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特許7372929水中のベンゾイミダゾール系化合物の測定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-24
(45)【発行日】2023-11-01
(54)【発明の名称】水中のベンゾイミダゾール系化合物の測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/64 20060101AFI20231025BHJP
【FI】
G01N21/64 Z
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020543817
(86)(22)【出願日】2019-02-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 US2019018889
(87)【国際公開番号】W WO2019168731
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2022-02-16
(31)【優先権主張番号】62/636,928
(32)【優先日】2018-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510250467
【氏名又は名称】エコラボ ユーエスエー インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】キショー パッドメイカー ダカ
(72)【発明者】
【氏名】アナップ パンデュラング タクール
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ ジョセフ ミッシェルズ
【審査官】吉田 将志
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-178662(JP,A)
【文献】特開平06-057460(JP,A)
【文献】特表2017-501302(JP,A)
【文献】特開平11-106428(JP,A)
【文献】特開平07-090639(JP,A)
【文献】特表2015-533885(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0348252(US,A1)
【文献】BEREZIN et al.,pH-Dependent Optical Properties of Synthetic Fluorescent Imidazoles,CHEMISTRY A EUROPEAN JOURNAL,2009年03月17日,Vol.15/Iss.14,PP.3560-3566
【文献】KONDO et al.,Fluorescence Spectra of Some Benzimidazoles in Acid Media,BULLETIN OF THE CHEMICAL SOCIETY OF JAPAN,1969年,VOL.42,PP.1433-1435
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/62 - G01N 21/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中の腐食抑制剤濃度を決定する方法であって、前記方法は:
水試料を水性系から抜き取ることであって、前記水試料はベンゾイミダゾール系化合物を含む、ことと、
前記水試料に酸を添加することと、
前記水試料を選択された励起波長の光エネルギーに曝すことと、
選択された蛍光発光波長について発光された光の強度を測定することと、
前記発光された光の前記強度を標準曲線と比較することであって、前記標準曲線は、前記ベンゾイミダゾール系化合物の濃度に対する前記ベンゾイミダゾール系化合物の蛍光発光強度のプロットを含む、ことと、
前記標準曲線から前記水試料中の前記ベンゾイミダゾール系化合物の前記濃度を決定することとを含み、
前記水試料が硬水である、方法。
【請求項2】
前記水試料に水を添加することにより前記水試料を希釈することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水試料を約10倍希釈する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記水性系が冷却水系であり、前記水試料が冷却塔水の試料である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記水試料が、約25ppm~約400ppmのカルシウムおよび約25ppm~約400ppmのマグネシウムを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ベンゾイミダゾール系化合物が、式(I)またはその塩であり:
【化1】
式中、Rが、ハロ、水素、重水素、ヒドロキシル、カルボニル、置換もしくは非置換C~C16アルキル、置換もしくは非置換C~Cアリール、置換もしくは非置換C~C16アルケニル、置換もしくは非置換C~C16アルキニル、置換もしくは非置換C~Cヘテロアリール、または置換もしくは非置換C~Cシクロアルキルであり、
Xが、水素、CRY、またはNRYであり、
Yが、ヒドロキシル、ハロ、オキソ、置換もしくは非置換C~C16アルコキシ、チオール、アルキルチオ、アミノ、水素、またはアミノアルキルであり、
およびRが、それぞれ独立して、水素、ハロ、ヒドロキシル、置換または非置換C~Cアリール、置換または非置換C~Cヘテロアリール、カルボニル、置換または非置換C~C16アルケニル、置換または非置換C~C16アルキニル、置換または非置換C~Cシクロアルキル、および置換または非置換C~C16アルキルから成る群より選択され、
、R、R、およびRが、それぞれ独立して、水素、ハロ、アミノ、シアノ、置換または非置換C~C16アルコキシ、ヒドロキシル、チオール、カルボニル、ニトロ、ホスホリル、ホスホニル、スルホニル、置換または非置換C~C16アルキル、置換または非置換C~Cアリール、置換または非置換C~C16アルケニル、置換または非置換C~C16アルキニル、置換または非置換C~Cヘテロアリール、および置換または非置換C~Cシクロアルキルから成る群より選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ベンゾイミダゾール系化合物が、式(II)またはその塩であり:
【化2】
式中、Rが、水素、置換もしくは非置換C~C16アルキル基、または置換もしくは非置換C~Cアリール基であり、
が、結合部またはCHRであり、
が、水素、ハロ、NR1011、またはOR10であり、
10およびR11が、それぞれ独立して、水素、置換または非置換C~C12アルキル基、および置換または非置換C~Cアリール基から成る群より選択され、
Zが、独立して、窒素、CR、またはN10である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ZがCRであり、Rが水素である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ベンゾイミダゾール系化合物が、
【化3】
から成る群より選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記酸が、無機酸、有機酸、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記酸が、塩酸、ギ酸、リン酸、硝酸、硫酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、乳酸、クエン酸、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記選択される励起波長が、約200nm~約400nmである、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記選択される蛍光発光波長が、約300nm~約500nmである、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記酸を添加した後に、前記ベンゾイミダゾール系化合物をプロトン化することをさらに含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記水試料が、前記酸を添加した後に、約1~約5のpHを有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記酸が、約0.001重量%~約10重量%の量で前記水試料に添加される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記酸の添加により、前記ベンゾイミダゾール系化合物について、300nmでの発光帯の蛍光強度が減少し、370nmでの発光帯の蛍光強度が増加する、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
水性系中の腐食抑制剤の濃度を制御する方法であって、前記方法は、
請求項1~17のいずれか一項に従って水試料中の前記ベンゾイミダゾール系化合物の濃度を決定することと、
前記水試料中の前記ベンゾイミダゾール系化合物の濃度が所定の水準未満である場合、前記ベンゾイミダゾール系化合物を前記水性系に添加することとを含む、方法。
【請求項19】
前記所定の水準が約0.05ppm~約20ppmである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記水性系が酸化性殺生物剤を含む、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
水中の腐食抑制剤の濃度を決定する方法であって、前記方法は:
水試料を水性系から抜き取ることであって、前記水試料はベンゾイミダゾール系化合物を含む、ことと、
前記水試料に酸を添加することと、
前記水試料を選択された励起波長の光エネルギーに曝すことと、
選択された蛍光発光波長について発光された光の強度を測定することと、
前記発光された光の前記強度を標準曲線と比較することであって、前記標準曲線は、前記ベンゾイミダゾール系化合物の濃度に対する前記ベンゾイミダゾール系化合物の蛍光発光強度のプロットを含む、ことと、
前記標準曲線から前記水試料中の前記ベンゾイミダゾール系化合物の前記濃度を決定することとを含み、
前記水性系が冷却水系であり、前記水試料が冷却塔水の試料であり、5ppmまでの銅と、5ppmまでの鉄と、25ppm~50ppmのカルシウムと、25ppm~50ppmのマグネシウムと、5ppmまでの遊離塩素とを含有し、100NTUまでの濁度を有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、冷却水中のベンゾイミダゾール系腐食抑制剤を測定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光分光法は、対象となる試料により発光される蛍光の検出に関係する。これには、試料中の特定の化合物の分子中の電子を励起し、それらがより低いエネルギーの光を発光するようにする、通常は紫外(UV)光の光線の使用が伴う。このより低いエネルギーの光は、可視光であることが一般的であるが、必ずしもそうである必要はない。この技術は、共焦点顕微鏡、蛍光共鳴エネルギー移動、および蛍光寿命イメージングなどの生化学および医療用途において人気がある。分子蛍光分光計測器は、一般的に、励起放射エネルギー源と、励起波長セレクターと、分析物材料を含む試料セルと、発光波長セレクターと、シグナルプロセッサを有する検出器と、読み出しデバイスとから成る。
【0003】
蛍光を測定するための蛍光光度計にはいくつかのタイプがある。フィルター蛍光光度計は、光学フィルターを使用して、入射光と蛍光とを分離する。分光蛍光光度計は、回折格子モノクロメータを使用して、入射光と蛍光とを分離する。これらのデバイスにおいて、スペクトルは、入射光(励起スペクトル)もしくは発光される光またはそれら双方の波長に応じて発光される光の強度から成る。
【発明の概要】
【0004】
いくつかの実施形態では、水中の腐食抑制剤の濃度を決定する方法が開示されている。この方法は、ベンゾイミダゾール系化合物を含む水試料を水性系から抜き取ることを含み得る。この方法は、水試料に酸を添加することと、水試料を選択された励起波長の光エネルギーに曝すことと、選択された蛍光発光波長について発光された光の強度を測定することと、発光された光の強度を、ベンゾイミダゾール系化合物の濃度に対するベンゾイミダゾール系化合物の蛍光発光強度のプロットを含む標準曲線と比較することと、標準曲線から水試料中のベンゾイミダゾール系化合物の濃度を決定することとを含み得る。
【0005】
いくつかの実施形態では、この方法は、水試料に水を添加することにより水試料を希釈することを含み得る。
【0006】
いくつかの実施形態では、水試料は約10倍希釈される。
【0007】
いくつかの実施形態では、水性系は冷却水系であり、水試料は冷却塔水の試料である。
【0008】
いくつかの実施形態では、水試料は硬水を含み得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、水試料は、約25ppm~約400ppmのカルシウムおよび約25ppm~約400ppmのマグネシウムを含み得る。
【0010】
いくつかの実施形態において、ベンゾイミダゾール系化合物は、式(I):
【化1】
のものまたはその塩であり、式中、Rは、ハロ、水素、重水素、ヒドロキシル、カルボニル、置換または非置換C~C16アルキル、置換または非置換Cアリール、置換または非置換C~C16アルケニル、置換または非置換C~C16アルキニル、置換または非置換C~Cヘテロアリール、または置換または非置換C~Cシクロアルキルであり、Xは、水素、CRY、またはNRYであり、Yは、ヒドロキシル、ハロ、オキソ、置換または非置換C~C16アルコキシ、チオール、アルキルチオ、アミノ、水素、またはアミノアルキルであり、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、ハロ、ヒドロキシル、置換または非置換C~Cアリール、置換または非置換C~Cヘテロアリール、カルボニル、置換または非置換C~C16アルケニル、置換または非置換C~C16アルキニル、置換または非置換C~Cシクロアルキル、および置換または非置換C~C16アルキルから成る群より選択され、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素、ハロ、アミノ、シアノ、置換または非置換C~C16アルコキシ、ヒドロキシル、チオール、カルボニル、ニトロ、ホスホリル、ホスホニル、スルホニル、置換または非置換C~C16アルキル、置換または非置換C~Cアリール、置換または非置換C~C16アルケニル、置換または非置換C~C16アルキニル、置換または非置換C~Cヘテロアリール、および置換または非置換C~Cシクロアルキルから成る群より選択される。
【0011】
いくつかの実施形態において、ベンゾイミダゾール系化合物は、式(II):
【化2】
のものまたはその塩であり、式中、Rは、水素、置換または非置換C~C16アルキル基、または置換または非置換C~Cアリール基であり、Rは、結合部またはCHRであり、Rは、水素、ハロ、NR1011、またはOR10であり、R10およびR11は、それぞれ独立して、水素、置換または非置換C~C12アルキル基、および置換または非置換C~Cアリール基から成る群より選択され、Zは、独立して、窒素、CRまたはN10である。
【0012】
いくつかの実施形態では、ZはCRであり、Rは水素である。
【0013】
いくつかの実施形態では、ベンゾイミダゾール系化合物は、
【化3】
から成る群より選択される。
【0014】
いくつかの実施形態では、酸は、無機酸、有機酸、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0015】
いくつかの実施形態では、酸は、塩酸、ギ酸、リン酸、硝酸、硫酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、乳酸、クエン酸、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0016】
いくつかの実施形態では、選択される励起波長は、約200nm~約400nmである。
【0017】
いくつかの実施形態では、選択される蛍光発光波長は、約300nm~約500nmである。
【0018】
いくつかの実施形態では、この方法は、ベンゾイミダゾール系化合物をプロトン化することを含み得る。
【0019】
いくつかの実施形態において、水試料は、酸を添加した後に、約1~約5のpHを有する。
【0020】
いくつかの実施形態では、酸は、約0.001重量%~約10重量%の量で水試料に添加される。
【0021】
いくつかの実施形態では、酸の添加により、ベンゾイミダゾール系化合物について、300nmでの発光帯の蛍光強度が減少し、370nmでの発光帯の蛍光強度が増加する。
【0022】
他の実施形態では、水性系中の腐食抑制剤の濃度を制御する方法が開示されている。この方法は、水試料中のベンゾイミダゾール系化合物の濃度を決定することと、水試料中のベンゾイミダゾール系化合物の濃度が所定の水準未満である場合、ベンゾイミダゾール系化合物を水性系に添加することとを含み得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、所定の水準は約0.05ppm~約20ppmである。
【0024】
いくつかの実施形態では、水性系は酸化性殺生物剤を含み得る。
【0025】
前述は、後に続く発明を実施するための形態をより良好に理解できるように、本開示の特徴および技術的利点を概括的に概説した。本願の特許請求の範囲の主題を形成する、本開示のさらなる特徴および利点は、以下に説明される。開示される概念および具体的な実施形態は、本開示と同じ目的を実行するための他の実施形態を修正または設計するための基礎として容易に利用され得ることが、当業者により理解されるべきである。そのような等価の実施形態はまた、添付の特許請求の範囲に明記される本開示の趣旨および範囲から逸脱しないことが、当業者により認識されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
発明の詳細な説明を、以下の図面に対する具体的な参照とともに本明細書において以下に説明する。
【0027】
図1A】Milli Q水およびギ酸中のベンゾイミダゾール系化合物の発光プロファイルである。
【0028】
図1B】Milli Q水およびさまざまな濃度のギ酸中のベンゾイミダゾール系化合物の発光プロファイルを示す。
【0029】
図2】ベンゾイミダゾール系化合物の蛍光強度に対するギ酸の影響を示す。
【0030】
図3】2ppmのベンゾイミダゾール系化合物に対する硬水の影響を示す。
【0031】
図4】ベンゾイミダゾール系化合物の蛍光強度に対する、ギ酸、リン酸、および塩酸による酸性化の影響を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
さまざまな実施形態が以下に説明される。実施形態のさまざまな要素の関係性および機能は、以下の詳細な説明を参照することよってより良好に理解され得る。しかしながら、実施形態は、以下に例解されるものに限定されることはない。特定の例では、本明細書に開示される実施形態の理解のために必要ではない詳細は、省略されている場合がある。
【0033】
いくつかの実施形態では、水中の腐食抑制剤の濃度を決定する方法が開示されている。この方法は、水性系から水試料を抜き取ることを含み得る。水試料は、ベンゾイミダゾール系化合物を含有し得る。この方法は、水試料に酸を添加することと、水試料を選択された励起波長の光エネルギーに曝すことと、選択された蛍光発光波長について発光された光の強度を測定することと、発光された光の強度を標準曲線と比較することとを含み得る。標準曲線は、ベンゾイミダゾール系化合物の濃度に対するベンゾイミダゾール系化合物の蛍光発光強度のプロットであり得る。この方法は、標準曲線から水試料中のベンゾイミダゾール系化合物の濃度を決定することを含み得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、この方法は、水試料に水を添加することにより水試料を希釈することを含み得る。いくつかの実施形態では、水試料は、水から成る液体を水試料に添加することにより希釈される。水試料は、酸添加の前または後に希釈されてもよい。酸を添加した後に水試料に水が添加される場合、水試料は、選択された波長の光エネルギーに水試料を曝す前に希釈される。いくつかの実施形態では、水試料は約10倍希釈される。いくつかの実施形態では、水試料は、約10倍~約20倍希釈される。いくつかの実施形態では、水試料は、約11倍、約12倍、約13倍、約14倍、約15倍、約16倍、約17倍、約18倍、または約19倍希釈される。
【0035】
水試料を希釈することは、水試料が、硬水を含むか、または蛍光特性を有する任意の他の物質などの、蛍光アッセイに干渉し得る任意の他の物質を含む場合に、特に有利である。硬水および他の多くの冷却水物質は、ベンゾイミダゾール系化合物の蛍光測定に干渉し、化合物濃度の不正確な結果につながる可能性がある。本明細書で使用される硬水は、約60ppm~約7000ppmの中程度から高い鉱物含量を有する水を指す。いくつかの実施形態では、水試料は、約25ppm~約400ppmのカルシウムおよび約25ppm~約400ppmのマグネシウムを含み得る。他の物質は、遊離した形態にあるか、または他の物質にタグ付けされた、蛍光特性を有する任意の他の有機分子を含み得る。
【0036】
冷却水は、一般的に、増加した水準のカルシウム、マグネシウム、銅、鉄、遊離塩素、濁度、および蛍光アッセイに干渉し得る他の多くのパラメータを含む。これらのイオンの濃度が高いと、蛍光が消光し、アッセイの特異性が低下し得る。本開示の方法は、冷却水中のベンゾイミダゾール濃度を決定するのに特に適している。いくつかの実施形態では、水性系は冷却水系であり、水試料は冷却塔水の試料である。冷却水は、銅(約5ppmまで)、鉄(約5ppmまで)、カルシウム(約50ppmまで)、マグネシウム(約50ppmまで)、遊離塩素(約5ppmまで)を含有していてもよく、また約100NTUまでの濁度を有していてもよい。
【0037】
ベンゾイミダゾール系化合物は、式(I)の化合物もしくはその塩または式(II)の化合物もしくはその塩:
【化4】
であってもよく、式中、Rは、ハロ、水素、重水素、ヒドロキシル、カルボニル、置換もしくは非置換C~C16アルキル、置換もしくは非置換C~Cアリール、置換もしくは非置換C~C16アルケニル、置換もしくは非置換C~C16アルキニル、置換もしくは非置換C~Cヘテロアリール、または置換もしくは非置換C~Cシクロアルキルである。
【0038】
「アルコキシ」は、式RO-の部分を指し、Rは、アルキル、アルケニル、またはアルキニルである。
【0039】
「アルキル」は、直鎖または分岐鎖アルキル置換基を指す。そのような置換基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシルなどが挙げられる。
【0040】
「アルキルチオ」は、式RS-の部分を指し、Rは、アルキル、アリール、アルケニル、またはアルキニルである。
【0041】
「アリール」は、当技術分野で一般的に理解されているように、非置換または置換芳香族炭素環式置換基を指し、「C~C10アリール」という用語には、フェニルおよびナフチルが含まれる。アリールという用語は、フッケルの法則に従って、平面状であり、4n+2n電子を含む環状置換基に用いられると理解される。
【0042】
「カルボニル」は、酸素に二重結合した炭素を含む置換基を指す。そのような置換基の例としては、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステル、アミド、およびカルバメートが挙げられる。
【0043】
「シクロアルキル」は、例えば、約3~約8個の炭素原子、好ましくは約4~約7個の炭素原子、より好ましくは約4~約6個の炭素原子を含む環状アルキル置換基を指す。そのような置換基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが挙げられる。環状アルキル基は、非置換であり得るか、またはメチル基、エチル基などのアルキル基でさらに置換され得る。
【0044】
「ハロ」は、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、またはヨード基を指す。
【0045】
「ヘテロアリール」は、単環式または二環式の5または6員環系を指し、ヘテロアリール基は、不飽和であり、ハッケルの法則を満たす。ヘテロアリール基の非限定的な例としては、フラニル、チオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、1,3,4-オキサジアゾール-2-イル、1,2,4-オキサジアゾール-2-イル、5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール、3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリニル、ベンゾチアゾリニル、キナゾリニルなどが挙げられる。
【0046】
「酸化性ハロゲン」は、水性系において酸化反応を起こすことが可能な形態のハロゲンを指す。
【0047】
「オキソ」は、炭素原子に二重結合した酸素原子を指す。
【0048】
本開示の化合物は、適切な置換基で置換され得る。本明細書で使用される場合、「適切な置換基」という用語は、化学的に許容される官能基、好ましくは化合物の活性を打ち消さない部分を意味することが意図される。そのような適切な置換基としては、ハロ基、ペルフルオロアルキル基、ペルフルオロアルコキシ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、オキソ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アルコキシ基、アリールまたはヘテロアリール基、アリールオキシまたはヘテロアリールオキシ基、アラルキルまたはヘテロアラルキル基、アラルコキシまたはヘテロアラルコキシ基、HO-(C=O)-基、複素環基、シクロアルキル基、アミノ基、アルキル基およびジアルキルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、アリールカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、ならびにアリールスルホニル基が挙げられるが、これらに限定されることはない。いくつかの実施形態では、適切な置換基としては、ハロゲン、非置換C~C12アルキル基、非置換C~Cアリール基、または非置換C~C10のアルコキシ基が挙げられ得る。当業者は、多くの置換基がさらなる置換基により置換可能であると理解するであろう。
【0049】
いくつかの実施形態では、Rは、水素、置換もしくは非置換C~C16アルキル基、または置換もしくは非置換C~Cアリール基である。
【0050】
いくつかの実施形態では、Rは水素である。
【0051】
いくつかの実施形態では、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、ハロ、ヒドロキシル、置換または非置換C~Cアリール、置換または非置換C~Cヘテロアリール、カルボニル、置換または非置換C~C16アルケニル、置換または非置換C~C16アルキニル、置換または非置換C~Cシクロアルキル、および置換または非置換C~C16アルキルから成る群より選択される。いくつかの実施形態では、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、ハロ、ヒドロキシル、置換または非置換C~Cアリール、置換または非置換C~Cヘテロアリール、カルボニル、および置換または非置換C~C16アルキルから成る群より選択される。いくつかの実施形態では、RおよびRは、それぞれ独立して、水素および置換または非置換C~Cアリールから成る群より選択される。いくつかの実施形態において、Rは、置換または非置換C~Cアリールであり、Rは水素である。
【0052】
いくつかの実施形態では、ベンゾイミダゾール系化合物は、式(III)の化合物またはその任意の塩であってもよい。
【化5】
【0053】
いくつかの実施形態では、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素、ハロ、アミノ、アミノアルキル、シアノ、置換または非置換C~C16アルコキシ、ヒドロキシル、チオール、カルボニル、ニトロ、ホスホリル、ホスホニル、スルホニル、置換または非置換C~C16アルキル、置換または非置換C~Cアリール、置換または非置換C~C16アルケニル、置換または非置換C~C16アルキニル、置換または非置換C~Cヘテロアリール、および置換または非置換C~Cシクロアルキルから成る群より選択される。いくつかの実施形態において、R、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは水素である。いくつかの実施形態では、R、R、およびRは、それぞれ水素である。いくつかの実施形態では、Rは、水素である。いくつかの実施形態では、Rは、水素である。いくつかの実施形態では、Rは、水素である。いくつかの実施形態では、Rは、水素である。
【0054】
いくつかの実施形態では、Rは、置換または非置換C~C16アルキルであり、R、R、およびRは、それぞれ水素である。いくつかの実施形態では、Rはメチルであり、R、R、およびRは、それぞれ水素である。いくつかの実施形態では、Rはハロであり、R、R、およびRは、それぞれ水素である。いくつかの実施形態では、Rはクロロであり、R、R、およびRは、それぞれ水素である。いくつかの実施形態において、Rは、置換または非置換C~C16アルキルであり、Rはハロであり、RおよびRは、それぞれ水素である。いくつかの実施形態では、Rはメチルであり、Rはブロモであり、RおよびRは、それぞれ水素である。いくつかの実施形態では、R、R、R、およびRは、それぞれ水素である。好ましくは、R、R、R、およびRが、それぞれ水素であるか、またはR、R、R、およびRのうちの少なくとも1つが、置換または非置換C~C16アルキルであり、残りの置換基が水素である。
【0055】
いくつかの実施形態では、Rは結合部またはCHRである。いくつかの実施形態では、Rは結合部である。いくつかの実施形態では、RはCHRである。Rは、水素、ハロ、NR1011、またはOR10であり得る。いくつかの実施形態では、R10およびR11は、それぞれ独立して、水素、置換または非置換C~C12アルキル基、および置換または非置換C~Cアリール基から成る群より選択される。いくつかの実施形態では、RはCHRであり、RはOR10であり、R10は水素である。
【0056】
いくつかの実施形態では、Xは水素、CRY、またはNRYである。いくつかの実施形態では、Xは水素である。いくつかの実施形態では、XはCRYである。いくつかの実施形態では、XはNRYである。
【0057】
いくつかの実施形態では、Xは水素であり、R、R、R、およびRは、それぞれ水素である。いくつかの実施形態では、XはCRYであり、Yはヒドロキシルであり、Rは、置換または非置換C~Cアリールである。
【0058】
いくつかの実施形態では、Yは、ヒドロキシル、ハロ、オキソ、置換もしくは非置換C~C16アルコキシ、チオール、アルキルチオ、アミノ、水素、またはアミノアルキルである。いくつかの実施形態では、Yはヒドロキシルである。
【0059】
いくつかの実施形態では、Zは、独立して、窒素、CR、またはN10である。いくつかの実施形態では、ZはCRである。いくつかの実施形態では、1つのZが窒素であり、残りがCRである。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのZ原子が窒素であり、残りがCRである。いくつかの実施形態では、ZはCRであり、Rは水素である。いくつかの実施形態では、Rが結合部であり、少なくとも1つのZが窒素である。
【0060】
いくつかの実施形態では、式(I)または式(II)の化合物またはその塩は、
【化6】
である。
【0061】
いくつかの実施形態では、式(I)または式(II)の化合物またはその塩は、
【化7】
である。
【0062】
いくつかの実施形態では、式(I)または式(II)の化合物またはその塩は、
【化8】
である。
【0063】
いくつかの実施形態では、式(I)または式(II)の化合物またはその塩は、
【化9】
である。
【0064】
いくつかの実施形態では、式(I)または式(II)の化合物またはその塩は、
【化10】
である。
【0065】
いくつかの実施形態では、式(I)または式(II)の化合物またはその塩は、
【化11】
である。
【0066】
いくつかの実施形態では、式(I)または式(II)の化合物またはその塩は、
【化12】
である。
【0067】
いくつかの実施形態では、式(I)または式(II)の化合物またはその塩は、
【化13】
である。
【0068】
いくつかの実施形態では、式(I)または式(II)の化合物またはその塩は、
【化14】
である。
【0069】
いくつかの実施形態では、式(I)または式(II)の化合物またはその塩は、
【化15】
である。
【0070】
いくつかの実施形態では、式(I)または式(II)の化合物またはその塩は、
【化16】
である。
【0071】
いくつかの実施形態では、式(I)または式(II)の化合物またはその塩は、
【化17】
である。
【0072】
特定の実施形態では、式(I)の化合物の塩は、任意の塩、例えば、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、硫酸塩、フッ化物塩、過塩素酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、リン酸塩、硝酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、ギ酸塩、塩素酸塩、臭素酸塩、亜塩素酸塩、チオ硫酸塩、シュウ酸塩、シアン化物塩、シアン酸塩、テトラフルオロホウ酸塩などであり得る。いくつかの実施形態では、式(I)~(III)の化合物の塩は、塩酸塩または硫酸塩であり得る。化合物の塩の形態は、任意の適切な対イオンを有するN-プロトン化ベンゾイミダゾール系化合物を含み得る。
【0073】
水試料に添加される酸は、任意の酸であってもよい。酸は、無機酸または有機酸であり得る。例えば、酸は、塩酸、硝酸、ギ酸、硫酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、乳酸、リン酸、またはそれらの任意の組み合わせであり得るが、これらに限定されることはない。いくつかの実施形態では、酸は、塩酸、ギ酸、またはリン酸であり得る。いくつかの実施形態では、酸はギ酸であり得る。いくつかの実施形態では、酸性溶液が水試料に添加されてもよく、酸性溶液は、任意の酸および水を含み得る。酸性溶液は、任意の酸および水から成っていてもよい。
【0074】
水試料に添加される酸の量は、ベンゾイミダゾール環内の窒素原子をプロトン化するのに十分である。いくつかの実施形態では、酸は、約0.01重量%~約2重量%の量で水試料に添加される。いくつかの実施形態では、酸は、約0.01重量%~約2重量%の量で水試料に添加される。酸を添加した後に、水試料は、約1~約5のpHを有し得る。
【0075】
他の実施形態では、水性系中の腐食抑制剤の濃度を制御する方法が提供される。この方法は、水試料中のベンゾイミダゾール系化合物の濃度を決定することを含み得る。ベンゾイミダゾール系化合物の濃度を決定するステップは、水性系から水試料を抜き取ることと、水試料に酸を添加することと、水試料を選択された励起波長の光エネルギーに曝すことと、選択された蛍光発光波長について発光された光の強度を測定することと、発光された光の強度を標準曲線と比較することとを含み得る。標準曲線は、ベンゾイミダゾール系化合物の濃度の濃度に対するベンゾイミダゾール系化合物の濃度の蛍光発光強度のプロットであり得る。最後に、この方法は、水試料中のベンゾイミダゾール濃度が所定の水準未満である場合、ベンゾイミダゾールを水性系に添加することを含み得る。
【0076】
所定の水準は、約0.05ppm~約20ppmであり得る。いくつかの実施形態では、所定の水準は、約0.1ppm~約5ppmであり得る。式(I)~(III)の化合物は、任意の投与量で水性系に添加され得るが、式(I)~(III)の化合物は、一般的に、約0.01ppm~約500ppmの投与量で水性系に添加される。特定の実施形態では、式(I)~(III)の化合物は、約0.01ppm~約100ppmの投与量で水性系に添加される。特定の実施形態では、式(I)~(III)の化合物は、約0.01ppm~約100ppm、約0.01ppm~約75ppm、約0.01ppm~約50ppm、約0.01ppm~約25ppm、約0.01ppm~約10ppm、約0.01ppm~約5ppm、約0.1ppm~約100ppm、約0.1ppm~約75ppm、約0.1ppm~約50ppm、約0.1ppm~約25ppm、約0.1ppm~約10ppm、約0.1ppm~約5ppm、約1ppm~約100ppm、約1ppm~約75ppm、約1ppm~約50ppm、約1ppm~約25ppm、約1ppm~約10ppm、約5ppm~約100ppm、約10ppm~約100ppm、約25ppm~約100ppm、約50ppm~約100ppm、または約80ppm~約100ppmの投与量で水性系に添加される。
【0077】
いくつかの実施形態では、組成物中の式(I)~(III)の化合物またはその塩の濃度は、約1重量%~約50重量%、約5重量%~約50重量%、約10重量%~約50重量%、約15重量%~約50重量%、約20重量%~約50重量%、約20重量%~約45重量%、約25重量%~約45重量%、または約25重量%~約40重量%の範囲にあり得る。いくつかの実施形態では、組成物は水を含み得る。
【0078】
当業者であれば、ベンゾイミダゾール系化合物の濃度の投与が、水性系の条件および所望の腐食速度に応じて、開示された範囲外にあり得ると理解するであろう。
【0079】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、水性系における金属表面の腐食速度を測定することを含み得る。金属表面の腐食速度を測定する方法は、当技術分野においてよく知られており、当業者であれば、適切な方法を選択することができるであろう。
【0080】
所定の腐食速度は、約0.2mpy以下であり得る。特定の実施形態では、所定の腐食速度は、約0.1mpy以下、約0.05mpy以下、約0.04mpy以下、約0.03mpy以下、約0.02mpy以下、約0.01mpy以下、約0.005mpy以下、または約0.002mpy以下である。
【0081】
いくつかの実施形態では、水性系は工業用水系である。「工業用水系」とは、水をその主成分として循環または利用する任意の系を意味する。「工業用水系」の非限定的な例としては、冷却系、ボイラ系、加熱系、膜系、製紙系、または水を循環または利用する他の系が挙げられる。
【0082】
特定の実施形態では、水性系は冷却水系である。冷却水系は、閉ループ冷却水系または開ループ冷却水系であり得る。
【0083】
いくつかの実施形態では、水性系は酸化性殺生物剤を含み得る。いくつかの実施形態では、水性系は、塩素化、臭素化、またはヨウ素化されていてもよい。いくつかの実施形態では、水性系は塩素化されていてもよい。開示された組成物および方法の利点は、式(I)~(III)の化合物が、一般的に、酸化性ハロゲンの存在下で金属表面の腐食保護をもたらすことである。特定の実施形態では、式(I)~(III)の化合物は、金属表面と接触している水性系に添加され、任意の酸化性ハロゲン化合物の存在下で金属表面の腐食保護をもたらす。特定の実施形態では、式(I)~(III)の化合物は、次亜塩素酸塩漂白剤、塩素、臭素、次亜塩素酸塩、次亜臭素酸塩、二酸化塩素、ヨウ素/次亜ヨウ素酸、次亜臭素酸、ハロゲン化ヒダントイン、次亜塩素酸もしくは次亜臭素酸の安定化した変形形態、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されることはない酸化性ハロゲン化合物の存在下で、金属腐食を抑制する。特定の理論に縛られることを望むものではないが、式(I)~(III)の化合物の比較的多数のヘテロ原子により、金属表面および金属イオンに結合するためのより多くの部位がもたらされ、これにより、多くの既存の腐食抑制剤と比較して向上した腐食抑制がもたらされ得ると仮定される。さらに、式(I)~(III)の化合物は、これらが金属との1,2-キレート錯体を形成できるため、安定した膜を形成すると仮定される。
【0084】
特定の実施形態では、式(I)~(III)の化合物は、過酸化物(例えば、過酸化水素)、オゾン、過硫酸塩、過マンガン酸塩、および過酢酸を含むがこれらに限定されることはない非ハロゲン含有酸化性殺生物剤を含む水性系に添加されると、金属腐食を抑制する。
【0085】
本開示の方法および組成物は、銅、鉄、銀、鋼(例えば、亜鉛めっき鋼)、亜鉛合金、およびアルミニウムを含むがこれらに限定されることはない任意の金属または金属合金の腐食保護をもたらし得る。特定の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、銅を含む金属表面と接触している水性系に添加されて、金属腐食を抑制し得る。特定の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、銅合金を含む金属表面と接触している水性系に添加されて、金属腐食を抑制し得る。特定の実施形態では、銅は、式(I)~(III)の化合物中の1つ以上のヘテロ原子と錯体を形成する。特定の実施形態では、銅は、式(I)~(III)の化合物中の1つ以上のヘテロ原子と錯体を形成する。銅は、配管および産業機械における銅配管および銅管としての使用を含む、幅広い用途を有する。銅および銅合金は、冷却水およびボイラ水系でのそれらの使用によく知られている。いくつかの実施形態では、金属表面は銅を含み得る。
【0086】
本明細書に開示される組成物および方法は、青銅および黄銅を含むあらゆる銅合金を保護するために使用され得る。青銅は、通常、銅およびスズを含むが、アルミニウム、マンガン、シリコン、ヒ素、およびリンを含む他の元素を含んでいてもよい。黄銅は、銅および亜鉛を含み、水ボイラ系の配管で一般的に使用される。特定の実施形態では、本明細書に開示される組成物のいずれかは、青銅を含む金属表面と接触している水性系に添加されて、金属腐食を抑制する。特定の実施形態では、本明細書に開示される組成物のいずれかは、黄銅、例えばアドミラルティ黄銅を含む金属表面と接触している水性系に添加されて、金属腐食を抑制する。特定の実施形態では、本明細書に開示される組成物のいずれかは、銅ニッケル合金を含む金属表面と接触している水性系に添加されて、金属腐食を抑制する。
【0087】
特定の実施形態では、本明細書に開示される方法および組成物は、軟鋼の腐食を抑制する。特定の実施形態では、本明細書に開示される方法および組成物は、亜鉛めっき鋼、ステンレス鋼、鋳鉄、ニッケル、およびそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されることはない金属合金の腐食を抑制する。いかなる特定の理論にも縛られることを望むものではないが、式(I)~(III)の化合物は、溶液中のCu(II)を不活性化し、鋼表面でのガルバニ電池の発生を防止すると仮定される。
【0088】
いくつかの実施形態では、水試料は、ベンゾイミダゾール系化合物と実質的に重複しない励起および発光ピークを有する蛍光有機化合物を含み得る。特定の実施形態では、蛍光有機化合物は、ローダミンまたはその誘導体、アクリジン色素、フルオレセインまたはその誘導体、およびそれらの組み合わせより選択され得る。蛍光有機化合物は、蛍光タグ付きポリマーであり得る。
【0089】
当業者であれば、式(I)~(III)の化合物を、単独で、または他の腐食抑制剤もしくは処理化学物質と組み合わせて、水性系に添加することができると理解するであろう。式(I)~(III)の2つ以上の化合物を含み、複数の腐食抑制剤が、組み合わされた腐食抑制剤配合物として投与されても、または腐食抑制剤がそれぞれ、個別に添加されてもよい。さらに、式(I)~(III)の化合物は、トリアゾール、ベンゾトリアゾール(例えば、ベンゾトリアゾールまたはトリルトリアゾール)、ベンゾイミダゾール、オルトリン酸塩、ポリリン酸塩、ホスホン酸塩、モリブデン酸塩、ケイ酸塩、オキシム、および亜硝酸塩を含むがこれらに限定されることはないさまざまなさらなる腐食抑制剤と組み合わせて水性系に添加され得る。式(I)および(II)の化合物はまた、処理ポリマー、抗菌剤、抗スケーリング剤、着色剤、充填剤、緩衝液、界面活性剤、粘度調整剤、キレート剤、分散剤、消臭剤、マスキング剤、脱酸素剤、およびインジケーター染料などのさまざまなさらなる添加剤と組み合わせて水性系に添加され得る。
【0090】
本明細書に開示される方法および組成物は、ベンゾイミダゾール系化合物の濃度を決定し、水性系における金属の腐食の抑制に対する改善された制御をもたらすために使用され得る。水性系は、任意のpHを有していてもよい。
【0091】
表1は、本明細書に開示される方法を使用して検出可能であり、かつ水性系における金属の腐食を抑制可能なベンゾイミダゾール系化合物の選択を示す。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0092】
当業者であれば、適切な励起波長および放出フィルターを有する任意の蛍光光度計を使用して、水中のベンゾイミダゾール系化合物の濃度を測定することができると理解するであろう。例えば、濃度は、米国特許第9,618,450号、米国特許第9,557,270号、米国特許第8,373,140号、米国特許第8,352,207号、および米国特許第8,248,611号に記載の蛍光光度計のいずれかにより測定することが可能であり、これらはそれぞれ、参照により本開示に組み込まれる。
【0093】
いくつかの実施形態では、本開示による蛍光光度計としては、光学センサが挙げられる。光学センサは、選択された波長の光エネルギーを分析中の流体試料に放出するように構成された第1の光エミッタと、分析中の流体試料内の散乱量を測定するために光エネルギーを放出するように構成された第2の光エミッタとを含み得る。
【0094】
光学センサはまた、流体試料から発光された蛍光および/または流体試料から散乱した光を受け取る少なくとも1つの検出器を含み得る。動作の間、検出器は、分析中の流体試料から発光された蛍光量を検出することができ、蛍光光度計は、蛍光に基づいて、流体試料中の蛍光種の濃度を決定することができる。
【0095】
光学センサは、工業プロセスの監視を含むさまざまな用途で使用される。光学センサは、工業プロセスにおける流体の光学特性を定期的に分析するために使用される携帯可能な手持ち式のデバイスとして実装することができる。あるいは、光学センサをオンラインでインストールして、工業プロセスにおける流体の光学特性を継続的に分析することができる。いずれの場合でも、光学センサは、水試料を光学的に分析し、流体中の1つ以上の化学種の濃度などの、流体の異なる特性を測定することができる。
【0096】
光学センサは、さまざまな異なる構成を有し得るが、いくつかの例では、光学センサは、光を流体試料に発光し、また流体試料から受け取りもする単一の光学レンズを有するように設計される。光学センサは、センサのさまざまな電子部品を含むハウジングを含んでいてもよく、また、単一の光学レンズへのおよび単一の光学レンズからの光の動きを制御するための光路も有する。
【0097】
光学センサは、流体試料により発光された蛍光発光を測定するように配置および構成された光学検出器を含み得る。いくつかの構成では、単一の光検出器は、試料からの散乱と蛍光との双方を測定するために使用可能であり、センサ内の単一の光路を介して散乱光と蛍光との双方を受け取ることができる。
【0098】
波長は変化し得るが、いくつかの例では、第1の光エミッタは、約200nm~約400nmの範囲の波長の光エネルギーを放出するように構成されている。選択される励起波長は約230nm~約290nmであり得る。いくつかの実施形態では、選択される励起波長は約280nmであり得る。
【0099】
分析中の水試料から発せられる光(例えば、蛍光発光、光散乱)を検出するために、光学センサは光学検出器を含む。光検出器は、光路に光学的に接続されており、分析中の水試料から、光学窓を透過した蛍光発光線および散乱光線の少なくとも一部を受け取ることができる。ハウジングに入ると、蛍光放射線および散乱光線の受け取られた部分は、測定および/または分析のために光路を介して光検出器に向けられ得る。
【0100】
蛍光光度計は、UVランプなどの光源を含み得る。UVランプは、ガス放電ランプ、水銀ランプ、重水素ランプ、金属蒸気ランプ、発光ダイオード、または複数の発光ダイオードであり得る。
【0101】
選択される蛍光発光波長は約300nm~約500nmであり得る。いくつかの実施形態では、選択される蛍光発光波長は約360nmであり得る。センサはまた、第1の波長で試料の参照蛍光発光を測定し得る。センサはまた、ゼロ濃度のベンゾイミダゾール系化合物を有するゼロ溶液の蛍光発光を測定し得る。その場合、試料中の化学物質の濃度は、ベンゾイミダゾール系化合物を含む試料の測定された蛍光発光と、ゼロ溶液の測定された蛍光発光との計算される差に基づいて計算され得る。試料の濃度はまた、較正試料中のベンゾイミダゾール系化合物の既知の濃度について決定された較正定数に基づいて計算されてもよい。
【0102】
例えば、約280nmのUV放射を生成する水銀ランプを有する紫外線蛍光検出系を使用する場合、試料濃度は、2つのUV検出器からの信号に基づいて評価され得る。第1の検出器(蛍光検出器)は、波長360nm±5nm(355nm~365nmの範囲)の蛍光値を測定し、第2の検出器(参照検出器)は、異なる波長のUV励起の強度を測定する。
【実施例
【0103】
【0104】
実施例1
【0105】
図1AおよびBは、Milli Q水およびギ酸中の置換ベンゾイミダゾールの発光プロファイルを示す(図1A)。ギ酸の不在下および存在下での置換ベンゾイミダゾールは、300nmおよび370nmで2つの異なる蛍光強度発光帯を示す(図1B)。330nmで、等吸収点が観察された。置換ベンゾイミダゾールの検出および定量化のための蛍光光度計パラメータは、以下の通りであった:励起=280nm、発光=360nm、スリット幅=5nm、および電圧=950V。
【0106】
図2は、異なる濃度の置換ベンゾイミダゾールの場合の、蛍光強度に対するギ酸の影響を示す。約0.1重量%のギ酸を試料に添加した場合、350~370nmの発光帯範囲で蛍光の大幅な増加が検出された。
【0107】
実施例2
【0108】
硬水の干渉効果を低減させるために、純水を使用して試料を最小約10倍希釈する単純な試料調製手順を開発した。試料の希釈が、冷却水成分により引き起こされる干渉を低減させた一方で、蛍光強度は、置換ベンゾイミダゾールを定量化するのに十分な高さであった。置換ベンゾイミダゾールの蛍光強度は強い(約1ppm=10cps)ため、試料を10倍希釈しても、良好な信頼性を伴って検出することが可能である。
【0109】
2つの異なる濃度(50ppmのCa+50ppmのMgおよび250ppmのCa+250ppmのMg)の硬度溶液を調製し、2ppmの置換ベンゾイミダゾールを添加した。その後、溶液を0.1%のギ酸で酸性化した。2ppmの置換ベンゾイミダゾールを含み、ギ酸0.1重量%で酸性化された対照溶液(硬度なし)も調製した。蛍光光度計の設定は、実施例1に記載のものと同じであった。図3は、2ppmの置換ベンゾイミダゾールに対する硬水の影響を示す。図3は、冷却水からの干渉が存在する場合の、試料希釈ありおよびなしの置換ベンゾイミダゾールの蛍光強度も示す。
【0110】
CaおよびMgイオンを含有する試料は、置換ベンゾイミダゾールの回収率を低下させると観察された。ただし、これらの試料を0.1%のギ酸を使用して10倍希釈し、その後、蛍光光度計で測定すると、置換ベンゾイミダゾールについて良好な回収率が得られ、CaおよびMgの干渉が大幅に低減された。
【0111】
実施例3
【0112】
塩酸、ギ酸、およびリン酸を含むいくつかの異なる酸について、置換ベンゾイミダゾールの蛍光強度に対するそれらの影響を調べた(図4)。図4に示されるパーセンテージは、重量パーセンテージである。調べた酸はすべて、370nmの発光帯の場合、ギ酸の濃度が増加すると、ほぼ同様の蛍光強度の増加を示すことが分かった。
【0113】
化合物の構造および化学名は、ChemDraw Professionalバージョン15.1を使用して調製し、決定した。
【0114】
本明細書に開示される任意の組成物は、本明細書に開示される化合物/成分のうちのいずれかを含むか、それから成るか、または本質的にそれからなり得る。本開示によれば、「から本質的になる(consist essentially of)」、「から本質的になる(consists essentially of)」、「から本質的になること(consisting essentially of)」などの語句は、特許請求の範囲を、特定の材料またはステップ、および特許請求された発明の基本的かつ新規な特徴(複数可)に実質的に影響を及ぼさない材料またはステップに限定する。
【0115】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、それらのそれぞれの試験測定値において見られる標準偏差から生じる誤差内にある引用された値を指し、それらの誤差が判定され得ない場合、「約」は、引用された値の10%以内を指す。
【0116】
本明細書で開示および特許請求される組成物および方法のすべては、本開示を考慮して、過度の実験を伴わずに作製および実行され得る。本発明は、多くの異なる形態で具現化され得、本発明の特定の好ましい実施形態が、本明細書で詳細に説明される。本開示は、本発明の原理の例示であり、本発明を、例解された特定の実施形態に限定することを意図するものではない。さらに、明示的に反対の記載がない限り、「1つの(a)」という用語の使用は、「少なくとも1つの」または「1つ以上の」を含むことを意図する。例えば、「ある1つの化合物」は、「少なくとも1つの化合物」または「1つ以上の化合物」を含むことを意図する。
【0117】
絶対項または近似項のいずれかで与えられる任意の範囲は、双方を包含することを意図するものであり、本明細書で使用されるいかなる定義も、明確にすることを意図するものであり、限定を意図するものではない。本発明の広範な範囲を明記する数値範囲およびパラメータは、近似値ではあるものの、特定の実施例で明記される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、いかなる数値も、それらのそれぞれの試験測定値において見られる標準偏差に必然的に起因する特定の誤差を本質的に含有する。さらに、本明細書に開示されるすべての範囲は、その中に包含されるあらゆる部分範囲(すべての小数値および全体値を含む)を包含するものとして理解されるべきである。
【0118】
さらに、本発明は、本明細書に記載のさまざまな実施形態の一部または全部の、あらゆる可能な組み合わせを包含する。また、本明細書に記載される本発明の好ましい実施形態に対するさまざまな変更および修正が、当業者にとって明らかであろうことも理解されるべきである。そのような変更および修正は、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、かつその意図される利点を縮小することなく行われ得る。したがって、そのような変更および修正は、添付の特許請求の範囲によって網羅されることが意図される。以下の項目[1]~[21]に、本開示の実施形態の例を列記する。
[1]
水中の腐食抑制剤濃度を決定する方法であって、前記方法は:
水試料を水性系から抜き取ることであって、前記水試料はベンゾイミダゾール系化合物を含む、ことと、
前記水試料に酸を添加することと、
前記水試料を選択された励起波長の光エネルギーに曝すことと、
選択された蛍光発光波長について発光された光の強度を測定することと、
前記発光された光の前記強度を標準曲線と比較することであって、前記標準曲線は、前記ベンゾイミダゾール系化合物の濃度に対する前記ベンゾイミダゾール系化合物の蛍光発光強度のプロットを含む、ことと、
前記標準曲線から前記水試料中の前記ベンゾイミダゾール系化合物の前記濃度を決定することとを含む、方法。
[2]
前記水試料に水を添加することにより前記水試料を希釈することをさらに含む、項目1に記載の方法。
[3]
前記水試料を約10倍希釈する、項目2に記載の方法。
[4]
前記水性系が冷却水系であり、前記水試料が冷却塔水の試料である、項目1~3のいずれか一項に記載の方法。
[5]
前記水試料が硬水を含む、項目1~4のいずれか一項に記載の方法。
[6]
前記水試料が、約25ppm~約400ppmのカルシウムおよび約25ppm~約400ppmのマグネシウムを含む、項目1~5のいずれか一項に記載の方法。
[7]
前記ベンゾイミダゾール系化合物が、式(I)またはその塩であり:
【化1】
式中、R が、ハロ、水素、重水素、ヒドロキシル、カルボニル、置換もしくは非置換C ~C 16 アルキル、置換もしくは非置換C ~C アリール、置換もしくは非置換C ~C 16 アルケニル、置換もしくは非置換C ~C 16 アルキニル、置換もしくは非置換C ~C ヘテロアリール、または置換もしくは非置換C ~C シクロアルキルであり、
Xが、水素、CR Y、またはNR Yであり、
Yが、ヒドロキシル、ハロ、オキソ、置換もしくは非置換C ~C 16 アルコキシ、チオール、アルキルチオ、アミノ、水素、またはアミノアルキルであり、
およびR が、それぞれ独立して、水素、ハロ、ヒドロキシル、置換または非置換C ~C アリール、置換または非置換C ~C ヘテロアリール、カルボニル、置換または非置換C ~C 16 アルケニル、置換または非置換C ~C 16 アルキニル、置換または非置換C ~C シクロアルキル、および置換または非置換C ~C 16 アルキルから成る群より選択され、
、R 、R 、およびR が、それぞれ独立して、水素、ハロ、アミノ、シアノ、置換または非置換C ~C 16 アルコキシ、ヒドロキシル、チオール、カルボニル、ニトロ、ホスホリル、ホスホニル、スルホニル、置換または非置換C ~C 16 アルキル、置換または非置換C ~C アリール、置換または非置換C ~C 16 アルケニル、置換または非置換C ~C 16 アルキニル、置換または非置換C ~C ヘテロアリール、および置換または非置換C ~C シクロアルキルから成る群より選択される、項目1~6のいずれか一項に記載の方法。
[8]
前記ベンゾイミダゾール系化合物が、式(II)またはその塩であり:
【化2】
式中、R が、水素、置換もしくは非置換C ~C 16 アルキル基、または置換もしくは非置換C ~C アリール基であり、
が、結合部またはCHR であり、
が、水素、ハロ、NR 10 11 、またはOR 10 であり、
10 およびR 11 が、それぞれ独立して、水素、置換または非置換C ~C 12 アルキル基、および置換または非置換C ~C アリール基から成る群より選択され、
Zが、独立して、窒素、CR 、またはN 10 である、項目1~7のいずれか一項に記載の方法。
[9]
ZがCR であり、R が水素である、項目8に記載の方法。
[10]
前記ベンゾイミダゾール系化合物が、
【化3】
から成る群より選択される、項目1~9のいずれか一項に記載の方法。
[11]
前記酸が、無機酸、有機酸、またはそれらの任意の組み合わせである、項目1~10のいずれか一項に記載の方法。
[12]
前記酸が、塩酸、ギ酸、リン酸、硝酸、硫酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、乳酸、クエン酸、またはそれらの任意の組み合わせである、項目1~11のいずれか一項に記載の方法。
[13]
前記選択される励起波長が、約200nm~約400nmである、項目1~12のいずれか一項に記載の方法。
[14]
前記選択される蛍光発光波長が、約300nm~約500nmである、項目1~13のいずれか一項に記載の方法。
[15]
前記酸を添加した後に、前記ベンゾイミダゾール系化合物をプロトン化することをさらに含む、項目1~14のいずれか一項に記載の方法。
[16]
前記水試料が、前記酸を添加した後に、約1~約5のpHを有する、項目1~15のいずれか一項に記載の方法。
[17]
前記酸が、約0.001重量%~約10重量%の量で前記水試料に添加される、項目1~16のいずれか一項に記載の方法。
[18]
前記酸の添加により、前記ベンゾイミダゾール系化合物について、300nmでの発光帯の蛍光強度が減少し、370nmでの発光帯の蛍光強度が増加する、項目1~17のいずれか一項に記載の方法。
[19]
水性系中の腐食抑制剤の濃度を制御する方法であって、前記方法は、
項目1~18のいずれか一項に従って水試料中の前記ベンゾイミダゾール系化合物の濃度を決定することと、
前記水試料中の前記ベンゾイミダゾール系化合物の濃度が所定の水準未満である場合、前記ベンゾイミダゾール系化合物を前記水性系に添加することとを含む、方法。
[20]
前記所定の水準が約0.05ppm~約20ppmである、項目19に記載の方法。
[21]
前記水性系が酸化性殺生物剤を含む、項目19または20に記載の方法。
図1A
図1B
図2
図3
図4