(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-24
(45)【発行日】2023-11-01
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 5/00 20060101AFI20231025BHJP
E06B 7/22 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
E06B7/22 F
(21)【出願番号】P 2020000597
(22)【出願日】2020-01-07
【審査請求日】2022-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 知規
(72)【発明者】
【氏名】吉留 大介
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 広大
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特許第6217177(JP,B2)
【文献】実開昭58-72381(JP,U)
【文献】実開昭60-117989(JP,U)
【文献】特開2004-308148(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00 - 5/20
E06B 7/00 - 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠と戸と上下の蝶番とを備え、枠は、縦枠と下枠に戸に当接するタイト材を有し、
戸は、下枠との間に戸を拘束するものを有さず、上下の蝶番により枠に取付けてあり、戸の下端より下側の蝶番までの寸法を戸の上端より上側の蝶番までの寸法より長くしてあり、戸に水圧がかかったときに、戸の下部が室内側に変位して下枠と縦枠のタイト材に圧着することを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洪水等の際に室内への水の浸入を防止できる建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、枠に戸を蝶番で取付けた玄関ドアが知られている(例えば、非特許文献1参照)。蝶番は、通常、戸の上部位置と中間部上寄りの位置と戸の下部位置の3か所に設けてあり、戸の上端から上側の蝶番までの寸法と戸の下端から下側の蝶番までの寸法は、同じになっている。かかる従来の玄関ドアにおいては、洪水等で室外側の水位が高まった際に、枠と戸の間から水が室内に浸入するおそれがあった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】三協立山株式会社 三協アルミ社発行のカタログ「玄関ドア 総合カタログ」(カタログNo.STJ1070A)、2015年3月、p.72-73
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、室内への水の浸入を確実に防止できる建具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による建具は、枠と戸と上下の蝶番とを備え、枠は、縦枠と下枠に戸に当接するタイト材を有し、戸は、下枠との間に戸を拘束するものを有さず、上下の蝶番により枠に取付けてあり、戸の下端より下側の蝶番までの寸法を戸の上端より上側の蝶番までの寸法より長くしてあり、戸に水圧がかかったときに、戸の下部が室内側に変位して下枠と縦枠のタイト材に圧着することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明による建具は、枠と戸と上下の蝶番とを備え、枠は、縦枠と下枠に戸に当接するタイト材を有し、戸は、下枠との間に戸を拘束するものを有さず、上下の蝶番により枠に取付けてあり、戸の下端より下側の蝶番までの寸法を戸の上端より上側の蝶番までの寸法より長くしてあり、戸に水圧がかかったときに、戸の下部が室内側に変位して下枠と縦枠のタイト材に圧着することで、室内への水の浸入を確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】本発明の建具の一実施形態を示す室外側から見た正面図である。
【
図4】同建具の縦枠と下枠とのコーナー部を示す斜視図である。
【
図5】同建具の縦枠と下枠とのコーナー部を示す斜視図であって、タイト材を取付ける前の状態を示す。
【
図6】同建具の縦枠と下枠とのコーナー部の分解斜視図である。
【
図7】タイト材の取付け手順を示す横断面図である。
【
図8】(a)は洪水等で室外側の水位が高まった状態を示す室外側正面図、(b)は同縦断面図、(c)はX部拡大図である。
【
図9】(a)は
図8のC-C断面図、(b)は
図8のD-D断面図である。
【
図10】本発明の比較例として、戸の下端より下側の蝶番までの寸法と戸の上端より上側の蝶番までの寸法を同じにした場合の図であって、(a)は洪水等で室外側の水位が高まった状態を示す室外側正面図、(b)は同縦断面図、(c)はY部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1~6は、本発明の建具の一実施形態を示している。本建具は、住宅の玄関ドアに適用したものであって、
図1~3に示すように、躯体開口部に取付けられる枠1と、枠1内に蝶番11a,11b,11cにて室外側に開くように取付けた戸2とを備えている。
【0009】
枠1は、
図1~3に示すように、上枠12と下枠13と左右の縦枠14,14を枠組みして形成してある。左右の縦枠14,14は、
図1に示すように、戸2の室内側に戸当たり部4aが内周側に突出して設けてあり、戸当たり部4aの室外側に戸2との隙間を塞ぐタイト材3aが取付けてある。戸当たり部4aは、タイト材ホルダー5を室内側に突出して設け、タイト材ホルダー5の外周側の室外側にフラット面6を形成してある。フラット面6には、タイト材3aのベース部7との間で密着部10を構成するための縦接着剤15が縦枠14の長手方向に沿って設けてある。縦接着剤15は、1mm程度の厚みの両面テープを使用している。戸当たり部4aの室内側には樹脂製のカバー材16が取付けてあり、カバー材16はタイト材ホルダー5を室内側から覆うと共に、縦枠14を躯体に取付けているネジ17を隠している。さらに縦枠14は、内周側面にもタイト材ホルダー18が形成してあり、該タイト材ホルダー18に保持したタイト材19が戸2の外周側面に当接している。
【0010】
下枠13は、
図2に示すように、縦枠14と同様に戸2の室内側に戸当たり部4bが内周側に突出して設けてあり、戸当たり部4bの室外側に戸2との隙間を塞ぐタイト材3bが取付けてある。戸当たり部4bは、タイト材ホルダー5を室内側に突出して設け、タイト材ホルダー5の外周側の室外側にフラット面6を形成してある。フラット面6には、タイト材3bのベース部7との間で密着部10を構成するための横接着剤20が下枠13の長手方向に沿って設けてある。横接着剤13は、1mm程度の厚みの両面テープを使用している。戸当たり部4bの室内側には、樹脂製のくつずり21が取付けてあり、くつずり21はタイト材ホルダー5を内周側から覆っている。
【0011】
図5に示すように、下枠13の小口は縦枠14の内周側面に当接しており、下枠13の戸当たり部4bに設けた横接着剤20の小口も縦枠14の内周側面に当接している。縦枠14の戸当たり部4aに設けた縦接着剤15の小口は、横接着剤20の内周側縁に当接している。これにより、縦接着剤15と横接着剤20とが連続している。
図5,6に示すように、下枠13はタイト材ホルダー5の長手方向端部に切欠き22が設けられ、切欠き22内に縦枠14の戸当たり部4aの下端部が挿入されている。縦枠14の戸当たり部4aと下枠13の戸当たり部4bとの間には、パッキン23が設けてある。パッキン23は、水平片24と垂直片25とを有するL字形に形成してあり、水平片24は縦接着剤15の小口と横接着剤20の内周側縁との間に介在させてあり、垂直片25は縦枠14のタイト材ホルダー5の室内側と下枠13の室外側面との間に介在して隙間を埋めている。このようにパッキン23を設けることで、縦接着剤15と横接着剤20の突き合せ部から水が室内側に浸入するのを防止できると共に、縦枠14のタイト材ホルダー5の背面側を回って水が室内側に浸入するのを防止できる。
【0012】
縦枠14のタイト材3aは、
図1に示すように、タイト材ホルダー5の室外側を覆うベース部7と、ベース部7と一体成形されタイト材ホルダー5に係合する係合部9と、ベース部7から外周側に延出する延出部26と、ベース部7の戸2側に形成され戸2の室内側面に当接する戸当接部8と、戸当接部8とベース部7とを繋ぐ外周側連結壁27及び内周側連結壁28とを備えている。戸当接部8は、軟質の材料、例えばEPDMスポンジで形成されており、ベース部7と係合部9と延出部26と外周側連結壁27と内周側連結壁28は、戸当接部8よりも硬質の材料、例えばEPDMゴムで形成してある。
戸当接部8は、外周側連結壁27及び内周側連結壁28と接続されて中空部を構成する接続壁29と、接続壁29の内周側端部室外側より外周側にのびる戸当片30とを有している。戸当片30は、
図7に示すように、戸2が開いた状態では室外側に傾斜しており、戸2を閉めると
図1に示すように、戸2に押されて根元から室内側に曲がり、接続壁29の室外側に重なる。
タイト材3aは、係合部9をタイト材ホルダー5に係合して戸当たり部4aに取付けられ、延出部26が縦接着剤15と接着されることで、タイト材3aのベース部7と戸当たり部4aのフラット面6との間に裏漏りを防止するための密着部10が形成されている。
【0013】
下枠13のタイト材3bは、
図2に示すように、縦枠14のタイト材3aと同様、タイト材ホルダー5の室外側を覆うベース部7と、ベース部7と一体成形されタイト材ホルダー5に係合する係合部9と、ベース部7から外周側に延出する延出部26と、ベース部7の戸2側に形成され戸2の室内側面に当接する戸当接部8と、戸当接部8とベース部7とを繋ぐ外周側連結壁27及び内周側連結壁28とを備えている。戸当接部8と内周側連結壁28は、軟質の材料、例えばEPDMスポンジで形成されており、ベース部7と係合部9と延出部26と外周側連結壁27は、それよりも硬質の材料、例えばEPDMゴムで形成してある。
戸当接部8は、外周側連結壁27及び内周側連結壁28と接続されて中空部を構成する接続壁29と、接続壁29の内周側端部室外側より外周側にのびる戸当片30とを有している。戸当片30は、
図7に示すように、戸2が開いた状態では室外側に傾斜しており、戸2を閉めると
図2に示すように、戸2に押されて根元から室内側に曲がり、接続壁29の室外側に重なる。
タイト材3bは、係合部9をタイト材ホルダー5に係合して戸当たり部4bに取付けられ、延出部26が横接着剤20と接着されることで、タイト材3bのベース部7と戸当たり部4bのフラット面6との間に裏漏りを防止するための密着部10が形成されている。
【0014】
図4に示すように、縦枠14のタイト材3aと下枠13のタイト材3bとは、長手方向の端部を斜め45°に切断した上で溶着することで連続させてある。先に述べたように、縦接着剤15と横接着剤20とは連続しており、連続させた縦横のタイト材3a,3bの延出部26が連続する縦接着剤15と横接着剤20に接着されることで、タイト材3a,3bのベース部7と戸当たり部4a,4bのフラット面6間に形成される密着部10は、下枠13と縦枠14にわたって連続している。
【0015】
次に、タイト材3a,3bの取付け手順を説明する。枠1は、縦枠14と下枠13の戸当たり部4a,4bのフラット面6に縦接着剤15と横接着剤20をあらかじめ貼り付けておき、タイト材3a,3bを取付ける直前にフラット面6と反対側の面の剥離紙を剥がす。タイト材3a,3bは、
図7(a)に示すように、取付前の状態では外周側連結壁27の室外側端部と延出部26の外周側端部とが保持片31で連結されており、これにより延出部26が室外側に斜めに傾斜した状態となっている。この状態で、タイト材3a,3bの係合部9を縦枠14及び下枠13のタイト材ホルダー5に係合させてタイト材3a,3bを取付けることで、取付時に延出部26が縦接着剤15及び横接着剤20と密着しないため、タイト材3a,3bの取付けがしやすい。その後、
図7(b)に示すように、カッター等を使用して保持片31を切り取る。その後、
図7(c)に示すように、タイト材3a,3bの延出部26を縦接着剤15及び横接着剤20に押し付けて接着させる。
【0016】
上枠12にも、
図2に示すように、戸2より室内側に戸当たり部4cが内周側に突出して設けてあり、戸当たり部4cは、タイト材ホルダー5が室外側に突出して設けてあり、タイト材ホルダー5に保持してタイト材3cが取付けてある。タイト材3cは、タイト材ホルダー5の室外側を覆うベース部7と、ベース部7と一体成形されタイト材ホルダー5に係合する係合部9と、ベース部7から外周側に延出する延出部26と、ベース部7の戸2側に形成され戸2の室内側面に当接する戸当接部8と、戸当接部8とベース部7とを繋ぐ外周側連結壁27及び内周側連結壁28とを備えている。戸当接部8と外周側連結壁27及び内周側連結壁28は、軟質の材料、例えばEPDMスポンジで形成されており、ベース部7と係合部9と延出部26は、それよりも硬質の材料、例えばEPDMゴムで形成してある。図示のものは、延出部26と戸当たり部4cの室外側面との間に密着部10を設けてないが、縦枠14及び下枠13と同様に、両面テープ等を用いて密着部10を設けてあってもよい。
【0017】
戸2は、
図1,2に示すように、樹脂製のフレーム32を四周枠組みし、その枠内に発泡スチロール板等の断熱材33を配置し、フレーム32の室外側と室外側に鋼板34を貼り付けて構成してある。戸2は、
図3に示すように、戸先側の室外側面と室内側面とにハンドル35が取付けてあり、ハンドル35の上方位置に錠36が取付けてある。
【0018】
蝶番11a,11b,11cは、
図3に示すように、戸2の上部位置と、戸2の上下方向中間部上寄りの位置と、戸2の下部位置の3箇所に設けてある。本建具は、後述するように、戸2に水圧がかかったときに、戸2の下部が室内側に変位して下枠13と縦枠14のタイト材3a,3bに圧着するように、戸2の下端より下側の蝶番11c(の中心)までの寸法L1が戸2の上端より上側の蝶番11a(の中心)までの寸法L2より長くしてある。具体的には、戸2の下端より下側の蝶番11cまでの寸法L1を500mm、戸2の上端より上側の蝶番11aまでの寸法L2を245mmとしてある。
【0019】
本建具は、以下に説明するように、洪水等で室外側の水位が高まったときに、外部水圧を利用したドアタイト性向上による耐水機構を備えている。
図8,9は、室外側が半分程度の高さまで水38に浸かった状態を示している。このとき戸2は、戸2の下端より下側の蝶番11cまでの寸法L1が戸2の上端より上側の蝶番11aまでの寸法L2より長くしてあることで、
図8(b)に示すように、戸2が外部水圧により下部が室内側に撓み変形し、これに伴い下枠13のタイト材3b及び縦枠14のタイト材3aにより強く押し付けられる。このときに下枠のタイト材3bは、
図8(c)に示すように、戸当接部8が戸2のコーナー部37に沿う形で変形して戸2のコーナー部37をくわえ込む。また縦枠14のタイト材3aは、
図9(a),(b)に示すように、戸当接部8が戸2のコーナー部37に沿って変形し、変形した戸当接部8が外周側連結壁27と内周側連結壁28の間に入り込む形で、戸2のコーナー部37をくわえ込む。戸2は、下に行くほど水圧による室内側への変位量が大きく、その分タイト材3aに強く圧着する。外周側連結壁27と内周側連結壁28を戸当接部8よりも硬い材質で形成したことで、水圧を受けても外周側連結壁27と内周側連結壁28が変形せずに元の形態を維持し、戸当接部8が水圧で内周側に押し流されて戸2との間に隙間があくのを防止できる。
【0020】
図10,11は、比較例として、戸2の下端より下側の蝶番11cまでの寸法L1と戸2の上端より上側の蝶番11aまでの寸法L2を同じにした場合(いずれも245mm)をした場合を示している。比較例では、同じように半分程度まで水38に浸かった場合でも、戸2の下端部がわずかに室内側に変位するのみで、戸2の下端より245mm上に上がったE-E断面(
図8のC-C断面と同じ高さ位置)では、
図11(a)に示すように、蝶番11cで拘束されているために戸2は室内側に変位せず、したがってタイト材3aのタイトが不十分となり、タイト材3aと戸2の間から水が浸入するおそれがある。
【0021】
このように本建具は、戸2に水圧がかかったときに戸2の下部が室内側に変位して下枠13と縦枠14のタイト材3a,3bに圧着し、しかもタイト材3a,3bは戸2のコーナー部37をくわえ込むため、戸2とタイト材3a,3bの間から水が室内に浸入するのを防止することができる。
さらに本建具は、縦枠14及び下枠13のタイト材3a,3bにベース部7から外周側に延出する延出部26が設けてあり、延出部26が縦接着剤15及び横接着剤20にて縦枠14及び下枠13の戸当たり部4a,4bのフラット面6に接着してある上、洪水等により室外側の水位が高まったときには、延出部26が水圧を受ける受圧部となって延出部26が水圧で戸当たり部4a,4bのフラット面6に強く押し付けられるため、タイト材3a,3bと縦枠14及び下枠13の戸当たり部4a,4bの間から水が室内に浸入するのを防止することができる。
【0022】
以上に述べたように本建具は、枠1と戸2とタイト材3a,3bを備え、枠1は、戸2の室内側面に対向する戸当たり部4a,4bを有し、戸当たり部4a,4bは、タイト材ホルダー5を室内側に突出して室外側にフラット面6を形成してあり、タイト材3a,3bは、ベース部7と、ベース部7の戸2側に設けた戸当接部8と、ベース部7と一体成形され枠1のタイト材ホルダー5に係合する係合部9を有し、ベース部7と枠1の戸当たり部4a,4bのフラット面6との間に裏漏りを防止するための密着部10を有することで、室内への水の浸入を確実に防止できる。戸当たり部4a,4bは、タイト材ホルダー5を室内側に突出して室外側にフラット面6を形成してあることで、タイト材3a,3bのベース部7との間に密着部10を形成するのが容易である。また、密着部10を構成する両面テープ(縦接着剤15、横接着剤20)の厚みを薄くできる。
タイト材3a,3bは、ベース部7と戸当接部8とを繋ぐ外周側連結壁27と内周側連結壁28とを有し、戸2に水圧がかかったときに、戸2のコーナー部37に沿って変形した戸当接部8が外周側連結壁27と内周側連結壁28との間に入り込むことで、洪水等で室外側の水位が高まったときに戸2とタイト材3a,3bの間から水が浸入するのを確実に防止できる。
またタイト材3a,3bは、戸2に水圧がかかったときに枠1に押し付けられる受圧部(延出部)26を有し、受圧部26と枠1との間に密着部10を有するので、洪水等で室外側の水位が高まったときにタイト材3a,3bと枠1の間から水が浸入するのを確実に防止できる。
さらにタイト材3a,3bは、係合部9を枠1のタイト材ホルダー5に係合する際に、受圧部26が枠1と密着しないように保持する保持片31を有し、係合部9を枠1のタイト材ホルダー5に係合した後に保持片31を切り離し、受圧部26を密着部10で枠1と密着させることで、タイト材3a,3bを容易に取付できると共に、受圧部26を密着部10できれいに枠1と密着させることができる。
【0023】
本建具は、枠1と戸2とタイト材3a,3bを備え、枠1は、横枠(下枠)13と縦枠14にタイト材3a,3bの取付部(タイト材ホルダー)5を有し、タイト材3a,3bは、ベース部7と、ベース部7の戸2側に設けた戸当接部8と、枠1の取付部5に係合する被取付部(係合部)9とを有し、ベース部7と枠1との間に裏漏りを防止する密着部10を有し、密着部10は、横枠13と縦枠14にわたって連続していることで、室内への水の浸入を確実に防止できる。
密着部10は、横枠13に設けた横接着剤20と、縦枠14に設けた縦接着剤15とを有し、横接着剤20の小口が縦枠14の内周側面に当接し、縦接着剤15の小口が横接着剤20の内周側縁に当接していることで、横接着剤20と縦接着剤15とが連続し、密着部10を横枠13と縦枠14にわたって連続させることができる。
また本建具は、縦接着剤15の小口と横接着剤20の内周側縁との間に介在する片(水平片)24を有するパッキン23を設けたことで、縦接着剤15と横接着剤20の突き合せ部からの水の浸入を防止できる。
さらに本建具は、横枠13と縦枠14との間にパッキン23を有し、パッキン23は、縦接着剤15の小口と縦枠14の取付部5の小口とが当接する水平片24と、縦枠14の取付部5の室内側と横枠13の室外側面とに当接する垂直片25とを有することで、縦枠14の取付部5の小口と横枠13との間及び縦枠14の取付部5の背面側もパッキン23で保護でき、縦枠14と横枠13の取付部5同士の継ぎ目からの水の浸入を防止して止水性を向上できる。
【0024】
本建具は、枠1と戸2と上下の蝶番11a,11cとを備え、枠1は、縦枠14と下枠13に戸2に当接するタイト材3a,3bを有し、戸2に水圧がかかったときに、戸2の下部が室内側に変位して下枠13と縦枠14のタイト材3a,3bに圧着するように、戸2の下端より下側の蝶番11cまでの寸法L1を戸2の上端より上側の蝶番11aまでの寸法L2より長くしてあることで、室内への水の浸入を確実に防止できる。
本建具は、戸2に水圧がかかったときに、下枠13のタイト材3b及び縦枠14のタイト材3aの下部が戸2のコーナー部37をくわえ込むことで、戸2とタイト材3a,3bの間から水が室内側に浸入するのを確実に防止することができ、耐水性がより一層向上する。
【0025】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。タイト材の材質、断面形状は、適宜変更することができる。戸の構成や形態、蝶番の構造は問わない。本発明の建具は、新築の建物に設置するものに限らず、既存の建物にリフォームで後から設置するものであってもよい。本発明は、枠と戸を有するあらゆる建具に適用することができ、玄関ドアに限らず、例えば勝手口ドアや窓等に適用することもできる。また本発明は、住居用に限らず、非住居(例えば倉庫等)のための建具にも適用できる。
【符号の説明】
【0026】
1 枠
2 戸
3a,3b,3c タイト材
4a,4b,4c 戸当たり部
5 タイト材ホルダー
6 フラット面
7 ベース部
8 戸当接部
9 係合部
10 密着部
11a,11b,11c 蝶番
13 下枠(横枠)
14 縦枠