(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-24
(45)【発行日】2023-11-01
(54)【発明の名称】操作装置
(51)【国際特許分類】
H01H 36/00 20060101AFI20231025BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20231025BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20231025BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
H01H36/00 J
H01H36/00 L
G06F3/041 512
G06F3/044 120
B60R16/02 630L
(21)【出願番号】P 2020005096
(22)【出願日】2020-01-16
【審査請求日】2022-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今井 貴夫
(72)【発明者】
【氏名】土屋 勝洋
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-120487(JP,A)
【文献】特開2015-92452(JP,A)
【文献】特開2011-96369(JP,A)
【文献】特開2015-26501(JP,A)
【文献】特開2016-4632(JP,A)
【文献】特開2007-242571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 36/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面側に複数の意匠が形成された操作部材と、
前記操作部材の裏面側に並んで配置され、自己容量方式のタッチセンサを構成する複数の検出電極と、
形成された意匠の形状に対応して前記複数の検出電極から予め定められた少なくとも
2つの検出電極により構成された複数の検出電極群と、
前記複数の検出電極と電気的に接続され、検出電極群を構成する検出電極が検出した静電容量の和が予め定められた第1のしきい値以上である場合、当該検出電極群に対応する意匠に操作がなされたと判定する判定部と、
を備えた操作装置。
【請求項2】
前記複数の検出電極は、検出電極群として使用されない検出電極を含む、
請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記第1のしきい値より低い第2のしきい値を有し、前記複数の検出電極群ごとに前記第2のしきい値以上となる静電容量の和を算出する、
請求項1又は2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記複数の意匠は、前記操作部材に固定して設けられる、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項5】
前記複数の検出電極は、形状が同一で、等間隔に並んで配置される、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、スイッチの機能などを示す文字や絵文字などの図柄に応じた形状を有する電極を備えたスイッチ装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この電極は、車両の右前席のドア内側に設けられた加飾パネルの裏側に配置され、静電容量型のセンサを構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のスイッチ装置は、電極が図柄に応じた形状を有しているので、例えば、右前席ではなく左前席に配置される場合、図柄の並びが変わり、右前席と左前席とで共通設計とすることができず設計の効率が良くない。
【0006】
従って本発明の目的は、設計の効率化を行うことができる操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、表面側に複数の意匠が形成された操作部材と、操作部材の裏面側に並んで配置され、自己容量方式のタッチセンサを構成する複数の検出電極と、形成された意匠の形状に対応して複数の検出電極から予め定められた少なくとも1つの検出電極により構成された複数の検出電極群と、複数の検出電極と電気的に接続され、検出電極群を構成する検出電極が検出した静電容量の和が予め定められた第1のしきい値以上である場合、当該検出電極群に対応する意匠に操作がなされたと判定する判定部と、を備えた操作装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、設計の効率化を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1(a)は、第1の実施の形態に係る操作装置の一例が搭載された車両内部の図であり、
図1(b)は、操作装置のブロック図の一例である。
【
図2】
図2(a)は、、第1の実施の形態に係る操作装置の操作部の一例を示す側面図であり、
図2(b)は、操作部材に形成された複数の意匠の一例を示す図であり、
図2(c)は、右ハンドル車における検出電極と意匠との関係の一例を説明するための図である。
【
図3】
図3(a)は、、第1の実施の形態に係る操作装置の操作部に対してなされたユーザのタッチ操作の一例を示す図であり、
図3(b)は、検出電極ごとの静電容量の一例を示す図であり、
図3(c)は、検出電極群ごとの総静電容量の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1の実施の形態に係る操作装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5(a)は、第2の実施の形態に係る操作装置のブロック図の一例であり、
図5(b)は、検出電極ごとの静電容量の一例を示す図であり、
図5(c)は、検出電極群ごとの総静電容量の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、第2の実施の形態に係る操作装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7(a)は、第3の実施の形態に係る操作装置の操作部材に二次元的に並ぶ複数の意匠の一例を示す図であり、
図7(b)は、右ハンドル車における検出電極と意匠との関係の一例を説明するための図であり、
図7(c)は、左ハンドル車における検出電極と意匠との関係の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態の要約)
実施の形態に係る操作装置は、表面側に複数の意匠が形成された操作部材と、操作部材の裏面側に並んで配置され、自己容量方式のタッチセンサを構成する複数の検出電極と、形成された意匠の形状に対応して複数の検出電極から予め定められた少なくとも1つの検出電極により構成された複数の検出電極群と、複数の検出電極と電気的に接続され、検出電極群を構成する検出電極が検出した静電容量の和が予め定められた第1のしきい値以上である場合、当該検出電極群に対応する意匠に操作がなされたと判定する判定部と、を備えて概略構成されている。
【0011】
この操作装置は、意匠の形状に応じて少なくとも1つの検出電極からなる検出電極群が予め定められるので、意匠の形状に応じた1つの検出電極を備える場合と比べて、意匠の形状が変わっても検出電極の形状を変更することなく対応することができる。従って操作装置は、設計の効率化を行うことができる。
【0012】
[実施の形態]
(操作装置1の概要)
以下に本実施の形態に係る操作装置の一例について各図を参照しながら説明する。なお以下に記載する実施の形態に係る各図において、図形間の比率は、実際の比率とは異なる場合がある。また
図1(b)では、主な信号や情報の流れを矢印で示している。
【0013】
図1(a)は、操作装置の一例が搭載された車両内部の図であり、
図1(b)は、操作装置のブロック図の一例である。操作装置1は、
図1(a)に示すように、車両8のセンターコンソール80に配置されている。操作装置1は、車両8に搭載された電子機器を操作するものである。この電子機器は、一例として、空調装置、ナビゲーション装置、音楽及び映像再生装置、車両8の設定や制御を行う車両制御装置などである。本実施の形態の操作装置1は、一例として、ユーザによる操作に応じて空調装置82の制御を行う。
【0014】
図2(a)は、操作装置の操作部の一例を示す側面図である。操作装置1は、
図1(b)及び
図2(a)に示すように、表面110側に複数の意匠が形成された操作部材11と、操作部材11の裏面111側に並んで配置され、自己容量方式のタッチセンサを構成する複数の検出電極と、形成された意匠の形状に対応して複数の検出電極から予め定められた少なくとも1つの検出電極により構成された複数の検出電極群と、複数の検出電極と電気的に接続され、検出電極群を構成する検出電極が検出した静電容量の和が予め定められた第1のしきい値Th
1以上である場合、当該検出電極群に対応する意匠に操作がなされたと判定する判定部としての制御部20と、を備えて概略構成されている。
【0015】
図2(b)は、操作部材に形成された複数の意匠の一例を示す図であり、
図2(c)は、右ハンドル車における検出電極と意匠との関係の一例を説明するための図である。
【0016】
複数の意匠は、一例として、
図2(b)に示すように、意匠12a~意匠12fである。また複数の検出電極は、一例として、
図2(a)に示すように、検出電極14a~検出電極14tである。複数の検出電極群は、一例として、
図2(c)に示すように、検出電極群15a~検出電極群15fである。
【0017】
意匠12a~意匠12fは、意匠に対するタッチ操作を受け付ける領域の境界が分かり易くなるように、枠13a~枠13fによって囲まれている。また意匠12a~意匠12fは、操作部材11に固定して設けられている。つまり意匠12a~意匠12f、及び枠13a~枠13fは、一例として、操作部材11の表面110に印刷などによって設けられている。
【0018】
操作装置1は、
図1(b)に示すように、さらに記憶部16と、表示部18と、を備えている。記憶部16は、一例として、制御部20が配置された基板上に配置された半導体メモリである。記憶部16は、第1のしきい値Th
1と、検出電極群情報160と、を記憶している。表示部18は、空調装置82の設定温度などを表示する液晶モニタである。
【0019】
また操作装置1は、
図2(a)に示すように、操作部材11と、検出電極14a~検出電極14tと、によって操作部10が構成されている。この操作部10と表示部18とは、
図1(a)に示すように、センターコンソール80に配置されている。本実施の形態の車両8は、右側にステアリング81を備えた右ハンドル車である。従って意匠12a~意匠12fは、右側の運転席に着座するユーザが使い易いように配置されている。
【0020】
(操作部10の構成)
操作部材11は、ポリカーボネートなどの樹脂材料を用いて板形状に形成されている。なお操作部材11は、表面110が曲面であっても良い。
【0021】
検出電極14a~検出電極14tは、銀などの導電性の高い材料を用いて形成されている。また検出電極14a~検出電極14tは、
図2(c)に示すように、形状が同一で、等間隔に並んで配置されている。
【0022】
この検出電極14a~検出電極14tは、複数の検出電極によって操作指を検出するように、幅や間隔が定められる。操作指の幅は、個人差があるものの概ね定まっている。従って検出電極は、1つの検出電極の幅が操作指の幅より狭く、また少なくとも2つの検出電極の間に操作指が接触した場合、双方の検出電極が操作指を検出できるよう構成される。
【0023】
検出電極14a~検出電極14tは、制御部20と電気的に接続されている。検出電極14a~検出電極14tは、静電容量に応じた静電信号Sa~静電信号Stを制御部20に出力する。つまり検出電極14a~検出電極14tは、それぞれがタッチ操作を検出するタッチセンサとして機能する。
【0024】
検出電極は、意匠の形状に応じて検出電極群を構成する。本実施の形態では、意匠12a~意匠12fに応じて検出電極群15a~検出電極群15fが予め定められている。この検出電極群15a~検出電極群15fを構成する検出電極は、検出電極群情報160として記憶部16に記憶されている。
【0025】
意匠12aは、空調装置82の風量を調整する機能を有するタッチスイッチであることを示している。ユーザは、意匠12aの枠13aを目安にタッチ操作を行い、さらに意匠12e(=風量を減少「-」)及び意匠12f(=風量を増加「+」)に対してタッチ操作を行って風量を調整することができる。意匠12aに対するタッチ操作は、検出電極14a~検出電極14cを含む検出電極群15aによって検出される。
【0026】
意匠12bは、空調装置82のオートモードをオン、オフする機能を有するタッチスイッチであることを示している。ユーザは、意匠12bの枠13bを目安にタッチ操作を行うと、温度や風量を自動で調整するオートモードで空調装置82を作動させたり、オートモードを終了させたりすることができる。意匠12bに対するタッチ操作は、検出電極14d~検出電極14gを含む検出電極群15bによって検出される。
【0027】
意匠12cは、車両8内の空気を循環させる機能を有するタッチスイッチであることを示している。ユーザは、意匠12cの枠13cを目安にタッチ操作を行うと、車両8内の空気を循環させたり、循環させずに外気を取り入れたりすることができる。意匠12cに対するタッチ操作は、検出電極14h~検出電極14kを含む検出電極群15cによって検出される。
【0028】
意匠12dは、空調装置82の温度を調整する機能を有するタッチスイッチであることを示している。ユーザは、意匠12dの枠13dを目安にタッチ操作を行い、さらに意匠12e(=温度を下降「-」)及び意匠12f(=温度を上昇「+」)に対してタッチ操作を行って温度を調整することができる。意匠12dに対するタッチ操作は、検出電極14l~検出電極14oを含む検出電極群15dによって検出される。
【0029】
意匠12eは、空調装置82の風量や温度を下げる方向に調整する機能を有するタッチスイッチであることを示している。意匠12eに対するタッチ操作は、検出電極14p及び検出電極14qを含む検出電極群15eによって検出される。
【0030】
意匠12fは、空調装置82の風量や温度を上げる方向に調整する機能を有するタッチスイッチであることを示している。意匠12fに対するタッチ操作は、検出電極14s及び検出電極14tを含む検出電極群15fによって検出される。
【0031】
ここで本実施の形態の検出電極14a~検出電極14tは、検出電極群として使用されない検出電極を含んでいる。意匠12eと意匠12fは、
図2(b)及び
図2(c)に示すように、検出電極14rを挟むように離れている。従って検出電極14rは、意匠に対するタッチ操作の検出に使用されない。
【0032】
ここで
図2(d)は、左ハンドル車における検出電極と意匠との関係の一例を説明するための図である。左ハンドル車では、運転席が左側に位置する。従って意匠12a~意匠12fは、左側の運転席に着座するユーザが使い易いように右ハンドル車とは逆に並ぶように配置されることが好ましい。そこで右ハンドル車の場合、
図2(c)の紙面左から右に意匠12a~意匠12fが並ぶが、左ハンドル車の場合、
図2(d)の紙面右から左に意匠12a~意匠12fが並ぶ。
【0033】
操作装置1は、意匠の形状に応じた1つの検出電極でタッチ操作を検出するのではなく、検出電極群としてタッチ操作を検出するので、
図2(c)及び
図2(d)に示すように、意匠の並び順が変わったとしても検出電極群の構成を変更することで柔軟に対応することが可能となる。
【0034】
(制御部20の構成)
制御部20は、例えば、記憶されたプログラムに従って、取得したデータに演算、加工などを行うCPU(Central Processing Unit)、半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などから構成されるマイクロコンピュータである。このROMには、例えば、制御部20が動作するためのプログラムが格納されている。RAMは、例えば、一時的に演算結果などを格納する記憶領域として用いられる。また制御部20は、その内部にクロック信号を生成する手段を有し、このクロック信号に基づいて動作を行う。なお記憶部16は、制御部20のRAMやROMであっても良い。
【0035】
制御部20は、検出電極群情報160に基づいて検出電極14a~検出電極14tから検出電極を選択して検出電極群15a~検出電極群15fを構成する。そして制御部20は、検出電極群を構成する検出電極が検出した静電容量を足し合わせて第1のしきい値Th1と比較し、タッチ操作の有無を判定する。
【0036】
図3(a)は、ユーザのタッチ操作がなされた操作部の一例を示す図であり、
図3(b)は、検出電極ごとの静電容量の一例を示す図であり、
図3(c)は、検出電極群ごとの総静電容量の一例を示す図である。
図3(b)は、横軸が検出電極であり、縦軸が静電容量Cである。
図3(c)は、横軸が検出電極群であり、縦軸が総静電容量C
Aである。総静電容量C
Aとは、検出電極群を構成する検出電極が検出した静電容量を全て足し合わせたものである。
【0037】
図3(a)に示すように、ユーザが「TEMP」の意匠12dに対してタッチ操作を行い、点線で示す操作指9を検出電極群15dが検出した場合、一例として、
図3(b)に示すように、主に検出電極14m及び検出電極14nが検出する静電容量が大きくなる。なお
図3(b)では、検出電極群15dを構成する検出電極以外の検出電極が外来ノイズなどの影響により、僅かな静電容量を検出するものとして図示している。
【0038】
制御部20は、検出電極14a~検出電極14tから静電信号Sa~静電信号Stを周期的に取得する。制御部20は、静電信号Sa~静電信号Stに基づく静電容量を検出電極群情報160に基づいて検出電極群15a~検出電極群15fごとに足し合わせる。
【0039】
図3(c)に示すように、操作指9を検出した検出電極群15dの総静電容量C
Aは、第1のしきい値Th
1を超えるので、制御部20は、検出電極群15dにタッチ操作がなされたと判定する。そして制御部20は、判定結果に基づいて検出電極群15dにタッチ操作がなされたことを示す操作情報S
1を接続された空調装置82に出力する。
【0040】
以下に、本実施の形態の操作装置1の動作について
図4のフローチャートに従って説明する。
【0041】
(動作)
操作装置1の制御部20は、検出電極14a~検出電極14tから静電信号Sa~静電信号Stを取得し、静電容量Cを読み出す(Step1)。制御部20は、記憶部16から取得した検出電極群情報160に基づいて検出電極群ごとに総静電容量CAを算出する(Step2)。
【0042】
制御部20は、算出した総静電容量CAと、記憶部16から取得した第1のしきい値Th1と、を比較する。制御部20は、第1のしきい値Th1以上となる総静電容量CAが存在する(=Th1≦CA)場合(Step3:Yes)、タッチ操作がなされたと判定する。
【0043】
制御部20は、タッチ操作を検出した検出電極群の情報を含む操作情報S1を生成して空調装置82に出力し(Step4)、次の周期の静電容量を読み出すため、ステップ1に処理を進める。この動作は、操作装置1の電源が落とされるまで継続して行われる。
【0044】
ここでステップ3において制御部20は、タッチ操作を検出した検出電極群がない場合(Step3:No)、次の周期の静電容量を読み出すため、ステップ1に処理を進める。
【0045】
(第1の実施の形態の効果)
本実施の形態に係る操作装置1は、設計の効率化を行うことができる。具体的には、操作装置1は、意匠12a~意匠12fの形状に応じて検出電極群15a~検出電極群15fが予め定められるので、意匠の形状に応じた1つの検出電極を備える場合と比べて、意匠の形状が変わっても検出電極の形状を変更することなく対応することができる。従って操作装置1は、設計の効率化を行うことができる。
【0046】
車両は、販売する国に応じて同じ車種であっても右ハンドル車と左ハンドル車が製造される場合がある。操作装置1は、右ハンドル車であっても左ハンドル車であっても検出電極群の構成を変えることで、意匠の並びの変更や異なる意匠の配置などに対応するので、この構成を採用しない場合と比べて、検出電極の配置などを改めて設計する必要がなく、設計の効率化を行うことができる。
【0047】
ユーザは、操作部材11の表面110が平面であった場合、タッチスイッチの範囲を、タッチスイッチの機能を示す文字や図形などの意匠に基づいて認識することが多い。そこで、意匠に応じた検出電極を設けた場合、タッチスイッチごとに設計が必要となり、また意匠の文字の大きさや文字数が変わったり、図形が変わったりすると、新たに設計を行わなければならず非効率であった。しかし操作装置1は、上述のように、意匠に応じて検出電極群の構成を変えるのみであるので、効率良く設計を行うことができる。
【0048】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、2つのしきい値を備えている点で他の実施の形態と異なっている。
【0049】
図5(a)は、操作装置のブロック図の一例であり、
図5(b)は、検出電極ごとの静電容量の一例を示す図であり、
図5(c)は、検出電極群ごとの総静電容量の一例を示す図である。
図5(b)は、横軸が検出電極であり、縦軸が静電容量Cである。
図5(c)は、横軸が検出電極群であり、縦軸が総静電容量C
Aである。また
図5(b)及び
図5(c)は、第1の実施の形態の
図3(a)と同様に検出電極群15dにタッチ操作がなされた場合の静電容量C及び総静電容量C
Aを示している。なお比較のため、
図5(b)には、第1のしきい値Th
1を点線で示している。
【0050】
なお以下に記載する実施の形態において、第1の実施の形態と同じ機能及び構成を有する部分は、第1の実施の形態と同じ符号を付し、その説明は省略するものとする。
【0051】
制御部20は、
図5(a)~
図5(c)に示すように、第1のしきい値Th
1より低い第2のしきい値Th
2を有し、複数の検出電極群ごとに第2のしきい値Th
2以上となる静電容量Cの和(=総静電容量C
A)を算出する。なお第2のしきい値Th
2は、記憶部16に記憶されているがこれに限定されず、制御部20のRAMやROMに記憶されても良い。
【0052】
この第2のしきい値Th
2は、外来ノイズなどにより検出された静電容量に対するしきい値である。制御部20は、この第2のしきい値Th
2以上の静電容量を検出した検出電極を含む検出電極群の総静電容量C
Aを算出するので、全ての検出電極群の総静電容量C
Aを算出する場合と比べて、処理が高速となる。従って
図5(c)に示すように、制御部20は、第2のしきい値Th
2以上の静電容量Cが検出された検出電極群15dのみの総静電容量C
Aを算出する。
【0053】
以下に本実施の形態の操作装置1の動作の一例について
図6のフローチャートに従って説明する。
【0054】
(動作)
操作装置1の制御部20は、検出電極14a~検出電極14tから静電信号Sa~静電信号Stを取得し、静電容量Cを読み出す(Step10)。制御部20は、読み出した静電容量Cと、記憶部16から取得した第2のしきい値Th2と、を比較する。
【0055】
制御部20は、第2のしきい値Th2以上となる静電容量Cが検出されている場合(Step11:Yes)、第2のしきい値Th2以上の静電容量Cを検出した検出電極を含む検出電極群ごとに総静電容量CAを算出する(Step12)。
【0056】
制御部20は、算出した総静電容量CAと、記憶部16から取得した第1のしきい値Th1と、を比較する。制御部20は、第1のしきい値Th1以上となる総静電容量CAが存在する(=Th1≦CA)場合(Step13:Yes)、タッチ操作がなされたと判定する。
【0057】
制御部20は、タッチ操作を検出した検出電極群の情報を含む操作情報S1を生成して空調装置82に出力し(Step14)、次の周期の静電容量を読み出すため、ステップ1に処理を進める。この動作は、操作装置1の電源が落とされるまで継続して行われる。
【0058】
ここでステップ11において制御部20は、第2のしきい値Th2以上となる静電容量Cが検出されない場合(Step11:No)、ステップ10に処理を進める。
【0059】
またステップ13において制御部20は、第1のしきい値Th1以上の総静電容量CAとなる検出電極群がない場合(Step13:No)、次の周期の静電容量を読み出すため、ステップ10に処理を進める。
【0060】
(第2の実施の形態の効果)
本実施の形態の操作装置1は、全ての検出電極群の総静電容量CAを算出するのではなく、第2のしきい値Th2以上の静電容量Cを検出した検出電極を含む検出電極群の総静電容量CAを算出するので、効率良くタッチ操作の判定を行い、処理を高速化することができる。
【0061】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態は、検出電極が二次元的に並んでいる点で他の実施の形態と異なっている。
【0062】
図7(a)は、操作部材に二次元的に並ぶ複数の意匠の一例を示す図であり、
図7(b)は、右ハンドル車における検出電極と意匠との関係の一例を説明するための図である。
図7(a)に示す意匠120a~意匠120kは、
図7(b)、及び後述する
図7(c)では、検出電極群150a~検出電極群150kと併記している。また
図7(b)及び
図7(c)では、枠130a~枠130kを点線で示している。
【0063】
本実施の形態の操作装置1には、
図7(a)に示すように、大小様々な形状を有する意匠120a~意匠120kが設けられている。この意匠120a~意匠120kは、意匠に対するタッチ操作を受け付ける領域の境界が分かり易くなるように、枠130a~枠130kによって囲まれている。
【0064】
また操作装置1は、
図7(b)及び
図7(c)の紙面の下の段に検出電極14a~検出電極14tが配置され、上の段に検出電極140a~検出電極140tが配置されている。この検出電極14a~検出電極14t、及び検出電極140a~検出電極140tは、一例として、同じ形状で等間隔に並んでいるがこれに限定されない。
【0065】
意匠120a及び意匠120bは、上下の段にわたる形状を有している。意匠120aに対するタッチ操作は、検出電極14a~検出電極14c、及び検出電極140a~検出電極140cを含む検出電極群150aによって検出される。また意匠120bに対するタッチ操作は、検出電極14l~検出電極14o、及び検出電極140l~検出電極140oを含む検出電極群150bによって検出される。
【0066】
意匠120c~意匠120gは、上段の検出電極を組み合わせた形状を有している。意匠120cに対するタッチ操作は、検出電極140d~検出電極140fを含む検出電極群150cによって検出される。意匠120dに対するタッチ操作は、検出電極140g及び検出電極140hを含む検出電極群150dによって検出される。意匠120eに対するタッチ操作は、検出電極140jを含む検出電極群150eによって検出される。意匠120fに対するタッチ操作は、検出電極140p及び検出電極140qを含む検出電極群150fによって検出される。意匠120gに対するタッチ操作は、検出電極140s及び検出電極140tを含む検出電極群150gによって検出される。
【0067】
意匠120h~意匠120kは、下段の検出電極を組み合わせた形状を有している。意匠120hに対するタッチ操作は、検出電極14d~検出電極14gを含む検出電極群150hによって検出される。意匠120iに対するタッチ操作は、検出電極14h~検出電極14kを含む検出電極群150iによって検出される。意匠120jに対するタッチ操作は、検出電極14p及び検出電極14qを含む検出電極群150jによって検出される。意匠120kに対するタッチ操作は、検出電極14s及び検出電極14tを含む検出電極群150kによって検出される。
【0068】
なお検出電極14r、検出電極140i、検出電極140k及び検出電極140rは、検出電極群として使用されない検出電極である。
【0069】
また意匠120dは、
図7(b)に示すように、検出電極140g及び検出電極140hの一部を含む意匠である。操作装置1は、操作指の形状が変わる訳ではないので、検出電極群150dの検出電極140g及び検出電極140hが検出した静電容量Cを加算した総静電容量C
Aからタッチ操作の有無を判定することができる。
【0070】
さらに意匠120eは、1つの検出電極(=検出電極140j)によって検出電極群150eが構成されいる。操作装置1は、検出電極140jが検出した静電容量Cを総静電容量CAとしてタッチ操作の有無を判定する。
【0071】
ここで
図7(c)は、左ハンドル車における検出電極と意匠との関係の一例を説明するための図である。左ハンドル車では、運転席が左側に位置する。従って右ハンドル車の場合、
図7(b)の紙面左から右に意匠120a~意匠120kが並ぶが、左ハンドル車の場合、
図7(c)の紙面右から左に意匠120a~意匠120kが並ぶ。
【0072】
よって検出電極群150a~検出電極群150kは、
図7(b)と
図7(c)では、構成が変わっている。右ハンドル車の意匠120aに対応する検出電極群150aは、検出電極14a~検出電極14c、及び検出電極140a~検出電極140cにより構成される。一方左ハンドル車の意匠120aに対応する検出電極群150aは、検出電極14r~検出電極14t、及び検出電極140r~検出電極140tにより構成される。制御部20は、検出電極群情報160に基づいて検出電極群150a~検出電極群150kの構成を変えるので、設計の変更に柔軟に対応することができる。
【0073】
操作装置1は、意匠の形状に応じた1つの検出電極でタッチ操作を検出するのではなく、検出電極群としてタッチ操作を検出するので、
図7(b)及び
図7(c)に示すように、意匠の並び順が変わったとしても検出電極群の構成を変更することで柔軟に対応することが可能となる。
【0074】
(第3の実施の形態の効果)
本実施の形態の操作装置1は、二次元的に並んだ意匠であっても検出電極の大きさや配置を変える必要がなく、設計変更に柔軟に対応することができる。
【0075】
以上述べた少なくとも1つの実施の形態の操作装置1によれば、設計の効率化を行うことが可能となる。
【0076】
上述の実施の形態及び変形例に係る操作装置1は、例えば、用途に応じて、その一部が、コンピュータが実行するプログラム、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)及びFPGA(Field Programmable Gate Array)などによって実現されても良い。
【0077】
以上、本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。また、これら実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態は、発明の範囲及び要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0078】
1…操作装置、8…車両、9…操作指、10…操作部、11…操作部材、12a~12f…意匠、13a~13f…枠、14a~14t…検出電極、15a~15f…検出電極群、16…記憶部、18…表示部、20…制御部、80…センターコンソール、81…ステアリング、82…空調装置、110…表面、111…裏面、120a~120k…意匠、130a~130k…枠、140a~140t…検出電極、150a~150k…検出電極群、160…検出電極群情報