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特許7372981電気化学装置及びその電気化学装置を含む電子装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-24
(45)【発行日】2023-11-01
(54)【発明の名称】電気化学装置及びその電気化学装置を含む電子装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/51 20210101AFI20231025BHJP
   H01M 50/293 20210101ALI20231025BHJP
   H01M 50/509 20210101ALI20231025BHJP
   H01M 50/224 20210101ALI20231025BHJP
   H01M 50/227 20210101ALI20231025BHJP
【FI】
H01M50/51
H01M50/293
H01M50/509
H01M50/224
H01M50/227
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021546816
(86)(22)【出願日】2020-08-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-28
(86)【国際出願番号】 CN2020112679
(87)【国際公開番号】W WO2022041247
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2021-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】513054978
【氏名又は名称】寧徳新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Ningde Amperex Technology Limited
【住所又は居所原語表記】No.1 Xingang Road, Zhangwan Town, Jiaocheng District, Ningde City, Fujian Province, 352100, People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】100177426
【弁理士】
【氏名又は名称】粟野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】張 楠
(72)【発明者】
【氏名】張 益博
(72)【発明者】
【氏名】厳 坤
(72)【発明者】
【氏名】胡 喬舒
【審査官】梅野 太朗
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第209104258(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第106532105(CN,A)
【文献】国際公開第2018/163480(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/50、50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極組立体A、第2電極組立体B、及び筐体を含む電気化学装置であって、
各電極組立体は前記筐体中のそれぞれ独立したキャビティ内に位置し、
第1電極組立体Aと第2電極組立体Bの2つの逆極性タブは筐体内で接続され、
接続された前記逆極性タブには、筐体から突き出ているタブS1があり、
前記接続された逆極性タブには、更に、筐体から突き出ていないタブS2がある、電気化学装置。
【請求項2】
前記タブS1の筐体の外側における長さd1は、1mm≦d1≦100mmを満たす、請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項3】
前記タブS2の端部と前記タブS1が突き出る筐体の外縁との間の垂直距離d2は、0mm≦d2≦30mmを満たす、請求項2に記載の電気化学装置。
【請求項4】
前記タブS1の筐体の外側における長さd1と、前記タブS2の端部と前記タブS1が突き出る筐体の外縁との間の垂直距離d2とは、5mm≦d1+d2≦20mmを満たす、請求項3に記載の電気化学装置。
【請求項5】
筐体から突き出るタブの数xは、2<x≦y-1を満たし、ここで、yがタブの合計数である、請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項6】
前記キャビティは隔離板を含み、前記隔離板はイオン絶縁層を含む、請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項7】
前記イオン絶縁層の材料は、高分子材料、金属材料、及び炭素材料からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む、請求項6に記載の電気化学装置。
【請求項8】
前記隔離板は、更に、パケージ層を含み、
前記パケージ層の材料は、ポリプロピレン、酸無水物変性ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエーテルニトリル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、非晶性ポリアルファオレフィン、及びそれらの誘導体、からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む、請求項6に記載の電気化学装置。
【請求項9】
前記隔離板は、双極型集電体である、請求項6に記載の電気化学装置。
【請求項10】
a.前記隔離板の厚さが5μm~20μmであること、
b.前記イオン絶縁層の材料の融点が165℃以上であること、
c.前記パケージ層の材料の融点が120℃~250℃であること、
から選ばれる少なくとも1つの特徴を有する、請求項に記載の電気化学装置。
【請求項11】
前記電極組立体の構造は、巻回構造、及び積層構造からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項12】
n個の第3電極組立体Cnを更に含み、nはn≧1を満たす整数であり、
前記第3電極組立体Cnは、電極組立体組Dを含み、
前記電極組立体組Dは、少なくとも二つの電極組立体を、直列接続、並列接続、または直列接続と並列接続の組み合わせで接続することによって形成される、請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項13】
前記第3電極組立体Cnに関する接続方式は、第1電極組立体Aとの直列接続または並列接続、第2電極組立体Bとの直列接続または並列接続、及び第1電極組立体Aと第2電極組立体Bを含む直列接続部との並列接続、からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む、請求項12に記載の電気化学装置。
【請求項14】
前記電極組立体組Dに係る接続方式は、第1電極組立体Aとの直列接続または並列接続、第2電極組立体Bとの直列接続または並列接続、及び第1電極組立体Aと第2電極組立体Bを含む直列接続部との並列接続、からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む、請求項12に記載の電気化学装置。
【請求項15】
前記直列接続された二つのタブは、一つだけが筐体から突き出ている、請求項13~14のいずれか1項に記載の電気化学装置。
【請求項16】
筐体から突き出るタブの数xは、2<x≦n+3を満たす、請求項12に記載の電気化学装置。
【請求項17】
前記筐体は、アルミプラスチックフィルム、アルミケース、スチールケース、及びプラスチックケースからなる群から選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか1項に記載の電気化学装置を含む、電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学分野に関し、具体的には、電気化学装置及びその電気化学装置を含む電子装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池は、エネルギー密度が高く、サイクル寿命が長く、公称電圧が高く、自己放電率が少なく、小型、軽量などの利点を備え、コンシューマエレクトロニクス分野で広く応用されている。近年、電気自動車(EV)と移動可能な電子デバイスとの急速発展に伴い、電池のエネルギー密度、安全性、サイクル特性などに関するニーズが高まっており、総合性能が全面的に向上する新型リチウムイオン電池の登場が期待されている。
【0003】
しかし、リチウムイオン電池は、固有の電気化学システムに制限されており、通常、単電池の動作電圧が5Vを超えることが困難である。ただし、リチウムイオン電池が実際的に使用される時に、例えば、電気自動車(EV)、計器用変圧器(PT)、エネルギー貯蔵システム(ESS)などの高電圧での使用場面に対するニーズが多い。
【0004】
リチウムイオン電池の出力電圧を向上させるために、先行技術では、通常、複数のリチウムイオン電池を直列接続する。しかし、そのような直列方式には、直列した電気化学セルに対してイオン絶縁をしておらず、高電圧での電解液分解がリチウムイオン電池の充放電性能に影響を与える。また、リチウムイオン電池の引き出したタブの数が不合理であるため、リチウムイオン電池のパケージ強度に影響を与え、リチウムイオン電池の製品品質が低下した。そのため、新型の直列構造を持つリチウムイオン電池を開発するのは、当業者が早急に解決しなければならない問題となっている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、電気化学装置の充放電性能と製品品質を向上させるために、電気化学装置及びその電気化学装置を含む電子装置を提供する。
【0006】
本発明の第1の態様では、電気化学装置を提供する。当該電気化学装置は、第1電極組立体A、第2電極組立体B、及び筐体を含み、各電極組立体が前記筐体中のそれぞれ独立したキャビティ中に位置し、第1電極組立体Aと第2電極組立体Bとの逆極性タブが筐体内で接続され、前記接続された逆極性タブには、筐体から突き出ているタブS1、及び筐体から突き出ていないタブS2を有する。
【0007】
本発明のある実施形態において、前記タブS1の筐体の外側における長さd1は、1mm≦d1≦100mmを満たす。
【0008】
本発明のある実施形態において、前記タブS2の端部とタブS1が突き出る前記筐体の外縁との間の垂直距離d2は、0mm≦d2≦30mmを満たす。
【0009】
本発明のある実施形態において、前記タブS1の筐体の外側における長さd1と、前記タブS2の端部と前記タブS1が突き出る筐体の外縁との間の垂直距離d2は、5mm≦d1+d2≦20mmを満たす。
【0010】
本発明のある実施形態において、筐体から突き出ているタブの数xは、2<x≦y-1を満たし、ここで、yがタブの合計数である。
【0011】
本発明の第2の態様では、本発明の第1の態様により提供される電気化学装置を含む電子装置を提供する。
【0012】
本発明により提供される電気化学装置は、異なる電極組立体と電解液をそれぞれ独立した電気化学セルに分離し、異なる電気化学セルの間にイオン絶縁作用があり、電気化学装置が液体電解液環境に配置されることを保証し、内部短絡問題及び高電圧での電解液分解の問題を回避する。それにより、電気化学装置の充放電性能と使用上の安全性を向上させ、電気化学装置の有効な電力出力を保証する。また、電気化学装置には、複数の電極組立体に対して複雑かつ緻密な溶接及びパケージ操作を行う必要があるため、製造の信頼性に対する非常に高い要求がある。電気化学装置の正常な動作出力は各電極組立体に制限されているので、電気化学装置の製造過程において、故障に対する検査が特に重要である。逆極性タブが筐体内で接続され、且つそのうちの一つのタブを筐体内に保持する設計によって、パケージ強度を有効的に最適化して、パケージの信頼性を向上させる。同時に、急速に問題がある電極組立体を検査して故障の原因を見つけるように、単一の電気化学セルの電圧監視を実現することができ、電気化学装置の良品率と生産効率を向上させることができる。また、エネルギー密度の損失リスクを低減することもでき、且つ、電気化学装置の材料を節約することによってコストを効果的に低減し、電気化学装置の市場競争力を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の実施例と先行技術との技術案をより明確に説明するために、以下、実施例と先行技術において使用する必要のある図面を概略に説明する。以下に説明される図面は、本出願の実施例の一部にすぎず、当業者にとって、これらの図面により他の実施例を得ることは自明である。
図1図1は、本発明の一実施形態に係る電気化学装置の模式図である。
図2図2は、本発明の他の実施形態に係る電気化学装置の模式図である。
図3図3は、図2における電気化学装置の分解構造の模式図である。
図4図4は、本発明の一実施形態において、電気化学装置の隔離板の断面構造の模式図である。
図5図5は、本発明の別の実施形態に係る電気化学装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明の目的、技術案及び利点をより明らかにするために、図面及び実施例を参照して、本発明をらに詳細に説明する。説明される実施例は、本発明の実施例の一部であり、すべての実施例ではないことが明らかである。本発明における実施例に基づいて得られた他のすべての実施例は、本発明の保護範囲に含まれる。
【0015】
本発明に記載される電気化学装置は特に制限されなく、例えばリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池、マグネシウムイオン電池、スーパーキャパシタなどの、本発明を使用できる任意の電気化学装置であってもよい。説明を簡単にするために、以下、リチウムイオン電池を例として挙げて説明するが、これは本発明の電気化学装置がリチウムイオン電池に限定されることを意味していない。
【0016】
本発明の第1の態様では、電気化学装置を提供する。当該電気化学装置は、第1電極組立体A、第2電極組立体B、及び筐体を含み、各電極組立体が前記筐体におけるそれぞれ独立したキャビティ中に位置して、第1電極組立体Aと第2電極組立体Bの2つの逆極性タブが、包装ケース内で接続されている。前記接続された逆極性タブにおいて、包装ケースから突き出ているタブS1、及び包装ケースから突き出ていないタブS2を有する。
【0017】
本発明は、包装ケースから突き出ているタブは以下の二種の形成方法で形成されることができる。一つは、タブの端部を一体型筐体の縁より低くした後に、ヒートシールを行うことである。もう一つは、タブの端部が二つの分離した筐体の一方の縁より高いが、高い部分が他方の筐体材料で覆われ、二つの外装を一体化にしてパケージすることである。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る電気化学装置の模式図である。そのうち、第1電極組立体Aと第2電極組立体Bは筐体10におけるそれぞれ独立したキャビティ中に位置する。隣接する第1電極組立体Aと第2電極組立体Bは、逆極性タブS1とS2により筐体10内に接続される。互いに接続された逆極性タブS1とS2において、タブS1が筐体10の外側に突き出て、タブS2が筐体から突き出ていない。そして、第1電極組立体Aと第2電極組立体Bはそれぞれ一つのタブ21、22を引き出して、それを正負極端子とする。
【0019】
本発明のある実施形態において、独立した各キャビティは、電極組立体と電解液を含む密封されたキャビティである。電気化学装置の内部短絡及び高電圧下での電解液の分解を回避するために、各キャビティの間でイオン絶縁を実現する。それにより、電気化学装置の充放電性能と使用上の安全性が向上し、電気化学装置の有効な電力出力を保証する。隣接する電極組立体は、二つのタブにより筐体内に接続される。互いに接続された二つのタブのうち、一つのタブが筐体から突き出ている。このようなタブの突き出る方式の設計により、パケージ強度を効果的に最適化し、パケージの信頼性を向上させるとともに、急速に問題がある電気化学セルを検査して故障の原因を見つけるように、単一の電気化学セルの電圧監視を実現することができ、電気化学装置の良品率と生産効率を向上させる。
【0020】
本発明のある実施形態において、タブS1の筐体の外側における長さd1は、1mm≦d1≦100mmを満たし、好ましくは2mm≦d1≦50mmを満たす。
【0021】
本発明のある実施形態において、タブS2の端部と前記タブS1が突き出る筐体の外縁との間の垂直距離d2は、0mm≦d2≦30mmを満たし、好ましくは0mm≦d2≦10mmを満たす。
【0022】
本発明において、d1とd2を上記数値範囲にすることで、タブ領域のパケージ強度を高めることができる。
【0023】
本発明のある実施形態において、前記タブS1の筐体の外側における長さd1、及び前記タブS2の端部と前記タブS1が突き出る筐体の外縁との間の垂直距離d2は、5mm≦d1+d2≦20mmを満たす。d1とd2が上記関係式を満足すると、パケージ強度を最適化し、パケージの信頼性を向上させることができる。
【0024】
本発明のある実施形態において、筐体から突き出ているタブの数は、2<x≦y-1を満たし、ここで、yがタブの合計数である。電気化学装置のx、yが上記関係式を満足すると、パケージ強度を最適化し、パケージの信頼性を向上させることができるとともに、急速に問題がある電気化学セルを検査して故障の原因を見つけるように、電気化学装置における単一の電気化学セルの電圧監視を実現して、電気化学装置の生産の良品率を向上させた。
【0025】
本発明における上記yの具体的な数は、限定されなく、本発明の目的を実現できればよく、当業者は、実際の必要に応じて選択することができる。例えば、y≧4である。
【0026】
本発明のある実施形態において、前記キャビティは隔離板を含む。前記隔離板はイオン絶縁層とパケージ層とを含む。隔離板が配置されることにより、電極組立体の間のイオン遮断を実現でき、内部短絡または電解液の高圧分解による安全問題を避けることができる。それにより、電気化学装置の安全性を向上し、電気化学装置の有効な電力出力を保証する。
【0027】
図2は、本発明の一実施形態に係る電気化学装置の構造の模式図である。図3は、図2における電気化学装置の分解構造の模式図である。図2図3を参照して、電極組立体Aと電極組立体Bとの間は、隔離板40により隔離される。前記隔離板40は筐体10と密封して接続して、前記隔離板40の両側には、互いに独立した密封されたキャビティが形成される。各密封キャビティの間は、イオン絶縁されている。各密封されたキャビティには、電極組立体と電解液を含む。隣接する電極組立体Aと電極組立体Bは、逆極性タブS1、S2により筐体10の密封領域に接続される。電極組立体Bを含む電気化学セルの電圧を監視するために、互いに接続された二つのタブにおいて、タブS1が筐体10の外側に突き出ている。そして、充放電時に接続するために、電極組立体Aと電極組立体Bはそれぞれ一つのタブ21、22を引き出して、正負極端子とする。
【0028】
図4は、本発明の一実施形態における電気化学装置の隔離板の断面構造の模式図である。隔離板40は、イオン絶縁層42とパケージ層41を含む。前記パケージ層41は、イオン絶縁層42と筐体とを密封して接続するためのものである。
【0029】
本発明のある実施形態において、前記パケージ層は、イオン絶縁層の周囲エッジまたはイオン絶縁層の表面全体に位置する。前記パケージ層がイオン絶縁層の周囲エッジに位置すると、パケージ層の塗布幅は特に制限されなく、本発明の目的を実現できればよい。例えば、パケージ材料の塗布量と占有率をできるだけ減らし、非活物質の割合を低減することができる。それにより、電気化学装置のエネルギー密度を向上させる。前記パケージ層がイオン絶縁層の表面全体に位置すると、隔離板の滲水率を有効的に低下することができる。電気化学装置が空气湿度の高い環境で動作すると、隔離板の吸水による電気化学装置の短絡をより効果的に回避でき、これにより安全障害の発生を低減させる。
【0030】
本発明のある実施形態において、前記パケージ層がイオン絶縁層表面の周囲エッジに位置し、イオン絶縁層が導電材料であり、隔離板の両側の電極組立体のうち、隔離板に隣接する少なくとも一つの電極組立体の最外側がセパレータである。
【0031】
本発明のある実施形態において、前記パケージ層がイオン絶縁層表面の周囲エッジに位置し、イオン絶縁層が導電材料である。隔離板の両側の電極組立体における、隔離板と隣接する最外側は、セパレータ、正極集電体、負極集電体、正極活物質、及び負極活物質からなる群から選ばれる一種であってもよい。
【0032】
本発明のある実施形態において、前記パケージ層がイオン絶縁層の表面全体に位置する。隔離板の両側の電極組立体の、隔離板と隣接する最外側は、セパレータ、正極集電体、負極集電体、正極活物質、及び負極活物質からなる群から選ばれる一種であってもよい。
【0033】
本発明において、前記イオン絶縁層の構造は特に制限されなく、本発明の目的を実現できればよい。例えば、前記イオン絶縁層は、単層構造または多層複合構造を有しても良い。
【0034】
本発明のある実施形態において、前記イオン絶縁層の材料は、高分子材料、金属材料、及び炭素材料からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む。
【0035】
前記高分子材料は特に制限されなく、本発明の目的を実現できればよく、当業者にとって、公知な任意の材料を使用することができる。例えば、高分子材料は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレングリコールナフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエチレングリコール、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、ポリフェニレンサルファイド、ポリ酢酸ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメチレンナフタレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンカーボネート、ポリ(フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン)、ポリ(フッ化ビニリデン-co-クロロトリフルオロエチレン)、シリコーン、ビニロン、ポリプロピレン、酸無水物変性ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエーテルニトリル、ポリウレタン、ポリフェニレンエーテル、ポリエステル、ポリスルホン、非晶性ポリアルファオレフィン、及びそれらの誘導体、からなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことができる。
【0036】
前記金属材料は特に制限されなく、当業者にとって公知な任意の材料を使用することができ、本発明の目的を実現できればよい。例えば、前記金属材料は、Ni、Ti、Cu、Ag、Au、Pt、Fe、Co、Cr、W、Mo、Al、Mg、K、Na、Ca、Sr、Ba、Si、Ge、Sb、Pb、In、Zn、ステンレス鋼、及びそれらの組成物及び合金からなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことができる。好ましくは、リチウムイオン電池の環境下で酸化還元耐性の高い金属材料を選ぶことができる。
【0037】
前記炭素材料は、カーボンフェルト、カーボンフィルム、カーボンブラック、アセチレンブラック、フラーレン、導電性黒鉛、及びグラフェンフィルムからなる群から選ばれる少なくとも一種を含む。
【0038】
本発明のある実施形態において、イオン絶縁層は、好ましくは高分子材料を採用する。高分子材料の密度が低いので、非活物質の重量を低減できる。それにより、電極組立体の質量エネルギー密度を向上させることができる。また、イオン絶縁層が高分子材料を採用すると、機械を濫用する場合(釘の貫通、衝撃、押し出しなど)には、破片を生成する確率がより小さく、且つ、機械的に破壊された表面に対する包む効果がより良いので、上記機械を濫用する場合の安全境界が改善され、安全試験の合格率が向上することができる。
【0039】
本発明のある実施形態において、イオン絶縁層は、好ましくは金属材料を採用する。金属材料の隔離信頼性は強く、金属材料の靭性及び緻密性は高分子材料より優れており、加工厚さもより薄くすることができる。イオン絶縁層は好ましくは炭素材料薄膜を採用する場合、その製品の安全性が優れており、特に熱伝導性が良く、高温信頼性が極めて優れている。
【0040】
本発明のある実施形態において、前記パケージ層の材料は特に制限されなく、本発明の目的を実現できればよく、当業者にとって公知な材料を使用することができる。例えば、前記パケージ層の材料は、ポリプロピレン、酸無水物変性ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエーテルニトリル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、非晶性ポリアルファオレフィン、及びそれらの誘導体、からなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことができる。
【0041】
当然に、本発明のパケージ層がイオン絶縁層の表面全体を覆う場合にも、本発明の隔離板はイオン絶縁の機能を有する。簡単にするために、本発明において、隔離板をイオン絶縁層とパケージ層に分けているが、パケージ層がイオン絶縁性を有していないことを意味するものではない。例えば、イオン絶縁層の両側の表面全体がパケージ層により被覆されると、イオン絶縁層はパケージ層と一緒にイオン絶縁の役割を果たす。
【0042】
本発明のある実施形態において、前記隔離板の厚さは2μm~100μmであり、好ましくは5μm~50μmであり、より好ましくは5μm~20μmである。隔離板の厚さが2μmより小さい場合、隔離板の機械的強度が不足である可能性があり、破損しやすくなり、電気化学装置の性能ないし安全性に影響を与える。隔離板の厚さが100μmより大きい場合、導入された非活物質の質量が増大し、電気化学装置のエネルギー密度が低下する。
【0043】
本発明のある実施形態において、パケージ層が密封領域のみに位置すると、隔離板の厚さはイオン絶縁層自身の厚さである。パケージ層がイオン領域全体を覆う場合、隔離板の厚さは、イオン絶縁層の厚さとイオン絶縁層両側のパケージ層の厚さの和である。本発明の目的を実現できれば、イオン絶縁層の両側にあるパケージ層の厚さは同じであっても異なっていてもよい。例えば、イオン絶縁層の両側にあるパケージ層の厚さは同じである。
【0044】
本発明のある実施形態において、イオン絶縁層の材料の融点は165℃以上である。イオン絶縁層の材料の融点が上記範囲にある場合、パケージ層の材料とよりよく熱溶接して密封することができる。
【0045】
本発明のある実施形態において、前記パケージ層の材料の融点は100℃~250℃であり、好ましくは、110℃~180℃であり、より好ましくは、120℃~160℃である。パケージ層に使用される材料の融点が上記の温度範囲にあることは、隔離板と外装との密封接続を実現することに有利である。それにより、得られた電気化学装置は優れたパケージ信頼性及び使用信頼性を有し、隣接する電極組立体の間に優れた接続信頼性も有する。
【0046】
本発明において、隔離板と筐体の密封接続とは、隔離板のパケージ層と筐体の内層が密封接続されることを指す。それにより、前記電気化学装置中にそれぞれ独立した密封キャビティを形成させ、複数の電極組立体の間には、液体直列電池の複数の電極組立体の間のイオン絶縁を実現させ、内部短絡または電解液の高圧分解による安全問題を避け、電気化学装置の安全性を向上させる。
【0047】
本発明のある実施形態において、前記隔離板は、金属双極型集電体及び複合双極型集電体から選ばれる少なくとも一種を含む双極型集電体である。
【0048】
前記金属集電体は、ステンレス鋼、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、金(Ag)、銅(Au)、白金(Pt)の双極型集電体からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む。前記複合双極型集電体は、銅アルミ複合集電体及び高分子―金属複合集電体からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む。
【0049】
本発明において、前記電極組立体の種類は特に制限されなく、例えば、巻回構造及び積層構造のうちの少なくとも一種を含むことができる。
【0050】
本発明のある実施形態において、前記電極組立体の構造は巻回構造であり、電極組立体は正極片と負極片から少なくとも一つの正極タブと少なくとも一つの負極タブをそれぞれ引き出す。
【0051】
本発明のある実施形態において、前記電極組立体の構造は積層構造であり、電極組立体は複数のタブを含む。各層の正極片と負極片から一つの正極タブと一つの負極タブをそれぞれ引き出すことができる。最終的に、一つの積層構造の電極組立体は複数組の正極タブと負極タブを含み、そして、溶接アダプタにより金属片にそれぞれ溶接して、正負極のタブを引き出す。
【0052】
本発明のある実施形態において、前記電極組立体の構造は、二つ以上の巻回構造を並列接続する構造である。二つ以上の巻回構造は複数組の正極タブと負極タブを含み、そして、溶接アダプタにより金属片にそれぞれ溶接して、正負極のタブを引き出す。
【0053】
本発明のある実施形態において、前記電極組立体の構造は、巻回構造と積層構造を並列接続する構造であり、巻回構造と積層構造とは複数組の正極タブと負極タブを含み、そして、溶接アダプタにより金属片にそれぞれ溶接して正負極のタブを引き出す。
【0054】
本発明において、上記の「タブ」とは、一般に、正極片または負極片から引き出された金属導体であり、電気化学装置の他の部分を直列接続または並列接続するために用いられる。正極タブは正極片から引き出し、負極タブは負極片から引き出す。
【0055】
本発明のある実施形態において、前記正極タブの材料は、アルミニウム(Al)及びアルミニウム合金のうちの少なくとも一種を含む。上記材料で作られたタブは、極めて優れた成型加工特性、高い耐腐食性、良好な溶接性、及び導電性などの利点がある。前記負極タブの材料は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)及びニッケルめっき銅(Ni-Cu)から選ばれる少なくとも一種を含む。上記材料で作られたタブは、良好な導電性と熱伝導性、延伸性、加工性能、及び溶接性能などを備えている。
【0056】
本発明において、タブに対する溶接方式は特に限定されなく、本発明の目的を実現できればよい。例えば、溶接方式は、レーザ溶接、超音波溶接、及び抵抗溶接などからなる群から選ばれる少なくとも一種である。
【0057】
本発明において、前記タブの引き出す方向は特に限定されなく、本発明の目的を実現できればよい。例えば、タブの引き出す方向は同方向または異方向であってもよい。
【0058】
本発明のある実施形態において、電気化学装置は、またn個の第3電極組立体Cnを含み、nはn≧1の整数である。
【0059】
本発明のある実施形態において、前記第3電極組立体Cnの接続方式は、第1電極組立体Aとの直列または並列な接続、第2電極組立体Bとの直列または並列な接続、及び第1電極組立体Aと第2電極組立体Bを含む直列部との並列な接続、からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む。
【0060】
本発明のある実施形態において、前記第3電極組立体Cnには、少なくとも二つの電極組立体が直列、並列、及び直列と並列を組み合わせる方式によって接続されて形成する電極組立体組Dを含む。
【0061】
本発明のある実施形態において、前記電極組立体組Dの接続方式は、第1電極組立体Aとの直列または並列な接続、第2電極組立体Bとの直列または並列な接続、及び第1電極組立体Aと第2電極組立体Bを含む直列部との並列な接続、からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む。
【0062】
図5は、本発明の一実施形態を示す。そのうち、電気化学装置はまた二つの第3電極組立体C1とC2とを含む。第3電極組立体C1と第3電極組立体C2は、正極タブ27、29を接続し、負極タブ28、20を接続することにより、並列接続を実現して、電極組立体組Dが形成される。第1電極組立体Aの負極タブ24と第2電極組立体Bの正極タブ25とを接続して、直列接続を形成する。互いに接続された二つのタブにおける正極タブ25は、筐体10の外側に突き出て、負極タブ24は筐体10から突き出ていない。電極組立体Dは、直列接続された第1電極組立体Aと第2電極組立体Bとの一側に位置し、第2電極組立体Bと隣接する。そのうち、第2電極組立体Bの負極タブ26は第3電極組立体C1の正極タブ27とを接続して、直列接続を形成する。互いに接続された二つのタブにおける負極タブ26は、筐体10の外側に突き出て、正極タブ27は筐体10から突き出ていない。正負極端子として、第1電極組立体Aの正極タブ23と第3電極組立体C2の負極タブ20は、筐体10の外側に突き出ている。同じ極性を有するタブを並列接続することは、電気化学装置の内部抵抗を低減し、より高い電流を提供することができる。異なる極性を有するタブを直列接続することは、電気化学装置の出力電圧を高めることができる。
【0063】
本発明のある実施形態において、前記直列接続された二つのタブのうち、一つだけが筐体から突き出て、もう一つが筐体の内部に位置する。そのようなタブの接続構造の設計によって、パケージ強度を最適化し、パケージの信頼性を向上させるとともに、急速に問題がある電極組立体を検査して故障の原因を見つけるように、単一の電気化学セルの電圧監視を実現することもできる。
【0064】
本発明のある実施形態において、筐体から突き出ているタブの数xは、2<x≦n+3を満たす。電気化学装置のxが上記関係式を満足すると、パケージ強度を有効的に最適化し、パケージの信頼性を向上させるとともに、急速に問題がある電極組立体を検査して故障の原因を見つけるように、電気化学装置における単一の電気化学セルの電圧監視を実現して、電気化学装置の良品率を向上させることができる。
【0065】
本発明において、筐体は、特に制限されなく、本発明の目的を実現できればよい。例えば、前記筐体は、アルミプラスチックフィルム、アルミケース、スチールケース、及びプラスチックケースからなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことができる。
【0066】
本発明において、筐体の厚さは、特に制限されなく、本発明の目的を実現できればよい。例えば、筐体の厚さは、60μm~500μmであり、好ましくは60μm~300μmであり、より好ましくは60μm~200μmである。上記の厚さを有する筐体は電気化学装置の内部構造を効果的に保護することができる。
【0067】
本発明のある実施形態において、電極組立体は、セパレータ、正極片および負極片を含むことができる。前記セパレータは、正極片と負極片を隔離するために用いられ、電気化学装置の内部の短絡を防止し、電解質イオンを自由に通過させ、電気化学の充放電プロセスを実行する役割を果たす。本発明における、セパレータ、正極片および負極片の数は、特に制限されなく、本発明の目的を実現できればよい。
【0068】
本発明のある実施形態において、セパレータは、特に制限されなく、本発明の目的を実現できればよく、本分野で公知な任意のセパレータを用いることできる。例えば、セパレータは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)を主とするポリオレフィン(PO)類のセパレータ、ポリエステル膜(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)膜)、セルロース膜、ポリイミド膜(PI)、ポリアミド膜(PA)、スパンデックスまたはアラミド膜、製織膜、非製織膜(不織布)、微多孔膜、複合膜、セパレータ紙、ラミネート膜、絹紡績膜等からなる群から選ばれる少なくとも一種である。
【0069】
例えば、セパレータは、基材層と表面処理層を含むことができる。基材層は、多孔質構造を持つ不織布、膜または複合膜であってもよい。基材層の材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、及びポリイミドなどからなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことができる。任意に、ポリプロピレン多孔質膜、ポリエチレン多孔質膜、ポリプロピレン不織布、ポリエチレン不織布またはポリプロピレン-ポリエチレン-ポリプロピレン多孔質複合膜が用いられることできる。任意に、基材層の少なくとも一つの表面に表面処理層が設けられている。表面処理層は重合体層または無機物層であってもよく、重合体と無機物を混合してなる層であってもよい。
【0070】
例えば、無機物層は、無機粒子とバインダーを含む。前記無機粒子は、特に制限されなく、例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化チタン、二酸化ハフニウム、酸化スズ、酸化セリウム、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、炭化ケイ素、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、および硫酸バリウムなどからなる群から選ばれる少なくとも一種であってもよい。前記バインダーは特に制限されなく、例えば、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、およびポリヘキサフルオロプロピレンからなる群から選ばれる一種または多種の組合わせであってもよい。重合体層は重合体を含み、重合体の材料はポリアミド、ポリアクリロニトリル、アクリレートの重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリフッ化ビニリデン、及びポリ(フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン)などからなる群から選ばれる少なくとも一種を含む。
【0071】
本発明のある実施形態において、正極片は特に制限されなく、本発明の目的を実現できればよい。例えば、前記正極片は通常、正極集電体と正極活物質を含む。本発明において、前記正極集電体は特に制限されなく、本分野で公知の任意の正極集電体、たとえば、銅箔、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔、及び複合集電体などであってもよい。前記正極活物質の材料は特に制限されなく、先行技術における任意の正極活物質であってもよい。前記正極活物質は、たとえば、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム、リチウムニッケルコバルトアルミネート、リン酸鉄リチウム、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム及びリン酸マンガン鉄リチウムなどからなる群から選ばれる少なくとも一種を含む。本発明において、正極集電体と正極活物質との厚さは特に制限されなく、本発明の目的を実現できればよい。例えば、正極集電体の厚さが8μm~12μmであり、正極活物質の厚さが30μm~120μmである。
【0072】
任意に、前記正極片は、正極集電体と正極活物質層との間に位置する導電層をさらに含むことができる。前記導電層の構成は特に制限されなく、本分野でよく使われている導電層であってもよい。前記導電層は導電剤と接着剤とを含む。
【0073】
本発明のある実施形態において、負極片は特に制限されなく、本発明の目的を実現できればよい。たとえば、前記負極片は通常、負極集電体と負極活物質を含む。本発明において、前記負極集電体は特に制限されなく、本分野で公知の任意の負極集電体、たとえば、銅箔、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔、及び複合集電体などが用いられることができる。前記負極活物質の材料は特に制限されなく、本分野で公知な任意の負極活物質を用いてもよい。例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ、シリコン、シリコンカーバイド、シリコン酸素化合物、ソフトカーボン、ハードカーボン、チタン酸リチウム、及びチタン酸ニオブなどからなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことができる。本発明において、負極集電体と負極活物質との厚さは特に制限されなく、本発明の目的を実現できればよい。例えば、負極集電体の厚さが6μm~10μmであり、負極活物質の厚さが30μm~120μmである。
【0074】
任意に、前記負極片は、負極集電体と負極活物質層との間に位置する導電層をさらに含むことができる。前記導電層の構成は特に制限されなく、本分野でよく使われている導電層であってもよい。前記導電層は導電剤と接着剤とを含む。
【0075】
上記導電剤は特に制限されなく、本分野で公知な任意の導電剤を用いることでき、本発明の目的を実現できればよい。例えば、導電剤は、導電性カーボンブラック(Super P)、カーボンナノチューブ(CNTs)、カーボンファイバー、及びグラフェンなどからなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことができる。上記接着剤は特に制限されなく、本分野で公知の任意の接着剤を用いることができ、本発明の目的を実現できればよい。例えば、接着剤は、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、及びカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)などからなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことができる。例えば、接着剤はスチレンブタジエンゴム(SBR)を使用することができる。
【0076】
本発明において、電解液は特に制限されなく、当業者にとって公知な電解液を採用することができる。例えば、前記電解液はゲル状態、固体状態及び液体状態からなる群から選ばれる任意一種である。例えば、前記電解液はリチウム塩と非水溶媒を含む。
【0077】
前記リチウム塩は特に制限されなく、本分野で公知な任意のリチウム塩を用いることでき、本発明の目的を実現できればよい。例えば、リチウム塩はLiPF、LiBF、LiAsF、LiClO、LiB(C、LiCHSO、LiCFSO、LiN(SOCF、LiC(SOCF及びLiPOなどからなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことができる。例えば、リチウム塩はLiPFが使用されることができる。
【0078】
前記非水溶媒は特に制限されなく、本発明の目的を実現できればよい。例えば、非水溶媒は炭酸エステル化合物、カルボン酸エステル化合物、エーテル化合物、ニトリル化合物、及びその他の有機溶媒などからなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことができる。
【0079】
例えば、炭酸エステル化合物は、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、1,2-ジフルオロエチレンカーボネート、1,1-ジフルオロエチレンカーボネート、1,1,2-トリフルオロエチレンカーボネート、1,1,2,2-テトラフルオロエチレンカーボネート、1-フルオロ-2-メチルエチレンカーボネート、1-フルオロ-1-メチルエチレンカーボネート、1,2-ジフルオロ-1-メチルエチレンカーボネート、1,1,2-トリフルオロ-2-メチルエチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネートなどからなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことができる。
【0080】
本発明における隔離板と筐体との密封接続方式は、特に制限されなく、本発明の目的を実現できればよい。例えば、密封方式は、ホットプレス、接着剤シール、及び溶接のうちの一種を含む。本発明において、前記ホットプレスの条件は特に制限されなく、本発明の目的を実現できればよい。例えば、内層材料であるポリプロピレンについて、ホットプレスの温度は150℃~220℃であり、ホットプレスの圧力は0.1MPa~0.6MPaである。
【0081】
本発明の第2の態様では、本発明の第1の態様によって提供される電気化学装置を含む電子装置を提供する。
【0082】
本発明に係る電子装置は、本分野の一般的な電子装置、例えば、ノートパソコン、ペン入力型コンピューター、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯型ファクシミリ、携帯型コピー機、携帯型プリンター、ステレオヘッドセット、ビデオレコーダー、液晶テレビ、ポータブルクリーナー、携帯型CDプレーヤー、ミニCD、トランシーバー、電子ノートブック、計算機、メモリーカード、ポータブルテープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、モーター、自動車、オートバイ、補助自転車、自転車、照明器具、おもちゃ、ゲーム機、時計、電動工具、閃光灯、カメラ、大型家庭用ストレージバッテリー及びリチウムイオンコンデンサーなどを含む。
【0083】
本分野で使用される用語は、一般的に当業者にとって慣用の用語であるが、慣用の用語と一致しない場合は、本明細書の用語を基準とする。
【0084】
測定方法:
0.1C放電エネルギー密度:
電気化学装置を常温で30分間静置し、0.05Cの充電速度で4.4×N V(Nは直列接続された電極組立体の数である)の電圧まで定電流で充電する。その後、0.05Cの倍率で電気化学装置を3.0×N Vまで放電する。上記の充/放電ステップを3サイクル繰り返して、測定対象とする電気化学装置の化成が完了された。電気化学装置の化成が完了された後、0.1Cの充電速度で4.4×N Vの電圧まで定電流で充電する。その後、0.1Cの放電倍率で電気化学装置を3.0×N Vまで放電する。その放電容量を記録して、0.1C放電時のエネルギー密度を算出する。
エネルギー密度(Wh/L)=放電容量(Wh)/電気化学装置体積サイズ(L)
【0085】
タブ領域のパケージ強度:
隔離板と筐体をパケージした後、平らな部分を取って、幅8mmのサンプルに裁断する。張力計でサンプルの一端の隔離板を締めて、他端を張力計の他のクリップで締める。隔離板と筐体が完全に分離されるまで、20mm/minの延伸速度で両側に引っ張る。引張力値として過程中のピーク値を記録する。
【0086】
良品率:
良品率(%)=生産された合格のリチウムイオン電池の数(個)/生産されたリチウムイオン電池の合計数(個)。
【0087】
直列接続部の折り曲げによる故障:
電極組立体を直列接続するタブに対して、折り曲げ実験を行い、電気化学装置が遮断されるかどうかを測定し、遮断された場合は、故障と判定する。
【0088】
以下、本発明の実施形態について、実施例および比較例を挙げてより具体的に説明する。各種の試験及び評価は下記の方法で行われる。なお、特に断らない限り、「%」、「部」は質量基準である。
【0089】
実施例1
<負極片の調製>
負極活物質である黒鉛(Graphite)、導電性カーボンブラック(Super P)、スチレンブタジエンゴム(SBR))を重量比96:1.5:2.5で混合し、脱イオン水を溶媒として加入して、固形分70%のスラリーに調節し、均一に撹拌した。厚さ8μmの負極集電体である銅箔の一面に、スラリーを均一に塗布し、110℃で乾燥させ、片面に負極活物質を塗布した負極片であって、塗布層の厚さが130μmである負極片を得た。以上のプロセスが完了すると、負極片の片面塗布が完了した。その後、当該負極片の他面に上記のプロセスを繰り返し、両面に負極活物質を塗布した負極片が得られた。塗布を完了した後、極片を41mm×61mmのサイズに裁断した。
【0090】
<正極片の調製>
正極活物質であるコバルト酸リチウム(LiCoO)、導電性カーボンブラック(Super P)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を重量比97.5:1.0:1.5で混合し、N-メチルピロリドン(NMP)を溶媒として加入して、固形分75%のスラリーに調節し、均一に撹拌した。厚さ10μmの正極集電体であるアルミニウム箔の一面に、スラリーを均一に塗布し、90℃で乾燥させ、塗布層の厚さが110μmである正極片を得た。以上のプロセスが完了すると、正極片の片面塗布が完了した。その後、当該正極片の他面に上記のプロセスを繰り返し、両面に正極活物質を塗布した正極片が得られる。塗布を完了した後、極片を38mm×58mmのサイズに裁断した。
【0091】
<電解液の調製>
乾燥なアルゴン雰囲気において、まず、有機溶媒である、エチレンカーボネート(EC)、メチルエチルカーボネート(EMC)、及びジエチルカーボネート(DEC))を質量比EC:EMC:DEC=30:50:20で混合した。そして、有機溶媒中にリチウム塩であるヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)を加入して均一に混合した。リチウム塩の濃度が1.15ml/Lである電解液を得た。
【0092】
<電極組立体の調製>
上記のように調整された正極片と負極片との間に15μmのPPセパレータを置き、積層した後に、得られた積層体の4つの角を固定して、積層型電極組立体を形成した。そのうち、正極片と負極片の積層数はそれぞれ13と14である。
【0093】
<隔離板の調製>
パケージ層の材料PPが分散剤であるN-メチルピロリドン(NMP)に均一に分散され、パケージ層の懸濁液を得た。塗布装置を利用して、厚さ10μmのイオン絶縁層であるポリイミド(PI)膜の両側にパケージ層の材料PPをそれぞれ塗布した。130℃で、パケージ層の懸濁液における分散剤であるNMPを乾燥させ、隔離板の調製を完了した。上記隔離板の合計の厚さが15μmであり、イオン絶縁層PIの融点が334℃であり、パケージ層PPの融点が150℃である。
【0094】
<リチウムイオン電池の調製>
パンチング成形(Scouring-pit forming)された筐体(厚さが150μmのアルミプラスチックフィルム)を組立治具内に設置して、ピットの凹面を上に向けて、一つの電極組立体(以下、電極組立体Aという)をピット内に設置した。電極組立体Aから一つのAl正極タブと一つのNi負極タブとを引き出した。
【0095】
そして、隔離板を電極組立体A上に配置して、電極組立体Aと接触させ、外力を印加して押し固めた。
【0096】
隔離板の上に電極組立体(以下、電極組立体Bという)を配置して、隔離板と接触させ、外力を印加して押し固めた。電極組立体Bから、一つのAl正極タブと一つのNi負極タブとを引き出した。
【0097】
その後、電極組立体Aの負極タブと電極組立体Bの正極タブをレーザ溶接によって溶接して、両方を直列接続させた。
【0098】
そして、電極組立体Aの正極タブと負極タブ、および電極組立体Bの負極タブを筐体から突き出て、上記タブの筐体の外側における長さd1は8mmであった。電極組立体Bの正極タブを筐体内に保持して、当該タブの端部と筐体の外縁との垂直距離d2は10mmであった。
【0099】
そして、もう一つの筐体(厚さが150μmのアルミプラスチックフィルム)を、ピットの凹面を下に向けるように電極組立体Bの上に被覆した。液体注入口側を除いて、筐体の他の位置をヒートシールし、組み立てられた電極を得た。そのうち、隔離板の両側にはそれぞれ独立した二つのキャビティが形成されていた。ヒートシールの温度が180℃であり、ヒートシールの圧力が0.5MPaであった。
【0100】
組み立てられた電極組立体の二つのキャビティに、電解液をそれぞれ注入して、注入した後にシールを行った。
【0101】
充放電のプロセス中、電極組立体Aの正極タブと電極組立体Bの負極タブを接続するだけでよい。
【0102】
実施例2
表1に示すように、隔離板の厚さが2μmであること以外は、実施例1と同じである。
【0103】
実施例3
表1に示すように、隔離板の厚さが5μmであること以外は、実施例1と同じである。
【0104】
実施例4
表1に示すように、隔離板の厚さが20μmであること以外は、実施例1と同じである。
【0105】
実施例5
表1に示すように、隔離板の厚さが50μmであること以外は、実施例1と同じである。
【0106】
実施例6
表1に示すように、隔離板の厚さが100μmであること以外は、実施例1と同じである。
【0107】
実施例7
表1に示すように、隔離板のパケージ層の材料がポリスチレンであり、当該材料の融点が240℃であること以外は、実施例1と同じである。
【0108】
実施例8
表1に示すように、隔離板のパケージ層の材料がPEであり、当該材料の融点が120℃であること以外は、実施例1と同じである。
【0109】
実施例9
表1に示すように、隔離板のイオン絶縁層の材料がAlであり、当該材料の融点が660℃であること以外は、実施例1と同じである。
【0110】
実施例10
表1に示すように、隔離板のイオン絶縁層材料が炭素層であり、当該材料の融点が3500℃であること以外は、実施例1と同じである。
【0111】
実施例11
表1に示すように、隔離板のイオン絶縁層の材料がステンレス鋼であり、当該材料の融点が1440℃であること以外は、実施例1と同じである。
【0112】
実施例12
表1に示すように、隔離板のイオン絶縁層の材料がPPであり、当該材料の融点が165℃であること以外は、実施例1と同じである。
【0113】
実施例13
表1に示すように、隔離板のイオン絶縁層の材料がCu-Al複合集電体であり、当該材料の融点が550℃であること以外は、実施例1と同じである。
【0114】
実施例14
<負極片の調製>、<正極片の調製>、<電解液の調製>、<電極組立体の調製>項は、実施例1と同じである。
【0115】
<隔離板の調製>
ステンレス鋼基板上にPET材料をスプレーして、PET層が得られた。PET層を加熱して軟化させ、導電材料Cuを注入した。その後、PET材料を再度スプレーしてPETフィルムを形成した。得られたPETフィルムを過熱圧延して、スクレーパーでステンレス鋼基板の表面からPETフィルムを取り外した。巻き取って、PETとCuを復合してなる高分子?金属複合集電体が得られ、当該集電体の厚さが10μmである。
【0116】
パケージ層の材料PPを分散剤であるN-メチルピロリドン(NMP)中に均一に分散して、パケージ層の懸濁液を得た。塗布装置を利用して、得られた高分子?金属複合集電体の両側にパケージ層の材料PPをそれぞれ塗布した。130℃で、パケージ層の懸濁液中の分散剤であるNMPを乾燥させ、隔離板の調製を完了した。上記隔離板の合計の厚さが15μmであり、高分子?金属複合集電体の融点が260℃であり、パケージ層PPの融点が150℃である。
【0117】
<リチウムイオン電池の調製>
表1に示すように、上記のように調製された隔離板を使用すること以外は、実施例1と同じである。
【0118】
実施例15
表1に示すように、正極タブの材料がアルミニウム合金であること以外は、実施例1と同じである。
【0119】
実施例16
表1に示すように、負極タブの材料がNi-Cuであること以外は、実施例1と同じである。
【0120】
実施例17
表1に示すように、アルミプラスチックフィルムの厚さが60μmであること以外は、実施例1と同じである。
【0121】
実施例18
表1に示すように、アルミプラスチックフィルムの厚さが500μmであること以外は、実施例1と同じである。
【0122】
実施例19
リチウムイオン電池の調製過程が実施例1と異なること以外は、実施例1と同じである。
【0123】
<リチウムイオン電池の製造>
パンチング成形された筐体(厚さが150μmのアルミプラスチックフィルム)を組立治具内に設置して、ピットの凹面を上に向けて、一つの電極組立体(以下、電極組立体Aという)をピットに設置した。電極組立体Aから、一つのAl正極タブと一つのNi負極タブとを引き出した。
【0124】
そして、隔離板(以下、隔離板aという)を電極組立体A上に配置して、電極組立体Aと接触させ、外力を印加して押し固めた。
【0125】
隔離板aの上に電極組立体(以下、電極組立体C1という)一つを配置して、隔離板aと接触させ、外力を印加して押し固めた。電極組立体C1から、一つのAl正極タブと一つのNi負極タブとを引き出した。
【0126】
そして、隔離板(以下、隔離板bという)を電極組立体C1上に配置して、電極組立体C1と接触させ、外力を印加して押し固めた。
【0127】
隔離板b上に電極組立体(以下、電極組立体C2という)一つを配置して、隔離板bと接触させ、外力を印加して押し固めた。電極組立体C2から、一つのAl正極タブと一つのNi負極タブとを引き出した。
【0128】
そして、隔離板(以下、隔離板cという)を電極組立体C2上に配置して、電極組立体C2と接触させ、外力を印加して押し固めた。
【0129】
隔離板c上に電極組立体(以下、電極組立体Bという)一つを配置して、隔離板cと接触させ、外力を印加して押し固めた。電極組立体Bから、一つのAl正極タブと一つのNi負極タブとを引き出した。
【0130】
そして、電極組立体Aの負極タブと電極組立体C1の正極タブをレーザ溶接によって溶接して、両方を直列接続させた。電極組立体C1の負極タブと電極組立体C2の正極タブをレーザ溶接によって溶接して、両方を直列接続させた。電極組立体C2の負極タブと電極組立体Bの正極タブをレーザ溶接によって溶接して、両方を直列接続させた。
【0131】
そして、電極組立体Aの正極タブと負極タブ、電極組立体C1の負極タブ、電極組立体C2の負極タブ、および電極組立体Bの負極タブを筐体から突き出た。そのうち、上記タブの筐体の外側における長さd1は8mmである。電極組立体C1の正極タブ、電極組立体C2の正極タブ及び電極組立体Bの正極タブを筐体内に保持して、そのうち、上記タブの端部と筐体の外縁との垂直距離d2は10mmであった。
【0132】
そして、もう一つの筐体(厚さが150μmのアルミプラスチックフィルム)を、ピットの凹面を下に向けるように電極組立体B上に被覆した。液体注入口側を除いて、筐体の他の位置をヒートシールし、組み立てられた電極を得た。そのうち、隔離板の両側にはそれぞれ独立した四つのキャビティが形成されていた。ヒートシールの温度が180℃であり、ヒートシールの圧力が0.5MPaであった。
【0133】
組み立てられた電極組立体の四つのキャビティに、電解液をそれぞれ注入して、注入した後にシールを行った。
【0134】
充放電のプロセス中、電極組立体Aの正極タブと電極組立体Bの負極タブを接続するだけでよい。
【0135】
実施例20
リチウムイオン電池の製造過程が実施例1と異なること以外は、実施例1と同じである。
【0136】
<リチウムイオン電池の製造>
パンチング成形された筐体(厚さが150μmのアルミプラスチックフィルム)を組立治具内に設置して、ピットの凹面を上に向けていて、一つの電極組立体(以下、電極組立体Aという)をピットに設置する。電極組立体Aから、一つのAl正極タブと一つのNi負極タブとを引き出した。
【0137】
そして、隔離板(以下、隔離板aという)を電極組立体A上に配置して、電極組立体Aと接触させ、外力を印加して押し固めた。
【0138】
隔離板a上に電極組立体(以下、電極組立体C1という)一つを配置して、隔離板aと接触させ、外力を印加して押し固めた。電極組立体C1から、一つのAl正極タブと一つのNi負極タブとを引き出した。
【0139】
そして、隔離板(以下、隔離板bという)を電極組立体C1上に配置して、電極組立体C1と接触させ、外力を印加して押し固めた。
【0140】
隔離板b上に電極組立体(以下、電極組立体C2という)一つを配置して、隔離板bと接触させ、外力を印加して押し固めた。電極組立体C2から、一つのAl正極タブと一つのNi負極タブとを引き出した。
【0141】
そして、隔離板(以下、隔離板cという)を電極組立体C2上に配置して、電極組立体C2と接触させ、外力を印加して押し固めた。
【0142】
隔離板c上に電極組立体(以下、電極組立体Bという)一つを配置して、隔離板cと接触させ、外力を印加して押し固めた。電極組立体Bから、一つのAl正極タブと一つのNi負極タブとを引き出した。
【0143】
そして、電極組立体Aの負極タブと電極組立体C1の正極タブをレーザ溶接によって溶接して、両方を直列接続させた。電極組立体C1の負極タブと電極組立体C2の正極タブをレーザ溶接によって溶接して、両方を直列接続させた。電極組立体C2の負極タブと電極組立体Bの正極タブをレーザ溶接によって溶接して、両方を直列接続させた。
【0144】
そして、電極組立体Aの正極タブと負極タブ、電極組立体C1の負極タブ、電極組立体C2の負極タブ、および電極組立体Bの正極タブと負極タブを筐体から突き出た。そのうち、上記タブの筐体の外側における長さd1は8mmであった。電極組立体C1の正極タブと電極組立体C2の正極タブを筐体内に保持して、そのうち、当該タブの端部と筐体の外縁との垂直距離d2は10mmであった。
【0145】
そして、もう一つの筐体(厚さが150μmのアルミプラスチックフィルム)を、ピットの凹面を下に向けるように電極組立体B上に被覆した。液体注入口側を除いて、筐体の他の位置をヒートシールし、組み立てられた電極を得た。そのうち、隔離板の両側にはそれぞれ独立した四つのキャビティが形成されていた。そのうち、ヒートシールの温度が180℃であり、ヒートシールの圧力が0.5MPaであった。
【0146】
組み立てられた電極組立体の四つのキャビティに、電解液をそれぞれ注入して、注入した後にシールを行った。
【0147】
充放電のプロセス中、電極組立体Aの正極タブと電極組立体Bの負極タブを接続するだけでよい。
【0148】
実施例21
表1に示すように、筐体から突き出たタブが筐体の外側における長さd1が100mmであること以外は、実施例1と同じである。
【0149】
実施例22
表1に示すように、筐体から突き出たタブが筐体の外側における長さd1が50mmであること以外は、実施例1と同じである。
【0150】
実施例23
表1に示すように、筐体から突き出たタブが筐体の外側における長さd1が2mmであること以外は、実施例1と同じである。
【0151】
実施例24
表1に示すように、筐体から突き出たタブが筐体の外側における長さd1が1mmであること以外は、実施例1と同じである。
【0152】
実施例25
表1に示すように、筐体から突き出ていないタブの端部と筐体の外縁との垂直距離d2が30mmであること以外は、実施例1と同じである。
【0153】
実施例26
表1に示すように、筐体から突き出ていないタブの端部と筐体の外縁との垂直距離d2が20mmであること以外は、実施例1と同じである。
【0154】
実施例27
表1に示すように、筐体から突き出ていないタブの端部と筐体の外縁との垂直距離d2が5mmであること以外は、実施例1と同じである。
【0155】
実施例28
リチウムイオン電池の調製過程が実施例1と異なること以外は、実施例1と同じである。
【0156】
<リチウムイオン電池の調製>
パンチング成形された筐体(厚さが150μmのアルミプラスチックフィルム)を組立治具内に設置して、ピットの凹面を上に向けていて、一つの電極組立体(以下、電極組立体Aという)をピットに設置する。電極組立体Aから、一つのAl正極タブと一つのNi負極タブとを引き出した。そのうち、正極タブと負極タブを反対方向に引き出した。
【0157】
そして、隔離板を電極組立体A上に配置して、電極組立体Aと接触させ、外力を印加して押し固めた。
【0158】
隔離板上に電極組立体(以下、電極組立体Bという)一つを配置して、隔離板と接触させ、外力を印加して押し固めた。電極組立体Bから、一つのAl正極タブと一つのNi負極タブとを引き出した。そのうち、正極タブと負極タブを反対方向に引き出し、正極タブと電極組立体Aの負極タブを同一方向に引き出し、負極タブと電極組立体Aの正極タブを同一方向に引き出した。
【0159】
そして、電極組立体Aの負極タブと電極組立体Bの正極タブをレーザ溶接によって溶接して、両方を直列接続させた。
【0160】
そして、電極組立体Aの正極タブと負極タブ、および電極組立体Bの負極タブを筐体から伸びさせて、そのうち、上記タブの筐体の外側における長さd1は8mmである。電極組立体Bの正極タブを筐体内に保持して、そのうち、当該タブの端部と筐体の外縁との垂直距離d2は10mmである。
【0161】
そして、もう一つの筐体(厚さが150μmのアルミプラスチックフィルム)を、ピットの凹面を下に向けるように電極組立体B上に被覆した。液体注入口側を除いて、筐体の他の位置をヒートシールし、組み立てられた電極を得た。そのうち、隔離板の両側にはそれぞれ独立した二つのキャビティが形成されていた。そのうち、ヒートシールの温度が180℃であり、ヒートシールの圧力が0.5MPaである。
【0162】
組み立てられた電極組立体の二つのキャビティに、電解液をそれぞれ注入して、注入した後にシールを行った。
【0163】
充放電のプロセス中、電極組立体Aの正極タブと電極組立体Bの負極タブを接続するだけでよい。
【0164】
実施例29
<負極片の調製>
負極片を465mm×92mmのサイズに裁断すること以外は、実施例1と同じである。
【0165】
<正極片の調製>
正極片を480mm×90mmのサイズに裁断すること以外は、実施例1と同じである。
【0166】
<電解液の調製>
実施例1と同じである。
【0167】
<電極組立体の調製>
上記の工程から得られる正極片、負極片、および15μmのPPセパレータを、正極片、セパレータ、負極片という順に積み重ねて、セパレータを正極片と負極片との間に位置して分離の役割を果たし、巻き取って巻回型電極組立体が得られた。
【0168】
<隔離板の調製>
実施例1と同じである。
【0169】
<リチウムイオン電池の調製>
電極組立体が上記巻回型電極組立体とすること以外は、実施例1と同じである。
【0170】
実施例30
表1に示すように、筐体から突き出たタブが筐体の外側における長さd1が10mmであり、筐体から突き出ていないタブの端部と筐体の外縁との垂直距離d2が8mmであること以外は、実施例1と同じである。
【0171】
実施例31
表1に示すように、筐体から突き出たタブが筐体の外側における長さd1が2mmであり、筐体から突き出ていないタブの端部と筐体の外縁との垂直距離d2が3mmであること以外は、実施例1と同じである。
【0172】
実施例32
表1に示すように、筐体から突き出たタブが筐体の外側における長さd1が14mmであり、筐体から伸びていないタブの端部と筐体の外縁との垂直距離d2が6mmであること以外は、実施例1と同じである。
【0173】
実施例1~32のデータと測定結果を表1に示す。
【0174】
比較例1
<負極片の調製>、<正極片の調製>、<電解液の調製>、<電極組立体の調製>項は、実施例1と同じである。
【0175】
<リチウムイオン電池の調製>
パンチング成形された筐体(厚さが150μmのアルミプラスチックフィルム)を組立治具内に設置して、ピットの凹面を上に向けていて、一つの電極組立体(以下、電極組立体Aという)をピットに設置した。電極組立体Aから、一つのAl正極タブと一つのNi負極タブとを引き出した。
【0176】
電極組立体A上に電極組立体(以下、電極組立体Bという)一つを配置して、電極組立体Aと接触させ、外力を印加して押し固めた。電極組立体Bから、一つのAl正極タブと一つのNi負極タブとを引き出した。
【0177】
電極組立体Aの負極タブと電極組立体Bの正極タブをレーザ溶接によって溶接して、両方を直列接続させた。
【0178】
そして、電極組立体Aの正極タブと負極タブ、および電極組立体Bの正極タブと負極タブを一緒に筐体から突き出た。上記タブがずらして分布し、そのうち、上記タブの端部と筐体の外縁との垂直距離d1が8mmであった。
【0179】
そして、もう一つの筐体(厚さが150μmのアルミプラスチックフィルム)を、ピットの凹面を下に向けるように電極組立体B上に被覆した。液体注入口側を除いて、筐体の他の位置をヒートシールし、組み立てられた電極を得た。そのうち、ヒートシールの温度が180℃であり、ヒートシールの圧力が0.5MPaであった。
【0180】
組み立てられた電極組立体内に電解液をそれぞれ注入して、注入した後にシールを行った。
【0181】
充放電のプロセス中、電極組立体Aの正極タブと電極組立体Bの負極タブを接続するだけでよい。
【0182】
比較例2
<負極片の調製>、<正極片の調製>、<電解液の調製>、<電極組立体の調製>項は、実施例1と同じである。
【0183】
<リチウムイオン電池の調製>
パンチング成形された筐体(厚さが150μmのアルミプラスチックフィルム)を組立治具内に設置して、ピットの凹面を上に向けていて、一つの電極組立体(以下、電極組立体Aという)をピットに設置した。電極組立体Aから、一つのAl正極タブと一つのNi負極タブとを引き出した。
【0184】
そして、隔離板を電極組立体A上に配置して、電極組立体Aと接触させ、外力を印加して押し固めた。
【0185】
隔離板上に電極組立体(以下、電極組立体Bという)一つを配置して、隔離板と接触させ、外力を印加して押し固めた。電極組立体Bから、一つのAl正極タブと一つのNi負極タブとを引き出した。
【0186】
電極組立体Aの負極タブと電極組立体Bの正極タブをレーザ溶接によって溶接して、両方を直列接続させた。
【0187】
そして、電極組立体Aの正極タブと電極組立体Bの負極タブを筐体から突き出て、そのうち、上記タブの端部と筐体の外縁との垂直距離d1が8mmであった。電極組立体Aの負極タブと電極組立体Bの正極タブを筐体内に保持して、そのうち、当該タブの端部と筐体の外縁との垂直距離d2は10mmであった。
【0188】
そして、もう一つの筐体(厚さが150μmのアルミプラスチックフィルム)を、ピットの凹面を下に向けるように電極組立体B上に被覆した。液体注入口側を除いて、筐体の他の位置をヒートシールし、組み立てられた電極を得た。そのうち、隔離板の両側にはそれぞれ独立した二つのキャビティが形成されていた。そのうち、ヒートシールの温度が180℃であり、ヒートシールの圧力が0.5MPaであった。
【0189】
組み立てられた電極組立体の二つのキャビティに、電解液をそれぞれ注入して、注入した後にシールを行った。
【0190】
充放電のプロセス中、電極組立体Aの正極タブと電極組立体Bの負極タブを接続するだけでよい。
【0191】
比較例3
<負極片の調製>、<正極片の調製>、<電解液の調製>、<電極組立体の調製>項は、実施例1と同じである。
【0192】
<リチウムイオン電池の調製>
パンチング成形された筐体(厚さが150μmのアルミプラスチックフィルム)を組立治具内に設置して、ピットの凹面を上に向けていて、一つの電極組立体(以下、電極組立体Aという)をピットに設置した。電極組立体Aから、一つのAl正極タブと一つのNi負極タブとを引き出した。
【0193】
そして、隔離板を電極組立体A上に配置して、電極組立体Aと接触させ、外力を印加して押し固めた。
【0194】
隔離板上に電極組立体(以下、電極組立体Bという)一つを配置して、隔離板と接触させ、外力を印加して押し固めた。電極組立体Bから、一つのAl正極タブと一つのNi負極タブとを引き出した。
【0195】
電極組立体Aの負極タブと電極組立体Bの正極タブをレーザ溶接によって溶接して、両方を直列接続させた。
【0196】
そして、電極組立体Aの正極タブと負極タブ、および電極組立体Bの正極タブと負極タブを一緒に筐体から突き出た。そのうち、上記タブの端部と筐体の外縁との垂直距離d1が8mmである。
【0197】
そして、もう一つの筐体(厚さが150μmのアルミプラスチックフィルム)を、ピットの凹面を下に向けるように電極組立体B上に被覆した。液体注入口側を除いて、筐体の他の位置をヒートシールし、組み立てられた電極を得た。そのうち、隔離板の両側にはそれぞれ独立した二つのキャビティが形成されていた。そのうち、ヒートシールの温度が180℃であり、ヒートシールの圧力が0.5MPaであった。
【0198】
組み立てられた電極組立体の二つのキャビティに、電解液をそれぞれ注入して、注入した後にシールを行った。
【0199】
充放電のプロセスは、電極組立体Aの正極タブと電極組立体Bの負極タブを接続するだけでよい。
【0200】
比較例1~3のデータと測定結果を表1に示す。
【0201】
【表1-1】

【表1-2】

【表1-3】
【0202】
本発明の実施例1~32と比較例1~3から、以下の知見が分かる。逆極性タブが筐体内で接続され、且つそのうちの一つのタブを筐体内に保持する設計によって、電気化学装置のパケージ強度を有効的に最適化するとともに、電気化学装置の良品率を向上させることができる。同時に、この構造設計は、直列接続部のタブの折り曲げによる故障のリスクを回避し、電気化学装置の使用上の安定性と信頼性を大幅に向上させることができる。
【0203】
これで分かるように、本発明により提供される電気化学装置は、異なる電極組立体と電解液をそれぞれ独立した電気化学セルに隔離し、異なる電気化学セルの間にイオン絶縁作用があるので、電気化学装置が液体電解液環境に配置されることを保証し、内部短絡問題及び高電圧での電解液の分解の問題を回避する。それにより、電気化学装置の安全性を向上させ、電気化学装置の有効な電力出力を保証する。また、逆極性タブが筐体内で接続され、且つそのうちの一つのタブを筐体内に保持する設計によって、パケージ強度を有効的に最適化して、パケージの信頼性を向上させる。同時に、急速に問題がある電極組立体を検査して故障原因を見つけるように、単一の電気化学セルの電圧監視を実現することができ、電気化学装置の製品品質と生産効率を向上させることができる。また、エネルギー密度の損失リスクを低減することもでき、且つ、電気化学装置の材料を節約することによってコストを効果的に低減し、電気化学装置の市場競争力を高めることができる。
【0204】
以上に記載するのは本発明の好ましい実施例だけであり、本発明を制限するものでなく、本発明の主旨及び原理の範囲内で行われる任意の修正、均等置換、改善等は、本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5