(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-24
(45)【発行日】2023-11-01
(54)【発明の名称】プログラム可能な医療用ワイヤシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/00 20060101AFI20231025BHJP
A61B 17/94 20060101ALN20231025BHJP
A61B 17/32 20060101ALN20231025BHJP
【FI】
A61B17/00
A61B17/94
A61B17/32
(21)【出願番号】P 2020543061
(86)(22)【出願日】2019-02-07
(86)【国際出願番号】 US2019017025
(87)【国際公開番号】W WO2019157165
(87)【国際公開日】2019-08-15
【審査請求日】2022-02-02
(32)【優先日】2018-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514239372
【氏名又は名称】ベイラー ユニバーシティ
(73)【特許権者】
【識別番号】511095805
【氏名又は名称】スコット アンド ホワイト ヘルスケア
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シューベルト,キース・イー
(72)【発明者】
【氏名】オラフセン,リンダ
(72)【発明者】
【氏名】オラフセン,ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】リー,サングワン
(72)【発明者】
【氏名】ホワン,ジェイソン・エイチ
(72)【発明者】
【氏名】ダヤワンサ,サマンサ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ジン-ウー
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-033688(JP,A)
【文献】国際公開第2017/136729(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B13/00-18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラム可能な医療用ワイヤシステムであって、
コア導体と、
コア導体に電気的に結合され、作動に基づいて所定の形状に向かって動くようにプログラムされた少なくとも1つのアクチュエータ導体と、
アクチュエータ導体に電気的に結合されており、電気的に通電されて、所定の形状に向かって動くようにアクチュエータ導体を作動させるように構成される少なくとも1つの選択導体と
選択導体の第1のセットおよび選択導体の第2のセットを備える第1の選択導体部分と、
選択導体の第1のセットと電気的に結合されたアクチュエータ導体の第1のセットを備える第1のアクチュエータ部分と、
選択導体の第2のセットを備える第2の選択導体部分と、
選択導体の第2のセットと電気的に結合されたアクチュエータ導体の第2のセットを備える第2のアクチュエータ部分と
を備えるプログラム可能なワイヤアセンブリ
を備える、システム。
【請求項2】
コア導体が、選択導体による作動に基づいて所定の形状に向かって動くようにプログラムされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
プログラム可能なワイヤアセンブリが、コア導体の周囲から選択的に絶縁される複数のアクチュエータ導体の層を取り囲む、複数の選択導体の周辺層を備え、アクチュエータ導体のうちの2つ以上が、所定の形状に向かって屈曲するようにプログラムされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
プログラム可能なワイヤアセンブリに電気的に結合された電源およびコントローラをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
プログラム可能なワイヤアセンブリが、コア導体および複数の選択導体を備える少なくとも1つの選択導体部分を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
プログラム可能なワイヤアセンブリが、複数の選択導体と電気的に結合された複数のアクチュエータ導体を備える、少なくとも1つのアクチュエータ部分を備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
プログラム可能なワイヤアセンブリが、1つ以上の選択導体に電気的に結合された1つ以上のアタッチメントを備え、プログラム可能なワイヤアセンブリの使用から医療用データを取得するように構成される少なくとも1つのデータ部分を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
アクチュエータ導体のうちの少なくとも1つが、ツイスト導体の長手方向軸に沿ってツイストするように構成されるツイスト導体を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
選択導体の第2のセットが、第1の選択導体部分の選択導体の第1のセットから絶縁される、請求項
1に記載のシステム。
【請求項10】
第2のアクチュエータ部分が、プログラム可能なワイヤアセンブリに沿って、第1のアクチュエータ部分と異なる長手方向の位置に配置され、第1のアクチュエータ部分から独立して、プログラム可能なワイヤアセンブリの動きを制御するように構成される、請求項
1に記載のシステム。
【請求項11】
プログラム可能な医療用ワイヤシステム
によって行われる作動方法であって、
プログラム可能な医療用ワイヤシステムが、選択導体の第1のセットおよび選択導体の第2のセットを備える第1の選択導体部分と、選択導体の第1のセットと電気的に結合されたアクチュエータ導体の第1のセットを備える第1のアクチュエータ部分と、選択導体の第2のセットを備える第2の選択導体部分と、選択導体の第2のセットと電気的に結合されたアクチュエータ導体の第2のセットを備える第2のアクチュエータ部分とを備え、
アクチュエータ導体に結合される選択導体およびコア導体に通電することと、
エネルギーを、選択導体からアクチュエータ導体に流すことと、
選択導体により提供されるエネルギー量に基づいて、プログラムされたやり方でアクチュエータ導体の形状を変化させることと
を含む、方法。
【請求項12】
選択導体の第1のセットの選択導体に通電して、第1のアクチュエータ部分のアクチュエータ導体の第1のセットのアクチュエータ導体を作動させて、選択導体により提供されるエネルギー量に基づいて、プログラムされたやり方でアクチュエータ導体の形状を変化させることと、
選択導体の第2のセットの選択導体に通電して、第2のアクチュエータ部分のアクチュエータ導体の第2のセットのアクチュエータ導体を作動させて、選択導体の第2のセットの選択導体により提供されるエネルギー量に基づいて、プログラムされたやり方でアクチュエータ導体の形状を変化させること、
第2のアクチュエータ部分のプログラム可能なワイヤアセンブリの動きを制御することから独立して、第1のアクチュエータ部分のプログラム可能なワイヤアセンブリの動きを制御すること
をさらに含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
アクチュエータ導体がツイスト導体を備え、方法が、
ツイスト導体に結合される選択導体に通電することと、
ツイスト導体の長さに沿ってツイストさせることによって、ツイスト導体に形状を変化させることと
をさらに含む、請求項
11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、医療用機器および使用方法に関する。より詳細には、本開示は、身体通路を通したアクセスのために使用される医療用ワイヤアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
医療用途では、しばしば、身体自体の通路を通して、身体の部位に到達する必要がある。耳、鼻、喉、尿管、および直腸の通路などの身体通路は、外科医や他の医療従事者が、治療を必要とする身体の様々な部位にアクセスすることを可能にする。他の身体通路は血管を含む。
【0003】
例えば、動脈瘤は一般に、血管の弱った部分に起こり、血管壁をさらに引っ張る。血管壁を強化する1つの治療は、非常に細いワイヤを血管内に挿入し、動脈瘤まで身体を通り通路を辿ることである。ワイヤは、外部の連続的に稼働するCTスキャンを通して追いかけられ得る。医療従事者は一般にワイヤを前後に動かす。おそらく、できれば標的領域にヒットするまで、試行錯誤によりワイヤを一方向または他の方向にツイストさせる。ワイヤが、動脈瘤が破裂する前に時間内に、動脈瘤内に保護的な塊または層を形成できれば、患者の健康とおそらく生存が大幅に向上する。したがって、標的領域に到達することにおける成功も、タイミングも、患者にとって非常に重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
血管を含む身体通路を通して、より容易に、より確実に、より迅速に誘導できる医療用ワイヤシステムを作り出す必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、予めプログラムされ、その後、コマンドで制御され、再形成され得るプログラム可能な医療用ワイヤのためのシステムおよび方法を提供する。ワイヤを再形成する能力は、身体通路内のワイヤが、より迅速に、より容易に、より成功裏に身体内の標的領域に到達する能力を提供する。一般に、システムは、電源と、コントローラと、多層ワイヤアセンブリとを含む。ワイヤアセンブリは、コア導体と、コア導体に電気的に結合された複数のアクチュエータ導体と、コア導体およびアクチュエータ導体に隣接して形成され、絶縁体によって分離され、アクチュエータ導体および/またはコア導体に選択的に電気的に結合され得る複数の選択導体と、層の周囲の保護生体適合性シールドとを含む。選択導体のうちの1つ以上が通電されて、アクチュエータ導体および/またはコア導体をアクティブ化し、アクチュエータ導体および/またはコア導体を、予めプログラムされたやり方で屈曲またはツイストさせてもよい。導体が非通電時には、アクチュエータ導体および/またはコア導体は、その自然形状を取り戻すことができる。アクチュエータ導体および/またはコア導体のうちの1つ以上の屈曲またはツイストの方向および量、ならびに屈曲の時間を選択的に制御することにより、ワイヤアセンブリが、身体通路を通して遠隔的に標的にガイドされ得る。センサ、マイクロカメラ、検出器、カッター、および他の機器などの補助機器も、ワイヤアセンブリに結合され、選択導体のうちの1つ以上を通して制御され、および通信され得る。
【0006】
本開示は、また、ワイヤアセンブリが身体通路に沿って動くとき、選択的に導体に通電して、特定のアクチュエータを作動させて、通電された導体に応答するように予めプログラムされたワイヤアセンブリ部分を屈曲またはツイストさせることによって、身体通路内のワイヤアセンブリを制御する方法も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】プログラム可能な医療用ワイヤシステムの一例の概略斜視図である。
【
図2】コア導体と選択導体とを有するプログラム可能な医療用ワイヤシステムの選択導体部分の一例の概略断面図である。
【
図3A】コア導体と、コア導体に電気的に結合されたアクチュエータ導体と、選択導体とを有するプログラム可能な医療用ワイヤシステムの遷移アクチュエータ部分の一例の概略断面図である。
【
図3B】コア導体と、コア導体に電気的に結合されたアクチュエータ導体と、アクチュエータ導体に電気的に結合された選択導体とを伴うプログラム可能な医療用ワイヤシステムの結合アクチュエータ部分の一例の概略断面図である。
【
図4】コア導体と、コア導体に電気的に結合されたツイスト導体と、ツイスト導体に電気的に結合された少なくとも1つの選択導体とを有するプログラム可能な医療用ワイヤシステムの機器部分の一例の概略断面図である。
【
図5】示された場所におけるアセンブリの様々な例示的断面を伴う、プログラム可能な医療用ワイヤアセンブリの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
上で説明された図および以下の特定の構造および機能の書かれた説明は、出願人が発明したものまたは添付の特許請求の範囲を制限するために提示されたものではない。むしろ、図および書かれた説明は、特許保護が求められている本発明をいかに作り、使用するかを当業者に教示するために提供される。当業者は、明確化および理解のために、本発明の商業的実施形態のすべての特徴が、説明されている、または示されているわけではないことを理解するであろう。当業者はまた、本開示の態様を組み込んだ実際の商業的実施形態の開発は、商業的実施形態のための開発者の最終的な目標を達成するために、多数の実施形態特有の決定を必要とすることを理解するであろう。そのような実施形態特有の決定は、システム関連、ビジネス関連、政府関連、および他の制約の準拠を、おそらくはこれらに限定されず、含む可能性があるが、これらは、特定の実施形態、場所、または時間によって変わる可能性がある。開発者の努力は、絶対的な意味で複雑で時間がかかるかもしれないが、そのような努力は、それにもかかわらず、本開示の恩恵を受ける当業者にとっては、日常的な作業であろう。本明細書に開示され、教示される発明は、多数の様々な変更および代替形態の影響を受けやすいことが理解されなければならない。単数の用語、例えば限定はしないが「1つ」などの使用は、アイテムの数を限定することを意図されない。さらに、本システムの様々な方法および実施形態は、開示された方法および実施形態の変形形態を作り出すために、互いに組み合わせて含められ得る。単数要素の議論は、複数要素を含むことができ、その逆も同様である。少なくとも1つのアイテムの言及は、1つ以上のアイテムを含むことができる。また、本開示の理解される目的を達成するために、実施形態の様々な態様は互いに併せても使用され得る。文脈上他の解釈が必要な場合を除き、用語「備える(comprise)」または、「備える(comprises)」もしくは「備えている(comprising)」などの変化は、少なくとも記載された要素もしくはステップ、または要素もしくはステップのグループ、またはそれらの同等物を含むことを意味し、より大きな数の量または他の要素もしくはステップまたは要素もしくはステップのグループ、またはそれらの同等物を除外することを意味しないと理解されるべきである。デバイスまたはシステムは、いくつかの方向および向きで使用されてもよい。用語「上部」、「上」、「上向き」、「底部」、「下」、「下向き」、およびそのような方向を示す用語は、図およびそれらの図示された方向に対する方向を示すために使用され、商業的に使用される地球のような固定された基準に対する絶対的なものではない。「内側」、「内部へ」、「内部の」などの用語は、アセンブリまたは構成要素の長手方向中心線などの、アセンブリまたは構成要素の中心部分に向かう方向を参照し、「外側」、「外部へ」、「外部の」などの用語は、アセンブリまたは構成要素の中心部分から離れて向かう方向を参照する。「結合された」、「結合している」、「カップラ」などの用語は、本明細書で広く使用され、これらの用語は、中間要素と、1つ以上の部材を一緒に、例えば、機械的に、磁気的に、電気的に、化学的に、操作可能に、直接または間接的に、固定する、結着する、接合する、締結する、取り付ける、連結する、その中に挿入する、その上もしくはその中に形成する、通信する、または別の方法で関連付けるための任意の方法またはデバイスを含む可能性があり、さらに、1つの機能部材を別のものと単一型で全体的に形成することを含み得るがこれに限定されない。結合は、任意の方向、回転的なものを含む、で起こり得る。特に限定されない限り、ステップの順序は、様々な順番で起こり得る。本明細書に説明される様々なステップは、他のステップと組み合わされても、記載のステップにはさまれても(interlineated)、および/または複数のステップに分割されてもよい。同様に、要素は機能的に説明されており、別個の構成要素として具現化されてもよく、または複数の機能を有する構成要素に組み合わされてもよい。いくつかの要素は、単純化のためにデバイス名で指名され、当業者には既知であり、特別に説明されない場合がある関連構成要素のシステムを含むことが理解されよう。いくつかの要素は、所与の要素番号を用いて説明され、様々な例を用いて実施形態を説明するのに役立つ場合には説明および図において提供され、様々な機能を行い、形状、サイズ、説明において非限定的であるが、本明細書に含まれる教示を与えられた当業者に公知であるように変えられ得る例示的構造として役立つ。「A」、「B」などのサフィックスを伴う要素番号は、類似の構造または機能を有する同様の要素のグループ内の異なる要素を指定するものであり、文字のない対応する要素番号は、一般に、同様の要素のうちの1つ以上を参照するものである。
【0009】
本開示は、予めプログラムされ、その後、コマンドで制御され、再形成され得るプログラム可能な医療用ワイヤのためのシステムおよび方法を提供する。ワイヤを再形成する能力は、身体通路内のワイヤが、より迅速に、より容易に、より成功裏に身体内の標的領域に到達する能力を提供する。一般に、システムは、電源と、コントローラと、多層ワイヤアセンブリとを含む。ワイヤアセンブリは、コア導体と、コア導体に電気的に結合された複数のアクチュエータ導体と、コア導体およびアクチュエータ導体に隣接して形成され、絶縁体によって分離され、アクチュエータ導体および/またはコア導体に選択的に電気的に結合され得る複数の選択導体と、層の周囲の保護生体適合性シールドとを含む。選択導体のうちの1つ以上が通電されて、アクチュエータ導体および/またはコア導体をアクティブ化して、アクチュエータ導体および/またはコア導体を、予めプログラムされたやり方で屈曲またはツイストさせ得る。導体が非通電時には、アクチュエータ導体および/またはコア導体は、その自然形状を取り戻すことができる。アクチュエータ導体および/またはコア導体のうちの1つ以上の屈曲またはツイストの方向および量、ならびに屈曲の時間を選択的に制御することにより、ワイヤアセンブリは、身体通路を通して遠隔的に標的にガイドされ得る。センサ、マイクロカメラ、検出器、カッター、および他の機器などの補助機器も、ワイヤアセンブリに結合され、選択導体のうちの1つ以上を通して制御され、および通信され得る。
【0010】
図1は、プログラム可能な医療用ワイヤシステムの一例の概略斜視図である。
図2は、コア導体と選択導体とを有するプログラム可能な医療用ワイヤシステムの選択導体部分の一例の概略断面図である。
図3Aは、コア導体と、コア導体に電気的に結合されたアクチュエータ導体と、選択導体とを有するプログラム可能な医療用ワイヤシステムの遷移アクチュエータ部分の一例の概略断面図である。
図3Bは、コア導体と、コア導体に電気的に結合されたアクチュエータ導体と、アクチュエータ導体に電気的に結合された選択導体とを伴うプログラム可能な医療用ワイヤシステムの結合アクチュエータ部分の一例の概略断面図である。
図4は、コア導体と、コア導体に電気的に結合されたツイスト導体と、ツイスト導体に電気的に結合された少なくとも1つの選択導体とを有する、プログラム可能な医療用ワイヤシステムの機器部分の一例の概略断面図である。
【0011】
プログラム可能な医療用ワイヤシステム10は、一般に、本明細書に説明される様々な導体を有する多層プログラム可能なワイヤアセンブリ12と、ワイヤアセンブリ内の導体に通電するための電源40と、どの導体が通電されるかを制御するためのコントローラ42とを含む。用語「ワイヤ」は、本明細書では広く使用されており、形成されたワイヤも、堆積または他の方法で形成された導体も含む。「ワイヤ」の材料は、金属、半金属、導電性金属酸化物、および他の導電性材料を含む様々な導電性材料であり得る。一般に、導体は柔軟であり、本出願に好適な屈曲、ツイスト、および他の動きの量に適合する。一般に、プログラム可能なワイヤアセンブリ12は、ワイヤアセンブリの本体に対して横方向または回転的(つまり「ツイスト」)に動くように予めプログラムされた1つ以上の部分を有する細長い多層アセンブリである。少なくとも1つの実施形態では、通電時には所与のやり方で動き、非通電時には通常の形状に戻るように、アクチュエータ導体、コア導体、またはそれらの組み合わせをプリセットすることにより、動きが予めプログラムされ得る。
【0012】
少なくとも1つの実施形態では、ワイヤアセンブリ12の少なくとも1つの選択導体部分30(例えば
図1に示す選択導体部分30A)は、コア導体を取り囲む一連の層を伴うコア導体14によって形成される。コア導体は、ワイヤアセンブリ12に沿って大きさおよび構成が変わってもよい。
図1における挿入および
図2におけるより大きいイメージは、選択導体部分30Aの断面をより詳細に示す。絶縁層16は、コア導体の周囲に形成され得る。選択導体層18は、絶縁層16の周囲に形成され得る。選択導体層18は、選択導体22を分離する絶縁部分20内に放射状に分割され得る。例えば、選択導体22Aは、一方の側の絶縁部分20Aおよび遠位側の絶縁部分20Bによって境界される。さらなる層24が選択導体層18上に形成されて、シールドとしてワイヤアセンブリを外部流体および他の材料から保護してもよい。したがって、有利には、層24は、生体適合性であってもよく、身体通路を通した動きを可能とするように柔軟であってもよい。好適な材料の一例は、化学気相成長ポリマーである。
【0013】
少なくとも1つの実施形態では、少なくとも1つのアクチュエータ部分26A(全体として「26」)が、プログラム可能なワイヤアセンブリ12に形成されてもよい。アクチュエータ部分26は、選択導体部分30に電気的に結合されてもよい。少なくとも1つの実施形態では、アクチュエータ部分26は、例証の目的のために、遷移アクチュエータ部分261Aおよび結合アクチュエータ部分262Aから形成され得る。
【0014】
図1における挿入および
図3Aは遷移アクチュエータ部分261Aの詳細を示す。遷移アクチュエータ部分261Aは、絶縁層16と同様の絶縁体によって囲まれたより小径のコア導体14を含む。絶縁体は、複数のアクチュエータ導体28A、28Bなど(全体として「28」)をコア導体14から絶縁する。アクチュエータ導体28は、一般に選択導体部分30Aに向かって近位端でコア導体14に電気的に結合され、一般に遠位端では結合されない。さらに、アクチュエータ導体28は、互いに絶縁されており、対応する選択導体22の選択によって提供される電気エネルギーを通して、アクチュエータ導体28の独立した制御を可能とする。選択導体22を伴う選択導体層18も、現在のアクチュエータ導体28も、コア導体14の周囲に形成されたままである。
【0015】
アクチュエータ導体28は、温度変化によって形状が変化する材料で作られ得る。例えば、限定することなく、好適な材料は、ニッケル-チタン(ニチノール)などの「形状記憶効果」(「SME」)材料であってもよい。このような材料は、抵抗性材料を通した電気刺激を通してなど、熱に応答し、熱が取り除かれると自然状態に戻ることができる。化学組成物は、所与の動きを作り出すのに必要な熱量を変化させることができる。形状をプログラムするために、材料は、あるレベルまで加熱され、屈曲もしくはツイスト、またはその他の方法で所望の形状に形成されて、その後、形状を固定するためにその形状で冷却される。形状は、適切な熱で元に戻る。したがって、材料は、加熱された形状の「記憶」を形成する。
【0016】
したがって、所望の形状は、プログラム可能なワイヤアセンブリ12の製造においてプログラムされてもよい。アクチュエータ部分26に熱をもたらす抵抗性電気エネルギーを用いて、プログラム可能なワイヤアセンブリは、どのアクチュエータ導体28が、電流を通してなど、熱によって刺激されるかに応じて、様々な方向に動き得る。
【0017】
図1における挿入および
図3Bにおけるより大きい図に示された結合アクチュエータ部分262Aは、遷移アクチュエータ部分261Aと同様に構築される。しかしながら、アクチュエータ導体28は、対応する選択導体22に電気的に結合される。例えば、アクチュエータ導体28Aは、選択導体22Aに電気的に結合されてもよい。結合は、絶縁層16および絶縁体20からの絶縁体に囲まれている。本質的に、絶縁層16は、アクチュエータ導体を選択導体と結合することによりブリッジされる。したがって、アクチュエータ導体28Aを作動させたいとき、電流は選択導体22Aを通って流れ、アクチュエータ導体28Aを加熱することができる。この熱は、アクチュエータ導体28Aによって生成された熱または他のエネルギーのレベルに応じて、アクチュエータ導体28Aを予めプログラムされたやり方で動かすことができる。同じように、他の選択導体22は、対応するアクチュエータ導体28と電気的に結合されてもよい。したがって、アクチュエータ導体のうちの1つ以上の選択的作動が、プログラム可能なワイヤアセンブリを様々な方向に動かす。同じやり方で、コア導体が、アクティブ化時にそうするようにプリセットされている場合、コア導体に電流を流して、コア導体を予めプログラムされたやり方で動かすために、コア導体は選択導体に電気的に結合されることが可能である。
【0018】
プログラム可能なワイヤアセンブリ12の機器部分32は、プログラム可能なワイヤアセンブリ12のさらなる柔軟性および用途を提供できる。少なくとも1つの実施形態では、コア導体14の端部は、ツイスト形状に予めプログラムされて、ツイスト導体36としての部分を形成してもよい。コア導体14に結合される異なる場所に、1つ以上のツイスト導体(図示せず)が使用され得る。ツイスト導体36は、説明されたのと同じように、選択導体22Bに電気的に結合されてもよい。選択導体22Bを作動させてツイスト導体36に熱を生成すると、ツイスト導体36は、ツイスト導体の長手方向軸に沿って(すなわち、ツイスト導体の長さに沿って)ツイストし、提供される熱量に応じてプログラム可能なワイヤアセンブリを回転させることができる。本実施形態では、ツイスト導体は、アクティブ化されたとき、機器部分32を回転させ得る。機器部分32は図示のために使用されるが、ツイスト導体36は、プログラム可能なワイヤアセンブリ12の長さに沿った他の部分に挿入され得る。
【0019】
機器部分32は、様々な機能のための機器34を支持するために使用されることもできる。例えば、限定することなく、そのような機器は、カメラ、センサ、カッター、および他のツールを含み得る。そのような機器は、マイクロサイズでも、それ以外の適切なサイズであってもよい。機器は、選択導体のうちの1つ以上を通して制御され、および通信され得る。
【0020】
図5は、示した場所におけるアセンブリの様々な例示的断面を伴う、プログラム可能な医療用ワイヤアセンブリの概略図である。いくつかの実施形態では、プログラム可能なワークアセンブリ12は、複数の選択導体部分30およびアクチュエータ部分26を含んでもよい。アクチュエータ部分26は、アクチュエータ部分26のそれぞれにおいて、異なる選択導体22をアクチュエータ導体28と結合することにより、選択的に制御され得る。
【0021】
本例では、プログラム可能なワークアセンブリ12は、上で説明された選択導体22およびコア導体14を含む第1の選択導体部分、続いて、上で説明されたように、遷移アクチュエータ部分261Aおよび結合アクチュエータ部分262Aを有する第1のアクチュエータ部分26Aを含む。
【0022】
第2の選択導体部分30Bは、プログラム可能なワイヤアセンブリ12に沿って第1のアクチュエータ部分26Aに続いてもよく、部分301Bと部分302Bとで図示されている。第1の遷移導体ガイド部分301Bは、第1のアクチュエータ部分26Aで使用されたアクチュエータ導体28および選択導体22を伴わない、後続の下流の制御に利用可能な残りの選択導体22を示す。また、第1の遷移導体ガイド部分301Bは、第1のアクチュエータ部分26Aで使用されたコア導体14も示す。第2の遷移導体ガイド部分302Bは、依然として残りの選択導体を示すが、次の下流部分の追加のアクチュエータ導体28により容易に結合され得る、相対的に拡大されたコア導体14を伴う。
【0023】
第2のアクチュエータ部分26Bは、プログラム可能なワイヤアセンブリ12に沿って第2の選択導体部分30Bに続いてもよい。第2のアクチュエータ部分26Bは、遷移アクチュエータ部分261Bと結合アクチュエータ部分262Bとを含んでもよい。遷移アクチュエータ部分261Bは、結合されたアクチュエータ導体28を伴うコア導体14と、残りの選択導体22とを含む。結合アクチュエータ部分262Bは、遷移アクチュエータ部分261Bと同様に構築されるが、残りの選択導体22のうちの1つ以上にも結合されるアクチュエータ導体28を伴う。上で説明されたように、選択導体のうちの1つ以上が通電されて、1つ以上の方向に動くようにそれらの対応するアクチュエータ導体28を作動させることができる。
【0024】
第3の選択導体部分30Cは、プログラム可能なワイヤアセンブリ12に沿って、第2のアクチュエータ部分26Bに続いてもよく、部分301Cと部分302Cとで図示されている。第1の遷移導体ガイド部分301Cは、第2のアクチュエータ部分26Bで使用されたアクチュエータ導体28および選択導体22を伴わない、後続の下流の制御に利用可能な残りの選択導体22を示す。また、第1の遷移導体ガイド部分301Cは、第2のアクチュエータ部分26Bで使用されたコア導体14も示す。第2の遷移導体ガイド部分302Cは、依然として残りの選択導体22を示すが、次の下流部分の追加のアクチュエータ導体28により容易に結合され得る、相対的に拡大されたコア導体14を伴う。第2の遷移導体ガイド部分302C(および他の部分)は、また選択導体22および/またはアクチュエータ導体28の数がプログラム可能なワイヤアセンブリ12内で減少するにつれて、周辺寸法が適宜減少され得ることも示している。
【0025】
第3のアクチュエータ部分26Cは、プログラム可能なワイヤアセンブリ12に沿って第3の選択導体部分30Cに続いてもよい。第3のアクチュエータ部分26Cは、遷移アクチュエータ部分261Cと結合アクチュエータ部分262Cとを含んでもよい。遷移アクチュエータ部分261Cは、第3の選択導体部分30Cのコア導体14に結合されたアクチュエータ導体28と、残りの選択導体22とを含む。結合アクチュエータ部分262Cは、遷移アクチュエータ部分261Cと同様に構築されるが、残りの選択導体22のうちの1つ以上にも結合されるアクチュエータ導体28を伴う。上で説明されたように、選択導体のうちの1つ以上が通電されて、1つ以上の方向に動くようにそれらの対応するアクチュエータ導体28を作動させることができる。
【0026】
プログラム可能なワイヤアセンブリ12の機器部分32は、プログラム可能なワイヤアセンブリ12のさらなる柔軟性および用途を提供できる。上で説明されたように、機器部分32は、また様々な機能のための機器を支持し様々な機能のための機器と通信するために使用されることもできる。そのような機器は、マイクロサイズでも、それ以外の適切なサイズであってもよい。機器は、選択導体22のうちの1つ以上を通して制御され、および通信されてもよい。
【0027】
本発明は、好ましい実施形態および他の実施形態の文脈で説明されてきたが、本発明のすべての実施形態が説明されているわけではない。明らかな変更は、組み合わせられ得る構成要素の数、層および/または導体の数、形状および目的の変形形態、ならびに当業者が本明細書の教示を受けて想定するであろう使用方法および製造方法に関係する他の変形形態および関連付けられた方法を含む。開示された実施形態および非公開の実施形態は、本出願人により着想された本発明の範囲または適用可能性を制限または限定することが意図されたものではなく、むしろ、特許法に準拠して、本出願人は、添付の請求項の範囲内に入るすべてのそのような変更および改良を完全に保護することを意図する。