(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-24
(45)【発行日】2023-11-01
(54)【発明の名称】並列運転装置を制御する方法及び制御システム
(51)【国際特許分類】
H02P 5/50 20160101AFI20231025BHJP
B60L 9/18 20060101ALN20231025BHJP
【FI】
H02P5/50 D
B60L9/18 L
(21)【出願番号】P 2020537737
(86)(22)【出願日】2019-01-21
(86)【国際出願番号】 EP2019051328
(87)【国際公開番号】W WO2019145243
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2022-01-07
(32)【優先日】2018-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518102517
【氏名又は名称】ダンフォス・エディトロン・オーワイ
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】タルキアイネン,アンッティ
(72)【発明者】
【氏名】ティアイネン,リスト
(72)【発明者】
【氏名】イスカニウス,マッティ
【審査官】池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-117832(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0231158(US,A1)
【文献】国際公開第2016/035727(WO,A1)
【文献】特開2016-134983(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 5/50
B60L 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作量を目標値に向けて駆動するように構成された並列運転装置を制御する制御システムであって、前記制御システムは前記装置を制御する制御装置(101~103)を含み、各制御装置は、前記装置のいずれかの制御を、考慮中の前記制御装置によって保守され、前記制御装置において利用可能であって前記動作量の前記目標値からのずれを表す装置固有誤差信号の時間積分に関連する装置固有積分項に少なくとも部分的に基づいて行うように構成されており、前記制御システムは更に安定化システムを含み
、
前記安定化システムは前記制御装置(101~103)によって実施され、前記制御装置のそれぞれは、
前記その他の前記制御装置によって保守される前記装置固有積分項のうちの前記1つ以上の積分項を受信する受信器(109)と、
前記受信された装置固有積分項、及び考慮中の前記制御装置によって保守される前記装置固有積分項の算術平均を計算することと、考慮中の前記制御装置によって保守される前記装置固有積分項を、前記計算された算術平均に向けて補正することと、を行う算術部(110)と、
を含み、
前記制御装置(101~103)のうちの少なくとも1つは、自身の装置固有積分項を送信しないリスン専用モードである
ことを特徴とする、制御システム。
【請求項2】
前記リスン専用モードでない前記制御装置のうちの少なくとも1つが、前記制御装置のうちの前記少なくとも1つによって保守される前記装置固有積分項を前記制御装置のうちの他の制御装置に送信する送信器(111)を含む、請求項
1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記制御装置のそれぞれは、前記装置固有積分項を次式に従って更新及び補正するように構成されており、
I_n=I_n,prev+e_nΔt/Ti+Kcorr(I_ave-(I_n,prev+e_nΔt/Ti))
I_nはn番目の前記制御装置によって保守される前記装置固有積分項であり、I_n,prevは前記装置固有積分項の直前値であり、e_nはn番目の前記装置に関連付けられた前記装置固有誤差信号であり、I_aveは前記算術平均であり、Δtは1動作クロックサイクルの時間長であり、Tiは積分時間であり、Kcorrは補正係数である、
請求項1または2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記制御装置のそれぞれは、比例積分(PI)制御装置又は比例積分微分(PID)制御装置である、請求項1~3の何れか一項に記載の制御システム。
【請求項5】
動作量を目標値に向けて駆動する並列運転装置(105~107、205~207)と、
前記並列運転装置を制御する、請求項1~4の何れか一項に記載の制御システムと、
を含む装置システム。
【請求項6】
前記並列運転装置(105~107)は、回転速度が互いに対して固定された関係にある、機械的に連結された電気機械であり、前記動作量は、前記機械的に連結された電気機械の回転速度と固定された関係にある、請求項5に記載の装置システム。
【請求項7】
前記並列運転装置(205~207)は、共通直流電圧リンクに給電する電力変換器であり、前記動作量は前記共通直流電圧リンクの直流電圧である、請求項5に記載の装置システム。
【請求項8】
動作量を目標値に向けて駆動するように構成された並列運転装置のうちの1つである装置を制御する制御装置(101、151)であって、前記制御装置は制御部(108、158)を含み、前記制御部(108、158)は、前記装置の制御を、前記制御部によって保守され、前記制御装置において利用可能であって前記動作量の前記目標値からのずれを表す装置固有誤差信号の時間積分に関連する装置固有積分項に少なくとも部分的に基づいて行い、前記制御装置は更に、
前記並列運転装置のうちの他の装置に関連付けられた装置固有積分項の1つ以上を受信する受信器(109、159)と、
(i)前記受信された装置固有積分項、及び(ii)前記制御部によって保守される前記装置固有積分項の算術平均を計算することと、前記制御部によって保守される前記装置固有積分項を、前記計算された算術平均に向けて補正することと、を行う算術部(110、160)と、
を含み、
前記制御装置(101、151)は、前記装置固有積分項を次式に従って更新及び補正するように構成されており、
I_n=I_n,prev+e_nΔt/Ti+Kcorr(I_ave-(I_n,prev+e_nΔt/Ti))
I_nはn番目の前記制御装置によって保守される前記装置固有積分項であり、I_n,prevは前記装置固有積分項の直前値であり、e_nはn番目の前記装置に関連付けられた前記装置固有誤差信号であり、I_aveは前記算術平均であり、Δtは1動作クロックサイクルの時間長であり、Tiは積分時間であり、Kcorrは補正係数であることを特徴とする、
制御装置(101、151)。
【請求項9】
前記制御装置は、前記制御部によって保守される前記装置固有積分項をデータ伝送チャネルに送信する送信器(111、161)を含む、請求項
8に記載の制御装置。
【請求項10】
動作量を目標値に向けて駆動するように構成された並列運転装置を制御する方法であって、
前記装置のそれぞれの制御を、前記動作量の前記目標値からのずれを表す装置固有誤差信号の時間積分に関連する装置固有積分項に少なくとも部分的に基づいて行うこと(301)
を含み、
前記装置のそれぞれについての以下のアクション、即ち、
前記装置のうちの他の装置に関連付けられた前記装置固有積分項のうちの1つ以上を受信することと、
(i)考慮中の前記装置に関連付けられた前記装置固有積分項、及び(ii)前記装置のうちの他の装置に関連付けられた前記装置固有積分項のうちの1つ以上の積分項の算術平均を計算すること(302)、並びに
考慮中の前記装置に関連付けられた前記装置固有積分項を、前記計算された算術平均に向けて補正すること(303)
を含み、
前記装置のうちの少なくとも1つは、自身の装置固有積分項を送信しないリスン専用モードである
ことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記装置固有積分項が次式に従って更新及び補正され、
I_n=I_n,prev+e_nΔt/Ti+Kcorr(I_ave-(I_n,prev+e_nΔt/Ti))
I_nはn番目の前記装置に関連付けられた前記装置固有積分項であり、I_n,prevは前記装置固有積分項の直前値であり、e_nはn番目の前記装置に関連付けられた前記装置固有誤差信号であり、I_aveは前記算術平均であり、Δtは1動作クロックサイクルの時間長であり、Tiは積分時間であり、Kcorrは補正係数である、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
動作量を目標値に向けて駆動するように構成された並列運転装置の制御を安定させるコンピュータプログラムであって、前記装置のそれぞれの制御は、前記動作量の前記目標値からのずれを表す装置固有誤差信号の時間積分に関連する装置固有積分項に少なくとも部分的に基づいて行われ、前記コンピュータプログラムが、
前記装置のそれぞれについて、(i)考慮中の前記装置に関連付けられた前記装置固有積分項、及び(ii)その他の前記装置に関連付けられた前記装置固有積分項のうちの1つ以上の積分項の算術平均を計算することと、
考慮中の前記装置に関連付けられた前記装置固有積分項を、前記計算された算術平均に向けて補正することと、
前記装置固有積分項が次式に従って更新及び補正され、
I_n=I_n,prev+e_nΔt/Ti+Kcorr(I_ave-(I_n,prev+e_nΔt/Ti))
I_nはn番目の前記装置に関連付けられた前記装置固有積分項であり、I_n,prevは前記装置固有積分項の直前値であり、e_nはn番目の前記装置に関連付けられた前記装置固有誤差信号であり、I_aveは前記算術平均であり、Δtは1動作クロックサイクルの時間長であり、Tiは積分時間であり、Kcorrは補正係数であることと
を行うようにプログラマブル処理システムを制御するコンピュータ実行可能命令を含むことを特徴とする、
コンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータプログラムでエンコードされた不揮発性コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全般的には、共通動作量を目標値に向けて駆動するように構成された並列運転装置の制御に関する。より具体的には、本開示は、並列運転装置を制御する制御システム及び方法、並びに、並列運転装置の制御を安定させるコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
様々なケースで、共通動作量を目標値に向けて駆動するように構成された並列運転装置を制御することが必要になる。並列運転装置は、例えばであって必ずしもそうとは限らないが、回転速度が互いに対して固定された関係にある、機械的に連結されたモータであってよい。モータ同士を機械的に連結するものは、例えば、各モータのシャフトをまとめて連結するように構成された強固な連結器、各モータのシャフトをまとめて連結するように構成された、所与のギヤ比のギヤ、又は各モータのシャフト間のチェーン又はベルトであってよい。各モータがそれぞれホイールに接続されて、それらのホイールが地面又はレールを介して連結されてもよい。上述されたようなケースでは、上述の共通動作量は、例えば、それらのモータを含む車両の速度や、それらのモータで駆動されるアクチュエータの回転速度であってよい。又、例えば、複数の巻線が別々のインバータで駆動される1つの電気機械を、複数の、機械的に接続された電気機械を表すものとして見てよい。個々の巻線のそれぞれが、制御の観点からすれば、1つの電気機械であり、共通の回転子が機械的連結を実施している。又、例えば、並列運転装置は、共通直流電圧リンクに接続された電力変換器であってよい。この例示的なケースでは、動作量は、共通直流電圧リンクの直流電圧である。
【0003】
動作量(例えば速度)を制御する標準的な一方法は、動作量の測定値又は推定値を基準値から差し引いて誤差値を形成し、比例積分(PI)制御装置を使用して、被制御装置の動作状態(例えばモータのトルク)を、誤差値が小さくなる方向に駆動するものである。上述のような制御原理は、例えば、幾つかの速度制御モータが機械的に連結されている場合にはうまく働かない。これは、積分動作の為に、PI制御装置のゼロ周波数での利得が無限大になる為である。その為、機械的に連結されているモータを制御する2つの制御装置から、それらのモータの回転速度がわずかに異なっているように見えると、それがいかにわずかであっても、それらの制御装置は、利用可能な全ての制御力(ここではトルク)を使用して誤差を補正しようとする。その結果、一方の制御装置が回転速度を上げようとする一方で、他方の制御装置が回転速度を下げようとし、両者がそれぞれの制御力を可能な限り増強しようとする。これは、共通動作量を目標値まで駆動するように構成された並列運転装置(例えば、並列接続された速度制御モータ等)のよく知られた問題である。
【0004】
上述の問題を軽減する一般的な方法は、マスタスレーブ構成を使用することである。機械的に連結されたモータのマスタスレーブ構成では、モータの1つがマスタユニットとして動作し、速度制御装置を有し、その他のモータがスレーブユニットとして動作し、トルク制御装置を有する。マスタユニットによって決定されたトルク基準が、何らかの通信媒体(例えばフィールドバス等)を介してスレーブユニットに伝達される。スレーブユニットは、トルク制御モードで駆動され、マスタユニットによって決定されたトルク基準を満たす。しかしながら、上述のようなマスタスレーブ構成にも問題がないわけではない。これらのユニットは構成のされかたが異なっていなければならず、1つのユニットがマスタとして構成され、その他のユニットがスレーブとして構成されなければならない。これによって、運用開始段階での負担が増え、特に現場保守作業及び予備部品管理の負担が増える。ユニットの交換又は改修が必要な場合、作業者は、どのユニットがマスタであって、どのユニットがスレーブであるかを知る必要があり、それに応じて各ユニットを構成できる必要がある。更に重要なことには、多くのケースでは、システムは冗長でなければならず、これは、ユニットの1つが動作不能になった場合に、システムが、残りのユニットで、出力を下げて、動作を継続しなければならない為である。この為には、マスタの役割の割り当てを無人で動的に行うことが必要になり、最も困難なケースでは、その割り当てを、被駆動負荷の速度制御を停止させることなく行わなければならない。この動的な役割シフトの要件は、システムを大幅に複雑化するものである為、一般には回避されることが望ましい。
【0005】
並列運転制御装置の上述の問題を軽減する別の一般的な方法はドルーピングであり、これは、制御装置の出力から基準信号へのフィードバックである。ドルーピングの量はドルーピングレートパラメータで設定され、これは例えば5%であってよく、これは、制御力(例えばトルクであってよい)がその全開値まで大きくなると、基準値(例えば速度基準)が5%ポイント下がることを意味する。これにより、並列接続された各装置の制御装置が、測定又は推定された動作量(例えば速度)のばらつきを感知するようなことがあっても、それらの装置がコンセンサスに達することが可能になる。例えば、速度制御装置であれば、速度差を感知すると、トルクを上げることによって速度差を補正しようとする。しかし、並列接続された駆動装置が実際の速度を変化させない為に実際の速度が変化しない場合でも、ドループ動作によれば、速度基準を変更することによって誤差信号が小さくなる。従って、速度を変化させることができない場合でも、ドルーピングによって速度制御装置の誤差信号をゼロにすることは可能である。ドルーピングの固有の弱点は、制御が正確でなく、ドルーピングの影響を受けることである。例えば、ドルーピングレートが5%であれば、定格速度基準が2000rpmである電気機械は、力行トルク全開時には1900rpmで動作し、発生トルク全開時には2100rpmで動作する。高感度の用途によっては、そのような速度誤差の為に性能が許容できない場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下では、本発明の様々な実施形態の幾つかの態様の基本的理解が得られるように、簡略化された要約を示す。この要約は、本発明の包括的な概要ではない。この要約は、本発明の重要又はクリティカルな要素を明らかにするものではなく、本発明の範囲を規定するものでもない。以下の要約は、本発明の例示的実施形態の詳細説明の前置きとして、本発明の幾つかの概念を簡略化された形で提示するものに過ぎない。
【0007】
本発明によれば、動作量を目標値に向けて駆動するように構成された並列運転装置を制御する新規な制御システムが提供される。並列運転装置は、例えばであって必ずしもそうとは限らないが、回転速度が互いに対して固定された関係にある、機械的に連結された電気機械であってよい。この例示的ケースでは、動作量は、電気機械の回転速度と固定された関係にあり、動作量は、例えば、電気機械を含む車両の速度、或いは電気機械で駆動されるアクチュエータの回転速度であってよい。特殊なケースとして、複数の巻線が別々のインバータで駆動される1つの電気機械を、複数の、機械的に接続された電気機械を表すものとして見てよい。個々の巻線のそれぞれが1つの電気機械であり、共通の回転子が機械的連結を実施している。並列運転装置は、機械的に連結された燃焼機関であってもよい。又、例えば、並列運転装置は、共通直流電圧リンクに給電する電力変換器であってよい。この例示的なケースでは、動作量は、共通直流電圧リンクの直流電圧である。
【0008】
本発明による一制御システムは、
各装置を制御する制御装置であって、各制御装置は、それらの装置のうちの1つの装置の制御を、考慮中の制御装置によって保守され、その制御装置において利用可能であって動作量の目標値からのずれを表す装置固有誤差信号の時間積分に関連する装置固有積分項に少なくとも部分的に基づいて行うように構成される、制御装置と、
安定化システムであって、制御装置のそれぞれについて、(i)考慮中の制御装置によって保守される装置固有積分項、及び(ii)その他の制御装置によって保守される装置固有積分項のうちの1つ以上の積分項の算術平均を計算することと、考慮中の制御装置によって保守される装置固有積分項を、計算された算術平均に向けて補正することと、を行う安定化システムと、
を含む。
【0009】
装置固有積分項を補正することにより、装置固有誤差信号間にわずかなばらつきがある状況において、装置固有積分項の不要なドリフトを防ぐことが可能になる。
【0010】
各装置は、互いに対してピアであってよく、それによって、1つの装置が他の装置からのアクションなしでシステムから除去されたり、システムに追加されたりすることが可能である為、冗長性が実現される。1つの装置が除去されると、その装置の装置固有積分項が平均の計算に関係しなくなる。これに対して、1つの装置が追加されると、その装置の装置固有積分項が平均の計算に自動的に追加されることが可能である。
【0011】
本発明によれば、
動作量を目標値に向けて駆動する並列運転装置と、
並列運転装置を制御する、本発明による制御システムと、
を含む新規な装置システムも提供される。
【0012】
本発明によれば、動作量を目標値に向けて駆動するように構成された並列運転装置のうちの1つである装置を制御する新規な制御装置も提供される。
【0013】
本発明による一制御装置は、
各装置を制御する制御部であって、装置の制御を、その制御部によって保守され、その制御装置において利用可能であって動作量の目標値からのずれを表す装置固有誤差信号の時間積分に関連する装置固有積分項に少なくとも部分的に基づいて行う、制御部と、
並列運転装置のうちの他の装置に関連付けられた装置固有積分項の1つ以上を受信する受信器と、
(i)受信された装置固有積分項、及び(ii)制御部によって保守される装置固有積分項の算術平均を計算することと、制御部によって保守される装置固有積分項を、計算された算術平均に向けて補正することと、を行う算術部と、
を含む。
【0014】
本発明によれば、動作量を目標値に向けて駆動するように構成された並列運転装置を制御する新規な方法も提供される。本発明による一方法は、
各装置の制御を、動作量の目標値からのずれを表す装置固有誤差信号の時間積分に関連する装置固有積分項に少なくとも部分的に基づいて行うこと
を含む。
【0015】
本方法は更に、各装置についての以下のアクション、即ち、
(i)考慮中の装置に関連付けられた装置固有積分項、及び(ii)他の装置に関連付けられた装置固有積分項のうちの1つ以上の積分項の算術平均を計算すること、並びに
考慮中の装置に関連付けられた装置固有積分項を、計算された算術平均に向けて補正すること
を含む。
【0016】
本発明によれば、動作量を目標値に向けて駆動するように構成された並列運転装置の制御を安定させる新規なコンピュータプログラムも提供され、各装置の制御は、動作量の目標値からのずれを表す装置固有誤差信号の時間積分に関連する装置固有積分項に少なくとも部分的に基づいて行われる。本発明による一コンピュータプログラムは、
各装置について、(i)考慮中の装置に関連付けられた装置固有積分項、及び(ii)その他の装置に関連付けられた装置固有積分項のうちの1つ以上の積分項の算術平均を計算することと、
考慮中の装置に関連付けられた装置固有積分項を、計算された算術平均に向けて補正することと、
を行うようにプログラマブル処理システムを制御するコンピュータ実行可能命令を含む。
【0017】
本発明によれば、新規なコンピュータプログラム製品も提供される。コンピュータプログラム製品は、本発明によるコンピュータプログラムでエンコードされた不揮発性コンピュータ可読媒体(例えばコンパクトディスク(CD))を含む。
【0018】
本発明の様々な例示的且つ非限定的な実施形態が、添付の従属請求項に記載されている。
【0019】
以下の、特定の例示的且つ非限定的な実施形態の説明を、添付図面と併せて読むことにより、構造及び動作方法の両方に関する、本発明の様々な例示的且つ非限定的な実施形態、並びにそれらの更なる目的及び利点についての最良の理解が得られるであろう。
【0020】
本文書では「含む(to comprise)」及び「含む(to include)」という動詞は、記載されていない特徴の存在を排除することも必要とすることもない開放的限定(open limitations)として使用されている。従属請求項に記載された特徴は、特に別段に明記されない限りは、相互に自由に組み合わされてよい。更に、当然のことながら、「a」又は「an」、即ち、単数形の使用は、本文書全体を通して複数性を排除しない。
【0021】
この後は、本発明の例示的且つ非限定的な実施形態、及びそれらの利点について、以下の添付図面を参照しながら例示的に詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1a】本発明の例示的且つ非限定的な一実施形態による装置システムを示す。
【
図1b】本発明の例示的且つ非限定的な一実施形態による制御装置を示す。
【
図1c】本発明の別の例示的且つ非限定的な実施形態による制御装置を示す。
【
図2】本発明の例示的且つ非限定的な一実施形態による装置システムを示す。
【
図3】本発明の例示的且つ非限定的な一実施形態による、並列運転装置を含む装置システムを制御する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の説明において提示される各具体例は、添付の特許請求項の範囲及び/又は適用可能性を限定するものと解釈されるべきではない。この説明において提示される例のリスト及びグループは、特に別段に明記されない限りは包括的ではない。
【0024】
図1aは、本発明の例示的且つ非限定的な一実施形態による装置システムを概略的に示す。この装置システムは、動作量を目標値に向けて駆動する並列運転装置を含む。この例示的ケースでは、並列運転装置は、ホイール131、132、及び133を駆動する電気機械105、106、及び107である。電気機械105、106、及び107の各回転速度は、地面134を介して互いに連動している。この例示的ケースでは、上述の動作量は電気機械105~107の回転速度であり、上述の目標値は速度基準である。
図1aでは、速度基準は「速度基準」と表記されている。
図1aに示された例示的装置システムでは、電気機械105~107は、共通直流電圧リンク114に接続された電力変換器で駆動される。但し、電気機械を駆動する別の手段があってもよい。
図1aでは、電気機械105を駆動する電力変換器が参照符号113で示されている。
図1aに示された例示的装置システムでは、直流電圧リンク114は、バッテリユニット116及びエンジン発電機117に接続されている。従って、
図1aに示された装置システムは、例えば、ハイブリッド車の一部分であってよい。但し、直流電圧リンク114に電気エネルギを供給する別の手段があってもよい。電気機械105~107のそれぞれには、考慮中の電気機械の回転速度を測定する為のタコメータが用意されている。
図1aでは、回転速度の測定値は「速度測定値1」、「速度測定値2」、及び「速度測定値3」と表記されている。電気機械105~107のそれぞれには、冗長性を実現する為の固有のタコメータが用意されている。
図1aでは、電気機械105に接続されて、電気機械105の回転速度を測定するように構成されているタコメータが参照符号115で示されている。
【0025】
装置システムは、電力変換器を介して電気機械105~107を制御する、本発明の例示的且つ非限定的な一実施形態による制御システムを含む。制御システムは、速度基準「速度基準」と、回転速度測定値「速度測定値1」、「速度測定値2」、及び「速度測定値3」とに基づいて電気機械105~107を制御する制御装置101、102、及び103を含む。各制御装置は、それぞれの電力変換器に送達するトルク基準を生成するように構成されている。
図1aでは、制御装置105~107によって生成されるトルク基準が「トルク基準1」、「トルク基準2」、及び「トルク基準3」と表記されている。制御装置105~107のそれぞれは、それぞれの電気機械を制御するように構成され、この制御は、考慮中の制御装置によって保守され、速度測定値の速度基準からのずれを表す装置固有誤差信号の時間積分に関連する装置固有積分項に少なくとも部分的に基づいて行われる。例えば、電気機械105に関連付けられた装置固有誤差信号は「速度基準-速度測定値1」である。
図1aに示された例示的ケースでは、「装置固有」は「機械固有」を意味する。これは、並列運転装置が電気機械105~107である為である。制御システムは更に安定化システムを含み、安定化システムは、制御装置105~107のそれぞれについて、(i)考慮中の制御装置によって保守される装置固有積分項、及び(ii)その他の制御装置によって保守される装置固有積分項のうちの1つ以上の積分項の算術平均を計算する。更に、安定化システムは、考慮中の制御装置によって保守される装置固有積分項を、計算された算術平均に向けて補正するように構成されている。
【0026】
図1aに示された例示的制御システムでは、上述の安定化システムは分散方式で実施されていて、制御装置105~107はデータ伝送チャネル118(例えばフィールドバス)を介して通信可能に相互接続されており、制御装置105~107のそれぞれは、考慮中の制御装置によって保守される装置固有積分項を補正する手段を含む。
図1bは、制御装置101のブロック図を示す。制御装置102及び103は、制御装置101と同様であってよい。
図1bでは、電気機械105~107に関連付けられた装置固有積分項は、それぞれ、I1、I2、及びI3と表記されている。制御装置101は受信器109を含み、受信器109は、制御装置102及び103によって保守される装置固有積分項I2及びI3を受信する。制御装置101は制御部108を含み、制御部108は、制御部108によって保守される装置固有積分項I1に少なくとも部分的に基づいて電気機械105を制御する。積分項I1は、速度測定値「速度測定値1」の速度基準「速度基準」からのずれを表す装置固有誤差信号e1、即ち、e1=「速度基準」-「速度測定値1」の時間積分に関連する。この例示的ケースでは、制御部108は比例積分(PI)制御装置を構成する。又、制御部108は、比例積分微分(PID)制御装置、又は別の適切な制御機構を構成してもよい。制御装置101は算術部110を含み、算術部110は、受信された装置固有積分項I2及びI3、並びに制御部108によって保守される装置固有積分項I1の算術平均I_ave、即ち、I_ave=(I1+I2+I3)/3を計算する。算術部110は、装置固有積分項I1を、計算された算術平均I_aveに向けて補正するように構成されている。
図1bに示された例示的ケースでは、制御部108及び算術部110は、装置固有積分項I1を次式に従って更新及び補正するように構成されている。
I1=I1,prev+e1Δt/Ti+Kcorr(I_ave-(I1,prev+e1Δt/Ti)) (1)
但し、I1,prevは装置固有積分項I1の直前値であり、Δtは1動作クロックサイクルの時間長であり、Tiは積分時間であり、Kcorrは補正係数である。典型的なケースでは、上述の補正によって小さい不均衡を補償することが可能であり、有利なことに、この補正は、積分時間Tiより遅くなるように調整される。例えば、積分時間Tiが100ミリ秒であれば、補正の時点数は約1秒であってよく、これは補償係数Kcorr=1.0を意味する。
【0027】
本発明の別の例示的且つ非限定的な実施形態による装置システムでは、
図1aに示された制御装置101、102、及び103のそれぞれが、ほぼ、
図1cに示された制御装置151である。
図1cでは、電気機械105~107に関連付けられた装置固有積分項は、それぞれ、I1、I2、及びI3と表記されている。制御装置151は受信器159を含み、受信器159は、その他の制御装置によって保守される装置固有積分項I2及びI3を受信する。制御装置151は制御部158を含み、制御部158は、制御部158によって保守される装置固有積分項I1に少なくとも部分的に基づいて各電気機械を制御する。積分項I1は、速度測定値「速度測定値1」の速度基準「速度基準」からのずれを表す装置固有誤差信号e1、即ち、e1=「速度基準」-「速度測定値1」の時間積分を表す。この例示的ケースでは、制御部158は比例積分(PI)制御装置を構成する。又、制御部158は、比例積分微分(PID)制御装置、又は別の適切な制御機構を構成してもよい。制御装置151は算術部160を含み、算術部160は、受信された装置固有積分項I2及びI3、並びに制御部158によって保守される装置固有積分項I1の算術平均I_ave、即ち、I_ave=(I1+I2+I3)/3を計算する。算術部160は、装置固有積分項I1を、計算された算術平均I_aveに向けて補正するように構成されている。
図1cに示された例示的ケースでは、算術部160は、装置固有積分項I1を次式に従って補正するように構成されている。
I1,corr=I1+Kcorr(I_ave-I1) (2)
但し、I1,corrは装置固有積分項I1の補正された値であり、Kcorrは補正係数である。
【0028】
図1b及び1cに示された例示的ケースで示されるように、装置固有積分項は、様々な方式で、装置固有積分項の平均値に向けて補正されることが可能である。本出願に記載の発明は、装置固有積分項を平均値に向けて補正する、いかなる特定の方法にも限定されない。
【0029】
図1bに示された例示的ケースでは、制御装置101は送信器111を含み、送信器111は、制御部108によって保守される装置固有積分項I1をデータ伝送チャネル118に送信する。これに対応して、
図1cに示された例示的ケースでは、制御装置151は送信器161を含み、送信器161は、制御部158によって保守される装置固有積分項を送信する。幾つかの例示的且つ非限定的な実施形態では、全ての制御装置がそれぞれ固有の装置固有積分項を他の制御装置に送信しなければならないわけではない。1つの制御装置がその他の制御装置から装置固有積分項を受信するだけであれば、その制御装置は、その他の制御装置の装置固有積分項に従って自身の装置固有積分項を適応させてよい。幾つかの例示的実施形態では、このようなリスン専用モードは、多数の制御装置を、1つのブロードキャスト信号をリスンするだけで何も送信しなくてよいように構成できる為、有利な場合がある。
図1aに示された例示的ケースでは、例えば、制御装置103が上述のリスン専用モードであってよく、この場合、制御装置103は、制御装置101及び102から装置固有積分項を受信するだけで、自身の装置固有積分項を送信しない。
【0030】
図1aに示された装置システムでは、電気モータ105~107、電力変換器、及び制御装置101~103がユニット119、120、及び121を構成しており、これらは互いに対してピアであってよく、それによって、ユニット119~121のうちの1つが他のユニットからのアクションなしで装置システムから除去されることが可能である為、冗長性が実現される。これに対応して、他のユニットからのアクションなしで新たなユニットが装置システムに追加されることが可能である。1つのユニットが除去されると、そのユニットの装置固有積分項が上述の平均の計算に関係しなくなる。これに対応して、1つのユニットが追加されると、そのユニットの装置固有積分項が平均の計算に自動的に追加されることが可能である。
【0031】
図2は、本発明の例示的且つ非限定的な一実施形態による装置システムを概略的に示す。この装置システムは、動作量を目標値に向けて駆動する並列運転装置を含む。この例示的ケースでは、並列運転装置は、共通直流電圧リンク214に接続された電力変換器205、206、及び207である。上述の動作量は直流電圧リンク214の直流電圧であり、上述の目標値は電圧基準である。
図2では、電圧基準は「UDC基準」と表記されている。
図2に示された例示的装置システムでは、電力変換器205、206、及び207は、ユニット219、220、及び221のうちの、直流電圧リンク214に電気エネルギを供給するように構成された部分であり、その直流電圧リンク214は、負荷システム222に電気エネルギを供給するように構成されている。
図2に示された装置システムは、例えば、船又はフェリーの電力システムの一部分であってよい。
【0032】
装置システムは、電力変換器205~207を制御する、本発明の例示的且つ非限定的な一実施形態による制御システムを含む。制御システムは、電圧基準「UDC基準」と、電圧測定値「UDC測定値1」、「UDC測定値2」、及び「UDC測定値3」とに基づいて電力変換器205~207を制御する制御装置201、202、及び203を含む。ユニット219、220、及び221の間の冗長性を実現する為に、制御装置205~207のそれぞれに、それぞれの電圧測定手段が用意されている。制御装置205~207のそれぞれは、それぞれの電力変換器を制御するように構成され、この制御は、考慮中の制御装置によって保守され、電圧測定値の電圧基準「UDC基準」からのずれを表す装置固有誤差信号の時間積分を表す装置固有積分項に少なくとも部分的に基づいて行われる。例えば、電力変換器205に関連付けられた装置固有誤差信号は「UDC基準-UDC測定値1」である。
図2では、電力変換器205~207に関連付けられた装置固有積分項は、それぞれ、I1、I2、及びI3と表記されている。
図2に示された例示的ケースでは、「装置固有」は「電力変換器固有」を意味する。これは、並列運転装置が電力変換器205~207である為である。制御システムは更に安定化システムを含み、安定化システムは、装置固有積分項I1、I2、及びI3の算術平均を計算し、装置固有積分項のそれぞれを、計算された算術平均に向けて補正する。
【0033】
図2に示された例示的制御システムでは、上述の安定化システムは集中方式で実施されている。制御装置205~207は、データ伝送チャネル218(例えばフィールドバス)を介して中央装置204に通信可能に接続されている。中央装置204は受信器209を含み、受信器209は、データ伝送チャネル218を介して、装置固有積分項I1、I2、及びI3を受信する。中央装置204は算術部210を含み、算術部210は、装置固有積分項の算術平均、即ち、(I1+I2+I3)/3を計算する。算術部210は、装置固有積分項I1、I2、及びI3のそれぞれを、計算された算術平均に向けて補正するように構成されている。算術部210は、装置固有積分項の補正を、例えば本文書において既に示された式2に従って行うように構成されてよい。中央装置204は更に送信器211を含み、送信器211は、補正された装置固有積分項I1,corr、I2,corr、及びI3,corrを制御装置201~203に送信する。
【0034】
ユニット219、220、及び221は、互いに対してピアであってよく、それによって、ユニット219~221のうちの1つが他のユニットからのアクションなしで装置システムから除去されることが可能である為、冗長性が実現される。これに対応して、他のユニットからのアクションなしで新たなユニットが装置システムに追加されることが可能である。1つのユニットが除去されると、そのユニットの装置固有積分項が上述の平均の計算に関係しなくなる。これに対応して、1つのユニットが追加されると、そのユニットの装置固有積分項が平均の計算に自動的に追加されることが可能である。
【0035】
図1aに示された制御装置101~103のそれぞれの実施態様、並びに
図2に示された制御装置201~203及び中央装置204のそれぞれの実施態様は、1つ以上のアナログ回路、1つ以上のデジタル処理回路、又はこれらの組み合わがベースであってよい。各デジタル処理回路は、適切なソフトウェアを備えたプログラマブルプロセッサ回路、専用ハードウェアプロセッサ(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)等)、又は構成可能なハードウェアプロセッサ(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等)であってよい。更に、制御装置101~103のそれぞれ、並びに制御装置201~203及び中央装置204のそれぞれは、1つ以上のメモリ回路を含んでよく、これらのそれぞれは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)回路であってよい。
【0036】
図3は、本発明の例示的且つ非限定的な一実施形態による、動作量を目標値に向けて駆動するように構成された並列運転装置を含む電力システムを制御する方法のフローチャートを示す。本方法はアクション301を含み、アクション301では、各装置の制御を、動作量の目標値からのずれを表す装置固有誤差信号の時間積分に関連する装置固有積分項に少なくとも部分的に基づいて行う。本方法は更に、各装置についての以下のアクションを含む。
アクション302:(i)考慮中の装置に関連付けられた装置固有積分項、及び(ii)その他の装置に関連付けられた装置固有積分項のうちの1つ以上の積分項の算術平均を計算する
アクション303:考慮中の装置に関連付けられた装置固有積分項を、計算された算術平均に向けて補正する
【0037】
本発明の例示的且つ非限定的な一実施形態による方法では、各装置において以下のアクションが実施される。
その他の装置に関連付けられた装置固有積分項の1つ以上を受信する
受信された装置固有積分項、及び考慮中の装置に関連付けられた装置固有積分項の算術平均を計算する
考慮中の装置に関連付けられた装置固有積分項を、計算された算術平均に向けて補正する
【0038】
本発明の例示的且つ非限定的な一実施形態による方法は、少なくとも1つの装置に関連付けられた装置固有積分項を、その少なくとも1つの装置から他の装置に送信することを含む。
【0039】
本発明の例示的且つ非限定的な一実施形態による方法では、装置固有積分項が次式に従って更新及び補正される。
I_n=I_n,prev+e_nΔt/Ti+Kcorr(I_ave-(I_n,prev+e_nΔt/Ti))
但し、I_nはn番目の装置に関連付けられた装置固有積分項であり、I_n,prevは装置固有積分項の直前値であり、e_nはn番目の装置に関連付けられた装置固有誤差信号であり、I_aveは算術平均であり、Δtは1動作クロックサイクルの時間長であり、Tiは積分時間であり、Kcorrは補正係数である。
【0040】
本発明の例示的且つ非限定的な一実施形態によるコンピュータプログラムは、本発明の上述の例示的且つ非限定的な実施形態のいずれかによる方法に関連付けられたアクションを実施するようにプログラマブル処理システムを制御するコンピュータ実行可能命令を含む。
【0041】
本発明の例示的且つ非限定的な一実施形態によるコンピュータプログラムは、動作量を目標値に向けて駆動するように構成された並列運転装置の制御を安定させるソフトウェアモジュールを含み、各装置の制御は、動作量の目標値からのずれを表す装置固有誤差信号の時間積分に関連する装置固有積分項に少なくとも部分的に基づいて行われる。このソフトウェアモジュールは、以下を行うようにプログラマブル処理システムを制御するコンピュータ実行可能命令を含む。
各装置について、(i)考慮中の装置に関連付けられた装置固有積分項、及び(ii)その他の装置に関連付けられた装置固有積分項のうちの1つ以上の積分項の算術平均を計算する
考慮中の装置に関連付けられた装置固有積分項を、計算された算術平均に向けて補正する
【0042】
ソフトウェアモジュールは、例えば、プログラマブル処理システムに適するプログラミングツールで実装されたサブルーチン又は関数であってよい。
【0043】
本発明の例示的且つ非限定的な一実施形態によるコンピュータプログラム製品は、本発明の一例示的実施形態によるコンピュータプログラムでエンコードされたコンピュータ可読媒体(例えばコンパクトディスク(CD))を含む。
【0044】
本発明の例示的且つ非限定的な一実施形態による信号は、本発明の一例示的実施形態によるコンピュータプログラムを定義する情報を搬送するようにエンコードされている。
【0045】
上述の説明において提示された各具体例は、添付の特許請求項の範囲及び/又は適用可能性を限定するものと解釈されるべきではない。上述の説明において提示された例のリスト及びグループは、特に別段に明記されない限りは包括的ではない。