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  • 特許-糖シロップ組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-24
(45)【発行日】2023-11-01
(54)【発明の名称】糖シロップ組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 29/30 20160101AFI20231025BHJP
   A23L 29/231 20160101ALI20231025BHJP
   A23L 29/269 20160101ALI20231025BHJP
   A23L 27/00 20160101ALI20231025BHJP
   A23L 27/30 20160101ALI20231025BHJP
【FI】
A23L29/30
A23L29/231
A23L29/269
A23L27/00 E
A23L27/30 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022504510
(86)(22)【出願日】2019-07-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-30
(86)【国際出願番号】 KR2019009194
(87)【国際公開番号】W WO2021015344
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】500578515
【氏名又は名称】サムヤン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チュ,ギョンホ
(72)【発明者】
【氏名】キム,グァンス
【審査官】澤田 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-508035(JP,A)
【文献】特開昭60-087741(JP,A)
【文献】国際公開第2019/083069(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルロースと増粘剤と有機酸カルシウム塩を含む糖シロップ組成物であって、
前記増粘剤は糖シロップ組成物100重量%を基準としてペクチンとキサンタンガムを0.03~0.099重量%含み、
前記ペクチンに対する前記キサンタンガムの重量比(=キサンタンガム/ペクチン)が0.15~1.5であり、
前記有機酸カルシウム塩は前記糖シロップ組成物100重量%を基準として0.001~1.0重量%含まれ、
前記糖シロップ組成物の温度25℃で測定された粘度が500cp~3,000cpである糖シロップ組成物。
【請求項2】
前記ペクチンに対する前記キサンタンガムの重量比(=キサンタンガム/ペクチン)が0.20.8である請求項1に記載の糖シロップ組成物。
【請求項3】
前記有機酸カルシウム塩が、乳酸カルシウム、クエン酸カルシウム、コハク酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、および炭酸カルシウムからなる群より選ばれる1種以上である請求項に記載の糖シロップ組成物。
【請求項4】
前記有機酸カルシウム塩が、糖シロップ組成物100重量%を基準として、0.001~0.1重量%含まれる請求項に記載の糖シロップ組成物。
【請求項5】
砂糖、フラクトオリゴ糖およびイソマルトオリゴ糖からなる群より選ばれた1種以上の粉末を、増粘剤100重量部を基準として50~2,000重量部追加で含む請求項1に記載の糖シロップ組成物。
【請求項6】
前記増粘剤が、糖シロップ組成物100重量%を基準として、0.03~0.064重量%含まれる請求項1に記載の糖シロップ組成物。
【請求項7】
前記アルロースが、前記糖シロップ組成物100重量%を基準として、50~80重量%含まれる請求項1に記載の糖シロップ組成物。
【請求項8】
前記アルロースが、シロップ、結晶性粉末または非結晶性粉末である請求項1に記載の糖シロップ組成物。
【請求項9】
前記アルロースがアルロースシロップとして提供され、前記アルロースシロップが、果糖、ブドウ糖およびオリゴ糖からなる群より選ばれた1種以上を追加で含む請求項1に記載の糖シロップ組成物。
【請求項10】
前記増粘剤が、アルロース固形分100重量部を基準として、0.03~0.099重量部含まれる請求項1に記載の糖シロップ組成物。
【請求項11】
前記糖シロップ組成物は高甘味度甘味料を追加で含む請求項1に記載の糖シロップ組成物。
【請求項12】
前記糖シロップ組成物は色度100~500IUを有する請求項1に記載の糖シロップ組成物。
【請求項13】
粗糖抽出物、キャラメルシロップおよび人工色素からなる群より選ばれる1種以上の色度調節剤を追加で含む請求項1に記載の糖シロップ組成物。
【請求項14】
原料糖シロップとしてアルロースシロップを40-95℃に昇温する段階、および、
ペクチンキサンタンガムと有機酸カルシウム塩の混合粉末を前記昇温した原料糖シロップに添加して分散する段階を含む請求項1に記載の糖シロップ組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖シロップ組成物であって特定物性を満たす糖シロップ組成物、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、全世界的に問題となっている成人病、肥満などを解決するための方案の一つとして、韓国をはじめとする多数の国家で自国民の糖摂取を減らすための多様な政策が施行されている傾向がある。糖類低減とは、特に明記しない限り、過剰摂取時肥満、糖尿、心血管系疾患、その他各種成人病の発生の危険性を高めることが知られているブドウ糖、果糖、ショ糖など、単糖類および二糖類の含有量が低くなることを意味し、この場合、前記「糖類」にはアルロースなどの希少糖は含まれない。
【0003】
具体的には、砂糖の過剰摂取が、虫歯はもちろん肥満、糖尿病など各種生活習慣病の大きな原因と指摘されており、これに代わるだけの甘味料開発の必要性が世界的に台頭している実情がある。最近では多様な甘味素材が開発されている。
【0004】
糖類低減のための素材の一つとしてアルロースが注目を浴びているが、アルロースは粘度が低く、既存シロップ製品に対する消費者の要求、特に使用便宜性などを満足させることが難しいことから、多様な物性を有するアルロース製品が開発されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、低含有量の増粘剤を含む特定粘度範囲を有する糖シロップ組成物を提供する。
また、本発明は、低含有量の増粘剤を含む特定粘度範囲を有する糖シロップ組成物を製造する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、低含有量の増粘剤を含む特定粘度範囲を有する糖シロップ組成物、およびその製造方法を提供する。
【0007】
本発明による糖シロップ組成物は、アルロースおよび増粘剤を含み、前記増粘剤はペクチンおよびキサンタンガムを含む。前記アルロースは、シロップ、結晶性粉末または非結晶性粉末であり得る。
【0008】
本発明による糖シロップ組成物をアルロースシロップで製造する場合、前記原料糖シロップはアルロースを含むアルロースシロップまたはアルロースシロップにオリゴ糖類を追加で添加した糖シロップであり得、アルロース含有量が高い場合は流れ性が大きくなり粘度が低くなるため、消費者の使用便宜性および要求条件を満たすことが難しい。
【0009】
本発明による糖シロップ組成物は、少量の増粘剤を使用して所定の粘度条件を達成しようとするものであり、アルロースおよび増粘剤を含み、増粘剤はペクチンとキサンタンガムを含む。
【0010】
本発明の他の一例による糖シロップ組成物は、アルロース、および増粘剤としてペクチンとキサンタンガムを含み、選択的に増粘剤の分散剤および乳酸カルシウムからなる群より選ばれた1種以上を含み得る。
【0011】
本発明による糖シロップ組成物の温度25℃で測定された粘度は、500cp~3,000cp、500cp~2,500cp、500cp~2,000cp、500cp~1,500cp、500cp~1,400cp、500cp~1,300cp、500cp~1,200cp、500cp~1,100cp、500cp~1,000cp、500cp~970cp、530cp~1,500cp、530cp~1,400cp、530cp~1,300cp、530cp~1,200cp、530cp~1,100cp、530cp~1,000cp,または530cp~970cpであり得る。前記粘度単位はcp(センチポアズ)またはcpsで表記し、意味は同じである。
【0012】
また、本発明によるシロップ組成物は、貯蔵安定性が増加し、即ち多様な温度条件(例えば、25℃,35℃,45℃)でアルロース含有量を基準として2週間の保管実験を行った結果、増粘剤を単独で適用した対照群に比べて、増粘剤(ペクチン、キサンタンガム、乳酸カルシウムから2以上の組み合わせ)を併用した場合、保管時間による含有量の減少が少なくてアルロースの保管安定性に優れた糖シロップを提供する。
【0013】
本発明による糖シロップ組成物は、アルロースおよび増粘剤を含み、前記増粘剤はペクチンおよびキサンタンガムを含む。前記アルロースは、シロップ、結晶性粉末または非結晶性粉末であり得る。
【0014】
具体的には、糖シロップに含まれるアルロースの含有量は、糖シロップ組成物100重量%を基準として、50~80重量%、50~78重量%、50~76重量%、50~75重量%、50~74重量%、55~80重量%、55~78重量%、55~76重量%、55~75重量%、55~74重量%、60~80重量%、60~78重量%、60~76重量%、60~75重量%、60~74重量%、62~80重量%、62~78重量%、62~76重量%、62~75重量%、62~74重量%、63~80重量%、63~78重量%、63~76重量%、63~75重量%、63~74重量%、64.5~80重量%、64.5~78重量%、64.5~76重量%、64.5~75重量%、または64.5~74重量%であり得る。
【0015】
また、糖シロップに含まれるアルロースの含有量は、糖シロップ組成物の固形分100重量%を基準として、99.95重量%以下、99.9重量%以下、99.8重量%以下、99.7重量%以下、99.6重量%以下、99.5重量%以下、99.0重量%以下、98.5重量%以下、98.0重量%以下であり得、または5重量%以上、10重量%以上、20重量%以上、30重量%以上、40重量%以上、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上、91重量%以上、92重量%以上、93重量%以上、94重量%以上、95重量%以上、96重量%以上、または96.5重量%以上であり得、前記上限数値と下限数値の組み合わせによる含有量範囲でもあり得る。例えば、アルロース含有量は、糖シロップ組成物の固形分100重量%を基準として、5~99.95重量%、5~99.9重量%、5~99.8重量%、5~99.7重量%、5~99.6重量%、5~99.5重量%、5~99.0重量%、5~98.5重量%、5~98重量%、5~97重量%、5~95重量%、5~94重量%、5~93重量%、5~92重量%、5~91重量%、5~90重量%、5~87重量%、5~85重量%、または5~80重量%であり得、10~100重量%、10~99.9重量%、10~99.8重量%、10~99.7重量%、10~99.6重量%、10~99.5重量%、10~99.0重量%、10~98.5重量%、10~98重量%、10~97重量%、10~95重量%、10~94重量%、10~93重量%、10~92重量%、10~91重量%、10~90重量%、10~87重量%、10~85重量%、10~80重量%、80重量%~100重量%、80重量%~99.9重量%、80重量%~99.5重量%、80重量%~99重量%、80重量%~98.5重量%、85重量%~100重量%、85重量%~99.9重量%、85重量%~99.5重量%、85重量%~99重量%、85重量%~98.5重量%、90重量%~100重量%、90重量%~99.9重量%、90重量%~99.5重量%、90重量%~99重量%、90重量%~98.5重量%、91重量%~100重量%、91重量%~99.9重量%、91重量%~99.5重量%、91重量%~99重量%、91重量%~98.5重量%、92重量%~100重量%、92重量%~99.9重量%、92重量%~99.5重量%、92重量%~99重量%、93重量%~98.5重量%、93重量%~100重量%、93重量%~99.9重量%、93重量%~99.5重量%、93重量%~99重量%、93重量%~98.5重量%、94重量%~100重量%、94重量%~99.9重量%、94重量%~99.5重量%、94重量%~99重量%、または94重量%~98.5重量%であり得る。
【0016】
本発明による糖シロップ組成物をアルロースシロップで製造する場合、前記原料糖シロップは、アルロースを含むアルロースシロップまたはアルロースシロップにオリゴ糖類を追加で添加した糖シロップであり得る。原料糖シロップの固形分含有量100重量%を基準として、アルロースは、100%、99.9重量%以下、99.8重量%以下、99.7重量%以下、99.6重量%以下、99.5重量%以下、99.0重量%以下、98.5重量%以下、98重量%以下、97重量%以下、95重量%以下、94重量%以下、93重量%以下、92重量%以下、91重量%以下、90重量%以下、87重量%以下、85重量%以下、または80重量%以下であり得、または5重量%以上、10重量%以上、20重量%以上、30重量%以上、40重量%以上、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上、91重量%以上、92重量%以上、93重量%以上、94重量%以上、95重量%以上、96重量%以上、または96.5重量%以上であり得、前記上限数値と下限数値の組み合わせによる含有量範囲でもあり得る。原料糖シロップに含まれたアルロース含有量は、原料糖シロップ固形分含有量100重量%を基準として、例えば、5~100重量%、5~99.9重量%、5~99.8重量%、5~99.7重量%、5~99.6重量%、5~99.5重量%、5~99.0重量%、5~98.5重量%、5~98重量%、5~97重量%、5~95重量%、5~94重量%、5~93重量%、5~92重量%、5~91重量%、5~90重量%、5~87重量%、5~85重量%、または5~80重量%であり得、10~100重量%、10~99.9重量%、10~99.8重量%、10~99.7重量%、10~99.6重量%、10~99.5重量%、10~99.0重量%、10~98.5重量%、10~98重量%、10~97重量%、10~95重量%、10~94重量%、10~93重量%、10~92重量%、10~91重量%、10~90重量%、10~87重量%、10~85重量%、10~80重量%、80重量%~100重量%、80重量%~99.9重量%、80重量%~99.5重量%、80重量%~99重量%、80重量%~98.5重量%、85重量%~100重量%、85重量%~99.9重量%、85重量%~99.5重量%、85重量%~99重量%、85重量%~98.5重量%、90重量%~100重量%、90重量%~99.9重量%、90重量%~99.5重量%、90重量%~99重量%、90重量%~98.5重量%、91重量%~100重量%、91重量%~99.9重量%、91重量%~99.5重量%、91重量%~99重量%、91重量%~98.5重量%、92重量%~100重量%、92重量%~99.9重量%、92重量%~99.5重量%、92重量%~99重量%、93重量%~98.5重量%、93重量%~100重量%、93重量%~99.9重量%、93重量%~99.5重量%、93重量%~99重量%、93重量%~98.5重量%、94重量%~100重量%、94重量%~99.9重量%、94重量%~99.5重量%、94重量%~99重量%、または94重量%~98.5重量%であり得る。
【0017】
本発明の一例で、原料糖シロップがアルロースシロップとオリゴ糖類を含む場合、原料糖シロップ固形分含有量100重量%を基準として、アルロース10~80重量%およびオリゴ糖類を20~90重量%含むこともできる。前記原料糖シロップは、固形分含有量を60~80ブリックス(Brix)、または60ブリックス~78ブリックスで含み得る。
【0018】
アルロースシロップは、アルロース以外に、ブドウ糖、果糖および二糖類以上の糖類を含み得る。アルロースシロップは多様な方法で製造でき、好ましくは生物学的方法、例えば微生物酵素反応で製造されることができる。
【0019】
例えば、前記アルロースシロップは、アルロース含有混合糖またはこれから得られるものであり、前記混合糖は、アルロースエピマー化酵素、前記酵素を生産する菌株の菌体、前記菌株の培養物、前記菌株の破砕物、および前記破砕物または培養物の抽出物からなる群より選ばれた1種以上を含むアルロース生産用組成物を果糖-含有原料と反応させて製造された混合糖またはこれから得られるものであり得る。前記混合糖シロップは、総固形分含有量100重量部を基準として、アルロース2~55重量部、果糖30~80重量部、ブドウ糖2~60重量部、およびオリゴ糖0~15重量部を含む混合糖であり得、アルロース原料糖シロップは、前記混合糖から分離および濃縮工程によって得られたものであり得る。
【0020】
本発明のアルロース製造のための一例として、プシコースエピマー化酵素を高い発現率と安定性で生産できる発現システム、それを用いたGRAS(Generally recognized as safe)微生物、および前記発現システムを用いた微生物および酵素を含むプシコース生産方法などは、韓国登録特許第10-1318422号および第10-1656063号などに詳細に記載されている。
【0021】
本発明による糖シロップ組成物において、少量の増粘剤を使用しても容易に所定の粘度範囲を達成することが可能であり、前記増粘剤はペクチンとキサンタンガムの混合物であり得る。
【0022】
ペクチンのような増粘剤は、原料糖シロップの温度が高いほど溶解度および分散度が高まる傾向があるが、糖シロップを加熱する場合、加熱による分解および色度変化など好ましくない変化を伴うので、本発明の一例では分散剤を使用することによって加熱による糖シロップの好ましくない変化を防止または減少させる長所がある。
【0023】
キサンタンガムは、増粘効果が高いガム類としてシロップに含まれた水分を吸収して高い粘度を実現する。ただし、ペクチンによって形成された粘性は、糖シロップとは異なる伸びる形態で、シロップ固有の物性とは異なり、使用便宜性および嗜好性において悪影響を及ぼし得る。キサンタンガムを単独で使用する場合、糖シロップの粘性と異なる形態の物性で糖シロップには合わない粘性を示すことが確認された。
【0024】
前記増粘剤は、キサンタンガム/ペクチンガムの重量比が0.15~1.5のものであり、更に好ましくは0.2~0.8であり、前記数値が増加するほど糖シロップの粘度が増加するが粘度嗜好度が低くなる傾向があるので、粘度強度および嗜好度を考慮して適切な数値範囲を選択することができる。
【0025】
本発明による糖シロップ組成物は、少量の増粘剤を使用しても充分な粘度範囲を達成することが可能であり、増粘剤は、糖シロップ組成物100重量%を基準として、好ましくは0.03~0.099重量%、0.03~0.095重量%、0.03~0.090重量%、0.03~0.085重量%、0.03~0.080重量%、0.03~0.075重量%、0.03~0.070重量%、0.03~0.066重量%、0.03~0.065重量%、0.03~0.064重量%、0.05~0.099重量%、0.05~0.095重量%、0.05~0.090重量%、0.05~0.085重量%、0.05~0.080重量%、0.05~0.075重量%、0.05~0.070重量%、0.05~0.066重量%、0.05~0.065重量%、または0.05~0.064重量%であり得る。
【0026】
本発明の一例により、アルロースと増粘剤を含む糖シロップ組成物における増粘剤の含有量は、アルロースの固形分含有量100重量部を基準として、0.03~0.099重量部、0.03~0.0985重量部、0.03~0.098重量部、0.03~0.0975重量部、0.03~0.097重量部、0.03~0.0965重量部、0.03~0.096重量部、0.03~0.0955重量部、0.03~0.095重量部、0.03~0.094重量部、0.03~0.093重量部、0.05~0.099重量部、0.05~0.0985重量部、0.05~0.098重量部、0.05~0.0975重量部、0.05~0.097重量部、0.05~0.0965重量部、0.05~0.096重量部、0.05~0.0955重量部、0.05~0.095重量部、0.05~0.094重量部、0.05~0.093重量部、0.06~0.099重量部、0.06~0.0986重量部、0.06~0.098重量部、0.06~0.0975重量部、0.06~0.097重量部、0.06~0.0965重量部、0.06~0.096重量部、0.06~0.0955重量部、0.06~0.095重量部、0.06~0.094重量部、0.06~0.093重量部、0.065~0.099重量部、0.065~0.0985重量部、0.065~0.098重量部、0.065~0.0975重量部、0.065~0.097重量部、0.065~0.0965重量部、0.065~0.096重量部、0.065~0.0955重量部、0.065~0.095重量部、0.065~0.094重量部、0.065~0.093重量部、0.07~0.099重量部、0.07~0.0985重量部、0.07~0.098重量部、0.07~0.0975重量部、0.07~0.097重量部、0.07~0.0965重量部、0.07~0.096重量部、0.07~0.0955重量部、0.07~0.095重量部、0.07~0.094重量部、0.07~0.093重量部、0.08~0.099重量部、0.08~0.0985重量部、0.08~0.098重量部、0.08~0.0975重量部、0.08~0.097重量部、0.08~0.0965重量部、0.08~0.096重量部、0.08~0.0955重量部、0.08~0.095重量部、0.08~0.094重量部、または0.08~0.093重量部であり得る。
【0027】
本発明による糖シロップ組成物において少量の増粘剤を使用しても容易に所定の粘度範囲を達成することが可能であり、好ましくはカルシウム塩、例えば有機酸カルシウム塩を追加で含み得る。ペクチンとの架橋結合により粘度を増進するカルシウム塩には、乳酸カルシウム、クエン酸カルシウム、コハク酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウムおよび硫酸カルシウムなどがあり、好ましくは乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウムまたはクエン酸カルシウム、更に好ましくは乳酸カルシウムを使用でき、1種以上の混合使用が可能である。
【0028】
前記有機酸カルシウムは、全体糖シロップ組成物100重量%を基準として、0.001~3.0重量%、0.001~2.0重量%、0.001~1.0重量%、0.001~0.5重量%、0.001~0.1重量%、0.003~3.0重量%、0.003~2.0重量%、0.003~1.0重量%、0.003~0.5重量%、0.003~0.1重量%、0.005~3.0重量%、0.005~2.0重量%、0.005~1.0重量%、0.005~0.5重量%、または0.005~0.1重量%であり得る。乳酸カルシウム含有量による増粘上昇効果は、全体糖シロップ組成物を基準として、0.01重量%までは増加するが、それ以上の多量で添加する場合は添加量に比べて粘度上昇率は大きくない。
【0029】
本発明の一例による糖シロップ組成物は、増粘剤の低い分散度および溶解度を改善するために、増粘剤の分散剤を追加で含み得る。本発明の一例による分散剤の含有量は、増粘剤100重量部を基準として、50~2,000重量部、50~1,500重量部、50~1,000重量部、100~2,000重量部、100~1,500重量部、100~1,000重量部で使用できる。
【0030】
分散剤の具体的な例は、二糖類、糖アルコール類およびオリゴ糖類からなる群より選ばれた1種以上であり得、好ましくはオリゴ糖類であり得る。前記分散剤は、粉末形態で添加されることが好ましい。前記糖アルコール類は、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、イノシトールおよびラクチトールからなる群より選ばれる。前記オリゴ糖類は、ガラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖および大豆オリゴ糖からなる群より選ばれた1種以上であり得る。
【0031】
本発明の一例で、前記糖シロップ組成物は、色度100~500IUを有するものであり得る。糖シロップ自体で前記色度数値範囲を調節したり、または粗糖(非精製糖)抽出物、キャラメルシロップおよび人工色素からなる群より選ばれる1種以上の色度調節剤を追加して調節することができる。前記添加される色度調節剤の含有量は、各色度調節剤が有する色度(IU)を考慮して適切な含有量で含み得、例えば色度調節剤の含有量は、糖シロップ組成物100重量%を基準として、0.0001~1.0重量%の含有量で含まれ得る。
【0032】
本発明の一例で、前記糖シロップ組成物は、甘味度調節のためにスクラロース、レバウディオサイドおよびステビアからなる群より選ばれた1種以上の甘味素材を追加で含み得る。前記添加される甘味素材の含有量は、素材それぞれの砂糖に対して甘味度を考慮して適切な含有量で含み得、例えば糖シロップ組成物100重量%基準として、0.00001~5重量%の含有量で含まれ得る。
【0033】
本発明の一例は、糖シロップ組成物の粘度を調節する方法または特定の粘度範囲を有する糖シロップ組成物の製造方法に関し、原料糖シロップと増粘剤および分散剤を添加して混合する段階を含む。前記増粘剤と分散剤は先に粉末を混合して混合粉末に製造した後に、原料糖シロップに添加することができる。
【0034】
具体的一例で、前記原料糖シロップを昇温する場合、増粘剤のペクチンの分散により好ましく、例えば40~95℃、40~90℃、40~85℃、40~80℃、40~75℃、40~70℃、40~65℃、40~60℃、45~95℃、45~90℃、45~85℃、45~80℃、45~75℃、45~70℃、45~65℃、45~60℃、50~95℃、50~90℃、50~85℃、50~80℃、50~75℃、50~70℃、50~65℃、または50~60℃の温度に昇温する段階を含み得る。
【0035】
前記原料糖シロップの昇温段階は、原料糖シロップの加熱による褐変を最小化するためにスチームまたは熱水を用いた間接加熱方式が好ましい。
【0036】
前記増粘剤と分散剤の混合粉末を製造する段階は、増粘剤と分散剤は、粉末を混合する工程のあらゆる粉末混合工程が適用可能であり、好ましくはVミキサまたは無重力ミキサなどの設備を用いることができる。
【0037】
前記混合粉と原料糖シロップを混合する段階は、原料糖シロップが目標温度に到達した時、増粘剤と分散剤の混合粉末を1回または数回に分けて投入する過程により行われることができる。前記混合粉末を数回に分けて投入する過程は、増粘剤混合粉の効率的な分散のための過程で、好ましくは3回以上に分けて投入することができる。増粘剤投入時の攪拌速度は10~500rpmで攪拌することができる。
【0038】
本発明のまた他の一例は、温度25℃で粘度500~1,500cpの糖シロップ組成物自体を製品化して、食品、食品添加剤、飲料、または飲料添加剤として適用することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明は、低含有量の増粘剤を含む特定粘度範囲を有する糖シロップ組成物、およびその製造方法を提供し、流れ性、粘度強度および粘度嗜好度を高め、消費者の使用便宜性および要求条件を満たし、そのため多様な食品に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の一実施例による糖シロップ組成物の分散度を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【実施例
【0041】
以下、実施例により本発明をより詳しく説明するが、本発明の保護範囲が下記の実施例に限定される意図ではない。
【0042】
実施例1: 糖シロップ組成物の製造
原料アルロースシロップ組成物は、組成物の固形分含有量100重量%を基準として、アルロース95重量%を含み、74ブリックス(Bx)のアルロースシロップを使用した。糖シロップの製造に使用されたアルロースシロップの含有量(重量%)を下記の表1に示した。
ペクチンとキサンタンガムを均質に混合し、乳酸カルシウムを追加で混合して混合粉末を製造した。前記アルロースシロップを55℃の温度に昇温した後に、前記混合粉末を投入して60rpmで攪拌しながらシロップの性状を観察し、ペクチンがすべて混合した後、常温に放置して層形成させ、その後、再攪拌による均質化を行ってpH4.5の混合糖シロップを製造した。アルロースシロップとペクチンとキサンタンガムの使用量は、全体糖シロップ組成物の100重量%を基準として、ペクチン0.048重量%、キサンタンガム0.018重量%、乳酸カルシウム0.01重量%であった。前記ペクチン(低メトキシルペクチン)はCPKelco製品であり、キサンタンガムはFine Gradeキサンタンガム(Keltrol F)、CPKelco製品を使用した。アルロースシロップを除いた原料成分の組成は、下記の表1に固形分重量%で表示した。
前記シロップの粘度を測定するために、前記試料50mLをビーカーに入れて、25℃で粘度計(粘度計spindle 62-Speed 6,Brookfield Engineering Laboratories Inc.USA)を用いて測定し、測定結果は粘度525cpであった。
【0043】
実施例2: 糖シロップ組成物の製造
原料アルロースシロップ組成物は実施例1と同じものを使用し、糖シロップの製造に使用されたアルロースシロップの含有量(重量%)を下記の表2に示した。
ペクチン、キサンタンガムおよびフラクトオリゴ糖粉末を均質に混合して混合粉末を製造した。前記アルロースシロップを55℃の温度に昇温した後に、前記混合粉末を投入して60rpmで攪拌しながらシロップの性状を観察し、ペクチンがすべて混合した後、常温に放置して層形成させ、その後、再攪拌による均質化を行った。アルロースシロップとペクチンとキサンタンガムの使用量は下記の表1に示した。
前記シロップの粘度を測定するために、前記試料50mLをビーカーに入れて25℃で粘度計(粘度計spindle 62-Speed 6,Brookfield Engineering Laboratories Inc.USA)を用いて測定した。アルロースシロップを除いた原料成分の組成を下記の表2に固形分重量%で表示した。粘度測定結果を下記の表2に示した。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
シロップの粘度は、ペクチン含有量に対してキサンタンガムの含有量が減るほど増加し、増粘剤の総量に比例して増加することを確認した。
【0047】
実施例3: 糖シロップ組成物の製造
(1)糖シロップの製造
原料アルロースシロップ組成物は実施例1と同じものを使用し、糖シロップの製造に使用されたアルロースシロップの含有量(重量%)を下記の表3に示した。
ペクチン、キサンタンガム、フラクトオリゴ糖、および乳酸カルシウム粉末を均質に混合して混合粉末を製造した。前記アルロースシロップを55℃の温度に昇温した後に、前記混合粉末を投入して60rpmで攪拌しながらシロップの性状を観察し、ペクチンがすべて混合した後、常温に放置して層形成させ、その後、再攪拌による均質化を行った。アルロースシロップとペクチンとキサンタンガムの使用量(重量%)を下記の表3に示した。
【0048】
(2)粘度測定
前記シロップの粘度を測定するために、前記試料50mLをビーカーに入れて、25℃で粘度計(粘度計spindle 62-Speed 6,Brookfield Engineering Laboratories Inc.USA)を用いて測定した。
また、前記試料3-9を製造した後に45℃に冷却後、糖シロップの写真を図1に示した。図1に示した通り、糖シロップ内増粘剤の分散度と溶解度を評価した結果、前記試料3-9は糖シロップ内の塊りなど無しで増粘剤がよく分散していることを確認することができた。前記増粘剤の分散は、フラクトオリゴ糖を含む場合に向上したことが確認された。下記の表3および表4には原料組成(単位:重量%)および粘度を示す。
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
前記表4の粘度測定結果に示した通り、試料3-6および3-7と、試料3-8~3-11の粘度測定結果において、一定使用量の範囲内で乳酸カルシウムの使用量が増加するほど粘度が上昇することを確認し、これは、ペクチンの架橋結合にカルシウムイオンが作用した効果であると判断される。また、糖シロップ内ペクチンの含有量が同じ条件で、乳酸カルシウム含有量による増粘上昇効果は、全体糖シロップ組成物を基準として0.01重量%までは増加するが、それ以上多量に添加する場合の添加量に比べて粘度上昇率は大きくない。
【0052】
比較例1: 糖シロップの製造
実施例2と同じ原料および方法で糖シロップを製造するが、ただしキサンタンガムを使用せず、0.66重量%ペクチンとフラクトオリゴ糖粉末を均質に混合して混合粉末を製造し、アルロースシロップに溶解して糖シロップを製造し、粘度を測定した。
【0053】
比較例2: 糖シロップの製造
実施例3と同じ原料および方法で糖シロップを製造するが、ただしペクチンを使用せず、0.66重量%のキサンタンガム、0.1重量%の乳酸カルシウムと0.4重量%のフラクトオリゴ糖粉末を均質に混合して混合粉末を製造し、アルロースシロップに溶解して糖シロップを製造し、粘度を測定した。
【0054】
比較例3: 糖シロップの製造
実施例2と同じ原料および方法で糖シロップを製造するが、ただしキサンタンガムを使用せず、0.08重量%のペクチン、0.014重量%のカラギーナン、0.35重量%のフラクトオリゴ糖粉末を均質に混合して混合粉末を製造し、アルロースシロップに溶解して糖シロップを製造し、粘度を測定した。
【0055】
【表5】
【0056】
前記表5に示した通り、ペクチン0.066重量%で単独使用した糖シロップ(比較例1)、ペクチンとカラギーナンの混合物を使用した糖シロップ(比較例3)は、所定の粘度条件を満たす糖シロップ組成物を得られなかった。キサンタンガムを単独で使用した糖シロップ(比較例2)の場合、粘度は増加するが、糖シロップの官能的嗜好度を下落させる結果を招いた。
【0057】
試験例2: 糖シロップの官能評価
(1)粘度の強度評価
前記製造された糖シロップ15mlを口の中に入れて20秒間口腔表皮をまんべんなく刺激した後吐き出し、一試料の評価を終えるたびに水で口の中を洗浄して10分が経過した後に次の試料を評価し、前記官能要素を5点尺度(5-point box scale)で表示した。飲料の官能的特性に及ぼす影響を調べるために、官能評価に使用したすべての試料の温度は常温になるように準備した。官能評価要員は、味と香味評価に対して訓練されたパネル12名で構成し、5点尺度で表示した。
粘度強度に係る5点尺度は、1点非常に弱い、2点弱い、3点適当である、4点強い、5点非常に強い、に設定した。粘度強度の官能評価に対する12名のパネルの評価結果とこれら評価値の平均値を下記の表6に示した。
【0058】
(2)粘度の嗜好度評価
前記粘度強度と同じ官能評価パネルおよび方法を用いて行い、粘度嗜好度に係る5点尺度は、1点非常に悪い、2点悪い、3点普通、4点良い、5点非常に良い、に設定した。粘度嗜好度の官能評価に対する12名のパネルの評価結果とこれら評価値の平均値を下記の表6に示した。
【0059】
【表6】
【0060】
前記表6に示した通り、粘度の強度に係る官能評価はキサンタンガム単独使用が強いことが分かった。粘度の嗜好度に係る官能評価は、ペクチンとキサンタンガムの混合増粘剤を使用した場合に3.83点で良好であったが、キサンタンガム単独の場合は2.33点で低く示された。したがって、比較例2のようにキサンタンガム単独使用の場合、糖シロップの粘性と異なる形態の物性で糖シロップには合わない粘性を示すことが確認された。
【0061】
実施例5: 糖シロップの保管安定性評価
実施例3で製造された試料3-9と比較例1の比較試料を容器に投入し密封して45℃の温度条件で保管して、保管安定性試験開始時点(0週次)、1週次、および2週次に混合糖シロップに含まれたアルロース含有量をHPLCで分析した。
前記HPLC分析条件は、炭水化物分析カラム(Bio-rad Aminex(商標名)HPX-87C)を用いて、80℃で水を移動相にして高速液体クロマトグラフ(HPLC,Agilent社)分析を行った。
保管安定性試験開始時点で測定した試料内のアルロースシロップの含有量(重量%)は、糖シロップ組成物100重量%を基準として、試料3-9に対して95.91重量%であり、比較例1に対して97.64重量%であり、1週次および2週次に測定された減少量(アルロース重量%の差)に対する分析結果を下記の表7に示した。
【0062】
【表7】
【0063】
LCを用いてシロップ中のアルロース含有量を分析した結果として、45℃温度の苛酷条件で保管する場合、本発明による試料3-9でアルロース含有量の減少が少なく示され、増粘剤としてペクチンのみ使用する比較例1の場合、アルロースの減少量が大きくて保管安定性が低いことを確認した。また、本発明による試料で乳酸カルシウムが含まれた場合、ペクチンの架橋度を増加させて好ましい粘度範囲を達成し、シロップ内でpH Bufferの役割をしてpH低下が鈍くなり、それによるアルロース分解程度が遅くなる機能もありより好ましい。
図1