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特許7372849表示装置、及びそれを用いたヘッドマウントディスプレイ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-24
(45)【発行日】2023-11-01
(54)【発明の名称】表示装置、及びそれを用いたヘッドマウントディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20231025BHJP
   G02B 27/02 20060101ALI20231025BHJP
   G09F 9/302 20060101ALI20231025BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20231025BHJP
   G09G 3/3208 20160101ALI20231025BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20231025BHJP
   H10K 59/121 20230101ALI20231025BHJP
【FI】
G09F9/30 390
G02B27/02 Z
G09F9/302 Z
G09G3/20 611A
G09G3/20 680A
G09G3/20 680H
G09G3/3208
H04N5/64 511A
H10K59/121
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020012908
(22)【出願日】2020-01-29
(65)【公開番号】P2021117471
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仲戸川 博人
【審査官】村上 遼太
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-282245(JP,A)
【文献】特開2003-162236(JP,A)
【文献】特開2007-094089(JP,A)
【文献】特開2017-058671(JP,A)
【文献】国際公開第2013/076994(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/242351(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0061578(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110379836(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B27/00-30/60
G09F9/00-9/46
G09G3/00-3/08
3/12-3/16
3/19-3/26
3/30-3/34
3/38
H04N5/64-5/655
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素が2次元配列された表示領域を有した表示部を備え、
前記表示領域は、高精細領域、当該高精細領域より外側に位置する低精細領域、及び前記高精細領域と前記低精細領域との間に位置する遷移領域を有し、
前記高精細領域から前記低精細領域への移行方向に沿った前記画素のサイズは、前記高精細領域では第1サイズであり、前記低精細領域では前記第1サイズより大きい第2サイズであり、
前記遷移領域では、前記移行方向に沿って前記第1サイズを有する第1画素が配置される第1区間と前記第2サイズを有する第2画素が配置される第2区間とが交互に存在し、前記高精細領域側から前記低精細領域側に向けて前記第1区間の幅は減少し前記第2区間の幅は増加すること、
を特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記遷移領域は、互いに共通の前記移行方向に延在し、かつ前記移行方向に交差する方向に隣接して並ぶ複数の画素列を有し、
前記画素列における前記第1区間及び前記第2区間の配置は、隣接する前記画素列と共通であること、
を特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記遷移領域は、互いに共通の前記移行方向に延在し、かつ前記移行方向に交差する方向に隣接して並ぶ複数の画素列を有し、
前記画素列における前記第1区間及び前記第2区間の配置は、互いに隣接する前記画素列にて相違すること、
を特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記高精細領域側から前記低精細領域側に向けて、前記第1区間の幅は第1の等差数列をなし、前記第2区間の幅は前記第1の等差数列の順序を反転した第2の等差数列をなすこと、を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項5】
kを2以上の自然数として、前記第2サイズは前記第1サイズのk倍であり、
前記第1区間に並ぶ前記第1画素の数はkの整数倍であること、
を特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項6】
前記低精細領域は前記高精細領域の上下両側と左右両側とのいずれか一方又は双方に設けられること、を特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項7】
前記低精細領域は前記高精細領域を囲んで設けられ、
前記第2画素の縦サイズ及び横サイズはそれぞれ前記第1画素におけるサイズの整数倍であること、
を特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の表示装置を備えたヘッドマウントディスプレイであって、
前記表示部は利用者の眼前に配置され、
前記高精細領域は、当該利用者の両眼それぞれの視野中央に対応する位置に設けられていること、
を特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、及びそれを用いたヘッドマウントディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドマウントディスプレイ(Head Mount Display:HMD)は、頭部に装着して、眼前に配置されたディスプレイにて画像を表示するように構成された頭部装着型の表示装置である。
【0003】
なお特許文献1には、画面を大型化して臨場感のある画像を観察でき、且つ装置の製造コストや駆動時の画像データ量を抑えることのできる画像表示装置を提供する旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-117553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ヘッドマウントディスプレイでは、使用者の視野角に対応して表示領域を広げ提示画角を大きくすることで臨場感が向上し得る。ここで、画素サイズが大きくなると画質が低下し臨場感が損なわれるので、表示領域の拡大と共に高精細化も求められる。一方、高精細化により画素数が増加すると、例えば、表示パネルの駆動に要する消費電力が増加し得る。
【0006】
本発明は画質を確保しつつ表示領域を拡大すると共に、消費電力が抑制される表示装置及びヘッドマウントディスプレイを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る表示装置は、複数の画素が2次元配列された表示領域を有した表示部を備え、前記表示領域は、高精細領域、当該高精細領域より外側に位置する低精細領域、及び前記高精細領域と前記低精細領域との間に位置する遷移領域を有し、前記高精細領域から前記低精細領域への移行方向に沿った前記画素のサイズは、前記高精細領域では第1サイズであり、前記低精細領域では前記第1サイズより大きい第2サイズであり、前記遷移領域では、前記移行方向に沿って前記第1サイズを有する第1画素が配置される第1区間と前記第2サイズを有する第2画素が配置される第2区間とが交互に存在し、前記高精細領域側から前記低精細領域側に向けて前記第1区間の幅は減少し前記第2区間の幅は増加する。
【0008】
本発明に係るヘッドマウントディスプレイは上記表示装置を備え、前記表示部は利用者の眼前に配置され、前記高精細領域は、当該利用者の両眼それぞれの視野中央に対応する位置に設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るヘッドマウントディスプレイの概観を示す模式図である。
図2】本発明の実施形態に係るヘッドマウントディスプレイに搭載される表示装置を説明するための概略斜視図である。
図3】表示装置の表示領域における画素回路の様子を示す図である。
図4】第1の実施形態に係る表示装置における両眼用の表示パネルの表示領域の模式図である。
図5】第1の実施形態に係る表示装置に設けられる遷移領域における画素配列の一例を示す模式図である。
図6】第1の実施形態の変形例である表示装置における単眼用表示パネルからなる表示領域の模式図である。
図7】第1の実施形態の他の変形例である表示装置における両眼用表示パネルからなる表示領域の模式図である。
図8】第1の実施形態の他の変形例である表示装置における単眼用表示パネルからなる表示領域の模式図である。
図9】第2の実施形態に係る表示装置における両眼用表示パネルからなる表示領域の模式図である。
図10】第2の実施形態に係る表示装置における単眼用表示パネルからなる表示領域の模式図である。
図11】第2の実施形態に係る表示装置に設けられる遷移領域における画素配列の一例を示す模式図である。
図12】第2の実施形態に係る表示装置に設けられる遷移領域の角部における画素配列の一例を示す模式図である。
図13】第3の実施形態に係る表示装置における表示領域を説明する模式図である。
図14】第3の実施形態に係る表示装置に設けられる遷移領域における画素配列の一例を示す模式図である。
図15】第3の実施形態の変形例である表示装置における表示領域を説明する模式図である。
図16】第4の実施形態に係る表示装置における表示領域を説明する模式図である。
図17】第4の実施形態に係る表示装置に設けられる遷移領域における画素配列の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の各実施形態に係るヘッドマウントディスプレイについて、図面を参照しながら説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0011】
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。
【0012】
さらに、本発明の詳細な説明において、ある構成物と他の構成物の位置関係を規定する際、「上に」「下に」とは、ある構成物の直上あるいは直下に位置する場合のみでなく、特に断りの無い限りは、間にさらに他の構成物を介在する場合を含むものとする。
【0013】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態のヘッドマウントディスプレイ1の概観を示す模式図であり、使用者2に装着された状態を表している。ヘッドマウントディスプレイ1は、本体1aと頭部装着用のベルト1bとを含む。図には本体1aとして筐体が見えており、この筐体の中に本発明に係る表示装置が格納される。装着用ベルト1bは例えば、使用者2の頭部の周囲を巡る環状のベルトであり、さらに頭頂部を経由して後頭部にて環状ベルトに接続されるベルトを含んでもよい。装着用ベルト1bによって本体1aは使用者2の頭部前面に装着され、本体1aの表示装置は使用者2の眼前に固定される。
【0014】
またヘッドマウントディスプレイ1には、画像信号及び音声信号が入力される不図示の受信部が設けられており、受信部に入力された画像信号に基づいて表示装置に画像が表示され、受信部に入力された音声信号に基づいて不図示のスピーカー等から音声が出力される。
【0015】
図2はヘッドマウントディスプレイ1に搭載される表示装置3を説明するための概略斜視図である。本実施形態の表示装置3は、複数の自発光素子としての有機エレクトロルミネッセンス(electroluminescence:EL)素子が配置された第1基板B1に、第2基板B2が貼り合わされて、ケースCAにて外部が覆われて構成される有機EL表示パネルとなっている。また、第1基板B1は、第2基板B2から露出した領域(露出領域EX)を有している。この露出領域EXには、表示装置3に信号や電源を供給するための入力端子等が形成される。
【0016】
図3は表示装置3の表示領域DPにおける画素回路の様子を示す図である。表示装置3は、画像を表示する表示領域DPと、走査信号線駆動部GDRと、映像信号線駆動部DDRと、電源駆動部EDRとを備える。
【0017】
表示領域DPには複数の画素が2次元配列され、複数画素のそれぞれに対応して有機EL素子OL及び画素回路PXが配置されており、画素回路PXは薄膜トランジスタTFT1、容量素子CAP、及び薄膜トランジスタTFT2を含んで構成される。走査信号線駆動部GDR、映像信号線駆動部DDR、及び電源駆動部EDRは、画素回路PXを駆動して有機EL素子OLの発光を制御する。
【0018】
画素の2次元配列については後述するが、本実施形態では基本的に画素は水平方向(行方向)と垂直方向(列方向)とに沿って並び、概略、マトリクス状の2次元配列である。
【0019】
走査信号線駆動部GDRは、画素の水平方向の並び(画素行)ごとに設けられた走査信号線GLに接続されて、順番に選択された走査信号線GLに走査信号を出力する。
【0020】
映像信号線駆動部DDRは、画素の垂直方向の並び(画素列)ごとに設けられた映像信号線DLに接続されて、走査信号線駆動部GDRによる走査信号線GLの選択にあわせて、選択された画素行の映像信号に応じた電圧を各映像信号線DLに出力する。当該電圧は、画素回路PX内の容量素子CAPに書き込まれて、書き込まれた電圧に応じた電流が有機EL素子OLに供給される。
【0021】
電源駆動部EDRは、画素列ごとに設けられた駆動電源線SLに接続されて、画素回路PX内の薄膜トランジスタTFT2を介して有機EL素子OLに電流を供給する。
【0022】
有機EL素子OLの陰極(カソード)は一定電位、例えば接地電位に接続される。全画素の有機EL素子OLの陰極は共通の電極で構成される。
【0023】
さて、眼球の構造上、人間の視野の解像度は中央部で高く周辺部で低い。ヘッドマウントディスプレイ1では表示装置3は使用者2の眼前に固定されるので、表示領域DP内での使用者2の注視位置の変化は基本的に使用者2の眼球の動きによるものに制限される。そのため、表示領域DPにおいて使用者2の視点は眼球の正面辺りに存在しやすいことが期待できる。
【0024】
そこで表示装置3では、表示領域DPにおいて眼球の正面辺りは高精細領域とする一方、高精細領域より外側には低精細領域を設け、また、高精細領域と低精細領域との間には遷移領域を設ける。高精細領域は好適な解像度で表示可能な領域であり、低精細領域は高精細領域より低い解像度で表示される領域である。また、遷移領域は、高精細領域での解像度と低精細領域での解像度との間で解像度が徐々に変化する領域である。具体的には、高精細領域から低精細領域への移行方向に沿った画素のサイズは、高精細領域では第1サイズであり、低精細領域では第1サイズより大きい第2サイズである。また、遷移領域では、移行方向に沿って第1サイズを有する第1画素が配置される第1区間と第2サイズを有する第2画素が配置される第2区間とが交互に存在し、高精細領域側から低精細領域側に向けて第1区間の幅は減少し第2区間の幅は増加する。
【0025】
この構成では、使用者2がよく見る部分を高精細領域とすること、及び遷移領域を設けて高精細領域と低精細領域との解像度の違いを目立たなくすることで、低精細領域を設けても使用者は画質の低下を感じにくい。また、この構成では、表示領域全体を高精細領域とする場合に比べて画素数が減り、その分、駆動回路が減るなどして消費電力の抑制を図ることができる。また、低精細領域を広げて表示領域を拡大することができるので、大きな表示領域を有した表示装置3にて画質の確保と低消費電力とを実現しやすい。
【0026】
図4は表示装置3の表示領域DPの模式図である。図4の表示装置3は、使用者2の左眼に対する表示領域と右眼に対する表示領域とが一体である両眼用の表示パネルである。なお、表示領域DPの水平方向(行方向)に対応してx軸、垂直方向(列方向)に対応してy軸を設定する。
【0027】
表示装置3は、上下方向(y方向)の概ね中央に水平方向に延在する高精細領域HRを有し、表示領域の上下の端部に低精細領域LRを有し、高精細領域HRと低精細領域LRとの間に遷移領域TRを有する。図4では表示装置3の表示領域はx方向の辺とy方向の辺とを有した矩形であり、高精細領域HR、低精細領域LR及び遷移領域TRは当該表示領域を水平な境界線で区分して得られる矩形領域である。
【0028】
なお、表示領域には互いにサイズが異なる第1画素と第2画素との2種類の画素が配列されており、図4において網点を付した領域が、サイズが小さい画素である第1画素の配置領域であり、網点を付していない白地の領域が、サイズが大きい第2画素の配置領域である。なお、後述する本実施形態の他の構成、及び第2の実施形態の表示領域の図においても同様に表現する。
【0029】
遷移領域TRには第1画素の領域と第2画素の領域とが混在する。高精細領域HRの上側、下側それぞれの遷移領域TRには、第1画素が配置される第1区間Zと第2画素が配置される第2区間Z2とがy軸の方向に交互に配置される。そして、上側の遷移領域TRでは高精細領域HR側から上側の低精細領域LR側に向けて、また下側の遷移領域TRでは高精細領域HR側から下側の低精細領域LR側に向けて、それぞれ第1区間Zの幅αは減少し第2区間Zの幅βは増加する。
【0030】
図5は遷移領域TRにおける第1画素及び第2画素の配列の一例を示す画素列の模式図である。具体的には、下側の遷移領域TRにおける画素列を示しており、縦に並ぶ各矩形が画素を表している。この例では遷移領域TRは第1区間Z及び第2区間Zをそれぞれ4つ含み、高精細領域HR側からi番目(i=1~4)の第1区間をZ(i)、第2区間をZ(i)、またZ(i)の幅をα(i)、Z(i)の幅をβ(i)と表す。Z(i)は順に1,2,3,4個の第2画素からなり、β(1)<β(2)<β(3)<β(4)である。Z(i)は順に8,6,4,2個の第1画素からなり、α(1)>α(2)>α(3)>α(4)である。
【0031】
この例のように、高精細領域側から低精細領域側に向けて、α(i)は等差数列をなして減少し、β(i)は等差数列をなして増加する構成とすることができる。これにより、遷移領域TRにおける第1画素及び第2画素それぞれの密度勾配の一様化を図ることができ、高精細領域HRと低精細領域LRとの間の解像度の変化が滑らかになる。
【0032】
また、この構成において、さらに、等差数列β(i)は等差数列α(i)の順序を反転したものとすることができる。具体的には、ここでの例では、β(1)=α(4),β(2)=α(3),β(3)=α(2),β(4)=α(1)に設定する。これにより遷移領域TRにおける解像度の変化をより滑らかにすることができる。例えば、第2画素のy方向のサイズ(第2サイズ)を第1画素のy方向のサイズ(第1サイズ)のk倍(kは2以上の自然数)に設定し、第2区間Zに配置する第2画素の個数は高精細領域HRから低精細領域LRへの方向に、1から1ずつ増やし、第1区間Zに配置する第1画素の個数は逆方向、すなわち低精細領域LRから高精細領域HRへの方向に、kからkずつ増やすことで当該構成が得られる。図5ではk=2の例を示している。
【0033】
図5の画素列の例を用いて下側の遷移領域TRの画素列について説明したが、上側の遷移領域TRの画素列も同様の観点で設計することができる。例えば、単純には、上側の遷移領域TRの画素列は図5の画素列の上下を反転したものとする、つまり高精細領域HRを中心として遷移領域TRは上下対称の構成とすることができる。
【0034】
以上、図5に示すような1つの画素列を説明することで、高精細領域HRから低精細領域LRへの移行方向に沿った遷移領域TRの画素配列を説明した。一方、表示領域DPには複数の画素列が、移行方向(y方向)に交差する方向(x方向)に隣接して並ぶ。本実施形態ではそれら複数の画素列は互いに共通の画素配列を有する。つまり、第1区間Z及び第2区間Zの配置・構成は各画素列で共通である。この構成は、図4において第1画素の配置領域及び第2画素の配置領域それぞれがx方向に延びる帯状の領域をなしていることに表されている。
【0035】
図6は本実施形態における表示装置3の変形例に係る表示領域DPの模式図である。図4に示す構成では表示装置3は、両眼に対する表示領域がつながっている1つの表示パネルであった。これに対し図6に示す構成は、図4の構成をx方向中央で左右に分けて左眼用と右眼用との2つの表示パネルにしたものである。本実施形態の上述の特徴を有する表示装置3は、単眼用の表示パネル4を2つ左右に並べた図6の構成でも実現できる。なお、2つの単眼用表示パネル4は基本的には互いに左右対称に構成される。
【0036】
図7及び図8は本実施形態における表示装置3の他の変形例に係る表示領域DPの模式図であり、図7の表示装置3は図4の構成と同様、両眼用の表示パネルであり、図8の表示装置3は図6の構成と同様、単眼用の表示パネル4を2つ並べた構成である。図4及び図6を用いて説明した構成では、高精細領域HRは左右方向(x方向)に延在し、低精細領域LRは高精細領域HRの上下に設けられる。これに対し、図7及び図8に示す構成では、高精細領域HRは上下方向(y方向)に延在して表示パネルの上端から下端まで連続し、低精細領域LRは遷移領域TRを間に挟んで高精細領域HRの左右に設けられる。高精細領域HRは左眼の視野中心に対応する位置と右眼の視野中心に対応する位置との2箇所に設けられ、遷移領域TRは各高精細領域HRの左右両側に設けられる。この構成では高精細領域HRから低精細領域LRに向かう移行方向は、図4でのy方向に代わりx方向となる。遷移領域TRでの当該移行方向に沿った画素の配列、つまり画素行における画素配列は、画素の並ぶ方向がy方向かx方向かの違いを除けば図5を用いて説明した画素列と同様とすることができる。
【0037】
[第2の実施形態]
第2の実施形態のヘッドマウントディスプレイ1は、表示装置の画素配列において第1の実施形態と相違点を有する。以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との共通点については説明を省略し、主に相違点を説明する。
【0038】
図9及び図10は第2の実施形態における表示装置3の表示領域DPの模式図であり、図9図4図7と同様、両眼用の表示パネルとして構成した例を示し、図10図6図8と同様、単眼用の表示パネル4を2つ並べた構成例を示している。
【0039】
図9の両眼用表示パネルは基本的に図10の2つの単眼用表示パネル4をつなげた構造であるので、以下、図10に示す単眼用表示パネル4について説明し、両眼用表示パネルについては説明を省略する。
【0040】
単眼用表示パネル4は中央部に高精細領域HRを有し、低精細領域LRは高精細領域HRを囲んで設けられる。これに対応して遷移領域TRも高精細領域HRと低精細領域LRとの間に、高精細領域HRを囲んで設けられる。ちなみに、高精細領域HRは表示領域DP内において基本的に、単眼用表示パネル4を前に配置される眼球の視野中心に対応する位置に配置される。
【0041】
例えば、高精細領域HRはx方向の辺とy方向の辺とを有した矩形であり、図10では、単眼用表示パネル4の中央に位置する網点を付した正方形である第1画素の領域が高精細領域HRに当たる。一方、低精細領域LRは単眼用表示パネル4の外縁部の第2画素の領域である。遷移領域TRは、高精細領域HRと低精細領域LRとの間に配置され、それぞれ高精細領域HRの周りを囲んだ第1画素の領域(第1領域R)及び第2画素の領域(第2領域R)からなる。第1領域R及び第2領域Rはそれぞれ矩形の辺に沿って帯状に設けられる。ちなみに、当該矩形は高精細領域HRと同様、x方向の辺とy方向の辺とを有する。
【0042】
第1の実施形態では、図4及び図6に遷移領域TRにおける解像度の移行方向が上下方向である構成を示し、図7及び図8には移行方向が左右方向である構成を示した。これに対し、本実施形態では、高精細領域HRから上下方向と左右方向との両方に移行方向が設けられる。上下方向に関しては、例えば、遷移領域TRのうち高精細領域HRの垂直方向下側に位置する部分に、図4の例と同様、第1区間Z(第1領域R)と第2区間Z(第2領域R)とがy軸の方向に交互に配置される。ここでは、第1の実施形態に合わせて、Z,Zがそれぞれ4つとなる構成を示しており、Z,Zの幅は第1の実施形態と同様の特徴を有する構成とすることができる。また、遷移領域TRのうち高精細領域HRの垂直方向上側に位置する部分についても同様である。左右方向に関しても、第1の実施形態における図4図6の構成に対する図7図8の構成のように、移行方向がy方向かx方向かの違いを除けば、基本的に上述した下側の部分と同様である。例えば、単純には、高精細領域HRを中心として遷移領域TRは上下対称の構成とすることができ、また左右対称の構成とすることができる。
【0043】
ここで留意すべき点は、高精細領域HRから低精細領域LRへの移行方向に沿った第2画素のサイズは第1画素のサイズより大きいということである。本実施形態の表示領域DPは移行方向がy方向である領域とx方向である領域とを含み、これに対応して、画素のy方向のサイズ(縦サイズ)及びx方向のサイズ(横サイズ)はそれぞれ第2画素の方が第1画素より大きい。例えば、第2画素の縦サイズは第1画素の縦サイズのk倍(kは2以上の自然数)とし、第2画素の横サイズは第1画素の横サイズのk倍(kは2以上の自然数)とすることができる。
【0044】
図11は遷移領域TRにおける第1画素及び第2画素の配列の一例を示す模式図であり、具体的には、高精細領域HRの垂直方向下側の遷移領域TRにおける画素の配列を示している。便宜上、図11に示す配列をここでは画素列と呼ぶことにする。この例ではk=k=2であり、第2画素の1列の幅に第1画素は2列配置される。つまり、図11の画素列において、第2区間Zは1列の第2画素からなるのに対して、第1区間Zには2列の第1画素が含まれる。なお、上述したように第1区間Z及び第2区間Zの幅は第1の実施形態と同様とすることができ、また、各区間にて移行方向に並ぶ画素数に関しても第1の実施形態と同様とすることができ、具体的には図11では、Z(i)は順に1,2,3,4個の第2画素からなり、Z(i)は順に8,6,4,2個の第1画素からなる。
【0045】
高精細領域HRの垂直方向下側における遷移領域TRには、図11に示す画素列が、移行方向(y方向)に交差する方向(x方向)に隣接して複数並ぶ。つまり、第1の実施形態と同様、複数の画素列は、互いに共通の画素配列を有し、第1画素の配置領域及び第2画素の配置領域それぞれがx方向に延びる帯状の領域をなす。同様に、高精細領域HRの垂直方向上側における遷移領域TRには第1画素の配置領域及び第2画素の配置領域それぞれがx方向に延びる帯状の領域が設けられる。高精細領域HRの水平方向左側及び右側には、図11に示されている画素配列が延在方向をx方向に変えて配置され、左右の遷移領域TRには第1画素の配置領域及び第2画素の配置領域それぞれがy方向に延びる帯状の領域が設けられる。
【0046】
上下の遷移領域TRのx方向に延在する帯状領域と、左右の遷移領域TRのy方向に延在する帯状領域とは、左上、右上、左下、右下の4コーナーでつながり矩形の第1領域R、第2領域Rを形成する。図12は遷移領域TRの当該4コーナーにおける画素配列の例を示す模式図であり、4コーナーのうち左上のコーナーを示している。上述したように、第2画素の縦サイズ及び横サイズをそれぞれ第1サイズの整数倍(縦サイズはk倍、横サイズはk倍)としていることにより、遷移領域TRの第1領域Rの矩形の角の部分を第1領域Rの他の部分と同様に第1画素で構成することができ、また第2領域Rの矩形の角の部分を第2領域Rの他の部分と同様に第2画素で構成することができる。このように、高精細領域HRを囲むように遷移領域TR、低精細領域LRを形成する本実施形態の表示装置3の表示領域DPも、第1の実施形態と同様、第1画素と第2画素という大小2種類の画素だけで構成される。
【0047】
なお、本実施形態では例えば、表示領域DPのx方向に関して、高精細領域HRと遷移領域TRとが存在する範囲、つまり第1画素が存在するx方向の範囲には、第1画素のx方向の配列ピッチに合わせて映像信号線DLが配列される構成とすることができる。この構成では第2画素の領域に対応して、kX本の映像信号線DLが配置されるが、各第2画素は当該kX本の映像信号線DLのうちの1本と接続される構成とすることができる。表示領域DPのy方向に関しても同様に、高精細領域HRと遷移領域TRとが存在する範囲において、第1画素のy方向の配列ピッチに合わせて走査信号線GLを配列し、各第2画素は当該画素の領域に対応して配置されるk本の走査信号線GLのうちの1本と接続される構成とすることができる。
【0048】
ちなみに、本実施形態の表示パネルを構成する第1画素、第2画素を用いれば、図4図6のx方向に延在する高精細領域HRと、図7図8のy方向に延在する高精細領域HRとを組み合わせて高精細領域HRを十字形状とし、そのx方向の延在部分とy方向の延在部分とに対しそれぞれ上述と同様にして遷移領域TR及び低精細領域LRを設けた構成の表示パネルを得ることもできる。
【0049】
[第3の実施形態]
第3の実施形態のヘッドマウントディスプレイ1は、表示装置の画素配列において第1の実施形態と相違点を有する。以下、第3の実施形態について、第1の実施形態との共通点については説明を省略し、主に相違点を説明する。
【0050】
図13は第3の実施形態における表示装置3の表示領域DPを説明する模式図である。図13は単眼用の表示パネル4を示している。なお、第3の実施形態は上記各実施形態と同様、両眼用の表示パネルにも適用できる。当該両眼用表示パネルは図13の単眼用表示パネル4を2つ左右につなげた構造であり、本実施形態としての特徴は同じであるので、以下、図13に示す単眼用表示パネル4について説明し、両眼用表示パネルについては説明を省略する。
【0051】
表示装置3は、上下方向(y方向)の概ね中央に水平方向に延在する高精細領域HRを有し、表示領域の上下の端部に低精細領域LRを有し、高精細領域HRと低精細領域LRとの間に遷移領域TRを有する。図13において第1、第2の実施形態と同様に網点(濃い網点)を付した領域が第1画素で覆われた高精細領域HRであり、白地の領域が第2画素で覆われた低精細領域LRである。一方、第1画素と第2画素とが混在する遷移領域TRには高精細領域HRより密度が低い網点(薄い網点)を付している。なお、後述する本実施形態の他の構成、及び第4の実施形態の表示領域の図においても同様に表現する。図13では、高精細領域HRと遷移領域TRの境界、及び低精細領域LRと遷移領域TRの境界はそれぞれ水平な直線の境界線に単純化して表しており、この単純化の下での高精細領域HR、遷移領域TR及び低精細領域LRの概略形状はそれぞれ矩形領域である。
【0052】
第3の実施形態が第1の実施形態、又は第2の実施形態と基本的に相違する点は、遷移領域TRにおける第1画素と第2画素の分布の様子にある。図14は遷移領域TRにおける第1画素及び第2画素の配列の一例を示す画素列の模式図であり、具体的には、高精細領域HRの下側に位置する遷移領域TRにおける互いに隣接した複数の画素列を示している。
【0053】
遷移領域TRの各画素列には、第1の実施形態と同様、第1画素が配置される第1区間Zと第2画素が配置される第2区間Zとがy軸の方向に交互に配置される。そして、上側の遷移領域TRでは高精細領域HR側から上側の低精細領域LR側に向けて、また下側の遷移領域TRでは高精細領域HR側から下側の低精細領域LR側に向けて、それぞれ第1区間Zの幅αは減少し第2区間Zの幅βは増加する。
【0054】
一方、本実施形態では、遷移領域TRの移行方向(y方向)に対して交差する方向(x方向)に隣接して並ぶ複数の画素列において、第1区間Z及び第2区間Zの配置が、互いに隣接する画素列にて相違する。この点で本実施形態は、第1区間Z及び第2区間Zの配置・構成が各画素列で共通である第1の実施形態と相違する。
【0055】
この画素列ごとの第1区間Z及び第2区間Zの配置の相違に起因して、高精細領域HRと遷移領域TRとの境界、及び低精細領域LRと遷移領域TRとの境界の位置も画素列ごとに相違し得る。図14の各画素列において、上端の第1画素が連続する区間は高精細領域HRに属し、また下端の第2画素が連続する区間は低精細領域LRに属し、それらに挟まれた区間が遷移領域TRを構成する。具体的には、各画素列を上から下へ辿ったときに高精細領域HRの第1画素が途切れて最初に現れる第2画素が遷移領域TRの高精細領域HR側の端部であり、各画素列を下から上に辿ったときに低精細領域LRの第2画素が途切れて最初に現れる第1画素が遷移領域TRの低精細領域LR側の端部である。このように定義される高精細領域HRと遷移領域TRとの境界線BH、低精細領域LRと遷移領域TRとの境界BLは基本的に、単純に水平に延びる直線ではなく、図14にて太線で示すように凹凸を有しつつ水平に延在する屈曲線となる。
【0056】
ちなみに、本実施形態では、第1区間Z及び第2区間Zは、互いに隣接する画素列にて相違する配置であるので、第1の実施形態の図3図4に示したようなx方向に延びる帯状の領域を基本的には形成しない。
【0057】
なお、遷移領域TRの各画素列における画素の配列は、第1の実施形態で述べた特徴を有するようにできる。例えば、高精細領域HR側から低精細領域LR側に向けて、第1区間Zの幅は第1の等差数列をなし、第2区間Zの幅は第1の等差数列の順序を反転した第2の等差数列をなすように設定できる。これにより、第1の実施形態で述べたように、高精細領域HRと低精細領域LRとの間の解像度の変化を滑らかにすることができる。各列の並びを異ならせて解像度の変化を滑らかにできる限りにおいては、第1区間Zの幅、及び第2区間Zの幅は必ずしも等差数列の形をとらなくても良い。
【0058】
また、第2画素のy方向のサイズ(第2サイズ)を第1画素のy方向のサイズ(第1サイズ)のk倍(kは2以上の自然数)に設定し、第2区間Zに並ぶ第2画素の数はkの整数倍に設定することができる。これにより、第1画素と第2画素とが混在する複数の画素列に対して、第2サイズが画素の配列周期の公倍数として共通に設定されるので、画素をx方向に整列させることが可能となる。その結果、表示領域DPにおける画素の2次元配列に対して、y方向に延在する複数の映像信号線DLとx方向に延在する複数の走査信号線GLとのマトリクス構造を対応付けることが容易となり、それら信号線の設計や画素列・画素行に基づいて行われる表示装置3の駆動制御が容易となる。
【0059】
なお、図14には、遷移領域TRにおける各画素列が第1の実施形態と同じ構成である例を示している。具体的には、高精細領域HR側からi番目の第1区間をZ(i)、第2区間をZ(i)とすると、図14の遷移領域TRではi=1~4である。またk=2であり、Z(i)は順に1,2,3,4個の第2画素からなり、Z(i)は順に8,6,4,2個の第1画素からなる。図14では、遷移領域TRの各画素列は共通の配列であるが、隣接する画素列同士で当該画素列のy方向の位置をずらして配置されている。この画素列間でのy方向の位置のずらし方は、複数の画素列内にて周期性を有するように設定することもできるし、ランダムに設定されたものとすることもできる。また、画素列における画素の配列は、画素列間で異なってもよい。
【0060】
図15は本実施形態における表示装置3の変形例に係る表示領域DPの模式図であり、図13と同様、単眼用の表示パネル4である。なお、図15の構成は図13の構成と同様、2つを左右につなげることで両眼用の表示パネルにも適用できる。図13を用いて説明した構成は、第1の実施形態の図6の構成と同様、高精細領域HRは左右方向(x方向)に延在し、低精細領域LRは高精細領域HRの上下に設けられる。これに対し、図15に示す構成では、第1の実施形態の図8の構成と同様、高精細領域HRは上下方向(y方向)に延在し、低精細領域LRは高精細領域HRの左右に設けられる。高精細領域HRは単眼用表示パネル4が配置される側の眼の視野中心に対応する位置に設けられ、遷移領域TRは当該高精細領域HRの左右両側に設けられる。この構成では高精細領域HRから低精細領域LRに向かう移行方向は、図13でのy方向に代わりx方向となる。遷移領域TRでの画素配列は、y方向とx方向とが入れ替わる点を除けば図14を用いて説明した構成と同様とすることができる。
【0061】
[第4の実施形態]
第4の実施形態のヘッドマウントディスプレイ1は、表示装置3の画素配列において第3の実施形態と相違点を有する。以下、第4の実施形態について、第3の実施形態との共通点については説明を省略し、主に相違点を説明する。
【0062】
図16は第4の実施形態における表示装置3の表示領域DPの模式図である。図16は単眼用表示パネル4を示している。なお、第4の実施形態は上記各実施形態と同様、2つを左右につなげることで両眼用表示パネルにも適用できる。
【0063】
図16の単眼用表示パネル4は、第2の実施形態と同様、中央部に高精細領域HRを有し、低精細領域LRは高精細領域HRを囲んで設けられ、また、遷移領域TRは高精細領域HRと低精細領域LRとの間に高精細領域HRを囲んで設けられる。ちなみに、高精細領域HRは表示領域DP内において基本的に、単眼用表示パネル4を前に配置される眼球の視野中心に対応する位置に配置される。
【0064】
高精細領域HRの概略形状はx方向の辺とy方向の辺とを有した矩形であり、図16では、単眼用表示パネル4の中央に位置する濃い網点を付した正方形で示す第1画素の領域が高精細領域HRに当たる。高精細領域HRの外側の薄い網点を付した領域が遷移領域TRであり、遷移領域TRの外側の輪郭の概略形状は、x方向の辺とy方向の辺とを有した矩形である。低精細領域LRは遷移領域TRより外側の第2画素の領域であり、単眼用表示パネル4の外縁まで続く。
【0065】
第3の実施形態では、図13に遷移領域TRにおける解像度の移行方向が上下方向である構成を示し、図15には移行方向が左右方向である構成を示した。これに対し、本実施形態では、高精細領域HRから上下方向と左右方向との両方に移行方向が設けられる。遷移領域TRのうち高精細領域HRの上側と下側に位置する部分に、図13の例と同様の構成で画素が配列され、遷移領域TRのうち高精細領域HRの左側と右側に位置する部分に、図15の例と同様の構成で画素が配列される。
【0066】
第2の実施形態と同様、本実施形態の表示領域DPは移行方向がy方向である領域とx方向である領域とを含み、これに対応して、画素の縦サイズ及び横サイズはそれぞれ第2画素の方が第1画素より大きい。例えば、第2画素の縦サイズは第1画素の縦サイズのk倍(kは2以上の自然数)とし、第2画素の横サイズは第1画素の横サイズのk倍(kは2以上の自然数)とすることができる。
【0067】
図17は遷移領域TRにおける第1画素及び第2画素の配列の一例を示す模式図であり、具体的には、高精細領域HRの垂直方向下側の遷移領域TRにおける画素の配列を示している。この例ではk=k=2であり、第2画素の1列の幅に第1画素は2列配置される。つまり、第2画素の幅を周期として第1画素と第2画素とが1つの画素列を構成し、当該画素列に第1区間Zと第2区間Zとが交互に並ぶ。よって、第2区間Zは1列の第2画素からなるのに対して、第1区間Zには2列の第1画素が含まれる。
【0068】
第3の実施形態と同様、図17の各画素列において、上端の第1画素が連続する区間は高精細領域HRに属し、また下端の第2画素が連続する区間は低精細領域LRに属し、それらに挟まれた区間が遷移領域TRを構成する。なお、第1区間Z及び第2区間Zの幅は第3の実施形態と同様とすることができ、また、各区間にて移行方向に並ぶ画素数に関しても第3の実施形態と同様とすることができる。
【0069】
高精細領域HRの下側における遷移領域TRには、図17に示すような構成の画素列が、高精細領域HRから低精細領域LRへ向かう移行方向(図17では下向き)に直交する方向(x方向)に並べられる。同様に、高精細領域HRの上側、左側、右側における遷移領域TRには、図17に示すような画素列が、それぞれの箇所での移行方向に合わせて向きを変えて配列される。具体的には、図17に示すような構成の画素列は、高精細領域HRから見て上側の遷移領域TRには高精細領域HR側を下にしてx方向に並べられ、また、左側の遷移領域TRには高精細領域HR側を右にしてy方向に並べられ、右側の遷移領域TRには高精細領域HR側を左にしてy方向に並べられる。
【0070】
なお、上下の遷移領域TRと左右の遷移領域TRとは、第2の実施形態におけると同様、左上、右上、左下、右下の4コーナーでつながる。上述したように、第2画素の縦サイズ及び横サイズをそれぞれ第1サイズの整数倍(縦サイズはk倍、横サイズはk倍)としていることにより、表示領域DPの当該コーナー部分の画素を他の部分と同様、第1画素と第2画素という大小2種類の画素だけで構成される。
【0071】
なお、本実施形態における映像信号線DL、走査信号線GLの構成は第2の実施形態と同様の構成とすることができる。
【0072】
以上、複数の実施形態により本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0073】
1 ヘッドマウントディスプレイ、3 表示装置、4 単眼用表示パネル、B1 第1基板、B2 第2基板、EX 露出領域、DP 表示領域、GDR 走査信号線駆動部、DDR 映像信号線駆動部、EDR 電源駆動部、GL 走査信号線、DL 映像信号線、SL 駆動電源線、PX 画素回路、OL 有機EL素子、CAP 容量素子、TFT1,TFT2 薄膜トランジスタ、HR 高精細領域、LR 低精細領域、TR 遷移領域。
図1
図2
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図9
図10
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