(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-24
(45)【発行日】2023-11-01
(54)【発明の名称】車両部品のギャップ・フラッシュ測定方法及び測定用トンネル
(51)【国際特許分類】
G01B 11/245 20060101AFI20231025BHJP
【FI】
G01B11/245 H
(21)【出願番号】P 2022506341
(86)(22)【出願日】2020-07-28
(86)【国際出願番号】 ES2020070488
(87)【国際公開番号】W WO2021079018
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2022-05-16
(32)【優先日】2019-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(73)【特許権者】
【識別番号】522039441
【氏名又は名称】エイネス・システムズ・ソシエダッド・リミターダ・ウニペルソナル
【氏名又は名称原語表記】EINES SYSTEMS, S.L.U.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】ベルダ プラ,ヘスス
(72)【発明者】
【氏名】ブロト ルイス,ホルヘ
(72)【発明者】
【氏名】アリバス ロサノ,ホセ
(72)【発明者】
【氏名】エステベ クベル,マリア ホセ
【審査官】信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】スペイン国特許出願公開第2362262(ES,A1)
【文献】米国特許第06529283(US,B1)
【文献】国際公開第2012/154878(WO,A1)
【文献】特開2012-253758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定トンネルによって車両部品
間のギャップとフラッシュを測定する方法であって、
ビデオカメラの内部パラメータと外部パラメータを計算することにより、前記測定トンネルに設置された
前記ビデオカメラを較正するステップ、
前記測定トンネルの共通基準
系SCEを構築し、前記ビデオカメラを前記共通基準
系SCEにリンクさせるステップ、
前記共通基準
系SCEに基づき、車両の少なくとも4つの基準点のステレオビジョンによる3D座標を計算し、前記4つの基準点のそれぞれのX、Y、Z座標を取得するステップ、
コンピュータ支援設計ファイル
CADから、
3次元の車両寸法と車両基準系
SCVに基づいて
、前記4つの基準点のそれぞれのX,Y,Z座標を
計算するステップ、
前記ビデオカメラに同期して
少なくとも2つのライトから光ビームを発射するステップであって、前記車両部品の部品に当たった光ビームは反射し、前記車両部品間のギャップに入った光は光ビームを反射する部品エッジ間に閉じ込められて反射しない、ステップ、
前記ビデオカメラによって、反射を欠く前記車両部品の少なくとも2つの同期した2D画像を撮影するステップであって、前記同期した2D画像のそれぞれの識別子IDは、前記測定トンネルに対する前記車両の空間位置に関連付けられ、前記共通基準系SCEに基づいて前記エッジのそれぞれのX,Y座標と前記識別子IDを計算するエッジ認識アルゴリズムを適用するステップ、
前記同期した2D画像を3D画像に結合し、前記3D画像内の前記エッジが前記共通基準系SCEにリンクされたX,Y,Z座標を有するようにするステップ、
前記車両基準系SCVにリンクされた前記3D画像の前記エッジのX,Y,Z座標を数式1を用いて計算するステップであって、
【数1】
ここで、SCVは前記車両基準系SCVにリンクしたX,Y,Z座標を定義する行列、MRは関係行列、SCEは前記共通基準系統SCEにリンクしたX,Y,Z座標を定義する行列であり、SCVは前記車両基準系SCVにリンクしたX,Y,Z座標を定義する行列である、ステップ、および
前記車両基準系SCVにリンクされた座標X,Y,Z上の前記エッジ間のギャップ距離として、車両部品
間のフラッシュとギャップを算出するステップ、とを含む方法。
【請求項2】
前記ビデオカメラを較正するステップは、前記内部パラメータを計算するために、
少なくともデータマトリクスコードとフィデューシャルマーカを含む較正チェスボードの少なくとも2つの画像を撮影するサブステップ、
前記データマトリクスコードを復号して、前記較正チェスボードのマスのサイズ、行数および列数を取得するサブステップ、
前記データマトリクスコードに基づいて、前記較正チェスボードの
中心マスを決定するサブステップ、
前記中心マスを起点とする前記マスの全ての接続を計算するサブステップ、および
前記マスのつながり、前記ビデオカメラに内蔵された
光学系のサイズ、および前記カメラのCDDの
セルサイズに基づいて、光学中心、焦点距離、少なくとも6つの放射状歪みのパラメータ(K1-K6)および少なくとも2つの接線方向歪みのパラメータ(P1、P2)を計算するサブステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の測定トンネルに
よって車両部品
間のギャップ及びフラッシュを測定するための方法。
【請求項3】
前記ビデオカメラを較正するステップは、さらに、前記外部パラメータを計算するために、
前記較正チェスボードを、少なくとも1つの
前記ビデオカメラによって見える前記測定トンネル内の位置に設置するサブステップ、
トータルステーションを使用して、前記較正チェスボードを測定するサブステップを含み、
前記較正チェスボードの測定は、
前記トータルステーションにより前記測定
トンネルの4つの固定点を測定すること、
前記
測定トンネル内で前記車両を搬送する車両コンベアに対して、前記共通基準系SCEを得るために前記トータルステーションを反復して配置すること。
前記トータルステーションを前記共通基準系SCEで使用し、前記較正チェスボード上にある少なくとも12点の補助点を測定すること、
剛体の推定と変換を使用して、前記共通基準系SCEと前記較正チェスボードとの間の関係を計算すること、
前記ビデオカメラのそれぞれによる前記較正チェスボードの少なくとも1つの画像を保存すること、
前記ビデオカメラのそれぞれのローカル座標系を計算し、前記ローカル座標系と前記共通基準系SCEとの変換を計算することを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の測定トンネルに
よって車両部品
間のギャップ及びフラッシュを測定するための方法。
【請求項4】
前記ステレオビジョンによって前記3D座標を計算するステップは、
測定された
前記4つの基準点に視覚的にアクセスできる、車両の片側あたり2つの
前記ビデオカメラを選択するサブステップ、
前記測定トンネルに対する前記
車両コンベア上の前記車両の同期した動きを考慮し、前記車両上で計算する基準点を選択するサブステップ、および
コントラストベクトル探索アルゴリズムにより、後続の類似車両を認識するための認識パターンを作成するサブステップを含む、請求項1に記載の測定トンネルに
よって車両部品のギャップ及びフラッシュを測定する方法。
【請求項5】
車両部品
間のギャップとフラッシュを測定するための測定トンネルであって、測定トンネル(1)は、
車両(7)の画像を撮影するためのビデオカメラ(2)、
前記車両(7)を直線的に移動させ、前記測定トンネル(1)内を長手方向に通過させるコンベア(8)、
前記車両(7)の移動を計測する位置エンコーダ(9)、
前記測定トンネルにおける複数の固定点を測定するトータルステーション(11)(12)と、
較正パターン(4)が配置された較正チェスボード(3)、
前記ビデオカメラ(2)と同期している少なくとも2つのライト(22)、
少なくとも前記ビデオカメラによって撮影された画像、前記車両のコンピュータ支援設計(CAD)ファイル、およびエッジ認識アルゴリズムを記憶する処理・記憶手段(10)であって、前記ライト(22)、前記ビデオカメラ(2)、前記コンベヤ(8)および前記位置エンコーダ(9)に接続され、処理・記憶手段が、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法の手順を実行するように構成されている、測定トンネル。
【請求項6】
前記較正パターン(4)が、千鳥状に配置されたマス(4c)によって形成されており、さらにデータマトリクスコード(4a)およびフィデューシャルマーカ(4b)を含む、請求項5に記載の車両部品
間のギャップおよびフラッシュを測定するための測定トンネル。
【請求項7】
前記測定トンネル(1)が、前記測定トンネル(1)の内部に、
前記ビデオカメラ(2)及び
前記ライト(22)を支持するための逆U字型の支持構造(5)及び前部支持構造(6)をさらに含む、請求項5に記載の車両部品
間のギャップ及びフラッシュを測定するための測定トンネル。
【発明の詳細な説明】
【発明の目的】
【0001】
本発明の目的は、車両部品のギャップおよびフラッシュ(面一度)の測定方法、および車両部品のギャップおよびフラッシュを測定するために必要な手段を備えた測定トンネルである。
【0002】
本発明の目的は、その方法によって、異なる車両部品の周囲の部品に対するギャップおよびフラッシュを測定するプロセスを自動化することである。例えば、車両のドアは、他のドア、フェンダなど、ドアを囲む車両部品とフラッシュでなければならない周縁を有する。さらに、ドアは、ドアが適切に開閉するように、非常に狭いマージン内で特定のギャップを有する必要がある。
【技術分野】
【0003】
本発明が属する技術分野は、車両表面に接触することなく該車両表面に適用される測定装置および測定方法である。
【背景技術】
【0004】
現在、「ギャップ・アンド・フラッシュ」と呼ばれる測定システムは、3Dセンサを内蔵したロボットを用いて(主に最終組立製品上で)測定を行うことが多い自動システムである。固定式センサを用いたシステムもあるが、精度に欠ける。また、手動式のシステムもあり、携帯端末を持ったオペレータが車体の測定箇所にメータを当てて揺動させることでフラッシュを測定する。
【0005】
オペレータを必要とするシステムは、一人の作業者が車体の左右に移動しなければならないため時間がかかり、さらに、車体に測定器を載せるために車体の塗装に影響を与える可能性がある。
【0006】
ロボットを用いた計測システムは、ロボットやセキュリティなどのコストが高いため、導入コストが高いという欠点がある。すなわち、よくあることであるが最終組み立てを行うオペレータのようにロボットの専門家ではないユーザーには設定が難しい、メンテナンスコストが高い、新しいポイントを追加または削除する際にロボットを再プログラムしなければならないために変更への適応性が十分ではない、測定するセクションの数が限られている、言い換えれば、物理的な限界を持つロボットの速度に強く依存するため、可能なセクション数には最大数が存在する、などの欠点を有している。
【0007】
したがって、車両を構成する部品のギャップとフラッシュを計算する問題に対して、完全に自動化された解決策を見つけることが望ましいと思われる。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、車両部品のギャップとフラッシュを測定する方法と、車両部品のギャップとフラッシュを測定するための測定トンネルを開示する。
【0009】
本発明の第1の態様では、車両部品のギャップとフラッシュを測定するための測定用トンネルが開示される。この測定トンネルは、車両の画像を撮影するビデオカメラと、車両を直線的に移動させて測定トンネルを長手方向に通過させるコンベアと、車両の移動を測定する位置エンコーダと、測定トンネル構造の固定点を精密かつ3Dで測定するトータルステーションと、較正パターンが配置された較正チェスボードと、ビデオカメラと同期した少なくとも2つのライトと、少なくともビデオカメラによって撮影された画像、車両のコンピュータ支援設計(CAD)ファイルおよびエッジ認識アルゴリズムが記憶されている処理・記憶手段で構成されている。さらに、処理・記憶手段は、ライト、ビデオカメラ、コンベア、および位置エンコーダに接続されている。最後に、処理手段および記憶手段は、本発明の別の形態で定義される車両部品のギャップおよびフラッシュを測定するための方法のステップを実行するように構成されている。
【0010】
位置エンコーダは、コンベヤを動かすモータのシャフトに接続し、モータが回転している間にパルスを発生させるパルス発生器であることに留意しなければならない。本発明では、パルスが長さの測定値に変換されるため、位置エンコーダは、その搬送中における車両の前進を測定するために使用される。
【0011】
測定トンネルの一実施形態において、較正パターンは、千鳥状に配置されたマスによって形成されている。さらに、較正パターンは、データマトリクスコードとフィデューシャルマーカとから構成される。データマトリクスコード及びフィデューシャルマーカは、行及び列の数、中央のマスの位置、マスのサイズ、マスの色などの較正パターンに関連する情報を含む。好ましくは、マスは、その接続点を決定する際にコントラストが大きくなるため、白黒とする。
【0012】
本発明の測定トンネルの別の実施形態では、測定トンネルは、さらに、測定トンネル内を観察するために、ライトとカメラを支持するために、逆U字型の支持構造体と前部支持構造体とを備える。ライトとビデオカメラのためのこれらの支持体は、ビデオカメラを、カメラが測定トンネルの内部にある車両を完全に走査できるように位置付けるために好都合である。
【0013】
測定トンネルの別の実施形態では、ライトは最小400mmの長さを有する。さらに、または選択的に、ライトはLED技術を有する。
【0014】
本発明の第2の態様では、本発明の第1の態様の測定トンネルに関連する車両部品のギャップ及びフラッシュを測定するための方法が開示される。車両部品のギャップ及びフラッシュを測定するための方法は、以下のステップを備える。
ビデオカメラの内部パラメータ及び外部パラメータを計算することによって、測定トンネル内に構成されたビデオカメラを較正するステップ。
測定トンネルのための共通基準システムSCEを構築し、ビデオカメラを共通基準システムSCEにリンクさせるステップ。
共通基準システムSCEに基づき、車両の少なくとも4つの基準点のステレオビジョンによる3D座標を計算し、各基準点のX、Y、Z座標を取得するステップ。
コンピュータ支援設計(CAD)ファイルから車両基準系(SCV)に基づいて各基準点のX,Y,Z座標を計算し、3次元の車両測定値を得るステップ。
少なくとも2つのライトから、前記ビデオカメラに同期して、前記車両部品から反射する光と、前記車両部品間の隙間に入り光を反射しない光ビームを発射し、光反射の欠如が光を反射しないエッジ間に閉じ込められるステップ。
ビデオカメラによって、反射を欠く車両部品の少なくとも2つの同期した2D画像を撮影し、各同期した2D画像の識別子IDは、測定トンネルに対する車両の空間位置に関連付けられ、共通基準系SCEに基づいて各エッジのX,Y座標と識別子IDを計算するエッジ認識アルゴリズムを適用するステップ。
同期された2D画像を3D画像に結合し、3D画像内のエッジが共通基準系SCEにリンクされたX,Y,Z座標を有するステップ。
車両基準系SCVにリンクされた3D画像のエッジのX,Y,Z座標を次式から計算するステップ。
SCV=逆数(MR)×SCE
ここで、SCVは車両基準系SCVにリンクしたX,Y,Z座標を定義する行列、SCEは共通基準系SCEにリンクしたX,Y,Z座標を定義する行列、MRは両方の基準系の間の関係行列で、ある基準系から別の基準系に変換するために必要な移動、回転、倍率を定義する行列である。
車両基準系SCVにリンクされた座標X,Y,Z上のエッジ間のギャップ距離として、車両部品のフラッシュとギャップを計算すること。
【0015】
この例として、車両のフロントドアから対応するフェンダまでの距離を測定する場合、ライトに照らされたときに光を反射するドアの最後のポイントによって決まる「セクション」(線)があり、これがセクションの端となり、ライトで照らされたときに光を反射するフェンダの最後のポイントが、セクションの他の端となる。端と端の間の部分は光を反射せず、車両部品(ドアとフェンダ)間の3次元的な距離(ギャップとフラッシュ)を表す。
【0016】
ビデオカメラの較正ステップで説明したビデオカメラの較正処理では、内部パラメータと外部パラメータを算出する。内部パラメータを計算するために、以下のサブステップが実行される。
少なくともデータマトリクスコードとフィデューシャルマーカを含む較正チェスボードの少なくとも2つの画像を撮影するサブステップ。
データマトリクスコードを復号して、較正チェスボードのマスのサイズ、行数および列数を取得するサブステップ。
データマトリクスコードに基づいて、較正チェスボードの中心マスを決定するサブステップ。
前記中心マスを起点とするマスの繋がりをすべて計算するサブステップ。
前記マスの繋がり、ビデオカメラに含まれる光学系サイズ、ビデオカメラのCCDのセルサイズから、光学中心、焦点距離、少なくとも6つの径方向歪みパラメータ(K1-K6)、少なくとも2つの接線歪みパラメータ(P1、P2)を計算するサブステップ。
【0017】
さらに、外部パラメータを算出するために、車両のギャップとフラッシュを測定する方法は、以下のサブステップを含む。
較正チェスボードを測定トンネル内の少なくとも1台のビデオカメラで見える位置に設置するサブステップ。
トータルステーションを使用して、較正チェスボードを測定するサブステップ。
トータルステーションにより測定トンネルの構造上の4つの固定点を測定するブステップ。
トータルステーションを繰り返し配置し、検査トンネル内を介して車両を搬送する車両コンベヤを基準とした共通基準系SCEを取得するサブステップ。
共通基準系(SCE)においてトータルステーションを使用し、較正チェスボード上に位置する少なくとも12の補助点を測定するサブステップ。
剛体の推定と変換を使用して、共通基準系(SCE)と較正チェスボードとの間の関係を計算するサブステップ。
各ビデオカメラによる、較正チェスボードの少なくとも1つの画像を保存するサブステップ。
各ビデオカメラのローカル座標系を計算し、ローカル座標系の共通基準系SCEへの変換を計算するサブステップ。
【0018】
ビデオカメラの較正が完了し、共通基準系SCEを構築してビデオカメラを共通基準系SCEにリンクすると、次に、共通基準系SCEに基づいて車両の4つの基準点のステレオビジョンによる3次元座標を計算し、各基準点のX,Y,Z座標を取得する。車両の4つの基準点のステレオビジョンによる3次元座標を計算するために、以下のステップが実行される。
測定する4つの基準点に対して視覚的にアクセスできるビデオカメラを、車両の片側につき2台選択するステップ。
測定トンネルに対するコンベア上の車両の同期した動きを考慮し、車両上で計算される基準点を選択するステップ。
【0019】
オプションとして、先の2つのステップに加えて、ベクトル検索アルゴリズムによって後続の類似車両を認識するための認識パターンを作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、車両部品のギャップやフラッシュを測定するための測定トンネルと、その内部の車両を示す。
【
図2】
図2は、較正チェスボードが底面に配置された本発明の測定トンネルを示す。
【
図3】
図3は、較正チェスボードの較正パターンを示す。
【
図4】
図4は、トータルステーションが測定トンネルの4つの固定点の3次元座標を取得している様子を示す。
【
図5】
図5は、ビデオカメラによる車両の4つの基準点の算出を示したものである。
【
図7】
図7は、共通基準点システムSCEと車両基準点システムSCVを示す図である。
【
図8】
図8は、2つの部品間のギャップとフラッシュを測定する車両を示す図である。
【
図9】
図9は、車両の2つの部品の表面の掃引と、2つのエッジの間に定義された前記表面の不連続性とを示す図である。
【
図10】
図10は、車両の2つの部品の間の不連続の2D画像と、エッジのX,Y座標による2Dのエッジの位置とを示す図である。
【
図11】
図11は、車両の2つの部品間の不連続性と、エッジのX、Y、Z座標による3次元でのエッジの位置の3次元画像である。
【符号の説明】
【0021】
1. 計測用トンネル。
2. ビデオカメラ
3. 較正チェスボード
4. 較正パターン:4a-データマトリクスコード、4b-フィデューシャルマーカ、4c-マス、4d-中央マス。
5. ビデオカメラの逆U字型支持構造。
6. 前面支持構造。
7. 車体。
8. 車両コンベア
9. 位置決め用エンコーダ
10. 処理・記憶手段
11. トータルステーション
12. 測定トンネル構造物の固定点
13. 使用しない。
14. 使用しない。
15. 車載用基準点。
16. 共通基準点SCE。
17. 車両基準点システム SCV。
18. 1辺の2次元XY座標。
19. 1辺の3次元XYZ座標。
20. エッジの同期した2D画像。
21. エッジの3D画像。
22. LEDライト。
23. 測定するセクション。
24. 断面の不連続部のエッジ。
25. 車両表面のスキャン。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態を図に関連して説明する。
【0023】
図1は、車体の任意の2点間のギャップおよびフラッシュを測定するための本発明の測定用トンネル1を示す図である。
図1は、測定用トンネル1と、その内部で、コンベア8上の車両フレーム7を示す。コンベア8は、測定用トンネル1の内部で、車両7を移動させる。測定トンネル1は、主にビデオカメラ2とその近傍のLEDライト22で構成され、これら(2,22)は全て逆U字型の支持構造5、さらに前部の支持構造6で支持されている。さらに、計測トンネル1は、車両コンベア8と、位置エンコーダ9と、処理・記憶手段10とを備えている。処理・記憶手段10は、本発明に記載の方法のステップを実行するとともに、測定トンネルを構成する残りの要素と相互接続するように構成されたプロセッサおよびメモリである。さらに、位置エンコーダ9により、測定トンネル1は、車両の位置を常に知ることができる。これにより、後述するように、同期した画像を撮影することができる。
【0024】
車両部品間の距離を3Dで測定する処理を開始する前に、ビデオカメラ2を較正する必要がある。ビデオカメラ2の較正は、ビデオカメラの内部パラメータと外部パラメータを計算することにより行われる。
【0025】
内部パラメータを計算するために、
図2に示すように、較正チェスボード3が測定トンネル1内に設置されています。較正パターン4は、較正チェスボード3の表面に設置され、その形状は
図3に示す通りである。較正パターン4は、チェスボードと同様に、黒と白のマス4cが千鳥状に交互に配置されたものである。較正パターン4は、データマトリクスコード4aとフィデューシャルマーカ4bとが異なる白色のマス目に配置されて構成されている。処理・記憶手段10は、内部パラメータを計算するために、ビデオカメラ2によって較正パターン4を有する較正チェスボード3の少なくとも2つの画像を撮影し、データマトリクスコード4aを復号して、較正チェスボード3のマス4c、中心マス4d、行数および列数の大きさを得るというステップを実行する。処理・記憶手段10は、前記情報により、中心マスを基準にマスのつながりを全て計算し、マスのつながり、ビデオカメラに含まれる光学系のサイズ、カメラのCCDセルのサイズにより、光学中心、焦点距離、少なくとも6つのラジアル歪みパラメータ(K1~K6)、少なくとも2つの接線歪みパラメータ(P1、P2)である内部パラメータを計算する。
【0026】
外部パラメータに関しては、較正チェスボード3を使用することに加えて、
図4に示すように、トータルステーション11を使用する。まず、較正チェスボード3は、測定トンネル1内の少なくとも1台のビデオカメラ2によって見える位置に設置される。次に、トータルステーション11を用いて較正チェスボード3の計測を行う。これは、共通基準系SCE15を作成することを意味し、そのために、測定トンネル構造1の4点と較正チェスボード3上に位置する12点の反復測定がトータルステーション11によって行われる。言い換えれば、測定トンネル1の同じ4つの点と較正チェスボード3上に位置する12点は、測定トンネル1に対するトータルステーション11の異なる位置から測定される。異なる位置は、好ましくは、車両がコンベヤ8上を移動する位置である。言い換えれば、測定トンネル1の4つの固定点12と較正チェスボード3上に位置する12点の測定値の関係から、共通基準系SCE15を作成することができる。共通基準系SCE 15が定義されると、後で車両部品の1つのエッジの3D座標を決定できるように、共通基準系SCE 15に関して各ビデオカメラ2をリンクすることが必要である。そのためには、まず、剛体の変換と推定によって、共通基準系SCEと較正チェスボードとの間の関係を計算する必要がある。次に、各ビデオカメラ2によって撮影された較正チェスボード3の少なくとも1つの画像を保存し、各ビデオカメラ2のローカル座標系を計算し、最後に、ローカル座標系から共通基準系SCEへの変換を計算する。
【0027】
ビデオカメラ2が較正され、共通基準系SCE 16が構築されると、ビデオカメラを共通基準系SCE 16にリンクし、次のステップが適用される。具体的に、共通基準系SCEに基づいて車両の4つの基準点15のステレオビジョンによる3D座標を計算し、それによって
図5および6に示すように各基準点のX,Y,Z座標を得るステップである。
図5に示すように、車両7の両側では、2台のビデオカメラ2が基準点15を撮影し、共通基準系SCE16を基準とした基準点15の3次元座標を得る。したがって、車両の両側でそれぞれ1つずつ、2つの基準点15の3次元座標が得られる。同時に、または順次、車両の両側に1つずつ、別の2つの基準点15の3次元座標が計算される。これは、他の2つの基準点15を撮影できるビデオカメラ2がある場合には、同時に、または、2つのビデオカメラ2が他の2つの基準点15にアクセスできるようになるまで、コンベヤ8によって車両7を移動させることによって、順次実行することが可能である。基準点15の3次元座標は、順次実行される場合、移動を排除するための補正係数を有し、これは、コンベヤ8に位置する位置エンコーダ9によって既知である。測定トンネル1内で検査される後続の同様の車両について、
図5及び
図6について説明したステップを繰り返す必要がないように、処理及び記憶手段10は、コントラストベクトル探索アルゴリズムによって認識パターンを作成することができる。
【0028】
車両7の4つの基準点16の3D座標が共通基準系SCE 16に関して計算されると、共通基準系SCE 16に関する車両の4つの基準点15の3D座標と車両基準系SCV 17(
図7)に関する車両のそれらの同じ4つの基準点15の3D座標との間の対応を確立し、3Dの車両の測定/座標を含むコンピュータ支援設計(CAD)ファイルに4つの基準点を位置づけることが可能である。つまり、ビデオカメラによって算出された各基準点15と、CADファイルから抽出された同じ基準点15との間に対応関係が確立される。
【0029】
次に、車両7の表面をスキャン25(
図9)により解析し、測定すべきギャップゾーン(またはセクション)23を検出する(
図8)。具体的には、本発明の方法は、車両の異なる隣接部分の間に生じる不連続性のエッジ24(
図9)の3D座標を計算する。そのために、ビデオカメラ2と同期しているライト22によって光ビームを照射し、車両を構成する部品からの光の反射と、前記車両の部品間のギャップ(
図9及び
図10のエッジ24間の空間)に闇(光の反射がないこと-詳細拡大
図10参照)を発生させる。
【0030】
そのために、ビデオカメラによって車両7の複数の同期した2次元画像20が撮影される(
図10)。各「同期」画像について、画像の識別子IDと、ビデオカメラの空間位置と、車両の空間位置との間に直接的な関係があるため、2D画像が「同期」していると言われるが、これは、車両がコンベヤ8上にあり、その測定トンネル1との空間関係が位置エンコーダ9によって既知であるためである。
図10に示すように、各同期化2D画像20にエッジ認識アルゴリズムが適用され、これを通じて処理・記憶手段が共通基準系SCEに基づいて各エッジ24のX,Y座標18を計算し、それを識別子IDに関連付け、さらなる処理のために記憶することが可能である。
【0031】
エッジ18の複数の同期した2D画像20(少なくとも2つ)が撮影されると、同期した2D画像を3D画像21と組み合わせて、3D画像内のエッジが共通の基準系SCEにリンクしたX,Y,Z座標19を有する3D画像を得ることができる。車両自体のエッジ24間の距離を意味する2つの車両部品間の距離を計算しているので、共通基準系SCEの3D画像のエッジのX,Y,Z座標の車両基準系SCVへの変換が、数式によって計算される。
【0032】
【数1】
ここで、SCVは車両基準系SCVに連動するX,Y,Z座標を定義する行列、SCEは共通基準系SCEに連動するX,Y,Z座標を定義する行列、MRはSCV基準系からSCE基準系に行くのに必要な並進、回転、スケールを定義する関係行列である。これにより、エッジ19の3次元座標(X,Y,Z)は、車両基準系SCEにリンクされた3次元画像において、車両7の塗装上に得られる。