(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-24
(45)【発行日】2023-11-01
(54)【発明の名称】冷菓用組成物
(51)【国際特許分類】
A23G 9/34 20060101AFI20231025BHJP
A23G 9/00 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
A23G9/34
A23G9/00 101
(21)【出願番号】P 2020503554
(86)(22)【出願日】2019-02-27
(86)【国際出願番号】 JP2019007478
(87)【国際公開番号】W WO2019168002
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2021-11-26
(31)【優先権主張番号】P 2018035453
(32)【優先日】2018-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000206956
【氏名又は名称】大塚製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】望月 昭吾
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 博
【審査官】堂畑 厚志
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-109841(JP,A)
【文献】国際公開第2011/045130(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0035418(US,A1)
【文献】特開昭61-085149(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0050810(US,A1)
【文献】特表2013-503156(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0273227(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0031758(US,A1)
【文献】特開2013-087106(JP,A)
【文献】鈴木正人監修,2.0.7 ベタイン,新しい化粧品素材の効能・効果・作用(上),1998年,pp. 226-228
【文献】"難消化性デキストリン|大塚製薬"、[online],2018年09月17日,[2023年06月30日検索]、インターネット< URL :https://web.archive.org/web/20180917042248/https://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/fiber/about/type/dextrin/>
【文献】"ベタイン | 成分情報 | わかさの秘密"、[online],2015年11月26日,[2023年06月30日検索]、インターネット< URL :https://himitsu.wakasa.jp/contents/betaine/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G 9/
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)組成物の全重量に対して約6~15重量%の
イソマルツロース、および、
(B)組成物の全重量に対して約10~30重量%のデキストリン、または、デキストリンと水溶性食物繊維の組合せ、
を含み、破断強度が35N未満であ
り、冷凍した上で喫食される冷菓として使用するものである、冷菓用組成物。
【請求項2】
成分(B)がデキストリンと水溶性食物繊維の組合せである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
成分(B)の全重量に対するデキストリンの割合が、約10~約90重量%である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
デキストリンがマルトデキストリンである、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
水溶性食物繊維が、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、大麦βグルカンまたはこれらの組合せから選択される、請求項1~4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
組成物の全重量に対して約0.1~10重量%のアミノ酸をさらに含む、請求項1~5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
アミノ酸がベタインである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
組成物の全重量に対して約0.05~0.5重量%の増粘多糖類をさらに含む、請求項1~7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
容器に充填されている、請求項1~8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載の冷菓用組成物の製造方法であって、
(A)組成物の全重量に対して約6~15重量%の
イソマルツロース、および、
(B)組成物の全重量に対して約10~30重量%のデキストリン、または、デキストリンと水溶性食物繊維の組合せ、
を水と混合することを含む、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、日本国特許出願第2018-035453号について優先権を主張するものであり、ここに参照することによって、その全体が本明細書中へ組み込まれるものとする。
本願は、冷菓用組成物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
主に夏期または肉体労働や運動の際に、水分と電解質を補給するために、スポーツドリンクが飲用される。特に夏期に、涼感を得るためにスポーツドリンクを冷凍して飲用する消費者が存在するが、通常のペットボトル等の容器に充填された飲料を冷凍すると、体積の増加により容器が破損する可能性があることや、解凍時に成分の濃度のむらが出ることから、製造業者はこれを推奨していない。
【0003】
現代では様々な冷菓が製造販売されており、新しい味や食感をもたらす冷菓に消費者の関心が寄せられる。上記の事情から、スポーツドリンクと同様に水分補給等の効果が得られる冷菓に対する需要があり、さらに、これまでにない食感が得られれば、消費者に好意的に受け入れられることが予想される。
【0004】
一般的に、冷菓は低温で輸送し、保存する必要があり、他の食品よりも流通にかかるコストが高い。常温で流通できる冷菓としては、円筒形プラスチック容器に充填された飲料を、家庭等で冷凍した後、溶かしながら容器から吸い出して飲食するものや、可撓性容器に充填されたシャーベット状飲料を冷凍し、もみほぐして飲用するものが知られている(特許文献1~4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-27917号公報
【文献】特開2010-17163号公報
【文献】特開2015-159790号公報
【文献】特開2016-202045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願は、冷菓用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者らは、特定の成分を含む冷菓用組成物を、冷凍後に適度に解凍することにより、良好な味と食感が得られることを見出した。
【0008】
従って、ある態様では、本願は、
(A)組成物の全重量に対して約6~15重量%のパラチノース、および、
(B)組成物の全重量に対して約10~30重量%のデキストリン、または、デキストリンと水溶性食物繊維の組合せ、
を含む、冷菓用組成物を提供する。
【0009】
別の態様では、冷菓用組成物の製造方法であって、
(A)組成物の全重量に対して約6~15重量%のパラチノース、および、
(B)組成物の全重量に対して約10~30重量%のデキストリン、または、デキストリンと水溶性食物繊維の組合せ、
を水と混合することを含む、製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本願により、常温で流通でき、良好な味と食感をもたらす冷菓として飲食できる組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書では、数値が「約」の用語を伴う場合、その値の±10%の範囲を含むことを意図する。例えば、「約20」は、「18~22」を含むものとする。数値の範囲は、両端点の間の全ての数値および両端点の数値を含む。範囲に関する「約」は、その範囲の両端点に適用される。従って、例えば、「約20~30」は、「18~33」を含むものとする。
【0012】
特に具体的な定めのない限り、本明細書で使用される用語は、食品の製造、流通および販売の分野における当業者に一般に理解されるとおりの意味を有する。以下にいくつかの本明細書で使用される用語についての定義を記載するが、これらの定義は、本明細書において、一般的な理解に優先する。
【0013】
パラチノース(イソマルツロースとも呼ばれる)は、グルコースとフルクトースからなる二糖類である。ショ糖と異なり、α-1,6グルコシド結合した構造を有する。甘味はショ糖の4割程度であり、難齲蝕性甘味料として用いられている。パラチノースの吸収速度はショ糖よりも遅く、血糖値を急激に上昇させず、血中インスリン濃度を大きく変化させない。冷菓用組成物に用いるパラチノースは、食品に対して使用可能なものであれば特に限定されず、例えば、一般的に購入できるものを使用し得る。冷菓用組成物におけるパラチノースの濃度は、組成物の全重量に対して約6~15重量%であり、約7~14重量%であることが好ましく、約8~14重量%であることがより好ましい。さらに、冷菓用組成物に含まれるパラチノースの濃度の範囲の下限値として、6、7、8、9、10、11重量%が挙げられ、上限値の例としては、12、13、14、15重量%が挙げられ、当該範囲の好ましい例は該下限値と上限値の組合せにより示され得る。パラチノースの一部、例えば約0.1~90重量%を、パラチノースと同等の甘味と吸収速度を有する二糖類、例えば、パラチニットおよび/またはトレハロースで置き換えてもよい。
【0014】
冷菓用組成物は、成分(B)として、デキストリン、または、デキストリンと水溶性食物繊維の組合せを含む。即ち、成分(B)は、デキストリンのみであってもよく、デキストリンに加えてさらに水溶性食物繊維を含んでもよい。デキストリンおよび水溶性食物繊維は、いずれも血糖値を急激に上昇させず、甘味が強すぎない炭水化物である。
【0015】
デキストリンは、デンプンまたはグリコーゲンの加水分解で得られる低分子量の炭水化物であり、α-グルコースがα-1,4またはα-1,6結合によって重合した構造を有する。冷菓用組成物に用いるデキストリンは、食品に対して使用可能なものであれば特に限定されず、例えば、一般的に購入できるものを使用し得る。ある実施態様では、デキストロースエクイバレント(DE)が20以下のデキストリンである、マルトデキストリンを用いる。
【0016】
食物繊維は、食品に含まれる、ヒトの消化酵素により加水分解されない難消化性の多糖類やリグニンを意味する。水に対する溶解度によって、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維とに大別され、冷菓用組成物には水溶性食物繊維を用いる。冷菓用組成物に用いる水溶性食物繊維は、食品に対して使用可能なものであれば特に限定されず、例えば、一般的に購入できるものを使用し得る。水溶性食物繊維は、例えば、難消化性デキストリン(例えば、還元難消化性デキストリン)、ポリデキストロース、大麦βグルカンまたはこれらの組合せであり得る。ある実施態様では、水溶性食物繊維は難消化性デキストリンである。ある実施態様では、水溶性食物繊維は還元難消化性デキストリンである。難消化性デキストリンは、デキストリンと同様にα-グルコースが重合した構造を有するが、α-1,4またはα-1,6結合に加えて、α-1,2またはα-1,3結合を含むことを特徴とする。
【0017】
冷菓用組成物における成分(B)の濃度は、組成物の全重量に対して約10~30重量%であり、約10~28重量%であることが好ましく、約12~25重量%であることがより好ましく、約13~23重量%であることがさらに好ましい。さらに冷菓用組成物に含まれる成分(B)の濃度の下限値の例として、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13重量%が挙げられ、上限値の例としては、23、23.5、24、24.5、25、25.5、26、26.5、27、27.5、28、29、30重量%が挙げられ、当該範囲の好ましい例は該下限値と上限値の組合せにより示され得る。
【0018】
成分(B)がデキストリンのみである場合、その濃度は、組成物の全重量に対して約10~30重量%であり、約10~20重量%であることが好ましく、約12~18重量%であることがより好ましく、約14~16重量%であることがさらに好ましい。さらに冷菓用組成物に含まれる成分(B)がデキストリンである場合、その濃度の下限値の例として、10、11、12、13、14重量%が挙げられ、上限値の例としては、16、17、18、19、20重量%が挙げられ、当該範囲の好ましい例は該下限値と上限値の組合せにより示され得る。
【0019】
成分(B)がデキストリンと水溶性食物繊維の組合せである場合、成分(B)の全重量に対するデキストリンの割合は、例えば、約1~99重量%、約10~90重量%、約20~80重量%、約40~75重量%、約50~70重量%、約55~65重量%または約60~65重量%であり得る。成分(B)の全重量に対するデキストリンの割合の下限値の例として、1、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、56、57、58、59、60重量%が挙げられ、上限値の例として、65、66、67、68、69、70、75、80、85、90、95、99重量%が挙げられ、当該範囲の好ましい例は該下限値と上限値の組合せにより示され得る。
【0020】
冷菓用組成物は、さらに、アミノ酸を含んでもよい。冷菓用組成物に用いるアミノ酸は、食品に対して使用可能なものであれば特に限定されず、例えば、一般的に購入できるものを使用し得る。分子量が約70~150であるアミノ酸が好ましい。アミノ酸は、例えば、ベタイン、グリシン、アラニン、グルタミン、プロリンであり得る。ある実施態様では、アミノ酸はベタインである。冷菓用組成物におけるアミノ酸の濃度は、組成物の全重量に対して約0.1~10重量%であり得、約0.5~5重量%であることが好ましく、約0.5~4重量%であることがより好ましく、約1.5~3.0重量%であることがさらに好ましい。さらに冷菓用組成物に含まれるアミノ酸の濃度の下限値として、0.1、0.5、1、1.5重量%が挙げられ、上限値としては3.0、3.5、4、4.5、5、10重量%が挙げられ、当該範囲の好ましい例は該下限値と上限値の組合せにより示され得る。
【0021】
冷菓用組成物は、さらに、糖アルコールを含んでもよい。冷菓用組成物に用いる糖アルコールは、食品に対して使用可能なものであれば特に限定されず、例えば、一般的に購入できるものを使用し得る。分子量が約70~150である糖アルコールが好ましい。糖アルコールは、例えば、グリセリンであり得る。冷菓用組成物における糖アルコールの濃度は、組成物の全重量に対して約0.1~10重量%であり得、約0.5~5重量%であることが好ましく、約0.5~4重量%であることがより好ましく、約1.5~3.0重量%であることがさらに好ましい。さらに冷菓用組成物に含まれる糖アルコールの濃度の下限値として、0.1、0.5、1、1.5重量%が挙げられ、上限値としては3.0、3.5、4、4.5、5、10重量%が挙げられ、当該範囲の好ましい例は該下限値と上限値の組合せにより示され得る。
【0022】
冷菓用組成物は、さらに、増粘多糖類を含んでもよい。冷菓用組成物に用いる増粘多糖類は、食品に対して使用可能なものであれば特に限定されず、例えば、一般的に購入できるものを使用し得る。増粘多糖類は、例えば、ペクチン、カラギナン、グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、キサンタンガム、カードラン、カルボキシメチルセルロースまたはこれらの組合せであり得る。冷菓用組成物における増粘多糖類の濃度は、組成物の全重量に対して約0.01~1重量%であり得、約0.05~0.5重量%であることが好ましく、約0.05~0.2重量%であることがより好ましい。
【0023】
冷菓用組成物は、さらに、風味、外観、保存性等を改善するために、果汁、香料、酸味料、甘味料、色素、防腐剤、酸化防止剤等の添加物を含んでもよい。また、一般的にスポーツドリンクに含まれる電解質、例えば、塩化ナトリウムなどのナトリウム塩、塩化カリウムなどのカリウム塩、乳酸カルシウムなどのカルシウム塩、塩化マグネシウムなどのマグネシウム塩等を含んでもよい。
【0024】
冷菓用組成物の製造方法は、特に限定されず、例えば、各成分を水と混合することにより製造できる。全ての成分を同時に加えて混合してもよく、各成分を順次添加して混合してもよい。冷菓用組成物は、任意の温度、例えば常温で製造することができ、必要に応じて加熱および/または冷却の工程を採用してもよい。
【0025】
冷菓用組成物は、容器に充填された形態で提供され得る。容器は、各種飲料または冷菓において従来から一般的に使用される密閉可能な容器を使用することができ、特に限定されるものではなく、アルミラミネート・フィルム等の軟包装容器、プラスチック(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等)ボトル、ガラス瓶、アルミニウム缶、スチール缶、紙パック等が挙げられる。好ましい容器は、可撓性のある袋状の容器、例えば、パウチ容器である。密封できる容器が好ましく、例えば、口部の端を切り落とすことにより中身を飲食できるようになるパウチ容器や、キャップ付きの口部を有するパウチ容器(スパウト付パウチ容器)を使用し得る。
【0026】
冷菓用組成物を容器に充填する前もしくは後に、殺菌処理を行なってもよい。殺菌処理は、特に制限されず、通常のレトルト殺菌、バッチ殺菌、プレート殺菌、オートクレーブ殺菌などの方法を採用することができる。
【0027】
冷菓用組成物は、常温で流通させることができる。この冷菓用組成物とは、冷やして冷菓または氷菓として供されるものである。冷菓用組成物を消費者が飲食する際には、家庭や販売店舗等の冷凍庫で十分に冷やす。例えば、約-22℃~-18℃に4時間以上置く。その後、常温に置き、必要に応じて容器を手でもみほぐすことにより、冷菓として飲食できる。この冷菓は、冷凍しても硬くなりすぎず、飲食時には適度な柔らかさと甘さをもたらし、独特の滑らかな口溶けを感じさせ得る。
【0028】
冷菓用組成物の硬さは破断強度を指標として測定できる。本願に関して、破断強度は、組成物30gを約-20℃に24時間置き、約20℃に1分間置いた時点で測定した破断強度を意味する。冷菓用組成物の破断強度は、約35N未満、好ましくは約31N未満、より好ましくは約25N未満、さらに好ましくは約20N未満である。破断強度は、クリープメータRE2-33005C(株式会社山電)などのテクスチャーアナライザーにより測定し得る。
【0029】
理論により限定されないが、上記の効果は、溶質による凝固点降下に起因する。このような効果を得るには、通常は多量の溶質が必要とされ、塩分や糖分の摂り過ぎを招く恐れがある。本冷菓用組成物は、甘味が強すぎず、血糖値を急激に上昇させない炭水化物成分により凝固点降下を達成するものであり、生活習慣病予防の観点で好適である。
【0030】
例えば、下記の実施態様が提供される。
[1](A)組成物の全重量に対して約6~15重量%のパラチノース、または、パラチノースと、パラチニットおよびトレハロースから選択される少なくとも1種の二糖類の組合せ、および、
(B)組成物の全重量に対して約10~30重量%のデキストリン、または、デキストリンと水溶性食物繊維の組合せ、
を含む、冷菓用組成物。
[2]パラチニットおよびトレハロースから選択される少なくとも1種の二糖類の総重量が、成分(A)の全重量に対して約0.1~90重量%である、第1項に記載の組成物。
[3](A)組成物の全重量に対して約6~15重量%のパラチノース、および、
(B)組成物の全重量に対して約10~30重量%のデキストリン、または、デキストリンと水溶性食物繊維の組合せ、
を含む、冷菓用組成物。
[4]成分(A)が組成物の全重量に対して約7~14重量%である、第1項~第3項のいずれかに記載の組成物。
[5]成分(A)が組成物の全重量に対して約8~14重量%である、第1項~第4項のいずれかに記載の組成物。
[6]成分(B)が組成物の全重量に対して約10~28重量%である、第1項~第5項のいずれかに記載の組成物。
[7]成分(B)が組成物の全重量に対して約12~25重量%である、第1項~第6項のいずれかに記載の組成物。
[8]成分(B)が組成物の全重量に対して約13~23重量%である、第1項~第7項のいずれかに記載の組成物。
[9]成分(B)がデキストリンと水溶性食物繊維の組合せである、第1項~第8項のいずれかに記載の組成物。
【0031】
[10]成分(B)の全重量に対するデキストリンの割合が、約1~99重量%である、第1項~第9項のいずれかに記載の組成物。
[11]成分(B)の全重量に対するデキストリンの割合が、約10~90重量%である、第1項~第10項のいずれかに記載の組成物。
[12]成分(B)の全重量に対するデキストリンの割合が、約20~80重量%である、第1項~第11項のいずれかに記載の組成物。
[13]成分(B)の全重量に対するデキストリンの割合が、約40~75重量%である、第1項~第12項のいずれかに記載の組成物。
[14]成分(B)の全重量に対するデキストリンの割合が、約50~70重量%である、第1項~第13項のいずれかに記載の組成物。
[15]成分(B)の全重量に対するデキストリンの割合が、約55~65重量%である、第1項~第14項のいずれかに記載の組成物。
[16]成分(B)の全重量に対するデキストリンの割合が、約60~65重量%である、第1項~第15項のいずれかに記載の組成物。
[17]デキストリンがマルトデキストリンである、第1項~第16項のいずれかに記載の組成物。
[18]水溶性食物繊維が、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、大麦βグルカンまたはこれらの組合せである、第1項~第17項のいずれかに記載の組成物。
[19]水溶性食物繊維が、難消化性デキストリンである、第1項~第18項のいずれかに記載の組成物。
[20]水溶性食物繊維が、還元難消化性デキストリンである、第1項~第19項のいずれかに記載の組成物。
【0032】
[20]アミノ酸をさらに含む、第1項~第19項のいずれかに記載の組成物。
[21]組成物の全重量に対して約0.1~10重量%のアミノ酸をさらに含む、第1項~第20項のいずれかに記載の組成物。
[22]組成物の全重量に対して約0.5~5重量%のアミノ酸をさらに含む、第1項~第21項のいずれかに記載の組成物。
[23]組成物の全重量に対して約0.5~4重量%のアミノ酸をさらに含む、第1項~第22項のいずれかに記載の組成物。
[24]組成物の全重量に対して約1.5~3.0重量%のアミノ酸をさらに含む、第1項~第23項のいずれかに記載の組成物。
[25]アミノ酸が、ベタイン、グリシン、アラニン、グルタミン、プロリンまたはこれらの組合せである、第20項~第24項のいずれかに記載の組成物。
[26]アミノ酸がベタインである、第20項~第25項のいずれかに記載の組成物。
[27]糖アルコールをさらに含む、第1項~第16項のいずれかに記載の組成物。
[28]組成物の全重量に対して約0.1~10重量%の糖アルコールをさらに含む、第1項~第27項のいずれかに記載の組成物。
[29]組成物の全重量に対して約0.5~5重量%の糖アルコールをさらに含む、第1項~第28項のいずれかに記載の組成物。
[30]組成物の全重量に対して約0.5~4重量%の糖アルコールをさらに含む、第1項~第29項のいずれかに記載の組成物。
[31]組成物の全重量に対して約1.5~3.0重量%の糖アルコールをさらに含む、第1項~第30項のいずれかに記載の組成物。
[32]糖アルコールが、グリセリンである、第27項~第31項のいずれかに記載の組成物。
[33]増粘多糖類をさらに含む、第1項~第32項のいずれかに記載の組成物。
[34]組成物の全重量に対して約0.01~1重量%の増粘多糖類をさらに含む、第1項~第33項のいずれかに記載の組成物。
[35]組成物の全重量に対して約0.05~0.5重量%の増粘多糖類をさらに含む、第1項~第34項のいずれかに記載の組成物。
[36]組成物の全重量に対して約0.05~0.2重量%の増粘多糖類をさらに含む、第1項~第35項のいずれかに記載の組成物。
[37]増粘多糖類が、ペクチン、カラギナン、グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、キサンタンガム、カードラン、カルボキシメチルセルロースまたはこれらの組合せである、第33項~第36項のいずれかに記載の組成物。
【0033】
[38]電解質をさらに含む、第1項~第37項のいずれかに記載の組成物。
[39]電解質が、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩またはこれらの組合せである、第38項に記載の組成物。
[40]電解質が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、乳酸カルシウム、塩化マグネシウムまたはこれらの組合せである、第38項または第39項に記載の組成物。
[41]容器に充填されている、第1項~第40項のいずれかに記載の組成物。
[42]容器がパウチ容器である、第41項に記載の組成物。
[43]破断強度が約35N未満である、第1項~第42項のいずれかに記載の組成物。
[44]破断強度が約31N未満である、第1項~第43項のいずれかに記載の組成物。
[45]破断強度が約25N未満である、第1項~第44項のいずれかに記載の組成物。
[46]破断強度が約20N未満である、第1項~第45項のいずれかに記載の組成物。
[47]第1項~第46項のいずれかに記載の冷菓用組成物の製造方法であって、
(A)組成物の全重量に対して約6~15重量%のパラチノース、または、パラチノースと、パラチニットおよびトレハロースから選択される少なくとも1種の二糖類の組合せ、および、
(B)組成物の全重量に対して約10~30重量%のデキストリン、または、デキストリンと水溶性食物繊維の組合せ、
を水と混合することを含む、製造方法。
[48]第1項~第46項のいずれかに記載の冷菓用組成物の製造方法であって、
(A)組成物の全重量に対して約6~15重量%のパラチノース、および、
(B)組成物の全重量に対して約10~30重量%のデキストリン、または、デキストリンと水溶性食物繊維の組合せ、
を水と混合することを含む、製造方法。
【0034】
本明細書で引用するすべての文献は、出典明示により本明細書の一部とする。
以下、実施例にて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されない。また、上記の説明は、すべて非限定的なものであり、本発明は添付の特許請求の範囲において定義され、その技術的思想を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【実施例】
【0035】
表1の成分、表2の成分および水を混合し、冷菓用組成物の実施例1~6および比較例1~4を調製した。表2の成分は全例に共通のものである。水の添加量は、組成物の総重量が100gとなるように調節した。
【表1-1】
【表1-2】
【0036】
【0037】
物性試験
金属カップに実施例1~6および比較例1~4各30gを注ぎ、約-20℃の冷凍庫に24時間置き、凍結させた。冷凍庫から出して1分後の破断強度を、テクスチャーアナライザー(クリープメータRE2-33005C(株式会社山電))により測定した(n=6)。結果を表3に示す。
【表3】
平均で35N未満の破断強度を、許容され得る破断強度とした。実施例1~6、比較例1および3は、許容し得る破断強度を示した。比較例2および4は破断強度が高く、許容できない硬さであった。
【0038】
官能試験
表4の項目について3名による官能評価を実施した。1~5の五段階で評価した。甘さは3を最高評価とし、許容幅を設けた。他の項目は、1が最低評価であり、5が最高評価である。
【表4】
【0039】
物性(硬さ)の評価結果を、表5に示す。
【表5】
平均で3.0以上の硬さを、許容され得る硬さとした。実施例1~6、比較例1および3は、許容され得る硬さであった。比較例2および4は許容できない硬さであった。
【0040】
食感の評価結果を、表6に示す。
【表6】
平均で3.0以上の食感を、許容され得る食感とした。実施例1~6、比較例1、2および4は、許容され得る食感であった。比較例3は許容できない食感であった。
【0041】
口溶けの評価結果を、表7に示す。
【表7】
平均で3.0以上の口溶けを、許容され得る口溶けとした。実施例1~6および比較例1~4は、いずれも許容され得る口溶けであった。
【0042】
甘さの評価結果を、表8に示す。
【表8】
平均で2.3以上かつ4.3以下の甘さを、許容され得る甘さとした。実施例1~6、比較例1は、許容され得る甘さであった。比較例2および4は甘さが足りず、比較例3は甘過ぎ、いずれも許容できない甘さであった。
【0043】
澱粉感(粉っぽさ)の評価結果を、表9に示す。
【表9】
平均で2.7以上の澱粉感を、許容され得る澱粉感とした。実施例1~6、比較例2および4は、許容され得る澱粉感であった。比較例1および3は許容できない澱粉感であった。
【0044】
後味の評価結果を、表10に示す。
【表10】
平均で2.7以上の後味を、許容され得る後味とした。実施例1~6、比較例1および4は、許容され得る後味であった。比較例2および3は許容できない後味であった。
【0045】
総合的な味の評価結果を、表11に示す。
【表11】
平均で2.0以上の味を、許容され得る味とした。実施例1~6、比較例1、2および4は、許容され得る味であった。比較例3は許容できない味であった。
【0046】
これらの結果をまとめると、実施例1~6は官能評価のすべての項目で許容され得、比較例1~4は、1つ以上の項目で許容できなかった。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本冷菓用組成物は、常温で輸送および保存できるため、流通コストが抑制される。また、本冷菓用組成物は、良好な味とこれまでにない独特の食感を与え、水分と電解質の補給を可能にするため、消費者に好ましく受け入れられると期待される。