IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アレグロ・マイクロシステムズ・エルエルシーの特許一覧

特許7372838コイル作動型位置センサのためのパッケージ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-24
(45)【発行日】2023-11-01
(54)【発明の名称】コイル作動型位置センサのためのパッケージ
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/02 20060101AFI20231025BHJP
【FI】
G01R33/02 Q
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019565290
(86)(22)【出願日】2018-04-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-27
(86)【国際出願番号】 US2018028822
(87)【国際公開番号】W WO2018217356
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2020-10-16
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-04
(31)【優先権主張番号】15/606,262
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501105602
【氏名又は名称】アレグロ・マイクロシステムズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 健一
(72)【発明者】
【氏名】レイサム,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ドゥーグ,マイケル・シー
(72)【発明者】
【氏名】ボードロー,ジェイソン
【合議体】
【審判長】濱野 隆
【審判官】中塚 直樹
【審判官】田邉 英治
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-525216(JP,A)
【文献】特表2013-513104(JP,A)
【文献】特表2015-514207(JP,A)
【文献】特開平2-98680(JP,A)
【文献】特開平1-184885(JP,A)
【文献】特表2009-527745(JP,A)
【文献】国際公開第98/12554(WO,A1)
【文献】特開昭59-190718(JP,A)
【文献】特開2004-340607(JP,A)
【文献】特開2014-207737(JP,A)
【文献】特開平7-282698(JP,A)
【文献】特開平10-122806(JP,A)
【文献】林、「低周波磁気イメージングシステムによるステンレス溶接欠陥の非破壊検査」、平成20年電気学会全国大会講演論文集(第2分冊)、165ページ
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 33/02
G01V 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数の基板と、
前記1つ又は複数の基板のうちの少なくとも1つによって支持された1つ又は複数のコイルであって、前記コイルのうちの少なくとも1つは、反射磁界を発生させる渦電流(eddy current)を導電性標的(conductive target)内に誘導する第1磁界を生成するように構成されている、1つ又は複数のコイルと、
前記反射磁界を検出するための、前記1つ又は複数の基板によって支持された1つ又は複数の磁界感知素子と、
前記1つ又は複数の基板を支持するためのリードフレーム又はパッドフレームを備える導電性支持構造であって、前記導電性支持構造が前記第1磁界に応じて反射磁界を発生させることがないように、前記1つ又は複数のコイルと対向する領域内に隙間を有する、導電性支持構造と、を備える装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、前記複数の磁界感知素子は、前記1つ又は複数の基板のうちの1つの上にグリッドパターンに配列されている、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、前記コイルのうちの少なくとも1つは、複数のトレース(traces)を備え、前記1つ又は複数の磁界感知素子は、前記コイルのトレース間の空間内の前記基板上に設置されている、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置において、前記コイルは、前記第1磁界の方向と反対方向の局所磁界(local magnetic field)を生成するためのカウンタコイルを含む、装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置において、前記コイルのうちの少なくとも1つは、複数のトレースを備え、前記1つ又は複数の磁界感知素子は、前記カウンタコイルの1つ又は複数のトレースの間の空間内に設置されている、装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置において、前記1つ又は複数の基板は、半導体材料、ガラス材料又はセラミック材料のうちの1つ又は複数を含む、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置において、前記1つ又は複数の基板のうちの第1基板が、前記1つ又は複数のコイルを支持し、前記1つ又は複数の基板のうちの1つ又は複数の第2基板が、前記1つ又は複数の磁界感知素子を支持する、装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置において、前記1つ又は複数の基板のうちの第3基板が、処理回路を支持する、装置。
【請求項9】
請求項7に記載の装置において、前記第1基板は、2つ以上のコイルを支持する、装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置において、前記1つ又は複数の基板のうちの第1基板が、1つ又は複数のコイルと、1つ又は複数の磁界感知素子と、を支持する、装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置において、前記1つ又は複数の基板のうちの第2の基板が、1つ又は複数の処理回路を支持する、装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置において、前記磁界感知素子のそれぞれは、異なる基板によって支持される、装置。
【請求項13】
請求項1に記載の装置において、前記基板、コイル及び磁界感知素子は、1つ又は複数の磁界センサを形成する、装置。
【請求項14】
請求項1に記載の装置において、前記1つ又は複数の基板のうちの少なくとも2つを互いに接着させる接着剤を更に備える、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、磁界感知に関し、より具体的には、反射磁界を発生させる磁界センサのための構造配列に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]磁界センサが、強磁性標的を検出するためにしばしば用いられる。それらは、標的の動作又は位置を検出するためのセンサとしてしばしば機能を果たす。かかるセンサは、ロボティクス、自動車、製造等を含む技術の多くの範囲のいたるところに存在する。例えば、磁界センサを用いて、車両のホイールがロックアップする時点を検出することにより、車両の制御プロセッサを始動させてアンチロックブレーキシステムを係合してもよい。この例では、磁界センサは、ホイールの回転を検出してもよい。磁界センサは、また、対象までの距離を検出してもよい。例えば、磁界センサを用いて、ハイドロリックピストンの位置を検出してもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
[0003]一実施形態では、装置が、1つ又は複数の基板と、1つ又は複数のコイルであって、コイルのうちの少なくとも1つが、反射磁界を発生させる渦電流を導電性標的内に誘導する第1磁界を生成するように構成されている、1つ又は複数のコイルと、反射磁界を検出するための、1つ又は複数の基板によって支持された1つ又は複数の磁界感知素子と、1つ又は複数の基板を支持するための導電性支持構造であって、支持構造が第1磁界に応じて反射磁界を発生させることがないように、1つ又は複数のコイルに隣接した領域内に隙間を有する、導電性支持構造と、を備える。
【0004】
[0004]以下の特徴のうちの1つ又は複数が含まれてもよい。
[0005]1つ又は複数の磁界感知素子が、1つ又は複数の基板上にグリッドパターンに配列されてもよい。
【0005】
[0006]コイルのうちの少なくとも1つが、複数のトレースを備えてもよく、1つ又は複数の磁界感知素子が、コイルのトレース間の空間内の基板上に設置されている。
[0007]コイルは、第1磁界の方向と反対方向の局所磁界を生成するためのカウンタコイルを含んでもよい。
【0006】
[0008]コイルのうちの少なくとも1つが、複数のトレースを備えてもよく、1つ又は複数の磁界感知素子が、カウンタコイルの1つ又は複数のトレースの間の空間内に設置されている。
【0007】
[0009]1つ又は複数の基板が、半導体材料、ガラス材料又はセラミック材料のうちの1つ又は複数を含んでもよい。
[0010]1つ又は複数の基板のうちの第1基板が、1つ又は複数のコイルを支持してもよく、1つ又は複数の基板のうちの1つ又は複数の第2基板が、1つ又は複数の磁界感知素子を支持する。
【0008】
[0011]1つ又は複数の基板のうちの第3基板が、処理回路を支持してもよい。
[0012]第1基板は、2つ以上のコイルを支持してもよい。
[0013]第1基板は、1つ又は複数のコイルと、1つ又は複数の磁界感知素子と、を支持してもよい。
【0009】
[0014]第2の1つ又は複数の基板が、1つ又は複数の処理回路を支持してもよい。
[0015]磁界感知素子のそれぞれは、異なる基板によって支持されてもよい。
[0016]基板、コイル及び磁界感知素子が、1つ又は複数の磁界センサを形成してもよい。
【0010】
[0017]接着剤が、1つ又は複数の基板のうちの少なくとも2つを互いに接着してもよい。
[0018]導電性支持構造が、リードフレーム又はパッドフレームを含んでもよい。
【0011】
[0019]1つ又は複数のコイルのうちの少なくとも1つが、1つ又は複数の基板のうちの少なくとも1つによって支持されてもよい。
[0020]別の実施形態において、装置が、第1基板と、第1基板によって支持され、互いに隣に配列された2つのコイルであって、それぞれが導電性標的内に渦電流を、及びそれから反射磁界を生成する磁界を発生させるように構成され、それらのそれぞれ発生させられた磁界がコイル間の領域内で互いに実質的に相殺するように配列されている、2つのコイルと、コイル間の領域内に設置され、反射磁界を検出するように構成された1つ又は複数の磁界感知素子と、を備える。
【0012】
[0021]以下の特徴のうちの1つ又は複数が、含まれてもよい。
[0022]1つ又は複数の磁界感知素子が、ブリッジ回路を備えてもよい。
[0023]1つ又は複数の磁界感知素子は、少なくとも2対の磁界感知素子を備えてもよい。
【0013】
[0024]導電性標的の中心領域が、複数対の磁界感知素子のうちの1対に隣接していてもよく、導電性標的のエッジが、複数対の磁界感知素子のうちの別の1対に隣接していてもよい。
【0014】
[0025]装置は、第2基板を含んでもよく、1つ又は複数の磁界感知素子及び/又は処理回路が、第2基板によって支持される。
[0026]第2基板は、コイル間の領域内に中心があってもよい。
【0015】
[0027]第1基板及び/又は第2基板は、半導体材料、ガラス材料又はセラミック材料のうちの1つ又は複数を含んでもよい。
[0028]別の実施形態において、装置が、第1基板と、第1基板によって支持された第1磁界センサであって、第1基板によって支持され、互いに隣に配列された第1対の2つのコイルを備え、コイルは、それぞれが第1導電性標的内に渦電流を、及びそれから第1反射磁界を生成する磁界を発生させるように構成され、第1対の2つのコイルは、それらのそれぞれ発生させられた磁界がコイル間の領域内で互いに実質的に相殺するように配列されている、第1磁界センサと、を備える。装置は、第1対の2つのコイルの間の領域内に設置された、及び第1反射磁界を検出するように構成された1つ又は複数の磁界感知素子を支持する第2基板と、第1基板によって支持された第2磁界センサであって、第1基板によって支持され、互いに隣に配列された第2対の2つのコイルを備え、第2対の2つのコイルは、それぞれ、第2導電性標的内に渦電流を、及びそれから反射磁界を生成する磁界を発生させるように構成され、第2対の2つのコイルは、それらのそれぞれ発生させられた磁界がコイル間の領域内で互いに実質的に相殺するように配列されている、第2磁界センサと、を含む。装置は、第2対の2つのコイルの間の領域内に設置された、及び第2反射磁界を検出するように構成された1つ又は複数の磁界感知素子を支持する第3基板を含む。
【0016】
[0029]別の実施形態において、システムは、1つ又は複数の基板と、交互する磁界を検出するための、1つ又は複数の基板によって支持された1つ又は複数の磁界感知素子と、1つ又は複数の基板を支持するための導電性支持構造であって、交互する磁界に応じて反射磁界を発生させることがない形状を磁界感知素子に隣接した領域内に有する、導電性支持構造と、を備える。
【0017】
[0030]以下の特徴のうちの1つ又は複数が、含まれてもよい。
[0031]装置は、1つ又は複数のコイルを含んでもよく、1つ又は複数のコイルのうちの少なくとも1つが、交互する磁界を発生させる。
【0018】
[0032]1つ又は複数のコイルのうちの少なくとも1つは、1つ又は複数の基板のうちの少なくとも1つによって支持されてもよい。
[0033]前述の特徴は、図面についての以下の説明からより完全に理解されるであろう。図面は、開示技術を説明及び理解することの助けとなる。全ての可能な実施形態を例示し、説明することがしばしば非現実的又は不可能であるので、提供図は、実施形態のうちの1つ又は複数の例である。したがって、図が本発明の範囲を限定することを意図していない。図中の同様の数字は、同様の要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】[0034]標的を感知するためのシステムについてのブロック図である。
図2】[0035]標的を感知するためのシステムについての等角図である。
図2A】[0036]図2のシステムについての断面図である。
図3】[0037]標的を感知するためのコイル及び磁気抵抗(MR)素子についての概略図である。
図3A】[0038]ボンドパッドを含む、標的を感知するための、コイル及びMR素子の一実施形態についての概略図である。
図3B】[0039]標的を感知するための、コイル及びMR素子の一実施形態についての概略図である。
図4】[0040]標的を感知するためのシステムについての断面図である。
図5】[0041]標的を感知するための、コイル及びMR素子についての概略図である。
図5A】[0042]標的を感知するための、コイル及びMR素子についての一実施形態の概略図である。
図5B】[0043]リードフレームを含む、標的を感知するためのコイル及びMR素子についての一実施形態の概略図である。
図5C】[0044]標的を感知するための、コイル及びMR素子の一実施形態についての概略図である。
図6】[0045]標的を感知するための、コイル及びMR素子の一実施形態についての概略図である。
図7】[0046]標的を感知するための、コイル及びMR素子についての断面図である。
図8】[0047]圧力センサについての等角図である。
図8A】[0048]図8の圧力センサの一実施形態についての等角図である。
図9】[0049]基板を含む圧力センサの一実施形態についての断面図である。
図10】[0050]磁性標的を感知するための回路についてのブロック図である。
図10A】[0051]磁性標的を感知するための回路の一実施形態についてのブロック図である。
図11】[0052]磁性標的を感知するための回路の一実施形態についてのブロック図である。
図11A】[0053]磁性標的を感知するための回路の一実施形態についてのブロック図である。
図11B】[0054]磁性標的を感知するための回路の一実施形態についてのブロック図である。
図11C】[0055]磁性標的を感知するための回路の一実施形態についてのブロック図である。
図11D】[0056]磁性標的を感知するための回路の一実施形態についてのブロック図である。
図11E】[0057]磁性標的を感知するための回路の一実施形態についてのブロック図である。
図11F】[0058]磁性標的を感知するための回路の一実施形態についてのブロック図である。
図12】[0059]感度検出を有するシステムのための出力信号を表す線図である。
図12A】[0060]感度検出を有する磁界検出回路についてのブロック図である。
図12B】[0061]感度検出を有する磁界検出回路の一実施形態についてのブロック図である。
図12C】[0062]感度検出を有する磁界検出回路の一実施形態についてのブロック図である。
図13】[0063]コイル及びMR素子を含む、感度検出を有する磁界検出回路の一実施形態についての概略図である。
図13A】[0064]カウンタコイル及びトレース間の隙間を有するコイルの一実施形態についての概略図である。
図13B】[0065]感度検出を有する磁界検出回路の一実施形態についてのブロック図である。
図14】[0066]磁界センサ及び変化する厚さの材料を有する磁性標的についての側面図である。
図14A】[0067]磁界センサ及び変化する厚さの材料を有する磁性標的についての側面図である。
図14B】[0068]磁界センサ及び変化する厚さの材料を有する磁性標的についての側面図である。
図15】[0069]磁界センサ及び複数の厚さを有する材料を有する磁性標的についての側面図である。
図15A】[0070]磁界センサ及び複数の厚さを有する材料を有する磁性標的についての側面図である。
図15B】[0071]磁界センサ及び複数の厚さを有する材料を有する磁性標的についての側面図である。
図15C】[0072]磁界センサ及び複数の厚さを有する材料を有する磁性標的についての側面図である。
図16】[0073]磁界センサ及び傾斜面を有する磁性標的についての側面図である。
図16A】[0074]磁界センサ及び傾斜面を有する磁性標的についての側面図である。
図17】[0075]リード線によって接続された基板及びリードフレームについての側面図である。
図17A】[0076]はんだバンプによって接続された基板及びリードフレームについての側面図である。
図18】[0077]1つ又は複数のコイルを含むデュアルダイパッケージについての概略図である。
図18A】[0078]1つ又は複数のコイルを含むデュアルダイパッケージについての概略図である。
図19】[0079]1つ又は複数のコイルを含むマルチダイパッケージについての概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[0080]本明細書で用いるとき、用語「磁界感知素子」が、磁界を感知してもよい様々な電気素子を記述するために用いられる。磁界感知素子は、ホール効果素子、磁気抵抗(MR)素子又は磁気トランジスタであってもよいが、これに限定されない。知られているように、様々な型式のホール効果素子、例えば、平面ホール素子、鉛直ホール素子及び円形鉛直ホール(CVH)素子が存在する。また知られているように、様々な型式の磁気抵抗素子が存在し、例えば、インジウムアンチモニド(InSb)、巨大磁気抵抗(MR)素子、異方性磁気抵抗素子(AMR)、トンネリング磁気抵抗(TMR)素子及び磁性トンネル接合(MTJ)等の半導体磁気抵抗素子がある。磁界感知素子は、単一の素子であってもよく、又は、その代替として、様々な構成に配列された2つ以上の磁界感知素子、例えば、ハーフブリッジ又はフル(ホイートストン)ブリッジを含んでもよい。デバイス型式及び別の適用要件に基づいて、磁界感知素子は、シリコン(Si)若しくはゲルマニウム(Ge)等のIV族半導体材料、又はヒ化ガリウム(GaAs)のようなIII-V族半導体材料若しくはインジウム化合物、例えば、アンチモン化インジウム(InSb)でできているデバイスであってもよい。
【0021】
[0081]知られているように、上記の磁界感知素子のうちのいくつかは、磁界感知素子を支持する基板に平行な最大感度軸を有する傾向があり、上記の磁界感知素子うちの別のものは、磁界感知素子を支持する基板に垂直な最大感度軸を有する傾向がある。特に、平面ホール素子は、基板に垂直な感度軸を有する傾向があり、一方、金属ベース又は金属性磁気抵抗素子(例えば、MR、TMR、AMR)及び鉛直方向ホール素子は、基板に平行な感度軸を有する傾向がある。
【0022】
[0082]本明細書で用いるとき、用語「磁界センサ」は、通常、別の回路と組み合わせて磁界感知素子を用いる回路を記述するために用いられる。磁界センサは、様々な用途に用いられ、これらの用途としては、磁界の方向角度を感知する角度センサ、電流通過導体によって流される電流によって発生させられた磁界を感知する電流センサ、強磁性物体の接近を感知する磁気スイッチ、磁界センサが逆バイアス式又は別の磁石と組み合わせて用いられる場合に、通過する強磁性物品、例えば、輪形磁石又は強磁性標的(例えば、ギア歯)の磁区を感知する回転検出器、及び磁界の磁界密度を感知する磁界センサが挙げられるが、これに限定されない。
【0023】
[0083]本明細書で用いるとき、用語「標的」及び「磁性標的」は、磁界センサ又は磁界感知素子によって感知又は検出されるべき物体を記述するために用いられる。標的は、導電性材料を含んでもよく、この材料は、渦電流が標的、例えば、電気を導通する金属性標的の内部を流れることを可能にする。
【0024】
[0084]図1は、導電性標的102を検出するためのシステム100についてのブロック図である。標的102は、様々な実施形態において磁性でも又は非磁性であってもよい。システム100は、1つ又は複数の磁気抵抗(MR)素子104及びMR励振器回路106を含む。MR励振器回路は、電源、又は電力をMR素子104に提供する別の回路を含んでもよい。実施形態において、MR素子104は、ホール効果素子等の別の型式の磁界感知素子によって置換されてもよい。MR素子104は、単一のMR素子又は複数のMR素子を備えてもよい。MR素子は、特定の実施形態において、ブリッジ構成に配列されてもよい。
【0025】
[0085]システム100は、また、1つ又は複数のコイル108と、コイル励振器回路110と、を含んでもよい。コイル108は、電流がコイル108通って流れるときに磁界を発生させるように構成された電気コイル、巻線、ワイヤ、トレース等であってもよい。実施形態において、コイル108は、2つ以上のコイルを備え、それぞれの導電トレースは、半導体基板、ガラス基板、セラミック基板等の基板によって支持されている。別の実施形態において、コイル108は、基板によって支持されなくてもよい。例えば、コイル108は、チップパッケージ、フレーム、PCB又はコイルのトレースを支持してもよい任意の別の型式の構造によって支持されてもよい。別の実施形態において、コイル108は、フリースタンディングワイヤであってもよい、すなわち、別個の支持構造によって支持されなくてもよい。
【0026】
[0086]コイル励振器110は、コイル108に電流を供給して磁界を発生させる電源回路である。一実施形態において、コイル励振器110は、交流電流を生成して、コイル108が交互する磁界(すなわち、経時的に変化する磁気モーメントを有する磁界)を生成してもよい。コイル励振器110は、半導体ダイ上に全体的又は部分的に実装された回路であってもよい。
【0027】
[0087]システム100は、また、MR素子104から信号104aを受け取るように結合されたプロセッサ112を含んでもよく、この信号は、MR素子104によって検出されるような磁界を表してもよい。プロセッサ100は、信号104aを受け取り、それを用いて、標的102の位置、速度、方向又は別の特性を決定してもよい。
【0028】
[0088]MR素子104及びコイル108は、基板114上に配置されてもよい。基板114は、シリコン基板、チップパッケージ、PCB若しくは別の型式の基板レベル基板等の半導体基板、又はMR素子104及びコイル108を支持してもよい任意型式のプラットフォームを備えてもよい。基板114は、単一型式の基板又は複数型式の基板だけでなく、単一の基板又は複数の基板を含んでもよい。
【0029】
[0089]作動中、MR励振器106は、電力をMR素子104に提供し、コイル励振器110は、電流をコイル108に提供する。それに応じて、コイル108は、MR素子104によって検出されてもよい磁界を生成し、このMR素子は、検出された磁界を表す信号104aを生成する。
【0030】
[0090]標的102が磁界に対して移動するとき、磁界を通るそれの位置及び移動が磁界を変化させる。それに応じて、MR素子104によって生成された信号104aが変化する。プロセッサ112は、信号104aを受け取り、そして、信号(及び/又はその状態)の変化を処理して標的102の位置、移動又は別の特徴を決定する。一実施形態において、システム100は、軸線116に沿った標的102の移動又は位置を検出してもよい。言い換えると、システム100は、標的102がMR素子104及びコイル108に向かう方に又はそれらから離れる方に動くとき、MR素子104に近接した標的102の位置を検出してもよい。システム102は、また、標的102の別の型式の位置又は移動を検出することができてもよい。
【0031】
[0091]ここで図2を参照すると、システム200は、システム100と同じか又はそれに類似してもよい。基板202は、基板114と同じか又はそれに類似してもよく、そして、コイル204、コイル206及びMR素子208を支持してもよい。1つのMR素子が示されるが、MR素子208は、システム200の実施形態に基づいて2つ以上のMR素子を備えてもよい。標的203は、標的102と同じか又はそれに類似してもよい。
【0032】
[0092]示されていないが、MR励振器回路106が、電流をMR素子208に提供し、コイル励振器回路110が、電流をコイル204及び206に提供してもよい。
[0093]コイル204及び206は、矢印208(コイル204内の時計回り電流を示す)及び矢印210(コイル206内の反時計回り電流を示す)によって示すように、電流が反対方向にコイル204及び206を通って流れるように配列されてもよい。その結果として、コイル204は、矢印212によって示すように、負のZ方向(すなわち、図2における下方)の磁気モーメントを有する磁界を生成してもよい。同様に、コイル206は、矢印214によって示すように、その反対方向、正のZ方向の磁気モーメントを有する磁界を生成してもよい。両方のコイルによって生成された統合磁界211が、磁力線211によって示されるものに類似した形状を有してもよい。コイル204、206は、コイルを通る電流が反対方向に流れるようにそれぞれ巻かれた単一のコイル構造によって形成されてもよいこと認識するであろう。その代替として、コイル204、206は、別個のコイル構造によって形成されてもよい。
【0033】
[0094]一実施形態において、MR素子208は、コイル204と206との間に置かれてもよい。この配列において、コイル204及び206によって生成された磁界を除いて何らかの別の磁界がないとき、MR素子208での正味の磁界が、ゼロであってもよい。例えば、コイル204によって生成された磁界の負のZ成分が、コイル206によって生成された磁界の正のZ成分によって相殺されてもよく、基板202上方に示された磁界の負のX成分が、基板202下方に示された磁界の正のX成分によって相殺されてもよい。別の実施形態において、追加のコイルが、基板202に追加されて、MR素子208における正味の磁界が実質的にゼロであるように配列されてもよい。
【0034】
[0095]MR素子208の位置に実質的にゼロの磁場を達成するために、コイル204及びコイル206が、コイルを通る電流が実質的に同じ平面内にある円形パターン内を流れるように置かれてもよい。例えば、コイル204及び206を通る電流は、コイルを通って円形パターン内を流れている。示すように、それらの円形パターンは、互いに、そして基板202の上面216と実質的に同一平面上にある。
【0035】
[0096]上記のように、コイル励振器110は、交流界を生成してもよい。この配列において、磁力線211によって示される磁界は、経時的に方向及び強度を変化してもよい。しかし、これらの変化中、MR素子208の位置における磁界は、実質的にゼロのままであってもよい。
【0036】
[0097]作動中に、標的203がMR素子208に向かう方に及びそれから離れる方に(すなわち、正及び負のZ方向に)移動するとき、磁界211は、渦電流が標的203内部で流れるようにするものである。これらの渦電流は、MR素子208の平面内にゼロでない磁界を生成することになるそれら自体の磁界を作成するものであり、このゼロでない磁界は、標的203の動作又は位置を検出するために感知されてもよい。
【0037】
[0098]図2Aを参照して、Y方向に線218を見ると、システム200の断面図250が、標的203内部の渦電流を示す。記号「x」が、紙面中に流れ込む電流を表し、記号「●」は、紙面から外に流れ出る電流を表す。上記のように、コイル204及び206を通る電流は、交流電流であってもよく、この電流は、磁界211の交番する強度をもたらしてもよい。実施形態において、コイル204を通る交流電流の位相が、磁界211が交番又は周期界であるように、コイル206を通る交流電流の位相と調和する。
【0038】
[0099]交番磁界211は、反射された渦電流240及び242を磁性標的203内部に生成してもよい。渦電流240及び242は、それぞれ、方向がコイル204及び206を通って流れる電流の反対であってもよい。示すように、渦電流246が紙面から外に流れ、渦電流248が紙面中に流れ、一方、コイル電流251が紙面中に流れ、電流252が紙面から外に流れる。また、示すように、渦電流242の方向が、コイル206を通る電流の方向に反対である。
【0039】
[00100]渦電流240及び242は、磁界211と反対の方向を有する反射された磁界254を形成する。上記のように、MR素子208は、磁界211に基づくゼロの正味磁界を検出する。しかし、MR素子208は、反射磁界254の存在の中にはゼロでない磁界を検出することになる。磁力線256が示すように、反射磁界254の値は、MR素子208においてゼロではない。
【0040】
[00101]標的203がコイル204及び206に対してより近くまで動くとき、磁界211が標的203内により強い渦電流を生成してもよい。その結果として、磁界254の強度が変化してもよい。図2Aにおいて、磁界211’(図2Aの右区画内の)は、例えば、標的203がコイル204及び206により接近することに基づいて、磁界211よりも強い磁界を呈してもよい。したがって、渦電流240’及び242’は、渦電流240及び242よりも強い電流であってもよく、そして、磁界254’は、磁界254よりも強くてもよい。この現象は、標的203がコイル204及び206により近接しているときにより強い磁界(すなわち、磁界254’)、そして標的203がコイル204及び206からより遠く離れているときにより弱い磁界(すなわち、磁界254)を検出するMR素子208をもたらしてもよい。
【0041】
[00102]また、渦電流240’及び242’は、通常、標的203の表面上に又はその近傍に生じる。そのため、標的203が共同MR素子208に対してより近くまで動くとき、MR素子208は、磁界源がMR素子208により近接しているので、渦電流からのより強い磁界を受けてもよい。
【0042】
[00103]図3は、コイル302及び304と、MR素子306及び308と、を含む回路300の概略図である。コイル302及び304は、コイル204及び206と同じか又はそれらに類似してもよく、そして、MR素子306及び308は、それぞれMR素子208と同じか又はそれに類似してもよい。
【0043】
[00104]一実施形態において、コイル302及び304並びにMR素子306及び308は、基板によって支持されてもよい。例えば、コイル302及び304は、基板によって支持された導電トレースを備え、MR素子306及び308は、基板の表面上又は基板中に形成されてもよい。
【0044】
[00105]一実施形態において、コイル302及び304は、電流を流す単一の導電トレースを備えてもよい。コイル302を形成するトレースの部分が、コイル304を形成するトレースの部分と反対の方向に環状になるか又は螺旋状になることにより、それぞれのコイルを通る電流が等しく、反対方向に流れる。別の実施形態においては、複数のトレースが用いられてもよい。
【0045】
[00106]コイル302及び304は、MR素子306及び308の両側に対称的に配置され、その中間にMR素子308及び304がある。このことが、MR素子306及び308がコイル302及び304によって生成された磁界の中心にあることをもたらすことにより、別の刺激がないときに、コイル302及び304によって生成された磁界(本明細書において直接結合磁界と呼ばれる)の結果としてMR素子306及び308によって検出された磁界は、実質的にゼロであってもよい。
【0046】
[00107]図3Aは、磁界検出回路300’の一実施形態の概略図であり、この回路は、図1のシステム100と同じか又はそれに類似してもよい。コイル302及び304は、上記のような基板によって支持されてもよい。回路300’は、4つのMR素子310、312、314及び316を含んでもよく、これらのMR素子は、ブリッジ構成318に結合されてもよい。実施形態において、ブリッジ318は、信号318aと318bとからなる差動出力を生成してもよい。
【0047】
[00108]MR素子をブリッジに配列することは、特定の実施形態において、磁界センサの感度を増加させてもよい。一実施形態において、標的は、回路300’に対して可動であることにより、標的が回路に接近するとき、それが、MR素子314、316に向かってではなく、主にMR素子310、312に向かって動く。この構成によって、MR素子310及び312の抵抗は変化してもよく、そして、MR素子314及び316の抵抗は、標的がMR素子に接近し、及び後退するときに、比較的一定のままであってもよい。例えば、標的が接近するとき、MR素子310、312の抵抗が減少し、MR素子314、316の抵抗が増加するように、MR素子が整列している場合、標的が接近するとき、信号318aが減少することになり、信号318bの電圧が増加することになる。MR素子(並びに差動信号318a及び318b)の反対の反応が、差動信号を受け取るプロセッサが何らかの同相ノイズを無視することも可能にしながら、磁界検出回路の感度を増加させてもよい。
【0048】
[00109]実施形態において、MR素子310~316をブリッジに配列することが、抵抗器の組にわたる標的の位置の差分の検出及び/又はブリッジ出力間の位相差の検出を可能にしてもよい。このことを利用して、例えば、標的の傾き又は変形を検出してもよい。
【0049】
[00110]回路300’は、また、ボンドパッド320を含んでもよく、このボンドパッドは、チップパッケージ(図示せず)にアクセスされて、それの外部の接続を形成してもよい複数のリード線322を有する。リード線又は導電トレース324が、MR素子310、312、314及び316を外部リード又はパッド322に接続することにより、それらが、例えば、MR励振器106のような別の回路に結合されてもよい。
【0050】
[00111]図3Bを参照すると、回路323が、4つのコイル324~330と、3列332、334、及び336のMR素子と、を含む。回路323を用いて、標的の位置又は動作を検出してもよい。
【0051】
[00112]コイルは、交番パターンの磁界を生成してもよい。例えば、コイル324は紙面中に入る界を生成してもよく、コイル326は紙面から外に出る界を生成してもよく、コイル328は紙面中に入る界を生成してもよく、コイル330は紙面から外に出る界を生成してもよい。その結果、コイル324、326、328、330によって生成された磁界の結果として列332、334及び336内のMR素子によって検出された磁界は、実質的にゼロであってもよい。
【0052】
[00113]回路323は、また、追加のコイル及び追加のMR素子を追加することによって拡張されてもよい。実施形態において、追加のコイルは、上記のように、交互方向を有する磁界を作成するように構成されてもよく、コイル間のMR素子が、実質的にゼロである磁界を検出するように置かれてもよい。
【0053】
[00114]列332、334及び336内のMR素子は、グリッドを形成してもよい。標的がグリッド上方を動いてMR素子に接近するとき、MR素子は、露出されて、コイル324~330によって生成された磁界の結果として標的内を流れる渦電流によって生成された反射磁界を検出することになる。例えば、標的がMR素子338及び340上方を動く場合、これらのMR素子は、反射された磁界を検出して、同程度を示す出力信号を生成してもよい。MR素子から出力信号を受け取るプロセッサは、次いで、MR素子338及び340の上方又はその近傍にあるときに標的の位置を識別してもよい。次いで、標的がMR素子342の近くまで動く場合、MR素子342は、標的から反射された磁界を検出して、標的が検出されたことを示す出力信号を生成することになる。出力信号を受け取るプロセッサは、次いで、標的の位置をMR素子342の上方又はその近傍にあるとして識別してもよい。
【0054】
[00115]単一の大きい標的が、グリッド332、334及び336の前に置かれてもよい。次いで、それぞれのMR素子が経験した反射された界同士の差分が、標的とグリッドの平面との平行度のマッピングである。それは、また、標的の変形を外的拘束の関数としてマッピングするために用いられてもよい。
【0055】
[00116]図4を参照すると、標的402を検出するためのシステム400が、単一のコイル及びMR素子を用いて標的402を検出してもよい。MR素子404は、コイル406に近接して置かれてもよい。一実施形態において、MR素子404は、コイル406と標的402との間に置かれてもよい。別の実施形態において、コイル406のトレースが、MR素子404と標的402との間に置かれてもよい(図示せず)。
【0056】
[00117]単一のコイル構成において、MR素子404は、磁性標的402がない場合でさえ、磁界の影響を受けてもよい。磁性標的402がない場合、渦電流及び反射磁界が存在しなくなる。しかし、MR素子404が単一のコイル406に近接して置かれ、2つの対向するコイルの間に置かれていないので、それは、コイル406によって生成された直接結合磁界405の影響を受けてもよい。
【0057】
[00118]標的402の存在は、反射磁界を生じさせ、そして、この追加界が、MR素子404によって検出されて標的402の存在を示してもよい。例えば、コイル406を通れる電流は、標的402内に渦電流(電流408及び410によって示される)を生成してもよく、この渦電流は、反射磁界412を生成してもよい。反射磁界412は、MR素子404が経験する磁界の強度を増加させてもよい。したがって、標的402が存在するとき、MR素子404は、標的402が存在しないときよりも強い磁界を検出してもよい。
【0058】
[00119]標的402の近接が、また、MR素子404によって検出された反射磁界の強度を増加又は減少させてもよい。標的402がコイル406に対してより近くまで動くとき(又はその逆も同じである)、渦電流(電流408’及び410’によって示される)の強度が増加することになり、それが、より大きい強度によって反射磁界412’を生成することになる。したがって、MR素子404は、標的402がコイル406に対してより近くまで動くとき、より強い磁界を検出することになる。
【0059】
[00120]図4に示す実施形態において、MR素子404が、コイル406のループに隣接して配置される。このことは、反射界412を検出するためのMR素子404のより大きな感度をもたらしてもよい。しかし、コイル406によって生成された界がMR素子404の位置ではゼロでないので、MR素子404は、また、反射界だけでなく、コイル406によって直接生成された磁界、すなわち「直接結合」磁界も検出してもよい。様々な技術を用いて、直接結合磁界についてのMR素子404’の感度を低減してもよい。
【0060】
[00121]図5を参照すると、回路500は、コイル502と、コイル502のトレースの上方又は下方に置かれた4つのMR素子1~4と、を含む。MR素子は、ブリッジ構成504に接続されてもよい。ブリッジ構成は、信号504a及び504bからなる差動出力を提供してもよい。
【0061】
[00122]実施形態において、回路500は、標的を検出するための単一コイル回路として用いられてもよい。例えば、標的がMR素子1及び2に接近するとき、出力信号504aが変化してもよく、そして標的がMR素子3及び4に接近するとき、出力信号504bが変化してもよい。MR素子1~4は、標的が要素1~4に接近するとき、出力信号504aの値が増加し、出力信号504bの値が減少するように整列していてもよく、又は、その逆も同じである。例えば、かかる実施形態において、素子1及び2の近傍のコイルによって作成された界は、素子3及び4の近傍のコイルによって作成された界と比較して符号が反対である。それゆえに、反射界は、反対方向であって、外部の共通の界に起因する変動を抑制しながら、反射界に対するブリッジ差動出力の感度を向上させる。
【0062】
[00123]図5Aを参照すると、回路500’は、コイル506を含み、このコイルは、矢印508が示す方向に電流がコイル506を通って流れる場合に、電流が、時計回り方向にコイル部分510を通って流れ、逆時計回り方向にカウンタループコイル部分512を通って流れるように配列されている。このように、コイル部分510及び512は、上記のように、逆方向を有する局所磁界を生成してもよい。MR素子1~4は、示すように、標的が接近するとき差動信号を提供するブリッジを形成するように配列されてもよい。カウンタループは、コイルによって生成された直接結合磁界を低減してもよく、そして、MR素子によって検出されてもよい。例えば、コイル506によって生成された磁界は、(例えば、直接結合された)MR素子1~4によって直接検出されてもよい。コイル部分510及び512は、コイル506によって生成された磁界の反対方向の局所磁界をそれぞれ作成してもよい。したがって、局所磁界は、少なくともMR素子1~4の周りの局所範囲内にコイル506によって生成された直接結合された界を(少なくとも部分的に)相殺してもよい。このことは、MR素子1~4によって検出された磁界が標的からの反射界であるように、MR素子1~4によって検出されるように直接結合界を低減又は除去してもよい。
【0063】
[00124]実施形態において、カウンタループを用いて、感度検出を提供するためのコイルの反射界及び直接界を測定する。また、この構成において、MR素子1~4は、それらが主コイルによって作成された界を参照しないように置かれてもよい。
【0064】
[00125]実施形態において、標的は、MR素子2及び4ではなく、MR素子1及び3に隣接して配置されてもよい(又はその逆も同じである)。MR素子1~4がブリッジ構成に配列されている場合、例えば、標的が、MR素子1及び3に向かう方に又はそれらから離れる方に動くとき、ブリッジの差動出力が変化してもよい。
【0065】
[00126]実施形態において、標的が、MR素子1及び2が1つの方向の反射磁界を経験し(例えば、反射磁界の1つの側を経験し)、そしてMR素子3及び4が、反対方向の反射磁界を経験する(例えば、反射磁界の反対側を経験する)ように配置されてもよい。この実施形態において、標的がMR素子のより近くまで動くとき、差動信号を生成するために、信号504aが増加し、信号504bが減少してもよい(又はその逆も同じである)。
【0066】
[00127]図5Bを参照すると、回路500”は、2つのMRブリッジを含む。MRブリッジ514は、MR素子1~4を含み、信号514a及び514bからなる差動出力信号を生成し、一方、MRブリッジ516は、MR素子508を含み、信号516a及び516bからなる差動出力信号を生成する。標的がMR素子1~8に接近するとき、MRブリッジ514及び516の出力信号が、標的の存在及び近接を示すように変化してもよい。回路500”は、また、ボンドパッド518とともに示されている。
【0067】
[00128]一実施形態において、標的が、ブリッジ514(MR素子1~4)に隣接して配置されて、ブリッジ514の差動出力が、標的がブリッジ514により近くまで又はそれからより遠くに動くとき、影響を受けてもよい。この実施形態において、標的が動くとき、ブリッジ516の出力が、比較的静止したままであってもよい。したがって、ブリッジ516の出力は、基準として用いられてもよい。特に、この配列は、検出されるべき標的がブリッジ514に比較的近い状態で作動することにより、標的の移動が、ブリッジ514へのより大きい影響、及びブリッジ516へのより小さい又はゼロの影響を有する。
【0068】
[00129]それに付加して又は代替して、同一の構成を用いて、距離の差分、大きい標的とMR素子1、2、3及び4の係止との間にある第1距離、及び対応する標的とMR素子5、6、7及び8との間にある第2距離を測定してもよい。
【0069】
[00130]それに付加して又は代替して、図5Bと同一の構成を用いて、標的の中心をコイルの平面に垂直な平面に沿って、ブリッジ514と516との間の等距離のところに位置するライン530に沿ってコイルの平面を横切って正確に置くことを決定してもよい。
【0070】
[00131]図5Cを参照すると、回路501が、コイル520と、コイル520の周りに間隔を空けて配列された複数のMR素子522と、を含む。MR素子522は、上記の、図3Bに示すグリッドに類似したグリッドを形成してもよい。実施形態において、MR素子522は、ブリッジ構成に接続されてもよい。別の実施形態において、MR素子522は、別のMR素子と共有されない個々の回路に作用しても(又はそれの部分であっても)よい。いずれにせよ、MR素子522は、標的(及びそれの反射磁界)が検出されたときに、信号を生成してもよい。プロセッサは、これらの信号を受け取って、標的の場所、位置、速度、平行度、角度又は別の特性を計算してもよい。
【0071】
[00132]一実施形態において、回路501を用いて、コイルに対する3次元での標的の位置を検出してもよい。MR素子がコイル520に沿った平面内に配置されているので、それらはグリッドとして作用してもよい。標的がMR素子のうちの1つ(又は複数)に接近するとき、それらは、2次元のグリッドに沿って標的の位置を決定するために用いられてもよい出力信号を生成することになる。また、上記のように、コイル520及びMR素子を用いて、2次元のコイル及びグリッドに直交する方向(すなわち、紙面に出入りする方向)のMR素子からの距離を検出してもよい。
【0072】
[00133]ここで図6を参照すると、標的を検出するための回路600が、コイル602と、1つ又は複数のMR素子604及び606と、を含んでもよい。コイル602は、隙間612によって分離された2つのコイル状部分608及び610を有してもよい。実施形態において、部分608と610とを通る電流は、同じ向きに流れる。例えば、部分608を通る電流がコイル回りに時計回り方向に流れる場合、部分610を通る電流は、また、時計回り方向に流れてもよい。
【0073】
[00134]MR素子604及び606が、それらがコイル602のトレースの直ぐ上方に(又は下方に)ないように隙間内部に置かれてもよい。MR素子を隙間612内部に置くことは、コイル602とMR素子604及び606との間の容量及び誘導結合を低減してもよい。また、隙間612は、MR素子と標的との間の距離よりも小さい幅Wを有してもよい。隙間612が比較的小さいことの結果として、標的内に誘導された渦電流及びその結果として生じた反射磁界は、あたかも部分間に何ら隙間のない単一のコイルが磁界を生成しているように現れてもよい(すなわち、MR素子によって検出されてもよい)。
【0074】
[00135]実施形態において、MR素子を隙間612内部に配置することが、隙間612によって生成された直接結合磁界に対するMR素子の感度を低減し、それで、MR素子が反射界に対する感度を保持することを可能にしてもよい。
【0075】
[00136]別の実施形態において、コイル602は、1つ又は複数のトレース内に凹凸を含んでもよい。MR素子604及び606は、凹凸と整列していてもよい。
[00137]図7は、コイル700のトレース間に挟まれたMR素子604及び606を有する回路の断面図である。一実施形態において、コイル700は、コイル602と同じか又はそれに類似していてもよい。コイルトレース602a及び602bは、基板(図示せず)の表面上に配置されてもよい。MR素子604及び606がトレース602a及び602b上に置かれることにより、トレース602a及び602bは、MR素子604及び606と基板との間に配置されてもよい。トレース614a及び614bの追加の層が、MR素子604及び606上に配置されてもよい。トレース602a、602b、614a及び614bが同一のコイルの部分であることにより、トレースを通って流れる電流が円形又は螺旋状パターンで流れて、磁界を誘導する。MR素子604及び606をコイルのトレース間に置くことが、コイルによって生成された直接結合磁界を低減してもよい。
【0076】
[00138]図8を参照すると、圧力センサ800は、コイル804並びにMR素子806及び808を支持する基板803を有する磁界センサ802を含む。実施形態において、磁界センサ802は、図5の回路500、図3の回路300、又は標的の近接を検出してもよい上記の磁界検出回路のうちの任意のものと同じか又はそれらに類似してもよい。
【0077】
[00139]実施形態において、コイル804及びMR素子806、808は、同一の基板803によって支持されてもよい。別の実施形態において、MR素子806、MR素子808及びコイル804は、異なる基板(図示せず)上に支持されてもよい。例えば、コイル804は、1つの基板によって支持され、一方、MR素子806及び808は、異なる基板によって支持されてもよい。別の例では、MR素子806、MR素子808及びコイル804は、それぞれ、別個の基板によって支持されてもよい。回路素子を支持する基板の任意の別の組合せが、また、可能である。
【0078】
[00140]圧力センサ800は、導電性部分811と、変形可能部分812と、を有するチャンバ810を含む。実施形態において、チャンバ810は、細長いチューブによって形成される。図8の実施形態において、導電性部分及び変形可能部分812は、チューブの1つの端部に配設された膜を備えてもよく、この膜は、隔壁として作用してもよく、そして磁界検出回路802に向かう方に又はそれから離れる方に動くように変形させられてもよい。
【0079】
[00141]変形可能部分812は、ステンレス鋼、ベリリウム銅、チタン合金、超合金及び/又はサファイヤから形成されてもよい。チャンバ810内部の圧力が、チャンバ810外部の圧力よりも大きいとき、変形可能部分812は、磁界検出回路802に向かって拡張してもよい。チャンバ810外部の圧力がより大きい場合、変形可能部分812は、磁界検出回路812から離れる方に後退してもよく、そして、チャンバ810内外の圧力が平衡している場合、変形可能部分は、拡張位置と後退位置との間にある中立位置をとってもよい。
【0080】
[00142]円形変形可能部分の場合、膜の変形が、次式によって与えられる。
【0081】
【数1】
【0082】
[00143]hが変形可能部分の厚さである場合、νはポアソンモジュールであり、Eはヤングモジュールであり、aは変形可能部分の半径であり、rは変形が測定される地点である。
【0083】
[00144]実施形態において、変形可能部分が常に180℃を上回る温度においてさえ材料の弾性領域内にあるので、最大変形が十分に小さくてもよい。そのため、マルエージ合金又はチタン合金のような超合金が、好適な材料であってもよい。
【0084】
[00145]磁界検出回路802が、上記のように、コイル804に近接して配設された少なくとも1つの磁界感知素子806及び/又は808を含んでもよい。コイル804は、上記の渦電流及び反射界と同様の、渦電流及び反射磁界を導電性部分812内に誘導する磁界を生成してもよい。磁界検出回路802は、また、チャンバ810の内部と外部との間の圧力差を示す出力信号を発生させる回路を含んでもよい。
【0085】
[00146]実施形態において、磁界検出回路802は、2つの、離隔された別々のMR素子806及び808を備え、変形可能部部分がMR素子に向かう方に拡張し及び/又はそれから離れる方に後退するとき、導電性部分812とMR素子806及び808のうちの1つとの間の距離を検出する。実施形態において、磁界検出回路802は、a)導電性部分812と磁界センサ808との間の距離と、b)導電性部分812と磁界センサ806との間の距離との間の差を検出するように構成されてもよい。これらの距離の間の差を用いて、磁界検出回路802の出力信号を生成してもよい。
【0086】
[00147]磁界検出回路802によって生成された出力信号は、距離を表してもよく、この出力信号は、次いでチャンバ810内部の関連する圧力を算出するためにプロセッサによって受け取られてもよい。MR素子806及び808は、複数のMR素子を備えてもよく、そして、上記のように、ブリッジ構成に配列されて差動出力を生成してもよい。
【0087】
[00148]一実施形態において、MR素子806は、導電性で変形可能な部分812のエッジと整列させられ、そして、MR素子808は、導電性変形可能部分812の中心又はその中央領域と整列している。この配列では、変形可能部分812がMR素子808に向かう方及びそれから離れる方に動くときに、MR素子808が反応することになり、そして、MR素子806は、影響を受けることにならならないか、又は要素808よりも有意により小さい程度の影響を受けることになり、それで、比較的一定の抵抗値を有してもよい。MR素子をこのように配置することを用いて、漂遊界に起因する誤差を除去してもよい。それは、また、MR素子間の空隙許容量について補償するのを助けてもよい。例えば、2つのセンサによって検出された距離の差を用いて、時間、温度等に関する空隙の小さい変化を補償してもよい。
【0088】
[00149]図8Aを参照すると、圧力センサ818の別の実施形態が、変形可能側壁821を有する第1細長チューブ820と、流体が細長チューブ820内部のチャンバに入ることを可能にする開口部823と、を含む。流体がチューブ820内部に圧力を作成するとき、側壁821は風船のように膨張するか又は拡張してもよい。チューブ820の端部828が導電性であってもよい。
【0089】
[00150]圧力センサ818は、また、開口部824を有する第2細長チューブ822を含む。細長チューブ822は、剛性壁826と、開口部824と、を有してもよい。開口部824は、チューブ820が開口部824中に挿入されるのに十分な大きさの直径又はサイズを有してもよい。
【0090】
[00151]圧力センサ818は、磁界センサ802と同じか又はそれに類似してもよい磁界センサ830、及び/又は上記の磁界センサのうちの任意のものを含んでもよい。
[00152]実施形態において、チューブ820、822がアセンブルされるときに、チューブ820の導電性端部828がMR素子808に近接して配置されてもよい。チューブ820内部の圧力が増減するとき、チューブ822’の剛性壁が、変形可能側壁821が側方に膨張しないように保持してもよい。しかし、チューブチャンバ823内部の圧力が変化するとき、端部828は、MR素子808に向かう方に膨張及び拡張し、MR素子808から離れる方に後退してもよい。磁界センサ830は、距離の変化を検出して、端部828とMR素子808との間の距離を表す出力信号を生成してもよい。実施形態において、磁界検出回路802は、a)導電性端部828と磁界センサ808との間の距離と、b)導電性808と磁界センサ806との間の距離との間の差を検出するように構成されてもよい。これらの距離の間の差を用いて、磁界検出回路830の出力信号を生成してもよい。プロセッサ回路が、信号を受け取って、距離に基づいてチューブ820内部の圧力を算出してもよい。
【0091】
[00153]また、図9を参照すると、圧力センサ900は、図8の基板803と同じか又はそれに類似してもよい第1基板902と、第1基板902に取り付けられた第2基板904と、を含む。第2基板904は、表面908と、表面内に形成された陥凹906と、を含んでもよい。陥凹906は、基板中にエッチングされてもよい。実施形態において、ウェハ904は、点線910が示すように、圧力を受けて偏向するのに十分である程薄いようにエッチングされてもよい。基板902によって支持されたMR素子が、ウェハ904の偏向を(上記のような反射磁界を介して)検出してもよい。検出された偏向が、その後に圧力に相関させられてもよい。
【0092】
[00154]実施形態において、基板902上のMR素子が、上記の及び図8Aに示す配列に類似して、1つ又は複数のMR素子が、陥凹906のエッジ(例えば、非偏向部分)に隣接している、そして、1つ又は複数のMR素子が、陥凹906の中心(例えば、偏向部分)に隣接しているように配置されてもよい。
【0093】
[00155]実施形態において、基板904は、導電性材料、例えば、銅から形成されてもよい。そのため、基板904上の圧力(及び/又は陥凹906内部の圧力)によって生成された、基板904の導電性変形可能部分の動作が、基板902上の磁界センサによって検出されてもよい。
【0094】
[00156]その代替として、基板904が、例えば、厚くて十分に導電性の銅のような材料によって被覆されたサファイヤのような結晶性材料によって形成されてもよい。
[00157]実施形態において、陥凹906が製造プロセス中に排気されて、基準圧力を決定する。実施形態において、基準圧力は、標準圧力未満(例えば、100kPa未満)である真空又は圧力である。特定の構成では、MRブリッジ(例えば、図3Aのブリッジ318)の出力信号のうちの1つ又は複数を用いて、基準圧力の値を表すように発生する。
【0095】
[00158]図10を参照すると、磁界センサ1000のブロック図が示されている。磁界センサは、磁界を生成するコイル1002と、コイルに電力を提供するコイル励振器1004と、MR素子1006と、MR素子1006に電力を提供するMR励振器回路1008と、を含む。MR素子1006は、単一のMR素子であってもよく、又は複数のMR素子を備えてもよく、これらの複数のMR素子はブリッジ構成に配列されてもよい。上記のように、コイル1002及びMR素子1006は、導電性標的の距離を検出するように構成されてもよい。実施形態において、コイル励振器1004及び/又はMR励振器1008は、上記のような及びAC電源1010によって示すような、コイル1002及びMR素子1008を励起するためのAC出力を生成してもよい。AC電源1010は、コイル1002及びMR素子1006の両方を励振するために用いられる共通の源であってもよい。実施形態において、信号1012は、AC信号であってもよい。
【0096】
[00159]磁界センサ1000は、また、MR素子1006の出力信号1012を増幅させるための増幅器を含む。出力信号1012は、差動信号であってもよく、増幅器1014は、差動増幅器であってもよい。出力信号1012及び増幅信号1016は、DC信号であってもよい。
【0097】
[00160]磁界センサ1000は、また、信号1016からのノイズ及び別のアーチファクトをフィルタリングするローパスフィルタ1018と、温度に基づく出力信号(例えば、温度センサ1020による温度測定値)及び材料型式モジュール1022に基づく材料の型式をスケーリングしてもよいオフセットモジュール1024と、を含んでもよい。区分型線形化回路1026が、また、含まれてもよく、この回路は、補償された信号1028についての線形回帰を実行して、出力信号1030を生成してもよい。
【0098】
[00161]実施形態において、標的からの反射磁界が、周波数f(コイル励振器1004と同じ周波数)を有する。コイル1002によって生成された磁界と反射界とが、同一の周波数を有するので、MR素子1006の出力は、0Hz(又はDC)成分と、周波数fの成分と、周波数fの倍数の調和成分と、を含んでもよい。当業者であれば、最低周波数調和成分が周波数2*fで生じることを認識するであろう。しかし、MRブリッジの平衡における何らかの差が、信号内に存在してもよい周波数成分を発生させてもよい。したがって、ローパスフィルタ1018が、周波数f以上を除去するように構成されてもよい(すなわち、ローパスフィルタ1018は、カットオフ周波数fcutoffを含み、ここにfcutoff<fである)。実施形態において、フィルタは、可能なf信号を除去するように設計されてもよい。したがって、周波数fは、標的の動作の周波数範囲よりも大きい周波数として選ばれてもよい。
【0099】
[00162]実施形態において、MR素子1008の感度が、温度によって変化する。反射界の強度が、また、標的材料型式及び周波数に依存して温度によって変化してもよい。補償するために、モジュール1022は、温度及び/又は使用される材料の影響に対して補償するためのパラメータを含んでもよい。パラメータは、線形及び/又は2次補償値を含んでもよい。
【0100】
[00163]実施形態において、処理回路1032が、磁界を表す信号を処理してもよい。共通の源1010を用いて、MR素子1006及びコイル1002を励振するので、コイル1002とMR素子1006との周波数は、実質的に同じである。この場合、信号の後処理が、フィルタリング、線形回帰、利得及び増幅、又は別の信号整形技術を含んでもよい。
【0101】
[00164]MR素子1006は、コイル1002によって直接生成された磁界、及びコイル1002を通る電流によって発生させられた磁界によって誘導された、導電性標的内の渦電流によって生成された反射磁界をまた検出してもよい。
【0102】
[00165]図10Aを参照すると、磁界センサ1000’は、上記のような、コイル1002と、コイル励振器1004と、共通のAC電源1010と、MR励振器1008と、MR素子1006と、増幅器1014と、ローパスフィルタ1018と、を含んでもよい。
【0103】
[00166]磁界センサ1000’は、閉ループセンサである図10のセンサ1000と異なってもよく、それで、またコイル1002と異なるAC周波数で作動してもよい第2コイル1035を含んでもよい。この例では、コイル1035は、記号「-f」によって示すように、コイル1002と180度位相がずれていてもよい。コイル1035は、また、標的を検出するために用いられてもよい第1磁界を生成してもよい。実施形態において、コイル1035は、コイル1002よりも比較的小さくてもよい。コイル1035がMR素子1006に隣接して置かれることにより、MR素子1006によって検出されてもよい磁界を生成してもよく、しかし、この磁界は、標的内に渦電流を生成しない。
【0104】
[00167]実施形態において、コイル1035を用いて、MR素子の磁気抵抗に起因する誤差を相殺してもよい。例えば、MR素子1006の出力がゼロボルトになるまで、コイル1035によって励起される電流の強度が変化させられてもよい。この点で、コイルを流れる電流1035が、(例えば、コイル1035と直列の分路抵抗器にかかる電圧を測定することによって)測定されてもよい。測定された電流が、MR素子1006の出力と同様に処理されることにより、MR1006と関連する磁気抵抗誤差を除去してもよい。
【0105】
[00168]磁界センサ1000’は、また、信号1038を受け取るための増幅器1036を含んでもよい。磁界センサ1000’は、また、上記のようなローパスフィルタ1019と、材料型式モジュール1022と、温度センサ1020と、オフセットモジュール1024と、区分型線形化モジュール1026と、を含んでもよい。
【0106】
[00169]図11~11Fは、信号正確度への影響から誘導結合又は別のノイズを低減するための信号処理を有する磁界センサについての様々な例を含む。図11~11F内の例示的な磁界センサは、また、標的からの反射界を検出することに関連した様々な特徴、例えば、周波数ホッピング等を用いてもよい。かかる磁界センサは、また、感度値を計算するための回路を含んでもよい。
【0107】
[00170]ここで図11を参照すると、磁界センサ1100は、コイル1002と、コイル励振器1004と、AC励振器1010と、MR励振器1008と、MR素子1006と、増幅器1014と、ローパスフィルタ1018と、温度センサ1020と、材料型式モジュール1022と、オフセットモジュール1024と、区分型線形化モジュール1026と、を含んでもよい。
【0108】
[00171]MR素子1006は、感知素子励振信号に応答し、コイル1002によって発生させられた直接結合磁界を検出して応答的に信号1012を生成するように構成されてもよい。処理回路は、コイル1002によって生成された直接結合磁界についての、MR素子1006による、検出と関連する感度値を計算してもよい。感度値は、標的内の渦電流によって生成された反射界から実質的に独立していてもよい。
【0109】
[00172]示すように、AC励振器1010は、コイル励振器1004に結合されているが、センサ1100内のMR励振器1008には結合されない。この実施形態において、MR励振器1008は、MR素子1006を励振するためのDC信号(例えば、約ゼロの周波数を有する信号)を生成してもよい。
【0110】
[00173]コイル1002は、MR素子1006によって検出されてもよいが、標的内に渦電流を生成しないDC(又は、実質的に低振動数AC)磁界を生成してもよい。DC(又は、実質的に低振動数AC)磁界の検出によって生成される信号を用いて、磁界センサの感度を調整してもよい。
【0111】
[00174]コイル1002は、また、標的内に渦電流を誘導するより高い周波数のAC磁界を生成してもよく、このAC磁界は、MR素子1006によって検出されてもよいそれらのより高い周波数の反射磁界を生成する。
【0112】
[00175]MR素子1006は、信号1012を生成してもよく、この信号は、標的内に渦電流を生じさせないより低い周波数磁界を呈するDC又は実質的に低いAC周波数の周波数成分(例えば、「直接結合」信号又は信号成分)、及び/又は検出された反射界を呈するより高いAC周波数(例えば、「反射された」信号又は信号成分)の周波数成分を含んでもよい。直接結合信号を用いてセンサの感度を調整してもよく、一方、反射信号を用いて標的を検出してもよい。コイル励振器1004及び/又はMR励振器1008は、感度信号が感度信号に応じてそれらのそれぞれの出力励振信号を調整するとき、直接結合信号を用いてもよい。
【0113】
[00176]実施形態において、直接結合信号及び反射信号は、同じ信号の周波数成分として含まれてもよい。この場合、コイル1002は、同時に両方の周波数成分を生成するように励振されてもよい。別の実施形態において、直接結合信号及び反射信号の発生は、例えば、時分割マルチプレキシングスキームを用いて、異なる時に発生させられてもよい。
【0114】
[00177]センサ1100は、また、復調回路1050を含んでもよく、この回路は、信号1016を変調させて信号からAC成分を除去するか、又は信号内のAC成分を異なる周波数にシフトしてもよい。例えば、復調回路1050は、周波数fにおいて信号1016を変調してもよい。当該技術分野で知られているように、信号1016が、検出された磁界を表す周波数fの信号成分を含むので、周波数fでの変調信号1016は、検出された磁界を表す信号エレメントを0Hz又はDCにシフトしてもよい。信号1016内の別の周波数成分がより高い周波数にシフトされることにより、それらは、ローパスフィルタ1018によって除去されてもよい。実施形態において、感度値を表してもよい信号1016のDC又は低周波数成分は、コイル励振器1004にフィードバックされて、信号に応じてコイル1002の出力を調整してもよく、及び/又はMR励振器1008にフィードバックされて、感度値に応じて励振信号1009を調整してもよい。DC出力信号1052は、MR素子1006への標的の近接を表してもよい。
【0115】
[00178]別の実施形態では、時分割マルチプレキシングスキームを用いてもよい。例えば、コイル励振器1004は、第1期間中に第1周波数で、第2期間中に第2周波数で、等でコイル1002を励振してもよい。いくつかの例では、第1期間と第2期間(及びその後の期間)とは、重複しない。別の例では、第1期間と第2期間とは、重複してもよい。これらの例では、コイル励振器1004は、同時に2個以上の周波数でコイル1002を励振してもよい。第1期間と第2期間とが重複しないとき、復調器1050が、コイル励振器1004と同じ周波数で作動してもよい。期間が重複するとき、複数の変調器を用いられ、第1が第1周波数で作動し、第2が第2周波数で作動してそれぞれの周波数で信号を分離する。
【0116】
[00179]反射界(したがって、検出された標的)の正確な読出しを達成するために、MR素子1006が検出する直接連結磁界を低減することが有利であってもよい一方、感度値が計算されることを可能にするために、若干の直接結合を有すること(すなわち、コイル1002によって生成された磁界を直接検出すること)が、また、有利であることがある。コイルによって反射された界及び作成された界の両方を同時に測定することが、MR素子の感度、コイル励振電流等から独立した物体の距離を正確に決定することを可能にする。MR素子の感度は、温度によって及び/又はMRアレイの平面内での不必要なDC又はAC漂遊界の存在によって変化してもよい。反射界とコイル界との間の比は、まさしく形状設計に依存し、それゆえに、正確に距離を決定するために優れたパラメータである。
【0117】
[00180]図11を参照すると、周波数ホッピングスキームを用いてもよい。例えば、コイル励振器1004は、異なる周波数でコイル1002を励振してもよい(例えば、経時的に周波数同士間で交互する、又は複数の周波数を含む信号を生成する)。かかる実施形態では、センサ1100は、それぞれの周波数で信号を検出するための複数の復調回路及び/又はフィルタを含んでもよい。
【0118】
[00181]図11Aを参照すると、磁界センサ1100’が、コイル1002と、コイル励振器1004と、AC励振器1010と、MR励振器1008と、MR素子1006と、増幅器1014と、ローパスフィルタ1018と、温度センサ1020と、材料型式モジュール1022と、オフセットモジュール1024と、を含む。
【0119】
[00182]示すように、AC励振器1010は、周波数f1でコイル1002を励振させるコイル励振器1004に結合される。MR励振器1008は、AC励振器1102に結合されて、周波数f2でMR素子1006を励振する。周波数f1とf2とは、異なる周波数であってもよく、非高調波周波数であってもよい(言い換えると、f1は、f2の高調波周波数でなくてもよく、逆もまた同じである)。実施形態では、周波数f1は、周波数f2よりも低い。別の実施形態では、周波数f1とf2とは、2つの周波数の間の差がf1及びf2よりも十分に小さいように互いに比較的近くてもよい。周波数f2は、ゼロ値又は非ゼロ値周波数であってもよいが、その代替として、f2よりも大きいf1を選んでもよい。そのとき、復調がf2~f1でなされる。
【0120】
[00183]一実施形態では、周波数f1は、標的内に所定レベルよりも大きい渦電流を発生させることを回避するように選択されてもよく、且つ/又は標的内に完全反射を提供するように選択されてもよい。反射界が、以下の式に従う標的内の浸透厚に関係してもよい。
【0121】
【数2】
【0122】
[00184]上記の式において、σは標的材料の導電率であり、μは標的材料の透磁率であり、fは動作周波数である。標的材料の厚さが、浸透厚δの約5倍よりも大きい場合、界は、全反射されてもよい。標的の厚さが、浸透厚と等しい場合、界の約半分だけが、反射されてもよい。それゆえに、浸透厚が標的の厚さよりも大きくなるように十分低く選ばれた周波数fが、低い渦電流及び低減された強度を有する反射界を誘導してもよい。上記の式は、高導電性で低磁性の材料に対して有効であってもよい。低導電性を有する材料又は強磁性材料に対して、複合浸透厚で変換されてもよい渦電流の損失は、反射された界強度の低減をもたらしてもよい。
【0123】
[00185]回路1100’は、また、バンドパスフィルタ1104と、復調回路1106と、を含んでもよい。バンドパスフィルタ1104は、周波数f1及びf2を除外して、周波数|f1-f2|を含むパスバンドを有してもよい。このようにして、コイル及び/又はGMR励振器から磁気センサへの誘導ノイズが、フィルタリングされてもよい。回路1100’は、また、周波数|f1-f2|で復調する復調回路1106と、f1で磁気センサによって認知される磁界を表してもよいDC付近に中心が置かれた信号を回収するローパスフィルタと、を含んでもよい。実施形態において、周波数|f1-f2|の信号は、標的及び/又は直接結合磁界についての情報を含んでもよいが、誘導結合又は別のノイズ源からの低減されたノイズを有してもよい。
【0124】
[00186]ここで図11Bを参照すると、磁界センサ1100”は、コイル1002と、コイル励振器1004と、AC励振器1010と、MR励振器1008と、MR素子1006と、増幅器1014と、ローパスフィルタ1018と、温度センサ1020と、材料型式モジュール1022と、オフセットモジュール1024と、区分型線形化モジュール1026と、を含む。
【0125】
[00187]示すように、AC励振器1010は、コイル励振器1004に結合されているが、センサ1100内のMR励振器1008には結合されていない。この実施形態では、MR励振器1008は、DC信号(例えば、約ゼロの周波数を有する信号)を生成して、MR素子1006を励振してもよい。
【0126】
[00188]コイル1002は、標的内に渦電流及び反射磁界を誘導するAC磁界を生成してもよい。
[00189]センサ1100”は、また、信号1016を復調してもよい復調回路1060を含んでもよい。復調回路1060は、信号1016内の標的についての情報をDCにシフトさせてもよい、周波数fの信号によって信号1016を増大させてもよく、そして、信号内のノイズ又は別の情報をより高い周波数にシフトさせてもよい。ローパスフィルタ1018は、信号からのより高い周波数のノイズを除去してもよい。実施形態において、復調回路1060は、デジタル領域において信号1016を復調するデジタル回路、又はアナログの領域において信号1016を復調するアナログ回路であってもよい。
【0127】
[00190]センサ1100”は、また、コイル1002内の電流の位相及び/又は周波数並びにそれが生成する磁界を検出する位相検出及び補償回路1062を含んでもよい。回路1062は、コイル1002内の位相のずれ量及びfを検出及び補償してもよく、信号1016を変調するために用いられてもよい補正信号1063を生成してもよい。
【0128】
[00191]実施形態において、周波数f、標的の材料型式、標的の形状、配線及び電子部品並びに/又は別の要素が、コイル1002への励振信号1010とMR素子1008によって検出された反射磁界との間の位相シフトを生じさせてもよい。信号間の位相を測定及び用いて、位相検出及び補償回路1062からの信号1063の位相を調節して信号1016の位相を整合させてもよい。
【0129】
[00192]また、周波数ホッピングスキームを用いてもよい。例えば、コイル励振器1004及び/又はMR励振器1008が、複数の周波数で信号を励振してもよい。それぞれの周波数において、位相検出及び補償モジュール1062は、信号1063の位相を調整して信号1016の位相を整合させてもよい。
【0130】
[00193]ここで図11Cを参照すると、磁界センサ1100”’が、コイル1002と、コイル励振器1004と、AC励振器1010と、MR励振器1008と、MR素子1006と、増幅器1014と、温度センサ1020と、材料型式モジュール1022と、オフセットモジュール1024と、区分型線形化モジュール1026と、を含む。
【0131】
[00194]示すように、AC励振器1010は、コイル励振器1004に結合されているが、センサ1100内のMR励振器1008には結合されていない。この実施形態において、MR励振器1008は、DC信号(例えば、約ゼロの周波数を有する信号)を生成して、MR素子1006を励振してもよい。
【0132】
[00195]コイル1002は、標的内に渦電流及び反射磁界を誘導するAC磁界を生成してもよい。反射磁界は、MR素子1006によって検出されてもよく、このMR素子は、検出された磁界を表す信号1012を生成する。
【0133】
[00196]センサ1100’’’は、また、高速フーリエ変換(FFT)回路1070を含んでもよく、この回路は、信号1016についてFFTを実行してもよい。FFTを実行することは、信号1016内の1つ又は複数の周波数成分を識別してもよい。一実施形態では、FFT回路1070は、信号1016内の最大振幅を有する周波数成分を識別してもよく、この周波数成分は、周波数fにおいて検出された磁界を表してもよい。FFT回路1070は、信号1016のいずれかの別の周波数成分だけでなく、周波数fで検出される信号を含む出力信号1072を生成してもよい。
【0134】
[00197]その代替として、励振器は、異なる周波数fa、fb、fcを同時に発生させてもよく、そして、FFTモジュールは、fa、fb、fcで振幅を算出してもよく、これらの振幅を用いて、位置、材料、厚さ等を含む標的の異なるパラメータを決定してもよい。それに加えて、外乱(例えば、標的の変形、漂遊磁界、雑音源等からの)が特定の周波数で生じる場合、システムは、外乱を検出し、その周波数でのデータを無視してもよい。また、FFTモジュールによって計算された振幅を用いて、外乱がいずれかの特定の周波数に存在するか否かを決定してもよく、この周波数は、後続の処理によって無視されてもよい。実施形態において、FFT温度利得補償及び線形化が、アナログ及び/又はデジタル領域で計算されてもよい。
【0135】
[00198]ここで図11Dを参照すると、磁界センサ1100Dが、コイル1002と、コイル励振器1004と、MR励振器1008と、MR素子1006と、を含む。MRセンサ1006の出力信号1007が、検出された磁界を表してもよい。示さないが、センサ1100Dは、また、増幅器1014と、ローパスフィルタ1018と、温度センサ1020と、材料型式モジュール1022と、オフセットモジュール1024と、区分型線形化モジュール1026と、を含んでもよい。発振器1182を用いて、周波数fでコイル励振器1004を作動させてもよい。
【0136】
[00199]示すように、発振器1182は、コイル励振器1004に結合されているが、センサ1100D内のMR励振器1008には結合されていない。この実施形態では、MR励振器1008は、DC信号(例えば、約ゼロの周波数を有する信号)を生成して、MR素子1006を励振してもよい。
【0137】
[00200]センサ1100Dは、また、直角復調回路1180を含む。直角復調回路1180は、励振周波数fの90°シフトを生成するためのシフト回路1188を含む。発振器1182は、周波数fのコサイン信号を生成してもよい。したがって、1188の出力は、周波数fのサイン信号であってもよい。それゆえに、復調器1190及び1192内での乗算(後続のローパスフィルタリング)によって、MRセンサ1006の検出された信号が、同相及び異相成分(例えば、信号1184a及び1186a)に分離されてもよい。結果として生じる位相及び強度を用いて、反射界及び標的についての情報を決定してもよい。例えば、位相情報を用いて、欠陥又は異常が標的内に存在するか否かを決定すること、標的が適切に整列しているか否かで標的の材料の磁性特性を決定すること、等を行ってもよい。発振器1182は、また、周期1/fを有する矩形波を生成してもよく、シフト回路1188は、矩形波を1/(4f)だけ時間においてシフトしてもよい。
【0138】
[00201]図11Eを参照すると、別の実施形態において、磁界センサ1100Eは、同相及び異相情報の両方を提供することの代替として、2つの信号経路を介して直角変調型信号を生成してもよい。回路1100Eにおいて、MR素子の半分が、周波数fの信号によって励振されてもよく、MR素子の半分が、位相が90°だけずれた周波数によって励振されてもよい。復調チェイン(例えば、システムの復調関数を備える回路)は、DCのローパスフィルタ並びに補償及び線形化を含む図10の復調回路と同じか又はそれに類似してもよい。
【0139】
[00202]実施形態において、直角変調を用いて、戻された信号の絶対光度及び位相を決定してもよい。このことは、信号の不必要な脱位相についての自動補正を可能にしてもよく、この修正は、標的特性についてのより正確な決定及び材料の磁性又は損失特性に関連した情報の検索を提供してもよい。
【0140】
[00203]図11Fを参照すると、磁界センサ1100Fは、fの周波数でコイル1002を励振するコイル励振器1004を含む。MR励振器1008は、同じ周波数fであるが、コイル励振1004に対して位相が90度だけずれてMR素子を励振してもよい。その結果として、MR素子1006によって生成された信号1016は、fの2倍(すなわち、2*f)である周波数を有し、この周波数は、正弦と余弦との乗算の結果であってもよい。センサ1100Fは、信号を復調して、反射界情報をDC近傍の周波数に変換してもよい復調回路1195を含んでもよい。
【0141】
[00204]図12を参照すると、信号1270は、コイル1002を励振するために、コイル励振器1004によって用いられる信号を表してもよい。信号が高いとき、コイル励振器1004は、1つの方向に流れる電流によってコイル1002を励振してもよく、信号が低いとき、コイル励振器は、反対方向に流れる電流によってコイル1002を励振してもよい。実施形態において、コイル励振器1004は、コイル1002によって生成された磁界が標的内に渦電流を生成しないように、コイル1002を直流(すなわち、DCで)又は十分低い周波数で励振してもよい。
【0142】
[00205]一例として、上記の浸透厚式を参照すると、50Hzでの銅の浸透厚は、約10mmであってもよく、10kHzでは、約600μmであってもよい。それゆえに、厚さ0.5mmの銅標的が与えられると、5kHz以下の周波数が、比較的低い強度を有する反射磁界を発生させてもよい。
【0143】
[00206]信号部分1272及び1274によって示すように、コイル励振器1004は、比較的低い又はDC周波数でコイル1002を励振してもよい。周波数は、十分に低くてもよく、したがって、部分1272及び1274の継続期間が十分に長くてもよく、それにより、信号1270の切替え(例えば、部分1272の間の高い値から部分1274の間の低い値に切り替えること)によって標的内に発生させられた何らかの渦電流が、落ち着き、消えるための時間を要する。部分1272及び1274の間に示される直接結合信号は、高から低に切り替わる(検出された磁界の変化を表す)ことにより、コイル1002の直接結合磁界に起因する何らかのオフセットを除去してもよい。
【0144】
[00207]信号1270の部分1276は、コイル励振器1004が標的内に渦電流を誘導するに十分高い周波数でコイル1002を励振する間に、MR素子1006によって検出される磁界を表してもよい。部分1276が活性である間、MR素子1006は、コイル1002によって直接生成された直接結合磁界と、標的内の渦電流によって生成された磁界と、を検出してもよい。検出された信号を続けて処理することにより、直接結合界を渦電流によって生成された界から分離してもよい。示さないが、部分1276は、部分1272よりも大きいか又は小さい強度を有してもよく、その理由は、部分同士が異なる情報を含んでもよいからである。例えば、部分1276は、直接結合信号だけでなく、反射信号を含むことがある。
【0145】
[00208]信号1270に表すように、異なる極性の低周波数部分1272及び1274が、信号1270内部で互いに隣接していてもよい。別の実施形態において、信号1270’に示すように、異なる極性の低周波数部分1272’及び1274’が、信号内部で互いに隣接していなくてもよい。例えば、それらが、高周波信号部分1276によって分離されていてもよい。
【0146】
[00209]別の実施態様では、コイルは、低周波数(低周波数部分1272及び1274の)及び高周波数(高周波部分1276の)の両方において同時に励振されてもよい。周波数は、次いで、MR素子の応答を測定するための信号処理技術を用いて分離されてもよい。
【0147】
[00210]特定の例では、低周波数部分1272及び1274の高周波部分1276に対する比が、反射信号の強度を決定又は表示するために用いられてもよい。比をこのように測定することは、温度、漂遊磁界その他に起因した変動等の外部の不必要な変動に対する強度測定の感度を低減させてもよい。
【0148】
[00211]ここで図12Aを参照すると、磁界センサ1200が、感度値に応じて磁界センサの出力信号を調整するように構成されてもよい。センサ1200は、コイル1202と、コイル励振器1204と、を含んでもよい。MR素子1206は、上記のように、コイル1202によって生成された、及び標的によって反射されたような磁界を検出してもよい。実施形態において、MR素子1206の出力信号1208が、第1周波数及び第2周波数を含んでもよい。例えば、第1周波数は、コイル励振器の周波数であってもよく、第2周波数は、0Hz又はDCであってもよい。この場合、MR素子1206は、DCバイアス回路1210によって励振されてもよい。別の例では、第2周波数は、非ゼロの周波数であってもよい。
【0149】
[00212]別の実施形態において、コイル励振器1204は、第1期間中には1つの周波数で、第2期間中には別の周波数でコイル1202を励振してもよい。期間は、交互してもよく、重複しなくてもよい。
【0150】
[00213]センサ1200は、また、セパレータ回路を含んでもよく、この回路は、復調器1224及び1226だけでなく、1つ又は複数のローパスフィルタ1214及び1216を含んでもよい。センサ1200は、また、ミキサ回路1212を含んでもよい。発振器1218及び1220が、コイル1202を励振し、信号1208を処理するために用いられる振動信号を提供してもよい。実施形態において、発振器1220は、信号に発振器1218(flow)の周波数よりも高い周波数(fhigh)を提供してもよい。実施形態において、flowが十分に低いことにより、周波数flowの結果として標的によって生成された何らかの反射界が、ゼロであるか、検出されないほど十分に小さいか、又は出力へのそれの影響が無視可能であるか若しくはシステム許容量内にあるほど十分に小さい。
【0151】
[00214]ミキサ1212は、発振器1218と1220とからの信号を混合して(例えば、付加して)、信号1222を生成してもよく、この信号は、コイル励振器1204に供給される。コイル励振器1204は、次いで、混合された信号1202に基づいてコイル1202を励振してもよい。
【0152】
[00215]コイル1202が混合された信号によって励振されるので、出力信号1208は、MRセンサ1206によって検出されるようなfhigh及びflowの発振を含んでもよい。復調器1226は、周波数fhighの信号1208を復調することにより、周波数fhighの信号1208の部分を信号内の別の周波数から分離してもよい。当業者であれば、復調プロセスが信号内のより高い周波数にシフトされている別の周波数をもたらしてもよいことを認識してもよい。ローパスフィルタ1214が、次いで、これらの周波数を信号から除去し、主として周波数fhigh又はDCの情報を含むフィルタリングされた信号1228を生成してもよい。
【0153】
[00216]同様に、復調器1224は、周波数flowで信号1208を復調して、周波数flowの信号1208の部分を信号内の別の周波数から分離してもよい。当業者であれば、変調プロセスが、信号内のより高い周波数にシフトされている別の周波数をもたらしてもよいことを認識してもよい。ローパスフィルタ1216は、次いで、これらの周波数を信号から除去し、主として周波数flow又はDCの情報を含むフィルタリングされた信号1230を生成してもよい。処理回路1232は、信号1228及び1230を処理して、検出される標的を表す出力信号1232を生成してもよい。
【0154】
[00217]処理回路1232は、漂遊磁界干渉、温度シフト、パッケージ応力、又は別の外部刺激によって生じた望ましくない変動に実質的に感応しない出力を提供するために信号の比をとることを含む様々な方法で信号1228及び1230を処理してもよい。信号の比をとることは、また、温度、供給電圧の変化、外部刺激等に起因した、コイル励振器の変動(例えば、コイル励振器によって提供される電流又は電圧の変動)に実質的に感応しない出力を提供してもよい。
【0155】
[00218]矢印1234によって示すように、信号1230は、また、DCバイアス回路1220中に供給された感度信号として用いられてもよい。DCバイアス回路1210は、信号1230の値に基づいてMR素子1206を励振するために用いられる電圧レベルを調整して、温度、漂遊磁界、パッケージ応力等に起因するシステム感度の変化を補償してもよい。
【0156】
[00219]図12Bを参照すると、磁界センサ1200’が、センサ1200と類似してもよく、追加の面内界コイル1236を含んでもよい。DCバイアス回路1236は、DC電流によってコイル1232を励振して、一定磁界を作成してもよい。一定磁界は、MR素子1206によって直接検出されてもよく、バイアス磁界であってもよい。別の実施形態において、面内界コイル1232によって生成された磁界を用いて、MR感度に比例する信号を発生させてもよく、この信号は、MR素子1206によって検出されてもよく、続いてフィードバックされてもよく、そして、回路1200’の感度を調整するために用いられてもよい。実施形態において、面内界コイル1232によって生成された磁界は、コイル1202によって生成され、MR素子の感度を増加/減少させるために用いられる磁界に垂直であってもよい。DCバイアス回路1236が、閉ループシステムによって参照される感度の変化を補償するようにコイル1232を励振してもよい。言い換えると、DCバイアス回路は、フィードバック信号1234に応じてコイル1232に供給される励振電流の強度を変化させて、フィードバックループシステムのバンド幅まで感度誤差を補償してもよい。バンド幅は、フィルタ1216の遮断周波数によって決定されてもよい(又は、少なくとも大きく影響を受けてもよい)。
【0157】
[00220]示すように、DCバイアス回路1236は、信号1230を受け取って面内界コイル1232に提供される電流の量を調整してもよく、それが、続いて、面内界コイル1232によって生成された磁界の強度を調整してもよい。図12Bには示さないが、DCバイアス回路1210’は、また、信号1230を受け取り、それを用いてMR素子1206を励振する電流を調整してもよい。実施形態において、DCバイアス回路1210’、DCバイアス回路1236、又はその両方が、信号1230に基づいてそれらの出力を調整してもよい。
【0158】
[00221]図12Cを参照すると、磁界センサ1240が、発振器1220と、発振器1218と、ミキサ1212と、を含む。コイル励振器1204が、ミキサ1212によって生成された信号を受け取り、コイル1202を周波数fhigh及びflowを備える信号によって励振する。
【0159】
[00222]センサ1240は、2つの(又は2つ超の)MR素子1254及び1256を含んでもよい。MR励振器1250が、発振器1220に結合されてもよく、周波数fhighでMRセンサ1254を励振してもよく、そして、MR励振器1252が、発振器1218に結合されてもよく、周波数flowでMRセンサ1256を励振してもよい。ローパスフィルタ1216が、MRセンサ1254からの出力信号1258をフィルタリングしてもよく、そして、ローパスフィルタ1264が、MRセンサ1256からの出力信号1260をフィルタリングしてもよい。MRセンサ1254及び1256が励振される周波数に基づいて、出力信号1258が、fhighの周波数成分を含んでもよく、そして、出力信号1260が、flowの周波数成分を含んでもよい。フィルタリングされた信号1230が、センサ1240の感度を調整するために用いられてもよい感度信号であってもよい。したがって、信号1230が、MR励振器1252、MR励振器1250及び/又はコイル励振器1204にフィードバックされてもよく、これらは、信号1230の値に基づいてこれらの出力をそれぞれ調整してもよい。実施形態において、信号1230は、DC又は振動信号であってもよい。
【0160】
[00223]図13を参照すると、回路1300が、コイル1302と、ブリッジ構成に配列されたMR素子1~8と、を含む。コイル1302は、いわゆるカウンタコイル部分1304A、B及び1306A、Bを含んでもよい。第1カウンタコイル部分1304Aは、それの下のMR素子に対して左側に界を生成してもよい。続いて、部分1304Bは、右側に界を生成してもよく、部分1306Aは、右側に界を生成してもよく、部分1306Bは、左側に界を生成してもよい。MR素子1及び3は、カウンタコイル部分1304A近傍に配置され、MR素子2及び4は、カウンタコイル部分1304B近傍に配置されている。MR素子5、6は、カウンタコイル部分1306A近傍に配置され、MR素子7、8は、カウンタコイル部分1306B近傍に配置される。また、MRブリッジが、それぞれのブリッジ内の要素のうちのいくつかが、カウンタコイル部分1304近傍に配置され、要素のうちのいくつかが、カウンタコイル部分1306近傍に配置されるように分割されている。例えば、MRブリッジ1308は、(カウンタコイル部分1304近傍に配置された)MR素子1及び3、及び(カウンタコイル部分1306近傍に配置された)MR素子5及び6を備える。カウンタコイル部分1304及び1306を提供することが、MR素子上の直接結合界の強度及び極性に影響を及ぼしてもよい。
【0161】
[00224]MR素子1、3は、コイル1302に関する第1結合係数を有してもよく、MR素子2、4は、第2結合係数を有してもよく、MR素子5及び6は、第3結合係数を有してもよく、そして、MR素子7、8は、コイル1302に関する第4結合係数を有してもよい。一実施形態において、MR素子1、3、7及び8の結合係数は、MR素子2、4、5及び6の結合係数に等しく、反対であってもよい。このことは、例えば、反対のコイル方向に等しい電流を流すコイル部分1304A、Bと1306A、Bだけでなく、それらに関するMR素子の位置調整に起因することがある。
【0162】
[00225]一実施形態において、ブリッジ1308及び1310は、反射界に等しく反応するものである。しかし、それらは、直接結合界に対して逆に反応してもよい。2つのブリッジの出力の加算が、反射界についての情報を含んでもよく、そして、2つのブリッジの減算が、直接結合界についての情報を含んでもよい。直接結合界情報は、次いで、システム感度の測度として用いられてもよく、反射界情報を標準化するために用いられてもよい。別の実施形態において、ブリッジ1308及び1310は、反射界に等しく反応する。しかし、それらは、直接結合界に対して異なるように反応してもよい(必ずしもちょうど反対ではない)。2つのブリッジの減算は、直接結合界についての情報だけを含む信号をそれでももたらし、この情報は、システム感度の測度として用いられてもよい。2つのブリッジの加算は、反射界についての情報とともにいくらかの直接結合界情報を含んでもよい。しかし、これは、一定オフセットとして目立つように線形化ブロックによって補償されてもよい。
【0163】
[00226]例えば、作動中、以下の式が適用されてもよい。
bridge1=(C+C)*i*S
bridge2=(C+C)*i*S
[00227]上記の式において、Cは、反射界を表し、Cは、第1MRブリッジによって検出された直接結合界を表し、Cは、第2MRブリッジによって検出された直接結合界を表し、iは、コイルを通る電流であり、Sは、第1MRブリッジの感度を表し、Sは、第2MRブリッジの感度を表す。S1=S2を仮定し、Crについて解くと、
【0164】
【数3】
【0165】
が得られる。
[00228]上記の式は、MR素子の電流及び感度から独立しているCについての式を提供する。実施形態において、コイル、MR素子及び標的の幾何学は、C=-Cを提供してもよい。別の実施形態において、システムの幾何学は、CとCとの別の比を提供してもよい。既知の比によって、Cは、反射界についての値を提供するために計算されてもよい。
【0166】
[00229]図13Aを参照すると、コイル1302’が、カウンタコイル部分1304’A、B及び1306’A、Bと、コイル要素の間の隙間と、を含んでもよい。図13Aにおいて、コイル1302’の中央部分及びMR素子1~8だけが示されている。
【0167】
[00230]カウンタコイル部分1304’及び1306’は、それぞれ、主コイルのトレース間のそれぞれの隙間1350及び1352内に置かれてもよい。MR素子1~8は、主コイルの隙間内部に置かれてもよい。図6の隙間と同様に、MR素子を隙間1350及び1350内部に置くことは、直接結合磁界に対するMR素子の感度を低減させもよい。したがって、コイル1302’についてのコイル設計が、感度を低減させるための隙間1350及び1352と、感度を増加させるためのカウンタコイル部分1304’及び1306’と、を含むことによって、直接結合界に対するMR素子の感度を調整することにより、所望の直接結合をそれぞれの素子において達成してもよい。一実施形態において、直接結合界は、強度が反射界に類似している。
【0168】
[00231]図13Bを参照すると、磁界センサ1320が、図13に配列されたような、コイル1302と、MRブリッジ1308と、MRブリッジ1310と、を含んでもよい。コイル励振器1322が、周波数fでコイル1302を励振してもよい。MR励振器1324は、0Hz(すなわちDC)で又は別の周波数で、一方又は両方のMRブリッジ1308及び1310を励振してもよい。
【0169】
[00232]復調器1324及び復調器1326は、MRブリッジ1308及び1310からの出力信号を周波数fでそれぞれ復調してもよい。このことは、周波数fでの信号の周波数成分を0Hz又はDCにシフトさせてもよく、信号内の別の周波数成分をより高い周波数バンドにシフトさせてもよい。ローパスフィルタ1328及び1330は、より高い周波数成分を信号から除去してもよく、そして、(MRブリッジ1308によって検出された磁界に対応する)DC信号V1及び(MRブリッジ1310によって検出された磁界に対応する)DC信号V2を処理ブロック1332に提供してもよい。処理ブロック1332は、信号V1及びV2を処理して、検出された標的を表す信号を生成してもよい。一実施形態において、処理ブロックは、演算X=(V1+V2)/(V1-V2)を実行してもよく、ここに、Xは検出された標的を表す信号である。この実施形態において、ブリッジ1308及び1310のMRの位置は、第1ブリッジがコイル(直接結合界)からの負の信号、そして第2ブリッジがコイルからの反対の信号を認知するように選ばれる。両方のブリッジは、同一の反射信号を認知してもよい。それゆえに、V1+V2は、反射信号と、V1-V2コイル信号と、を実質的に含んでもよい。比は、次いで、例えば、コイル電流の変動と同様に、温度又は漂遊界に起因するMR素子の感度変化から独立している量Xを与える。この実施形態において、MR(及び/又はコイル)の位置は、それぞれのMRが、コイル信号、及び振幅の同じ範囲の反射信号すなわち典型的には直接検出界の0.1%から100%まで変化する反射界を認知している(例えば、検出できる)ように選ばれてもよい。
【0170】
[00233]ここで図14を参照すると、システム1400が、磁界センサ1402と、標的1404と、を含む。磁界センサ1402は、磁界センサ100及び/又は上記の磁界センサのうちの任意のものと同じか又はそれに類似してもよい。したがって、磁界センサ1402は、磁界を生成し、渦電流を導電性標的1404内部に生成するコイルと、渦電流から反射界を検出する1つ又は複数の磁界感知素子と、を含んでもよい。
【0171】
[00234]標的1404の浸透効果を用いて、反射された磁性信号の量を制御すること、及び標的位置をコード化するための反射信号の量を用いることによって、線形、速度及び角度(回転標的の場合)測定値を検出してもよい。標的は、高導電性材料(高周波信号によって測定される浅い浸透厚)と比較的低導電性材料(中間又は低周波信号を用いて測定される深い浸透厚)との組合せによって作成されてもよい。標的は、低導電性材料に線形傾斜又はデジタル歯パターンをフライス加工又はエッチングすることによって作成されてもよい。後続のステップにおいて、高導電性材料が表面にわたって堆積させられ、次いでフライス加工又は研磨されて平らな表面を作成してもよい。その代替として、低導電性材料が、省略されてもよい。
【0172】
[00235]測定技術が、また、様々な(例えば、コイル1002の)周波数及び標的の浸透効果を利用してもよい。比較的高い周波数及び浅い浸透厚を用いて、センサと標的の表面との間の空隙距離を測定してもよい。次いで、この信号を用いて、システムの感度を校正してもよい。高導電性材料の最大厚さを上回る浸透厚についての中間周波数を用いて、低導電性材料によって形成された標的の部分の位置を感知してもよい。比較的低い周波数信号(例えば、それが標的によって反射されない程十分に低い)を用いて、MRセンサの総合感度を測定してもよく、そして、フィードバックを提供して漂遊界、温度又はパッケージ応力に起因した感度の何らかの変化を補償してもよい。再び図14を参照すると、標的1404が、第1材料部分1406と、第2材料部分1408と、を含んでもよい。第1材料部分1406は、金属等の高導電性材料であってもよく、第2材料部分1408は、プラスチック、セラミック若しくは別の絶縁材料等の比較的低導電性材料であってもよく、又はその逆も同じである。実施形態において、第1材料部分1406と第2の材料部分1408とは、図14に示すように、一体的に形成されていてもよいか又は互いに物理的に結合された別個の要素であってもよいような一体的構造であってもよい。
【0173】
[00236]第1材料部分1406の厚さ1410が標的1404の全長に沿って変化することにより、1つの端部1412では、第1材料部分1406が比較的厚く、別の端部1414では、第1材料部分1406が比較的薄い。第1材料部分1406の厚い端部1412において磁界センサ1402によって誘導された渦電流が、薄い端部1414において誘導されたものとは異なってもよい。したがって、厚い端部1406で生成された反射磁界は、また、薄い端部1414に生成された反射磁界とは異なってもよい。第1材料部分1406の厚さが標的1404の全長に沿って直線的に変化するので、反射磁界は、また、標的1404の全長に沿って直線的に変化してもよい。それで、磁界センサ1402の磁界感知素子が、反射磁界の差を検出して、磁界センサ1402が標的1404の全長に沿ってどこに配置されているかを決定してもよい。実施形態において、比較的高い周波数が空隙を感知するために用いられる場合、端部1414での厚さは、選ばれた周波数において、1倍の浸透厚よりも大きく、5倍の浸透厚よりも小さいように選ばれてもよい。端部1412での厚さは、比較的低い周波数において、1倍の浸透厚よりもように選ばれてもよい。
【0174】
[00237]実施形態において、標的1404は、磁界センサ1402に対して(矢印1416によって示される)直線方向に動いてもよい。標的1404が動くとき、磁界センサ1402は、反射界の変化を検出することにより、磁界センサ1402に対する標的1404の位置を決定してもよい。勿論、別の実施形態においては、標的1416が、静止していてもよく、磁界センサ1402が、標的1404に対して動いてもよい。
【0175】
[00238]別の例として、複数の周波数を用いて、空隙を決定し、標的1404の位置の解を得てもよい。例えば、端部1414での第1材料部分1406の厚さが、周波数f1において、浸透厚の1倍より大きい場合、周波数f1での応答は、標的1404とMR素子との間の空隙の関数としてだけ変化してもよい。第2周波数を用いると、端部1414での第1材料部分1406の厚さが、周波数f2において、浸透厚の1倍よりも小さい場合、応答は、標的1404の空隙及び位置の両方の関数として変化してもよい。
【0176】
[00239]ここで図14Aを参照すると、システム1400’が、磁界センサ1402と、回転標的1418と、を含んでもよく、この回転標的は、シリンダ、歯車等の形状であってもよい。標的1418は、第1材料部分1420と、第2材料部分1422と、を含んでもよい。第1材料部分1420は、金属等の高導電性材料であってもよく、第2材料部分1422は、プラスチック、セラミック若しくは別の絶縁材料等の比較的低導電性材料あってもよく、又はその逆も同じである。実施形態において、第1材料部分1420と第2材料部分1422とは、図14に示すように、一体的に形成されていてもよいか又は互いに物理的に結合された別個の要素であってもよいような一体的構造であってもよい。
【0177】
[00240]第1材料部分1420の厚さ1423は、標的1418の周りの角度の関数として標的1418の外周の周りで変化して、点1424において、第1材料部分1420は比較的薄く、点1426において、第1材料部分1420は比較的厚い。第1材料1420のより厚い部分内に磁界センサ1402によって誘導された渦電流は、より薄い部分において誘導されたものとは異なってもよい。したがって、点1424において生成された反射磁界は、また、点1426において生成された反射磁界とは異なってもよい。第1材料部分1420の厚さが、標的1418の周りの角度の関数として標的1418の外周の周りで変化するので、反射磁界は、また、外周の周りで変化してもよい。
【0178】
[00241]磁界センサ1402は、標的1418の半径の外側に、標的1418の外面に隣接して置かれてもよい。したがって、磁界センサ1402の磁界感知素子が、反射磁界の差を検出して、標的1418の回転角を決定してもよい。磁界センサ1402は、また、標的1418の回転速度及び/又は方向を検出してもよい。
【0179】
[00242]ここで図14Bを参照すると、システム1400”が、磁界センサ1402と、回転標的1428と、を含んでもよい。標的1428は、第1材料部分1430と、第2材料部分1432と、を含んでもよい。第1材料部分1430は、金属等の高導電性材料であってもよく、第2材料部分1432は、プラスチック、セラミック若しくは別の絶縁材料等の比較的低い導電性材料であってもよく、又はその逆も同じである。実施形態において、第1材料部分1430と第2材料部分1432とは、図14に示すように、一体的に形成されていてもよいか又は互いに物理的に結合された別個の要素であってもよいような一体的構造であってもよい。
【0180】
[00243]図14Bにおいて、第1材料部分1430の厚さが、紙面中に延在してもよい。第1材料部分1430の厚さは、標的1428の周りの角度の関数として標的1428の円周の周りで変化して、点1434において、第1材料部分1430は比較的厚く、点1436において、第1材料部分1430は比較的薄い。第1材料1430のより厚い部分内に磁界センサ1402によって誘導された渦電流が、より薄い部分において誘導されたものとは異なってもよい。したがって、点1434において生成された反射磁界は、また、点1436において生成された反射磁界とは異なってもよい。第1材料部分1430の厚さが、標的1428の外周の周りで変化するので、反射磁界は、また、外周の周りで変化してもよい。
【0181】
[00244]磁界センサ1402は、標的1428の半径の内側に、標的1428の実質的に平坦な面1440に隣接して置かれてもよい。言い換えると、標的1428が回転シャフトの端部に置かれる場合、磁界センサ1402は、シャフトの1つの端部の面に隣接して配置されてもよい。したがって、磁界センサ1402の磁界感知素子が、反射磁界内の差を検出して、標的1418の回転角を決定してもよい。磁界センサ1402は、また、標的1418の回転速度及び/又は方向を検出してもよい。
【0182】
[00245]磁気センサ1402は、例えば、図3Aに示すように、磁気傾度計モード内に据え付けられてもよい。磁気傾度計の半分が、導電性部分1450と標的との間の距離が実質的に一定のままである位置にあってもよく、磁気傾度計の半分が、導電性材料の斜面1404が存在する位置にあってもよい。2つの信号の間の差を用いて、標的の振動に起因する不必要な変動を抑制してもよい。
【0183】
[00246]図15を参照すると、システム1500が、磁界感知素子1502と、標的1504と、を含んでもよい。磁界センサ1502は、磁界センサ100及び/又は上記の磁界センサのうちのいずれかと同じか又はそれに類似してもよい。したがって、磁界センサ1502は、磁界を生成し、標的1504内部に渦電流を生成するコイルと、渦電流から反射された界を検出する1つ又は複数の磁界感知素子と、を含んでもよい。
【0184】
[00247]標的1504が、第1材料部分1506と、第2材料部分1508と、を含んでもよい。第1材料部分1506は、金属等の高導電性材料であってもよく、第2材料部分1508は、プラスチック、セラミック若しくは別の絶縁材料等の比較的低導電性材料であってもよく、又はその逆も同じである。実施形態において、第1材料部分1506と第2材料部分1508とは、図14に示すように、一体的に形成されていてもよいか又は互いに物理的に結合された別個の要素であってもよいような一体的構造であってもよい。
【0185】
[00248]第1材料部分1506は、一系列の交互するウェル1510及び谷1512を含んでもよい。ウェル1510は、谷1512の厚さよりも比較的より大きい厚さ1514を有してもよい。したがって、ウェル1510内部に生成された反射磁界は、谷1512において生成された反射磁界とは異なってもよい。したがって、磁界センサ1502の磁界感知素子は、標的1504が磁界センサ1502に対して動くとき、ウェル1510及び谷1512によって生成された異なる磁界を検出してもよい。例えば、検出された磁界を用いて、磁性標的1500の速度、位置、回転角度及び/又は方向を検出してもよい。
【0186】
[00249]システム1500’が、磁界センサ1502と、標的1516と、を含んでもよい。標的1516は、1つ又は複数の第1材料部分1518と、第2材料部分1520と、を含んでもよい。第1材料部分1518は、金属等の高導電性材料であってもよく、第2材料部分1522は、プラスチック、セラミック若しくは別の絶縁材料等の比較的低導電性材料であってもよく、又はその逆も同じである。
【0187】
[00250]第1材料部分1518は、標的1516の全長に沿って離隔された配列に配置された一系列の離散したウェルを備えてもよい。したがって、磁界センサ1502が歯1518に隣接しているとき、反射磁界が生成されて検出されることになる。磁界感知素子が絶縁範囲(例えば、範囲1522)に隣接しているとき、反射磁界は、絶縁範囲1522によって生成されなくてもよい。したがって、磁界センサ1502の磁界感知素子が、ウェル1518によって生成された反射磁界を検出してもよく、そして、標的1516が磁界センサ1502に関連して動くときに反射磁界が生成されない時点を検出してもよい。例えば、検出された磁界を用いて、磁性標的1516の速度及び/又は方向を検出してもよい。
【0188】
[00251]図15Aを参照すると、システム1522が、磁界センサ1502と、回転標的1524と、を含んでもよい。標的1524は、第1材料部分1526と、第2材料部分1528と、を備えてもよい。第1材料部分1526は、金属等の高導電性材料であってもよく、第2材料部分1528は、プラスチック、セラミック若しくは別の絶縁材料等の比較的低導電性材料であってもよく、又はその逆も同じである。
【0189】
[00252]第1材料部分1526は、標的1524の周りの様々な角度で標的1524の外周の周りに離隔された配列で配置された1つ又は複数の歯1530を備えてもよい。2つの歯を示しているが、標的1524は、標的1524の外周の周りに離隔された関係にある1つの歯、2つの歯又は複数の歯を含んでもよい。歯は、一様に離隔されていてもよく、又は一様でないパターンにあってもよい。
【0190】
[00253]したがって、磁界センサ1502が歯1530に隣接しているとき、反射磁界が生成されて検出されることになる。磁界感知素子が歯に隣接していないとき、異なる強度を有する反射磁界が第1材料部分1526によって生成されてもよい。したがって、磁界センサ1502の磁界感知素子が、標的1524が磁界センサ1502に関連して回転するとき、歯1530によって生成された反射磁界、及び歯のない第1材料1526の範囲によって生成された反射磁界を検出してもよい。例えば、検出された磁界を用いて、磁性標的1500の速度及び/又は方向を検出してもよい。
【0191】
[00254]図15Bを参照すると、システム1522’が、磁界センサ1502と、回転標的1532と、を含んでもよい。標的1532は、1つ又は複数の第1材料部分1534と、第2材料部分1536と、を備えてもよい。第1材料部分1534は、金属等の高導電性材料であってもよく、第2材料部分1536は、プラスチック、セラミック若しくは別の絶縁材料等の比較的低導電性材料であってもよく、又はその逆も同じである。
【0192】
[00255]第1材料部分1534は、標的1532の1つの半径の円周に沿って離隔された配列に配置された一系列の離散したウェルを備えてもよい。第1材料部分1530は、一様に離隔されていてもよく、又は、任意の型式のパターンに従ってもよい。したがって、磁界センサ1502が第1材料部分1534のうちの1つに隣接しているとき、反射磁界が生成されて検出されることになる。磁界センサ1502が絶縁範囲(例えば、範囲1538)に隣接しているとき、反射磁界は、絶縁範囲1538によって生成されなくてもよい。したがって、磁界センサ1502の磁界感知素子が、第1材料部分1534によって生成された反射磁界を検出してもよく、そして、標的1532が磁界センサ1502に関連して回転するとき、反射磁界が絶縁範囲1538によって生成されない時点を検出してもよい。例えば、検出された磁界を用いて、磁性標的1532の回転速度及び/又は方向を検出してもよい。
【0193】
[00256]磁界センサ1502は、標的1532の最外半径内側に、標的1532の実質的に平坦な面1540に隣接して置かれてもよい。言い換えると、標的1532が回転シャフトの端部に置かれる場合、磁界センサ1502が、シャフトの1つの端部の面に隣接して配置されてもよい。したがって、標的1532が回転するとき、磁界センサ1502の磁界感知素子が、第1材料部分1534が通りすぎるときにそれらを検出してもよい。
【0194】
[00257]図15Cを参照すると、システム1522”が、磁界センサ1502と、回転標的1532と、を含んでもよい。標的1532は、1つ又は複数の第1材料部分1534’と、第2材料部分1536と、を備えてもよい。第1材料部分1534は、金属等の高導電性材料であってもよく、第2材料部分1536は、プラスチック、セラミック若しくは別の絶縁材料等の比較的低導電性材料であってもよく、又はその逆も同じである。
【0195】
[00258]第1材料部分1534’は、標的1532の異なる半径の円周の周りに離隔された配列に配置された、いくつかの系列の離散したウェルを備えてもよい。第1材料部分1530は、一様に離隔されていてもよく、又は、任意の型式のパターンに従っていてもよい。したがって、磁界センサ1502が第1材料部分1534のうちの1つに隣接しているとき、反射磁界が生成されて検出されることになる。磁界センサ1502が絶縁範囲(例えば、範囲1538)に隣接しているとき、反射磁界は、絶縁範囲1538によって生成されなくてもよい。したがって、磁界センサ1502の磁界感知素子が、第1材料部分1534によって生成された反射磁界を検出してもよく、そして、標的1532が磁界センサ1502に関連して回転するとき、反射磁界が絶縁範囲1538によって生成されない時点を検出してもよい。第2半径系列のウェルが、第2半径系列にあるそれぞれのウェル1560が第1半径系列にあるウェル1534間の隙間1562に隣接して置かれるように配列されていてもよい。磁界センサ1502がそれぞれの半径系列を検出するとき、第1半径系列のウェルの検出と第2半径系列のウェルとの間に位相の90度シフト又は異なるピッチが存在してもよく、このことを用いて、副尺型式の手法によって角の正確度を増加させてもよい。
【0196】
[00259]磁界センサ1502は、標的1532の最外半径内側で、標的1532の実質的に平坦な面1540に隣接して置かれてもよい。言い換えると、標的1532が回転シャフトの端部に置かれる場合、磁界センサ1502は、シャフトの1つの端部の面に隣接して配置されてもよい。したがって、標的1532が回転するとき、磁界センサ1502の磁界感知素子が、第1材料部分1534が通りすぎるときにそれらを検出してもよい。
【0197】
[00260]図16を参照すると、システム1600が、第1磁界センサ1602、第2磁界センサ1604と、回転標的1606と、を含んでもよい。磁界センサ1602及び1604は、磁界センサ100及び/又は上記の磁界センサのうちのいずれかと同じか又はそれらに類似してもよい。
【0198】
[00261]標的1606は、中心軸1610の周りに配置された螺旋状傾斜面1608を含んでもよい。実施形態において、中心軸1610は、回転シャフトであってもよい。
標的1606は、また、導電性基準部分1612を含んでもよい。基準部分1612及び傾斜面1608は、導電性材料から形成されてもよい。
【0199】
[00262]一実施形態において、磁界センサ1602は、基準部分1612に隣接して配置される。磁界センサ1602のコイルは、磁界を生成し、この磁界は、次に、基準部分1612内に渦電流を生成する。磁界センサ1602は、渦電流によって生成された反射磁界を検出してもよい。
【0200】
[00263]同様に、磁界センサ1604が、傾斜面1608に関連して配置されてもよい。磁界センサ1608のコイルが、磁界を生成してもよく、この磁界は、次に、磁界センサ1604に隣接する傾斜面の一部分1614内に渦電流を生成してもよい。磁界センサ1604は、傾斜面1608内の渦電流によって生成された反射磁界を検出してもよい。
【0201】
[00264]標的1606が回転するとき、磁界センサ1604に隣接した傾斜面1608の部分1614は、磁界センサ1604に向かう方に及び/又はそれから離れる方に動くことになる。磁界センサ1604への部分1614の近接度Dが、磁界センサ1604によって検出されてもよい。処理回路(図示せず)が、近接度Dを標的1606の回転角度に相関させて、位置、回転速度、回転方向等を決定してもよい。
【0202】
[00265]図16Aを参照すると、システム1600’が、磁界センサ1616のグリッドと、回転標的1606と、を含んでもよい。
[00266]標的1606が、中心軸1610の周りに配置された螺旋状傾斜面1608を含んでもよい。実施形態において、中心軸1610は、回転シャフトであってもよい。標的1606は、また、導電性基準部分1612を含んでもよい。基準部分1612及び傾斜面1608は、導電性材料から形成されてもよい。
【0203】
[00267]一実施形態において、グリッド1616の磁界センサ1602が、基準部分1612に隣接して配置されている。磁界センサ1602のコイルが、磁界を生成し、この磁界は、次に、基準部分1612内に渦電流を生成する。磁界センサ1602は、渦電流によって生成された反射磁界を検出してもよい。
【0204】
[00268]別の磁界センサ1618a~hが、傾斜面1608に関連してグリッド1616上の様々な位置に配置されてもよい。磁界センサ1618a~hのそれぞれのコイルが、磁界を生成してもよく、この磁界は、次に、それぞれの磁界センサ1618a~hに隣接した傾斜面の一部分内に渦電流を生成してもよく、この渦電流は、傾斜面1608内の渦電流によって生成された局所的な反射磁界をそれぞれ検出してもよい。
【0205】
[00269]標的1606が回転するとき、磁界センサ1618a~hに隣接した傾斜面1608の部分が、磁界センサ1618a~hに向かう方に及び/又はそれから離れる方に動くことになる。いずれかの磁界センサ1618a~hへのいずれかの部分1614の近接度Dが、それぞれの磁界センサによって検出されてもよい。処理回路(図示せず)が、近接度Dを標的1606の回転角度に相関させ、そして、位置、回転速度、回転方向等を決定してもよい。
【0206】
[00270]図16Aを参照すると、グリッドを形成する複数のセンサ1618a~hを用いて、異なる点における螺旋の距離を測定することにより、回転軸に垂直である方向の螺旋の振動を補正することを可能にしてもよく、一方、グリッドの中央センサは、回転軸に沿った振動を抑制する。
【0207】
[00271]図17を参照すると、基板1700が、コイル及び磁界感知素子を含む上記の磁界センサ回路のうちの1つ又は複数を支持してもよい。基板1700は、フレーム1702上に配置(及び接着)されてもよい。基板1700は、半導体基板、ガラス基板、セラミック基板等であってもよい。ボンドワイヤ1704が、基板1700上の接続パッドをフレーム1702のリードに電気結合してもよい。フレーム1702は、基板1700を支持してもよいリードフレーム、パッドフレーム又はいずれかの構造であってもよい。
【0208】
[00272]実施形態において、基板1700は、コイル1701を支持してもよく、このコイルは、上記のコイルと同じか又はそれらに類似してもよい。コイル1701は、標的内に渦電流及び反射磁界を誘導してもよい磁界、及び/又はMR素子に直接結合(例えば、直接検出)されてもよい磁界を生成してもよい。示すように、コイル1701は、フレーム1702の隙間1703に隣接して(又は、対向して)配置されてもよい。フレーム1702が(金属等の)導電性材料である場合、コイル1701によって生成された磁界が、フレーム1702から渦電流及び反射界を誘導してもよい。コイル1701を隙間1703近傍に置くことが、フレーム1702によって別途発生させられることがある任意の不必要な反射界を低減又は除去してもよい。
【0209】
[00273]図17Aにおいて、基板1706が、コイル及び磁界感知素子を含む上記の磁界センサ回路のうちの1つ又は複数を支持してもよい。基板1706は、リードフレーム1707上に配置(及び接着)されてもよい。基板1706は、1つ又は複数のバイア1708を含んでもよく、このバイアは、はんだボール(又は、はんだ隆起部)1710に結合されてもよい。はんだボール1710がリードフレーム1707のリードに結合されて、バイア1708とリードフレーム1707のリードとの間に電気接続を提供してもよい。電気接続は、(通常、基板1700の1つの表面によって支持された)センサ回路を外部システム及び構成要素にリード1707によって結合してもよい。
【0210】
[00274]実施形態において、基板1706が、コイル1709を支持してもよく、このコイルは、上記のコイルと同じか又はそれらに類似してもよい。コイル1709は、標的内に渦電流及び反射磁界を誘導してもよい磁界、及び/又はMR素子に直接結合(例えば、それによって直接検出)されてもよい磁界を生成してもよい。示すように、コイル1709は、フレーム1707内の隙間1705に隣接して(又は対向して)配置されてもよい。フレーム1707が(金属等の)導電性材料である場合、コイル1709によって生成された磁界は、フレーム1707から渦電流及び反射界を誘導してもよい。コイル1709を隙間1705近傍に置くことが、フレーム1707によって別途発生された何らかの不必要な反射界を低減又は除去してもよい。
【0211】
[00275]実施形態において、図16Aのセンサ1608a~hのグリッドが、基板1700又は1706の表面上に形成されてもよい。
[00276]図18を参照すると、磁界センサ回路1800が、1つ又は複数の基板によって支持されてもよい。図18に示すように、第1基板1802が、1つ又は複数のコイル1804、1806を支持してもよく、このコイルは、磁界を生成してもよい。第2基板1808が、1つ又は複数の磁界感知素子1810を支持してもよく、この磁界感知素子は、上記のような反射磁界を検出してもよい。半導体ダイ1802、1808が、また、上記の追加の回路を含んでもよい。基板1802によって支持された回路が、基板1808によって支持された回路にリード線(図示せず)によって電気結合されてもよい。支持された回路は、また、フレーム1811のリードにリード線によって結合されてもよい。半導体パッケージ(図示せず)が、基板を封入してもよい。
【0212】
[00277]一実施形態において、第2ダイ1808が、第1ダイ1802の上面に接着されていてもよい。その代替として、ダイ1808は、逆にされて、ダイ1802にダイ同士の電気接続によって電気的に接続されてもよい。
【0213】
[00278]コイル1804及び1808によって生成された磁界は、コイル1804と1806との間の範囲内、すなわちMR素子1810が配置された範囲内で互いに相殺してもよい。したがって、基板1808は、MR素子1810が、MR素子1810によって検出されたいずれかの漂遊又は直接結合界を最小化するために、磁界が相殺する範囲内にあるように配置されてもよい。
【0214】
[00279]実施形態において、基板1802と1808とが、異なる型式の基板であってもよい。例えば、基板1802は、コイル1804及び1806等の金属トレースを支持するための安価な基板であってもよく、一方、基板1808は、MR素子及び/又は別の集積回路を支持するための基板であってもよい。
【0215】
[00280]図18Aを参照すると、磁界センサ回路1800’が、複数の半導体ダイによって支持されてもよい。示すように、第1ダイ1812が、2つの(又は2つ超の)組のコイルを支持してもよい。第1組のコイルが、コイル1814及び1816を含んでもよい。第2組が、コイル1818及び1820を含んでもよい。第2ダイ1822が、第1組の磁界感知素子1824を支持してもよく、第3ダイ1826が、第2組の磁界感知素子1828を支持してもよい。
【0216】
[00281]一実施形態において、磁界センサ回路1800’が、2つの磁界センサを含んでもよい。第1センサが、コイル1814及び1816と、ダイ1822と、磁界感知素子1824と、を含んでもよい。第2磁界センサが、コイル1818及び1820と、ダイ1826と、磁界感知素子1828と、を含んでもよい。別の実施形態において、磁界センサ回路1800’が、追加のコイルと、ダイと、磁界感知素子と、を備える追加の磁界センサを含んでもよい。
【0217】
[00282]磁界センサ回路1800’が、2つの(又は2つ超の)磁界センサを利用する上記のシステムのうちのいずれかに用いられてもよい。それの付加又は代替として、回路1800’内の2つの磁界センサを異なる周波数で励振することにより、2つのセンサの間の混信を防止してもよい。
【0218】
[00283]図19を参照すると、磁界センサ回路1900が、複数の基板によって支持されてもよい。第1基板が、コイル1902を支持してもよい。4つのより小さい基板1904~1910が、1つ又は複数の磁界感知素子をそれぞれ支持してもよい。示すように、基板1904~1910は、コイル1902のトレースに隣接して配置されてもよい。いくつかの実施形態において、基板1904~1910は、それらが支持する磁界感知素子が、コイル1902のトレース間の隙間1912に隣接して置かれるように配置されてもよい。
【0219】
[00284]第5基板1914が、磁界感知素子から受け取られた信号を処理するための処理回路と同様に、コイル1902及び磁界感知素子を励振するための回路を支持してもよい。様々なダイ上の回路が、リード線1916によって一緒に結合されてもよい。
【0220】
[00285]示さないが、別の実施形態において、より大きい基板1402が、コイル及びMR素子を支持してもよい。より小さい基板1904~1908が、コイル及びMR素子を励振するための回路及び/又は磁界信号を処理するための回路を支持してもよい。
【0221】
[00286]一実施形態において、磁界感知素子及びコイル1902が、磁界感知素子(例えば、MR素子)及び上記の磁界検出システムのうちの一部又は全部に記載されたコイルと同じか又はそれらに類似してもよい。
【0222】
[00287]様々な概念、構造及び技術を示すのに役立ち、本特許の対象である好ましい実施形態を説明してきたが、これらの概念、構造及び技術を組み込む別の実施形態が用いられてもよいことが当業者にはここで明らかになるであろう。したがって、本特許の範囲が、記述された実施形態に限定されてはならず、むしろ以下の特許請求の範囲の趣旨及び範囲だけによって限定されなければならないことが提示される。本明細書において引用された全ての参考文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図2A
図3
図3A
図3B
図4
図5
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図8A
図9
図10
図10A
図11
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
図12
図12A
図12B
図12C
図13
図13A
図13B
図14
図14A
図14B
図15
図15A
図15B
図15C
図16
図16A
図17
図17A
図18
図18A
図19