(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-24
(45)【発行日】2023-11-01
(54)【発明の名称】表面保護用粘着シート
(51)【国際特許分類】
C09J 7/38 20180101AFI20231025BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20231025BHJP
C09J 133/00 20060101ALI20231025BHJP
C09J 133/14 20060101ALI20231025BHJP
C09J 133/26 20060101ALI20231025BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J11/08
C09J133/00
C09J133/14
C09J133/26
B32B27/00 M
(21)【出願番号】P 2020522115
(86)(22)【出願日】2019-05-21
(86)【国際出願番号】 JP2019020073
(87)【国際公開番号】W WO2019230495
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】P 2018103994
(32)【優先日】2018-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100154449
【氏名又は名称】谷 征史
(72)【発明者】
【氏名】小川 拓磨
(72)【発明者】
【氏名】中川 善夫
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 健史
(72)【発明者】
【氏名】山本 海斗
【審査官】福山 駿
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-102195(JP,A)
【文献】特開平09-241594(JP,A)
【文献】特開2009-173707(JP,A)
【文献】特開平08-034962(JP,A)
【文献】特開2016-037564(JP,A)
【文献】国際公開第2017/122671(WO,A1)
【文献】特開2010-189545(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
B32B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着剤層及び前記粘着剤層を支持する樹脂基材を有する表面保護用粘着シートであって、
下記の(a1)、(a1-1)、
(a1-6)及び(c1)の条件を満たすことを特徴とする、表面保護用粘着シート。
(a1)前記粘着剤層が、(メタ)アクリル系共重合体及び粘着付与剤を含む粘着剤組成物によって形成された層であり、前記粘着剤組成物における前記粘着付与剤の含有量が、前記(メタ)アクリル系共重合体を100質量部としたときに1.0~30質量部である。
(a1-1)前記(メタ)アクリル系共重合体が、カルボキシル基及びその塩、並びにスルホ基及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を含む構成単位を0.1~2.8質量%含む共重合体である。
(a1-6)前記粘着剤組成物が、前記粘着付与剤として脂環族炭化水素樹脂及びロジン樹脂を含み、前記粘着剤組成物における前記脂環族炭化水素樹脂の含有量が、前記(メタ)アクリル系共重合体を100質量部としたときに1.0~20質量部であり、かつ前記粘着剤組成物における前記ロジン樹脂の含有量が、前記(メタ)アクリル系共重合体を100質量部としたときに1.0~28質量部である。
(c1)前記表面保護用粘着シー
トは、機械方向(MD方向)及び機械方向に垂直な方向(TD方向)の引張弾性率が、それぞれ180~330MPaであ
り、定荷重剥離試験における剥離距離が40mm/hr以下である。
【請求項2】
さらに下記の(a1-2)の条件を満たす、請求項1に記載の表面保護用粘着シート。
(a1-2)前記(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量が、100,000~1,500,000である。
【請求項3】
さらに下記の(a1-3)の条件を満たす、請求項1又は2に記載の表面保護用粘着シート。
(a1-3)前記(メタ)アクリル系共重合体が、下記式(x1)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造及び下記式(y1)で表される(メタ)アクリル酸アミドに由来する構造からなる群より選択される少なくとも1種の構造を構成単位として20~80質量%含む共重合体である。
【化1】
(式(x1)及び(y1)中、Rは水素原子又はメチル基を、R
1はオキサ基、カルボニル基、及びオキシカルボニル基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を含んでいてもよい炭素原子数7~20の炭化水素基を、R
1’はオキサ基、カルボニル基、及びオキシカルボニル基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を含んでいてもよい炭素原子数1~6の炭化水素基、又は水素原子を表す。)
【請求項4】
さらに下記の(a1-4)の条件を満たす、請求項1~3の何れか1項に記載の表面保護用粘着シート。
(a1-4)前記(メタ)アクリル系共重合体が、下記式(x2)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造及び下記式(y2)で表される(メタ)アクリル酸アミドに由来する構造からなる群より選択される少なくとも1種の構造を構成単位として20~80質量%含む共重合体である。
【化2】
(式(x2)及び(y2)中、Rは水素原子又はメチル基を、R
2はオキサ基を含んでいてもよい炭素原子数1~6の炭化水素基を、R
2’はオキサ基を含んでいてもよい炭素原子数1~3の炭化水素基、又は水素原子を表す。)
【請求項5】
さらに下記の(a1-5)の条件を満たす、請求項1~4の何れか1項に記載の表面保護用粘着シート。
(a1-5)前記(メタ)アクリル系共重合体が、下記式(x3)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造及び下記式(y3)で表される(メタ)アクリル酸アミドに由来する構造からなる群より選択される少なくとも1種の構造を構成単位として0.05~1質量%含む共重合体である。
【化3】
(式(x3)及び(y3)中、Rは水素原子又はメチル基を、R
3はヒドロキシル基を含み、オキサ基を含んでいてもよい炭素原子数1~12の炭化水素基を、R
3’はヒドロキシル基を含み、オキサ基を含んでいてもよい炭素原子数1~3の炭化水素基、又は水素原子を表す。)
【請求項6】
さらに下記の(a2)の条件を満たす、請求項1~
5の何れか1項に記載の表面保護用粘着シート。
(a2)前記粘着剤層の厚みが、5.0~30μmである。
【請求項7】
さらに下記の(b1)の条件を満たす、請求項1~
6の何れか1項に記載の表面保護用粘着シート。
(b1)前記樹脂基材の厚みが、30~70μmである。
【請求項8】
さらに下記の(b2)の条件を満たす、請求項1~
7の何れか1項に記載の表面保護用粘着シート。
(b2)前記樹脂基材が、前記樹脂基材の厚み方向を貫き、前記樹脂基材面における形状が線状及び/又は点状で、少なくとも一方向に直線的かつ規則的に配列した複数の貫通孔を有し、隣接する前記貫通孔間の距離が0.20~1.0mmである。
【請求項9】
保護目的の終了後に剥離する、請求項1~
8の何れか1項に記載の表面保護用粘着シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面保護用粘着シートに関し、より詳しくは物品表面の傷付きや汚れの付着を防止するために利用される表面保護用粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、航空機、船舶等の製造、運搬、保管等における傷付きや汚れの付着を防止するために、完成品自体や部品の表面に一時的に樹脂製の粘着シートを貼り付けて、目的の工程や期間経過後にその粘着シートを剥離する作業などが行われている。かかる目的に使用される粘着シートは、一般的に被着体表面に貼付するための粘着剤層と粘着剤層を支持するための樹脂基材を含む構成となっており、目的に応じて材料選定や寸法設計が行われている。
【0003】
例えば特許文献1には、歪の蓄積を抑制しつつ、非汚染性と初期密着性に優れる表面保護シートとするために、特定の粘着付与剤を配合した非架橋のゴム系ポリマーを粘着剤として利用することが提案されている。一方、特許文献2には、粘着剤層の厚みを10μm未満と小さくしつつ、十分な初期密着性を確保するために、粘着剤にイソブチレン単位を含むベースポリマーを利用することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-019776号公報
【文献】特開2014-019777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動車、航空機、船舶等の内外装には、プラスティックのような低極性の被着体と金属のような高極性の被着体、さらに平滑面と粗面が混在しており、これらに利用される粘着シートには各被着体に対する接着力のバランスを確保することが必要である。例えば極性が大きく異なる被着体にまたがって粘着シートが貼付された場合、接着力の低い被着体部分から剥がれや浮きが生じて、保護機能が十分に発揮できないことがあった。
【0006】
一方、自動車、航空機、船舶等の塗装面に生じた傷や素材の露出部分に「タッチアップペイント」と呼ばれる塗料を塗布して修繕することがあるが、このタッチアップペイントの塗布面に対しても粘着シートが貼付されることがある。粘着力が強い粘着シートの場合、剥離した際にタッチアップペイント自体を剥がしてしまうことがあり、新たな問題点として浮かび上がってきている。特にタッチアップペイントにはアクリル系樹脂が使用されているものが多く、アクリル系樹脂に対して親和性の高いアクリル系粘着剤を使用した粘着シートの場合には特に注意が必要である。また、タッチアップペイントを剥がさないような接着力(初期接着力)を設定した場合であっても、経時的に接着力が増加してしまう粘着剤もあり、貼付状態で長期間放置されることにより、タッチアップペイントの剥がれや糊残り等の問題が生じることがあった。
【0007】
本発明は、極性の異なる各被着体に対する接着力のバランスに優れ、剥がれや浮きを抑制できるとともに、タッチアップペイントの剥がれと接着力の経時的増加を抑制できる表面保護用粘着シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の条件を満たす表面保護用粘着シートが、極性の異なる各被着体に対する接着力のバランスに優れ、剥がれや浮きを抑制できるとともに、タッチアップペイントの剥がれと接着力の経時的増加を抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下の通りである。
【0009】
本発明の一態様である表面保護用粘着シート(以下、「態様1」と略す場合がある。)は、粘着剤層及び前記粘着剤層を支持する樹脂基材を有し、下記の(a1)、(a1-1)、及び(c1)の条件を満たすことを特徴とする。
(a1)前記粘着剤層が、(メタ)アクリル系共重合体及び粘着付与剤を含む粘着剤組成物によって形成された層であり、前記粘着剤組成物における前記粘着付与剤の含有量が、前記(メタ)アクリル系共重合体を100質量部としたときに1.0~30質量部である。
(a1-1)前記(メタ)アクリル系共重合体が、カルボキシル基及びその塩、並びにスルホ基及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を含む構成単位を0.1~2.8質量%含む共重合体である。
(c1)前記表面保護用粘着シートの機械方向(MD方向)及び機械方向に垂直な方向(TD方向)の引張弾性率が、それぞれ180~330MPaである。
【0010】
粘着付与剤と(メタ)アクリル系共重合体の極性官能基の種類や量は、低極性や高極性の各被着体に対する接着力に関連する要素であるとともに、タッチアップペイントに対する接着性と接着力の経時的増加にも関連する要素である。また、表面保護用粘着シートの弾性率は、機械的強度、被着体構造への追従性、剥がれや浮きに関連する要素であり、例えば柔軟性に乏しい表面保護用粘着シートを屈曲した被着体部分にまたがるように貼付した場合、表面保護用粘着シート自体の反発力(反る力)によって剥がれが生じることがある。即ち、(a1)、(a1-1)、(c1)の条件は、これらの観点に基づいて選択されたものであり、態様1は、極性の異なる各被着体に対する接着力のバランスに優れ、剥がれや浮きを抑制できるとともに、タッチアップペイントの剥がれと接着力の経時的増加を抑制できる表面保護用粘着シートなのである。
【0011】
本発明の好ましい一態様である表面保護用粘着シート(以下、「態様2」と略す場合がある。)は、さらに下記の(a1-2)の条件を満たす。
(a1-2)前記(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量が、100,000~1,500,000である。
【0012】
(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量は、粘着剤層の機械的強度(特に柔軟性)に関連する要素であり、粘着剤層の応力緩和作用に影響する。即ち、(a1-2)の条件は、この観点に基づいて選択されたものであり、態様2は、応力緩和作用に優れ、剥がれや浮きを抑制できる表面保護用粘着シートなのである。
【0013】
本発明の好ましい一態様である表面保護用粘着シート(以下、「態様3」と略す場合がある。)は、さらに下記の(a1-3)の条件を満たす。
(a1-3)前記(メタ)アクリル系共重合体が、下記式(x1)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造及び下記式(y1)で表される(メタ)アクリル酸アミドに由来する構造からなる群より選択される少なくとも1種の構造を構成単位として20~80質量%含む共重合体である。
【化1】
(式(x1)及び(y1)中、Rは水素原子又はメチル基を、R
1はオキサ基、カルボニル基、及びオキシカルボニル基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を含んでいてもよい炭素原子数7~20の炭化水素基を、R
1’はオキサ基、カルボニル基、及びオキシカルボニル基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を含んでいてもよい炭素原子数1~6の炭化水素基、又は水素原子を表す。)
【0014】
式(x1)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造等の量は、粘着付与剤との相溶性に関連する要素であり、粘着剤層の組成等の自由度に影響する。即ち、(a1-3)の条件は、この観点に基づいて選択されたものであり、態様3は、粘着剤層の組成等について制御しやすい表面保護用粘着シートなのである。
【0015】
本発明の好ましい一態様である表面保護用粘着シート(以下、「態様4」と略す場合がある。)は、さらに下記の(a1-4)の条件を満たす。
(a1-4)前記(メタ)アクリル系共重合体が、下記式(x2)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造及び下記式(y2)で表される(メタ)アクリル酸アミドに由来する構造からなる群より選択される少なくとも1種の構造を構成単位として20~80質量%含む共重合体である。
【化2】
(式(x2)及び(y2)中、Rは水素原子又はメチル基を、R
2はオキサ基を含んでいてもよい炭素原子数1~6の炭化水素基を、R
2’はオキサ基を含んでいてもよい炭素原子数1~3の炭化水素基、又は水素原子を表す。)
【0016】
式(x2)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造等の量は、(メタ)アクリル系共重合体の分子量に関連する要素であり、間接的に粘着剤層の応力緩和作用に影響する。即ち、(a1-4)の条件は、この観点に基づいて選択されたものであり、態様4は、(メタ)アクリル系共重合体の分子量等について制御しやすい表面保護用粘着シートなのである。
【0017】
本発明の好ましい一態様である表面保護用粘着シート(以下、「態様5」と略す場合がある。)は、さらに下記の(a1-5)の条件を満たす。
(a1-5)前記(メタ)アクリル系共重合体が、下記式(x3)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造及び下記式(y3)で表される(メタ)アクリル酸アミドに由来する構造からなる群より選択される少なくとも1種の構造を構成単位として0.05~1質量%含む共重合体である。
【化3】
(式(x3)及び(y3)中、Rは水素原子又はメチル基を、R
3はオキサ基を含んでいてもよく、ヒドロキシル基を含む炭素原子数1~12の炭化水素基を、R
3’はオキサ基を含んでいてもよく、ヒドロキシル基を含む炭素原子数1~3の炭化水素基、又は水素原子を表す。)
【0018】
式(x3)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造等の量は、接着力と水分の非局在化に関連する要素であり、水分等を吸収した場合の白濁等に影響する。即ち、(a1-5)の条件は、この観点に基づいて選択されたものであり、態様5は、接着力に優れるとともに、水分の局在化を抑制して白濁を防止することができる表面保護用粘着シートなのである。
【0019】
本発明の好ましい一態様である表面保護用粘着シート(以下、「態様6」と略す場合がある。)は、さらに下記の(a1-6)の条件を満たす。
(a1-6)前記粘着剤組成物が、前記粘着付与剤として脂環族炭化水素樹脂及びロジン樹脂を含み、前記粘着剤組成物における前記脂環族炭化水素樹脂の含有量が、前記(メタ)アクリル系共重合体を100質量部としたときに1.0~20質量部であり、かつ前記粘着剤組成物における前記ロジン樹脂の含有量が、前記(メタ)アクリル系共重合体を100質量部としたときに1.0~28質量部である。
【0020】
脂環族炭化水素樹脂は粘着剤層の表面状態に、ロジン樹脂は低極性の被着体に対する接着力と機械的強度(特に柔軟性)に関連する要素であり、粘着剤層の応力緩和作用や剥がれや浮きに影響する。即ち、(a1-6)の条件は、この観点に基づいて選択されたものであり、態様6は、接着力、特に低極性の被着体に対する接着力に優れるとともに、応力緩和作用に優れ、剥がれや浮きを抑制できる表面保護用粘着シートなのである。
【0021】
本発明の好ましい一態様である表面保護用粘着シート(以下、「態様7」と略す場合がある。)は、さらに下記の(a2)の条件を満たす。
(a2)前記粘着剤層の厚みが、5.0~30μmである。
【0022】
粘着剤層の厚みは、機械的強度(特に柔軟性)に関連する要素であり、粘着剤層の応力緩和作用に影響する。即ち、(a2)の条件は、この観点に基づいて選択されたものであり、態様7は、応力緩和作用に優れ、剥がれや浮きを抑制できる表面保護用粘着シートなのである。
【0023】
本発明の好ましい一態様である表面保護用粘着シート(以下、「態様8」と略す場合がある。)は、さらに下記の(b1)の条件を満たす。
(b1)前記樹脂基材の厚みが、30~70μmである。
【0024】
樹脂基材の厚みは、表面保護効果と剥がれや浮きに関連する要素である。即ち、(b1)の条件は、これらの観点に基づいて選択されたものであり、態様8は、剥がれや浮きを抑制できるとともに、良好な表面保護効果の確保できる表面保護用粘着シートなのである。
【0025】
本発明の好ましい一態様である表面保護用粘着シート(以下、「態様9」と略す場合がある。)は、さらに下記の(b2)の条件を満たす。
(b2)前記樹脂基材が、前記樹脂基材の厚み方向を貫き、前記樹脂基材面における形状が線状及び/又は点状で、少なくとも一方向に直線的かつ規則的に配列した複数の貫通孔を有し、隣接する前記貫通孔間の距離が0.20~1.0mmである。
【0026】
貫通孔は、表面保護用粘着シートの手切れ性に関係する要素である。即ち、(b2)の条件は、これらの観点に基づいて選択されたものであり、態様9は、手で簡易的に切断することができ、貼付作業を効率よく行うことができる表面保護用粘着シートなのである。
【0027】
本発明の好ましい一態様である表面保護用粘着シートは、保護目的の終了後に剥離するものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、極性の異なる各被着体に対する接着力のバランスに優れるとともに、タッチアップペイントの剥がれと接着力の経時的増加を抑制することができる表面保護用粘着シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1(A)~
図1(D)は、それぞれ、本発明の一態様である表面保護用粘着シートの層構成を表した概念図(断面図)である。
【
図2】本発明の一態様である表面保護用粘着シートの貫通孔を表した概念図(斜視図)である。
【
図3】
図3(A)及び
図3(B)は、それぞれ、本発明の一態様である表面保護用粘着シートの貫通孔を表した概念図(平面図)である。
【
図4】表面保護用粘着シートの定荷重試験を表した概念図である。
【
図5】
図5(A)~
図5(C)は、表面保護用粘着シートの反発力試験を表した概念図である。
【
図6】180°剥離試験において行われる引張特性試験の強さ-変位量曲線を表した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明を説明するに当たり、具体例を挙げて説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り以下の内容に限定されるものではなく、適宜変更して実施することができる。
【0031】
<表面保護用粘着シート>
本発明の一態様である表面保護用粘着シート(以下、「表面保護用粘着シート」と略す場合がある。)は、粘着剤層(以下、「粘着剤層」と略す場合がある。)及び粘着剤層を支持する樹脂基材(以下、「樹脂基材」と略す場合がある。)を有し、下記の(a1)、(a1-1)、及び(c1)の条件を満たすことを特徴とする。
(a1)前記粘着剤層が、(メタ)アクリル系共重合体及び粘着付与剤を含む粘着剤組成物によって形成された層であり、前記粘着剤組成物における前記粘着付与剤の含有量が、前記(メタ)アクリル系共重合体を100質量部としたときに1.0~30質量部である。
(a1-1)前記(メタ)アクリル系共重合体が、カルボキシル基及びその塩、並びにスルホ基及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を含む構成単位を0.1~2.8質量%含む共重合体である。
(c1)前記表面保護用粘着シートの機械方向(MD方向)及び機械方向に垂直な方向(TD方向)の引張弾性率が、それぞれ180~330MPaである。
【0032】
本発明者らは、粘着付与剤と(メタ)アクリル系共重合体の極性官能基の種類や量が、低極性と高極性の各被着体に対する接着力に関連するとともに、タッチアップペイントに対する接着性と接着力の経時的増加にも関連し、さらに表面保護用粘着シートの弾性率が、機械的強度、被着体構造への追従性、剥がれや浮きに関連することを明らかとしたのである。即ち、(a1)、(a1-1)、及び(c1)の条件を満たすことによって、極性の異なる各被着体に対する接着力のバランスに優れ、剥がれや浮きを抑制できるとともに、タッチアップペイントの剥がれと接着力の経時的増加を抑制できる表面保護用粘着シートとなることを見出したのである。
なお、「(メタ)アクリル系共重合体」等における「(メタ)アクリル」とは、メタクリルとアクリルの両方を含む総称を意味するものとする。
【0033】
(a)粘着剤層
粘着剤層は、(メタ)アクリル系共重合体及び粘着付与剤を含む粘着剤組成物によって形成された層であるが、「(メタ)アクリル系共重合体」とは、下記式(x)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する付加重合によって形成される構造(下記式(X)で表される構造)及び下記式(y)で表される(メタ)アクリル酸アミドに由来する付加重合によって形成される構造(下記式(Y)で表される構造)からなる群より選択される少なくとも1種の構造を構成単位として含む共重合体、又は(メタ)アクリル酸若しくは(メタ)アクリル酸に由来する構造のカルボキシル基を、ポリグリセリン、ポリアルキレングリコール等のヒドロキシル基を含む化合物若しくはアミノ基を含む化合物によって変性(エステル化若しくはアミド化)した構造を構成単位として含む共重合体を意味するものとする。なお、(メタ)アクリル系共重合体における「構成単位」の含有量は、(メタ)アクリル系共重合体を合成するときの単量体(原料)の仕込み質量(単量体の総仕込み量を100質量%とする質量%)で表すものとする。
【化4】
(式(x)及び(X)中、Rは水素原子又はメチル基を、R’はヒドロキシル基、カルボキシル基、オキサ基、グリシジル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、トリアルコキシシリル基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、及びヨード基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を含んでいてもよい炭素原子数1~30の炭化水素基を表す。)
【化5】
(式(y)及び(Y)中、Rは水素原子又はメチル基を、R’はヒドロキシル基、カルボキシル基、オキサ基、グリシジル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、トリアルコキシシリル基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、及びヨード基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を含んでいてもよい炭素原子数1~30の炭化水素基を、R”はヒドロキシル基、カルボキシル基、オキサ基、グリシジル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、トリアルコキシシリル基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、及びヨード基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を含んでいてもよい炭素原子数1~30の炭化水素基、又は水素原子を表す。)
「ヒドロキシル基、(中略)からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を含んでいてもよい」とは、-CH
2CH
2OHのように炭化水素基の水素原子がヒドロキシル基等の1価の官能基に置換されていてもよいこと、及び-CH
2OCH
3のように炭化水素基の炭素原子(メチレン基)がオキシ基等の2価以上の官能基に置換されていてもよいことを意味する。
また、「炭化水素基」とは、直鎖状の飽和炭化水素基に限られず、分岐構造、環状構造、炭素-炭素不飽和結合(炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合)を含んでいてもよいことを意味し、不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基が含まれることを意味する。
【0034】
式(x)で表される(メタ)アクリル酸エステル、式(y)で表される(メタ)アクリル酸アミドとしては、下記式で表される化合物が挙げられる。なお、下記式で表される化合物は市販されており、適宜入手して(メタ)アクリル系共重合体の構成単位として導入することができる。
【化6】
以下、「(メタ)アクリル系共重合体」について詳細に説明する。
【0035】
(メタ)アクリル系共重合体は、カルボキシル基及びその塩、並びにスルホ基及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を含む構成単位(以下、「カルボキシル基等含有構成単位」と略す場合がある。)を0.1~2.8質量%含む共重合体である。カルボキシル基等含有構成単位における「カルボキシル基及びその塩、並びにスルホ基及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種の官能基」の数(1つの構成単位当たり)は、通常5つ以下、好ましくは3つ以下、より好ましくは2つ以下、特に好ましくは1つである。なお、カルボキシル基等含有構成単位が2つ以上のカルボキシル基を有している場合、カルボキシル基同士が脱水縮合した無水物の状態であってもよい。
カルボキシル基等含有構成単位に含まれるカルボキシル基以外の官能基としては、オキサ基(-O-)、カルボニル基(-C(=O)-)、オキシカルボニル基(-OC(=O)-)、アミノ基(-N<)、アミド基(>NC(=O)-)、フルオロ基(-F)、クロロ基(-Cl)、ブロモ基(-Br)、ヨード基(-I)等が挙げられる。
カルボキシル基等含有構成単位の炭素原子数は、通常3以上であり、通常20以下、好ましくは18以下、より好ましくは16以下、さらに好ましくは14以下、特に好ましくは12以下である。
カルボキシル基等含有構成単位としては、下記式で表されるような(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アミド等に由来する構造が挙げられ、アクリル酸に由来する構造、メタクリル酸に由来する構造が特に好ましい。なお、下記式で表される化合物は市販されており、適宜入手して(メタ)アクリル系共重合体の構成単位として導入することができる。
【化7】
【0036】
その他のカルボキシル基等含有構成単位としては、付加重合によって(メタ)アクリル酸エステル等と共重合体を形成し得るビニル系化合物、スチレン系化合物、アリル系化合物、環状オレフィン系化合物等の炭素-炭素不飽和結合を含む化合物に由来する構造が挙げられる(下記式参照)。なお、下記式で表される化合物は市販されており、適宜入手して(メタ)アクリル系共重合体の構成単位として導入することができる。
【化8】
【0037】
(メタ)アクリル系共重合体におけるカルボキシル基等含有構成単位の含有量(2種類以上含む場合は総含有量)は、0.1~2.8質量%であるが、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.4質量%以上、さらに好ましくは0.6質量%以上、特に好ましくは0.8質量%以上であり、好ましくは2.6質量%以下、より好ましくは2.3質量%以下、さらに好ましくは2.0質量%以下、特に好ましくは1.5質量%以下である。前記範囲内であると、極性の異なる各被着体に対する接着力のバランスに特に優れるとともに、タッチアップペイントの剥がれと接着力の経時的増加を効果的に抑制できる。
【0038】
(メタ)アクリル系共重合体は、カルボキシル基等含有構成単位を0.1~2.8質量%含む共重合体であれば、その他については特に限定されないが、構成単位の種類は、カルボキシル基等含有構成単位を含めて通常2種類以上、好ましくは3種類以上、より好ましくは4種類以上であり、通常8種類以下、好ましくは6種類以下である。前記範囲内であると、粘着剤層の組成や(メタ)アクリル系共重合体の分子量等について制御しやすくなるとともに、製造コストを抑えることができる。
【0039】
カルボキシル基等含有構成単位以外の(メタ)アクリル系共重合体の構成単位として、下記式(x1)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造、下記式(y1)で表される(メタ)アクリル酸アミドに由来する構造が挙げられる。
【化9】
(式(x1)及び(y1)中、Rは水素原子又はメチル基を、R
1はオキサ基、カルボニル基、及びオキシカルボニル基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を含んでいてもよい炭素原子数7~20の炭化水素基を、R
1’はオキサ基、カルボニル基、及びオキシカルボニル基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を含んでいてもよい炭素原子数1~6の炭化水素基、又は水素原子を表す。)
【0040】
式(x1)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造と式(y1)で表される(メタ)アクリル酸アミドに由来する構造は、粘着付与剤との相溶性に関連する要素であり、粘着剤層の組成等の自由度に影響する。
式(x1)及び(y1)のR1の炭素原子数は、好ましくは10以下、より好ましくは9以下である。
式(y1)のR1’の炭化水素基の炭素原子数は、好ましくは4以下、より好ましくは3以下である。
【0041】
式(x1)で表される(メタ)アクリル酸エステル、式(y1)で表される(メタ)アクリル酸アミドとしては、下記式で表される化合物が挙げられる。なお、下記式で表される化合物は市販されており、適宜入手して(メタ)アクリル系共重合体の構成単位として導入することができる。なお、下記式で表される化合物は市販されており、適宜入手して(メタ)アクリル系共重合体の構成単位として導入することができる。
【化10】
【0042】
(メタ)アクリル系共重合体における式(x1)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造及び式(y1)で表される(メタ)アクリル酸アミドに由来する構造からなる群より選択される少なくとも1種の構造の構成単位としての含有量(2種類以上含む場合は総含有量)は、通常20~99質量%であるが、好ましくは25質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは35質量%以上、特に好ましくは40質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下、特に好ましくは60質量%以下である。前記範囲内であると、粘着付与剤との相溶性を効果的に高め、粘着剤層の組成等をより制御しやすくなる。
【0043】
カルボキシル基等含有構成単位以外の(メタ)アクリル系共重合体の構成単位として、下記式(x2)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造、下記式(y2)で表される(メタ)アクリル酸アミドに由来する構造も挙げられる。
【化11】
(式(x2)及び(y2)中、Rは水素原子又はメチル基を、R
2はオキサ基を含んでいてもよい炭素原子数1~6の炭化水素基を、R
2’はオキサ基を含んでいてもよい炭素原子数1~3の炭化水素基、又は水素原子を表す。)
【0044】
式(x2)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造と式(y2)で表される(メタ)アクリル酸アミドに由来する構造は、(メタ)アクリル系共重合体の分子量に関連する要素であり、間接的に粘着剤層の応力緩和作用に影響する。
式(x2)及び(y2)のR2の炭素原子数は、好ましくは5以下、より好ましくは4以下である。
【0045】
式(x2)で表される(メタ)アクリル酸エステル、式(y2)で表される(メタ)アクリル酸アミドとしては、下記式で表される化合物が挙げられる。なお、下記式で表される化合物は市販されており、適宜入手して(メタ)アクリル系共重合体の構成単位として導入することができる。なお、下記式で表される化合物は市販されており、適宜入手して(メタ)アクリル系共重合体の構成単位として導入することができる。
【化12】
【0046】
(メタ)アクリル系共重合体における式(x2)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造及び式(y2)で表される(メタ)アクリル酸アミドに由来する構造からなる群より選択される少なくとも1種の構造の構成単位としての含有量(2種類以上含む場合は総含有量)は、通常20~80質量%であるが、好ましくは25質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは35質量%以上、特に好ましくは40質量%以上であり、好ましくは75質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは65質量%以下、特に好ましくは60質量%以下である。前記範囲内であると、(メタ)アクリル系共重合体の分子量等について制御しやすくなる。
【0047】
カルボキシル基等含有構成単位以外の(メタ)アクリル系共重合体の構成単位として、下記式(x3)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造、下記式(y3)で表される(メタ)アクリル酸アミドに由来する構造も挙げられる。
【化13】
(式(x3)及び(y3)中、Rは水素原子又はメチル基を、R
3はオキサ基を含んでいてもよく、ヒドロキシル基を含む炭素原子数1~12の炭化水素基を、R
3’はオキサ基を含んでいてもよく、ヒドロキシル基を含む炭素原子数1~3の炭化水素基、又は水素原子を表す。)
なお、式(x3)及び(y3)中の「ヒドロキシル基」とは、カルボキシル基、スルホ基等中のヒドロキシル基は該当しないものとする。
【0048】
式(x3)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造と式(y3)で表される(メタ)アクリル酸アミドに由来する構造は、接着力と水分の非局在性に関連する要素であり、水分等を吸収した場合の白濁等にも影響する。
式(x3)及び(y3)のR2の炭素原子数は、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、さらに好ましくは6以下、特に好ましくは4以下である。
【0049】
式(x3)で表される(メタ)アクリル酸エステル、式(y3)で表される(メタ)アクリル酸アミドとしては、下記式で表される化合物が挙げられる。なお、下記式で表される化合物は市販されており、適宜入手して(メタ)アクリル系共重合体の構成単位として導入することができる。なお、下記式で表される化合物は市販されており、適宜入手して(メタ)アクリル系共重合体の構成単位として導入することができる。
【化14】
【0050】
(メタ)アクリル系共重合体における式(x3)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造及び式(y3)で表される(メタ)アクリル酸アミドに由来する構造からなる群より選択される少なくとも1種の構造の構成単位としての含有量(2種類以上含む場合は総含有量)は、通常0.05~1質量%であるが、好ましくは0.06質量%以上、より好ましくは0.08質量%以上、さらに好ましくは0.10質量%以上、特に好ましくは0.12質量%以上であり、好ましくは0.8質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.3質量%以下、特に好ましくは0.2質量%以下である。前記範囲内であると、接着力に優れるとともに、水分の局在化を抑制して白濁を効果的に防止することができる。
【0051】
(メタ)アクリル系共重合体は、式(x)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来して形成される構造及び式(y)で表される(メタ)アクリル酸アミドに由来して形成される構造からなる群より選択される少なくとも1種の構造等を構成単位として含む共重合体であれば、それ以外の構造を構成単位として含むものであってもよいが、それ以外の構造としては、付加重合によって(メタ)アクリル酸エステル等と共重合体を形成し得るビニル系化合物、スチレン系化合物、アリル系化合物、環状オレフィン系化合物等の炭素-炭素不飽和結合を有する化合物が挙げられる。
【0052】
(メタ)アクリル系共重合体における式(x)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来して形成される構造及び式(y)で表される(メタ)アクリル酸アミドに由来して形成される構造からなる群より選択される少なくとも1種の構造の構成単位としての総含有量は、通常50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上、最も好ましくは100質量%である。前記範囲内であると、極性の異なる各被着体に対する接着力のバランスが特に優れるとともに、タッチアップペイントの剥がれと接着力の経時的増加をより効果的に抑制することができる。
【0053】
(メタ)アクリル系共重合体を製造するための重合方法及び重合条件は、溶液重合法、塊状(バルク)重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合方法及び重合条件を適宜採用することができる。
【0054】
重合開始剤としては、下記式で表されるようなアゾ重合開始剤が挙げられる。なお、下記式で表される化合物は市販されており、適宜入手して(メタ)アクリル系共重合体の製造に利用することができる。
【化15】
【0055】
(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)は、通常100,000~1,500,000であり、好ましくは200,000以上、より好ましくは400,000以上、さらに好ましくは600,000以上、特に好ましくは650,000以上、最も好ましくは700,000以上であり、好ましくは1,400,000以下、より好ましくは1,300,000以下である。前記範囲内であると、応力緩和作用が特に優れ、剥がれや浮きを効果的に抑制できる。
【0056】
粘着剤層は、(メタ)アクリル系共重合体及び粘着付与剤を含む粘着剤組成物によって形成された層であるが、「粘着付与剤」とは、粘着性の付与等を目的に配合される公知の添加剤(「タッキファイヤ(tackifier)」と呼ばれることがある。)を意味し、一般的に常温で液体又は固体の熱可塑性樹脂である。
粘着付与剤としては、ロジン系樹脂(ロジン(ガムロジン、トールロジン、ウッドロジン)、変性ロジン(水素添加ロジン、不均化ロジン、重合ロジン)、ロジンエステル)、テルペン系樹脂(テルペン樹脂(α-ピネン系、β-ピネン系、ジペンテン等)、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂)等の天然樹脂系;脂肪族炭化水素樹脂、芳香族炭化水素樹脂、脂肪族・芳香族炭化水素共重合樹脂、脂環族炭化水素樹脂、スチレン樹脂、フェノール樹脂(アルキルフェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂等)、キシレン樹脂等の合成樹脂系が挙げられる。
【0057】
粘着付与剤の軟化点は、通常60~180℃であるが、好ましくは90℃以上、より好ましくは110℃以上、さらに好ましくは120℃以上ある。前記範囲内であると、自動車の窓ガラス等を曇らせる、いわゆる「フォギング」を抑制することができる。なお、粘着付与剤の軟化点は、日本工業規格JIS K5902:2006又は日本工業規格JIS K2207:2006に規定されている軟化点試験方法(環球法)によって測定された数値を意味するものとする。
【0058】
粘着剤組成物における粘着付与剤の含有量(2種類以上含む場合は総含有量)は、(メタ)アクリル系共重合体を100質量部としたときに1.0~30質量部であるが、好ましくは2.0質量部以上、より好ましくは4.0質量部以上、さらに好ましくは8.0質量部以上、特に好ましくは12質量部以上であり、好ましくは26質量部以下、より好ましくは22質量部以下、さらに好ましくは18質量部以下、特に好ましくは16質量部以下である。前記範囲内であると、極性の異なる各被着体に対する接着力のバランスに特に優れるとともに、タッチアップペイントの剥がれと接着力の経時的増加を効果的に抑制できる。
【0059】
粘着付与剤は、2種類以上配合されることが好ましく、通常5種類以下、4種類以下配合されることが好ましい。以下、2種類以上の粘着付与剤を配合する態様について詳細に説明する。
2種類以上の粘着付与剤を配合する場合、脂環族炭化水素樹脂及びロジン樹脂を含むことが好ましい。脂環族炭化水素樹脂は粘着剤層の表面状態を改善し、低極性の被着体に対する接着力を高める作用があり、ロジン樹脂は粘着剤層の応力緩和作用が増加させる作用がある。
脂環族炭化水素樹脂としては、芳香族炭化水素樹脂を水素化(水添)して製造した脂環族炭化水素樹脂が好ましく、荒川化学工業株式会社製のアルコン(Pシリーズ、Mシリーズ、様々な軟化点のものが販売されている。)、JXTGエネルギー株式会社製のT-REZ(Hシリーズ)、出光興産株式会社製のアイマーブ等が挙げられる。
ロジン樹脂としては、ロジンエステル(特に、重合ロジンエステル)が好ましく、荒川化学工業株式会社製のペンセル(Dシリーズ、C、KK、様々な軟化点のものが販売されている。)が挙げられる。
【0060】
粘着剤組成物における脂環族炭化水素樹脂の含有量(2種類以上含む場合は総含有量)は、(メタ)アクリル系共重合体を100質量部としたときに、通常1.0~20質量部であるが、好ましくは1.5質量部以上、より好ましくは2.0質量部以上、さらに好ましくは2.5質量部以上、特に好ましくは3.0質量部以上であり、好ましくは18質量部以下、より好ましくは14質量部以下、さらに好ましくは12質量部以下、特に好ましくは10質量部以下、最も好ましくは7.0質量部以下である。前記範囲内であると、粘着剤層の表面状態を良好に保ち、剥がれや浮きを効果的に抑制できる。また、金属のような高極性の被着体につきすぎず、ガラスの霞みを防止することができる。
【0061】
粘着剤組成物におけるロジン樹脂の含有量(2種類以上含む場合は総含有量)は、(メタ)アクリル系共重合体を100質量部としたときに、通常1.0~30質量部であるが、好ましくは2.0質量部以上、より好ましくは4.0質量部以上、さらに好ましくは6.0質量部以上、特に好ましくは8.0質量部以上であり、好ましくは25質量部以下、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは16質量部以下、特に好ましくは12質量部以下、最も好ましくは10質量部以下である。前記範囲内であると、接着力、特に低極性の被着体に対する接着力に特に優れるとともに、応力緩和作用に優れ、剥がれや浮きを効果的に抑制できる。
【0062】
粘着剤層は、(メタ)アクリル系共重合体及び粘着付与剤を含む粘着剤組成物によって形成される層であるが、粘着剤層の形成方法としては、樹脂基材に粘着剤組成物を塗布して形成する直接法、粘着組成物によって層を形成し、樹脂基材に転写する転写法が挙げられる。
粘着剤組成物の塗布方法としては、グラビアロールコーター、ディップロールコーター、ダイコーター等が挙げられる。
塗布した粘着剤組成物を加熱乾燥する場合の温度は、通常40~150℃であり、好ましくは60℃以上、好ましくは130℃以下である。
【0063】
粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系共重合体及び粘着付与剤以外の化合物を含んでいてもよく、架橋剤を含むことが好ましい。架橋剤を含むと、接着力のバランスに優れる表面保護用粘着シートを製造しやすくなる。
架橋剤としては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、イソシアナト基、炭素-炭素不飽和結合等と反応し得るエポキシ基を2以上含むエポキシ系架橋剤;カルボキシル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基等と反応し得るイソシアナト基を2以上含むイソシアナート系架橋剤;カルボキシル基、ヒドロキシル基等と反応し得るオキサゾリン構造を2以上含むオキサゾリン系架橋剤等が挙げられ、下記式で表されるようなエポキシ系架橋剤、イソシアナート系架橋剤が好ましく、エポキシ系架橋剤が特に好ましい。エポキシ系架橋剤であると、接着力のバランスに優れる表面保護用粘着シートを製造しやすくなる。なお、下記式で表される化合物は市販されており、適宜入手して粘着剤層の形成に利用することができる(例えば、三菱ガス化学株式会社製「TETRAD-C」が挙げられる。)。
【化16】
【0064】
粘着剤組成物における架橋剤の含有量(2種類以上含む場合は総含有量)は、(メタ)アクリル系共重合体を100質量部としたときに、通常0.01~0.5質量部であるが、好ましくは0.02質量部以上、より好ましくは0.03質量部以上、さらに好ましくは0.05質量部以上、特に好ましくは0.07質量部以上であり、好ましくは0.3質量部以下、より好ましくは0.25質量部以下、さらに好ましくは0.2質量部以下、特に好ましくは0.15質量部以下である。前記範囲内であると、極性の異なる各被着体に対する接着力のバランスに優れる表面保護用粘着シートを製造しやすくなる。
【0065】
粘着剤層及び粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系共重合体、粘着付与剤、架橋剤以外の化合物を含んでもよく、添加剤としてはレベリング剤、架橋助剤、可塑剤、軟化剤、充填材、着色剤(顔料、染料等)、帯電防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤等が挙げられる。
【0066】
粘着剤層の厚みは、通常5.0~30μmであるが、好ましくは8.0μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは12μm以上、特に好ましくは14μm以上であり、好ましくは25μm以下、より好ましくは22μm以下、さらに好ましくは20μm以下、特に好ましくは18μm以下である。前記範囲内であると、応力緩和作用に優れ、剥がれや浮きを効果的に抑制できる。なお、粘着剤層の厚みは、光学顕微鏡、電子顕微鏡等を用いて断面観察を行うことによって測定した数値を意味するものとする。
【0067】
(b)樹脂基材
樹脂基材の高分子の種類としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリイミド樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂等が挙げられるが、ポリオレフィン樹脂が特に好ましい。
樹脂基材の高分子は、1種類の単量体からなるホモポリマーに限られず、2種類以上の単量体からなるランダム共重合体又はブロック共重合体であってもよい。
樹脂基材は、1種類の高分子からなるものに限られず、2種類以上の高分子を含むアロイ・ブレンド(相溶性アロイ、非相溶性アロイ)であってもよく、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)を含むことが特に好ましく、具体的には、東レフィルム加工株式会社製「トレテックCF47W」が挙げられる。
以下、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)を含む樹脂基材について詳細に説明する。
【0068】
ポリエチレン(PE)の密度は、通常0.90~0.97g/cm3であるが、好ましくは0.96g/cm3以下、より好ましくは0.95g/cm3以下、さらに好ましくは0.94g/cm3以下である。前記範囲内であると、被着体構造への追従性を確保しやすくなる。なお、ポリエチレンの密度は、国際標準化機構規格ISO1183-1:2012に準拠して決定される数値を意味するものとする。
【0069】
ポリエチレン(PE)のショア硬度は、通常D41~D70であるが、好ましくはD65以下、より好ましくはD60以下、さらに好ましくはD55以下である。前記範囲内であると、被着体構造への追従性を確保しやすくなる。
【0070】
樹脂基材におけるポリエチレン(PE)の含有量(2種類以上含む場合は総含有量)は、通常1~40質量%であるが、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは8質量%以上、特に好ましくは10質量%以上であり、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下、特に好ましくは20質量%以下である。前記範囲内であると、被着体構造への追従性を確保しやすくなる。
【0071】
ポリプロピレン(PP)の密度は、通常0.90~0.91g/cm3であるが、好ましくは0.901g/cm3以上、より好ましくは0.902g/cm3以上、さらに好ましくは0.903g/cm3以上、特に好ましくは0.904g/cm3以上であり、好ましくは0.909g/cm3以下、より好ましくは0.908g/cm3以下、さらに好ましくは0.907g/cm3以下、特に好ましくは0.906g/cm3以下である。前記範囲内であると、機械的強度を確保しやすくなる。なお、ポリプロピレンの密度は、国際標準化機構規格ISO1183-1:2012に準拠して決定される数値を意味するものとする。
【0072】
ポリプロピレン(PP)のロックウェル硬度は、通常R80~R110であるが、好ましくはR85以上、より好ましくはR86以上、さらに好ましくはR87以上、特に好ましくはR90以上であり、好ましくはR105以下、より好ましくはR100以下、さらに好ましくはR98以下、特に好ましくはR90以下である。前記範囲内であると、機械的強度を確保しやすくなる。
【0073】
樹脂基材におけるポリプロピレン(PP)の含有量(2種類以上含む場合は総含有量)は、通常60~99質量%であるが、好ましくは65質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは75質量%以上、特に好ましくは80質量%以上であり、好ましくは97質量%以下、より好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは92質量%以下、特に好ましくは90質量%以下である。前記範囲内であると、機械的強度を確保しやすくなる。
【0074】
樹脂基材は、目的に応じて公知の顔料、充填材、酸化防止剤、光安定剤(ラジカル捕捉剤、紫外線吸収剤等含む。)、スリップ剤、アンチブロッキング剤等の添加剤を含むものであってもよい。
【0075】
樹脂基材は、目的に応じて公知の酸処理、コロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理、剥離処理剤等の表面処理が行われていてもよい。
【0076】
樹脂基材の厚みは、通常30~70μmであるが、好ましくは35μm以上、より好ましくは40μm以上であり、好ましくは65μm以下、より好ましくは60μm以下である。前記範囲内であると、機械的強度、被着体構造への追従性を確保しやすくなるとともに、剥がれや浮きを効果的に抑制できる。なお、樹脂基材の厚みは、光学顕微鏡、電子顕微鏡等を用いて断面観察を行うことによって測定した数値を意味するものとする。
【0077】
樹脂基材は、樹脂基材の厚み方向を貫き、樹脂基材面における形状が線状及び/又は点状で、少なくとも一方向に直線的かつ規則的に配列した複数の貫通孔を有することが好ましく、隣接する貫通孔間の距離が0.20~1.0mmであることが好ましい。
図2は貫通孔が存在する表面保護用粘着シート200の一部分を表した概念図(斜視図)であり、樹脂基材面201における形状が巨視的に線状(微視的に長方形状)である貫通孔202が方向203に平行に直線的かつ規則的に配列している。また、隣接する貫通孔202間の距離204が0.20~1.0mmの範囲内であり、隣接する貫通孔間の距離は全て同一である。前記のような貫通孔を有することによって、表面保護用粘着シートを手で簡易的に切断することができ、表面保護用粘着シートの貼付作業を効率よく行うことができる。なお、貫通孔は、樹脂基材のみならず、樹脂基材と同一位置の粘着剤層も貫き、表面保護用粘着シートの厚み方向を貫くものであることが好ましい。
【0078】
貫通孔の形状としては、
図3(A)、(B)に記載されているような点状、線状のものが挙げられる。
図3(A)、(B)は、貫通孔を表した概念図(樹脂基材面の平面図)であり、
図3(A)は樹脂基材面における形状が巨視的に線状(微視的に長方形状)である貫通孔310が方向311に平行に直線的かつ規則的に配列している例であり、
図3(B)は樹脂基材面における形状が巨視的に点状(微視的に正方形状)である貫通孔320が方向321に平行に直線的かつ規則的に配列している例である。
【0079】
隣接する貫通孔間の距離(
図2の204、
図3(A)の312、
図3(B)の322)は、通常0.20~1.0mmであるが、好ましくは0.30mm以上、より好ましくは0.40mm以上、さらに好ましくは0.50mm以上であり、好ましくは0.90mm以下、より好ましくは0.80mm以下、さらに好ましくは0.70mm以下である。前記範囲内であると、より簡易的に切断することができる。
【0080】
樹脂基材面における貫通孔の短辺(
図3(A)の313、
図3(B)に示すような点状の貫通孔では配列方向321に沿う径323及び配列方向321に垂直な方向の径324)の長さは、通常20~400μmであるが、好ましくは30μm以上、より好ましくは40μm以上、さらに好ましくは60μm以上であり、好ましくは360μm以下、より好ましくは340μm以下、さらに好ましくは320μm以下である。前記範囲内であると、より簡易的に切断することができる。
【0081】
樹脂基材面における形状が線状である貫通孔の樹脂基材面における長辺(
図3(A)の314)の長さは、通常0.50~1.5mmであるが、好ましくは0.60mm以上、より好ましくは0.80mm以上、さらに好ましくは0.90mm以上であり、好ましくは1.4mm以下、より好ましくは1.3mm以下、さらに好ましくは1.2mm以下である。前記範囲内であると、より簡易的に切断することができる。
【0082】
貫通孔の形成方法は、特に限定されず、公知の方法を適宜採用することができるが、通常貫通孔に合わせた形状の刃物で樹脂基材又は表面保護用粘着シートを貫くこと、レーザーで樹脂基材又は表面保護用粘着シートを貫くことが挙げられる。なお、刃物による貫通孔の形成方法としては、ロータリー式、ギロチン式等が挙げられる。
【0083】
(c)表面保護用粘着シート
表面保護用粘着シートは、粘着剤層及び粘着剤層を支持する樹脂基材を有するものであれば、その他の層を有するものであってもよい。例えば、
図1(A)の表面保護用粘着シート110のように粘着剤層111及び樹脂基材112のみを有するものであってもよく、
図1(B)に示す表面保護用粘着シート120のように粘着剤層121及び樹脂基材122に加えて、中間層123を有するものであってもよく、
図1(C)に示す表面保護用粘着シート130のように粘着剤層131及び樹脂基材132に加えて、表面層134を有するものであってもよく、
図1(D)に示す表面保護用粘着シート140のように粘着剤層141及び樹脂基材142に加えて、中間層143及び表面層144を有するものであってもよい。
【0084】
表面保護用粘着シートの粘着剤層及び樹脂基材以外の層の数は、通常5以下、好ましくは3以下、さらに好ましくは2以下、特に好ましくは1以下である。前記範囲内であると、製造コストを抑えることができる。
【0085】
表面保護用粘着シートは、剥離ライナーを有してもよい。
剥離ライナーの材質としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂;ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等が挙げられる。なお、剥離ライナーは、通常粘着剤層との接着面に剥離処理がなされる。
【0086】
表面保護用粘着シートの厚みは、通常35~100μmであるが、好ましくは40μm以上、より好ましくは45μm以上、さらに好ましくは50μm以上、特に好ましくは55μm以上であり、好ましくは90μm以下、より好ましくは85μm以下、さらに好ましくは80μm以下、特に好ましくは75μm以下である。前記範囲内であると、機械的強度、被着体構造への追従性を確保しやすくなるとともに、剥がれや浮きを効果的に抑制できる。なお、表面保護用粘着シートの厚みは、光学顕微鏡、電子顕微鏡等を用いて断面観察を行うことによって測定した数値を意味するものとする。
【0087】
表面保護用粘着シートは、機械方向(MD方向)及び機械方向に垂直な方向(TD方向)の引張弾性率がそれぞれ180~330MPaであるが、「機械方向(MD方向)」とは、製造、加工等における表面保護用粘着シートの移動方向を、「機械方向に垂直な方向(TD方向)」はこれに垂直な方向を意味するものとする(
図2参照。)。
「引張弾性率」は、下記条件の引張特性試験において、「引張ひずみ」0.25%~0.05%間の「引張応力」の差(σ
0.25%-σ
0.05%)を、「引張ひずみ」0.25~0.05%間の「引張ひずみ」の差(ε
0.25%-ε
0.05%)で除した数値を意味するものとする。なお、下記条件に記載されていない事項については、日本工業規格JIS K7161:1994(国際標準化機構規格ISO527-1を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。)及び日本工業規格JIS K7127:1989に準拠して行うものとする。
(引張特性試験の条件)
・標点間距離(gauge length)L:25mm
・チャック間距離:50mm
・試験速度(speed of testing)v:0.5mm/min
・引張ひずみ(tensile strain)の測定方法:ビデオ式非接触伸び幅計
【0088】
表面保護用粘着シートの機械方向(MD方向)の引張弾性率は、好ましくは190MPa以上、より好ましくは200MPa以上、さらに好ましくは205MPa以上、特に好ましくは210MPa以上であり、好ましくは320MPa以下、より好ましくは310MPa以下、さらに好ましくは300MPa以下、特に好ましくは290MPa以下である。前記範囲内であると、機械的強度、被着体構造への追従性を確保しやすくなるとともに、剥がれや浮きを効果的に抑制できる。
【0089】
表面保護用粘着シートの機械方向に垂直な方向(TD方向)の引張弾性率は、好ましくは190MPa以上、より好ましくは200MPa以上、さらに好ましくは205MPa以上、特に好ましくは210MPa以上であり、好ましくは320MPa以下、より好ましくは310MPa以下、さらに好ましくは300MPa以下、特に好ましくは290MPa以下である。前記範囲内であると、機械的強度、被着体構造への追従性を確保しやすくなるとともに、剥がれや浮きを効果的に抑制できる。
【0090】
表面保護用粘着シートのMD方向の引張弾性率とTD方向の引張弾性率の比率(TD方向の引張弾性率/MD方向の引張弾性率)は、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.6以上、さらに好ましくは0.7以上、特に好ましくは0.8以上であり、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.4以下、さらに好ましくは1.3以下、特に好ましくは1.2以下である。前記範囲内であると、機械的強度、被着体構造への追従性を確保しやすくなるとともに、剥がれや浮きを効果的に抑制できる。
【0091】
表面保護用粘着シートは、その他については特に限定されないが、下記の「ガラス霞み試験」、「180°剥離試験」、「定荷重剥離試験」、「反発力試験」によって測定、算出される好ましい評価値を挙げて説明する。
(ガラス霞み試験)
直径80mmの円形状の粘着シート試験片を、粘着剤層が上面となるように開口部内径85mm、底部内径80mm、高さ190mmのガラス瓶内に入れ、そのガラス瓶を下記の温度に加熱したオイルバス(オイル深さ150mm)内に配置し、ガラス瓶の開口をガラス板で蓋をして、ガラス板の上に重しを置いて下記の時間静置する。なお、ガラス板の上面は21℃に冷却されている。静置前後のそれぞれについて、光沢度測定装置等を利用してガラス板の60°入射光の反射率を測定して、下記式に代入して「霞み防止度」を算出する。
霞み防止度(%)=(静置後におけるガラス板の反射率)/(静置前におけるガラス板の反射率)×100
(条件1)温度:80℃、時間:2時間
(条件2)温度:100℃、時間:2時間
【0092】
(180°剥離試験)
20mm幅の粘着シートを室温雰囲気下で下記の被着体に2kg×1往復で圧着し、貼付から下記の温度、下記の時間静置する。その後、引張試験機を利用して180°方向に300mm/minで引き剥がしを行い、
図6に示すような初回の引張強さの立ち上がりを除いた最大引張強さを測定し、その平均値を「剥離強度」として算出する。
(条件1)
被着体:算術平均表面粗さRa14.69μmのポリプロピレンクラフトシート、温度:室温、時間:30分
(条件2)
被着体:算術平均表面粗さRa14.69μmのポリプロピレンクラフトシート、温度:室温、時間:24時間
(条件3)
被着体:算術平均表面粗さRa14.69μmのポリプロピレンクラフトシート、温度:80℃、時間:168時間
(条件4)
被着体:BA5処理されたSUS430、温度:室温、時間:24時間
(条件5)
被着体:BA5処理されたSUS430、温度:80℃、時間:168時間
【0093】
(定荷重剥離試験)
20mm幅の粘着シートを室温雰囲気下で被着体(上記ポリプロピレンクラフトシートを使用する。)に2kg×1往復で圧着し、貼付から室温雰囲気下で30分間静置した後、
図4に示すようにPPクラフトシート402粘着シート貼付面を下側に向け、錘403を使用して19gの荷重をかけて1時間後の「剥離距離」を測定する。
【0094】
(反発力試験)
幅3cm、長さ10cmの被着体(上記ポリプロピレンクラフトシートを使用する。)に、10mm幅×6cmの粘着シートをハンドローラー1往復で圧着し(
図5(A))、貼付から室温雰囲気下で30分間静置した後、
図5(B)に示すような専用冶具503を用いて両端部の距離が6cmになるように湾曲させ、
図5(C)に示すように粘着シートの中央部を切断して下記の温度、下記の時間静置した後の粘着シートの「剥離距離」(切断部分の両側で粘着シートが被着体から剥がれて浮き上がった部分の長さの合計値)を測定する。
(条件1)温度:室温、時間:1時間
(条件2)温度:40℃、時間:1時間
【0095】
表面保護用粘着シートは、80℃、2時間静置した場合のガラス霞み試験における「霞み防止度」が、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは92%以上である。
表面保護用粘着シートは、100℃、2時間静置した場合のガラス霞み試験における「霞み防止度」が、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは92%以上である。
前記範囲内であると、自動車等の窓ガラス等を曇らせる、いわゆる「フォギング」を抑制することができる。
【0096】
表面保護用粘着シートは、ポリプロピレンクラフトシートに貼付して室温で、30分静置した場合の180°剥離試験における「剥離強度」が、好ましくは0.8N/20mm以上、より好ましくは1.0N/20mm以上、さらに好ましくは1.2N/20mm以上、特に好ましくは1.4N/20mm以上であり、好ましくは10N/20mm以下、より好ましくは8N/20mm以下、さらに好ましくは6N/20mm以下、特に好ましくは5N/20mm以下である。
表面保護用粘着シートは、ポリプロピレンクラフトシートに貼付して室温で、24時間静置した場合の180°剥離試験における「剥離強度」が、好ましくは0.8N/20mm以上、より好ましくは1.0N/20mm以上、さらに好ましくは1.2N/20mm以上、特に好ましくは1.4N/20mm以上であり、好ましくは10N/20mm以下、より好ましくは8N/20mm以下、さらに好ましくは6N/20mm以下、特に好ましくは5N/20mm以下である。
表面保護用粘着シートは、ポリプロピレンクラフトシートに貼付して80℃で、168時間静置した場合の「剥離強度」が、好ましくは0.8N/20mm以上、より好ましくは1.0N/20mm以上、さらに好ましくは1.2N/20mm以上、特に好ましくは1.4N/20mm以上であり、好ましくは10N/20mm以下、より好ましくは8N/20mm以下、さらに好ましくは6N/20mm以下、特に好ましくは5N/20mm以下である。
前記範囲内であると、低極性、粗面の被着体に対する接着力に優れ、剥がれや浮きを抑制できるとともに、接着力の経時的増加を抑制できる。
【0097】
表面保護用粘着シートは、SUS430に貼付して室温で、24時間静置した場合の180°剥離試験における「剥離強度」が、好ましくは0.8N/20mm以上、より好ましくは1.0N/20mm以上、さらに好ましくは1.2N/20mm以上、特に好ましくは1.4N/20mm以上であり、好ましくは15N/20mm以下、より好ましくは13N/20mm以下、さらに好ましくは11N/20mm以下、特に好ましくは10N/20mm以下である。
表面保護用粘着シートは、SUS430に貼付して80℃で、168時間静置した場合の180°剥離試験における「剥離強度」が、好ましくは0.8N/20mm以上、より好ましくは1.0N/20mm以上、さらに好ましくは1.2N/20mm以上、特に好ましくは1.4N/20mm以上であり、好ましくは15N/20mm以下、より好ましくは13N/20mm以下、さらに好ましくは11N/20mm以下、特に好ましくは10N/20mm以下である。
前記範囲内であると、高極性の被着体に対する接着力に優れ、剥がれや浮きを抑制できるとともに、接着力の経時的増加を抑制できる。
【0098】
表面保護用粘着シートは、定荷重剥離試験における「剥離距離」が、好ましくは50mm/hr以下、より好ましくは40mm/hr以下、さらに好ましくは30mm/hr以下、特に好ましくは25mm/hr以下である。前記範囲内であると、剥がれや浮きを抑制し、長期間安定的に保護機能を発揮することができる。
【0099】
表面保護用粘着シートは、中央部を切断してから室温、1時間静置した場合の反発試験における「剥離距離」が、好ましくは5mm/hr以下、より好ましくは4mm/hr以下、さらに好ましくは3mm/hr以下、特に好ましくは2mm/hr以下である。前記範囲内であると、剥がれや浮きを抑制し、長期間安定的に保護機能を発揮することができる。
【0100】
表面保護用粘着シートの製造方法は、特に限定されず、公知の知見を適宜採用して製造することができる。特に下記の粘着剤組成物準備工程、樹脂基材準備工程、及び粘着剤層形成工程を含む表面保護用粘着シートの製造方法(以下、「表面保護用粘着シートの製造方法」と略す場合がある。)が好ましい。
・(メタ)アクリル系共重合体及び粘着付与剤を含む粘着剤組成物を準備する粘着剤組成物準備工程(以下、「粘着剤組成物準備工程」と略す場合がある。)。
・樹脂基材を準備する樹脂基材準備工程(以下、「樹脂基材準備工程」と略す場合がある。)。
・前記粘着剤組成物を使用して前記樹脂基材上に粘着剤層を形成する粘着剤層形成工程(以下、「粘着剤層形成工程」と略す場合がある。)。
なお、粘着剤組成物準備工程、樹脂基材準備工程、及び粘着剤層形成工程の条件等の詳細については前述の内容を参照することができる。
【0101】
表面保護用粘着シートの製造方法は、下記の粘着剤組成物準備工程、樹脂基材準備工程、及び粘着剤層形成工程を含む表面保護用粘着シートの製造方法(以下、「表面保護用粘着シートの製造方法」と略す場合がある。)が好ましい。
・前記粘着剤層形成工程を経て得られた生成物を加熱する加熱工程(以下、「加熱工程」と略す場合がある。)。
・前記粘着剤形成工程又は前記加熱工程を経て得られた生成物に貫通孔を形成する貫通孔形成工程(以下、「貫通孔形成工程」と略す場合がある。)。
なお、加熱工程、及び貫通孔形成工程の条件等の詳細については前述の内容を参照することができる。
【実施例】
【0102】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0103】
<実施例1~8、比較例1~6>
表1に記載の単量体量によって合成された(メタ)アクリル系共重合体固形分100質量部に対し、表1に記載の粘着付与剤量を配合した組成物を準備し、さらに(メタ)アクリル系共重合体固形分100質量部に対してエポキシ系架橋剤(三菱ガス化学社製、商品名「TETRAD-C」)0.1質量部を混合して粘着性組成物を調製した(但し、比較例1のみはTETRAD-Cを配合しないものを粘着性組成物とした。)。
調製した粘着剤組成物を、ポリエチレン基材(東レフィルム加工株式会社製、商品名「トレテックCF47W」、厚さ約50μm)の片面に乾燥後の厚さが約13μmとなるように塗布し、70℃で2分間乾燥することにより、実施例1~8、比較例1~6の表面保護用粘着シートをそれぞれ作製した。
また、実施例1~8、比較例1~6の表面保護用粘着シートについて、ロータリーカッターを用いて線状の貫通孔(短辺:60μm/長辺:1.0mm)を隣接する貫通孔間の距離が0.6mmになるように形成する加工を行った。
【0104】
実施例1~8、比較例1~6の表面保護用粘着シートのそれぞれについて、MD方向とTD方向の「引張弾性率」を測定するとともに、下記の「ガラス霞み試験」、「180°剥離試験」、「タッチアップペイント剥がれ試験」「定荷重剥離試験」、「反発力試験」を行ってそれぞれの評価値を算出した。結果を表1~4に示す。なお、これらの表中の(ND)は、未測定又は未評価であることを示している。
【0105】
(引張特性試験)
100mm×10mm×t0.05~0.06(mm)にカットした試験片(日本工業規格JIS K7127:1989を参照。)を万能材料試験機(INSTRON5582型)にセットし、標点間距離25mm、チャック間距離:50mm、試験速度0.5mm/minで引張試験を行い、引張試験機で引張応力を測定するとともに、高性能AVEビデオ伸び計(インストロン社製、ビデオレンズ;200mm画角レンズ使用)で引張ひずみを測定した(試験環境:23±2℃、50±10%RH。)。引張ひずみ0.25%~0.05%間の引張応力の差(σ0.25%-σ0.05%)を、引張ひずみ0.25~0.05%間の引張ひずみの差(ε0.25%-ε0.05%)で除して、引張弾性率(5回の平均値)を算出した。
【0106】
(ガラス霞み試験)
Thermo SCIENTIFIC社製のフォギング試験機を利用して行った。具体的には、直径80mmの円形状の粘着シート試験片を、粘着剤層が上面となるように開口部内径85mm、底部内径80mm、高さ190mmのガラス瓶内に入れ、そのガラス瓶を表1~4に記載の温度に加熱したオイルバス(オイル深さ150mm)内に配置し、ガラス瓶の開口をガラス板で蓋をして、ガラス板の上に重しを置いて表1~4に記載の時間静置した。なお、ガラス板の上面は21℃に冷却されている。静置前後のそれぞれについて、光沢度測定装置(HACH LANGE社製、商品名「REFO 60」)を利用してガラス板の60°入射光の反射率を測定して、下記式に代入して「霞み防止度」を算出した。
霞み防止度(%)=(静置後におけるガラス板の反射率)/(静置前におけるガラス板の反射率)×100
【0107】
(180°剥離試験)
20mm幅の粘着シートを室温雰囲気下で表1~4に記載の被着体に2kg×1往復で圧着し、貼付から表1~4に記載の温度、時間静置した。その後、引張試験機を利用して180°方向に300mm/minで引き剥がしを行い、
図6に示すような初回の引張強さの立ち上がりを除いた最大引張強さを測定し、その平均値を「剥離強度」として算出した。なお、PPクラフトシートは、アクリルサンデー株式会社製の製品を使用した。
【0108】
(タッチアップペイント剥がれ試験)
PPクラフトシートの上にタッチアップペンを塗布した。塗布は、室温雰囲気下で行い、10~15cm離れたところから、二重にならないように10mm/secの速度で行った。
次に10mm幅の粘着シートをローラーで圧着し、貼付から表1~4に記載の温度、時間静置した。そして、120°方向に手で剥離を行って、タッチアップペイントの残存量を以下の基準に則り0.1刻みで(すなわち、50段階で)官能評価を行った。それぞれ3回ずつ行い、得られた数値の平均を算出した。
0:全く剥げてない
1:5%くらい剥がれている
2:10%くらい剥がれている
3:40%剥がれている
4:70%剥がれている
5:100%剥がれ
なお、タッチアップペンには株式会社ソフト99コーポレーション製のホワイトタッチアップペン T-50 トヨタ用056 No.17350を使用し、これを同じく株式会社ソフト99コーポレーション製のエアータッチに装着してスプレー塗布した。
【0109】
(定荷重剥離試験)
20mm幅の粘着シートを室温雰囲気下で上記PPクラフトシートに2kg×1往復で圧着し、貼付から室温雰囲気下で30分間静置した後、
図4に示すように、PPクラフトシート402の粘着シート401貼付面を下側に向け、錘403を使用して19gの荷重をかけて1時間後の「剥離距離」を測定した。
【0110】
(反発力試験)
上記PPクラフトシートを幅3cm、長さ10cmの長方形に裁断した。
図5(A)に示すように、このPPクラフトシート502に10mm幅×6cmの粘着シート501をハンドローラー1往復で圧着し、貼付から室温雰囲気下で30分間静置した後、
図5(B)に示すような専用冶具503を用いて両端部の距離が6cmになるように湾曲させ、次いで
図5(C)に示すように粘着シート501の中央部を切断して表1~4に記載の温度、時間静置した後の粘着シートの「剥離距離」を測定した。
【0111】
(手切れ性試験)
官能試験として、5回の手切れ試験(粘着テープを素手で切断する試験)を行い、下記の評価基準で引裂性(官能試験)を評価した。
(官能試験による引裂性の評価基準)
○:5回ともすべて容易に素手で切断できる。
△:4回は容易に素手で切断できる。
×:3回以下しか、素手では容易に切断できない。
【0112】
【0113】
【0114】
【0115】
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明の一態様である表面保護用粘着シートは、自動車、航空機、船舶等の内外装や部品の表面に貼付して表面の傷付きや汚れの付着を防止するために利用することができる。特に一時的に貼付して、目的の工程や期間経過後(保護目的の終了後)に剥離することを目的とする表面保護用粘着シートに好適である。
【符号の説明】
【0117】
110 表面保護用粘着シート
111 粘着剤層
112 樹脂基材
120 表面保護用粘着シート
121 粘着剤層
122 樹脂基材
123 中間層
130 表面保護用粘着シート
131 粘着剤層
132 樹脂基材
134 表面層
140 表面保護用粘着シート
141 粘着剤層
142 樹脂基材
143 中間層
144 表面層
200 表面保護用粘着シート
201 樹脂基材面
202 貫通孔
203 貫通孔が直線的かつ規則的に配列した方向
204 隣接する貫通孔間の距離
310 樹脂基材面における形状が巨視的に線状(微視的に長方形状)である貫通孔
311 貫通孔が直線的かつ規則的に配列した方向
312 隣接する貫通孔間の距離
313 貫通孔の短辺
314 貫通孔の長辺
320 樹脂基材面における形状が巨視的に点状(微視的に正方形状)である貫通孔
321 貫通孔が直線的かつ規則的に配列した方向
322 隣接する貫通孔間の距離
323 貫通孔の径
324 貫通孔の径
401 表面保護用粘着シート
402 PPクラフトシート
403 錘
501 表面保護用粘着シート
502 PPクラフトシート
503 専用冶具