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特許7373030光学デバイス、及び光学デバイスの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-24
(45)【発行日】2023-11-01
(54)【発明の名称】光学デバイス、及び光学デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20231025BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20231025BHJP
   H01L 25/04 20230101ALI20231025BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20231025BHJP
   H01L 33/48 20100101ALI20231025BHJP
   H01L 31/12 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H01L21/56 J
H01L25/04 Z
H01L33/48
H01L31/12 E
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022120795
(22)【出願日】2022-07-28
【審査請求日】2022-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390009667
【氏名又は名称】セイコーNPC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内藤 孝洋
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-099680(JP,A)
【文献】国際公開第2017/208724(WO,A1)
【文献】特開2003-273371(JP,A)
【文献】特開2006-295928(JP,A)
【文献】特開2014-003091(JP,A)
【文献】特開2016-092021(JP,A)
【文献】特開2006-303484(JP,A)
【文献】特開2010-199410(JP,A)
【文献】特開2019-047011(JP,A)
【文献】特開平06-061522(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0069113(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H01L 21/56
H01L 25/04
H01L 25/18
H01L 33/48
H01L 31/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に受光部を有する上面視で矩形状の光学素子と、
前記光学素子を搭載する配線基板と、
矩形状の前記光学素子の1から3つの辺において、前記光学素子と前記配線基板とを電気的に接続する配線と、
前記光学素子の周囲に形成され、かつ前記配線を含む前記光学素子の上面の一部を覆う樹脂部と、
前記樹脂部に設けられ、少なくとも前記受光部及び前記受光部の周辺の前記上面が露出するように形成された凹状の開口部と、
を備え、
前記開口部において底面の一部を構成する前記樹脂部は、前記上面と面一とされており、
前記開口部の一部には、前記樹脂部を貫通し、前記配線基板の一部の表面を露出させる貫通部が設けられ、
前記貫通部から露出された前記配線基板には、発光素子が搭載されている、
光学デバイス。
【請求項2】
受光部を有する光学素子と、発光素子とを搭載し前記光学素子、及び前記発光素子とは配線を介して電気的に接続された配線基板を備えた光学デバイスの製造方法であって、
少なくとも前記光学素子と接続される前記配線、及び前記光学素子の一部を、モールド金型を用いて樹脂封止する樹脂封止工程を有し、
前記モールド金型は、封止用の樹脂が充填される凹状のキャビティ部を有し、
前記キャビティ部は、前記受光部、及び前記受光部の周囲の前記光学素子の表面が前記樹脂で覆われないように、前記受光部、及び前記受光部の周囲の前記光学素子の表面に接触すると共に、前記表面と面一となる前記樹脂で形成された光学素子周囲部を形成する平面状の第一接触部と、前記配線基板の一部表面が前記樹脂で覆われないように前記一部表面に接触する第二接触部とを有しており、
前記樹脂封止後に、前記配線基板の前記一部表面に前記発光素子を搭載する、
光学デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学デバイス、及び光学デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学デバイス、及びその製造方法として、例えば、特許文献1に記載の光学デバイス、及びその製造方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-99680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の光学デバイスは、配線基板の上に光学素子が搭載されており、光学素子は、光を受光する光学機能領域以外の部分が樹脂により封止されている。
【0005】
樹脂は、金型によって形成されるため、樹脂の形状を変更するには、新たに金型を作成する必要がある。
例えば、大きな光学機能領域を有する光学素子を、小さな光学領域を有する光学素子に対応した金型を用いて樹脂で封止すると、大きな光学機能領域の一部が樹脂で覆われてしまう。
【0006】
そのため、大きな光学機能領域を有する光学素子を樹脂で封止する場合には、光学機能領域が樹脂で覆われないように、樹脂部分に大きな開口を形成するための新たな金型を作成する必要があり、光学デバイスを製造する上で改善の余地があった。
【0007】
このように、光学機能領域を露出させる開口を有した従来の光学デバイスでは、素子サイズや受光部サイズが変わると、それに適合するモールド金型を都度作成する必要があり、コスト面や開発期間等で不利になっており、改善の余地がある。
【0008】
即ち、受光部の幅によっては、受光素子の一部が樹脂で覆われてしまうため、配線基板に搭載できる光学デバイスと搭載出来ない光学デバイスとが生じてしまう。
【0009】
本発明は上記事実を考慮し、樹脂封止用のモールド金型を変更せず、搭載する受光素子のサイズ、及び受光素子の受光部のサイズを変更可能な光学デバイス、及び光学デバイスの製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の光学デバイスは、上面に受光部を有する上面視で矩形状の光学素子と、前記光学素子を搭載する配線基板と、矩形状の前記光学素子の1から3つの辺において、前記光学素子と前記配線基板とを電気的に接続する配線と、前記光学素子の周囲に形成され、かつ前記配線を含む前記光学素子の上面の一部を覆う樹脂部と、前記樹脂部に設けられ、少なくとも前記受光部及び前記受光部の周辺の前記上面が露出するように形成された凹状の開口部と、を備え、前記開口部において底面の一部を構成する前記樹脂部は、前記上面と面一とされており、前記開口部の一部には、前記樹脂部を貫通し、前記配線基板の一部の表面を露出させる貫通部が設けられ、前記貫通部から露出された前記配線基板には、発光素子が搭載されている。
【0011】
請求項1に記載の光学素子は、配線基板に上面に受光部を有する矩形状の光学素子が搭載されており、光学素子の1から3つの辺において、光学素子と配線基板とが配線で電気的に接続されている。
【0012】
光学素子の周囲には、配線を含む光学素子の上面の一部を覆う樹脂部が設けられている。このため、配線は、樹脂部の樹脂によって封止されて保護される。
【0013】
樹脂部には、凹状の開口部が形成されている。この開口部は、受光部と受光部の周辺の光学素子上面が底面に露出するようにモールド金型により形成されており、開口部において底面を構成する樹脂部は、光学素子の上面と面一とされている。
【0014】
開口部は、モールド金型によって形成されるため、開口部の形状や大きさはモールド金型を変更しない限り変更することができない。
【0015】
請求項1に記載の光学素子では、開口部において底面を構成する樹脂部は、開口部に露出する光学素子の上面と面一とされているため、モールド金型を変更せずに、上面視したときの光学素子のサイズを大きくすることが可能となり、樹脂部で覆われないように受光部のサイズを大きくすることが可能となる。
【0016】
なお、光学素子の受光部は、開口部に露出しているので、樹脂部には、光を透過しない樹脂材料を用いることができる。
開口部の一部には、樹脂部を貫通し、配線基板の一部の表面を露出させる貫通部が設けられており、貫通部から露出された配線基板に発光素子が設けられている。このため、発光素子から出射した光を、開口部の貫通部を介して光学デバイスの外部に設けられた照射対象へ照射することができる。
【0025】
請求項2に記載の光学デバイスの製造方法は、受光部を有する光学素子と、発光素子とを搭載し前記光学素子、及び前記発光素子とは配線を介して電気的に接続された配線基板を備えた光学デバイスの製造方法であって、少なくとも前記光学素子と接続される前記配線、及び前記光学素子の一部を、モールド金型を用いて樹脂封止する樹脂封止工程を有し、前記モールド金型は、封止用の樹脂が充填される凹状のキャビティ部を有し、前記キャビティ部は、前記受光部、及び前記受光部の周囲の前記光学素子の表面が前記樹脂で覆われないように、前記受光部、及び前記受光部の周囲の前記光学素子の表面に接触すると共に、前記表面と面一となる前記樹脂で形成された光学素子周囲部を形成する平面状の第一接触部と、前記配線基板の一部表面が前記樹脂で覆われないように前記一部表面に接触する第二接触部とを有しており、前記樹脂封止後に、前記配線基板の前記一部表面に前記発光素子を搭載する
【0026】
請求項2に記載の光学デバイスの製造方法によれば、樹脂封止工程で、少なくとも配線、及び光学素子の一部が、モールド金型を用いて樹脂封止される。
樹脂封止工程で用いるモールド金型は、封止用の樹脂が充填される凹状のキャビティ部を有している。
【0027】
キャビティ部には、受光部、及び受光部の周囲の光学素子の表面が樹脂で覆われないように、受光部、及び受光部の周囲の光学素子の表面に接触すると共に、該表面と面一となる樹脂で形成された光学素子周囲部を形成する平面状の接触部を有している。
【0028】
このため、光学素子を搭載した配線基板をモールド金型の内部に配置すると、受光部、及び受光部の周囲の光学素子の表面にキャビティ部に設けられた接触部が接触する。
【0029】
この状態で、キャビティ部の空間に封止用の樹脂を注入し、樹脂を固化させると、配線、及び光学素子の一部の必要箇所が樹脂封止される。そして、光学素子の周囲には、光学素子の表面と面一となる樹脂で形成された光学素子周囲部が形成され、受光部、及び受光部の周囲の光学素子の表面が樹脂で覆われない光学デバイスが得られる。
【0030】
したがって、請求項2に記載の光学デバイスの製造方法によれば、モールド金型を変更せずに、配線基板に搭載する光学素子の平面視したときのサイズを大きくすることが可能で、さらに、受光部のサイズを大きくすることも可能な光学デバイスが製造可能となる。
【0031】
また、光学素子の受光部は、樹脂で覆われないので、樹脂に光を透過しない樹脂材料を用いることができる。
【発明の効果】
【0032】
以上説明したように本発明の光学デバイスによれば、樹脂封止用のモールド金型を変更せず、搭載する受光素子、及び受光部のサイズを変更可能となる。
【0033】
また、本発明の光学デバイスの製造方法によれば、樹脂封止用のモールド金型を変更せず、搭載する受光素子、及び受光部のサイズを変更可能となる光学デバイスを製造可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】第1実施形態に係る光学デバイスを示す斜視図である。
図2】(A)は、図1に示す光学デバイスの2A-2A線断面図であり、(B)は図1に示す光学デバイスの2B-2B線断面図であり(C)は、樹脂封止を行うモールド金型の断面図(図4(A)の2-2線断面図)である。
図3】(A)は第1実施形態に係る光学デバイスを示す平面図であり、(B)は受光部の一部を示す拡大平面図である。
図4】(A)~(D)は、樹脂封止を行う工程を示す説明図である。
図5】樹脂封止が行われた連続した基板を示す断面図である。
図6】個々に切断した光学デバイスを示す断面図である。
図7】第2実施形態に係る光学デバイスを示す平面図である。
図8】第2実施形態に係る光学デバイスを示す断面図(図7の8-8線断面図)である。
図9】第3実施形態に係る光学デバイスを示す平面図である。
図10】第3実施形態に係る光学デバイスを示す断面図(図9の10-10線断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
[第1実施形態]
図1図6を用いて、本発明の第1実施形態に係る光学デバイス10について説明する。なお、以下の説明における上下の区別は便宜的なものであり、実際に光学デバイスが使用されるときの上下を限定するものではない。
本実施形態では、便宜上、図面の矢印U方向側を上側、図面の矢印D方向側を下側、図面の矢印L方向側を左側、図面の矢印R方向側を右側、図面の矢印F方向側を前側、図面の矢印B方向側を後側とする。また、図面の矢印U方向を上方向、図面の矢印D方向を下方向、図面の矢印L方向を左方向、図面の矢印R方向を右方向、図面の矢印F方向を前方向、図面の矢印B方向を後方向と呼ぶ。
【0036】
(光学デバイスの構成)
図1、及び図2(A),(B)に示すように、本実施形態の光学デバイス10は、配線基板12、光学素子14、発光素子16、封止用の樹脂で形成された樹脂部18等を含んで構成されており、いわゆる反射型のフォトインタラプタとして構成されており、一例としてエンコーダ等に使用されるものである。
【0037】
配線基板12は、矩形状に形成されており、図1、及び図3(A)に示すように、配線基板12の上面に、矩形状に形成された光学素子14が搭載されている。
【0038】
光学素子14は、配線基板12よりも小さく形成されている。本実施形態の光学素子14には、その上面(図2(A)の図面矢印U方向側の面)に、図面矢印L方向側の辺、矢印B方向側の辺、及び矢印R方向側の辺に沿って、複数の電極パッド20が設けられている。
【0039】
図3(A)に示すように、光学素子14の上面には、電極パッド20が設けられていない矢印F方向側の辺に沿って、長方形(長尺状)の受光部22が設けられている。光学素子14を上面視した際の受光部22の面積は、開口部28に露出した光学素子14の上面よりも小さい。
受光部22は、その長手方向が、光学素子14の矢印F方向側の辺に沿って平行とされている。図3(B)に示すように、本実施形態の受光部22には、複数の画素の一例としてのフォトダイオード22Aが、受光部22の長手方向に沿って等間隔で配置されている。言い換えれば、本実施形態の受光部22は、ラインセンサとして機能するものである。
【0040】
図3(A)に示すように、配線基板12には、光学素子14の周囲であって、光学素子14の電極パッド20と隣接する位置に、複数の電極パッド24が設けられている。
【0041】
光学素子14の電極パッド20と配線基板12の電極パッド24とは、ボンディングワイヤ26で電気的に接続されている。
【0042】
図1乃至図3に示すように、配線基板12の一部、光学素子14の一部、及びボンディングワイヤ26は、樹脂部18で覆われている。樹脂部18の上面は、ボンディングワイヤ26が樹脂中に埋設されるように、ボンディングワイヤ26の上端よりも上方に位置している。樹脂部18の上面は、配線基板12と平行な平面状に形成されている。なお、本実施形態の樹脂部18には、一例として、一般の半導体パッケージに用いられる黒色の樹脂が用いられている。
【0043】
樹脂部18の中央には、凹状の開口部28が形成されている。樹脂部18の上面における開口部28の開口縁28AEは、矩形状に形成されている。開口部28は、光学素子14の上面と面一とされた底面30と、底面30の矢印F方向側に設けられ配線基板12の上面の一部を露出させる貫通部32とを備えている。
なお、配線基板12の上面から立ち上がっている底面30を有した樹脂部分は、本発明の光学素子周囲部の一例である。
【0044】
図2(A),(B)に示すように、開口部28の矢印F方向側の側面28F、矢印B方向側の側面28B、矢印L方向側の側面28L、及び矢印R方向側の側面28Rは、各々配線基板12に対して略垂直とされている。なお、略垂直としたのは、側面28F、側面28B、側面28L、及び側面28Rには、開口部28を形成するための後述するモールド上金型40Aから樹脂部18を抜くための抜き勾配が付けられているからである。なお、側面28F、側面28B、側面28L、及び側面28Rは、樹脂成形する際に付けられる通常の抜き勾配よりも大きな角度を付けてもよい。
【0045】
図1図3に示すように、開口部28において、光学素子14のボンディングワイヤ26が配置されている領域を除いた受光部22周囲の光学素子上面、及び底面30の上面が露出している。より詳しくは、開口部28に露出している光学素子14の矢印L方向側、矢印F方向側、及び矢印R方向側に底面30の上面が露出している。
【0046】
図2(A)、及び図3(A)に示すように、底面30の左右方向の長さL0は、光学素子14の左右方向の長さL1(底面30に露出している長さでもある)よりも長く、底面30の前後方向の幅W0は、開口部28の底面30に露出している光学素子14の前後方向の幅W1よりも広い。
【0047】
図3(A)に示すように、本実施形態の光学デバイス10で用いられている光学素子14では、受光部22の左右方向の長さL2が光学素子14の左右方向の長さL1よりも短く、受光部22の前後方向の幅W2は、底面30に露出している光学素子14の前後方向の幅W1よりもより狭い。
【0048】
したがって、図3(A)に示す光学素子14においては、受光部22の左右方向両側に受光部22を長くする余裕があり、受光部22の後方向側に受光部22を幅広にする余裕がある。
図3(A)において、2点鎖線は、長さ、及び幅を大きくした受光部22を示している。
【0049】
また、図3(A)において、1点鎖線は、長さ、及び幅を大きくした光学素子14を示している。
【0050】
また、本実施形態の光学デバイス10では、図2(A),(B),及び図3(A)に示すように、開口部28の内部において、開口部28の底面30において光学素子14の周囲を囲む樹脂部18のうち、貫通部32と貫通部32に対向した光学素子14の一辺との間の樹脂部18の幅をAとし、開口部28の壁面28L,28Rと光学素子14の前記一辺に隣接する他辺との間の樹脂部18の幅をBとしたときに、A>Bに設定されている、
言い換えれば、開口部28の内部において、受光部22の長手方向側に位置する樹脂部18の厚さA[W0-W1]を、受光部22の幅方向側に位置する樹脂部18の受光部22の幅方向に沿って計測する厚さB[(L0-L1)/2]よりも大きく設定している。
【0051】
図1図2(B)、及び図3(A)に示すように、開口部28に露出している配線基板12の上面には、中央部分にLED等の発光素子16が搭載されている。図2(B)、及び図3に示すように、発光素子16と配線基板12とは、ボンディングワイヤ34で電気的に接続されている。本実施形態の発光素子16は、配線基板12の上方向に向けて光を出射することができる。
【0052】
(光学デバイスの製造方法)
図2、及び図4には、光学デバイス10の樹脂部18を形成するためのモールド金型40が断面図にて示されている。
【0053】
モールド金型40は、モールド上金型40Aと、モールド下金型40Bとを含んで構成されている。モールド金型40には、連続した配線基板12A(図4(C),(D)参照)、光学素子14、樹脂部18を形成するための凹状のキャビティ部42が形成されている。なお、ここでいう連続した配線基板12Aとは、図1に示す個々の配線基板12が連続して繋がったものを指し、後ほど切断されることにより個々の配線基板12となる。なお、モールド金型40に装填する連続した配線基板12Aに発光素子16は搭載されていない。
【0054】
(1) 先ず、図4(B)に示すように、モールド上金型40Aの下面に、柔軟性と剥離性とを有した薄い合成樹脂シート44を貼り付ける。合成樹脂シート44には、一例として、フッ素樹脂シートを用いることができる。なお、図4(B)では、構成を分かり易くするため、合成樹脂シート44を厚く描いている。
【0055】
(2) 図4(C)に示すように、複数の光学素子14が搭載された連続した配線基板12Aをモールド下金型40Bの上に配置してモールド金型40を閉じる。なお、連続した配線基板12Aにおいて、光学素子14と配線基板とを電気的に接続するボンディングワイヤ26は、配線済みである。
【0056】
(3) 次に、図4(D)に示すように、キャビティ部42の内部に溶融状態の樹脂を注入し、ボンディングワイヤ26、その他の必要箇所を樹脂封止する。これにより、光学素子14の受光部22、及び受光部22周辺の光学素子上面の一部、及び発光素子16が搭載される連続した配線基板12Aの上面の一部(発光素子16を設ける部分周辺)を除いた残りの部分が樹脂によって封止される。なお、ボンディングワイヤ26は、全て樹脂の内部に埋設される。
【0057】
(4) 樹脂が固化した後、モールド金型40を開き、図5に示すように、連続した配線基板12Aをモールド金型40から取り出し、配線基板12Aの樹脂部18で封止されていない部分に、発光素子16を搭載する。
【0058】
(5) その後、連続した配線基板12Aを図示しないダイシングブレードで切断し、図6に示すように、個々の光学デバイス10に切り離す。
以上の工程を経ることで、図1に示す光学デバイス10が出来上がる。
【0059】
(作用、効果)
本実施形態の光学デバイス10では、発光素子16から出射した光を、開口部28の貫通部32(図2(B)、図3(A)参照)を介して外部に設けられた照射対象(図示せず)に向けて出射し、照射対象で反射した反射光を光学素子14の受光部22で受光することができる。
なお、本実施形態の光学デバイス10は、一例としてエンコーダ等に使用することができる。
【0060】
図2(A)、及び図3(A)に示すように、本実施形態の配線基板12に搭載した光学素子14は、左右方向の長さL1が、底面30の左右方向の長さL0よりも短い。
そして、樹脂が充填されるモールド上金型40Aのキャビティ部42においては、図2(C)に示すように、光学素子14の底面30を形成するための凸部42Aの左右方向の長さL3が、底面30の左右方向の長さL0と同等となっている(なお、薄い合成樹脂シート44の厚みは無視した)。なお、凸部42Aの頂面(図2(C)における下面)が、本発明の接触部に相当している。
【0061】
図2(A)に示すように、本実施形態の光学素子14の左右方向の長さL1は、モールド上金型40Aの凸部42Aの左右方向の長さL3よりも短いため、光学素子14の左右方向の長さL1を、底面30の左右方向の長さL0まで長くしても光学素子14の左右の上面が樹脂部18で覆われることは無い。
【0062】
言い換えれば、本実施形態の光学デバイス10の構造を採用することで、図1~3に示すサイズの光学素子14よりも左右の長さが長く、左右の上面が樹脂部18で覆われない大きなサイズの光学素子14を搭載した配線基板12の必要箇所を、モールド金型40を変更することなく樹脂封止することができる。
【0063】
即ち、光学デバイス10を上記本実施形態の構造とすることで、種々のサイズの受光部22、及び光学素子14に対して、モールド金型40の共通化(標準化)ができ、製造コストを低減することが可能となる。
【0064】
また、光学素子14の左右方向の長さL1を長くすることで、光学素子14の上面に設けた受光部22の左右方向の長さL2を、光学素子14の左右方向の長さを長くした分だけ長くすることができ、これにより、受光部22のフォトダイオード22A(画素)の数を増やすことができる。
【0065】
なお、開口部28、及び底面30の寸法(左右方向、前後方向)は、最も大型の光学素子14を配線基板12に搭載することを考慮して決めておけばよい。言い換えれば、モールド金型40を設計する際に、最も大型の光学素子14を想定して、開口部28を形成する部分の寸法を予め決めておけばよい。
【0066】
また、本実施形態の光学デバイス10の構造によれは、受光部22の前後方向の幅W2が、底面30で露出している光学素子14の前後方向の幅W1よりもより狭いので、受光部22の前後方向の幅W2をより広くすることもできる。
【0067】
また、本実施形態の光学デバイス10の構造によれは、底面30に露出している光学素子14の大きさに対して、受光部22が小さいので、受光部22の配置の自由度が高い。
【0068】
なお、本実施形態の光学デバイス10では、図2(A),(B)、及び図3(A)に示すように、光学素子14の周囲を囲む樹脂部18のうち、貫通部32と光学素子14の一辺との間の樹脂部18の幅Aを、開口部28の壁面28L,28Rと光学素子14の一辺に隣接する他辺との間の樹脂部18の幅Bよりも大きくしているが、幅Aと幅Bの大小関係は必要に応じて変更でき、幅A≦幅Bとしてもよい。
【0069】
なお、この種の光学デバイスにおいて、透明樹脂で受光部やワイヤを覆うように樹脂封止する構造のものがあるが、該透明樹脂は、一般の半導体装置で用いられる黒色の樹脂に比較して、リフロー、温度サイクル等の信頼性が弱いことが多く、ボンディングワイヤの断線などを生じる場合があった。
【0070】
しかし、本実施形態の光学デバイス10では、受光部22を開口部28に露出させており、樹脂部18に一般の半導体装置で用いられる信頼性の高い黒色の樹脂を使用できることから、一般の半導体装置と同様の高い信頼性が得られる。
【0071】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る光学デバイス10を図7、及び図8にしたがって説明する。なお、第1実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0072】
本実施形態の光学デバイス10では、樹脂部18に形成された開口部28が、前後方向に細長い矩形状に形成されており、配線基板12には、左右方向に細長い光学素子14が搭載されている。本実施形態では、光学素子14の左右両側にボンディングワイヤ26が配線されている。
【0073】
本実施形態の光学デバイス10においても、開口部28に露出している光学素子14の上面は、開口部28の底面30と面一になっている。
【0074】
光学素子14の上面には、矩形状の受光部22が矢印B方向寄りに設けられている。
【0075】
本実施形態の光学素子14の受光部22の左右方向の長さL2は、底面30の左右方向の長さL0よりも短いので、第1実施形態と同様に、モールド金型を変更せずに、長さL2がより長い受光部22を備えた光学素子14を配線基板12に搭載して樹脂封止することができる。
【0076】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に係る光学デバイス10を図9、及び図10にしたがって説明する。なお、第1実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0077】
本実施形態の光学デバイス10も第2実施形態の光学デバイス10と同様に、樹脂部18に形成された開口部28が、前後方向に細長い矩形状に形成されており、配線基板12には、左右方向に細長い光学素子14が搭載されている。また、光学素子14の左右両側にボンディングワイヤ26が配線されている。
【0078】
本実施形態の光学デバイス10においても、開口部28に露出している光学素子14の上面は、開口部28の底面30と面一になっている。
【0079】
光学素子14の上面には、左右方向に細長い受光部22が矢印F方向側と矢印B方向側の両方に設けられている。
【0080】
本実施形態の光学素子14も、受光部22の左右方向の長さL2が、底面30の左右方向の長さL0よりも短いので、第2実施形態と同様に、モールド金型を変更せずに、長さL2がより長い受光部22を備えた光学素子14を配線基板12に搭載して樹脂封止することができる。
【0081】
[その他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0082】
上記第1実施形態では、矩形状に形成された光学素子14の3辺にボンディングワイヤ26が配線され、第2実施形態、及び第3実施形態では、光学素子14の2辺にボンディングワイヤ26が配線されていたが、本発明はこれに限らず、ボンディングワイヤ26は、光学素子14の1辺に配線されていればよい。
【0083】
上記実施形態の受光部22は、複数のフォトダイオード22Aを受光部22の長手方向に沿って配列した構造であったが、フォトダイオード22Aの配列は特に限定されず、また、受光部22は単一のフォトダイオード22Aであってもよい。
【0084】
上記実施形態の光学デバイス10では、配線基板12に発光素子16が設けられていたが、発光素子16は必要に応じて設ければよく、無くてもよい。発光素子16が設けられていない光学デバイス10においては、開口部28に貫通部32を設けなくてもよい。
【0085】
上記実施形態の光学デバイス10では、受光部22の平面視形状が矩形であったが、六角形、円弧形状など、矩形以外の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0086】
10 光学デバイス
12 配線基板
14 光学素子
16 発光素子
18 樹脂部
22 受光部
22A フォトダイオード(画素)
28 開口部
28AE 開口縁
30 底面
32 貫通部
34 ボンディングワイヤ(配線)
40 モールド金型
40A モールド上金型
40B モールド下金型
42 キャビティ
42A 凸部(頂部が接触部)
【要約】
【課題】モールド金型を変更せず、搭載する受光素子のサイズ、及び受光素子の受光部のサイズを変更可能な光学デバイスを提供する。
【解決手段】光学デバイス10は、上面に受光部22を有する上面視で矩形状の光学素子14と、光学素子14を搭載する配線基板12と、光学素子14の1から3つの辺において、光学素子14と配線基板12とを電気的に接続するボンディングボンディングワイヤ34と、光学素子14の周囲に形成され、かつボンディングボンディングワイヤ34を含む光学素子14の上面の一部を覆う樹脂部18と、少なくとも受光部22及び受光部22の周辺の光学素子上面が露出するようにモールド金型により形成された凹状の開口部28と、を備え、開口部28において底面30を構成する樹脂部18は、光学素子上面と面一とされている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10