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特許7372875アスファルト混合物の製造方法及び製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-24
(45)【発行日】2023-11-01
(54)【発明の名称】アスファルト混合物の製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/10 20060101AFI20231025BHJP
   E01C 7/18 20060101ALI20231025BHJP
   C08L 95/00 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
E01C19/10 Z
E01C7/18
C08L95/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020085715
(22)【出願日】2020-05-15
(65)【公開番号】P2021179142
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】590002482
【氏名又は名称】株式会社NIPPO
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(72)【発明者】
【氏名】宮本 多佳
(72)【発明者】
【氏名】泉 秀俊
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-132910(JP,A)
【文献】特開2017-186842(JP,A)
【文献】特開2018-003289(JP,A)
【文献】特開2019-044367(JP,A)
【文献】特開2009-024405(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02942434(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/10
E01C 7/18
C08L 95/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスファルトタンクからアスファルト計量槽に加熱アスファルトを投入する工程と、
前記アスファルト計量槽に投入された加熱アスファルトに水を添加してフォームドアスファルトにする工程と、
骨材貯蔵ビンから骨材計量槽に骨材を投入する工程と、
フィラー貯蔵ビンからフィラー計量槽にフィラーを投入する工程と、
前記アスファルト計量槽のフォームドアスファルト、前記骨材計量槽の骨材、及び前記フィラー計量槽のフィラーをミキサーに供給して混合させる工程と、
を備えた、アスファルト混合物の製造方法。
【請求項2】
前記加熱アスファルトに水を添加する前に、当該水に添加剤を添加する工程を更に備えた、
請求項1に記載のアスファルト混合物の製造方法。
【請求項3】
前記アスファルト計量槽に投入された加熱アスファルトに添加剤を添加する工程を更に備えた、
請求項1に記載のアスファルト混合物の製造方法。
【請求項4】
前記アスファルト計量槽に投入された加熱アスファルトに水を添加してフォームドアスファルトにする工程は、前記アスファルトタンクから前記アスファルト計量槽に投入される加熱アスファルトに向けて水を噴射して添加する、
請求項1~請求項3のいずれか1つに記載のアスファルト混合物の製造方法。
【請求項5】
加熱アスファルトを貯蔵するアスファルトタンクと、
前記アスファルトタンクから供給された加熱アスファルトを計量するアスファルト計量槽と、
前記アスファルト計量槽に供給された加熱アスファルトに水を添加してフォームドアスファルトにする水添加装置と、
骨材を貯蔵する骨材貯蔵ビンと、
前記骨材貯蔵ビンから供給された骨材を計量する骨材計量槽と、
フィラーを貯蔵するフィラー貯蔵ビンと、
前記フィラー貯蔵ビンから供給されたフィラーを計量するフィラー計量槽と、
前記アスファルト計量槽により計量されたフォームドアスファルト、前記骨材計量槽により計量された骨材、及び前記フィラー計量槽により計量されたフィラーを混合するミキサーと、
を備えた、アスファルト混合物の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨材、フィラー(石粉など)及びアスファルトを混合したアスファルト混合物を製造する方法、並びにこれを製造する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
施工性などを改善したアスファルトとして、加熱アスファルトに水を添加することによって発泡させたフォームドアスファルトが知られている。フォームドアスファルトを製造する方法として、特開2019-44367号公報(特許文献1)に記載されるように、アスファルト計量槽からミキサーに加熱アスファルトを搬送する配管に水を添加する、いわゆる配管方式が実用化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-44367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、配管方式でフォームドアスファルトを製造する場合、配管内の加熱アスファルトを外部から確認できないため、アスファルト計量槽からミキサーへと加熱アスファルトの搬送を開始してから所定時間経過後に水を添加し始める時間方式が採用されていた。この場合、外気温などに応じて加熱アスファルトの粘度が変化し、配管内を流れる加熱アスファルトの搬送速度が変化すると、必ずしも適切なタイミングで水を添加することができなくなってしまう。適切なタイミングで水を添加することができなくなると、例えば、フォームドアスファルトの発泡度合いにむらが生じ、フォームドアスファルトの品質を確保することが困難になってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、フォームドアスファルトの品質を確保することができる、アスファルト混合物の製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、アスファルト混合物の製造方法は、アスファルトタンクからアスファルト計量槽に加熱アスファルトを投入する工程と、アスファルト計量槽に投入された加熱アスファルトに水を添加してフォームドアスファルトにする工程と、骨材貯蔵ビンから骨材計量槽に骨材を投入する工程と、フィラー貯蔵ビンからフィラー計量槽にフィラーを投入する工程と、を備えている。また、アスファルト混合物の製造方法は、上記の工程に加えて、アスファルト計量槽のフォームドアスファルト、骨材計量槽の骨材、及びフィラー計量槽のフィラーをミキサーに供給して混合させる工程を更に備えている。
【0007】
本発明の他の態様によれば、アスファルト混合物の製造装置は、アスファルトタンクと、アスファルト計量槽と、水添加装置と、骨材貯蔵ビンと、骨材計量槽と、フィラー貯蔵ビンと、フィラー計量槽と、ミキサーと、を備えている。アスファルトタンクは、加熱アスファルトを貯蔵する。アスファルト計量槽は、アスファルトタンクから供給された加熱アスファルトを計量する。水添加装置は、アスファルト計量槽に供給された加熱アスファルトに水を添加してフォームドアスファルトにする。骨材貯蔵ビンは、骨材を貯蔵する。骨材計量槽は、骨材貯蔵ビンから供給された骨材を計量する。フィラー貯蔵ビンは、フィラーを貯蔵する。フィラー計量槽は、フィラー貯蔵ビンから供給されたフィラーを計量する。ミキサーは、アスファルト計量槽により計量されたフォームドアスファルト、骨材計量槽により計量された骨材、及びフィラー計量槽により計量されたフィラーを混合する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、アスファルト混合物の製造方法及び製造装置において、フォームドアスファルトの品質を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】アスファルト混合物の製造装置の一例を示す概要図である。
図2】アスファルト計量槽に加熱アスファルト及び水を供給する機構の一例を示す概要図である。
図3】加熱アスファルトに対する水の添加方法の一例を示す説明図である。
図4】水に添加剤を添加する第1の方法の一例を示す説明図である。
図5】水に添加剤を添加する第2の方法の一例を示す説明図である。
図6】アスファルト混合物を製造する工程の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付された図面を参照し、本発明を実施するための実施形態について詳述する。
図1は、アスファルト混合物の製造装置(以下「アスファルト製造装置」と略記する)100の一例を示している。
【0011】
アスファルト製造装置100は、例えば、アスファルト製造工場(アスファルト混合所)に設置されている。アスファルト製造装置100は、コールドホッパ120と、ドライヤ140と、バグフィルタ160と、排風機180と、煙突200と、ホットエレベータ220と、スクリーン240と、ホットビン260と、骨材計量槽280と、アスファルトタンク300と、アスファルト計量槽320と、フィラー貯蔵ビン340と、フィラー計量槽360と、ミキサー380と、水タンク400と、を備えている。ここで、ホットビン260が、骨材貯蔵ビンの一例として挙げられる。
【0012】
コールドホッパ120は、骨材(粗骨材、細骨材、砂など)を製造ラインに供給するために骨材を一時的に貯蔵する装置であって、例えば、上面が開口する逆円錐形や逆四角錐形を有する複数のホッパ122を一方向に連接して構成されている。また、コールドホッパ120の各ホッパ122の下部には、図示しない開口が形成されており、この開口を遠隔操作可能なアクチュエータで開閉するシャッターが取り付けられている。ここで、アクチュエータとしては、例えば、油圧シリンダ、エアシリンダ、電動モータ、油圧モータ、エアモータなどを利用することができる(以下同様)。従って、例えば、マイクロコンピュータを内蔵した電子制御ユニットによりアクチュエータを制御して開口を開くことで、ホッパ122の骨材を開口から下方に排出することができる。さらに、コールドホッパ120の下方には、各ホッパ122の開口から排出された骨材を受けて、これをドライヤ140に搬送するためのベルトコンベア124が設置されている。
【0013】
ドライヤ140は、重油やガスなどを燃料としたバーナで骨材を加熱して乾燥させる装置であって、例えば、架台に対してアクチュエータで回転される円筒形状のケーシングを備えている。また、ドライヤ140には、ベルトコンベア124によってコールドホッパ120から搬送された骨材を受けて、骨材投入口から内部空間へと骨材を投入するベルトコンベア142が併設されている。そして、ドライヤ140で乾燥された骨材は、骨材排出口からホットエレベータ220へと供給される。
【0014】
バグフィルタ160は、ドライヤ140から排出された排気を受けて、排気中に含まれる微細な粉塵、煤塵などのダストを捕集して除去する装置であって、例えば、その内部にガラス繊維を筒状に形成したフィルタが内蔵されている。バグフィルタ160によってダストが除去された排気は、排風機180によって煙突200へと送られ、その上端開口から大気中に放出される。
【0015】
ホットエレベータ220は、ドライヤ140によって乾燥された骨材を受けてスクリーン240に搬送する装置であって、例えば、ドライヤ140によって高温になった骨材を搬送可能な部材から構成されている。ホットエレベータ220によって搬送された高温の骨材は、上部に設置されたシュート222を滑り落ち、その先端部からスクリーン240へと投入される。
【0016】
スクリーン240は、ホットエレベータ220から投入された骨材を所定の粒度区分に分級する装置であって、例えば、粒度区分に応じた開口を有するふるい(篩)が斜めになった状態で内蔵されている。スクリーン240に投入された骨材は、ふるいの上面を転がって、所定の粒度区分に応じた開口によって分級される。そして、スクリーン240によって所定の粒度区分に分級された骨材は、その下方に配置されたホットビン260に供給される。
【0017】
ホットビン260は、スクリーン240で分級された骨材を粒度別に保温しつつ一時的に貯蔵する装置であって、例えば、下部が逆円錐形に形成された容器から構成されている。また、ホットビン260の下部には、粒度別に貯蔵された骨材を個別に排出する開口が形成されており、各開口を遠隔操作可能なアクチュエータで開閉するシャッターが取り付けられている。従って、ホットビン260の各開口を開閉するアクチュエータを個別に制御することで、粒度別の骨材を所定の割合で混合しつつ、その下方に配置された骨材計量槽280に投入することができる。
【0018】
骨材計量槽280は、ホットビン260から投入された骨材を計量する装置であって、例えば、重量を計量するロードセルを介して、架台に対して上下方向に移動可能に取り付けられた計量槽を含んで構成されている。また、骨材計量槽280の下部には、骨材を排出する開口が形成されており、この開口を遠隔操作可能なアクチュエータで開閉するシャッターが取り付けられている。従って、骨材計量槽280の開口を開けることで、その下方に配置されたミキサー380に骨材を投入することができる。
【0019】
アスファルトタンク300は、液体状の加熱アスファルトを一時的に貯蔵する装置であって、例えば、加熱アスファルトの温度を一定に保つヒータなどの保温機能が備えられている。また、アスファルトタンク300は、図示の例では3つ設置されているが、その設置個数は、加熱アスファルトの使用量などを考慮して少なくとも1つ設置されていればよい。そして、アスファルトタンク300に貯蔵された加熱アスファルトは、図2に示すように、アスファルトタンク300とアスファルト計量槽320とを接続する第1のアスファルト配管L1に配設された第1のポンプP1を作動させることで、アスファルト計量槽320に投入される。ここで、第1のポンプP1としては、例えば、遠隔操作可能な電動ポンプ、油圧ポンプ、エアポンプなどとすることができる(以下同様)。
【0020】
アスファルト計量槽320は、アスファルトタンク300から投入された加熱アスファルトを計量する装置であって、例えば、重量を計量するロードセルを介して、架台に対して上下方向に移動可能に取り付けられた計量槽を含んで構成されている。また、アスファルト計量槽320の下部には、加熱アスファルトを排出する開口が形成されており、図2に示すように、アスファルト計量槽320とミキサー380とを接続する第2のアスファルト配管L2に配設された第2のポンプP2を作動させることで、ミキサー380にアスファルトが投入される。
【0021】
フィラー貯蔵ビン340は、フィラーをフィラー計量槽360に送り込むためにフィラーを一時的に貯蔵する装置であって、例えば、円柱状や角柱状の容器から構成されている。また、フィラー貯蔵ビン340の下部には、フィラーを排出する開口が形成されており、この開口を遠隔操作可能なアクチュエータで開閉するシャッターが取り付けられている。従って、フィラー貯蔵ビン340の開口を開けることで、その下方に配置されたフィラー計量槽360にフィラーを投入することができる。
【0022】
フィラー計量槽360は、フィラー貯蔵ビン340から投入されたフィラーを計量する装置であって、例えば、重量を計量するロードセルを介して、架台に対して上下方向に移動可能に取り付けられた計量槽を含んで構成されている。また、フィラー計量槽360の下部には、フィラーを排出する開口が形成されており、この開口を遠隔操作可能なアクチュエータで開閉するシャッターが取り付けられている。従って、フィラー計量槽360の開口を開けることで、その下方に配置されたミキサー380にフィラーを投入することができる。
【0023】
ミキサー380は、骨材計量槽280から投入された骨材、アスファルト計量槽320から投入されたアスファルト、及びフィラー計量槽360から投入されたフィラーを均一に混合してアスファルト混合物にする装置であって、例えば、2軸バグミルミキサーを備えている。また、ミキサー380の下部には、アスファルト混合物を排出する開口が形成されており、この開口を遠隔操作可能なアクチュエータで開閉するシャッターが取り付けられている。従って、ミキサー380の開口を開けることで、その下方に停車しているダンプトラック500にアスファルト混合物を積み込むことができる。
【0024】
水タンク400は、アスファルト計量槽320に投入された加熱アスファルトに添加する水を一時的に貯蔵する装置であって、例えば、中空円柱形状のタンクから構成されている。また、水タンク400の下部には、水を排出する開口が形成されており、図2に示すように、水タンク400とアスファルト計量槽320とを接続する水配管L3に配設された第3のポンプP3を作動させることで、アスファルト計量槽320に投入された加熱アスファルトに水を添加するように構成されている。
【0025】
加熱アスファルトに水が添加されると、加熱アスファルトが発泡して体積が瞬間的に膨張してフォームドアスファルトとなる。このとき、加熱アスファルトに対する水の添加タイミングを厳密に制御しなくても、アスファルト計量槽320において加熱アスファルトを発泡させる時間が確保でき、フォームドアスファルトの品質を確保することができる。
【0026】
アスファルト計量槽320で発泡したフォームドアスファルトは、第2のアスファルト配管L2に配設された第2のポンプP2が作動することで、ミキサー380に投入される。このとき、第2のポンプP2を適宜制御することで、アスファルト計量槽320からミキサー380に投入されるフォームドアスファルトの流量を任意に変更することができる。
【0027】
加熱アスファルトに対する水の添加は、図3に示すように、第1のアスファルト配管L1の先端開口からアスファルト計量槽320へと投入される加熱アスファルトに向けて水を噴射して添加することが好ましい。即ち、第1のアスファルト配管L1の先端開口から投入された加熱アスファルトに水が直接当たるように、水配管L3の先端部に形成されたノズルの向きを設定することが好ましい。このようにすれば、加熱アスファルトと水とが混合した状態でアスファルト計量槽320に投入されるため、アスファルト計量槽320における加熱アスファルトの発泡を促進することができる。
【0028】
加熱アスファルトに添加する水に対して、例えば、発泡剤、発泡強化剤、施工性改善剤、再生添加剤などの添加剤を予め添加するようにしてもよい。ここで、発泡剤はアスファルトの発泡を補助する薬剤、発泡強化剤はアスファルトの発泡効果を長持ちさせる薬剤、施工性改善剤はアスファルト混合物の粘性を低下させて施工性を向上させる薬剤、再生添加剤はアスファルト廃材から製造した再生骨材に付着するアスファルトの性状を回復させる薬剤である。なお、添加剤としては、発泡剤、発泡強化剤、施工性改善剤及び再生添加剤などのうち、所要の目的を考慮して選択した複数種を混合してもよい。
【0029】
図4は、水に添加剤を添加する第1の方法の一例を示している。
水タンク400の近傍には、添加剤を一時的に貯蔵する添加剤タンク420が配設されている。添加剤タンク420に貯蔵された添加剤は、添加剤タンク420と水タンク400とを接続する添加剤配管L4に配設された第4のポンプP4が作動することで、水タンク400に添加される。水タンク400に添加された添加剤は、水と均一に混合した状態で、水配管L3に配設された第3のポンプP3が作動することで、アスファルト計量槽320に添加される。従って、添加剤の種類に応じた効果が期待できる。
【0030】
図5は、水に添加剤を添加する第2の方法の一例を示している。
アスファルト計量槽320の近傍には、添加剤を一時的に貯蔵する添加剤タンク440が配設されている。添加剤タンク440に貯蔵された添加剤は、添加剤タンク440とアスファルト計量槽320とを接続する添加剤配管L5に配設された第5のポンプP5が作動することで、アスファルト計量槽320に添加される。アスファルト計量槽320では、アスファルトタンク300から投入された加熱アスファルト、水タンク400から添加された水、及び添加剤タンク440から添加された添加剤が混合し、添加剤の種類に応じた効果が期待できる。
【0031】
次に、アスファルト製造装置100の作用について説明する。
コールドホッパ120に投入された骨材は、ベルトコンベア124及び142によって搬送されて、ドライヤ140の骨材投入口から内部空間へと投入される。ドライヤ140の内部空間へと投入された骨材は、バーナの火炎に晒されて加熱され、その水分が蒸発して乾燥される。ドライヤ140によって乾燥された骨材は、ホットエレベータ220によって搬送されて、スクリーン240へと投入される。また、ドライヤ140の排気は、バグフィルタ160によってダストが除去された後、排風機180によって煙突200から大気中に放出される。スクリーン240に投入された骨材は、所定の粒度区分に分級されつつホットビン260へと供給されて一時的に保管される。そして、ホットビン260に一時的に保管された粒度別の骨材は、ホットビン260の下部のシャッターが開くことで、その下方に配置された骨材計量槽280に投入される。
【0032】
フィラー貯蔵ビン340に一時的に貯蔵されたフィラーは、フィラー貯蔵ビン340の下部のシャッターが開くことで、その下方に配置されたフィラー計量槽360に投入される。また、アスファルトタンク300に一時的に貯蔵された加熱アスファルトは、第1のアスファルト配管L1に配設された第1のポンプP1が作動することで、アスファルト計量槽320に投入される。さらに、水タンク400に一時的に貯蔵された水は、水配管L3に配設された第3のポンプP3が作動することで、アスファルトタンク300からアスファルト計量槽320に投入された加熱アスファルトに対して添加される。加熱アスファルトに水が添加されると、加熱アスファルトが発泡して体積が急激に膨張し、フォームドアスファルトになる。
【0033】
そして、骨材計量槽280により計量された骨材、アスファルト計量槽320により計量されたフォームドアスファルト、及びフィラー計量槽360により計量されたフィラーがミキサー380に投入され、骨材、フォームドアスファルト及びフィラーが均一に混合されてアスファルト混合物が製造される。ミキサー380において製造されたアスファルト混合物は、ミキサー380の下部のシャッターが開くことで、その下方に停車しているダンプトラック500に積み込まれて、例えば、アスファルト舗装の工事現場へと搬送される。
【0034】
アスファルト計量槽320に投入された加熱アスファルトに対して水を添加する機構(水添加装置)は、水タンク400、水配管L3及び第3のポンプP3を含んだコンパクトなものである。このため、これらをユニット化すれば、既存のアスファルト製造装置に対して水添加装置を追加することで、本実施形態に係るアスファルト製造装置を容易に実現することができる。
【0035】
図6は、アスファルト混合物を製造する工程の一例を示している。
ステップ1(図6では「S1」と略記する。以下同様。)では、第1のアスファルト配管L1に配設された第1のポンプP1を作動させて、アスファルトタンク300からアスファルト計量槽320に加熱アスファルトを投入する。このとき、アスファルト計量槽320のロードセルの出力信号に応じて、第1のポンプP1を適宜制御することで、アスファルト計量槽320の所定重量の加熱アスファルトを投入することができる。
【0036】
ステップ2では、水配管L3に配設された第3のポンプP3を作動させて、アスファルト計量槽320に投入された加熱アスファルトに水を添加する。加熱アスファルトに水が添加されると、加熱アスファルトが発泡して瞬間的に体積が膨張し、フォームドアスファルトになる。
【0037】
ステップ3では、ホットビン260の下部のシャッターを開け、ホットビン260から骨材計量槽280へと骨材を投入する。このとき、アスファルト計量槽320のロードセルの出力信号に応じて、ホットビン260のシャッターを適宜制御することで、骨材計量槽280に所定重量の骨材を投入することができる。
【0038】
ステップ4では、フィラー貯蔵ビン340のシャッターを開け、フィラー貯蔵ビン340からフィラー計量槽360へとフィラーを投入する。このとき、アスファルト計量槽320のロードセルの出力信号に応じて、フィラー貯蔵ビン340のシャッターを適宜制御することで、フィラー計量槽360に所定重量のフィラーを投入することができる。
【0039】
ステップ5では、第2のアスファルト配管L2に配設された第2のポンプP2、骨材計量槽280のシャッター、及びフィラー計量槽360のシャッターを適宜制御することで、フォームドアスファルト、骨材及びフィラーをミキサー380に投入して混合する。そして、ミキサー380においてフォームドアスファルト、骨材及びフィラーが均一に混合することで、アスファルト混合物が製造される。
【0040】
なお、当業者であれば、様々な上記実施形態の技術的思想について、その一部を省略したり、その一部を適宜組み合わせたり、その一部を周知技術に置換したり、周知技術を更に組み合わせることで、新たな実施形態を生み出せることを容易に理解できるであろう。
【0041】
その一例を挙げると、アスファルト製造装置100は、ミキサー380から排出されたアスファルト混合物を搬送するトロリ、及びトロリによって搬送されたアスファルト混合物を保温及び貯蔵するホットサイロを更に備えていてもよい。
【符号の説明】
【0042】
100 アスファルト製造装置(アスファルト混合物の製造装置)
260 ホットビン(骨材貯蔵ビン)
280 骨材計量槽
300 アスファルトタンク
320 アスファルト計量槽
340 フィラー貯蔵ビン
360 フィラー計量槽
380 ミキサー
400 水タンク(水添加装置)
420 添加剤タンク
440 添加剤タンク
L3 水配管(水添加装置)
L4 添加剤配管
L5 添加剤配管
P3 第3のポンプ(水添加装置)
P4 第4のポンプ
P5 第5のポンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6