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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-24
(45)【発行日】2023-11-01
(54)【発明の名称】給気設備、及び、給気設備の取付方法
(51)【国際特許分類】
   F02B 67/00 20060101AFI20231025BHJP
   F02B 63/04 20060101ALI20231025BHJP
   F02M 35/024 20060101ALI20231025BHJP
   F02M 35/04 20060101ALI20231025BHJP
   F02M 35/10 20060101ALI20231025BHJP
   B01D 46/00 20220101ALI20231025BHJP
   B60P 3/00 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
F02B67/00 E
F02B63/04 C
F02M35/024 521Z
F02M35/04 Z
F02M35/10 101L
F02M35/10 101M
B01D46/00 F
B60P3/00 U
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020187864
(22)【出願日】2020-11-11
(65)【公開番号】P2022077159
(43)【公開日】2022-05-23
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 啓
(72)【発明者】
【氏名】片岡 嘉彦
(72)【発明者】
【氏名】木谷 朋之
(72)【発明者】
【氏名】池田 祐人
(72)【発明者】
【氏名】山本 健太
(72)【発明者】
【氏名】吉川 卓冶
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-60935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 63/04
F02M 35/00
F01P 5/02
F01P 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源が収容される動力室に空気を供給するための給気設備であって、
前記空気が通過可能なフィルタと、
前記フィルタの下流側に接続された第1端、及び、前記動力室に設けられた吸気口に脱着可能な第2端を有するダクトと、
前記ダクトのうち前記第1端及び前記第2端の間に設けられたブロワと、
を備え
前記ダクトは、
前記フィルタから前記ブロワまで延在するエルボ形状の固定ダクトと、
前記ブロワから前記第2端に延びるフレキシブルダクトと、
を含み、
前記エルボ形状の前記固定ダクトは、前記フィルタの上部と前記ブロワの上流側とを接続し、
前記フレキシブルダクトの上流端は前記ブロワの下流側に接続され、
前記ブロワを下方から支持する支持フレームをさらに備える
給気設備。
【請求項2】
前記動力室に対する給気量が許容範囲になるように、前記ブロワを制御する制御部を更に備える、請求項1に記載の給気設備。
【請求項3】
前記許容範囲は、前記動力源の負荷に基づいて設定される、請求項2に記載の給気設備。
【請求項4】
前記許容範囲は、前記ダクトに生じる圧損に基づいて設定される、請求項2に記載の給気設備。
【請求項5】
動力源が収容される動力室に空気を供給するための給気設備であって、
前記空気が通過可能なフィルタと、
前記フィルタの下流側に接続された第1端、及び、前記動力室に設けられた吸気口に脱着可能な第2端を有するダクトと、
前記ダクトのうち前記第1端及び前記第2端の間に設けられたブロワと、
を備え、
前記吸気口は、前記動力室の異なる位置に設けられた複数の吸気口を含み、
前記ダクトは前記複数の吸気口に対して分岐する、給気設備。
【請求項6】
前記ダクトは、
前記フィルタ及び前記ブロワの間に設けられた固定ダクトと、
前記ブロワから前記第2端に延びるフレキシブルダクトと、
を含む、請求項5に記載の給気設備。
【請求項7】
前記動力源は、前記動力室に収容された発電設備において発電機を駆動するための内燃機関である、請求項1から6のいずれか一項に記載の給気設備。
【請求項8】
前記動力室は、電源車両に積載され、前記発電設備を収容するためのコンテナである、請求項7に記載の給気設備。
【請求項9】
設置位置が移動可能である、請求項1から8のいずれか一項に記載の給気設備。
【請求項10】
動力源が収容される動力室に空気を供給するための給気設備であって、
前記空気が通過可能なフィルタと、
前記フィルタの下流側に接続された第1端、及び、前記動力室に設けられた吸気口に脱着可能な第2端を有するダクトと、
前記ダクトのうち前記第1端及び前記第2端の間に設けられたブロワと、
を備える、給気設備の取付方法であって、
前記ダクトの前記第2端が前記動力室の前記吸気口にアクセス可能になるように、前記動力室又は前記給気設備の少なくとも一方を移動する工程と、
前記第2端を前記吸気口に取り付ける工程と、
を備え
前記吸気口は、前記動力室の異なる位置に設けられた複数の吸気口を含み、
前記ダクトは、前記第2端側において前記複数の吸気口に対して分岐する
給気設備の取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給気設備、及び、給気設備の取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力が必要なプラントに対して非常用電力を供給するための電源車両のように、動力源と搭載した設備が知られている。この種の設備では、動力源はコンテナ等の動力室に収容された状態で車両に搭載される。例えば特許文献1には、原子力プラントの非常用機器に対して電源供給するための電源設備の一つとして、電源車両が使用されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5468663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のような電源車両では、コンテナに収容される動力源として内燃機関等が用いられる。内燃機関等の動力源では、運用時に燃焼用又は冷却用として空気が必要であり、一般的な環境下では、動力源が収容される動力室の外部から取り込んだ空気が使用可能である。しかしながら、例えば、火山活動によって生じた火山灰のような粉塵が混在する環境下では、このような空気を動力源に供給すると、空気に含まれる粉塵によって動力源に不具合をもたらすおそれがある。
【0005】
このような課題を解決するための一手段として、動力源が配置された動力室に対して、フィルタ機能を備えた給気設備を介して給気することが考えられる。この場合、動力室に対する給気は、動力源の動作によって生じる負圧を利用して行うことができるが、給気流路に生じる圧損の大きさによっては、動力源による負圧では足りず、十分な給気量を確保できないおそれがある。
【0006】
本開示の少なくとも一態様は、上述の事情に鑑みなされたものであり、粉塵を含む空気環境下において、動力室内に配置された動力源に対して適切な給気を行うことが可能な給気設備、及び、給気設備の取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の少なくとも一態様に係る給気設備は、上記課題を解決するために、
動力源が収容される動力室に空気を供給するための給気設備であって、
前記空気が通過可能なフィルタと、
前記フィルタの下流側に接続された第1端、及び、前記動力室に設けられた吸気口に脱着可能な第2端を有するダクトと、
前記ダクトのうち前記第1端及び前記第2端の間に設けられたブロワと、
を備える。
【0008】
本開示の少なくとも一態様に係る給気設備の取付方法は、上記課題を解決するために、
動力源が収容される動力室に空気を供給するための給気設備であって、
前記空気が通過可能なフィルタと、
前記フィルタの下流側に接続された第1端、及び、前記動力室に設けられた吸気口に脱着可能な第2端を有するダクトと、
前記ダクトのうち前記第1端及び前記第2端の間に設けられたブロワと、
を備える、給気設備の取付方法であって、
前記ダクトの前記第2端が前記動力室の前記吸気口にアクセス可能になるように、前記動力室又は前記給気設備の少なくとも一方を移動する工程と、
前記第2端を前記吸気口に取り付ける工程と、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、粉塵を含む空気環境下において、動力室内に配置された動力源に対して適切な給気を行うことが可能な給気設備、及び、給気設備の取付方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る給気設備を電源車両とともに示す全体構成図である。
図2図1に示される電源車両を上側から示す平面図である。
図3図1に示される電源車両を後方から示す外観図である。
図4図1の給気設備の取付方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0012】
図1は一実施形態に係る給気設備1を電源車両6とともに示す全体構成図であり、図2図1に示される電源車両6を上側から示す平面図であり、図3図1に示される電源車両6を後方から示す外観図である。
【0013】
給気設備1は、内部に動力源2を含む動力室に対して空気を供給するための設備である。本実施形態では、このような動力源の一例として、発電設備8を備える電源車両6に、荷室として搭載されたコンテナ10を例に説明する。
尚、以下の実施形態では、給気対象である動力室は電源車両6に搭載されたコンテナ10のように移動可能なものであってもよいし、地面に対して固定配置された定置型であってもよい。
【0014】
電源車両6は、ドライバが乗車可能な前方車室7を備えるトラック車両であり、前方車室7の後方にコンテナ10を搭載する。コンテナ10は外壁によって囲まれた内部空間12を有し、内部空間12には、発電設備8が収容されている。発電設備8は、動力源である内燃機関16と、内燃機関16から出力される動力によって駆動可能な発電機14とを備える。内燃機関16の出力軸は発電機14に連結されており、内燃機関16からの動力によって発電機14が駆動されることで、電力が出力される。発電機14から出力された電力は、不図示の送電路を介して電力需要先に供給される。電源車両6は移動可能な車両であるため、電源車両に搭載された発電設備8を任意の位置に移動可能であることから、例えば、プラント設備等において常用電源が使用不能な状態に陥った場合に、非常用電源として有用である。
【0015】
コンテナ10は、内部空間12に収容された発電設備8で必要な空気を外部から取り込むための吸気口20と、発電設備8で使用された空気を排出するための排出口22とを有する。図1では、コンテナ10は吸気口20として、第1吸気口20a、第2吸気口20b、第3吸気口20cが設けられている(以下、第1吸気口20a、第2吸気口20b、第3吸気口20cを総称する場合には、適宜「吸気口20」と称する)。第1吸気口20aはコンテナ10の前方側に設けられ、第2吸気口20b及び第3吸気口20cはそれぞれコンテナ10の左側方及び右側方に設けられている。第1吸気口20a、第2吸気口20b、第3吸気口20cは、それぞれ、外部から内部空間12に吸気を効率的に取り込むための流路を形成する吸気フードとして構成されている。
【0016】
またコンテナ10には、排出口22として、第1排出口22a及び第2排出口22bが設けられている。第1排出口22aは、内部空間12において発電設備8の冷却用空気として使用されることで、温度が上昇した冷却後の空気を排出するための排出口であり、図3に示すように、コンテナ10の後方に設けられている。吸気口20から内部空間12に取り込まれた吸気の少なくとも一部は、内部空間12に収容された発電設備8を構成する発電機14及び内燃機関16を冷却することにより温度が上昇し、発電設備8に設けられたラジエータファン17によって、コンテナ10の後方に設けられた第1排出口22aから外部に排出される。
【0017】
尚、第1排出口22aは、例えば図3に示すように、内部空間12の空気が外部に排出可能なガラリとして形成されるが、第1排出口22aを介して外部から外気が内部空間12に逆流しないように構成されている。
【0018】
第2排出口22bは、内部空間12に収容された発電設備8のうち内燃機関16からの排気ガスを外部に排出するための排出口である。内燃機関16からの排気ガスは、内燃機関16の排気管に接続され、コンテナ10の上部に設置された排気サイレンサ19を介して外部に排出される。
【0019】
このように動力室であるコンテナ10に吸気口20から取り込まれる空気は、内燃機関16における燃焼用空気、又は、発電設備8(発電機14及び内燃機関16)の冷却用空気として使用される。一般的な環境下では、コンテナ10には外部から直接空気を取り込んでも問題がない(必要に応じて、吸気口20にフィルタを配置してもよい)。その一方で、例えば、外気に火山活動によって生じた火山灰のような粉塵が混在する環境下では、外気を内部空間12に取り込んでしまうと、外気に含まれる粉塵によって、発電設備8に不具合をもたらすおそれがある。このような環境下では、吸気口20に対して給気設備1を接続することで、粉塵を含んだ外気が内部空間12に取り込まれることを防止することが有効である。
【0020】
給気設備1は、図1に示すように、フィルタ24、ダクト26及びブロワ28を備える。
【0021】
フィルタ24は、外部から内部空間12に供給される空気の流路上に設置されることで、外部から取り込まれる空気に含まれる粉塵を分離して除去する機能を有する。フィルタ24の仕様は、除去対象の粉塵に応じて細孔径を有する多孔体から構成されるロ材の細孔径設定する事で粉塵の除去が可能である。
【0022】
ダクト26は、フィルタ24を通過した空気(粉塵が分離除去された後の空気)を導くための構成である。ダクト26は例えば、所定の経路に沿って延在する管形状を有し、第1端26a、及び、第2端26bを有する。第1端26aはフィルタ24の下流側に接続されており、フィルタ24を通過した空気がダクト26内に導入されるように構成される。
【0023】
第2端26bは、ダクト26において第1端26aとは反対側に位置しており、コンテナ10に設けられた吸気口20に対してそれぞれ脱着可能である。本実施形態では、吸気口20として、第1吸気口20a、第2吸気口20b、第3吸気口20cが設けられているため、ダクト26は第1端26a及び第2端26bの途中で、それぞれに対応するように分岐したマニホールド形状を有し、3つの第2端26b1、26b2、26b3がそれぞれ第1吸気口20a、第2吸気口20b、第3吸気口20cに取り付け可能である。
【0024】
吸気口20とダクト26の第2端26bとの取付構造は、両者の間から外気が流入しない限りにおいて任意の構成を採用することができる。例えば、吸気口20と第2端26bとは、互いに相補的形状(凹凸形状等)を有するように構成されていてもよいし、吸気口20と第2端26bとの間に隙間がある場合には当該隙間を外部から貼り付けられるシールによって目張りしてもよい。
【0025】
このような構成を有するダクト26のうち、第1端26a及び第2端26bの間にはブロワ28が設けられる。内部空間12に収容される内燃機関16は動作時に燃焼用空気を吸気するため負圧を生じさせることから、当該負圧を利用した内部空間12への吸気を行うことができる。しかしながら、給気設備1を構成するフィルタ24及びダクト26は、給気時に少なからず圧損を生じるため、圧損の大きさによっては内燃機関16の負圧では足りず、十分な吸気を行うことができない場合がある。このような場合、サージングの発生や、内燃機関16のオーバーヒート等の不具合を招くおそれがある。例えば、ダクト26の長さが大きい場合、ダクト26の径(流路面積)が小さい場合、又は、ダクト26における空気の流速が小さい場合等には、圧損が大きくなる傾向がある。
【0026】
このような課題は、ダクト26にブロワ28を設けることで好適に解決することができる。ブロワ28は、駆動時にダクト26を流れる空気の内部空間12への供給をアシストすることで、内部空間12に対して十分な給気が可能となる。ブロワ28は例えば不図示の電動機によって駆動可能であり、当該電動機に供給される電力は、電源車両6から供給される電力であってもよいし、電源車両6から供給される電力とは別系統から供給される電力であってもよい。
【0027】
また給気設備1は、ブロワ28を制御するための制御部30を更に備える。本実施形態では、制御部30はブロワ28を支持する支持フレーム32に搭載された制御盤として構成されており、コンテナ10に対する給気量が許容範囲になるように、ブロワ28の動作状態を制御する。このように制御部30によってブロワ28の動作状態を制御することにより、コンテナ10に収容された発電設備8で必要となる給気量を的確に確保できる。
【0028】
制御部30によるブロワ28の制御方法は、様々な方法がある。例えば、制御部30は、コンテナ10に対する給気量をセンサ等で検出し、検出値が許容範囲に満たない場合にブロワ28を駆動させ、検出値が許容範囲を満たす場合にはブロワ28を停止させるように制御を行ってもよい。この場合、ブロワ28の動作/停止の切替を伴うシンプルなオンオフ制御となる。
【0029】
また制御部30は、コンテナ10に対する給気量が許容範囲になるようにブロワ28の動作状態を可変制御してもよい。この場合、ブロワ28の動作状態を許容範囲に応じてよりきめ細かく制御することで、コンテナ10に収容された発電設備8で必要となる給気量を適切に調整できる。ブロワ28の可変制御は、例えば、ブロワ28の消費電流を調整可能なインバータ(不図示)を制御することにより行うことができる。
【0030】
またコンテナ10に対する給気量の許容範囲が変化する場合には、許容範囲に応じてブロワ28の動作状態が変化するように制御してもよい。例えば、給気量の許容範囲は、コンテナ10に収容される発電設備8の負荷に基づいて設定される。この場合、許容範囲は発電設備8の負荷に基づいて可変に設定される。具体的には、発電設備8の負荷が大きくなると、発電機14及び内燃機関16における冷却用空気、並びに、内燃機関における燃焼用空気としての消費空気量が増加するため、許容範囲もまた増加する。これにより、動力源2の負荷に応じて、コンテナ10で必要な給気量が変化した場合においても、適切な給気が可能となる。
【0031】
本実施形態ではダクト26は、固定ダクト33と、フレキシブルダクト34とを含んで構成されてもよい。固定ダクト33は、フィルタ24とブロワ28との間に設けられ、フィルタ24の上部と、支持フレーム32によってフィルタ24より上方に配置されたブロワ28の上流側とを接続するエルボ形状を有する。フレキシブルダクト34は、ブロワ28の下流側から電源車両6に向けて延び、例えばベローズ状にフレキシブルに構成される。これにより、ブロワ28を支持フレーム32上に固定配置した場合においても、フレキシブルダクト34を介して電源車両6に対してダクト26を柔軟にアクセスできる。
【0032】
またダクト26のうちフレキシブルダクト34は脱着可能であってもよい。この場合、必要に応じて仕様(例えば長さや径)が異なる複数種類のフレキシブルダクト34を用意しておき、適宜選択して取り付けることで、電源車両6の位置に応じてより柔軟なアクセスが可能となる。
【0033】
給気量の許容範囲は、このような構成を有するダクト26について予め圧損を評価しておき、当該圧損に対応するように設定されてもよい。これにより、ダクト26の仕様に応じた許容範囲に基づいてブロワ28を制御することにより、より的確に給気アシストを行うことができる。
【0034】
尚、給気設備1は制御部30を備えずに、内部空間12で必要とされる給気量が確保可能なようにブロワ28を常時動作状態にしてもよい。この場合、制御部30が不要になるため、より安価な給気設備1を提供できる。
【0035】
続いて上記構成を有する給気設備1の取付方法について説明する。図4図1の給気設備1の取付方法を示すフローチャートである。
【0036】
まずダクト26の第2端26bが動力室であるコンテナ10の吸気口20にアクセス可能になるように、電源車両6を移動する(ステップS1)。本実施形態では、給気設備1は図1に示すように支持フレーム32によって地面に対して固定されているため移動不能であり、動力室であるコンテナ10を有する電源車両6が移動可能である。そのため、本実施形態では給気設備1及び電源車両6のうち、電源車両6側を移動することにより、ダクト26の第2端26bがコンテナ10の吸気口20にアクセス可能なように調整される。
【0037】
尚、給気設備1には、ダクト26の第2端26bがコンテナ10の吸気口20にアクセス可能とするために適した電源車両6の停車位置が予め規定されていてもよい。この場合、ステップS1では、電源車両を当該停車位置に移動することで、ダクト26の第2端26bがコンテナ10の吸気口20にアクセス可能とすることができる。
【0038】
尚、他の実施形態では給気設備1の設置位置が移動可能、すなわち、給気設備1を可搬式に構成することで、給気設備1を移動可能にしてもよい。この場合、ステップS1では電源車両6だけでなく給気設備1も移動し、両者の位置関係を調整することで、ダクト26の第2端26bがコンテナ10の吸気口20にアクセス可能になる。
【0039】
続いてダクト26の第2端26bをコンテナ10の吸気口20に取り付ける(ステップS2)。本実施形態では、吸気口20として第1吸気口20a、第2吸気口20b、第3吸気口20cが設けられているため、それぞれに対してダクト26の第2端26bが取り付けられる。その結果、電源車両6には例えば図1に示すように給気設備1が取り付けられることにより、必要に応じてブロワ28を動作させることで吸気アシストを行うことができる。
【0040】
以上説明したように上記実施形態によれば、粉塵を含む空気環境下において、コンテナ10内に配置された発電設備8に対して適切な給気を行うことが可能な給気設備1、及び、給気設備1の取付方法を実現できる。
【0041】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0042】
(1)一態様に係る給気設備は、
動力源(例えば上記実施形態の内燃機関16)が収容される動力室(例えば上記実施形態のコンテナ10)に空気を供給するための給気設備(例えば上記実施形態の給気設備1)であって、
前記空気が通過可能なフィルタ(例えば上記実施形態のフィルタ24)と、
前記フィルタの下流側に接続された第1端(例えば上記実施形態の第1端26a)、及び、前記動力室に設けられた吸気口(例えば上記実施形態の吸気口20)に脱着可能な第2端(例えば上記実施形態の第2端26b)を有するダクト(例えば上記実施形態のダクト26)と、
前記ダクトのうち前記第1端及び前記第2端の間に設けられたブロワ(例えば上記実施形態のブロワ28)と、
を備える。
【0043】
上記(1)の態様によれば、動力源が収容される動力室の吸気口には、ダクトの一端が取り付けられることによりフィルタを通過した空気が供給可能に構成される。ダクトにはブロワが設けられることで、フィルタやダクトで生じた圧損を、ブロワによる掃気によって低減できる。その結果、動力室には動力源で必要とされる空気を適切に供給することができる。
【0044】
(2)他の態様では、上記(1)の態様において、
前記動力室に対する給気量が許容範囲になるように、前記ブロワを制御する制御部を更に備える。
【0045】
上記(2)の態様によれば、ブロワの動作状態を制御することにより、動力室で動力源の動作に必要な給気量を的確に確保できる。
【0046】
(3)他の態様では、上記(2)の態様において、
前記許容範囲は、前記動力源の負荷に基づいて設定される。
【0047】
上記(3)の態様によれば、動力源に対する給気量の許容範囲が動力源の負荷に応じて可変に設定される。これにより、ブロワの動作状態は動力源の負荷に応じて制御されることで、動力源に対して適切な給気を行うことができる。
【0048】
(4)他の態様では、上記(2)の態様において、
前記許容範囲は、前記ダクトに生じる圧損に基づいて設定される。
【0049】
上記(4)の態様によれば、動力源に対する給気量の許容範囲がダクトで生じる圧損の大きさに応じて可変に設定される。これにより、ブロワの動作状態はダクトに生じる圧損に応じて制御されることで、例えばダクトの径や長さに応じて圧損が変化する場合においても適切な給気が可能となる。
【0050】
(5)他の態様では、上記(1)から(4)のいずれか一態様において、
前記ダクトは、
前記フィルタ及び前記ブロワの間に設けられた固定ダクト(例えば上記実施形態の固定ダクト33)と、
前記ブロワから前記第2端に延びるフレキシブルダクト(例えば上記実施形態のフレキシブルダクト34)と、
を含む。
【0051】
上記(5)の態様によれば、フィルタを通過した空気を動力室に導くためのダクトが、固定ダクトとフレキシブルダクトとを含んで構成される。このようにダクトの一部をフレキシブルダクトで構成することで、給気設備と動力室との相対的位置関係が変化する場合においても、両者を的確に接続して給気を行うことができる。
【0052】
(6)他の態様では、上記(1)から(5)のいずれか一態様において、
前記吸気口は、前記動力室の異なる位置に設けられた複数の吸気口(例えば上記実施形態の第1吸気口20a、第2吸気口20b、第3吸気口20c)を含み、
前記ダクトは前記複数の吸気口に対して分岐する。
【0053】
上記(6)の態様によれば、動力室に複数の吸気口が設けられている場合には、ダクトが各給気口に対して分岐することで、それぞれの吸気口に対してブロワによる給気アシストが可能である。
【0054】
(7)他の態様では、上記(1)から(6)のいずれか一態様において、
前記動力源は、前記動力室に収容された発電設備(例えば上記実施形態の発電設備8)において発電機を駆動するための内燃機関(例えば上記実施形態の内燃機関16)である。
【0055】
上記(7)の態様によれば、動力室に収容された発電設備に用いられる内燃機関に対して、燃焼用吸気や冷却用空気として給気設備によって好適に給気できる。
【0056】
(8)他の態様では、上記(7)の態様において、
前記動力室は、電源車両(例えば上記実施形態の電源車両6)に積載され、前記発電設備を収容するためのコンテナ(例えば上記実施形態のコンテナ10)である。
【0057】
上記(8)の態様によれば、電源車両において電源設備を収容するために搭載されたコンテナに対して、給気設備によって好適に給気できる。
【0058】
(9)他の態様では、上記(1)から(8)のいずれか一態様において、
設置位置が移動可能である。
【0059】
上記(9)の態様によれば、給気設備の設置位置が移動可能になることで、可搬式の給気設備を実現できる。これにより、給気対象である動力室との位置関係を柔軟に変更し、様々な給気対象に対して適用が可能となる。
【0060】
(10)一態様に係る給気設備の取付方法は、
動力源(例えば上記実施形態の内燃機関16)が収容される動力室(例えば上記実施形態のコンテナ10)に空気を供給するための給気設備(例えば上記実施形態の給気設備1)であって、
前記空気が通過可能なフィルタ(例えば上記実施形態のフィルタ24)と、
前記フィルタの下流側に接続された第1端(例えば上記実施形態の第1端26a)、及び、前記動力室に設けられた吸気口(例えば上記実施形態の吸気口20)に脱着可能な第2端(例えば上記実施形態の第2端26b)を有するダクト(例えば上記実施形態のダクト26)と、
前記ダクトのうち前記第1端及び前記第2端の間に設けられたブロワ(例えば上記実施形態のブロワ28)と、
を備える、給気設備の取付方法であって、
前記ダクトの前記第2端が前記動力室の前記吸気口にアクセス可能になるように、前記動力室又は前記給気設備の少なくとも一方を移動する工程(例えば上記実施形態のステップS1)と、
前記第2端を前記吸気口に取り付ける工程(例えば上記実施形態のステップS2)と、
を備える。
【0061】
上記(10)の態様によれば、給気設備と給気対象である動力室との位置関係を調整した上で、動力室に設けられた吸気口に給気設備のダクトが取り付けられる。これにより、給気設備の稼働時には、必要に応じてダクトに設けられたブロワを動作させることで、フィルタやダクトによって圧損が生じた場合においても、動力室に対する給気をアシストすることで必要な給気を行うことができる。
【符号の説明】
【0062】
1 給気設備
2 動力源
6 電源車両
7 前方車室
8 発電設備
10 コンテナ
12 内部空間
14 発電機
16 内燃機関
17 ラジエータファン
19 排気サイレンサ
20 吸気口
20a 第1吸気口
20b 第2吸気口
20c 第3吸気口
22 排出口
22a 第1排出口
22b 第2排出口
24 フィルタ
26 ダクト
26a 第1端
26b 第2端
28 ブロワ
30 制御部
32 支持フレーム
33 固定ダクト
34 フレキシブルダクト
図1
図2
図3
図4