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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-24
(45)【発行日】2023-11-01
(54)【発明の名称】接合基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20231025BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20231025BHJP
   H01L 23/13 20060101ALI20231025BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20231025BHJP
   H01L 23/15 20060101ALI20231025BHJP
   C04B 37/02 20060101ALI20231025BHJP
   H05K 3/38 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
H05K1/02 J
H05K1/03 610D
H01L23/12 C
H01L23/12 Q
H01L23/14 C
C04B37/02 B
H05K3/38 B
H05K1/03 650
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022135729
(22)【出願日】2022-08-29
(62)【分割の表示】P 2021513580の分割
【原出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2022173209
(43)【公開日】2022-11-18
【審査請求日】2022-08-29
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2019/015414
(32)【優先日】2019-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100134991
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 和樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148507
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 弘行
(72)【発明者】
【氏名】海老ヶ瀬 隆
(72)【発明者】
【氏名】増田 いづみ
(72)【発明者】
【氏名】賀來 健
【審査官】黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-030609(JP,A)
【文献】特開2017-183314(JP,A)
【文献】特開2005-116843(JP,A)
【文献】特開2005-268821(JP,A)
【文献】特開2016-174165(JP,A)
【文献】国際公開第2013/002407(WO,A1)
【文献】特開2001-339155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 37/02
H05K 1/03
H05K 1/02
H01L 23/13
H01L 23/12
H01L 23/15
H05K 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒化ケイ素セラミックス基板と、
前記窒化ケイ素セラミックス基板上に配置される接合層と、
前記窒化ケイ素セラミックス基板上に配置され、第1の主面、第2の主面及び端面を有し、前記第2の主面が前記第1の主面がある側と反対の側にあり前記接合層により前記窒化ケイ素セラミックス基板に接合され、前記端面が前記第1の主面から前記第2の主面に至る銅板と、
を備え、
前記端面は、
第1の部分と、
前記第1の部分より前記第2の主面寄りにある第2の部分と、
前記第2の部分より前記第2の主面寄りにある第3の部分と、
を有し、
前記第1の部分及び前記第2の部分は、前記銅板の外部において135°以上165°以下の角度をなし、
前記銅板の厚さ方向についての前記第2の主面から前記第1の部分と前記第2の部分との交点までの距離は、10μm以上100μm以下であり、
前記第2の主面の、前記第1の部分の延長面を越えて広がる距離は、10μm以上であり、
前記第2の部分及び前記第3の部分は、前記銅板の内部において135°以上165°以下の角度をなす、
ことを特徴とする接合基板。
【請求項2】
請求項1に記載の接合基板であって、
前記銅板は、
前記第2の主面から離れるにつれて銀濃度が低くなる銀濃度の分布を有してなり、
前記第2の部分および前記第3の部分を有する第1の厚さ方向領域と、
前記第1の部分を有し、前記第1の厚さ方向領域よりも銀濃度が低い第2の厚さ方向領域と、
を備えることを特徴とする接合基板。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の接合基板であって、
前記接合層は、
前記窒化ケイ素セラミックス基板と前記銅板との間にある板間部と、
前記窒化ケイ素セラミックス基板と前記銅板との間からはみ出すはみ出し部と、
を備えることを特徴とする接合基板。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の接合基板であって、
前記銅板は、0.5mm以上の厚さを有する、
ことを特徴とする接合基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合基板に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化ケイ素セラミックスは、高い熱伝導性及び高い絶縁性を有する。このため、銅板が接合層を介して窒化ケイ素セラミックス基板に接合された接合基板は、パワー半導体素子が実装される絶縁放熱基板として好適に用いられる。
【0003】
当該接合基板は、多くの場合は、ろう材層が銅板と窒化ケイ素セラミックス基板との間にある中間品を作製し、作製した中間品を熱処理してろう材層を接合層に変化させ、銅板及び接合層をパターニングすることにより製造される。
【0004】
銅板の端部への応力の集中に起因する接合基板の不良を抑制するために、接合層に、窒化ケイ素セラミックス基板と銅板との間からはみ出すはみ出し部を形成することが提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1に記載されたセラミックス回路基板においては、銅回路板が、ろう材層を介して窒化珪素から形成されたセラミックス基板の少なくとも一方の面に接合される(段落0013及び0020)。セラミックス回路基板は、銅回路板の側面から外側にはみ出したろう材はみ出し部を有する(段落0013)。これにより、熱ストレスが緩和されるため、信頼性の高いセラミックス-金属接合回路基板を実現することができる(段落0013)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6271629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されたセラミックス回路基板に代表される従来の接合基板においては、窒化ケイ素セラミックス基板と銅板との間からはみ出すはみ出し部を形成することにより、接合基板の冷熱サイクル耐久性を向上している。
【0008】
しかし、はみ出し部を形成することができない場合でも、接合基板の冷熱サイクル耐久性を向上することが期待される。また、はみ出し部を形成することができる場合でも、接合基板の冷熱サイクル耐久性をさらに向上することが期待される。
【0009】
本発明は、これらの問題に鑑みてなされた。本発明が解決しようとする課題は、銅板が接合層を介して窒化ケイ素セラミックス基板に接合された接合基板の冷熱サイクル耐久性を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は接合基板であって、窒化ケイ素セラミックス基板と、前記窒化ケイ素セラミックス基板上に配置される接合層と、前記窒化ケイ素セラミックス基板上に配置され、第1の主面、第2の主面及び端面を有し、前記第2の主面が前記第1の主面がある側と反対の側にあり前記接合層により前記窒化ケイ素セラミックス基板に接合され、前記端面が前記第1の主面から前記第2の主面に至る銅板と、を備え、前記端面は、第1の部分と、前記第1の部分より前記第2の主面寄りにある第2の部分と、前記第2の部分より前記第2の主面寄りにある第3の部分と、を有し、前記第1の部分及び前記第2の部分は、前記銅板の外部において135°以上165°以下の角度をなし、前記銅板の厚さ方向についての前記第2の主面から前記第1の部分と前記第2の部分との交点までの距離は、10μm以上100μm以下であり、前記第2の主面の、前記第1の部分の延長面を越えて広がる距離は、10μm以上であり、前記第2の部分及び前記第3の部分は、前記銅板の内部において135°以上165°以下の角度をなす、ことを特徴とする。
【0011】
本発明の第2の態様は、第1の態様に係る接合基板であって、前記銅板は、前記第2の主面から離れるにつれて銀濃度が低くなる銀濃度の分布を有してなり、前記第2の部分および前記第3の部分を有する第1の厚さ方向領域と、前記第1の部分を有し、前記第1の厚さ方向領域よりも銀濃度が低い第2の厚さ方向領域と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様に係る接合基板であって、前記接合層は、前記窒化ケイ素セラミックス基板と前記銅板との間にある板間部と、前記窒化ケイ素セラミックス基板と前記銅板との間からはみ出すはみ出し部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の第4の態様は、第1ないし第3の態様のいずれかに係る接合基板であって、前記銅板は、0.5mm以上の厚さを有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1ないし第4の態様によれば、接合基板が冷熱サイクルに曝された場合に、第1の部分と第2の部分とがなす角、第2の部分と第3の部分とがなす角、及び第2の主面と第3の部分とがなす角の付近に分散して応力が発生する。このため、各々の角の付近に発生する応力が小さくなる。これにより、接合基板の冷熱サイクル耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】接合基板を模式的に示す断面図である。
図2】接合基板の一部を模式的に示す拡大断面図である。
図3】接合基板の一部を模式的に示す拡大断面図である。
図4】接合基板の製造の流れを示すフローチャートである。
図5】接合基板の製造の途上で得られる中間品を模式的に示す断面図である。
図6】接合基板の製造の途上で得られる中間品を模式的に示す断面図である。
図7】接合基板の製造の途上で得られる中間品を模式的に示す断面図である。
図8】接合基板の製造における接合層及び銅板のパターニングの流れを示すフローチャートである。
図9】接合基板の製造における接合層及び銅板のパターニングの途上で得られる中間品を模式的に示す断面図である。
図10】接合基板の製造における接合層及び銅板のパターニングの途上で得られる中間品を模式的に示す断面図である。
図11】実施例3において製造した接合基板の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す図である。
図12】実施例4において製造した接合基板の断面のSEM画像を示す図である。
図13】実施例15において製造した接合基板の断面のSEM画像を示す図である。
図14】実施例16において製造した接合基板の断面のSEM画像を示す図である。
図15】比較例2において製造した接合基板の断面のSEM画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
1 接合基板
図1は、本実施形態に係る接合基板100を模式的に示す断面図である。図2及び図3は、接合基板100の一部を模式的に図示する拡大断面図である。図2及び図3は、図1の一部Aの拡大図である。
【0017】
接合基板100は、図1に図示されるように、窒化ケイ素セラミックス基板110、接合層121、銅板131、接合層122及び銅板132を備える。接合基板100がこれらの要素以外の要素を備えてもよい。接合層121及び銅板131の組、並びに接合層122及び銅板132の組の片方の組が省略されてもよい。
【0018】
接合層121及び銅板131は、窒化ケイ素セラミックス基板110の主面1101上に配置される。接合層122及び銅板132は、窒化ケイ素セラミックス基板110の主面1102上に配置される。
【0019】
銅板131及び132は、それぞれ接合層121及び122により窒化ケイ素セラミックス基板110に接合されている。銅板131及び132は、それぞれ接合層121及び122により窒化ケイ素セラミックス基板110の主面1101及び1102に活性金属ろう付け法によりろう付けされている。
【0020】
接合基板100は、どのように用いられてもよいが、例えばパワー半導体素子が実装される絶縁放熱基板として用いられる。
【0021】
以下では、銅板131及び132の各々を銅板130と称し、銅板130を窒化ケイ素セラミックス基板110に接合する接合層121及び122の各々を接合層120と称する。
【0022】
2 銅板の端面のコブによる銅板の端部への応力の集中の緩和
銅板130は、図1に図示されるように、第1の主面1301、第2の主面1302及び端面1303を有する。第2の主面1302は、第1の主面1301がある側とは反対の側にあり、接合層120により窒化ケイ素セラミックス基板110に接合される。端面1303は、第1の主面1301から第2の主面1302に至る。
【0023】
端面1303は、図2又は図3に図示されるコブ1400を有する。
【0024】
端面1303が図2に図示されるコブ1400を有する場合は、端面1303は、第1の部分1411及び第2の部分1412を有する。第2の部分1412は、第1の部分1411より第2の主面1302寄りにある。第1の部分1411及び第2の部分1412の各々は、略平坦である。
【0025】
第1の部分1411及び第2の部分1412は、銅板130の外部において135°以上165°以下の角度θ1をなす。第1の部分1411の延長面1414及び第2の主面1302は、第2の部分1412が配置される側において110°以上145°以下の角度θ3をなす。第1の部分1411と第2の部分1412との交点1421は、望ましくは、銅板130の厚さ方向に10μm以上100μm以下の距離L1だけ第2の主面1302から離れており、さらに望ましくは、銅板130の厚さ方向に10μm以上60μm以下の距離L1だけ第2の主面1302から離れている。第2の主面1302は、第1の部分1411の延長面1414を10μm以上の距離L2だけ越えて広がる。延長面1414は、第1の部分1411の最も第2の主面1302寄りの位置における第1の部分1411の法線方向と同じ法線方向を有する。
【0026】
銅板130は、第1の部分1411と第2の部分1412とがなす角1421、及び第2の主面1302と第2の部分1412とがなす角1423を有する。このため、接合基板100が冷熱サイクルに曝された場合に発生する応力は、角1421及び1423の付近に分散する。係る場合に角1421及び1423の各々の付近に発生する応力は小さいので、結果として、接合基板100の冷熱サイクル耐久性が向上する。
【0027】
角度θ1が135°より小さい場合は、角1421の付近に応力が集中しすぎ、接合基板100の冷熱サイクル耐久性を向上する効果を得ることが困難になる傾向が現れる。角度θ1が165°より大きい場合は、角1421の付近に応力が分散せず、接合基板100の冷熱サイクル耐久性を向上する効果を得ることが困難になる傾向が現れる。角度θ3が110°より小さい場合は、コブ1400に応力が集中し、接合基板100の冷熱サイクル耐久性を向上する効果を得ることが困難になる傾向が現れる。角度θ3が145°より大きい場合は、コブ1400に応力が分散せず、接合基板100の冷熱サイクル耐久性を向上する効果を得ることが困難になる傾向が現れる。距離L1が10μm以上100μm以下である場合は、接合基板100の冷熱サイクル耐久性をさらに向上することができ、距離L1が10μm以上60μm以下である場合は、接合基板100の冷熱サイクル耐久性を特に向上することができる。距離L1がこれらの範囲より短い場合は、角1421及び1423が互いに接近し、応力が分散せず、接合基板100の冷熱サイクル耐久性を向上する効果を得ることが困難になる傾向が現れる。距離L1がこれらの範囲より長い場合は、角1421の付近に応力が発生せず、接合基板100の冷熱サイクル耐久性を向上する効果を得ることが困難になる傾向が現れる。距離L2が10μmより短い場合は、応力が分散せず、接合基板100の冷熱サイクル耐久性を向上する効果を得ることが困難になる傾向が現れる。
【0028】
端面1303が図3に図示されるコブ1400を有する場合は、端面1303は、第1の部分1411、第2の部分1412及び第3の部分1413を有する。第2の部分1412は、第1の部分1411より第2の主面1302寄りにある。第3の部分1413は、第2の部分1412より第2の主面1302寄りにある。第1の部分1411、第2の部分1412及び第3の部分1413の各々は、略平坦である。
【0029】
第1の部分1411及び第2の部分1412は、銅板130の外部において135°以上165°以下の角度θ1をなす。第2の部分1412及び第3の部分1413は、銅板130の内部において135°以上165°以下の角度θ2をなす。第1の部分1411の延長面1414及び第2の主面1302は、第2の部分1412が配置される側において110°以上145°以下の角度θ3をなす。第1の部分1411と第2の部分1412との交点1421は、望ましくは、銅板130の厚さ方向に10μm以上100μm以下の距離L1だけ第2の主面1302から離れており、さらに望ましくは、銅板130の厚さ方向に10μm以上60μm以下の距離L1だけ第2の主面1302から離れている。第2の主面1302は、第1の部分1411の延長面1414を10μm以上の距離L2だけ越えて広がる。延長面1414は、第1の部分1411の最も第2の主面1302寄りの位置における第1の部分1411の法線方向と同じ法線方向を有する。
【0030】
銅板130は、第1の部分1411と第2の部分1412とがなす角1421、第2の部分1412と第3の部分1413とがなす角1422、及び第2の主面1302と第3の部分1413とがなす角1423を有する。接合基板100が冷熱サイクルに曝された場合には、角1421、1422及び1423の付近に分散して応力が発生する。このため、角1421、1422及び1423の各々の付近に発生する応力が小さくなる。これにより、接合基板100の冷熱サイクル耐久性が向上する。また、角1421及び1423に加えて角1422の付近にも応力が分散するため、角1421及び1423のみに応力が分散する場合と比較して、接合基板100の冷熱サイクル耐久性がより向上する。
【0031】
角度θ1が135°より小さい場合は、角1421の付近に応力が集中しすぎ、接合基板100の冷熱サイクル耐久性を向上する効果を得ることが困難になる傾向が現れる。角度θ1が165°より大きい場合は、角1421の付近に応力が分散せず、接合基板100の冷熱サイクル耐久性を向上する効果を得ることが困難になる傾向が現れる。角度θ2についても、同様のことがいえる。角度θ3が110°より小さい場合は、コブ1400に応力が集中し、接合基板100の冷熱サイクル耐久性を向上する効果を得ることが困難になる傾向が現れる。角度θ3が145°より大きい場合は、コブ1400に応力が分散せず、接合基板100の冷熱サイクル耐久性を向上する効果を得ることが困難になる傾向が現れる。距離L1が10μm以上100μm以下である場合は、接合基板100の冷熱サイクル耐久性をさらに向上することができ、距離L1が10μm以上60μm以下である場合は、接合基板100の冷熱サイクル耐久性を特に向上することができる。距離L1がこれらの範囲より短い場合は、角1421、1422及び1423が互いに接近し、応力が広い範囲に分散せず、接合基板100の冷熱サイクル耐久性を向上する効果を得ることが困難になる傾向が現れる。距離L1がこれらの範囲より長い場合は、角1421及び1422の付近に応力が分散せず、接合基板100の冷熱サイクル耐久性を向上する効果を得ることが困難になる傾向が現れる。距離L2が10μmより短い場合は、応力が分散せず、接合基板100の冷熱サイクル耐久性を向上する効果を得ることが困難になる傾向が現れる。
【0032】
3 銀濃度の分布
銅板130は、第2の主面1302から離れるにつれて銀濃度が低くなる銀濃度の分布を有する。第2の主面1302から離れるにつれて銀濃度が低くなるのは、接合基板100が製造される途上において接合層120の前駆体となるろう材層から銅板130に銀が拡散するためである。
【0033】
このため、銅板130は、図2及び図3に図示されるように、銀を含み第1の銀濃度を有する第1の厚さ方向領域151、及び第1の銀濃度より低い第2の銀濃度を有する第2の厚さ方向領域152を有する。第1の銀濃度よりも第2の銀濃度が低いことは、第2の厚さ方向領域152が銀を含まないこと、及び第1の銀濃度より小さい濃度で第2の厚さ方向領域152が銀を含むことのいずれも含むが、望ましくは前者である。
【0034】
端面1303が図2に図示されるコブ1400を有する場合は、第1の厚さ方向領域151は、第2の部分1412を有する。端面1303が図3に図示されるコブ1400を有する場合は、第1の厚さ方向領域151は、第2の部分1412及び第3の部分1413を有する。第2の厚さ方向領域152は、第1の部分1411を有する。
【0035】
銅板130に対するエッチング液によるエッチングに際し、第1の厚さ方向領域151が第1のエッチングレートにてエッチングされ、第2の厚さ方向領域152が第2のエッチングレートにてエッチングされるとした場合、第2のエッチングレートは、第1のエッチングレートより速い。これは、第2の銀濃度が第1の銀濃度より低いためである。
【0036】
端面1303のコブ1400は、第2のエッチングレートが第1のエッチングレートより速いことを利用してエッチングにより形成される。端面1303のコブ1400がエッチング以外により形成されてもよい。例えば、端面1303のコブ1400が機械加工により形成されてもよい。
【0037】
4 接合層のはみ出し部による銅板の端部への応力の集中の緩和
接合層120は、図1図2及び図3に図示されるように、板間部160及びはみ出し部161を備える。板間部160は、窒化ケイ素セラミックス基板110と銅板130との間にある。はみ出し部161は、窒化ケイ素セラミックス基板110と銅板130との間からはみ出す。接合基板100においては、銅板130の端部への応力の集中が、はみ出し部161により緩和される。これにより、銅板130の端部への応力の集中に起因する接合基板100の不良を抑制することができる。
【0038】
接合層120は、望ましくは、0.1μm以上5μm以下の厚さを有し、さらに望ましくは、0.1μm以上3μm以下の厚さを有する。接合層120がこのようにわずかな厚さしか有しないことにより、銅板130の端部への応力の集中がはみ出し部161により効果的に緩和される。
【0039】
5 銅板の厚さ
銅板130は、望ましくは、0.5mm以上の厚さを有する。銅板130が0.5mm以上の厚さを有する場合は、高い放熱性を有する接合基板100を得ることができる。一方で、銅板130が0.5mm以上の厚さを有する場合は、銅板130に大きな応力が発生し、接合基板100の冷熱サイクル耐久性が低下する傾向があらわれる。しかし、接合基板100においては、上述した冷熱サイクル耐久性を向上させる効果により、銅板130が0.5mm以上の厚さを有する場合の冷熱サイクル耐久性の低下が補われる。
【0040】
6 距離L2
距離L2は、望ましくは、100μm以下であり、さらに望ましくは、60μm以下であり、特に望ましくは、40μm以下であり、最も望ましくは、30μm以下である。距離L2がこれらの上限より長い場合は、隣接するふたつの銅板130が接近し、隣接するふたつの銅板130の間の絶縁性が低下する傾向が現れる。
【0041】
7 接合基板の製造方法
図4は、接合基板100の製造の流れを示すフローチャートである。図5図6及び図7は、接合基板100の製造の途上で得られる中間品を模式的に示す断面図である。
【0042】
接合基板100の製造においては、図4に示される工程S101からS104までが順次に実行される。
【0043】
工程S101においては、図5に図示されるように、窒化ケイ素セラミックス基板110の主面1101及び1102上に、それぞれろう材層171及び172が形成される。接合基板100から接合層121及び銅板131が省略される場合は、ろう材層171を形成することが省略される。接合基板100から接合層122及び銅板132が省略される場合は、ろう材層172を形成することが省略される。
【0044】
ろう材層171及び172が形成される際には、活性金属ろう材及び溶剤を含むペーストが調製される。ペーストがバインダ、分散剤、消泡剤等をさらに含んでもよい。続いて、調製されたペーストが窒化ケイ素セラミックス基板110の主面1101及び1102上にスクリーン印刷され、窒化ケイ素セラミックス基板110の主面1101及び1102上にそれぞれ第1及び第2のスクリーン印刷膜が形成される。続いて、形成された第1及び第2のスクリーン印刷膜に含まれる溶剤が揮発させられる。これにより、第1及び第2のスクリーン印刷膜が、それぞれろう材層171及び172に変化する。ろう材層171及び172は、活性金属ろう材を含む。ろう材層171及び172がこの方法とは異なる方法により形成されてもよい。
【0045】
活性金属ろう材は、銀(Ag)、銅(Cu)及びインジウム(In)を含む金属粉末、並びに水素化チタン粉末及び水素化ジルコニウム粉末からなる群より選択される少なくとも1種の水素化金属粉末を含む。活性金属ろう材の組成が変更されてもよい。例えば、銅及びインジウムの両方又は片方が金属粉末に含まれなくてもよく、銅及びインジウム以外の金属元素、例えばスズ(Sn)が金属粉末に含まれてもよい。
【0046】
活性金属ろう材は、望ましくは40重量%以上80重量%以下の銀を含む。係る場合、下述する工程S103において銀を銅板131A及び132Aに拡散させ接合層121B及び122Bが銀を含まないようにすることが容易になる。
【0047】
活性金属ろう材は、望ましくは0.1μm以上10μm以下の平均粒子径を有する粉末からなる。平均粒子径は、市販のレーザー回折式の粒度分布測定装置により粒度分布を測定し、測定した粒度分布からD50(メジアン径)を算出することにより得ることができる。活性金属ろう材がこのように小さい平均粒子径を有する粉末からなることにより、ろう材層171及び172を薄くすることができる。
【0048】
ろう材層171及び172は、望ましくは、0.1μm以上10μm以下の厚さを有し、さらに望ましくは、0.1μm以上5μm以下の厚さを有する。ろう材層171及び172がこのようにわずかな厚さしか有しないことにより、ろう材層171及び172に含まれる銀が少なくなり、下述する工程S103において銀を銅板131A及び132Aに拡散させ接合層121B及び122Bが銀を含まないようにすることが容易になる。
【0049】
工程S102においては、図6に図示されるように、形成されたろう材層171及び172上にそれぞれ銅板131A及び132Aが配置される。これにより、窒化ケイ素セラミックス基板110、ろう材層171、銅板131A、ろう材層172及び銅板132Aを備える中間品100Aが得られる。接合基板100から接合層121及び銅板131が省略される場合は、銅板131Aを配置することが省略される。接合基板100から接合層122及び銅板132が省略される場合は、銅板132Aを配置することが省略される。
【0050】
工程S103においては、得られた中間品100Aに対して熱処理が行われる。これにより、ろう材層171及び172が、図7に図示されるように、それぞれ接合層121B及び122Bに変化し、窒化ケイ素セラミックス基板110、接合層121B、銅板131A、接合層122B及び銅板132Aを備える中間品100Bが得られる。接合層121B及び122Bは、それぞれ銅板131A及び132Aを窒化ケイ素セラミックス基板110に接合する。ろう材層171及び172に含まれる銀及びインジウムは、ろう材層171及び172がそれぞれ接合層121B及び122Bに変化する過程でそれぞれ銅板131A及び132Aに拡散する。これにより、最終的に得られる接合層121B及び122Bは銀及びインジウムを含まなくなる。すなわち、熱処理後に得られる中間品100Bの接合層121B及び122Bは、チタン及びジルコニウムからなる群(第1の群)より選択される少なくとも1種の元素と窒素及びケイ素からなる群(第2の群)より選択される少なくとも1種の元素との化合物を含むが、銀及びインジウムを含まない。第2の群より選択される少なくとも1種の元素は、窒化ケイ素セラミックス基板110から供給される。また、銅板131A及び132Aの各々には、銀を含み第1の銀濃度を有する第1の厚さ方向領域151、及び第1の銀濃度より低い第2の銀濃度を有する第2の厚さ方向領域152が形成される。
【0051】
中間品100Aに対して熱処理が行われる場合は、望ましくは、中間品100Aに対してホットプレスが行われる。中間品100Aに対してホットプレスが行われる場合は、望ましくは、中間品100Aが、真空中又は不活性ガス中で、最高面圧が5MPa以上25MPa以下となる面圧プロファイルにしたがって窒化ケイ素セラミックス基板110の厚さ方向に加圧され、最高温度が800℃以上900℃以下となる温度プロファイルにしたがって加熱される。係る場合、ろう材層171及び172の厚さが0.1μm以上5μm以下と小さい場合においても、ボイドの形成なしに銅板131A及び132Aを窒化ケイ素セラミックス基板110に接合することができる。また、当該範囲のようなボイドが形成されない範囲でろう材層171及び172を薄くすることによってろう材層171及び172に含まれる銀を少なくした場合には、熱処理によって銀を銅板131A及び132Aに拡散させ、接合層121B及び122Bが銀を含まないようにすることが容易になる。また、活性金属ろう材を構成する粒子の形状が層状に変化すること、並びに銅板131A及び132Aに銀等が拡散することにより、接合層121B及び122Bが実質的に0.1μm以上5μm以下の厚さを有するようになる。
【0052】
工程S104においては、接合層121B、銅板131A、接合層122B及び銅板132Aがパターニングされる。これにより、接合層121B及び122Bが、それぞれ図1に図示されるパターニングされた接合層121及び122に変化する。また、銅板131A及び132Aが、それぞれ図1に図示されるパターニングされた銅板131及び132に変化する。
【0053】
8 接合層及び銅板のパターニング
図8は、接合基板100の製造における接合層及び銅板のパターニングの流れを示すフローチャートである。図9及び図10は、接合基板100の製造における接合層及び銅板のパターニングの途上で得られる中間品を模式的に示す断面図である。
【0054】
接合基板100の製造における接合層121B、銅板131A、接合層122B及び銅板132Aのパターニングにおいては、図8に図示される工程S111からS113までが順次に実行される。
【0055】
工程S111においては、銅板131A及び132Aがハードエッチングされる。これにより、銅板131A及び132Aの一部が除去されることで、銅板131A及び132Aが、図9に図示される銅板131C及び132C(エッチング済み銅板131C及び132C)に変化する。これに伴い、接合層121Bが、窒化ケイ素セラミックス基板110とエッチング済み銅板131Cとの間にある第1の部分181と、窒化ケイ素セラミックス基板110とエッチング済み銅板131Cとの間以外にある第2の部分191とを、有するようになる。また、接合層122Bが、窒化ケイ素セラミックス基板110とエッチング済み銅板132Cとの間にある第1の部分182と、窒化ケイ素セラミックス基板110とエッチングされた銅板132Cとの間以外にある第2の部分192とを、有するようになる。銅板131A及び132Aのハードエッチングには、塩化鉄水溶液系、塩化銅水溶液系等のエッチング液を用いることができる。
【0056】
工程S112においては、接合層121Bおよび122Bの第2の部分191及び192がエッチングされる。これにより、図10に図示されるように、第2の部分191及び192が除去され、第1の部分181及び182が残る。残った第1の部分181及び182がそれぞれ、図1に示す接合基板100における接合層121及び122に該当する。これにより、窒化ケイ素セラミックス基板110、接合層121、銅板131C、接合層122及び銅板132Cを備える中間品100Cが得られる。第2の部分191及び192のエッチングには、フッ化アンモニウム水溶液系等のエッチング液を用いることができる。工程S112において、第1の部分181及び182の両端部がエッチングにより除去される場合もある。
【0057】
工程S113においては、エッチング済み銅板131C及び132Cがさらにソフトエッチングされる。これにより、エッチング済み銅板131C及び132Cの端部が除去されることで、エッチング済み銅板131C及び132Cが、それぞれ図1に図示されるパターニングされた銅板(パターニング済み銅板)131及び132に変化する。また、接合層121及び122の各々に、図1に図示される板間部160及びはみ出し部161が形成される。エッチング済み銅板131C及び132Cのソフトエッチングには、塩化鉄水溶液系、塩化銅水溶液系等のエッチング液を用いることができる。工程S113により、工程S112において第1の部分181及び182の両端部がエッチングにより除去された場合であっても、はみ出し部161を確実に形成することができる。
【0058】
銅板131C及び132Cに含まれる各銅板130Cがソフトエッチングされる際には、第1の銀濃度を有する第1の厚さ方向領域151が第1のエッチングレートでエッチングされる。また、第1の銀濃度より低い第2の銀濃度を有する第2の厚さ方向領域152が第1のエッチングレートより速い第2のエッチングレートでエッチングされる。これにより、端面1303のコブ1400が形成される。
【0059】
9 製造条件のコブへの影響
コブ1400が形成されるか否か、及び形成されるコブ1400の形状は、主に、銅板131A及び132Aに拡散する銀の量、及びソフトエッチングの過酷度に依存する。このため、接合基板100が製造される際には、適切な形状を有するコブ1400が形成されるように、銅板131A及び132Aに拡散する銀の量、及びソフトエッチングの過酷度の影響を考慮して、製造条件が決定される。すなわち、銅板131A及び132Aに拡散する銀の量が多くなるほど、銅板131A及び132Aに含まれる銀の濃度が高くなり、銅板131A及び132Aへの銀の拡散距離が長くなり、コブ1400が形成されやすくなり、図3に図示される形状を有するコブ1400が形成されやすくなることが考慮される。また、ソフトエッチングの過酷度が高くなるほど、コブ1400が形成されやすくなり、図3に図示される形状を有するコブ1400が形成されやすくなることが考慮される。
【0060】
銅板131A及び132Aに拡散する銀の量を多くすることは、ろう材層171及び172を厚くすること、活性金属ろう材に含まれる銀の濃度を高くすること、中間品100Aに対して熱処理が行われる際の温度を高くすること等により実現することができる。
【0061】
ソフトエッチングの過酷度を高くすることは、ソフトエッチングに用いられるエッチング液の温度を高くすること、ソフトエッチングに用いられるエッチング液に含まれる塩化鉄、塩化銅等の濃度を高くすること、ソフトエッチングに用いられるエッチング液に銅板131C及び132Cを接触させる時間を長くすること等により実現することができる。
【0062】
10 実施例
実施例1-23においては、上述した接合基板100の製造方法にしたがって接合基板100を製造した。
【0063】
実施例1-23においては、0.32mmの厚さを有する窒化ケイ素セラミックス基板110に0.8mmの厚さを有する銅板131及び132を接合した。また、0.1μm以上5μm以下の厚さを有し、40重量%以上80重量%以下の銀、及び水素化チタンを含む活性金属ろう材を含むろう材層171及び172を形成した。また、中間品100Aに対してホットプレスを行った。その際には、真空中で、最高面圧が20MPaとなる面圧プロファイルにしたがって中間品100Aを加圧し、最高温度が815℃以上845℃以下となる温度プロファイルにしたがって中間品100Aを加熱した。また、約45℃の温度を有するエッチング液を中間品100Bに向かってスプレーすることによりハードエッチングを行った。また、約20℃の温度を有する塩化鉄水溶液系のエッチング液に中間品100Cを1.5分間以上5分間以下浸漬することによりソフトエッチングを行った。また、距離L1を100μm以下とした。
【0064】
比較例1においては、ソフトエッチングを行わなかった点を除いて実施例1-23と同様に接合基板100を製造した。
【0065】
比較例2-4においては、0.1μm以上1μm以下の厚さを有し、40重量%以下の銀、及び水素化チタンを含む活性金属ろう材を含むろう材層171及び172を形成し、最高温度が800℃以下となる温度プロファイルにしたがって中間品100Aを加熱し、塩化鉄水溶液系のエッチング液に中間品100Cを0.5分間以上1分間以下浸漬することによりソフトエッチングを行った点を除いて実施例1-23と同様に接合基板100を製造した。
【0066】
比較例5においては、5μm以下の厚さを有し、60重量%以上80重量%以下の銀、及び水素化チタンを含む活性金属ろう材を含むろう材層171及び172を形成し、最高温度が900℃以上となる温度プロファイルにしたがって中間品100Aを加熱し、塩化鉄水溶液系のエッチング液に中間品100Cを1.5分間浸漬することによりソフトエッチングを行った点を除いて実施例1-23と同様に接合基板100を製造した。
【0067】
比較例6-7においては、ろう材層171及び172上に配置される銅板131A及び132Aを、銅板の端面を切削加工することにより得られる、所定の形状のコブを有する銅板とした点、並びにハードエッチング及びソフトエッチングを行わなかった点を除いて実施例1-23と同様に接合基板100を製造した。比較例8においては、エッチング液に中間品100Cを0.5分間以下浸漬することによりソフトエッチングを行った点を除いて実施例1-23と同様に接合基板100を製造した。
【0068】
製造した接合基板100を加工して接合基板100の断面を露出させ、露出させた断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察してSEM画像を得た。また、得たSEM画像から角度θ1、角度θ2、角度θ3及び距離L2を特定した。その結果を表1及び表2に示す。
【0069】
また、製造した接合基板100の第1の冷熱サイクル耐久性を評価した。第1の冷熱サイクル耐久性を評価するにあたっては、接合基板100を3000サイクルの冷熱サイクルに晒した。各サイクルにおいては、接合基板100を-40℃の低温及び150℃の高温に順次晒した。その結果を表1及び表2に示す。
【0070】
また、製造した接合基板100の第2の冷熱サイクル耐久性を評価した。第2の冷熱サイクル耐久性を評価するにあたっては、接合基板100を3000サイクルの冷熱サイクルに晒した。各サイクルにおいては、接合基板100を-55℃の低温及び175℃の高温に順次晒した。その結果を表1及び表2に示す。
【0071】
表1及び表2に示された「OK」は、接合基板100を3000サイクルの冷熱サイクルに晒した後に、銅板131及び132が窒化ケイ素セラミックス基板110から剥離しておらず窒化ケイ素セラミックス基板110にクラックが発生していないことを超音波探傷試験により確認することができたことを示す。表1及び表2に示された「NG」は、そうでないことを示す。
【0072】
また、実施例3、実施例4、実施例15、実施例16及び比較例2において製造した接合基板100の断面のSEM画像をそれぞれ図11図12図13図14及び図15に示す。実施例3、実施例4、実施例15、実施例16及び比較例2においては、それぞれ、距離L1は、40μm(図11)、30μm(図12)、50μm(図13)、41μm(図14)、49μm(図15)であった。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
表1からは、コブ1400が図2に図示される形状を有し、角度θ1が135°以上165°以下であり、角度θ3が110°以上145°以下であり、距離L2が10μm以上である実施例1-2及び18-21においては、第1の冷熱サイクル耐久性が「OK」であるが第2の冷熱サイクル耐久性が「NG」であることを理解することができる。
【0076】
また、表1及びSEM画像からは、コブ1400が図3に図示される形状を有し、角度θ1及びθ2が135°以上165°以下であり、角度θ3が110°以上145°以下であり、距離L2が10μm以上である実施例3-16及び22-23においては、第1の冷熱サイクル耐久性及び第2の冷熱サイクル耐久性のいずれも「OK」であることを理解することができる。
【0077】
また、表1及びSEM画像からは、コブ1400が図2又は図3に図示される形状を有しない比較例1においては、第1の冷熱サイクル耐久性及び第2の冷熱サイクル耐久性のいずれも「NG」であることを理解することができる。
【0078】
また、表1及びSEM画像からは、コブ1400が図3に図示される形状を有し、角度θ1及びθ2が135°以上165°以下であるが、距離L2が10μmより短い比較例2においては、第1の冷熱サイクル耐久性及び第2の冷熱サイクル耐久性のいずれも「NG」であることを理解することができる。
【0079】
また、表1及びSEM画像からは、コブ1400が図3に図示される形状を有するが、角度θ1及びθ2が165°より大きく、距離L2が10μmより短い比較例3においては、第1の冷熱サイクル耐久性及び第2の冷熱サイクル耐久性のいずれも「NG」であることを理解することができる。
【0080】
また、表1及びSEM画像からは、コブ1400が図3に図示される形状を有し、距離L2が10μm以上であるが、角度θ1及びθ2が165°より大きい比較例4においては、第1の冷熱サイクル耐久性及び第2の冷熱サイクル耐久性のいずれも「NG」であることを理解することができる。
【0081】
また、表1及びSEM画像からは、コブ1400が図3に図示される形状を有するが、角度θ1及びθ2が135°より小さく、距離L2が10μmより短い比較例5においては、第1の冷熱サイクル耐久性及び第2の冷熱サイクル耐久性のいずれも「NG」であることを理解することができる。
【0082】
また、表1からは、コブ1400が図2に図示される形状を有し、角度θ1が135°以上165°以下であり、距離L2が10μm以上であるが、角度θ3が110°より小さい比較例6においては、第1の冷熱サイクル耐久性及び第2の冷熱サイクル耐久性のいずれも「NG」であることを理解することができる。
【0083】
また、表1からは、コブ1400が図2に図示される形状を有し、距離L2が10μm以上であるが、角度θ1が135°より小さく、角度θ3が110°より小さい比較例7においては、第1の冷熱サイクル耐久性及び第2の冷熱サイクル耐久性のいずれも「NG」であることを理解することができる。
【0084】
また、表1からは、コブ1400が図2に図示される形状を有し、距離L2が10μm以上であるが、角度θ1が165°より大きく、角度θ3が145°より大きい比較例8においては、第1の冷熱サイクル耐久性及び第2の冷熱サイクル耐久性のいずれも「NG」であることを理解することができる。
【0085】
この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0086】
100 接合基板
110 窒化ケイ素セラミックス基板
121,122 接合層
131,132 銅板
1301 第1の主面
1302 第2の主面
1303 端面
1411 第1の部分
1412 第2の部分
1413 第3の部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15