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特許7372872監視装置、遠隔監視システム、監視方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-24
(45)【発行日】2023-11-01
(54)【発明の名称】監視装置、遠隔監視システム、監視方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20231025BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
G08G1/00 D
H04Q9/00 311J
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020075956
(22)【出願日】2020-04-22
(65)【公開番号】P2021174134
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】樫原 俊太郎
(72)【発明者】
【氏名】大岸 智彦
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-027606(JP,A)
【文献】特開2014-030100(JP,A)
【文献】国際公開第2018/122906(WO,A1)
【文献】特開2005-140638(JP,A)
【文献】特開2019-087015(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
H03J 9/00 - 9/06
H04Q 9/00 - 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の走行経路を走行する監視対象車両から走行位置を示す走行位置情報を受信する走行位置情報受信部と、
前記走行経路上の一定の移動距離の間隔で測定対象車両の走行映像の通信品質の測定値と前記測定対象車両の走行位置情報とが記録された記録部から前記測定対象車両の測定値及び走行位置情報の組を取得し、前記測定対象車両の測定値及び走行位置情報の組と前記監視対象車両から受信された走行位置情報とに基づいた通信品質実績表示画面を表示装置に表示させる制御部と、
を備え
前記制御部は、前記監視対象車両の走行位置に対応する過去の通信品質の実績と、前記監視対象車両の走行映像の再生品質に対する所定の通信品質要求値とを前記通信品質実績表示画面上に表示させる、
監視装置。
【請求項2】
前記監視対象車両から走行映像を受信する映像受信部をさらに備え、
前記制御部は、前記監視対象車両から受信された走行映像を表示装置に表示させる、
請求項に記載の監視装置。
【請求項3】
所定の走行経路を走行する車両から走行映像を受信する映像受信部と、
前記車両から走行位置を示す走行位置情報を受信する走行位置情報受信部と、
前記走行映像の通信品質を測定する測定部と、
前記走行経路上の一定の移動距離の間隔で測定対象車両の走行映像の通信品質の測定値と前記測定対象車両の走行位置情報とを記録する記録部と、
前記走行位置情報受信部により監視対象車両から受信された走行位置情報と、前記記録部内の測定値及び走行位置情報の組とに基づいた通信品質実績表示画面を表示装置に表示させる制御部と、
を備え
前記制御部は、前記監視対象車両の走行位置に対応する過去の通信品質の実績と、前記監視対象車両の走行映像の再生品質に対する所定の通信品質要求値とを前記通信品質実績表示画面上に表示させる、
遠隔監視システム。
【請求項4】
監視装置が、所定の走行経路を走行する監視対象車両から走行位置を示す走行位置情報を受信する走行位置情報受信ステップと、
前記監視装置が、前記走行経路上の一定の移動距離の間隔で測定対象車両の走行映像の通信品質の測定値と前記測定対象車両の走行位置情報とが記録された記録部から前記測定対象車両の測定値及び走行位置情報の組を取得し、前記測定対象車両の測定値及び走行位置情報の組と前記監視対象車両から受信された走行位置情報とに基づいた通信品質実績表示画面を表示装置に表示させる制御ステップと、
を含み、
前記制御ステップは、前記監視対象車両の走行位置に対応する過去の通信品質の実績と、前記監視対象車両の走行映像の再生品質に対する所定の通信品質要求値とを前記通信品質実績表示画面上に表示させる、
監視方法。
【請求項5】
コンピュータに、
所定の走行経路を走行する監視対象車両から走行位置を示す走行位置情報を受信する走行位置情報受信ステップと、
前記走行経路上の一定の移動距離の間隔で測定対象車両の走行映像の通信品質の測定値と前記測定対象車両の走行位置情報とが記録された記録部から前記測定対象車両の測定値及び走行位置情報の組を取得し、前記測定対象車両の測定値及び走行位置情報の組と前記監視対象車両から受信された走行位置情報とに基づいた通信品質実績表示画面を表示装置に表示させる制御ステップと、
を実行させ
前記制御ステップは、前記監視対象車両の走行位置に対応する過去の通信品質の実績と、前記監視対象車両の走行映像の再生品質に対する所定の通信品質要求値とを前記通信品質実績表示画面上に表示させる、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は監視装置、遠隔監視システム監視方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自律移動可能なロボットを無線通信により遠隔制御する技術が例えば特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の従来技術では、ロボットの位置情報と通信品質情報を用いて通信品質の分布を示す通信品質マップを作成し、通信品質マップに基づいてロボットの移動範囲を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/122906号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した特許文献1に記載の従来技術では、通信品質が測定された測定地点以外の他の地点の通信品質がロボットの制御のために十分ではない可能性があった。このため、例えば所定の走行経路を走行する車両の走行状況を当該車両から送信されるカメラの撮影映像によって遠隔監視拠点で監視する場合に、当該車両の通信品質を適切に管理することができず、再生映像の途切れ等の遠隔監視上の不都合が発生するか否かを把握することが難しいという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、所定の走行経路を走行する車両に対して通信品質を適切に管理することを図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様は、所定の走行経路を走行する測定対象車両から走行映像を受信する映像受信部と、前記測定対象車両から走行位置を示す走行位置情報を受信する走行位置情報受信部と、前記走行映像の通信品質を測定する測定部と、前記走行経路上の一定の移動距離の間隔で前記測定対象車両の通信品質の測定値と前記測定対象車両の走行位置情報とを記録する記録部と、を備える測定記録装置である。
(2)本発明の一態様は、前記一定の移動距離の間隔は、前記走行映像のストリーミング再生品質が許容範囲内に収まるか否かを前記測定値に基づいて判定することができる間隔である、上記(1)の測定記録装置である。
(3)本発明の一態様は、前記一定の移動距離の間隔は走行経路毎に個別に決定された、上記(2)の測定記録装置である。
【0007】
本発明の一態様は、所定の走行経路を走行する監視対象車両から走行位置を示す走行位置情報を受信する走行位置情報受信部と、前記走行経路上の一定の移動距離の間隔で測定対象車両の走行映像の通信品質の測定値と前記測定対象車両の走行位置情報とが記録された記録部から前記測定対象車両の測定値及び走行位置情報の組を取得し、前記測定対象車両の測定値及び走行位置情報の組と前記監視対象車両から受信された走行位置情報とに基づいた通信品質実績表示画面を表示装置に表示させる制御部と、を備え、前記制御部は、前記監視対象車両の走行位置に対応する過去の通信品質の実績と、前記監視対象車両の走行映像の再生品質に対する所定の通信品質要求値とを前記通信品質実績表示画面上に表示させる、監視装置である。
本発明の一態様は、上記の監視装置において、前記監視対象車両から走行映像を受信する映像受信部をさらに備え、前記制御部は、前記監視対象車両から受信された走行映像を表示装置に表示させる、監視装置である。
【0008】
本発明の一態様は、所定の走行経路を走行する車両から走行映像を受信する映像受信部と、前記車両から走行位置を示す走行位置情報を受信する走行位置情報受信部と、前記走行映像の通信品質を測定する測定部と、前記走行経路上の一定の移動距離の間隔で測定対象車両の走行映像の通信品質の測定値と前記測定対象車両の走行位置情報とを記録する記録部と、前記走行位置情報受信部により監視対象車両から受信された走行位置情報と、前記記録部内の測定値及び走行位置情報の組とに基づいた通信品質実績表示画面を表示装置に表示させる制御部と、を備え、前記制御部は、前記監視対象車両の走行位置に対応する過去の通信品質の実績と、前記監視対象車両の走行映像の再生品質に対する所定の通信品質要求値とを前記通信品質実績表示画面上に表示させる、遠隔監視システムである。
【0009】
(7)本発明の一態様は、測定記録装置が、所定の走行経路を走行する測定対象車両から走行映像を受信する映像受信ステップと、測定記録装置が、前記測定対象車両から走行位置を示す走行位置情報を受信する走行位置情報受信ステップと、測定記録装置が、前記走行映像の通信品質を測定する測定ステップと、測定記録装置が、前記走行経路上の一定の移動距離の間隔で前記測定対象車両の通信品質の測定値と前記測定対象車両の走行位置情報とを記録する記録ステップと、を含む測定記録方法である。
【0010】
本発明の一態様は、監視装置が、所定の走行経路を走行する監視対象車両から走行位置を示す走行位置情報を受信する走行位置情報受信ステップと、前記監視装置が、前記走行経路上の一定の移動距離の間隔で測定対象車両の走行映像の通信品質の測定値と前記測定対象車両の走行位置情報とが記録された記録部から前記測定対象車両の測定値及び走行位置情報の組を取得し、前記測定対象車両の測定値及び走行位置情報の組と前記監視対象車両から受信された走行位置情報とに基づいた通信品質実績表示画面を表示装置に表示させる制御ステップと、を含み、前記制御ステップは、前記監視対象車両の走行位置に対応する過去の通信品質の実績と、前記監視対象車両の走行映像の再生品質に対する所定の通信品質要求値とを前記通信品質実績表示画面上に表示させる、監視方法である。
【0011】
(9)本発明の一態様は、コンピュータに、所定の走行経路を走行する測定対象車両から走行映像を受信する映像受信ステップと、前記測定対象車両から走行位置を示す走行位置情報を受信する走行位置情報受信ステップと、前記走行映像の通信品質を測定する測定ステップと、前記走行経路上の一定の移動距離の間隔で前記測定対象車両の通信品質の測定値と前記測定対象車両の走行位置情報とを記録する記録ステップと、を実行させるためのコンピュータプログラムである。
【0012】
本発明の一態様は、コンピュータに、所定の走行経路を走行する監視対象車両から走行位置を示す走行位置情報を受信する走行位置情報受信ステップと、前記走行経路上の一定の移動距離の間隔で測定対象車両の走行映像の通信品質の測定値と前記測定対象車両の走行位置情報とが記録された記録部から前記測定対象車両の測定値及び走行位置情報の組を取得し、前記測定対象車両の測定値及び走行位置情報の組と前記監視対象車両から受信された走行位置情報とに基づいた通信品質実績表示画面を表示装置に表示させる制御ステップと、を実行させ、前記制御ステップは、前記監視対象車両の走行位置に対応する過去の通信品質の実績と、前記監視対象車両の走行映像の再生品質に対する所定の通信品質要求値とを前記通信品質実績表示画面上に表示させる、
コンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、所定の走行経路を走行する車両に対して通信品質を適切に管理することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施形態に係る遠隔監視システムの構成例を示すブロック図である。
図2】一実施形態に係る走行経路の例を示す説明図である。
図3】一実施形態に係る通信品質測定方法の説明図である。
図4】一実施形態に係る通信品質実績表示画面の一例を示す画面構成図である。
図5】一実施形態に係る測定記録方法の手順の例を示すフローチャートである。
図6】一実施形態に係る監視方法の手順の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、一実施形態に係る遠隔監視システムの構成例を示すブロック図である。図1において、遠隔監視システム1は、移動通信ネットワークNWを介して、所定の走行経路を走行する車両3と通信を行う。
【0016】
車両3は、カメラ31と、映像送信部32と、自動運転システム33と、走行位置情報送信部34とを備える。車両3は、自動運転システム33により自動運転を行う自動運転車両である。自動運転システム33には、予め決定された走行経路が設定される。自動運転システム33は、自己に設定された走行経路を走行するように車両3の自動運転を行う。
【0017】
カメラ31は、監視者が遠隔で車両3の走行を監視するための車両3の走行映像を撮影する。映像送信部32は、カメラ31が撮影した走行映像をリアルタイムで移動通信ネットワークNWを介して遠隔監視システム1へ送信する。映像送信部32は、カメラ31が撮影した走行映像をストリーミング形式で送信する。
【0018】
走行位置情報送信部34は、車両3が現在走行している位置である走行位置を示す走行位置情報を、常時(例えば1秒間隔で)、移動通信ネットワークNWを介して遠隔監視システム1へ送信する。自動運転システム33は、常時(例えば1秒間隔で)、走行位置情報を走行位置情報送信部34へ出力する。
【0019】
遠隔監視システム1は、映像受信部11と、走行位置情報受信部12と、測定部13と、記録部14と、制御部15と、表示装置16とを備える。遠隔監視システム1の各部の機能は、遠隔監視システム1がCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)及びメモリ等のコンピュータハードウェアを備え、CPUがメモリに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。なお、遠隔監視システム1として、汎用のコンピュータ装置を使用して構成してもよく、又は、専用のハードウェア装置として構成してもよい。
【0020】
映像受信部11は、所定の走行経路を走行する車両3から移動通信ネットワークNWを介して走行映像を受信する。映像受信部11は、車両3の映像送信部32が送信したストリーミング形式の走行映像を受信する。
【0021】
走行位置情報受信部12は、所定の走行経路を走行する車両3から移動通信ネットワークNWを介して走行位置情報を受信する。より具体的には、走行位置情報受信部12は、車両3の走行位置情報送信部34が送信した走行位置情報を、移動通信ネットワークNWを介して受信する。
【0022】
測定部13は、映像受信部11が受信したストリーミング形式の走行映像の通信品質を測定する。この測定される通信品質は、ストリーミング形式の映像の再生品質に影響を及ぼすものであって、例えばスループットやパケットロス率などである。測定部13は、例えばパッシブ測定方法により、スループットやパケットロス率などの測定を行う。なお、車両3がアクティブ測定機能を備える場合には、測定部13はアクティブ測定方法により、スループットやパケットロス率などの測定を行ってもよい。
【0023】
記録部14は、監視対象の車両(監視対象車両)3が所定の走行経路上を走行する前に、事前に、当該走行経路上を走行する車両(測定対象車両)3の走行映像の通信品質の測定値(通信品質測定値)を記録する。監視対象車両3と測定対象車両3とは、同一であってもよく、又は異なってもよい。測定対象車両3は、測定専用の車両3であってもよく、又は測定専用の車両3でなくてもよい。
【0024】
記録部14は、走行経路上の一定の移動距離の間隔で、測定部13が測定した測定対象車両3の走行映像の通信品質の測定値(通信品質測定値)と走行位置情報受信部12が受信した当該測定対象車両3の走行位置情報とを記録する。走行経路上の移動距離は、測定対象車両3が走行経路上を移動する距離である。記録部14は、測定対象車両3の走行位置情報に基づいて、当該測定対象車両3の走行経路上の移動距離を認識する。記録部14は、走行経路上の一定の移動距離毎に、測定対象車両3の走行位置情報に関連付けて当該測定対象車両3の通信品質測定値を記録する。
【0025】
走行経路上の一定の移動距離の間隔は、予め決定されて遠隔監視システム1に設定される。走行経路上の一定の移動距離の間隔は、走行映像のストリーミング再生品質が許容範囲内に収まるか否かを通信品質測定値に基づいて判定することができる間隔である。走行映像のストリーミング再生品質の許容範囲は、監視者が遠隔で監視対象車両3の走行を監視するために許容される走行映像のストリーミング再生品質の範囲である。
【0026】
通信品質測定値が記録される間隔である測定値記録間隔(走行経路上の一定の移動距離の間隔)が長すぎると、通信品質測定値が記録される走行経路上の地点間の通信品質、つまり通信品質測定値が記録されない走行経路上の地点の通信品質が走行映像のストリーミング再生品質の許容範囲内に収まるか否かを、記録された通信品質測定値に基づいて判定することが難しくなる。
【0027】
このため、本実施形態では、測定値記録間隔(走行経路上の一定の移動距離の間隔)を、走行映像のストリーミング再生品質が許容範囲内に収まるか否かを通信品質測定値に基づいて判定することができる間隔に予め決定する。さらには、走行経路毎に個別に、測定値記録間隔を決定する。これは、各走行経路における無線通信環境の特性に応じて、適切に測定値記録間隔を決定するためである。測定値記録間隔は、例えば走行経路上の無線通信環境のシミュレーションや走行経路上の無線通信環境の測定などを事前に行うことにより決定される。
【0028】
制御部15は、走行位置情報受信部12により監視対象車両3から受信された走行位置情報と、記録部14内の通信品質測定値及び走行位置情報の組とに基づいた通信品質実績表示画面を表示装置16に表示させる。制御部15は、記録部14から、通信品質測定値及び走行位置情報の各組を取得する。
【0029】
制御部15は、映像受信部11により監視対象車両3から受信された走行映像を表示装置16に表示させてもよい。制御部15は、監視対象車両3の走行映像と通信品質実績表示画面とを、同じ表示画面上に表示させてもよく又は異なる表示画面上に表示させてもよい。制御部15は、監視対象車両3の走行映像と通信品質実績表示画面とを、監視者の表示切替操作に応じて切り替えて表示画面上に表示させてもよい。
【0030】
図2は、本実施形態に係る走行経路の例を示す説明図である。図2には、走行経路Aが例示されている。車両3は、走行経路Aの走行開始位置から走行停止位置までを走行する。
【0031】
図3は、本実施形態に係る通信品質測定方法の説明図である。図3において、車両3は所定の走行経路を走行している。映像受信部11は、車両3から移動通信ネットワークNWを介してストリーミング形式の走行映像を受信する。走行位置情報受信部12は、車両3から移動通信ネットワークNWを介して走行位置情報「地点1」,「地点2」を受信する。測定部13は、車両3から送信されたストリーミング形式の走行映像の通信品質を測定する。図3の例では、走行位置情報「地点1」での通信品質測定値「スループット」は「xbps(毎秒xビット)」であり、走行位置情報「地点2」での通信品質測定値「スループット」は「ybps(毎秒yビット)」である。図3の例では、地点1から地点2までの移動距離Pは、測定値記録間隔(走行経路上の一定の移動距離の間隔)に合致する。これにより、記録部14は、走行位置情報「地点1」に関連付けて通信品質測定値「スループット:xbps(毎秒xビット)」を記録し、また走行位置情報「地点2」に関連付けて通信品質測定値「スループット:ybps(毎秒yビット)」を記録する。
【0032】
図4は、本実施形態に係る通信品質実績表示画面の一例を示す画面構成図である。図4に例示される通信品質実績表示画面100において、横軸は、監視対象車両3の走行計画進捗を示すものであって走行経路の走行開始位置から走行停止位置までである。また縦軸は、過去の通信品質の実績を示す。
【0033】
図4の例では、走行計画進捗における監視対象車両3の現在の走行位置が画像110によって示される。制御部15は、監視対象車両3から受信された走行位置情報に基づいて、監視対象車両3の現在の走行位置に対応する通信品質実績表示画面100の横軸上の位置に画像110を表示させる。監視者は、通信品質実績表示画面100に表示された画像110の横軸上の位置によって、監視対象車両3が走行している走行経路上の現在位置を認識することができる。
【0034】
図4の例では、走行計画進捗における走行位置に対応する過去の通信品質の実績が実線の波形「通信品質」で示される。制御部15は、記録部14から通信品質測定値及び走行位置情報の各組を取得する。制御部15は、記録部14から取得した通信品質測定値及び走行位置情報の各組を実線の波形「通信品質」の座標に使用して、実線の波形「通信品質」を通信品質実績表示画面100に表示させる。実線の波形「通信品質」において、各組の走行位置情報が横軸の座標であり、各組の通信品質測定値が縦軸の座標である。監視者は、通信品質実績表示画面100に表示された実線の波形「通信品質」によって、監視対象車両3が走行している走行経路上の過去の通信品質の実績を認識することができる。
【0035】
通信品質実績表示画面100に表示される過去の通信品質の実績は、測定値記録間隔で存在する。測定値記録間隔は、走行映像のストリーミング再生品質が許容範囲内に収まるか否かを通信品質測定値(通信品質実績表示画面100に表示される過去の通信品質の実績)に基づいて判定することができる間隔である。走行映像のストリーミング再生品質の許容範囲は、監視者が遠隔で監視対象車両3の走行を監視するために許容される走行映像のストリーミング再生品質の範囲である。これにより、監視者は、通信品質実績表示画面100に表示された実線の波形「通信品質」によって、走行映像の再生の途切れ等の遠隔監視上の不都合が発生するか否かを把握することができる。
【0036】
また図4の例では、監視者に通信品質の判定基準を示すために、通信品質の要求値が一点鎖線の波形「要求品質」で示される。制御部15は、所定の通信品質の要求値により、一点鎖線の波形「要求品質」を通信品質実績表示画面100に表示させる。これにより、監視者は、通信品質実績表示画面100に表示された実線の波形「通信品質」を一点鎖線の波形「要求品質」と比較することによって、走行映像の再生の途切れ等の遠隔監視上の不都合が発生するか否かをより容易に把握することができる。なお、制御部15は、通信品質実績表示画面100において、実線の波形「通信品質」が一点鎖線の波形「要求品質」を下回る部分に対してアラーム表示を行ってもよい。例えば、実線の波形「通信品質」が一点鎖線の波形「要求品質」を下回る部分を赤色等で色付けすることによりアラーム表示を行ってもよい。
【0037】
次に図5を参照して本実施形態に係る測定記録方法を説明する。図5は、本実施形態に係る測定記録方法の手順の例を示すフローチャートである。
【0038】
測定対象車両3が所定の走行経路を走行開始すると、遠隔監視システム1において図5の処理が開始される。測定対象車両3において、映像送信部32は、カメラ31が撮影した走行映像をリアルタイムでストリーミング形式により移動通信ネットワークNWを介して遠隔監視システム1へ送信する。また走行位置情報送信部34は、常時、測定対象車両3が現在走行している位置である走行位置を示す走行位置情報を、移動通信ネットワークNWを介して遠隔監視システム1へ送信する。
【0039】
(ステップS11) 映像受信部11は、測定対象車両3から走行映像を受信する。走行位置情報受信部12は、測定対象車両3から走行位置を示す走行位置情報を受信する。
【0040】
(ステップS12) 測定部13は、映像受信部11が測定対象車両3から受信した走行映像の通信品質を測定する。
【0041】
(ステップS13) 記録部14は、測定値記録間隔(走行経路上の一定の移動距離の間隔)で、測定部13が測定した測定対象車両3の走行映像の通信品質の測定値(通信品質測定値)と走行位置情報受信部12が受信した測定対象車両3の走行位置情報とを記録する。
【0042】
次に図6を参照して本実施形態に係る監視方法を説明する。図6は、本実施形態に係る監視方法の手順の例を示すフローチャートである。
【0043】
監視対象車両3が所定の走行経路を走行するときには、事前に、記録部14には、図5の測定記録方法により、監視対象車両3が走行する所定の走行経路について、測定値記録間隔(走行経路上の一定の移動距離の間隔)で、測定対象車両3の走行映像の通信品質の測定値(通信品質測定値)と当該測定対象車両3の走行位置情報とが記録されている。
【0044】
監視対象車両3が所定の走行経路を走行開始すると、遠隔監視システム1において図6の処理が開始される。監視対象車両3において、映像送信部32は、カメラ31が撮影した走行映像をリアルタイムでストリーミング形式により移動通信ネットワークNWを介して遠隔監視システム1へ送信する。また走行位置情報送信部34は、常時、監視対象車両3が現在走行している位置である走行位置を示す走行位置情報を、移動通信ネットワークNWを介して遠隔監視システム1へ送信する。
【0045】
(ステップS21) 映像受信部11は、監視対象車両3から走行映像を受信する。走行位置情報受信部12は、監視対象車両3から走行位置を示す走行位置情報を受信する。
【0046】
(ステップS22) 制御部15は、記録部14から測定対象車両3の通信品質測定値及び走行位置情報の各組を取得する。
【0047】
(ステップS23) 制御部15は、測定対象車両3の通信品質測定値及び走行位置情報の組と監視対象車両3から受信された走行位置情報とに基づいた通信品質実績表示画面を表示装置16に表示させる。また制御部15は、監視対象車両3から受信された走行映像を表示装置16に表示させてもよい。
【0048】
上述したように本実施形態によれば、所定の走行経路上の一定の移動距離の間隔で測定対象車両の通信品質の測定値と当該測定対象車両の走行位置情報とが記録されることにより、当該走行経路を走行する車両に対して通信品質を適切に管理することができるという効果が得られる。
【0049】
また、監視者は、表示装置16に表示された通信品質実績表示画面によって、監視対象車両3が走行している走行経路上の過去の通信品質の実績を認識することができる。これにより、監視者は、通信品質実績表示画面に表示された過去の通信品質の実績によって、走行映像の再生の途切れ等の遠隔監視上の不都合が発生するか否かを把握することができる。
【0050】
本実施形態においては、映像受信部11と走行位置情報受信部12と測定部13と記録部14とが測定記録装置に対応する。また、走行位置情報受信部12と制御部15とが監視装置に対応する。監視装置はさらに映像受信部11を備えてもよい。
【0051】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0052】
上述した実施形態では、遠隔監視システム1が測定記録装置の機能と監視装置の機能とを備えたが、測定記録装置と監視装置とを別個の装置として構成してもよい。
【0053】
また、上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0054】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…遠隔監視システム、3…車両、11…映像受信部、12…走行位置情報受信部、13…測定部、14…記録部、15…制御部、16…表示装置、31…カメラ、32…映像送信部、33…自動運転システム、34…走行位置情報送信部、NW…移動通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6