(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-24
(45)【発行日】2023-11-01
(54)【発明の名称】収容領域管理装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/14 20060101AFI20231025BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20231025BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20231025BHJP
B60W 30/06 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
G08G1/14 A
G08G1/09 F
G07B15/00 L
B60W30/06
(21)【出願番号】P 2020061642
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】野口 順平
(72)【発明者】
【氏名】島本 岳
(72)【発明者】
【氏名】高田 雄太
(72)【発明者】
【氏名】田口 龍馬
(72)【発明者】
【氏名】大西 秀和
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-6603(JP,A)
【文献】特開2019-139331(JP,A)
【文献】特開2011-54116(JP,A)
【文献】特開2020-21221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 1/16
G07B 15/00
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
G01C 21/00 - 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に関する情報を取得可能な取得部を備え、前記移動体を収容可能な収容領域を管理する収容領域管理装置であって、
前記移動体に関する情報は、前記移動体の自律移動性能を示す情報を含み、
前記自律移動性能が所定のレベルの第1移動体が前記収容領域に進入する場合は、前記収容領域における前記第1移動体の移動経路である第1経路を前記第1移動体に通知した後に、前記第1移動体を前記収容領域に進入させ、
前記自律移動性能が前記所定のレベルよりも高い第2移動体が前記収容領域に進入する場合は、前記収容領域における前記第2移動体の移動経路である第2経路が前記第2移動体から通知された後に、前記第2移動体を前記収容領域に進入させる制御部を備える、収容領域管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の収容領域管理装置であって、
前記第1経路および前記第2経路は、前記収容領域管理装置により決定された収容位置までの経路である、収容領域管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の収容領域管理装置であって、
前記収容位置は、前記自律移動性能に基づき決定される、収容領域管理装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の収容領域管理装置であって、
前記第2経路に修正が必要な場合、前記制御部は、前記第2経路の修正指示を前記第2移動体に対して行う、収容領域管理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の収容領域管理装置であって、
前記修正指示は、前記第2移動体の位置に応じた前記第2経路の修正内容を含む、収容領域管理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の収容領域管理装置であって、
前記修正内容は、前記第2経路に含まれる一部分の修正である、収容領域管理装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の収容領域管理装置であって、
前記第2移動体を前記第1移動体として前記収容領域へ進入させることが可能であり、
前記第2移動体を前記第1移動体として前記収容領域へ進入させる場合、前記制御部は、前記収容領域における前記第2移動体の移動経路である第3経路を前記第2移動体に通知した後に、前記第2移動体を前記収容領域に進入させる、収容領域管理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の収容領域管理装置であって、
前記収容領域において移動体の移動が必要となった場合、前記第1移動体として前記収容領域へ進入させた前記第2移動体があれば、前記第1移動体よりも優先して移動させる、収容領域管理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の収容領域管理装置であって、
前記第1移動体を収容可能な収容位置の状況に基づき、前記収容領域において移動体の移動が必要か否かを判断する、収容領域管理装置。
【請求項10】
移動体に関する情報を取得可能な取得部を備え、前記移動体を収容可能な収容領域を管理する収容領域管理装置であって、
前記移動体に関する情報は、前記移動体の自律移動性能を示す情報を含み、
前記自律移動性能が所定のレベルの第1移動体が前記収容領域に進入する場合は、前記収容領域における前記第1移動体の収容位置までの前記第1移動体の移動経路を前記第1移動体に通知した後に、前記第1移動体を前記収容領域に進入させ、
前記自律移動性能が前記所定のレベルよりも高い第2移動体が前記収容領域に進入する場合は、前記収容領域における前記第2移動体の収容位置を前記第2移動体に通知した後に、前記第2移動体を前記収容領域に進入させる制御部を備える、収容領域管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体を収容可能な収容領域を管理する収容領域管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自律運転可能な車両の駐車を管理する技術が知られている。例えば、特許文献1には、移動先の位置を示す移動先情報を車両に送信し、車両を自律運転により移動先の位置まで移動させるようにした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術にあっては、車両等の移動体を収容する収容領域を適切に管理しつつ、収容領域を管理する管理装置の処理負荷を低減させる観点から改善の余地があった。例えば、車両には、管理装置から走行経路が通知されなければ自律走行により駐車を行うことができない車両と、自ら走行経路を作成して自律走行により駐車を行うことが可能な車両と、が存在するため、後者の車両に対してまでも管理装置が走行経路の作成を行うことで、管理装置の処理負荷が大きくなる。
【0005】
本発明は、移動体を収容する収容領域を適切に管理しつつ、収容領域を管理する収容領域管理装置の処理負荷を低減できる収容領域管理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明は、
移動体に関する情報を取得可能な取得部を備え、前記移動体を収容可能な収容領域を管理する収容領域管理装置であって、
前記移動体に関する情報は、前記移動体の自律移動性能を示す情報を含み、
前記自律移動性能が所定のレベルの第1移動体が前記収容領域に進入する場合は、前記収容領域における前記第1移動体の移動経路である第1経路を前記第1移動体に通知した後に、前記第1移動体を前記収容領域に進入させ、
前記自律移動性能が前記所定のレベルよりも高い第2移動体が前記収容領域に進入する場合は、前記収容領域における前記第2移動体の移動経路である第2経路が前記第2移動体から通知された後に、前記第2移動体を前記収容領域に進入させる制御部を備える。
【0007】
第2発明は、
移動体に関する情報を取得可能な取得部を備え、前記移動体を収容可能な収容領域を管理する収容領域管理装置であって、
前記移動体に関する情報は、前記移動体の自律移動性能を示す情報を含み、
前記自律移動性能が所定のレベルの第1移動体が前記収容領域に進入する場合は、前記収容領域における前記第1移動体の収容位置までの前記第1移動体の移動経路を前記第1移動体に通知した後に、前記第1移動体を前記収容領域に進入させ、
前記自律移動性能が前記所定のレベルよりも高い第2移動体が前記収容領域に進入する場合は、前記収容領域における前記第2移動体の収容位置を前記第2移動体に通知した後に、前記第2移動体を前記収容領域に進入させる制御部を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、移動体を収容する収容領域を適切に管理しつつ、収容領域を管理する収容領域管理装置の処理負荷を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態の車両システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】本実施形態の駐車場管理装置が管理する駐車場の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態の駐車場管理装置の構成の一例を示す図である。
【
図4】駐車スペース情報テーブルの一例を示す図である。
【
図5】本実施形態の駐車場管理装置が行う駐車エリア管理処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の駐車場管理装置の一実施形態を、添付図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態の説明においては、本発明における移動体を自動車などの車両とし、本発明における収容領域を駐車場及び駐車場内の駐車エリアとした例を説明する。
【0011】
まず、本実施形態の車両について説明する。本実施形態の車両(以下、車両Mともいう)は、駆動源と、駆動源の動力によって駆動される駆動輪を含む車輪(例えば二輪、三輪又は四輪)とを有する車両である。車両Mの駆動源は、例えば電動機である。また、車両Mの駆動源は、ガソリンエンジンなどの内燃機関や、電動機と内燃機関との組み合わせであってもよい。
【0012】
車両Mは、
図1に示す車両システム1を搭載する。車両システム1は、少なくとも、限られた特定の領域内(例えば後述の駐車場PA内)では車両Mに関するすべての運転タスクを実施可能な機能を有する。ここで、運転タスクは、例えば、車両Mの左右方向の動き(ステアリング)の制御、前後方向の動き(加速、減速)の制御、運転環境の監視などの車両Mの操縦に必要なリアルタイムの運転機能や、走行軌道のプラニングなどの戦術的な機能である。
【0013】
車両システム1は、
図1に示すように、例えば、カメラ11と、レーダ装置12と、ファインダ13と、車両センサ14と、入出力デバイス20と、通信装置30と、ナビゲーション装置40と、運転操作子50と、自動運転制御装置100と、走行駆動力出力装置200と、ブレーキ装置210と、ステアリング装置220と、を備える。これらの各装置は、有線または無線の通信網により、互いに通信可能に接続される。これらの各装置を接続する通信網は、例えばCAN(Controller Area Network)である。
【0014】
カメラ11には、車両Mの周辺(例えば車両Mの前方)を撮影するデジタルカメラが含まれる。カメラ11は、撮影により得られた画像データを自動運転制御装置100へ出力する。
【0015】
レーダ装置12は、例えばミリ波帯の電波を用いたレーダ装置であり、車両Mの周辺(例えば車両Mの前方、後方および側方)にある物体の位置を検出し、その検出結果を自動運転制御装置100へ出力する。
【0016】
ファインダ13は、例えばLIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)であり、所定のレーザ光を用いて車両Mの周辺(例えば車両Mの前方、後方および側方)にある物体(対象物)までの距離を計測し、その計測結果を自動運転制御装置100へ出力する。
【0017】
車両センサ14は、例えば、車両Mの速度を検出する車速センサ、車両Mの加速度を検出する加速度センサ、車両Mの鉛直軸回りの角速度を検出する角速度センサ、車両Mの向きを検出する方位センサなどを含む。また、車両センサ14は、通信装置30が通信に用いる電波の強度(すなわち通信環境)を検出する電波強度センサを含む。車両センサ14は、各センサによる検出結果を自動運転制御装置100へ出力する。
【0018】
入出力デバイス20は、車両Mのユーザ(以下、単にユーザともいう)に対して各種情報を出力する出力デバイスと、ユーザから各種入力操作を受け付ける入力デバイスと、を含む。入出力デバイス20の出力デバイスは、例えば、自動運転制御装置100の処理結果に基づく表示を行うディスプレイである。この出力デバイスは、スピーカ、ブザー、表示灯などであってもよい。また、入出力デバイス20の入力デバイスは、例えば、ユーザから受け付けた入力操作に応じた操作信号を自動運転制御装置100へ出力するタッチパネルや操作ボタン(キーやスイッチなど)である。
【0019】
通信装置30は、無線によりネットワーク35に接続され、ネットワーク35を介して車両システム1の外部に設けられた他装置と通信する。ネットワーク35は、例えば、移動体通信網、Wi-Fi網、Bluetooth(登録商標)、DSRC(Dedicated Short Range Communication)などである。
【0020】
通信装置30は、例えば、車両Mのユーザが携行する端末装置300と通信する。端末装置300は、例えばスマートフォンやタブレット端末であり、ネットワーク35に接続され、入出力デバイス310を備える電子機器である。入出力デバイス310は、例えば、ユーザに対して各種情報を表示するディスプレイや、ユーザの入力操作を受け付けるタッチパネルなどである。
【0021】
ナビゲーション装置40は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機41と、入出力デバイス42と、を備える。また、ナビゲーション装置40は、ハードディスクドライブ(以下、HDDともいう)やフラッシュメモリなどの記憶装置(不図示)を備えており、この記憶装置には第1地図情報43が記憶される。第1地図情報43は、例えば、道路を示すリンクと、リンクによって接続されたノードとによって道路形状を表す情報である。また、第1地図情報43は、道路の曲率やPOI(Point Of Interest)をあらわす情報を含んでもよい。
【0022】
GNSS受信機41は、GNSS衛星から受信した信号に基づいて、車両Mが位置する地点の緯度および経度を、車両Mの位置として特定する。また、ナビゲーション装置40は、車両センサ14の出力を利用したINS(Inertial Navigation System)によって車両Mの位置を特定あるいは補正するようにしてもよい。
【0023】
入出力デバイス42は、ユーザに対して各種情報を出力する出力デバイスと、ユーザから各種入力操作を受け付ける入力デバイスと、を含む。入出力デバイス42の出力デバイスは、例えば、ナビゲーション装置40の処理結果に基づく表示を行う(例えば後述の地図上経路を表示する)ディスプレイである。また、入出力デバイス42の入力デバイスは、例えば、ユーザから受け付けた入力操作に応じた操作信号をナビゲーション装置40へ出力するタッチパネルや操作ボタン(キーやスイッチなど)である。入出力デバイス42は、入出力デバイス20と共通化されてもよい。
【0024】
詳細な説明は省略するが、ナビゲーション装置40は、例えば、GNSS受信機41により特定された車両Mの位置から、ユーザにより入力された目的地までの経路(以下、地図上経路ともいう)を、第1地図情報43を参照して決定する。そして、ナビゲーション装置40は、決定された地図上経路を入出力デバイス42によってユーザに案内する。
【0025】
ナビゲーション装置40の一部または全部の機能は、端末装置300によって実現されてもよい。また、ナビゲーション装置40の一部または全部の機能は、通信装置30などにより車両システム1が通信可能な外部のサーバ(ナビゲーションサーバ)によって実現されてもよい。
【0026】
運転操作子50は、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、ステアリングホイール、異形ステア、ジョイスティックなどの各種操作子である。運転操作子50には、運転操作子50に対する操作量あるいは操作の有無を検出するセンサが設けられる。運転操作子50のセンサによる検出結果は、自動運転制御装置100と、走行駆動力出力装置200と、ブレーキ装置210と、ステアリング装置220とのうちの一部または全部へ出力される。
【0027】
走行駆動力出力装置200は、車両Mが走行するための走行駆動力(トルク)を駆動輪に出力する。走行駆動力出力装置200は、例えば、電動機と、電動機を制御する電動機ECU(Electronic Control Unit)と、を備える。電動機ECUは、運転操作子50(例えばアクセルペダル)のセンサによる検出結果や、自動運転制御装置100からの制御情報に基づいて、電動機を制御する。また、駆動源としての内燃機関や変速機を車両Mが備える場合に、走行駆動力出力装置200は、内燃機関や変速機とこれらを制御するECUとを含んでもよい。
【0028】
ブレーキ装置210は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、ブレーキECUと、を備える。ブレーキECUは、運転操作子50(例えばブレーキペダル)のセンサによる検出結果や、自動運転制御装置100からの制御情報に基づいて、ブレーキ装置210の電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。
【0029】
ステアリング装置220は、例えば、ステアリングECUと、電動モータと、を備える。ステアリング装置220の電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリングECUは、運転操作子50(例えばステアリングホイール)のセンサによる検出結果や、自動運転制御装置100からの制御情報に基づいて、ステアリング装置220の電動モータを駆動し、転舵輪の向き(すなわち舵角)を変更させる。
【0030】
自動運転制御装置100は、環境認識部110と、高精度位置認識部120と、行動計画生成部130と、行動制御部140と、を備える。また、自動運転制御装置100は、自動運転制御装置100の各機能部(例えば高精度位置認識部120)がアクセス可能なフラッシュメモリなどにより実現される記憶装置(不図示)を備えており、この記憶装置には第2地図情報150が記憶される。
【0031】
第2地図情報150は、第1地図情報43よりも高精度な地図情報である。第2地図情報150は、例えば、車線の中央を示す情報や車線の境界線(例えば道路区画線)を示す情報などを含む。また、第2地図情報150には、道路情報、交通規制情報、住所情報、施設情報、電話番号情報などが含まれていてもよい。
【0032】
また、第2地図情報150は、通信装置30が他装置と通信することにより、随時、アップデートされてよい。例えば、通信装置30は、車両Mが駐車場PAに入場する際に、駐車場PA内の通路や各駐車スペースの位置などを示す情報(以下、駐車場内地図情報ともいう)を駐車場管理装置400から受信する。そして、自動運転制御装置100は、受信した駐車場内地図情報を第2地図情報150に組み込むように、第2地図情報150をアップデートする。これにより、自動運転制御装置100は、第2地図情報150を参照して、駐車場PA内の各駐車スペースPSの位置などを特定することができる。
【0033】
環境認識部110は、カメラ11とレーダ装置12とファインダ13とのうちの一部または全部により取得された情報に対してセンサ・フュージョン処理を行い、車両Mの周辺にある物体を認識するとともにその位置を認識する。環境認識部110は、例えば、障害物、道路形状、信号機、ガードレール、電柱、周辺車両(速度や加速度などの走行状態、駐車状態を含む)、レーンマーク、歩行者などを認識するとともにそれらの位置を認識する。
【0034】
高精度位置認識部120は、ナビゲーション装置40により特定された車両Mの位置、車両センサ14による検出結果、カメラ11により撮影された画像、第2地図情報などを参照して、車両Mの詳細な位置と姿勢を認識する。高精度位置認識部120は、例えば、車両Mが走行している走行車線を認識したり、該走行車線に対する自車両の相対位置および姿勢を認識したりする。また、高精度位置認識部120は、例えば、駐車場PA内における車両Mの位置なども認識する。
【0035】
行動計画生成部130は、車両Mの行動計画を生成する。具体的に説明すると、行動計画生成部130は、車両Mが将来走行する目標軌道を、車両Mの行動計画として生成する。目標軌道は、例えば、車両Mの到達すべき地点(軌道点)を、所定の走行距離(例えば数[m]程度)ごとに並べて表現される情報である。また、目標軌道は、所定の時刻ごと、あるいは軌道点ごとの車両Mの目標速度や目標加速度などの速度要素の情報を含んでもよい。行動計画生成部130は、例えば、通信装置30によって受信された駐車場管理装置400の指示にしたがって、行動計画を生成する。
【0036】
行動制御部140は、行動計画生成部130によって生成された行動計画にしたがって車両Mが行動するように制御する。具体的に説明すると、行動制御部140は、行動計画生成部130によって生成された目標軌道を、予定の時刻通りに車両Mが通過するように、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220を制御する。行動制御部140は、例えば、目標軌道に付随する速度要素に基づいて走行駆動力出力装置200やブレーキ装置210を制御したり、目標軌道の曲がり具合に応じてステアリング装置220を制御したりする。
【0037】
なお、自動運転制御装置100が備える各機能部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)が所定のプログラム(ソフトウェア)を実行することによって実現される。また、自動運転制御装置100の機能部の一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェアによって実現されてもよく、例えば、第2地図情報150を記憶する記憶装置および高精度位置認識部120はMPU(Map Positioning Unit)によって実現されてもよい。さらに、自動運転制御装置100が備える機能部の一部または全部は、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。
【0038】
つぎに、
図2を参照して、駐車場PAの一例を説明する。
図2に示すように、駐車場PAは、駐車場管理装置400によって管理される駐車場であり、ユーザの訪問先となる訪問先施設に併設された自動バレーパーキング方式の駐車場である。駐車場PAの乗降場PLの手前には、車両が駐車場PAに入場する際に通過する入場ゲートENと、車両が駐車場PAから退場する際に通過する退場ゲートEXとが設けられている。駐車場PAは、収容領域としての第1駐車エリアP1及び第2駐車エリアP2を備える。
【0039】
第1駐車エリアP1及び第2駐車エリアP2には、それぞれ車両(例えば車両M)を一台ずつ収容可能な駐車スペースPSが複数設けられ、第1駐車エリアP1及び第2駐車エリアP2の手前に乗降場PLが設けられている。この例では、乗降場PLを挟んで右側に第1駐車エリアP1が設けられ、左側に第2駐車エリアP2が設けられている。第2駐車エリアP2は、自律走行性能が所定のレベルの第1移動体としての第2車両(以下、第2車両M2とも称す)及び第3移動体(以下、第3車両M3とも称す)が駐車する領域である。第1駐車エリアP1は、自律走行性能が所定のレベルよりも高い第2移動体としての第1車両(以下、第1車両M1とも称す)が主に駐車する領域である。
【0040】
自律走行性能のレベル(以下、自律走行レベルとも称す)は、車両Mが自律的に走行(移動)できるレベルを示し、例えば、車両Mが自律的に行える運転タスク(動作)が多いほど高いレベルが付与される。
【0041】
より具体的には、例えば、駐車場管理装置400から指定された駐車位置までの経路計画を実施し、他の装置(例えば駐車場管理装置400)からの誘導や支援を受けずに、計画した経路に沿って自車両の位置を認識しながら移動し、駐車場管理装置400から指定された駐車位置に駐車可能である車両は、自律走行レベルが高いものとされる。第1車両M1は、このレベルの車両である。
【0042】
また、駐車場管理装置400が実施した経路計画に従って自車両の位置を認識しながら移動し、駐車場管理装置400から指定された駐車位置に駐車可能である車両は、自律走行レベルが中とされる。第2車両M2は、このレベルの車両である。
【0043】
そして、駐車場管理装置400が実施した経路計画に従って、駐車場管理装置400から通知される自車両の位置を参照しながら移動し、駐車場管理装置400から指定された駐車位置に駐車可能である車両は、自律走行レベルが低いものとされる。第3車両M3は、このレベルの車両である。
【0044】
なお、駐車場管理装置400から指定された駐車位置までの経路計画を実施する機能、すなわち、駐車場管理装置400から指定された駐車位置に至る経路を探索および決定する機能を、以下、経路計画実施機能ともいう。また、駐車場PA内における自車両の位置を認識する機能を、以下、自己位置認識機能ともいう。第1車両M1は、経路計画実施機能及び自己位置認識機能を有する車両である。第2車両M2は経路計画実施機能を有さず自己位置認識機能を有する車両である。第3車両M3は、経路計画実施機能も自己位置認識機能も有さない車両である。
【0045】
ここで、車両Mのユーザが駐車場PAを利用する場合における車両M、ユーザ及び駐車場管理装置400の動作例について説明する。ユーザは、駐車場PAの利用に先立ち、端末装置300などを用いて駐車場PAの利用予約(以下、駐車予約ともいう)を行う。この「ユーザ」は、車両Mの所有者や管理者に限らず、例えば、車両Mの所有者などの代理として駐車予約などの手続きを行う者(例えばコンシェルジュ)を含む。この駐車予約において、ユーザは、車両Mの識別子(識別情報)である車両ID、車両Mを駐車場PAに駐車する駐車予定時間などを入力する。駐車予定時間としては、例えば、車両Mが駐車場PAに入場する予定の入場予定日時と、車両Mが駐車場PAから退場する予定の退場予定日時とが入力される。ユーザにより入力されたこれらの情報は駐車場管理装置400に送られる。駐車場管理装置400は、受信したこれらの情報と駐車場PAの駐車予約状況を示す管理テーブル(不図示)とを参照して、駐車予定時間(入場予定日時から退場予定日時までの期間)に車両Mを駐車可能な駐車スペースPSがあるか否かを判定する。そして、車両Mを駐車可能な駐車スペースPSがあれば、駐車場管理装置400は駐車予約を受け付けて、その旨をユーザに通知する。
【0046】
その後、利用予約した日時になると、ユーザは、車両Mを入場ゲートEN前に乗り付け、一旦停止させる。ここで、車両Mは、自車両の自律走行レベル情報を自車両の車両IDに対応付けて駐車場管理装置400へ送信する。例えば、経路計画実施機能を備える車両M(第1車両M1)は、自車両の自律走行レベルを示す自律走行レベル情報として「高い」を示す情報を送信する。また、経路計画実施機能を備えない一方で自己位置認識機能を備える車両M(第2車両M2)は、自車両の自律走行レベルを示す自律走行レベル情報として「中」を示す情報を送信する。そして、経路計画実施機能および自己位置認識機能を備えない車両M(第3車両M3)は、自車両の自律走行レベルを示す自律走行レベル情報として「低い」を示す情報を送信する。
【0047】
また、車両Mは、自律走行に関する機能のうち自車両が備える機能を示す情報を、自律走行レベル情報として送信するようにしてもよい。例えば、経路計画実施機能および自己位置認識機能を備える車両M(第1車両M1)は、自車両の自律走行レベルを示す自律走行レベル情報として経路計画実施機能「有」且つ自己位置認識機能「有」を示す情報を送信してもよい。また、経路計画実施機能を備えない一方で自己位置認識機能を備える車両M(第2車両M2)は、自車両の自律走行レベルを示す自律走行レベル情報として経路計画実施機能「無」且つ自己位置認識機能「有」を示す情報を送信してもよい。そして、経路計画実施機能および自己位置認識機能を備えない車両M(第3車両M3)は、自車両の自律走行レベルを示す自律走行レベル情報として経路計画実施機能「無」且つ自己位置認識機能「無」を示す情報を送信してもよい。
【0048】
駐車場管理装置400は、例えば、通信部410を介して、所定の入場位置(本実施形態では入場ゲートEN前とする)に到着した車両Mの自律走行性能(自律移動性能)を含む情報(自律走行レベル情報)を取得する。そして、駐車場管理装置400は、車両Mの自律走行性能に応じた処理を行う。具体的には、車両Mの自律走行性能が所定のレベルよりも高い場合には、車両Mに対し主に第1駐車エリアP1内の駐車スペースPSを指定する処理を行う。車両Mの自律走行性能が所定のレベルである場合には、車両Mに対し第2駐車エリアP2内の駐車スペースPSとその駐車スペースPSまでの走行経路を指定する処理を行う。その後、駐車場管理装置400は、入場ゲートENを開放する。
【0049】
車両Mは、入場ゲートENが開いた後、自動運転を行って、入場ゲートENを通り乗降場PLに移動する。車両Mのユーザは、乗降場PLにて車両Mから降車する。
【0050】
車両Mは、ユーザの降車後、自動運転を行って、駐車場PA内の駐車スペースPSまで移動する自走入庫イベントを開始する。例えば、ユーザは、端末装置300を用いて、自走入庫イベントの開始要求を駐車場管理装置400へ送る。この開始要求に応じ、駐車場管理装置400は、所定の駐車スペースPSに駐車する自走入庫イベントを行うように車両Mへ指示する。この指示に従い、車両Mは、駐車場管理装置400の誘導や、カメラ11、レーダ装置12あるいはファインダ13などによるセンシングを行いながら、駐車場管理装置400により指示された駐車スペースPSまで移動する。
【0051】
また、駐車場PAからの出庫時には、車両Mは、自動運転を行って駐車スペースPSから乗降場PLまで移動する自走出庫イベントを行う。例えば、ユーザは、端末装置300を用いて、自走出庫イベントの開始要求を駐車場管理装置400へ送る。この開始要求に応じ、駐車場管理装置400は、車両Mが駐車していた駐車スペースPSから乗降場PLまで移動する自走出庫イベントを行うように車両Mへ指示する。この指示にしたがって、車両Mは、駐車場管理装置400の誘導や、カメラ11、レーダ装置12あるいはファインダ13などによるセンシングを行いながら、乗降場PLまで移動する。ユーザは、乗降場PLにて車両Mに乗車し、退場ゲートEXを通って駐車場PAから退場する。
【0052】
つぎに、駐車場管理装置400について説明する。駐車場管理装置400は、駐車場PAを管理する装置(コンピュータ)である。例えば、駐車場管理装置400は、駐車場PAに入場する車両の駐車位置を決定したり、決定した駐車位置へ移動するよう車両に指示したりする。
【0053】
具体的に説明すると、駐車場管理装置400は、
図3に示すように、通信部410と、制御部420と、記憶部440とを備える。通信部410および制御部420は、例えば、CPUが予め記憶された所定のプログラム(ソフトウェア)を実行することによって実現される。また、これら機能部の一部または全部は、LSI、ASIC、FPGA、GPUなどのハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。記憶部440は、HDDやフラッシュメモリなどにより実現される。
【0054】
記憶部440には、駐車場地図情報441、駐車スペース情報テーブル442などの情報が格納されている。駐車場地図情報441は、駐車場PAの構造を幾何的にあらわす情報であり、例えば、各駐車スペースPSの座標(位置)を示す情報を含む。
【0055】
駐車スペース情報テーブル442は、
図4に示すように、例えば、駐車スペースIDと、駐車エリアと、駐車状況と、車両IDと、を対応付けた情報を記憶する。ここで、駐車スペースIDは、各駐車スペースPSを識別する識別子(識別情報)である。駐車エリアは、第1駐車エリアP1の駐車スペースPSであるか、第2駐車エリアP2の駐車スペースPSであるかを示す。
【0056】
また、駐車状況は、対応する駐車スペースPSにいずれかの車両が駐車中であるか否かを示し、例えば、駐車中である場合には「満」とされ、駐車中でない場合には「空」とされる。車両IDは、前述したように各車両の識別子である。駐車スペース情報テーブル442において、車両IDは、駐車状況が「満」である駐車スペースPSに対応付けて記憶され、その駐車スペースPSに駐車中の車両を示す。
【0057】
通信部410は、車両M、端末装置300、入場ゲートEN及び退場ゲートEXと無線又は有線(例えばネットワーク35)により通信する。制御部420は、取得部421と、判定部422と、駐車位置決定部423と、走行経路決定部424と、処理部425とを備える。制御部420は、通信部410を介して取得した情報と、記憶部440に格納された情報とに基づいて各種処理を行う。
【0058】
取得部421は、車両Mの自律走行レベル情報を取得する。取得部421による自律走行レベル情報の取得は、例えば、通信部410を介して、入場ゲートEN前に到着した車両Mと通信することにより行われる。また、自律走行レベル情報の取得は、例えば、駐車予約の際に、駐車予約に用いられた端末装置300などと通信することにより行われてもよい。そして、このように車両Mが入場ゲートEN前に到着する前に自律走行レベル情報の取得が行われている場合には、入場ゲートEN前での車両Mの自律走行レベル情報の取得を省略してもよい。
【0059】
また、駐車予約の際に取得された自律走行レベル情報と、入場ゲートEN前に到着した際に取得された自律走行レベル情報とに基づいて、駐車予約が行われた車両と入場ゲートEN前に到着した車両とが同一の車両であるかを照合してもよい。さらに、入場ゲートEN前ではなく、駐車場PAへの接近が確認できる任意の地点において自立走行レベル情報を取得するようにしてもよい。この場合、例えば、車両Mとの通信に限らず、例えば、車両Mを撮影したカメラの撮像画像の認識結果などに基づいて、車両Mの自律走行レベル情報を取得するようにしてもよい。
【0060】
判定部422は、取得部421により取得された自律走行レベル情報に基づいて、車両Mの自律走行レベルを判定する。具体的には、判定部422は、自律走行レベルが「高い」、「中」、「低い」のいずれであるか判定する。
【0061】
駐車位置決定部423は、判定部422による判定結果に基づいて、車両Mを駐車させる位置すなわち駐車スペースPSを決定する。具体的には、車両Mの自律走行レベルが「高い」と判定された場合には、主に第1駐車エリアP1内の空いている駐車スペースPSを、車両Mを駐車させる位置として決定する。また、車両Mの自律走行レベルが「中」又は「低い」高いと判定された場合には、第2駐車エリアP2内の空いている駐車スペースPSを、車両Mを駐車させる位置として決定する。
【0062】
走行経路決定部424は、車両Mを駐車させる駐車スペースPSとして、第2駐車エリアP2内の駐車スペースPSが決定された場合には、その駐車スペースPS(収容位置)までの適切な走行経路(移動経路)を決定する。走行経路の決定は、駐車スペースPSまでの距離、駐車場PA内における車両渋滞の状況、等を考慮して行われる。
【0063】
処理部425は、判定部422、駐車位置決定部423及び走行経路決定部424による処理結果に応じた各種処理を行う。処理部425が行う各種処理には、駐車場地図情報441を第1車両M1に通知する処理、駐車位置決定部423により決定された駐車スペースPSを第1車両M1に通知する処理、第1車両M1(第2移動体)から通知される走行経路を受け取る処理、走行経路決定部424により決定された走行経路を第2車両M2及び第3車両M3に通知する処理、車両Mの現在位置を第3車両M3に通知する処理、等が含まれる。
【0064】
より詳細に説明すると、処理部425は、第1車両M1(第2移動体)すなわち、自律走行レベルが「高い」と判定された車両Mを駐車場PAに入場させる場合は、駐車位置決定部423により決定された駐車スペースPSを第1車両M1に通知し、駐車場PAにおける車両Mの走行経路(第2経路)がM1から通知された後に、入場ゲートENを開放して、車両Mを駐車場PAに入場させる。
【0065】
また、処理部425は、第2車両M2(第1移動体)すなわち、自律走行レベルが「中」と判定された車両Mを駐車場PAに入場させる場合は、走行経路決定部424により決定された走行経路(第1経路)を車両Mに通知した後に、入場ゲートENを開放して、車両Mを駐車場PAに入場させる。
【0066】
また、処理部425は、第3車両M3(第1移動体)すなわち、自律走行レベルが「低い」と判定された車両Mを駐車場PAに入場させる場合は、走行経路決定部424により決定された走行経路(第1経路)を車両Mに通知した後に、入場ゲートENを開放し、車両Mを駐車場PAに入場させる。そして、処理部425は、第3車両M3が駐車場PA内に存在する間、第3車両M3に対し現在位置を通知する。なお、処理部425は、第3車両M3に対して、現在位置を通知せずに走行経路のみを通知してもよい。
【0067】
このように、本実施形態では、自律走行レベルが「中」又は「低い」と判定された車両M(第1移動体)を駐車場PAに入場させる場合は、駐車場PAにおける車両Mの走行経路(第1経路)を車両Mに通知した後に、車両Mを駐車場PAに入場させる一方、自律走行レベルが「高い」と判定された車両M(第2移動体)を駐車場PAに入場させる場合は、駐車場PAにおける車両Mの走行経路(第2経路)がM1から通知された後に、車両Mを駐車場PAに入場させるようにしたので、駐車場PAを適切に管理しつつ、駐車場PAを管理する駐車場管理装置400の処理負荷を低減できる。また、車両Mの自律走行レベル(「高い」、「中」、「低い」)に拘わらず、車両Mを駐車させる駐車スペースPSを駐車場管理装置400が決定されるため、駐車場PAを適切に管理することができる。
【0068】
また、本実施形態では、駐車場PAは、乗降場PLを挟んで配置された第1駐車エリアP1及び第2駐車エリアP2を有し、駐車位置決定部423は、自律走行レベルが「高い」と判定された車両M(第2移動体)の駐車スペースPS(収容位置)は、主に第1駐車エリアP1内の駐車スペースPSに決定し、自律走行レベルが「中」又は「低い」と判定された車両M(第2移動体)の駐車スペースPS(収容位置)は、第2駐車エリアP2内の駐車スペースPSに決定する。これにより、車両Mをその自律走行レベルに応じた駐車スペースPSに振り分けて収容可能となるので、駐車場PAを適切に管理することができる。
【0069】
また、本実施形態では、処理部425は、自律走行レベルが「高い」と判定された車両M(第2移動体)から通知された走行経路(第2経路)に修正が必要な場合、車両Mに対し、走行経路の修正指示を行う。例えば、車両Mが作成した走行経路上に、渋滞や障害物などがある場合、駐車場管理装置400は、その旨を車両Mに通知する。修正指示を受けた車両Mは、その指示内容を反映させて走行経路(第2経路)を再作成する。これにより、駐車場PAにおける車両Mのスムーズな移動を可能とする。
【0070】
また、本実施形態では、処理部425は、自律走行レベルが「高い」と判定された車両M(第2移動体)から通知された走行経路(第2経路)に修正が必要な場合、車両Mに対し、当該車両Mの現在位置に応じた修正内容を含む走行経路の修正指示を行う。その修正内容は、車両Mから通知された走行経路に含まれる一部分の修正である。これにより、車両Mは、駐車スペースPSに到達するまでの走行経路を、自車両Mの現在位置に応じて適切に修正することが可能となる。また、その修正内容は、車両Mが生成した走行経路の一部分の修正であるので、走行経路の修正を簡略化できる。また、上記の修正は、駐車スペースPS(収容位置)の変更を伴う場合もあり、この変更を伴う場合は、変更後の別の駐車スペース(収容位置)までの走行経路を修正内容として含む修正指示を行ってもよい。
【0071】
また、本実施形態では、制御部420は、自律走行レベルが「高い」と判定された車両M(第2移動体)を、自律走行レベルが「中」又は「低い」と判定された車両M(第1移動体)として駐車場PAへ入場させる処理を行い得る。具体的には、駐車位置決定部423は、第1車両M1の駐車スペースPS(移動位置)を、本来、第2車両M2及び第3車両M3を駐車させるための第2駐車エリアP2内の駐車スペースPSに決定する機能を有する。そして、処理部425は、当該駐車スペースPSに至るまでの走行経路(第3経路)を当該第1車両M1に通知する。これにより、第1車両M1(第2移動体)を、第2駐車エリアP2内の駐車スペースPSに駐車せることが可能となるので、駐車場PAが有する駐車スペースPSの有効活用が図られる。例えば、第1駐車エリアP1が満車である場合、第1車両M1を第2駐車エリアP2内の駐車スペースPSに駐車させることができる。
【0072】
また、本実施形態では、制御部420は、第2駐車エリアP2(収容領域)内の駐車スペースPSに駐車中のいずれかの車両Mを移動させる必要が生じた場合、第2車両M2または第3車両M3(第1移動体)として第2駐車エリアP2内へ進入させた第1車両M1(第2移動体)があれば、第1車両M1(第2移動体)を第2車両M2または第3車両M3(第1移動体)よりも優先して移動させる。例えば、第1車両M1が第2駐車エリアP2内の駐車スペースPSに駐車している場合、制御部420は、第1駐車エリアP1内の駐車スペースPSが空き次第、当該第1車両M1を第1駐車エリアP1内の駐車スペースPSに移動させる処理(リパーク)を実施する。これにより、第1車両M1を第2駐車エリアP2内の駐車スペースPSに駐車させた結果、第2車両M2及び第3車両M3が第2駐車エリアP2を使用できなくなるという不都合を抑制し、第1駐車エリアP1及び第2駐車エリアP2を有効活用できる。
【0073】
また、本実施形態の変形例として、処理部425は、自律走行レベルが「中」又は「低い」と判定された車両M(第1移動体)を駐車場PAに入場させる場合は、駐車場PAにおける車両Mの駐車位置までの走行経路(第1経路)を車両Mに通知した後に、当該車両Mを駐車場PAに入場させる。一方、自律走行レベルが「高い」と判定された車両M(第2移動体)を駐車場PAに入場させる場合は、駐車位置のみを車両Mに通知した後に、当該車両Mを駐車場PAに入場させる。このようにしても、第1駐車エリアP1及び第2駐車エリアP2(収容領域)を適切に管理しつつ、制御部420の処理負荷を低減できる。
【0074】
つぎに、駐車場管理装置400が行う駐車エリア管理処理の一例について、
図5を参照して説明する。
【0075】
図5に示すように、駐車場管理装置400は、車両Mが所定の入場位置に到着したか否かを判定する(ステップS11)。本実施形態では、入場位置を入場ゲートEN前とした例を説明する。車両Mが入場ゲートEN前に到着した際、入場ゲートENは閉じられている。なお、入場位置は、入場ゲートEN前に限らない。例えば、乗降場PLの手前に入場ゲートENのような物理的なゲート(例えばバー)を設けず、入場位置を乗降場PLとすることも考えられる。このようにした場合、駐車場管理装置400は、例えば、ユーザの手動運転により車両Mが乗降場PLに到着した場合に入場位置に到着したと判定してもよい。車両Mが入場位置に到着していないと判定した場合、すなわち車両Mが入場ゲートENの前に到着していないと判定した場合(ステップS11のNO)、駐車場管理装置400は、
図5に示す駐車エリア管理処理を終了する。
【0076】
車両Mが入場位置に到着したと判定した場合、すなわち車両Mが入場ゲートENの前に到着したと判定した場合(ステップS11のYES)、駐車場管理装置400は、車両Mの自律移動性能を示す情報(自律走行レベル情報)を取得する(ステップS12)。つぎに、駐車場管理装置400は、ステップS12の処理により取得した自律移動性能を示す情報に基づいて、車両Mの自律走行レベルが「高い」か否か判定する(ステップS13)。
【0077】
車両Mの自律走行レベルが「高い」と判定された場合(ステップS13のYES)、駐車場管理装置400は、駐車位置となる駐車スペースPSを車両Mに通知する(ステップS14)。車両Mは、駐車場管理装置400から通知された駐車スペースPS及び駐車場地図情報441に基づいて走行経路(第2経路)を生成する。
【0078】
つぎに、駐車場管理装置400は、車両Mから走行経路(第2経路)が通知されたか否か判定する(ステップS15)。走行経路が通知されないと判定した場合(ステップS15のNO)、駐車場管理装置400は、走行経路が通知されるまで待機する。
【0079】
車両Mから走行経路が通知されたと判定された場合(ステップS15のYES)、駐車場管理装置400は、車両Mから通知された走行経路(第2経路)の修正が必要か否か判定する(ステップS16)。修正が必要ないと判定された場合(ステップS16のNO)、駐車場管理装置400は、入場ゲートENを開放する(ステップS19)。修正が必要と判定された場合(ステップS16のYES)、駐車場管理装置400は、修正指示を車両Mに通知(ステップS17)した後、入場ゲートENを開放する(ステップS19)。そして、この場合、車両Mは、開放された入場ゲートENから駐車場PAに入場し、乗降場PLで乗員を降車させた後、自車両Mが作成した走行経路に沿って駐車スペースPSに移動する。なお、駐車場管理装置400は、修正指示を車両Mに通知した場合、当該修正指示に基づく修正が完了した旨の通知が車両Mからあったことを条件に、入場ゲートENを開放してもよい。なお、乗降場PLの手前に入場ゲートENのような物理的なゲートを設けず、入場位置を乗降場PLとした場合、駐車場管理装置400は、ステップS19の処理を行わずに
図5に示す駐車エリア管理処理を終了してもよい。
【0080】
一方、車両Mの自律走行レベルが「高い」と判定されない場合、すなわち車両Mの自律走行レベルが「中」または「低い」と判定された場合(ステップS13のNO)、駐車場管理装置400は、駐車位置となる駐車スペースPSまでの走行経路を車両Mに通知(ステップS18)した後、入場ゲートENを開放する(ステップS19)。そして、この場合、車両Mは、開放された入場ゲートENから駐車場PAに入場し、乗降場PLで乗員を降車させた後、駐車場管理装置400から通知された走行経路に沿って駐車スペースPSに移動する。
【0081】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。例えば、前述した実施形態では、移動体を車両とした例を説明したが、これに限らない。本発明の思想は、車両に限らず、駆動源を備えて駆動源の動力により移動可能なロボット、船舶、航空機などにも適用することができる。また、同様に、収容領域は、格納庫、停泊場、駐機場(エプロン)などであってもよい。また、自動運転は、自律移動を含む概念である。
【0082】
また、本発明の考え方の下では、「駐車」は「停止」という概念まで拡張され、「走行」は「移動」という概念まで拡張され、実施形態の「駐車場管理装置」は「収容領域管理装置」という概念まで拡張される。また、リパークは、「停止中の移動体の収容位置を、収容領域内の他の収容位置に変更する再停止」あるいは「停止中の移動体が収容領域内の他の収容位置に移動し再停止」という動作を含む。
【0083】
また、前述した実施形態では、第1車両M1が作成した走行経路を修正する必要がある場合には、駐車場管理装置400から第1車両M1に修正指示を通知し、その修正指示を受けた第1車両M1が走行経路を再作成することとしたが、その代わりに、駐車場管理装置400が走行経路を修正し、修正後の走行経路を第1車両M1に通知するようにしてもよい。これにより、第1車両M1側の処理負荷を軽減できる。
【0084】
また、前述した実施形態では、駐車場PAの入場ゲートENが一つの場合について説明したが、駐車場PAの入場ゲートENは複数あってもよい。入場ゲートENが複数の場合、車両Mの現在位置とその駐車スペースPSとを考慮した適切な入場ゲートENからの走行経路を駐車場管理装置400が作成し、車両Mに通知することにより、駐車場PAにおける車両Mの移動の円滑化を図ることができる。
【0085】
また、前述した実施形態では、第1駐車エリアP1及び第2駐車エリアP2が乗降場PLを挟んで左右に設けられているが、第2駐車エリアP2を通過した先に第1駐車エリアP1が設けられてもよい。この場合、第1車両M1は、第2駐車エリアP2を通って第1駐車エリアP1内の駐車スペースPSに到達することができる。
【0086】
また、前述した実施形態では、自律走行レベルが異なる三種類の車両を対象として、駐車エリアの振り分けを行う場合について説明したが、自律走行レベルが異なる二種類の車両を対象として、駐車エリアの振り分けを行うようにしてもよい。例えば、第1車両M1と第2車両M2を対象とし、第1車両M1を主に第1駐車エリアP1内の駐車スペースPSに駐車させ、第2車両M2を第2駐車エリアP2内の駐車スペースPSに駐車させるようにしてもよい。また、第1車両M1と第3車両M3を対象とし、第1車両M1を主に第1駐車エリアP1内の駐車スペースPSに駐車させ、第3車両M3を第2駐車エリアP2内の駐車スペースPSに駐車させるようにしてもよい。また、第1車両M1と第2車両M2を第1駐車エリアP1内の駐車スペースPSに駐車させ、第3車両M3を第2駐車エリアP2内の駐車スペースPSに駐車させるようにしてもよい。このようにした場合、走行経路の生成や車両の位置の認識のすべてを駐車場管理装置400が行う必要のある第3車両M3だけが第2駐車エリアP2に駐車されることになるため、第1駐車エリアP1の設備や駐車場管理装置400による第1駐車エリアP1の監視・管理などを簡素化することが可能となる。
【0087】
また、前述した実施形態においては言及しなかったが、第3車両M3は、レーダ装置12、ファインダ13など高度な位置及び物体検出機能を備えている必要はない。
【0088】
また、本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0089】
(1) 移動体(車両M)に関する情報を取得可能な取得部(取得部421)を備え、前記移動体を収容可能な収容領域(第1駐車エリアP1、第2駐車エリアP2)を管理する収容領域管理装置(駐車場管理装置400)であって、
前記移動体に関する情報は、前記移動体の自律移動性能を示す情報を含み、
前記自律移動性能が所定のレベルの第1移動体(第2車両M2、第3車両M3)が前記収容領域に進入する場合は、前記収容領域における前記第1移動体の移動経路である第1経路を前記第1移動体に通知した後に、前記第1移動体を前記収容領域に進入させ、
前記自律移動性能が前記所定のレベルよりも高い第2移動体(第1車両M1)が前記収容領域に進入する場合は、前記収容領域における前記第2移動体の移動経路である第2経路が前記第2移動体から通知された後に、前記第2移動体を前記収容領域に進入させる制御部(制御部420)を備える、収容領域管理装置。
【0090】
(1)によれば、移動体を収容する収容領域を適切に管理しつつ、収容領域を管理する収容領域管理装置の処理負荷を低減できる。
【0091】
(2) (1)に記載の収容領域管理装置であって、
前記第1経路および前記第2経路は、前記収容領域管理装置により決定された収容位置までの経路である、収容領域管理装置。
【0092】
(2)によれば、移動体の収容位置を収容領域管理装置が決定するので、収容領域を適切に管理できる。
【0093】
(3) (2)に記載の収容領域管理装置であって、
前記収容位置は、前記自律移動性能に基づき決定される、収容領域管理装置。
【0094】
(3)によれば、移動体をその自律移動性能に基づく収容位置に収容できるので、収容領域を適切に管理できる。
【0095】
(4) (1)~(3)のいずれかに記載の収容領域管理装置であって、
前記第2経路に修正が必要な場合、前記制御部は、前記第2経路の修正指示を前記第2移動体に対して行う、収容領域管理装置。
【0096】
(4)によれば、第2経路に修正が必要な場合、第2経路の修正指示を第2移動体に対して行うので、収容領域における第2移動体のスムーズな移動を可能とする。
【0097】
(5) (4)に記載の収容領域管理装置であって、
前記修正指示は、前記第2移動体の位置に応じた前記第2経路の修正内容を含む、収容領域管理装置。
【0098】
(5)によれば、第2経路の修正指示は、第2移動体の位置に応じた第2経路の修正内容を含むので、第2経路の適切な修正を可能とする。
【0099】
(6) (5)に記載の収容領域管理装置であって、
前記修正内容は、前記第2経路に含まれる一部分の修正である、収容領域管理装置。
【0100】
(6)によれば、第2経路の修正内容は第2経路の一部分の修正であるので、第2経路の修正を簡略化できる。
【0101】
(7) (1)~(6)のいずれかに記載の収容領域管理装置であって、
前記第2移動体を前記第1移動体として前記収容領域へ進入させることが可能であり、
前記第2移動体を前記第1移動体として前記収容領域へ進入させる場合、前記制御部は、前記収容領域における前記第2移動体の移動経路である第3経路を前記第2移動体に通知した後に、前記第2移動体を前記収容領域に進入させる、収容領域管理装置。
【0102】
(7)によれば、第2移動体を第1移動体として収容領域へ進入させる場合、第1移動体と同様にして収容領域へ進入させることができるので、移動体を収容する収容領域を適切に管理しつつ、収容領域の有効活用を図れる。
【0103】
(8) (7)に記載の収容領域管理装置であって、
前記収容領域において移動体の移動が必要となった場合、前記第1移動体として前記収容領域へ進入させた前記第2移動体があれば、前記第1移動体よりも優先して移動させる、収容領域管理装置。
【0104】
(8)によれば、収容領域において移動体の移動が必要となった場合、自律移動性能の高い第2移動体を優先して移動させることで、収容領域を管理する収容領域管理装置の処理負荷を低減しつつ、当該移動を実現できる。
【0105】
(9) (8)に記載の収容領域管理装置であって、
前記第1移動体を収容可能な収容位置の状況に基づき、前記収容領域において移動体の移動が必要か否かを判断する、収容領域管理装置。
【0106】
(9)によれば、収容領域の有効活用を図れる。
【0107】
(10) 移動体(車両M)に関する情報を取得可能な取得部(取得部421)を備え、前記移動体を収容可能な収容領域(第1駐車エリアP1、第2駐車エリアP2)を管理する収容領域管理装置(駐車場管理装置400)であって、
前記移動体に関する情報は、前記移動体の自律移動性能を示す情報を含み、
前記自律移動性能が所定のレベルの第1移動体(第2車両M2、第3車両M3)が前記収容領域に進入する場合は、前記収容領域における前記第1移動体の収容位置までの前記第1移動体の移動経路を前記第1移動体に通知した後に、前記第1移動体を前記収容領域に進入させ、
前記自律移動性能が前記所定のレベルよりも高い第2移動体(第1車両M1)が前記収容領域に進入する場合は、前記収容領域における前記第2移動体の収容位置を前記第2移動体に通知した後に、前記第2移動体を前記収容領域に進入させる制御部(制御部420)を備える、収容領域管理装置。
【0108】
(10)によれば、移動体を収容する収容領域を適切に管理しつつ、収容領域を管理する収容領域管理装置の処理負荷を低減できる。
【符号の説明】
【0109】
400 駐車場管理装置(収容領域管理装置)
420 制御部
421 取得部
M 車両(移動体)
M1 第1車両(第2移動体)
M2 第2車両(第1移動体)
M3 第3車両(第1移動体)
P1 第1駐車エリア(収容領域)
P2 第2駐車エリア(収容領域)
PA 駐車場(収容領域)