されたハーネス保持部に保持されていることを特徴とする車両用サイドミラー。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用サイドミラーにおいて、
上記ターンランプハウジングは、上記ターンランプが溶着される溶着部と、該溶着部から該ターンランプハウジングの外方へ突出する上記ハーネス保持部を有することを特徴とする車両用サイドミラー。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両用サイドミラーにおいて、
上記ターンランプハウジングは、車両の前後方向に延びる外周壁を有し、
上記ハーネス保持部は、上記外周壁から上記ターンランプハウジングの外方へ突出する板状の保持基板と、前記外周壁と間隔をあけて対向する対向壁と、該対向壁から前記外周壁へ突出する突出部を有することを特徴とする車両用サイドミラー。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用サイドミラーにおいて
上記電装部材は、車両の側方を視認するためのカメラであることを特徴とする車両用サイドミラー。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の車両用サイドミラーにおいて、
上記ターンランプハウジングは、車幅方向に延びる一方部分と該一方部分から車両の高さ方向へ延びる他方部分とが角部を形成するように一体的に形成され、
上記ハーネス保持部は、上記角部の内側に形成されていることを特徴とする車両用サイドミラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車等の側部に配設される車両用サイドミラーに関し、特にターンランプ及び他の電装部材を備えた構造の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両には、点滅のシグナルにより周囲に右折及び左折を報知するために車幅方向両側にターンランプが備えられている。また、近年では、シグナルの視認性を向上させるために、自動車の側部に配設される車両用サイドミラーにもターンランプが設けられている。
【0003】
近年の自動車業界における運転支援技術の進化により、車両にはさまざまな付加価値部品が搭載されるようになった。車両用サイドミラーにおいては、ターンランプの他にも様々な電装部材が配設されるようになり、例えば特許文献1に開示されているように、車両の側方を視認するためのカメラとランプとが配設される場合もある。
【0004】
特許文献1の車両用サイドミラーは、ミラーハウジングを覆うアンダーパネル(ハウジングカバー)に、下方に開口した窓部が形成され、その開口から車両の側方を撮影可能にカメラがアンダーパネルへ固定されている。カメラはハーネスから電力を供給するとともに映像信号を送出する。アンダーパネルは前板部の内面から突出するように一体形成された挟持部を備え、ハーネスは雑防部においてその挟持部に挟持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、車両用サイドミラーは、部品点数が多くなる一方でデザイン性及び空力性の観点から小型化が進んでいる。そのため、車両用サイドミラー内部のレイアウトが制限される傾向にあり、該内部に配設された各種電装部材の配線の納まり性を向上させることが求められている。
【0007】
特許文献1に開示されているような従来の車両用サイドミラーは、カメラのハーネスを挟持するための挟持部をカメラが取り付けられるアンダーパネルに設けるので、アンダーパネルの成形金型が複雑になり、コストが掛かる。また、アンダーパネルの前板部内面から突出するように形成された挟持部に挟持されたハーネスは、アンダーパネルから内側に突出するため、車両用サイドミラー内部において納まりが悪かった。
【0008】
また、他の従来の車両用サイドミラーにおいて、成形金型の複雑化を避けるため、ハウジングカバー内部に電装部材のハーネスの保持手段を設けないこともあった。しかしながら、保持手段を設けない場合はハーネスと周辺部品との干渉音が問題となるため、緩衝材としてクッションテープをハーネスへ取り付ける等の対策が必要であり、コストを増加させる要因となっていた。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ターンランプ及びその他の電装部材を有する車両用サイドミラーの内部において、該電装部材のハーネスを低コストで納まりよく保持することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明では、ハウジングカバーの内部に配設される電装部材のハーネスがターンランプハウジングに保持されるようにした。
【0011】
第1の発明は、
ミラーを保持するミラーハウジングと、
上記ミラーハウジングを車両前方側から覆うハウジングカバーと、
上記ハウジングカバーの開口部から車両前方側へ向けて露出するターンランプ及び該ターンランプを車両後方側から保持するターンランプハウジングを含むターンランプユニットと、
上記ハウジングカバーの内部に配設される電装部材と、を備えた車両用サイドミラーにおいて、
上記電装部材のハーネスは上記ターンランプハウジングと一体的に形成されたハーネス保持部に保持されていることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、ハウジングカバーの内部に配設される電装部材のハーネスは、ハウジングカバーではなく、ターンランプハウジングに形成されたハーネス保持部に保持されるため、ハウジングカバーの成形金型が複雑化せずコストを低減させることができる。また、ハーネスはターンランプハウジングへ保持されることにより、ハウジングカバー内部において納まりが良い。なお、「電装部材」にターンランプは含まれない。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、
上記ターンランプハウジングは、上記ターンランプが溶着される溶着部と、該溶着部から該ターンランプハウジングの外方へ突出する上記ハーネス保持部を有することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、ハーネス保持部によって、ターンランプと溶着される際のターンランプハウジングの受け面積が拡大されるので、安定して溶着させることができる。また、ターンランプハウジングの剛性の向上に寄与できる。このように、ハーネス保持部がハーネスの保持だけでなく他の機能も合わせ持ち、ハウジングカバー内部の空間を有効に利用するので、車両用サイドミラーの小型化に寄与できる。
【0015】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、
上記ターンランプハウジングは、車両の前後方向に延びる外周壁を有し、
上記ハーネス保持部は、上記外周壁から上記ターンランプハウジングの外方へ突出する板状の保持基板と、前記外周壁と間隔をあけて対向する対向壁と、該対向壁から前記外周壁へ突出する突出部を有することを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、シンプルな構成のハーネス保持部により確実にハーネスを保持でき、ターンランプハウジングの成形金型も複雑化しない。保持基板によりターンランプハウジングの受け面積をより確保でき、剛性にも寄与できる。また、ハウジングカバー内部におけるハーネスの納まりもより良い。
【0017】
第4の発明は、第1から第3の発明のうちいずれか1つの発明において、
上記電装部材は、車両の側方を視認するためのカメラであることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、カメラのような複雑な電装部材が配設されていても、ハーネス保持部をターンランプハウジングに設けることによって、ハウジングカバー内部のレイアウトが複雑化することを防止できる。
【0019】
第5の発明は、第1から第4の発明のうちいずれか1つの発明において、
上記ターンランプハウジングは、車幅方向に延びる一方部分と該一方部分から車両の高さ方向へ延びる他方部分とが角部を形成するように一体的に形成され、
上記ハーネス保持部は、上記角部の内側に形成されていることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、一方部分と他方部分とが形成する角部の内側にハーネス保持部が形成されていることにより、ハウジングカバーの剛性を高めることができる。また、ハウジングカバー内部におけるハーネスの納まりもより良い。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る車両用サイドミラーによれば、ターンランプ及びその他の電装部材を有する車両用サイドミラーの内部において、該電装部材のハーネスを低コストで納まりよく保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施形態に係る車両用サイドミラーの斜視図である。
【
図2】上側ハウジングカバーを外した状態で示す車両用サイドミラーの分解斜視図である。
【
図4】ターンランプユニット及び下側ハウジングカバーの後方からの斜視図である。
【
図5】ハーネスの保持状態を示すターンランプユニット及び下側ハウジングカバーの後方からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0024】
この実施形態の説明では、車両前側を単に「前」といい、車両後側を単に「後」といい、車幅方向左側を単に「左」といい、車幅方向右側を単に「右」というものとする。なお、車幅方向とは「左右方向」、車両の高さ方向とは「上下方向」である。
【0025】
図1は本発明の実施形態に係る車両用サイドミラーを前方から見た斜視図であり、
図2は上側ハウジングカバーを外した状態で示す分解斜視図である。この車両用サイドミラーは、例えば自動車の側部に配設されるドアに取り付けて使用される、いわゆるドアミラーである。この実施形態では、車両の右側に設けられる車両用サイドミラーについて説明するが、図示しない左側に設けられる車両用サイドミラーは、右側のものと左右対称構造であることから説明を省略する。
【0026】
図1に示すように、車両用サイドミラー1は、ミラー(図示しない)を保持するミラーヘッド2と、ミラーヘッド2を車両の側部に配設されるドアに取り付けるためのミラーベース3とを備えている。ミラーベース3はドアのアウタパネル(図示しない)外面へ締結される。なお、車両用サイドミラー1が取り付けられる位置はドアに限定されることはなく、例えば、ピラーに取り付けられてもよい。
【0027】
ミラーヘッド2は、後側にミラーを保持するミラーハウジング21と、ミラーハウジング21を車両前方側から覆う上側ハウジングカバー22及び下側ハウジングカバー23から構成されている。ミラーハウジング21、上側ハウジングカバー22及び下側ハウジングカバー23は、例えば樹脂材で構成することができる。
【0028】
上側ハウジングカバー22は、ミラーヘッド2の前側における上下方向中間部よりも上側部分を、その前方から覆うものであり、車両用サイドミラー1の上側の意匠面を形成している。上側ハウジングカバー22は、全体として前側へ膨出するように湾曲していて、ミラーハウジング21の左端から右端まで延びている。
【0029】
図2に示すように、ミラーヘッド2の内部には、ミラーハウジング21の前側にフレーム部材24が取り付けられている。フレーム部材24は剛性の高い材料からなり、ミラーハウジング21を補強してねじれ等を防止する。フレーム部材24は左側端部を、格納装置5へ固定されている。また、ミラーハウジング21には前側に向けて突出するボス21aが形成されている。このボス21aにターンランプユニット4を取り付けるためのネジ101が締結される。
【0030】
格納装置5は、ミラーヘッド2を使用状態と格納状態とに切り替えるためのものである。この格納装置5は従来から周知のものであるため詳細な説明は省略するが、上下方向に延びる円筒状の軸(図示しない)を備え、ミラーヘッド2が軸周りに回動するようになっている。格納装置5は、モーターや減速歯車等を内蔵した電動格納装置であってもよいし、手動格納装置であってもよい。
【0031】
ターンランプユニット4は、下側ハウジングカバー23の開口部から車両前方側へ向けて露出するターンランプ41及びターンランプ41を車両後方側から保持するターンランプハウジング42を含む。
【0032】
ターンランプハウジング42は、
図3に示すように、左右方向に延びる一方部分401と、一方部分401から上方へ延びる他方部分402とが角部を形成するように一体的に形成されている。一方部分401及び他方部分402の外周には、車両の前後方向に延びる外周壁を有する。
【0033】
一方部分401の右側端部は、後方へ延びてミラーの右側面まで回り込むように形成されており、上側ハウジングカバー22と対向する上側外周壁401aから上方に突出するフランジに締結孔42aが形成されている。この締結孔42aはミラーハウジング21に設けられたボス21aの位置に対向しており、締結孔42aの前側から挿入されたネジ101がボス21aへと螺合することにより、ターンランプユニット4がミラーハウジング21へと締結される。また、一方部分401の外周壁には、他方部分402の両側に被係合部42bが形成されている。この被係合部42bが、下側ハウジングカバー23の上端部に形成された係合部23fと係合する。なお、ターンランプユニット4の取り付け状態はこれに限らず、ハウジングカバー側又はミラーハウジング側のいずれかに取り付けられていてもよい。
【0034】
他方部分402は、一方部分401の左右方向中間部よりも左側の位置において上方へ延びており、他方部分402の上下方向の寸法は、一方部分401の左右方向の寸法よりも短い。他方部分402は、アウタパネルと対向する左側の外周壁にターンランプ41のコネクタ45が設けられている。また、他方部分402の右側外周壁402aには、一方部分401と他方部分402とがなす角部の内側に、ハーネス保持部43がターンランプハウジング42と一体的に形成されている。
【0035】
ハーネス保持部43は、下側ハウジングカバー23の内部に配設される電装部材としてのカメラ6のハーネス7を保持するものである。なお、本明細書中において「電装部材」にターンランプ41は含まれない。本実施形態において、ハーネス保持部43はカメラ6のハーネス7を保持するが、カメラ6に限らず、他の電装部材のハーネスを保持するものであってもよい。
【0036】
ハーネス保持部43は、一方部分401の上側外周壁401a及び他方部分402の右側外周壁402aからターンランプハウジング42の外方へ突出する板状の保持基板43aと、他方部分402の右側外周壁402aと間隔をあけて対向する対向壁43bと、対向壁43bから右側外周壁402aへ突出する第1突出部43cを有する。保持基板43aは上下方向に延び、ミラーハウジング21と対向する。そして、対向壁43bは保持基板43aの右側端部から後方に延びている。
【0037】
ハーネス保持部43は、さらに、右側外周壁402aから対向壁43bへ突出する第2突出部43dを有していてもよい。本実施形態においては、第1突出部43cと2つの第2突出部43dとが上下方向に位置ずれし、左右方向へ互い違いに突出するように形成されている。そして、ハーネス保持部43の下端部には、一方部分401が凹むように形成された凹部44がある。凹部44は、カメラ6からハーネス保持部43へ延びるハーネス7の経路上に設けられており、ハーネス7の形状に沿って湾曲した凹形状である。この凹部44によって、ハーネス7はハーネス保持部43へ無理なく導入される。なお、ハーネス保持部43が設けられる位置やハーネス保持部43の形状は限定されない。
【0038】
また、ターンランプハウジング42は、一方部分401及び他方部分402の周縁部に、ターンランプ41の周縁部が溶着される溶着部を有し、例えば振動溶着によって、ターンランプ41がターンランプハウジング42に溶着されている。ハーネス保持部43及び締結孔42aは、該溶着部からターンランプハウジング42の外方へ突出するように形成されている。
【0039】
ターンランプハウジング42に溶着されるターンランプ41は、車両のウインカーレバーやハザードランプスイッチの操作によって点滅するLED等の発光体(図示しない)を収容し、該発光体の光を透過させる透光材料からなる。ターンランプ41はターンランプハウジング42よりもやや小さい寸法でターンランプハウジング42内に納まっており、ターンランプハウジング42に沿って左右方向に延びる部分と上下方向に延びる部分とが角部を形成している。ターンランプ41の右側端部には下側ハウジングカバー23に形成されたランプ用開口部23cから車両前方側へ向けて露出する露出部41aを有する。
【0040】
上側ハウジングカバー22及び下側ハウジングカバー23の内部には、ターンランプ41や格納装置5の他にも様々な電装部材が配設される。本実施形態においては、下側ハウジングカバー23に車両の側方を視認するためのカメラ6が電装部材として配設されている。このような電装部材は、下側ハウジングカバー23ではなくミラーハウジング21に配設されていてもよい。
【0041】
下側ハウジングカバー23は、ミラーヘッド2の前側における上下方向中間部よりも下側部分を、その前方から覆うものであり、車両用サイドミラー1の下側の意匠面を形成している。下側ハウジングカバー23は、
図4にも示すように、左右方向に長い形状であり、左右方向に延び、前側へ行くほど上方へ湾曲する底部23aを有している。底部23aには、カメラ用開口部23bが略中央に形成されている。カメラ用開口部23bは、下側ハウジングカバー23の内部に配設されるカメラ6が車両側方の撮影を可能とする。このカメラ用開口部23bの外周には、カメラ6を締結固定するためのボス23gが底部23aから上方に延びるように形成されている。カメラ6のブラケットに設けられた締結孔からボス23gへネジ102が螺合されることにより、レンズが下方へ向くようにして、カメラ6が下側ハウジングカバー23に固定される。
【0042】
下側ハウジングカバー23の底部23aの右側端部には、ターンランプ41の露出部41aを露出させるためのランプ用開口部23cが形成されている。底部23aの前縁部には後方へ延びるとともに左右方向にも長く延びるフランジ部23dを有し、フランジ部23dは、左側が幅広になるように形成されている。フランジ部23dの左右端部には、上方へ延びる連結部23eが形成されている。左右の連結部23eは、ターンランプユニット4の左右の幅ほどの間隔をあけて配置されており、ターンランプユニット4の左右両側において上側ハウジングカバー22と嵌合して連結される。この連結部23eには、ターンランプハウジング42に形成された被係合部42bへ係合する係合部23fが後側へ向かって延びるように形成されている。
【0043】
図5に示すように、カメラ6は、ハーネス7を有している。ハーネス7は、カメラ6に電力を供給するとともに、カメラ6から映像信号を送出するためのものである。ハーネス7の基端部は、カメラ6の上部に接続されている。ハーネス7は、カメラ6の上部から前側へ引き出され、ハーネス保持部43に保持されながら下方から上方へ誘導される。本実施形態において、ハーネス7は、まず、対向壁43bと下方の第2突出部43dによって左右方向を挟み込まれ、次いで、ターンランプハウジング42の右側外周壁402aと第1突出部43cによって左右方向を挟み込まれ、最後に、対向壁43bと上方の第2突出部43dによって左右方向を挟み込まれて保持されている。なお、右側外周壁402aと第1突出部43cの先端部との間、及び、対向壁43bと第2突出部43dの先端部との間の寸法は、ハーネス7の直径よりも広い。ミラーヘッド2内部においてそのように保持されたハーネス7は、ターンランプ41や他の電装部材のハーネス(図示しない)と束ねられて、ミラーベース3へと挿通される。
【0044】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、このように構成された車両用サイドミラーは、上側ハウジングカバー22及び下側ハウジングカバー23の内部に配設されるカメラ6等の電装部材のハーネス7が、ハウジングカバー22,23側ではなく、ターンランプハウジング42に形成されたハーネス保持部43に保持されるため、ハウジングカバー22,23の成形金型が複雑化せずコストを低減させることができる。ハーネス7はターンランプハウジング42へ保持されることにより、ハウジングカバー22,23内部において納まりが良い。
【0045】
ハーネス保持部43は、ターンランプ41が溶着される溶着部からターンランプハウジング42の外方へ突出するように形成されることにより、ハーネス保持部43の面積分、ターンランプ41と溶着される際のターンランプハウジング42の受け面積が拡大されるので、安定して溶着させることができる。また、ターンランプハウジング42の剛性の向上に寄与できる。ハーネス保持部43がハーネス7の保持だけでなく他の機能も合わせ持ち、ハウジングカバー22,23内部の空間を有効に利用するので、車両用サイドミラーの小型化に寄与できる。
【0046】
また、ハーネス保持部43は、ターンランプハウジング42の外周壁402aから外方へ突出する板状の保持基板43aと、外周壁402aと間隔をあけて対向する対向壁43bと、対向壁43bから外周壁402aへ突出する突出部43cを有する、というシンプルな構成のため、ターンランプハウジング42の成形金型が複雑化しない。保持基板43aによりターンランプハウジングの受け面積をより確保でき、剛性にも寄与できる。
【0047】
そして、ターンランプハウジング42の一方部分401と他方部分402とが形成する角部の内側にハーネス保持部43が形成されていることにより、ターンランプハウジング42の剛性を高めることができる。また、ミラーヘッド2内部におけるハーネス7の納まりもより良い。
【0048】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上説明したように、本発明に係る車両用サイドミラーは、例えば自動車の側部に配設することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 車両用サイドミラー
2 ミラーヘッド
3 ミラーベース
4 ターンランプユニット
5 格納装置
6 電装部材(カメラ)
7 ハーネス
21 ミラーハウジング
22 上側ハウジングカバー
23 下側ハウジングカバー
23c ランプ用開口部
41 ターンランプ
42 ターンランプハウジング
43 ハーネス保持部
43a 保持基板
43b 対向壁
43c 第1突出部
43d 第2突出部
401 一方部分
402 他方部分