(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-24
(45)【発行日】2023-11-01
(54)【発明の名称】ドレン弁及び吐水装置
(51)【国際特許分類】
A47K 3/28 20060101AFI20231025BHJP
F16K 11/044 20060101ALI20231025BHJP
B05B 1/18 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
A47K3/28
F16K11/044 Z
B05B1/18 101
(21)【出願番号】P 2022088412
(22)【出願日】2022-05-31
【審査請求日】2022-05-31
(31)【優先権主張番号】202121212850.X
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110609498.1
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518436504
【氏名又は名称】厦門松霖科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】呉石龍
(72)【発明者】
【氏名】林逢徳
(72)【発明者】
【氏名】胡有賢
(72)【発明者】
【氏名】陳東海
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-192177(JP,A)
【文献】特開2004-236756(JP,A)
【文献】実開昭48-043219(JP,U)
【文献】国際公開第2016/203270(WO,A1)
【文献】中国実用新案第210830583(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/20- 3/40
F16K 11/00-11/24
B05B 1/00- 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに連通する入水通路(101)、吐水通路(102)及び排水通路(103)を規定するケース(100)と、
前記ケース(100)内に移動可能に設けられ、前記排水通路(103)を選択的に閉塞するための可動部材(800)と、を含み、
前記可動部材(800)が水流の圧力によって移動を開始し且つ前記入水通路(101)が完全に開放されていない場合、前記可動部材(800)は、既に前記排水通路(103)を閉塞
し、
前記可動部材(800)は、第1シール部材(310)が前記排水通路(103)を選択可能に閉塞するように、前記ケース(100)内に移動可能に設けられ、且つ前記第1シール部材(310)に嵌合される弁芯(200)を含み、
前記ケース(100)は、第1キャビティ(110)を有し、前記第1キャビティ(110)は、前記排水通路(103)に連通し、且つ、第1開口(111)を有し、
前記弁芯(200)は、前記第1開口(111)を介して前記第1キャビティ(110)内に移動可能に設けられるので、前記第1シール部材(310)を前記第1キャビティ(110)の内壁面にスライド可能に当接させることにより、前記排水通路(103)を閉塞することを実現する
ことを特徴とするドレン弁。
【請求項2】
前記可動部材(800)は、
さらに、前記ケース(100)内に設けられ、前記弁芯(200)が初期位置へ移動する傾向を有するように前記弁芯(200)に弾性力を与えるための弾性部材(400)、を含み、
前記弁芯(200)が水流の圧力を受けていない場合、前記弁芯(200)は、前記初期位置にある
ことを特徴とする請求項1に記載のドレン弁。
【請求項3】
前記第1シール部材(310)は、環状構造であり、前記弁芯(200)の外周に外嵌されるとともに、前記弁芯(200)に伴って移動することができる
ことを特徴とする請求項2に記載のドレン弁。
【請求項4】
第1シール部材(310)は、Y型シールリングである
ことを特徴とする請求項
1に記載のドレン弁。
【請求項5】
前記ケース(100)は、第2キャビティ(120)を有し、前記第2キャビティ(120)は、前記入水通路(101)に連通し、且つ、第2開口(121)を有し、
前記弁芯(200)は、前記第2開口(121)を介して前記第2キャビティ(120)に移動可能に設けられ、
前記弁芯(200)の一部が前記第2キャビティ(120)内に設けられる場合、前記弁芯(200)の入水端面(211)は、前記第2キャビティ(120)の内壁面とエネルギー蓄積チャンバ(122)内に入る水流の圧力を蓄積するための前記エネルギー蓄積チャンバ(122)を形成する
ことを特徴とする請求項2に記載のドレン弁。
【請求項6】
前記弁芯(200)には、シール部(210)が設けられ、前記シール部(210)の外周面と前記第2キャビティ(120)の内壁面との間に隙間を有する
ことを特徴とする請求項
5に記載のドレン弁。
【請求項7】
前記可動部材(800)は、第2シール部材(320)をさらに含み、前記第2シール部材(320)は、前記弁芯(200)の外周に外嵌されるとともに、前記弁芯(200)に伴って移動することができ、
前記弁芯(200)が前記第2キャビティ(120)に対して移動する場合、前記第2シール部材(320)は、前記第2キャビティ(120)の内壁面にスライド可能に当接することにより、前記入水通路(101)を選択可能に閉塞することを実現する
ことを特徴とする請求項
5に記載のドレン弁。
【請求項8】
前記第2シール部材(320)は、Y型シールリングである
ことを特徴とする請求項
7に記載のドレン弁。
【請求項9】
前記ケース(100)は、ガイド柱(130)を含み、前記弁芯(200)は、前記ガイド柱(130)に嵌合されるガイド穴(220)を有する
ことを特徴とする請求項2に記載のドレン弁。
【請求項10】
請求項1から請求項
9のいずれか1項に記載のドレン弁を含む吐水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドレン弁の技術分野に関し、特に、ドレン弁及びこのドレン弁を含む吐水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シャワーヘッドを使用した後、通常、水管上の弁を閉じてシャワーヘッドへの給水を停止する。しかし、弁を閉じる瞬間に、シャワーヘッドの内部にまだ水が残っており、この残った水は、シャワーヘッドからゆっくりと滴り落ちて、使用体験に影響を及ぼす。
【0003】
残った水がシャワーヘッドから滴り落ちるという問題を解決するために、関連技術には、主に排水通路を設けることにより、給水を停止した時に残った水が排水通路を通って排出される自動排水が可能なドレン弁が提案されている。しかしながら、ドレン弁に通水する場合、水流が排水通路から流出する可能性があり、水漏れの問題が存在する。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施例は、水漏れを回避することができるドレン弁を提供する。
【0005】
本発明の実施例は、上記のドレン弁を含む吐水装置をさらに提供する。
【0006】
本発明の実施例に係るドレン弁は、互いに連通する入水通路、吐水通路及び排水通路を規定するケースと、前記ケース内に移動可能に設けられ、前記排水通路を選択的に閉塞するための可動部材と、を含み、ここで、前記可動部材が水流の圧力によって移動を開始し且つ前記入水通路が完全に開放されていない場合、前記可動部材は、既に前記排水通路を閉塞する。
【0007】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記可動部材は、前記第1シール部材が前記排水通路を選択可能に閉塞するように、前記ケース内に移動可能に設けられ、且つ第1シール部材に嵌合される弁芯と、前記ケース内に設けられ、前記弁芯が初期位置へ移動する傾向を有するように前記弁芯に弾性力を与えるための弾性部材と、を含み、ここで、前記弁芯が水流の圧力を受けていない場合、前記弁芯は、前記初期位置にある。
【0008】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記第1シール部材は、環状構造であり、前記弁芯の外周に外嵌されるとともに、前記弁芯に伴って移動することができる。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記ケースは、第1キャビティを有し、前記第1キャビティは、前記排水通路に連通し、且つ、第1開口を有する。
【0010】
前記弁芯は、前記第1開口を介して前記第1キャビティ内に移動可能に設けられるので、前記第1シール部材を前記第1キャビティの内壁面にスライド可能に当接させることにより、前記排水通路を閉塞することを実現する。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態によれば、第1シール部材は、Y型シールリングである。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記ケースは、第2キャビティを有し、前記第2キャビティは、前記入水通路に連通し、且つ、第2開口を有する。
【0013】
前記弁芯は、前記第2開口を介して前記第2キャビティに移動可能に設けられる。
【0014】
ここで、前記弁芯の一部が前記第2キャビティ内に設けられる場合、前記弁芯の入水端面は、前記第2キャビティの内壁面と前記エネルギー蓄積チャンバ内に入る水流の圧力を蓄積するためのエネルギー蓄積チャンバを形成する。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記弁芯には、シール部が設けられ、前記シール部の外周面と前記第2キャビティの内壁面との間に隙間を有する。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記可動部材は、第2シール部材をさらに含み、前記第2シール部材は、前記弁芯の外周に外嵌されるとともに、前記弁芯に伴って移動することができる。
【0017】
前記弁芯が前記第2キャビティに対して移動する場合、前記第2シール部材は、前記第2キャビティの内壁面にスライド可能に当接することにより、前記入水通路を選択可能に閉塞することを実現する。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記第2シール部材は、Y型シールリングである。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記ケースは、ガイド柱を含み、前記弁芯は、前記ガイド柱に嵌合されるガイド穴を有する。
【0020】
本発明の実施例の吐水装置は、上記のドレン弁を含む。
【0021】
上記の発明の一実施例は、少なくとも次のような利点又は有益な効果を有する。
【0022】
本発明の実施例に係るドレン弁及び吐水装置によれば、可動部材が水流の圧力によって移動を開始し且つ入水通路が完全に開放されていない場合、可動部材は、既に排水通路を閉塞する。このため、入水通路が完全に開放されていない前に排水通路が既に閉鎖されるので、水流は、排水通路から流出することができなく、低水圧で排水通路から水が漏れるという問題を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図面を参照しながら、例示的な実施形態を詳細に説明し、本発明の上記及び他の特徴とメリットは、より明瞭となる。
【
図1】本発明の第1実施例に係るドレン弁の1つの角度からの模式図である。
【
図2】本発明の第1実施例に係るドレン弁の他の角度からの模式図である。
【
図3】本発明の第1実施例に係るドレン弁の分解図である。
【
図4】本発明の第1実施例に係る弁本体の模式図である。
【
図5】本発明の第1実施例に係る弁芯の模式図である。
【
図6】本発明の第1実施例に係る弁座の模式図である。
【
図7】本発明の第1実施例に係る弁座の断面図である。
【
図8】本発明の第1実施例に係るドレン弁が異なる状態にある時の断面図である。
【
図9】本発明の第1実施例に係るドレン弁が異なる状態にある時の断面図である。
【
図10】本発明の第1実施例に係るドレン弁が異なる状態にある時の断面図である。
【
図11】本発明の第2実施例に係るドレン弁の1つの角度からの模式図である。
【
図12】本発明の第2実施例に係るドレン弁の他の角度からの模式図である。
【
図13】本発明の第2実施例に係るドレン弁の分解図である。
【
図14】本発明の第2実施例に係る弁芯の模式図である。
【
図15】本発明の第2実施例に係る弁芯の断面図である。
【
図16】本発明の第2実施例に係る弁座の模式図である。
【
図17】本発明の第2実施例に係る弁座の断面図である。
【
図18】本発明の第2実施例に係るドレン弁が異なる状態にある時の断面図である。
【
図19】本発明の第2実施例に係るドレン弁が異なる状態にある時の断面図である。
【
図20】本発明の第2実施例に係るドレン弁が異なる状態にある時の断面図である。
【
図21】本発明の第1実施例に係るドレン弁がシャワーヘッド内に設けられ且つドレン弁が異なる状態にある時の断面図である。
【
図22】本発明の第1実施例に係るドレン弁がシャワーヘッド内に設けられ且つドレン弁が異なる状態にある時の断面図である。
【
図23】本発明の第1実施例に係るドレン弁がシャワーヘッド内に設けられ且つドレン弁が異なる状態にある時の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付の図面を参照しながら、例示的な実施形態をより完全に説明する。ただし、例示的な実施形態は、複数種類の形態で実施することができ、ここに記述する実施形態に限定されない。逆に、これらの実施形態の提供によれば、本発明を全面で完全に、かつ、例示的な実施形態の思想を全面で当業者に伝達する。図面における同じ図面符号は、同じ又は類似する要素を示すので、それらの詳細な記述が省略される。
【0025】
図1~
図3に示すように、
図1は、本発明の第1実施例に係るドレン弁の1つの角度からの模式図を示す。
図2は、本発明の第1実施例に係るドレン弁の他の角度からの模式図を示す。
図3は、本発明の第1実施例に係るドレン弁の分解図を示す。
【0026】
本発明の実施例に係るドレン弁は、ケース100と、可動部材800と、を含む。
【0027】
ケース100は、互いに連通する入水通路101、吐水通路102及び排水通路103を規定する。1つの具体的な実施形態において、ケース100は、弁本体100aと、弁座100bと、を含み、弁本体100a及び弁座100bは、例えばスナップ接続又はネジ接続のような着脱可能な方式により接続される。入水通路101は、弁本体100aに設けられてもよく、吐水通路102及び排水通路103は、弁座100bに設けられてもよいが、これに限定されるものではない。
【0028】
ドレン弁は、シールリング510及びシールリング520をさらに含み、シールリング510及びシールリング520は、弁座100bの外周に外嵌されてもよい。ドレン弁が給水管内に設けられる場合、シールリング510及びシールリング520は、ドレン弁及び管壁をシールすることにより、水流は、入水通路101のみを通るが、ドレン弁と管壁との間の隙間に沿って流れることができない。
【0029】
可動部材800は、ケース100内に移動可能に設けられ、排水通路103を選択的に閉塞するためのものである。可動部材800が水流の圧力によって移動を開始し且つ入水通路101が完全に開放されていない場合、可動部材800は、既に排水通路103を閉塞する。
【0030】
可動部材800は、弁芯200、第1シール部材310及び弾性部材400を含む。弁芯200は、ケース100内に移動可能に設けられ、且つ第1シール部材310に嵌合されることにより、第1シール部材310は、排水通路103を選択可能に閉塞する。
【0031】
弾性部材400は、ケース100内に設けられ、弁芯200が初期位置へ移動する傾向を有するように弁芯200に弾性力を与えるためのものである。ここで、弁芯200が水流の圧力によって初期位置から移動し且つ入水通路101が完全に開放されていない場合、第1シール部材310は、既に排水通路103を閉塞する。
【0032】
なお、弁芯200の初期位置を、弁芯200が水流の圧力を受けていない時に弁芯200が位置する位置として理解することができる。弁芯200が初期位置にある場合、第1弾性部材310は、排水通路103を閉塞していない。同時に、弁芯200が初期位置にある場合、弁芯200は、排水通路103を閉塞していない。
【0033】
勿論、可動部材800は、ゴム材料から製造されてもよいことを理解することができる。ゴム材料から製造される可動部材800は、排水通路103を閉塞する作用を奏するとともに、それ自体が弾性を有することができ、さらに可動部材800が水流の圧力を受けていない場合、自体の弾性によって初期位置まで復帰することができる。
【0034】
図4に示すように、
図4は、本発明の第1実施例に係る弁本体の模式図を示す。弁本体100aは、第2キャビティ120を含み、第2キャビティ120の一端には、第2開口121が設けられ、第2キャビティ120は、入水通路101に連通する。弁芯200は、第2開口121を介して弁本体100aの軸方向に沿って第2キャビティ120内に移動可能に収容されることができる。
【0035】
弁本体100aは、ガイド柱130をさらに含み、ガイド柱130は、弁本体100aの軸方向に沿って延び、弁芯200のガイド穴220に嵌合されて、弁芯200が弁本体100aに対して移動するようにガイドするためのものである。
【0036】
図5に示すように、
図5は、本発明の第1実施例に係る弁芯の模式図を示す。第1シール部材310は、環状構造をなすことができ、弁芯200の外部には、第1シール部材310が外嵌される。弁芯200がケース100に対して移動する場合、それに伴って第1シール部材310を移動させることができる。
【0037】
弁芯200の一端部には、入水端面211を有するシール部210が設けられる。水流が入水通路101に入ってから入水端面211に押し流されることができる。
【0038】
図6及び
図7に示すように、
図6は、本発明の第1実施例に係る弁座の模式図を示す。
図7は、本発明の第1実施例に係る弁座の断面図を示す。弁座100bは、第1キャビティ110を含み、排水通路103は、第1キャビティ110に連通する。第1キャビティ110は、第1開口111を有する。弁芯200は、第1開口111を介して第1キャビティ110に移動可能に接続されることにより、第1シール部材310を第1キャビティ110の内壁面にスライド可能に当接させて、排水通路103を閉塞することを実現する。
【0039】
図8~
図10及び
図21~
図23に示すように、
図8~
図10は、本発明の第1実施例に係るドレン弁が異なる状態にある時の断面図を示す。
図21~
図23は、本発明の第1実施例に係るドレン弁がシャワーヘッド内に設けられ且つドレン弁が異なる状態にある時の断面図を示す。
【0040】
図8及び
図21に示すように、
図8は、本発明の実施例に係るドレン弁の弁芯200が初期位置にある時の断面図を示す。弁本体100a及び弁座100bは、互いに接続されるとともに、弁芯200を弁本体100aと弁座100bとから構成されるキャビティ内に可動可能に限定する。
【0041】
一実施形態において、弁芯200は、弁本体100a及び弁座100bの軸方向に沿って往復移動することができる。
【0042】
弾性部材400は、圧縮ばねであってもよく、弁座100bの第1キャビティ110内に設けられる。弾性部材400の一端は、弁座100bに当接し、他端は、弁芯200に当接することにより、弁芯200は、初期位置へ移動する傾向を有する。言い換えれば、給水を停止する場合、弁芯200は、弾性部材400によって初期位置に戻る。
【0043】
弁芯200が初期位置にあり、即ち、入水通路101に水流を通水していない場合、弁芯200の外部に外嵌される第1シール部材310は、第1キャビティ110の内壁面にスライド可能に接触しないので、第1シール部材310は、排水通路103を閉塞しない。この時、吐水通路102内に位置し又は吐水通路102の下流に位置する水流(例えば、シャワーヘッド900内の水流)は、サイフォン作用によって排水通路103に沿ってドレン弁(
図8及び
図21における矢印に示す方向)から排出されることにより、シャワーヘッド900の排水穴910からシャワーヘッド900が排出される。これにより、吐水装置、例えばシャワーヘッドのノズルは、残った水をリアルタイムに排出することができるので、残った水が長時間滴り落ちるという問題が存在しない。
【0044】
図9及び
図22に示すように、
図9は、本発明の実施例に係るドレン弁の通水する瞬間の状態における断面図を示す。弁本体100aは、第2キャビティ120を有し、第2キャビティ120は、入水通路101に連通し、且つ、第2開口121を有する。弁芯200は、第2開口121を介して第2キャビティ120に移動可能に設けられる。ここで、シール部210が第2キャビティ120内に設けられる場合、シール部210の外周面と第2キャビティ120の内壁面との間に隙間610を有する。隙間610が小さいので、通水する瞬間にごく一部の水流は、隙間610を通って吐水通路102まで流れるが、水流の大部分は、第2キャビティ120内に蓄積する。このため、シール部210の入水端面211と第2キャビティ120の内壁面とは、エネルギー蓄積チャンバ122を形成することができ、このエネルギー蓄積チャンバ122は、エネルギー蓄積チャンバ内に入った水流の圧力を蓄積することができる。エネルギー蓄積チャンバ122内の圧力が静圧状態に近似するので、低水圧状態でも弁芯200が駆動されて移動して、入水通路101が速やかに開放され、極めて低い水圧でも正常に動作できることを実現する。
【0045】
引き続き
図9を参照すると、第1シール部材310は、第1キャビティ110の内壁面にスライド可能に当接してシールを実現することができるので、弁芯200が水流の圧力によって初期位置から移動し且つ入水通路101が完全に開放されていない場合、第1シール部材310は、既に排水通路103を閉塞する。このため、入水通路101が完全に開放される前に排水通路103が既に閉鎖されることにより、水流は、排水通路103を通ってシャワーヘッド900の排水穴910から流出することができないので、低水圧で排水通路103から水が漏れることを回避することができる。
【0046】
図10及び
図23に示すように、弁芯200は、蓄積した圧力によって弾性部材400の弾性力に抗して弁座100bへ移動することにより、入水通路101を完全に開放する。同時に、第1シール部材310は、第1キャビティ110の内壁面に沿ってスライドし、常に排水通路103を閉塞する。
【0047】
一実施形態において、第1シール部材310は、Y型シールリングであってもよい。Y型シールリングが凹溝を有するので、第1シール部材310が第1キャビティ110の内壁面にスライド可能に接触する場合、凹溝によってY型シールリングがより内側へ変形しやすくなり、これにより、第1シール部材310と第1キャビティ110の内壁面との間の摩擦力を低減し、弁芯200をより滑らかに移動させ、低水圧でも正常に使用できる効果を達成することができる。
【0048】
引き続き
図10を参照すると、ケース100は、ガイド柱130を含み、例えばガイド柱130は、弁座100bに設けられてもよい。弁芯200は、ガイド柱130に嵌合されるガイド穴220を有する。弁芯200がケース100に対して移動する場合、ガイド柱130及びガイド穴220は、前記弁芯200の移動をガイドすることができる。
【0049】
図11~
図17に示すように、
図11は、本発明の第2実施例に係るドレン弁の1つの角度からの模式図を示す。
図12は、本発明の第2実施例に係るドレン弁の他の角度からの模式図を示す。
図13は、本発明の第2実施例に係るドレン弁の分解図を示す。
図14は、本発明の第2実施例に係る弁芯の模式図を示す。
図15は、本発明の第2実施例に係る弁芯の断面図を示す。
図16は、本発明の第2実施例に係る弁座の模式図を示す。
図17は、本発明の第2実施例に係る弁座の断面図を示す。
【0050】
本発明の第2実施例に係るドレン弁及び第1実施例に係るドレン弁は、それらの同じ構造に対する詳細な説明を省略し、本発明の第2実施例に係る可動部材800が第2シール部材320をさらに含むことで相違する。弁芯200は、第2シール部材320が入水通路101を選択可能に閉塞するように第2シール部材320に嵌合されることができる。
【0051】
具体的に、
図13~
図15及び
図18~
図20に示すように、第2シール部材320は、弁芯200の外周に外嵌されるとともに、弁芯200に伴って移動することができる。第2シール部材320及び第1シール部材310は、弁芯200の軸方向に沿って間隔で設けられる。
【0052】
弁芯200が第2キャビティ120に対して移動する場合、第2シール部材320は、第2キャビティ120の内壁面にスライド可能に当接することにより、入水通路101を選択可能に閉塞することを実現する。
【0053】
図18に示すように、弁芯200は、弾性部材400によって初期位置に位置する。この時、第2シール部材320は、第2キャビティ120の内壁面に当接するので、第2シール部材320は、入水通路101を閉塞する。この時、第1シール部材310は、排水通路103を閉塞しない。この時、吐水通路102内に位置し且つ吐水通路102の下流に位置する水流は、サイフォン作用によって排水通路103に沿ってドレン弁(
図18における矢印に示す方向)から排出されることにより、吐水装置、例えばシャワーヘッドのノズルから残った水をリアルタイムに排出することができるので、残った水が長時間滴り落ちるという問題が存在しない。同時に、第2シール部材320が入水通路101を閉塞するので、残った水が入水通路101から給水管通路まで逆流することもできないので、サイフォン防止効果を発揮する。
【0054】
図19に示すように、通水する瞬間に第2シール部材320が第2キャビティ120の内壁面に当接するので、入水端面211と第2キャビティ120の内壁面は、エネルギー蓄積チャンバ内に入った水流の圧力を蓄積することができるエネルギー蓄積チャンバ122を形成することができる。エネルギー蓄積チャンバ122内の圧力が静圧状態に近似するので、低水圧状態でも弁芯200が駆動されて移動して、入水通路101が速やかに開放され、極めて低い水圧でも正常に動作できることを実現する。
【0055】
第1シール部材310は、第1キャビティ110の内壁面にスライド可能に当接してシールを実現することができるので、弁芯200が水流の圧力によって初期位置から移動し且つ入水通路101が完全に開放されていない場合、第1シール部材310は、既に排水通路103を閉塞する。このため、入水通路101が完全に開放される前に排水通路103が既に閉鎖されるので、低水圧で排水通路103から水が漏れることを回避することができる。
【0056】
上述したように、第1シール部材310及び第2シール部材320がそれぞれ第1キャビティ110の内壁面及び第2キャビティ120の内壁面に当接できることにより、入水通路101及び排水通路103は、常に連通しない状態となり、低水圧で排水通路103から水が漏れることを防止する。
【0057】
図20に示すように、通水が継続された後、弁芯200は、蓄積した圧力によって弾性部材400の弾性力に抗して弁座100bへ移動することにより、入水通路101が完全に開放される。同時に、第1シール部材310は、第1キャビティ110の内壁面に沿ってスライドし、常に排水通路103を閉塞する。
【0058】
一実施形態において、第2シール部材320は、Y型シールリングであってもよい。Y型シールリングが凹溝を有するので、第2シール部材320が第2キャビティ120の内壁面にスライド可能に接触する場合、凹溝によってY型シールリングがより内側へ変形しやすくなり、これにより、第2シール部材320と第2キャビティ120の内壁面との間の摩擦力を低減し、弁芯200をより滑らかに移動させ、低水圧でも正常に使用できる効果を達成することができる。
【0059】
図11及び
図13に示すように、ドレン弁は、流量調節器700をさらに含む。流量調節器700は、弁本体100aに取り付けられ、且つ入水通路101の上流に位置することができる。本発明の実施例に係るドレン弁は、地域ごとの水流の流量に応じて適切な流量調節器700を選択することができる。上記で説明したように、本発明の実施例に係るドレン弁は、残った水をタイムリーに排出して逆流を防止するという利点に加えて、流量を制御する機能を有する。
【0060】
本発明は、上記のいずれかの実施例に係るドレン弁を含む吐水装置をさらに提供するので、本発明の実施例に係る吐水装置は、上記のいずれかの実施形態におけるすべての利点及び有益な効果を有するが、ここでは詳細な説明を省略する。
【0061】
一実施形態において、吐水装置は、シャワーヘッドであってもよい。
【0062】
上記のように、本発明の実施例に係るドレン弁及び吐水装置の利点及び有益な効果は、以下の通りである。
【0063】
弁芯200が水流の圧力によって初期位置から移動し且つ入水通路101が完全に開放されていない場合、第1シール部材310は、既に排水通路103を閉塞する。このため、入水通路101が完全に開放される前に排水通路103が既に閉鎖されるので、低水圧で排水通路103から水が漏れるという問題を回避することができる。
【0064】
本発明の実施例において、用語「第1」、「第2」、「第3」は、単に説明の目的で使用され、相対重要性を指示又は暗示すると理解すべきではない。特に明示的な規定がない限り、用語「複数」とは、2つ又は2つ以上を指す。「取り付ける」、「に接続される」、「接続」、「固定」などの用語は、いずれも広義のものとして理解すべきである。例えば、「接続」は、固定接続でも着脱可能な接続でも一体接続でもよい。「に接続される」とは、直接に接続されてもよいし、中間の媒体を介して間接的に接続されてもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本発明の実施例における上記の用語の具体的な定義を理解することができる。
【0065】
なお、本発明の実施例の記述において、用語「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」などにより指示された方向又は位置関係は、図面に示す方向又は位置関係であり、本発明の実施例及び説明の簡略化を容易にするためのものに過ぎず、指示された装置又はユニットは、特定の方向を有し、特定の方向で構成及び操作されることを必須とすることを指示又は暗示するものではないので、本発明の実施例に対する限定として理解すべきではない。
【0066】
本明細書の記述において、用語「一実施例」、「いくつかの実施例」、「具体的な実施例」などの記述とは、この実施例又は例示的な記述の特定の特徴、構造、材料又は特徴を組み合わせて本発明の実施例の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記の用語の概略的な表現とは、必ずしも同じ実施例又は例を指すものではない。また、記載された特定の特徴、構造、材料又は特点は、適切な方式でいかなる1つ又は複数の実施例又は一例に組み合わせることができる。
【0067】
以上は、本発明の実施例のうちの好ましい実施例に過ぎず、本発明の実施例を限定するものではなく、当業者にとっては、本発明の実施例は、様々な変更及び変化を有してもよい。本発明の実施例の主旨と原則の範囲内のすべての修正、同等の置換、改良などは、本発明の実施例の保護範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0068】
100、ケース;100a、弁本体;100b、弁座;101、入水通路;102、吐水通路;103、排水通路;110、第1キャビティ;111、第1開口;120、第2キャビティ;121、第2開口;122、エネルギー蓄積チャンバ;130、ガイド柱;200、弁芯;210、シール部;211、入水端面;220、ガイド穴;310、第1シール部材;320、第2シール部材;400、弾性部材;510、シールリング;520、シールリング;610、隙間;700、流量調節器;800、可動部材;900、シャワーヘッド;910、排水穴。