(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-24
(45)【発行日】2023-11-01
(54)【発明の名称】サセプタ素子および液体保持要素を備えるエアロゾル発生用の誘導加熱組立品
(51)【国際特許分類】
A24F 40/465 20200101AFI20231025BHJP
A24F 40/10 20200101ALI20231025BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/10
(21)【出願番号】P 2020558535
(86)(22)【出願日】2019-04-23
(86)【国際出願番号】 EP2019060357
(87)【国際公開番号】W WO2019206900
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-04-15
(32)【優先日】2018-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ミロノフ オレク
(72)【発明者】
【氏名】クルバ ジェローム クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ストゥラ エンリコ
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/191176(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/001818(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/001820(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/050701(WO,A1)
【文献】特表2016-524458(JP,A)
【文献】特表2017-515486(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル形成液体からエアロゾルを発生するための誘導加熱組立品であって、
エアロゾル形成液体を保持および搬送するためのリング形状の液体保持要素と、
前記保持要素内のエアロゾル形成液体を加熱するための前記保持要素の軸方向端面に同軸に配設されたリング形状のサセプタ素子と、を備え、
前記サセプタ素子が、前記保持要素の外側半径方向拡張の最大でも50パーセントの外側半径方向拡張を有する内側リング部分内
だけに閉じ込められた誘導加熱可能なサセプタ材料を備える、誘導加熱組立品。
【請求項2】
前記内側リング部分が、前記保持要素の外側半径方向拡張の最大でも10パーセントの外側半径方向拡張を有する、請求項1に記載の誘導加熱組立品。
【請求項3】
前記サセプタ素子が、誘導的に加熱可能ではない材料および/または断熱性材料を排他的に含有する外側リング部分を、前記内側リング部分の周りに備える、請求項1または2に記載の誘導加熱組立品。
【請求項4】
エアロゾル形成液体からエアロゾルを発生するための誘導加熱組立品であって、エアロゾル形成液体を保持および搬送するためのリング形状の液体保持要素と、前記保持要素内のエアロゾル形成液体を加熱するための前記保持要素の軸方向端面に同軸に配設されたリング形状のサセプタ素子と、を備え、前記サセプタ素子内に交流電磁場を発生するための前記保持要素の反対側の前記サセプタ素子の軸方向端面の近位に配設された誘導コイルをさらに備え、前記誘導コイルが、前記保持要素の外側半径方向拡張および/または前記サセプタ素子の外側半径方向拡張の最大でも50パーセントの外側半径方向拡張を有する、誘導加熱組立品。
【請求項5】
前記誘導コイルが、前記保持要素の外側半径方向拡張および/または前記サセプタ素子の外側半径方向拡張の最大でも10パーセントの外側半径方向拡張を有する、請求項4に記載の誘導加熱組立品。
【請求項6】
前記誘導コイルが、らせん状コイルまたは平坦なパンケーキコイルである、請求項4または5に記載の誘導加熱組立品。
【請求項7】
前記リング形状の液体保持要素の外側半径方向拡張が、前記リング形状のサセプタ素子の外側半径方向拡張と等しい、またはこれより大きい、またはこれより小さい、請求項1~6のいずれか一項に記載の誘導加熱組立品。
【請求項8】
前記リング形状の液体保持要素の内側半径方向拡張が、前記リング形状のサセプタ素子の内側半径方向拡張と等しい、またはこれより大きい、請求項1~7のいずれか一項に記載の誘導加熱組立品。
【請求項9】
前記リング形状のサセプタ素子がトロイダルおよび/または中空の円筒状である、請求項1~8のいずれか一項に記載の誘導加熱組立品。
【請求項10】
前記リング形状の液体保持要素がトロイダルおよび/または中空の円筒状である、請求項1~9のいずれか一項に記載の誘導加熱組立品。
【請求項11】
エアロゾル形成液体を保持するための液体貯蔵部をさらに備え、前記貯蔵部のリング形状の内壁が前記加熱組立品の中心軸に沿って延びる前記貯蔵部を通る中央空気通路を形成し、前記保持要素が少なくとも部分的に前記貯蔵部内に配設され、かつ前記保持要素の半径方向内面が少なくとも部分的に前記中央空気通路に露出される、請求項1~10のいずれか一項に記載の誘導加熱組立品。
【請求項12】
前記サセプタ素子が少なくとも部分的に前記貯蔵部の軸方向端面を形成する、請求項11に記載の誘導加熱組立品。
【請求項13】
前記サセプタ素子の半径方向外側面および/または前記保持要素の半径方向外側面が前記貯蔵部の外壁に陥凹する、請求項11または12に記載の誘導加熱組立品。
【請求項14】
前記液体貯蔵部がトロイダルおよび/または中空円筒状である、請求項11~13のいずれか一項に記載の誘導加熱組立品。
【請求項15】
エアロゾル発生装置で使用するエアロゾル発生物品であって、請求項1~14のいずれか一項に記載の誘導加熱組立品を備えるエアロゾル発生物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サセプタ素子および液体保持要素を備えるエアロゾル形成液体からエアロゾルを発生するための誘導加熱組立品に関する。本発明はまた、このような誘導加熱組立品を備えるエアロゾル発生物品にさらに関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル形成液体の誘導加熱に基づくエアロゾル発生システムは、先行技術から一般的に周知である。これらのシステムは、熱を発生する渦電流および/またはヒステリシス損失をサセプタ素子中に誘起するための交流電磁場を発生するための誘導源を備える。サセプタ素子は、加熱に伴い揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成液体と熱的に近接している。サセプタ素子およびエアロゾル形成液体は、エアロゾル発生物品の中に一緒に提供されてもよい。物品は、結果として誘導源を含んでもよいエアロゾル発生装置で使用するように構成される。物品は、物品内の貯蔵部からサセプタ素子に向かってエアロゾル形成液体を保持および搬送するための液体保持要素をさらに備えてもよい。保持要素は、サセプタ素子と熱的に接触し、またはサセプタ素子の近接であり、これによって、その中に保持された液体が加熱され、そしてそれ故に気化される。しかしながら、保持要素内のエアロゾル形成液体の加熱がしばしば、単一の吸煙中に予想される量の気化した液体を提供しないことが観察されてきた。その上、液体特性の望ましくない改変効果、例えば物品の消費期間にわたるエアロゾル風味の改変効果が生じることが観察される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、先行技術の解決策の利点を有するが、それらの制限を有しない、サセプタ素子および液体保持要素を備えるエアロゾル発生のための加熱組立品を有することが望ましいことになる。特に、製造が簡単な単純な設計を有し、かつ単一の吸煙中に再現可能な量の気化したエアロゾル形成液体を提供する加熱組立品が望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第一の態様によると、エアロゾル形成液体からエアロゾルを発生するための誘導加熱組立品が提供されている。組立品は、エアロゾル形成液体を保持および搬送するためのリング形状の液体保持要素を備える。組立品は、保持要素内のエアロゾル形成液体を加熱するための保持要素の軸方向端面に同軸に配設されたリング形状のサセプタ素子をさらに備える。サセプタ素子は、リング形状のサセプタ素子の内側リング部分内に排他的に制約された誘導加熱可能なサセプタ材料を備える。内側リング部分は、保持要素の外側半径方向拡張の最大でも50パーセントの外側半径方向拡張を有する。
【0005】
本発明によると、保持要素内のエアロゾル形成液体の加熱は、保持要素を通した毛細管液体搬送に結果として悪影響を及ぼす場合がある気泡を発生させる場合があることが認識されてきた。半径方向でリング形状の保持要素より小さいサセプタ素子の内側リング部分に誘導加熱可能なサセプタ材料を制約することによって、本発明は有利なことに、効果的に加熱される保持要素の容積の減少、すなわち加熱プロセスの局所的な制約を達成する。この保持要素の半径方向内側部分の局所のみの加熱に起因して、上述の悪影響が著しく低減する。結果として、気化されるエアロゾル形成液体の量は高度に再現可能になる。
【0006】
その上、エアロゾル形成液体は、保持要素から直接的に放出することができるところで気化されるので、加熱プロセスを保持要素の内側リング部分に制約することは有利であることを明確に示している。結果として、発生する可能性がある気泡が直接的に放出され、それ故に保持要素を通した毛細管液体の搬送を混乱させる可能性がない。保持要素の内側リング部分内で気化されたエアロゾル形成液体は、同軸に整列したリング形状の保持要素およびサセプタ素子の中央内側空間を通して形成される中央の気流通路の中に直接放出されることが好ましい。これは、保持要素内のエアロゾル分布が、中央気流通路からさらに離れる保持要素の他の部位においてよりも、中央気流通路の近くにおいてより高いので、特に有利である。有利なことに、局所的に気化されたエアロゾル形成液体は、少なくとも部分的に中央気流通路に露出される保持要素の半径方向内面を通して放出されてもよい。これに起因して、気化されたエアロゾル形成液体は、その後冷却されてエアロゾルを形成するように、気流通路中の気流中に同伴されてもよい。
【0007】
その上、サセプタ素子および/または加熱された液体保持要素から加熱組立品の他の部品の中への過剰な熱伝播は、重大な問題を生じる場合があることが認識されている。特に、気化されるエアロゾル形成液体を含有し、かつこの理由で液体保持要素と流体連通する、液体貯蔵部の中への過剰な熱伝播は、エアロゾル形成液体の上述の改変効果を生じさせる場合があることが認識されている。その結果、局所的に制約された加熱は有利なことに、こうした改変効果の防止を容易にする。
【0008】
なおさらに、制約された局所加熱は、加熱組立品の電力消費の低減を可能にする。これは、本発明によるものと同様に、エアロゾル発生装置で使用される誘導加熱組立品が典型的には、限定されたエネルギー容量しか有しない電池によって電力供給されるという事実に関して有利であることを明確に示す。
【0009】
内側リング部分は、保持要素の外側半径方向拡張の最大でも40パーセント、特に最大でも30パーセントの外側半径方向拡張を有することが好ましく、最大でも20パーセントを有することがなおより好ましく、最大でも10パーセントを有することが最も好ましい。有利なことに、内側リング部分の外側半径方向拡張をさらに減少させることによって、上述の悪影響がさらに最小化される。
【0010】
本発明の第一の態様によるリング形状のサセプタ素子は、誘導加熱可能なサセプタ材料を備える内側リング部分のみを備えてもよく、特に誘導加熱可能なサセプタ材料を備える内側リング部分から成ってもよい。この場合、リング形状のサセプタ素子の全体的な外側半径方向拡張は、リング形状の保持要素の全体的な外側半径方向拡張より小さい。有利なことに、これは加熱組立品のコンパクトな、かつ材料を節約する設計を提供する。この構成において、リング形状の保持要素は、十分な安定性を確保するために固体材料で作製されることが好ましい。
【0011】
別の方法として、サセプタ素子は内側リング部分の周りに外側リング部分を備えてもよく、外側リング部分は誘導的に加熱可能ではない材料および/または断熱性材料を排他的に包含してもよい。有利なことに、この構成は加熱された内側リング部分からの、他の部位の断熱を提供する。この構成において、リング形状のサセプタ素子の全体的な外側半径方向拡張は、リング形状の保持の全体的な外側半径方向拡張と等しいか、またはそれより大きいことでさえも好ましい。特に、この構成は、リング形状のサセプタ素子がリング形状の保持要素のための支持体および/または密封要素を形成することを可能にする。なおその上に、この構成は、気化されるエアロゾル形成液体を貯蔵するために使用される液体貯蔵部のハウジングの一部分を、リング形状のサセプタ素子が形成することを可能にする。またさらに、この構成は、高い機械的安定性を有する加熱組立品の非常にコンパクトな設計を提供する。
【0012】
本発明の第二の態様によると、エアロゾル形成液体からエアロゾルを発生するための別の誘導加熱組立品が提供されている。この態様による組立品はまた、エアロゾル形成液体を保持および搬送するためのリング形状の液体保持要素と、保持要素内のエアロゾル形成液体を加熱するための保持要素の軸方向端面に同軸に配設されたリング形状のサセプタ素子とを備える。本発明の第二の態様によると、組立品は、保持要素の反対側のサセプタ素子の軸方向端面の近位に配設された誘導コイルをさらに備える。誘導コイルは、サセプタ素子内に交流電磁場を発生するように構成される。その上、誘導コイルは、保持要素の外側半径方向拡張および/またはサセプタ素子の外側半径方向拡張の最大でも50パーセントの外側半径方向拡張を有する。誘導コイルは、保持要素の外側半径方向拡張および/またはサセプタ素子の外側半径方向拡張の最大でも40パーセント、特に最大でも30パーセントの外側半径方向拡張を有することが好ましく、最大でも20パーセントを有することがなおより好ましく、最大でも10パーセントを有することが最も好ましい。例えば、誘導コイルの外側半径方向拡張は、3mm(ミリメートル)~6mm(ミリメートル)であってもよく、4mm(ミリメートル)~5mm(ミリメートル)であることが好ましい。
【0013】
有利なことに、本発明の第二の態様による加熱組立品はまた、リング形状の保持要素内の加熱プロセスの局所的な制約を達成し、それ故に上述の悪影響を最小化することを可能にする。ここで、加熱プロセスの局所的な制約は、サセプタ素子を通る電磁場の有効な流量を低減することによって(誘導加熱可能なサセプタ材料を、半径方向でリング形状の保持要素より小さいサセプタ素子の内側リング部分に制約することによってではなく)、それ故にサセプタ素子の有効に加熱される容積を減少させることによって達成される。
【0014】
加えて、誘導コイルの半径方向拡張を制約することはまた、加熱組立品のコンパクトな設計に関して有利であることを明確に示す。加えて、サセプタ素子を通る電磁場の有効な流量を低減することは、電力消費を低減する。同様に、誘導コイルの半径方向拡張を制約することはまた、本発明の第一の態様に関して上述の通りのエアロゾル形成液体の改変効果の防止を容易にする。
【0015】
本発明の第二の態様による加熱組立品において、リング形状のサセプタ素子は、リング形状の液体保持要素の外側半径方向拡張と比較して、同一の外側半径方向拡張またはより大きい外側半径方向拡張でさえも有してもよい。この構成において、誘導コイルの制約された外側半径方向拡張に起因して、サセプタ素子の内側リング部分のみが加熱され、一方でサセプタ素子の外側リング部分は、その中に保持されるエアロゾル形成液体を気化するために閾値を上回って十分に加熱されるには誘導コイルから遠くに離れすぎている。これは、サセプタ素子が断続的に加熱される時に、例えば吸煙ごとに加熱される時に、特に当てはまる。いずれの場合でも、これは外側リング部分中の気泡発生を低減する。加熱されないサセプタ素子の外側リング部分は有利なことに、支持として、および/または第一の態様の発明に関して上述の通り、エアロゾル形成液体の漏れを防止するように液体保持要素を覆う密封要素としての役割を果たす場合がある。
【0016】
当然のことながら、第一の態様による加熱組立品はまた、保持要素の反対側のサセプタ素子の軸方向端面の近位に配設された誘導コイルを備えてもよい。特に、この誘導コイルはまた、保持要素の外側半径方向拡張および/またはサセプタ素子の外側半径方向拡張の最大でも50パーセント、特に最大でも40パーセントの外側半径方向拡張を有してもよく、好ましくは最大でも30パーセント、なおより好ましくは最大でも20パーセント、最も好ましくは最大でも10パーセントの外側半径方向拡張を有する。
【0017】
またその逆として、第二の態様による加熱組立品はまた、液体保持要素の外側半径方向拡張の、最大でも50パーセント、特に最大でも40パーセント、好ましくは最大でも30パーセント、なおより好ましくは最大でも20パーセント、最も好ましくは最大でも10パーセントの外側半径方向拡張を有する内側リング部分内に排他的に制約された誘導加熱可能な材料を含むサセプタ素子を含んでもよい。
【0018】
本発明の両方の態様による加熱組立品のさらなる特徴および利点は、共通で下記に説明される。
【0019】
本発明の両方の態様に関して、誘導コイルは、第一の態様または第二の態様のうちの一つによる加熱組立品を備えるエアロゾル発生物品の一体型の部品であってもよい。別の方法として、誘導コイルは、エアロゾル発生装置との一体型の部品であってもよい。エアロゾル発生装置は、好ましくは加熱組立品のもう一方の部品(誘導コイルとは別のもの)、すなわち少なくともリング形状の保持要素およびリング形状のサセプタ素子を備えるエアロゾル発生物品で使用するように構成される。当然のことながら、リング形状の保持要素およびリング形状のサセプタ素子のうちの少なくとも一つはまた、エアロゾル発生装置の一体型の部品であってもよい。
【0020】
本発明の両方の態様に関してさらに、誘導コイルは、加熱されるサセプタ素子のそれぞれの部分の形状と一致する形状を有してもよい。誘導コイルはらせん状コイルまたは平坦なパンケーキコイル(フラットスパイラルコイル)であることが好ましい。誘導コイルはフェライトコアの周りに巻かれてもよい。本明細書で使用される「パンケーキコイル」または「フラットスパイラルコイル」という用語は、概して平面状のコイルであって、コイルの巻線の軸がコイルのある表面に対して垂直であるコイルを指す。フラットスパイラル誘導はコイルの平面内で任意の所望の形状を有することができる。例えば、フラットスパイラルコイルは円形状を有してもよく、または概して長円形状もしくは長方形状を有してもよい。さらに、フラットスパイラルコイルは、例えば4回巻きパンケーキコイルの二つの層、または4回巻きパンケーキコイルの単一の層を備えてもよい。フラットスパイラルコイルの使用は、頑丈でかつ製造が安価なコンパクトな設計を可能にする。らせん状誘導コイルの使用は有利なことに、均質な交流電磁場を発生することを可能にする。
【0021】
誘導コイルは、加熱組立品のハウジング、またはエアロゾル発生物品のハウジング、またはエアロゾル発生装置の主本体もしくはハウジング内に保持することができる。誘導コイルは、発生したエアロゾルに露出される必要がないことが好ましい。それ故に、コイル上の沈着物および可能性のある腐食を防止することができる。特に、誘導コイルは保護カバーまたは層を備えてもよい。
【0022】
本明細書で使用される「半径方向」、「軸方向」、および「同軸」という用語は、加熱組立品の中心軸を指す。この中心軸は、リング形状の保持要素およびサセプタ素子の対称軸であってもよい。それに応じて、本明細書で使用される「内側半径方向拡張」および「外側半径方向拡張」という用語は、加熱組立品の中心軸から測定される拡張を指す。例えば、サセプタ素子、保持要素、または誘導コイルの外側半径方向拡張は、それぞれ中心軸とサセプタ素子もしくは誘導コイルの半径方向の最外側縁との間の半径方向距離を指す。同様に、サセプタ素子、保持要素、または誘導コイルの内側半径方向拡張は、それぞれ中心軸とサセプタ素子もしくは誘導コイルの半径方向最内側縁との間の半径方向距離を指す。
【0023】
本明細書で使用される「リング形状の」、「リング形状」、および「リング」という用語は、中心軸の周りの中央の内側空間を備える円形状または円周方向に閉じた幾何学的物体を指す。リングまたはリング形状の外側半径方向拡張は、リングまたはリング形状の軸方向拡張よりも大きいことが好ましい。すなわち、リングまたはリング形状は平坦であることが好ましい。当然のことながら、リングまたはリング形状の外側半径方向拡張はまた、リングまたはリング形状の軸方向拡張より小さくてもよい。
【0024】
本明細書における「サセプタ材料」または「誘導加熱可能なサセプタ材料」という用語は、電磁エネルギーを熱に変換する能力を有する材料を指す。それ故に、交流電磁場の中に位置する時、サセプタは加熱される。一般に、これは、サセプタ材料の電気的特性および磁性に依存して、サセプタの中で誘導されたヒステリシス損失および/または渦電流の結果であってもよい。ヒステリシス損失は、交流電磁場の影響下で切り替えられる材料内の磁区に起因して、強磁性またはフェリ磁性のサセプタ材料の中で生じる。渦電流は、サセプタ材料が導電性である場合に誘発される。導電性の強磁性またはフェリ磁性サセプタ材料である場合、渦電流およびヒステリシス損失の両方によって熱を発生させることができる。
【0025】
サセプタは、金属のサセプタであることが好ましい。例えば、サセプタはフェライト鉄、または常磁性もしくは強磁性の金属または金属合金(アルミニウムもしくは強磁性鋼、とりわけ強磁性ステンレス鋼など)を含んでもよい。サセプタはまた、オーステナイト鋼、オーステナイトステンレス鋼、黒鉛、モリブデン、炭化ケイ素、ニオブ、インコネル合金(オーステナイトニッケルクロム系超合金)、金属蒸着フィルム、セラミック(例えば、フェリ磁性セラミック材料またはジルコニアなど)、遷移金属(例えば、Fe、Co、Niなど)、または半金属構成要素(例えば、B、C、Si、P、Alなど)を含んでもよく、またはそれらで作られてもよい。
【0026】
本明細書で使用される「エアロゾル形成液体」という用語は、エアロゾル形成液体の加熱に伴いエアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する液体に関する。エアロゾル形成液体は、固体のエアロゾル形成材料または構成要素と、液体のエアロゾル形成材料または構成要素との両方を含んでもよい。エアロゾル形成液体は、加熱に伴い液体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含むたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、または追加的に、エアロゾル形成液体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成液体は、エアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例はグリセリンおよびプロピレングリコールである。エアロゾル形成液体はまた、その他の添加物および成分(ニコチンまたは風味剤など)も含んでもよい。特に、エアロゾル形成液体は水、溶媒、エタノール、植物抽出物、および天然の風味または人工の風味を含んでもよい。エアロゾル形成液体はまた、ペースト様の材料、エアロゾル形成基体を含む多孔性材料のサシェ、または例えばゲル化剤または粘着剤と混合された、まとめられていないたばこであってもよく、これはグリセリンなどの一般的なエアロゾル形成体を含む可能性があり、その後でプラグへと圧縮または成形される。
【0027】
本明細書で使用される「液体保持要素」という用語は、エアロゾル形成液体のための搬送および貯蔵媒体を意味する。それ故に、液体保持要素の中に貯蔵されるエアロゾル形成液体は、例えば毛細管作用によって、サセプタ素子に簡単に移動される場合がある。エアロゾル形成液体の十分な気化を確実にするために、液体保持要素は有利なことにサセプタ素子と直接接触する、または少なくとも近接近する。
【0028】
液体保持要素は、毛細管材料を含む、または毛細管材料から成ることが好ましい。なおより好ましくは、液体保持要素は、エアロゾル形成液体を保持および搬送するための高保持材料または高放出材料(HRM)を含んでもよく、またはそれから成ってもよい。その上、液体保持要素は、非導電性および常磁性または反磁性のうちの少なくとも一つであってもよい。液体保持要素は誘導的に加熱可能ではないことがなおより好ましい。それ故に、液体保持要素は有利なことに、サセプタ素子内で熱を発生する渦電流および/またはヒステリシス損失を誘発するために使用される交流電磁場によって影響を受けない、または最小限の影響のみを受ける。液体保持要素は一般的に、少なくともエアロゾル形成液体の気化温度に耐えるように構成された材料を含んでもよく、またはそれから成ってもよい。エアロゾル形成液体の気化温度は220℃~240℃の範囲であってもよい。例えば、液体保持要素は、ガラス繊維、綿またはKevlarを含んでもよく、またはそれから成ってもよい。
【0029】
一般に、および本発明の両方の態様に関してさらに、リング形状のサセプタ素子の外側半径方向拡張は、リング形状の液体保持要素の外側半径方向拡張と等しいか、またはそれより大きいことが好ましい。同様に、リング形状のサセプタ素子の内側半径方向拡張は、リング形状の液体保持要素の内側半径方向拡張と等しいか、またはそれより小さいことが好ましい。リング形状のサセプタ素子の内側半径方向拡張は、液体保持要素の内側半径方向拡張より小さい(特にわずかにのみ)ことが好ましい。この特定の構成は、液体保持要素と内向きに突出するサセプタ素子との間、特にサセプタ素子の半径方向内面と保持要素との間の移行区域の周りのエアロゾル形成液体のメニスカスの形成を容易にする。有利なことに、メニスカスは、気化されるエアロゾル形成液体の一定であるが安定した容積を提供し、それ故に、気化された液体の量を高度に再現可能にする。
【0030】
サセプタ素子の内側半径方向拡張および外側半径方向拡張が液体保持要素の内側半径方向拡張および外側半径方向拡張とほぼ同じである場合、リング形状のサセプタ素子は有利なことに、保持要素のための支持要素および/または密封要素として機能する。有利なことに、これは高い機械的安定性を提供し、かつエアロゾル形成液体の漏れを防止する。
【0031】
当然のことながら、サセプタ素子の外側半径方向拡張はまた、液体保持要素の外側半径方向拡張より小さくてもよい。同様に、サセプタ素子の内側半径方向拡張は、液体保持要素の内側半径方向拡張より大きくてもよい。
【0032】
有利なことに、リング形状のサセプタ素子はトロイダルおよび/または中空円筒状である。リング形状のサセプタ素子はトロイダルおよび中空円筒状であることが好ましい。すなわち、リング形状のサセプタ素子は、回転軸での矩形の回転からもたらされる回転体であってもよく、それ故に回転軸に沿って、中央穴または中央通路を有する中実体を形成する。回転する矩形の高さは、リング形状のサセプタ素子の厚さを決定する。回転軸と回転する矩形の内縁との間の距離は、リング形状のサセプタ素子の内側半径方向拡張を決定する。回転する矩形の外縁の間の距離、すなわち内側半径方向拡張と回転軸に関して半径方向に測定した通りの回転する矩形の長さとの合計は、リング形状のサセプタ素子の外側半径方向拡張を決定する。特に、リング形状のサセプタ素子は、例えばワッシャー形状を有してもよい。
【0033】
リング形状の液体保持要素はまた、トロイダルおよび/または中空円筒状であることが好ましい。特に、サセプタ素子の内側半径方向拡張は、リング形状のサセプタ素子の内側半径方向拡張と同一であってもよい。この構成において、加熱組立品の設計は特にコンパクトである。
【0034】
一般に、リング形状の液体保持要素の厚さまたは高さは、リング形状のサセプタ素子の厚さまたは高さと等しい、またはそれより大きい、またはそれより小さくてもよい。リング形状の液体保持要素の高さは、保持要素の半径方向内面が十分な量の気化されたエアロゾル形成液体を放出するために十分に大きいように選ばれることが好ましい。
【0035】
本発明の両方の態様に関して、加熱組立品はまた、エアロゾル形成液体を保持するための液体貯蔵部も備えてもよい。有利なことに、液体貯蔵部、液体保持要素、およびサセプタ素子の組み合わせは、エアロゾル発生装置で使用されるエアロゾル発生物品の主な構成要素を容易に形成する場合がある。こうした構成は、少数の部品のみを含むので、コンパクトであり、製造が簡単である。
【0036】
サセプタ素子および液体保持要素に関して上述の通り、液体貯蔵部も、トロイダルおよび/または中空円筒状であってもよい。有利なことに、前述の特徴のうちのいずれか一つは、非常にコンパクトかつ対称な設計を支援する。
【0037】
特に、貯蔵部は、リング形状の外壁と、エアロゾル形成液体を貯蔵するためにそれらの間にリング形状もしくは中空円筒状の貯蔵部を形成するように内壁をある距離で包囲するリング形状の外壁とを備えてもよい。リング形状の外壁は、加熱組立品の中心軸に沿って貯蔵部を通って延びる中央空気通路を形成することが好ましい。中央空気通路は管状、特に円筒状であってもよい。中央空気通路の半径は、リング形状の液体保持要素の内側半径方向拡張および/またはリング形状のサセプタ素子の内側半径方向拡張に対応することが好ましい。例えば、リング形状のサセプタ素子の内側半径方向拡張、リング形状の液体保持要素の内側半径方向拡張、または中央空気通路の内半径のうちの少なくとも一つは、2mm(ミリメートル)~10mm(ミリメートル)であってもよく、4mm(ミリメートル)~5mm(ミリメートル)であることが好ましい。
【0038】
さらに、中央空気通路の半径は、加熱が生じる場所(すなわち、好ましくは誘導コイルの交番磁界が最も強い場所)であるサセプタ素子のリング部分の内側半径方向拡張より小さいことが好ましい。このリング部分の中心はほぼ、誘導コイルの平均半径方向拡張によって与えられる。誘導コイルの平均半径方向拡張は、誘導コイルの内側半径方向拡張および外側半径方向拡張を平均化することによって、すなわち誘導コイルの内側半径方向拡張と外側半径方向拡張との合計を2で割ることによって与えられる。よって、サセプタ素子の内側半径方向拡張は、誘導コイルの内側半径方向拡張と平均半径方向拡張との間であることが好ましい。
【0039】
貯蔵部は、誘導的に加熱可能ではない、特に非導電性かつ常磁性もしくは反磁性材料を含む、またはそれで作製されることが好ましい。貯蔵部は、断熱性材料を含むか、または断熱性材料で作製されることがなおより好ましい。有利なことに、これはエアロゾル形成液体の望ましくない過熱、および/またはやけどの危険性を防止する。
【0040】
さらに、液体保持要素は、貯蔵部内に少なくとも部分的に配設されることが好ましい。特に、保持要素の半径方向の内面は、少なくとも部分的に中央空気通路に露出されてもよい。有利なことに、これは、中央空気通路の中への気化したエアロゾル形成液体の直接的な放出を容易にする。上述の通り、気化されたエアロゾル形成液体の直接的な放出は、液体保持要素内での、および液体貯蔵部内に貯蔵されている液体内での望ましくない気泡の発生を防止する。
【0041】
本発明の両方の態様に関してさらに、貯蔵部は軸方向端面にて開放していてもよい。すなわち、貯蔵部は軸方向端面に開口を有してもよい。軸方向端面の開口はリング形状であることが好ましい。その結果、リング形状の液体保持要素は有利なことに、このリング形状の開口の中に配設されてもよく、それ故に液体保持要素が、貯蔵部の中に含有されたエアロゾル形成液体と直接接触することを可能にする。
【0042】
なお、リング形状の液体保持要素は、その毛細管特性に起因して必ずしも液体貯蔵部の開口の密封を提供しない。従って、リング形状のサセプタ素子は、既に上述の通り、液体保持要素のためのカバーまたは密封要素を提供することが好ましい。このために、リング形状のサセプタ素子は、軸方向端面にある開口に配設されてもよい。リング形状のサセプタ素子は、貯蔵部の軸方向端面を少なくとも部分的に形成してもよいことがなおより好ましい。特に、サセプタ素子によって形成された貯蔵部の軸方向端面は、液体貯蔵部の壁の半径方向内側部分と半径方向外側部分との間に延びてもよい。後者の構成は、液体貯蔵部の機械的安定性に関して特に有利であることを明確に示す。サセプタ素子の液体貯蔵部への適正な据え付けを確実にするために、サセプタ素子の半径方向外側面および/または保持要素の半径方向外側面は、貯蔵部の外壁に陥凹されてもよい。
【0043】
さらに、一つ以上の密封、例えば密封ガスケットが、液体貯蔵部およびサセプタ素子の壁(複数可)の接触/据え付け区域の周りに提供されてもよい。これは、液体貯蔵部の漏れ防止性をさらに改善する。
【0044】
一般に、液体保持要素の密封は以下の通りに提供されてもよい。液体保持要素は、その半径方向の外側面上(すなわち、中央空気通路から最も遠い部分)で、液体貯蔵部によって、または液体貯蔵部とサセプタを接合することによって完全に密封されてもよい。特に、接合する外部壁は、液体貯蔵部の外壁の続きと考えられてもよく、または加熱組立品の別の部分、もしくはエアロゾル発生物品のためのエアロゾル発生装置の別の部分であってもよい。液体保持要素は、その軸方向端面のうちの一つにてサセプタによって完全に密封されてもよい。さらに、液体保持要素は、部分的に密封されていてもよく、または密封されていなくてもよく、すなわち半径方向内面にて露出していてもよい。
【0045】
本発明によると、エアロゾル発生装置で使用するエアロゾル発生物品も提供されている。物品は、本発明の第一の態様または第二の態様による誘導加熱組立品を備える。すなわち、エアロゾル発生物品は、保持要素の外側半径方向拡張の最大でも50パーセントの外側半径方向拡張を有する内側リング部分内に排他的に制約された誘導加熱可能なサセプタ材料を含むサセプタ素子を有する加熱組立品を備える。別の方法として、エアロゾル発生物品は、サセプタ素子内に交流電磁場を発生するための保持要素の反対側のサセプタ素子の軸方向端面の近位に配設された誘導コイルを有する加熱組立品を備え、誘導コイルは保持要素の外側半径方向拡張および/またはサセプタ素子の外側半径方向拡張の最大でも50パーセントの外側半径方向拡張を有する。
【0046】
本明細書で使用される「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾル発生装置で使用するように構成された物品、特にエアロゾル発生装置の受容空洞内に受容されるように構成された物品を指す。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置の中に挿入されるカートリッジであってもよい。エアロゾル発生物品は、消耗品、特に単回使用後に廃棄される消耗品であってもよい。
【0047】
エアロゾル発生物品は、加熱組立品の一部であり、かつ発明の両方の態様による加熱組立品に関して上述の通りの液体貯蔵部を備えることが好ましい。
【0048】
その上、エアロゾル発生物品はマウスピースを備えてもよい。マウスピースは、リング形状の液体保持要素、サセプタ素子、および液体貯蔵部(存在する場合)の中央空間によって形成された中央空気通路と流体連通する出口を含むことが好ましい。マウスピースは、液体貯蔵部と一体型であってもよいことがなおより好ましい。特に、マウスピースは、液体貯蔵部の近位端部分であってもよく、液体貯蔵部のテーパー付端部分であってもよいことが好ましい。これは、エアロゾル発生物品の非常にコンパクトな兆候に関して有利であることを明確に示す。液体貯蔵部はまた、物品のハウジングまたは外側シェルも形成してもよい。この構成による物品は、受容空洞の中に挿入されてもよく、またはエアロゾル発生装置の近位端部分に取り付けられてもよい。エアロゾル発生物品をエアロゾル発生装置に取り付けるために、エアロゾル発生装置の遠位端部分は、例えばエアロゾル発生装置の近位端部分にて、対応する相手側と係合する、磁気的据え付け部または機械的据え付け部、例えばバヨネット据え付け部またはスナップ嵌め据え付け部を備えてもよい。
【0049】
別の方法として、エアロゾル発生物品は、リング形状のサセプタ素子、リング形状の液体保持要素、および液体貯蔵部のみを備えてもよい。この構成による物品は、エアロゾル発生装置の受容空洞の中への挿入のために容易に準備される場合がある。受容空洞の近位開放端(物品の挿入に使用される)は、エアロゾル発生装置に属するマウスピースによって閉じられてもよい。別の方法として、エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置の主本体に取り付けられてもよく、かつマウスピースを主本体に据え付ける際にエアロゾル発生装置のマウスピースによって形成された空洞内に受容されてもよい。
【0050】
これらの構成のうちのいずれか一つにおいて、物品が装置に挿入される、または取り付けられる時に、リング形状の液体保持要素、サセプタ素子、および液体貯蔵部(存在する場合)の中央空間によって形成された中央気流通路は、エアロゾル発生装置を通って延びる空気経路と流体連通することが好ましい。装置は、少なくとも一つの空気吸込み口から受容空洞(存在する場合)を通って、少なくとも一つの空気出口に、例えばマウスピースの中の空気出口(存在する場合)に延びる空気経路を備えることが好ましい。
【0051】
上述の通り、誘導コイルは、エアロゾル発生装置の一部であることが好ましい。これは誘導コイルの電力供給を容易にする。なお、また上述の通り、誘導コイルはエアロゾル発生物品の一体型の部品であってもよい。この構成において、誘導コイルは、エアロゾル発生装置の誘導源に電気的に接続されるコネクターを備えることが好ましい。コネクターは、エアロゾル発生物品をエアロゾル発生装置と連結する際に、エアロゾル発生装置の対応するコネクターと自動的に係合するように構成される。
【0052】
前述の通り、これは誘導コイルに電力供給するための誘導源を備えることが好ましいエアロゾル発生装置である。誘導源は交流(AC)発電機を備えてもよい。AC発電機はエアロゾル発生装置の電源によって電力供給されてもよい。AC発電機は誘導コイルに動作可能に連結される。AC発電機は、交流電磁場を発生させるために誘導コイルを通過する高周波振動電流を発生させるように構成される。本明細書で使用される「高周波振動電流」とは、500kHz~30MHz、好ましくは1MHz~10MHz、より好ましくは5MHz~7MHzの周波数を有する振動電流を意味する。
【0053】
装置は、好ましくはAC発電機を含む、電気回路をさらに備えてもよい。電気回路は有利なことに、DC/ACインバータを備えてもよく、これはクラスDまたはクラスEの電力増幅器を含んでもよい。電気回路はエアロゾル発生装置の電力供給源に接続されてもよい。電気回路はマイクロプロセッサを備えてもよく、これはプログラマブルマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または特定用途向け集積回路チップ(ASIC)、もしくは制御を提供する能力を有するその他の電子回路であってもよい。電気回路はさらなる電子構成要素を備えてもよい。電気回路は誘導コイルへの電流の供給を調節するよう構成されてもよい。電流はシステムの起動後、誘導コイルに連続的に供給されてもよく、または断続的に(例えば、毎回の吸煙ごとに)供給されてもよい。
【0054】
また前述の通り、エアロゾル発生装置は有利なことに、電源、好ましくはリン酸鉄リチウム電池などの電池を備える。代替として、電源は別の形態の電荷蓄積装置(コンデンサーなど)であってもよい。電源は再充電を必要とする場合があり、また一回以上のユーザー体験のために十分なエネルギーの貯蔵を可能にする容量を有する場合がある。例えば、電源は約六分間、または六分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な発生を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の例において、電源は所定の吸煙回数、または誘導コイルの不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。
【0055】
本発明によるエアロゾル発生物品のさらなる特徴および利点は、本発明による態様、および本明細書に記載の通りの両方の態様による加熱組立品に関して記載してきた。従って、エアロゾル発生物品のこれらのさらなる特徴および利点は繰り返さない。
【0056】
本発明によると、エアロゾル発生装置も提供されている。装置は、本発明の第一の態様または第二の態様のうちの一つによる誘導加熱組立品を備える。特に、装置は、気化されるエアロゾル形成液体を含有するエアロゾル発生物品で使用するように構成されてもよい。
【0057】
本発明によるエアロゾル発生装置のさらなる特徴および利点は、本発明の両方の態様による、および本明細書に記載の通りの加熱組立品に関して説明されていて、また本発明および本明細書によるエアロゾル発生物品に関して説明されてきた。従って、エアロゾル発生装置のこれらのさらなる特徴および利点は繰り返さない。
【0058】
本発明を、添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図1】
図1は、本発明の第一の実施形態による誘導加熱組立品を備えるエアロゾル発生物品の例示的な実施形態の概略断面図である。
【
図2】
図2は、
図1によるエアロゾル発生物品の概略斜視図である。
【
図3】
図3は、エアロゾル発生装置と、
図1によるエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムの例示的な実施形態の概略断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第二の実施形態による誘導加熱組立品を備えるエアロゾル発生物品の別の例示的な実施形態の概略断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の第三の実施形態による誘導加熱組立品を備えるエアロゾル発生物品のまた別の例示的な実施形態の概略断面図である。
【
図6】
図6は、エアロゾル発生装置と、
図5によるエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムの別の例示的な実施形態の概略断面図である。
【
図7】
図7は、エアロゾル発生装置と本発明の第四の実施形態によるエアロゾル発生物品とを備える、エアロゾル発生システムの別の例示的な実施形態の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
図1および
図2は、本発明の第二の態様による誘導加熱組立品10を(少なくとも部分的に)備える、エアロゾル発生物品60の第一の実施形態を概略的に図示する。
【0061】
図3に図示の通り、エアロゾル発生物品60は、エアロゾル発生装置70で使用するように構成され、装置70および物品60は一緒にエアロゾル発生システム1を形成する。エアロゾル発生物品60または加熱組立品10はそれぞれ、加熱組立品10を使用して気化されるエアロゾル形成液体を保持するための液体貯蔵部15を含む。本実施形態において、貯蔵部15は、リング形状の外壁51と、リング形状の内壁52と、物品60の近位端にある近位端壁53とによって形成された実質的に中空の円筒形状を有する。リング形状の内壁52は、加熱組立品10の中心軸11に沿って延びる貯蔵部50を通る中央空気通路61を形成する。物品60の遠位端64にて、貯蔵部50は、本発明による誘導加熱組立品10の一部であるリング形状の液体保持要素20によって閉じられた開口を有する。液体保持要素20は、中空の円筒状貯蔵部50のリング形状の貯蔵部容積55に貯蔵されたエアロゾル形成液体を保持および搬送するように構成される。有利なことに、液体保持要素は、貯蔵部50の開口内のその配設に起因して貯蔵部50の中に含有されたエアロゾル形成液体と直接接触する。液体保持要素20は、例えば多孔性セラミック材料などの高保持材料もしくは高放出材料(HRM)を含むこと、またはそれらから成ることさえも好ましい。
【0062】
保持要素20内のエアロゾル形成液体を加熱および気化するために、
図1~
図3に示す第一の実施形態による誘導加熱組立品は、中空の円筒状液体貯蔵部50の貯蔵部容積55の反対側にある液体保持要素20の軸方向端面に同軸に配設されているリング形状のサセプタ素子30をさらに備える。サセプタ素子30は、液体保持要素20の軸方向端面と直接的な物理的接触、それ故に熱的に接触することが好ましい。
図1~
図3から分かる通り、リング形状のサセプタ素子30は液体貯蔵部50の軸方向端面を形成し、また同時に液体保持要素30のための密封カバーも提供し、これは密封カバーを提供するだけでは典型的に、その毛細管特性に起因して、液体貯蔵部の十分な密封を提供しないためである。液体貯蔵部50の漏れ防止性をさらに改善するために、密封58が、液体貯蔵部50の内壁52および外壁51と液体保持要素20との間の接触区域の周りに提供されている。
【0063】
液体貯蔵部50の外壁51への、リング形状のサセプタ素子30の適正な据え付けを確実にするために、サセプタ素子30の半径方向外側面は貯蔵部50の外壁51に陥凹される。その結果、サセプタ素子30の外側半径方向拡張R2は、液体保持要素20の外側半径方向拡張R1よりわずかに大きい。有利なことに、これは物品60の高い機械的安定性を提供する。
【0064】
誘導加熱されたサセプタ素子30に対して、それ故に保持要素20内の気化したエアロゾル形成液体に対して、本実施形態による加熱組立品10は、サセプタ素子内に交流電磁場を発生するように構成された本発明の第二の態様による誘導コイル40を含む。誘導コイル40は、物品60の遠位端(distal and)64にある液体保持要素20の反対側のサセプタ素子30の軸方向端面の近位に配設される。一般に、誘導コイル40は、物品60の一部、または(
図3に示す本実施形態における通り)エアロゾル発生物品60との相互作用のために構成されているエアロゾル発生装置70の一部のいずれであってもよい。
【0065】
本発明の第二の態様によると、誘導コイル40は、サセプタ素子30の外側半径方向拡張R2だけでなく、液体保持要素20の外側半径方向拡張R1の最大でも50パーセントの外側半径方向拡張R3を有する。本実施形態において、誘導コイル40の半径方向拡張R3は、サセプタ素子30の外側半径方向拡張R2の約30パーセントのみにすぎない。これに起因して、誘導加熱プロセスは、誘導コイル40の半径方向拡張に大まかに対応する半径方向拡張を有するサセプタ素子30の内側リング部分33(
図1の破線ボックスを参照のこと)に制約される。対照的に、サセプタ素子30の残りの外側リング部分は、その中に保持されたエアロゾル形成液体を気化するために閾値を上回って十分に加熱されるためには、誘導コイル40から遠くに離れすぎている。これは、サセプタ素子が断続的に加熱される時に、例えば吸煙ごとに加熱される時に、特に当てはまる。結果として、リング形状の液体保持要素20内の加熱プロセスも、保持要素20の内側リング部分23(
図1の破線ボックスを参照のこと)に制約される。有利なことに、この局所的な制約は、気泡発生および貯蔵部容積55中のエアロゾル形成液体の改変に起因する上述の悪影響を低減させる。加えて、制約された局所加熱は、加熱組立品10の電力消費を低減する。
【0066】
図1から特に分かる通り、液体貯蔵部50のリング形状の内壁52の長さの延長は、外壁51の長さの延長より短い。これに起因して、液体保持要素20の半径方向の内面は、中央空気通路61に少なくとも部分的に露出される。有利なことに、これは、中央空気通路61の中への、気化したエアロゾル形成液体の直接的な放出を容易にする。
【0067】
図1からさらに分かる通り、リング形状のサセプタ素子30の内側半径方向拡張は、液体保持要素20の内側半径方向拡張よりわずかに小さく、それ故にエアロゾル形成液体のメニスカスが、液体保持要素20と内向きに突出するサセプタ素子30との間の移行区域の周りで形成されることを可能にする。有利なことに、メニスカスは、一定であるが安定した容積の、気化されるエアロゾル形成液体を提供し、気化された液体の量を高度に再現可能にする。
【0068】
サセプタ素子30は、強磁性および導電性の材料、例えば強磁性ステンレス鋼を含む、またはそれらで作製されることさえも好ましい。対照的に、液体保持要素の材料は、誘導的に加熱可能ではなく、特に非導電性かつ常磁性または反磁性である。有利なことに、これはエアロゾル形成液体の望ましくない過熱を防止する。
【0069】
図3を参照すると、第一の実施形態によるエアロゾル発生物品60は、加熱組立品10の誘導コイル40を備えるエアロゾル発生装置70との相互作用のために構成される。本実施形態において、誘導コイル40は、導電性ワイヤーの4回巻きを有する一つの層を含むフラットスパイラルコイルである。誘導コイル40に電力を供給するために、エアロゾル発生装置70は、電池(図示せず)によって電力供給される交流電流(AC)発生器を含む誘導源(図示せず)を備えてもよい。
【0070】
さらに
図3を参照すると、エアロゾル発生装置70は、主本体80と、マウスピース90とを備える。マウスピース90は、主本体80に解放可能に取り付け可能である。このために、主本体80およびマウスピース90は、主本体80およびマウスピース90それぞれの対向する、壁の端81、91に配設されている、対応するスナップ嵌め据え付け部84、94を備える。
【0071】
マウスピース90は、エアロゾル発生装置70の中にしっかりと据え付けられるように、エアロゾル発生物品60を収容するための空洞95を画定する。エアロゾル発生物品20がエアロゾル発生装置70に取り付けられると、リング形状の液体保持要素20、サセプタ素子30、および液体貯蔵部50の中央空間によって形成された中央気流通路61は、エアロゾル発生装置70を通って延びる空気経路と流体連通する。本実施形態において、空気経路(
図3の点線矢印を参照のこと)は、マウスピース90の外壁91の側方空気吸込み口93から受容空洞95を通してマウスピース90の近位端にある中央空気出口92に延びる。
【0072】
使用時に、ユーザーはマウスピース90を吸煙して、空気吸込み口93を通して空気を空洞95の中に引き出し、出口92から出してユーザーの口の中に引き出す。装置70は、ユーザーがマウスピースを吸煙する時を検出するためのマイクロフォンの形態の吸煙センサー86を含んでもよい。吸煙センサー86は、空気経路と流体連通し、かつ誘導コイル40および中央空気通路61の遠位端に近接して主本体80内に配設される。吸煙が検出された時に、誘導源は高周波振動電流をコイル40に提供する。これは、サセプタ素子30を通過する振動磁界を発生する。結果として、サセプタ素子30は、その電気的特性および磁性に依存して、液体保持要素20中に保持されたエアロゾル形成液体を気化するのに十分な温度に達するまで、ヒステリシス損失および/または渦電流に起因して加熱される。気化したエアロゾル形成材料は、空気吸込み口93から中央空気通路61に沿って空気出口92に向かって流れる空気に同伴される。この過程でベイパーは冷却されて、マウスピース90内でエアロゾルを形成した後で、出口92を通って漏れ出る。誘導源は、吸煙の検出後、誘導コイル40に所定の持続時間(例えば、5秒間)の間電力を供給し、その後、新しい吸煙が検出されるまで電流をオフに切り替えるように構成されてもよい。
【0073】
図4は、本発明の第一の態様による加熱組立品110を備えるエアロゾル発生物品160の第二の実施形態を概略的に図示する。この態様によると、リング形状のサセプタ素子130は、液体保持要素120の外側半径方向拡張R101の最大でも50パーセントの外側半径方向拡張R102を有する内側リング部分133内に排他的に制約されている誘導加熱可能なサセプタ材料を含む。本実施形態において、サセプタ素子130は内側リング部分133のみから成りさえする。さらに、
図4に示す実施形態において、内側リング部分133の、すなわちサセプタ素子130の外側半径方向拡張R102は、液体保持要素120の外側半径方向拡張R101の30パーセントほどのみである。これに起因して、この第二の実施形態による加熱組立品110は、液体保持要素120の効果的に加熱される容積の低減、すなわち加熱プロセスの局所的な制約を達成する。
【0074】
図4でさらに分かる通り、この第二の実施形態によるリング形状のサセプタ素子130は、液体保持要素120と比較してその低減した半径方向拡張に起因して、貯蔵部150または物品160それぞれの軸方向端面の一部分のみを形成する。軸方向端面の残りの部分は、サセプタ素子130と同一の厚さを有する貯蔵部150の平坦なリング形状の遠位端壁154によって形成される。遠位端壁154は、リング形状の外壁151、リング形状の内壁152、および貯蔵部150の近位端壁154と一体型であることが好ましい。さらに、リング形状のサセプタ素子130は、遠位端壁154と直接接触し、かつ例えば接着手段(接着剤など)によって、または押し嵌めの方式で遠位端壁154に取り付けられる。
【0075】
加熱組立品110とは別に、特に半径方向でより小さいサセプタ素子130および遠位端壁154とは別に、
図4に示す第二の実施形態によるエアロゾル発生物品160は、
図1~
図3に示す第二の実施形態によるエアロゾル発生物品60と非常に類似している、または同一でさえある。従って、同様または同一の特徴は、同一の参照符号に100を加えた参照符号で示されている。
【0076】
図5は、これも本発明の第一の態様による加熱組立品210を備えるエアロゾル発生物品260の第三の実施形態を概略的に図示する。この第三の実施形態によるエアロゾル発生物品260は、
図4に示す第二の実施形態と非常に類似している。そのため、同様または同一の特徴は、
図4と同一の参照符号に100を加えた参照符号で示されている。
図4に示す第二の実施形態とは対照的に、
図5によるエアロゾル発生物品260の加熱組立品210は、貯蔵部250および物品260それぞれの軸方向端面全体を形成するリング形状のサセプタ素子230を備える。すなわち、サセプタ素子230は、実質的に液体保持要素220全体にわたって半径方向に拡張し、それ故に、
図1~
図3に示す第一の実施形態による加熱組立品10のサセプタ素子30に類似する液体保持要素220のための密封カバーを提供する。それでもなお、サセプタ素子は、内側リング部分233と内側リング部分233の周りの外側リング部分235とを含む二つの部分から成る。本発明の第一の態様によると、サセプタ素子230の誘導加熱可能なサセプタ材料は、内側リング部分233に排他的に制約される。本実施形態において、内側リング部分233は、液体保持要素220の外側半径方向拡張R201の約30パーセントの外側半径方向拡張R202を有し、それ故に上述の通りの加熱プロセスの局所的な制約を達成する。対照的に、外側リング部分235は、誘導的に加熱可能ではない材料、好ましくは断熱性材料を排他的に含有する。有利なことに、これは、加熱された内側リング部分233からの、他の部位(貯蔵部250の外壁(outer all)251など)の断熱を提供する。
【0077】
図6は、エアロゾル発生装置270に据え付けられた、
図5によるエアロゾル発生物品260を備える、エアロゾル発生システム201を示す。エアロゾル発生装置270は、
図3によるエアロゾル発生装置70と非常に類似している。そのため、装置270と同様または同一の特徴は、
図3と同一の参照符号に200を加えた参照符号で示されている。
図3に示す装置70とは対照的に、
図6に示す装置270は、液体保持要素220の外側半径方向拡張R201およびサセプタ素子230の外側半径方向拡張R202と実質的に等しい外側半径方向拡張R203を有する誘導コイル240(加熱組立品210の一部である)を備える。しかしながら、それにもかかわらず、誘導加熱可能なサセプタ材料がサセプタ素子230の内側リング部分内に排他的に制約されていることに起因して、加熱プロセスは依然として、保持要素220の内側リング部分に局所的に制約される。同じ理由から、
図6による装置270も、
図4によるエアロゾル発生物品160とともに容易に使用されてもよい。当然のことながら、
図4による物品160と
図5による物品との両方は、保持要素およびサセプタ素子の外側半径方向拡張の最大でも50パーセントの外側半径方向拡張R3を有する誘導コイル40を含む、
図3によるエアロゾル発生装置70で使用されてもよい。
【0078】
図7は、第四の実施形態によるエアロゾル発生装置370およびエアロゾル発生物品360を備えるエアロゾル発生システム301の別の例示的な実施形態を概略的に図示する。装置370は、特に主本体80および380それぞれに関して、
図3による装置70と非常に類似している。従って、同様または同一の特徴は、
図3と同一の参照符号に300を加えた参照符号で示されている。なおさらに、
図3による装置70とは対照的に、
図7による装置370はマウスピースを備えない。その代わりに、これは、液体貯蔵部350の近位端壁353に隣接するその近位端363にて円筒状のマウスピース部分390を備える物品360である。特に、マウスピース部分390は、液体貯蔵部350の壁と一体型である。
図7で分かる通り、貯蔵部350の空間の中心を通る中央空気通路361は、円筒状のマウスピース部分390の中心を通って空気出口392に向かってさらに延びる。
図7でさらに分かる通り、液体貯蔵部350の外壁351は、遠位方向にサセプタ素子330を越えて軸方向に延びるリング形状の突出部356を有する。その遠位端にて、リング形状の突出部356は、装置370の主本体380の壁381の反対側の端に配設された対応するスナップ嵌め据え付け部384と係合するスナップ嵌め据え付け部394を備える。加えて、物品360は、サセプタ素子330に近接して外壁351を通って延びる横方向の空気吸込み口393を備える。ここから、空気経路は、サセプタ素子330の端面および液体保持要素320の半径方向内面に沿って通り、中央空気通路361をさらに通って、空気出口392に向う。
【0079】
有利なことに、物品360は非常にコンパクトな設計を提供する。それとは別に、物品360は
図1~
図3による物品60と非常に類似している。特に、液体保持要素320、サセプタ素子330、および誘導コイル340を含む加熱組立品310は、
図1~3による加熱組立品10と実質的に同一である。