(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】紙巻き器及びトイレ管理システム
(51)【国際特許分類】
A47K 10/38 20060101AFI20231026BHJP
G08B 21/24 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
A47K10/38 Z
G08B21/24
(21)【出願番号】P 2019207684
(22)【出願日】2019-11-18
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【氏名又は名称】竹内 功
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】藤田 将継
(72)【発明者】
【氏名】中村 健太郎
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-532566(JP,A)
【文献】特開2017-196870(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0208967(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 10/00-10/48
G08B 19/00-21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレットペーパーを保持する保持部と、
前記トイレットペーパーに向けて電磁波を送信する電磁波送信部と、前記電磁波送信部から送信され前記トイレットペーパーにより反射した前記電磁波を受信する電磁波受信部と、を有する反射式センサであって、前記電磁波を送受信するセンシング動作を行い、前記電磁波受信部において受信した前記電磁波の強度を検知する前記反射式センサと、
前記反射式センサの検知結果についての情報を外部機器へ送信する情報送信部と、
を備え、
前記反射式センサは、
前記強度が第1閾値以上のとき、第1周期で前記センシング動作を行い、
前記強度が前記第1閾値未満のとき、前記第1周期よりも短い第2周期で前記センシング動作を行
い、
前記強度が最小値のとき、前記第1周期で前記センシング動作を行うことを特徴とする紙巻き器。
【請求項2】
前記反射式センサは、
前記強度が前記第1閾値未満、かつ、前記第1閾値よりも小さい第2閾値以上のとき、前記第2周期で前記センシング動作を行い、
前記強度が前記第2閾値未満のとき、前記第2周期よりも短い第3周期で前記センシング動作を行うことを特徴とする請求項1記載の紙巻き器。
【請求項3】
前記第1閾値と前記第2閾値との差に対する前記第2周期から前記第3周期への減少率の割合は、前記強度の最大値と前記第1閾値との差に対する前記第1周期から前記第2周期への減少率の割合よりも大きいことを特徴とする請求項2記載の紙巻き器。
【請求項4】
前記反射式センサは、前記保持部よりも後方に設けられることを特徴とする請求項1~
3のいずれか1つに記載の紙巻き器。
【請求項5】
前記保持部よりも上方に設けられる紙切板及び天板の少なくともいずれかをさらに備え、
前記反射式センサは、前記保持部よりも下方に設けられることを特徴とする請求項1~
4のいずれか1つに記載の紙巻き器。
【請求項6】
前記反射式センサは、前記電磁波送信部から送信される前記電磁波の中心軸が斜め上方に向かうように設けられることを特徴とする請求項
5記載の紙巻き器。
【請求項7】
前記反射式センサは、前記電磁波送信部から送信される前記電磁波の中心軸が前記保持部よりも下方に向かうように設けられることを特徴とする請求項
6記載の紙巻き器。
【請求項8】
紙巻き器と、
外部機器と、
を備え、
前記紙巻き器は、
トイレットペーパーを保持する保持部と、
前記トイレットペーパーに向けて電磁波を送信する電磁波送信部と、前記電磁波送信部から送信され前記トイレットペーパーにより反射した前記電磁波を受信する電磁波受信部と、を有する反射式センサであって、前記電磁波を送受信するセンシング動作を行い、前記電磁波受信部において受信した前記電磁波の強度を検知する前記反射式センサと、
前記反射式センサの検知結果についての情報を前記外部機器へ送信する情報送信部と、
を有し、
前記反射式センサは、
前記強度が第1閾値以上のとき、第1周期で前記センシング動作を行い、
前記強度が前記第1閾値未満のとき、前記第1周期よりも短い第2周期で前記センシング動作を行い、
前記強度が最小値のとき、前記第1周期で前記センシング動作を行い、
前記外部機器は、前記強度が所定値以下になると、前記トイレットペーパーの交換時期を報知することを特徴とするトイレ管理システム。
【請求項9】
トイレットペーパーを保持する保持部と、
前記トイレットペーパーに向けて電磁波を送信する電磁波送信部と、前記電磁波送信部から送信され前記トイレットペーパーにより反射した前記電磁波を受信する電磁波受信部と、を有する反射式センサであって、前記電磁波を送受信するセンシング動作を行い、前記電磁波受信部において受信した前記電磁波の強度を検知する前記反射式センサと、
前記反射式センサの検知結果についての情報を外部機器へ送信する情報送信部と、
を備え、
前記反射式センサは、
前記強度が第1閾値以上のとき、第1周期で前記センシング動作を行い、
前記強度が前記第1閾値未満のとき、前記第1周期よりも短い第2周期で前記センシング動作を行
い、
前記強度が最小値のとき、前記第1周期よりも長い周期で前記センシング動作を行うことを特徴とする紙巻き器。
【請求項10】
トイレットペーパーを保持する保持部と、
前記トイレットペーパーに向けて電磁波を送信する電磁波送信部と、前記電磁波送信部から送信され前記トイレットペーパーにより反射した前記電磁波を受信する電磁波受信部と、を有する反射式センサであって、前記電磁波を送受信するセンシング動作を行い、前記電磁波受信部において受信した前記電磁波の強度を検知する前記反射式センサと、
前記反射式センサの検知結果についての情報を外部機器へ送信する情報送信部と、
を備え、
前記反射式センサは、
前記強度が第1閾値以上のとき、第1周期で前記センシング動作を行い、
前記強度が前記第1閾値未満のとき、前記第1周期よりも短い第2周期で前記センシング動作を行
い、
前記強度が最小値のとき、前記センシング動作を停止させることを特徴とする紙巻き器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、紙巻き器及びトイレ管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
パブリック空間のトイレブースでは、盗難防止のために、交換用のトイレットペーパーを置いていないことがある。このような場合には、清掃員などの管理者が定期的に巡回してトイレットペーパーを補充することが行われている。
【0003】
しかし、このような方法では、トイレットペーパーがない状態を防ぐためには、管理者の巡回頻度を多くする必要があり、管理者の負担が大きくなってしまう。また、このような方法では、管理者がトイレットペーパーの交換が必要ないトイレブースも巡回して点検する必要があり、効率が悪い。特に、日本では将来的に人口減少に伴う労働力不足が懸念されていることから、効率的にトイレットペーパーの交換を行うことができるトイレ管理システムがますます重要になってくる。
【0004】
特許文献1では、トイレットペーパーを収納するフォルダ内部の対向する位置に発光ダイオードと受光センサとを設け、トイレットペーパーによって遮断されていた発光ダイオードからの光を受光センサが受光することでトイレットペーパーの残量が所定量以下になったことを検知する装置が提案されている。しかし、このような装置では、透過式センサを使用しているため、トイレットペーパーの残量が所定量以下か否かしか検知することができず、トイレットペーパーの残量が徐々に減っていくことを検知できない。つまり、トイレットペーパーの残量の詳細な変化を検知できない。また、透過式センサを使用する場合には、常にセンシング動作を行う必要があるため、センシング動作に使用する電気量が多くなり、消費電力が大きくなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、トイレットペーパーの残量の詳細な変化を検知できるとともに、センシング動作に使用する電気量を削減しつつ、トイレブースの外部にいる管理者にトイレットペーパーの交換時期を報知することができる紙巻き器及びトイレ管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、トイレットペーパーを保持する保持部と、前記トイレットペーパーに向けて電磁波を送信する電磁波送信部と、前記電磁波送信部から送信され前記トイレットペーパーにより反射した前記電磁波を受信する電磁波受信部と、を有する反射式センサであって、前記電磁波を送受信するセンシング動作を行い、前記電磁波受信部において受信した前記電磁波の強度を検知する前記反射式センサと、前記反射式センサの検知結果についての情報を外部機器へ送信する情報送信部と、を備え、前記反射式センサは、前記強度が第1閾値以上のとき、第1周期で前記センシング動作を行い、前記強度が前記第1閾値未満のとき、前記第1周期よりも短い第2周期で前記センシング動作を行うことを特徴とする紙巻き器である。
【0008】
この紙巻き器によれば、反射式センサを設けることで、トイレットペーパーの残量の詳細な変化を検知することができる。また、受信した電磁波の強度が大きい(第1閾値以上の)ときには長い周期(第1周期)でセンシング動作を行い、受信した電磁波の強度が小さい(第1閾値未満の)ときには短い周期(第2周期)でセンシング動作を行うことで、シンプルな制御でトイレットペーパーの残量が多いときにセンシング動作に使用する電気量を削減できる。これにより、透過式センサを用いる場合と比べて、消費電力を抑えることができる。また、反射式センサの検知結果についての情報を外部機器へ送信する情報送信部を設けることで、外部機器を介してトイレブースの外部にいる管理者にトイレットペーパーの交換時期を報知することができる。これにより、管理者による点検のための巡回が不要となり、効率的にトイレットペーパーの交換を行うことができる。また、その結果、紙切れが発生する可能性を低減でき、トイレを使用する使用者にとって使い勝手の良いトイレ空間にすることができる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記反射式センサは、前記強度が前記第1閾値未満、かつ、前記第1閾値よりも小さい第2閾値以上のとき、前記第2周期で前記センシング動作を行い、前記強度が前記第2閾値未満のとき、前記第2周期よりも短い第3周期で前記センシング動作を行うことを特徴とする紙巻き器である。
【0010】
この紙巻き器によれば、受信した電磁波の強度がさらに小さい(第2閾値未満の)ときにはさらに短い周期(第3周期)でセンシング動作を行うことで、シンプルな制御でトイレットペーパーの残量が多いときにセンシング動作に使用する電気量を削減しつつ、トイレットペーパーの残量が少ないときにはトイレットペーパーの残量をより確実に検知することができる。
【0011】
第3の発明は、第2の発明において、前記第1閾値と前記第2閾値との差に対する前記第2周期から前記第3周期への減少率の割合は、前記強度の最大値と前記第1閾値との差に対する前記第1周期から前記第2周期への減少率の割合よりも大きいことを特徴とする紙巻き器である。
【0012】
この紙巻き器によれば、第1閾値と第2閾値との差に対する第2周期から第3周期への減少率の割合を、強度の最大値と第1閾値との差に対する第1周期から第2周期への減少率の割合よりも大きくすることで、トイレットペーパーの残量が少なくなるほどより短い周期でセンシング動作を行うことができる。これにより、トイレットペーパーの残量が少ないときにはトイレットペーパーの残量をより確実に検知することができる。
【0013】
第4の発明は、第1~第3のいずれか1つの発明において、前記反射式センサは、前記強度が最小値のとき、前記第1周期で前記センシング動作を行うことを特徴とする紙巻き器である。
【0014】
この紙巻き器によれば、受信した電磁波の強度が最小値のときには第1周期でセンシング動作を行うことで、トイレットペーパーの残量がなくなったときにセンシング動作に使用する電気量を削減できる。
【0015】
第5の発明は、第1~第4のいずれか1つの発明において、前記反射式センサは、前記保持部よりも後方に設けられることを特徴とする紙巻き器である。
【0016】
この紙巻き器によれば、保持部よりも後方に反射式センサを設けることで、反射式センサが使用者の手などの意図しない干渉を受けることを抑制でき、より正確にトイレットペーパーの残量を検知することができる。
【0017】
第6の発明は、第1~第5のいずれか1つの発明において、前記保持部よりも上方に設けられる紙切板及び天板の少なくともいずれかをさらに備え、前記反射式センサは、前記保持部よりも下方に設けられることを特徴とする紙巻き器である。
【0018】
紙巻き器が紙切板や天板を備える場合、紙切板や天板とトイレットペーパーとの間に、トイレットペーパーから発生する紙粉が溜まりやすい。紙粉が溜まりやすい箇所に反射式センサを設けると、紙粉の影響によって検知精度が低下する場合がある。これに対し、この紙巻き器によれば、保持部よりも下方に反射式センサを設けることで、紙巻き器が紙切板や天板を備える場合にも、反射式センサが紙粉の影響を受けることを抑制できる。これにより、より正確にトイレットペーパーの残量を検知することができる。
【0019】
第7の発明は、第6の発明において、前記反射式センサは、前記電磁波送信部から送信される前記電磁波の中心軸が斜め上方に向かうように設けられることを特徴とする紙巻き器である。
【0020】
この紙巻き器によれば、電磁波送信部から送信される電磁波の中心軸が斜め上方に向かうように反射式センサを設けることで、トイレットペーパーの残量が少なくなった際にも、より正確にトイレットペーパーの残量を検知することができる。
【0021】
第8の発明は、第7の発明において、前記反射式センサは、前記電磁波送信部から送信される前記電磁波の中心軸が前記保持部よりも下方に向かうように設けられることを特徴とする紙巻き器である。
【0022】
この紙巻き器によれば、電磁波送信部から送信される電磁波の中心軸がトイレットペーパーの軸心よりも下方に向かうように反射式センサを設けることで、トイレットペーパーの残量の詳細な変化を検知できるとともに、トイレットペーパーの残量が所定量以下になった際には、電磁波受信部において受信する電磁波の強度が大きく下がるため、より確実にトイレットペーパーの残量が少ないことを検知できる。
【0023】
第9の発明は、紙巻き器と、外部機器と、を備え、前記紙巻き器は、前記トイレットペーパーを保持する保持部と、前記トイレットペーパーに向けて電磁波を送信する電磁波送信部と、前記電磁波送信部から送信され前記トイレットペーパーにより反射した前記電磁波を受信する電磁波受信部と、を有する反射式センサであって、前記電磁波を送受信するセンシング動作を行い、前記電磁波受信部において受信した前記電磁波の強度を検知する前記反射式センサと、前記反射式センサの検知結果についての情報を前記外部機器へ送信する情報送信部と、を有し、前記反射式センサは、前記強度が第1閾値以上のとき、第1周期で前記センシング動作を行い、前記強度が前記第1閾値未満のとき、前記第1周期よりも短い第2周期で前記センシング動作を行い、前記外部機器は、前記強度が所定値以下になると、前記トイレットペーパーの交換時期を報知することを特徴とするトイレ管理システムである。
【0024】
このトイレ管理システムによれば、紙巻き器に反射式センサを設けることで、トイレットペーパーの残量の詳細な変化を検知することができる。また、受信した電磁波の強度が大きい(第1閾値以上の)ときには長い周期(第1周期)でセンシング動作を行い、受信した電磁波の強度が小さい(第1閾値未満の)ときには短い周期(第2周期)でセンシング動作を行うことで、シンプルな制御でトイレットペーパーの残量が多いときにセンシング動作に使用する電気量を削減できる。これにより、透過式センサを用いる場合と比べて、消費電力を抑えることができる。また、紙巻き器に反射式センサの検知結果についての情報を外部機器へ送信する情報送信部を設け、電磁波受信部において受信した電磁波の強度が所定値以下になると、外部機器がトイレットペーパーの交換時期を報知することで、外部機器を介してトイレブースの外部にいる管理者にトイレットペーパーの交換時期を報知することができる。これにより、管理者による点検のための巡回が不要となり、効率的にトイレットペーパーの交換を行うことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の態様によれば、トイレットペーパーの残量の詳細な変化を検知できるとともに、センシング動作に使用する電気量を削減しつつ、トイレブースの外部にいる管理者にトイレットペーパーの交換時期を報知することができる紙巻き器及びトイレ管理システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実施形態に係る紙巻き器を模式的に表す斜視図である。
【
図2】実施形態に係るトイレ管理システムを模式的に表すブロック図である。
【
図3】
図3(a)及び
図3(b)は、実施形態に係る紙巻き器を模式的に表す正面図及び側断面図である。
【
図4】
図4(a)及び
図4(b)は、実施形態の変形例に係る紙巻き器を模式的に表す正面図及び側断面図である。
【
図5】実施形態に係るトイレ管理システムの紙巻き器の動作の一例を表すフローチャートである。
【
図6】実施形態に係るトイレ管理システムの外部機器の動作の一例を表すフローチャートである。
【
図7】
図7(a)及び
図7(b)は、実施形態に係るトイレ管理システムの紙巻き器の動作の別の一例を表すフローチャートである。
【
図8】実施形態に係るトイレ管理システムの外部機器の動作の別の一例を表すフローチャートである。
【
図9】実施形態に係るトイレ管理システムの紙巻き器の動作の一部を表すフローチャートである。
【
図10】実施形態に係る紙巻き器におけるセンシング動作の周期の一例を表すタイミングチャートである。
【
図11】実施形態に係る紙巻き器における電磁波の強度と周期の関係を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0028】
図1は、実施形態に係る紙巻き器を模式的に表す斜視図である。
図2は、実施形態に係るトイレ管理システムを模式的に表すブロック図である。
図1及び
図2に表したように、実施形態に係るトイレ管理システム500は、紙巻き器100と、外部機器200と、を備えている。紙巻き器100は、トイレットペーパーTPの残量についての情報を外部機器200に送信する。外部機器200は、トイレットペーパーTPの残量についての情報に基づき、トイレットペーパーTPの交換時期を報知する。
【0029】
紙巻き器100は、保持部10と、外郭20と、反射式センサ30と、情報送信部40と、紙切板50と、天板60と、を有する。紙巻き器100は、トイレブースの壁面WLに取り付けられる。
【0030】
保持部10は、トイレットペーパーTPを保持する。より具体的には、保持部10は、トイレットペーパーTPの芯に差し込まれることで、トイレットペーパーTPを回転可能な状態で保持する。保持部10は、例えば、トイレットペーパーTPの芯の左右方向の端部のそれぞれに差し込まれてもよいし、トイレットペーパーTPの芯の内部を左右方向に貫通するように差し込まれてもよい。保持部10は、外郭20に支持されている。
【0031】
外郭20は、トイレットペーパーTPの後方及び側方を囲むように設けられている。換言すれば、トイレットペーパーTPは、外郭20の内部に収納されている。外郭20は、トイレブースの壁面WLに取り付けられる背板21と、背板21の左右方向の一端から前方に向かって延びる側板22と、背板21の左右方向の他端から前方に向かって延びる側板23と、を有する。保持部10は、側板22及び側板23の少なくとも一方の内側に設けられる。この例では、2つの保持部10のうち一方が、側板22の内側に設けられており、2つの保持部10のうち他方が、側板23の内側に設けられている。
【0032】
本願明細書では、トイレブースの壁面WLに取り付けられた紙巻き器100に向かい合う使用者から見て、手前側を「前方」、奥側を「後方」、上側を「上方」、下側を「下方」、左側を「左側方」、右側を「右側方」とする。
【0033】
反射式センサ30は、電磁波の反射を利用してトイレットペーパーTPの残量を検知する。反射式センサ30は、例えば、赤外線センサなどの光電センサ、または、マイクロ波センサやミリ波センサなどの電波センサである。反射式センサ30が設けられる位置については、後述する。反射式センサ30は、電磁波送信部31と、電磁波受信部32と、を有する。
【0034】
電磁波送信部31は、保持部10により保持されたトイレットペーパーTPに向けて電磁波を送信する。電磁波送信部31から送信される電磁波は、例えば、光または電波である。電磁波受信部32は、電磁波送信部31から送信されトイレットペーパーTPにより反射した電磁波(反射波)を受信する。反射式センサ30は、電磁波送信部31から電磁波を送信し、電磁波受信部32においてトイレットペーパーTPにより反射した電磁波(反射波)を受信するセンシング動作を行う。つまり、反射式センサ30は、電磁波を送受信するセンシング動作を行う。
【0035】
反射式センサ30は、電磁波受信部32において受信した電磁波の強度を検知する。反射式センサ30は、電磁波受信部32において受信した電磁波の強度を検知することで、トイレットペーパーTPの残量を検知する。トイレットペーパーTPの残量が所定量よりも多いとき、電磁波受信部32において受信する電磁波の強度は所定値よりも大きい。トイレットペーパーTPの残量が所定量よりも少ないとき、電磁波受信部32において受信する電磁波の強度は所定値よりも小さい。
【0036】
情報送信部40は、反射式センサ30の検知結果についての情報を外部機器200へ送信する。情報送信部40は、反射式センサ30の電磁波受信部32と電気的に接続されている。情報送信部40は、例えば、無線通信により外部機器200へ情報を送信する。情報送信部40は、有線通信により外部機器200へ情報を送信してもよい。つまり、情報送信部40は、外部機器200と電気的に接続されていてもよい。
【0037】
反射式センサ30の検知結果についての情報は、例えば、電磁波受信部32において受信した電磁波の強度についての情報(信号)である。反射式センサ30の検知結果についての情報は、例えば、受信した電磁波の強度に基づいて算出されるトイレットペーパーTPの残量についての情報(信号)であってもよい。反射式センサ30の検知結果についての情報は、例えば、トイレットペーパーTPの残量が所定量よりも少ないことを示す情報(信号)であってもよい。
【0038】
反射式センサ30及び情報送信部40の動作は、例えば、制御部により制御される。制御部は、例えば、反射式センサ30におけるセンシング動作の周期や情報送信部40から情報を送信するタイミングなどを制御する。反射式センサ30、情報送信部40、及び制御部のいずれかは、外部機器200からの信号を受信する受信部を有していてもよい。
【0039】
反射式センサ30、情報送信部40、及び制御部は、例えば、紙巻き器100に設けられる電池からの電力の供給を受けて作動する。外郭20は、例えば、電池を取り付けるための電池取付部を有する。なお、反射式センサ30、情報送信部40、及び制御部は、コンセントを介して供給される外部電源からの電力を受けて作動してもよい。この場合、電池取付部は、省略可能である。
【0040】
紙切板50は、使用者がトイレットペーパーTPを切るときに使用される。紙切板50は、トイレットペーパーTPの上方に設けられている。つまり、紙切板50は、保持部10よりも上方に設けられている。紙切板50は、外郭20の側板22及び側板23の上部において、回動可能に軸支されている。紙切板50は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0041】
天板60は、外郭20及び紙切板50の上方に設けられている。つまり、天板60は、保持部10よりも上方に設けられている。天板60は、例えば、上部に物品を載置可能な平面を有する。天板60は、例えば、棚として機能する。天板60は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0042】
外部機器200は、トイレブースの外部にある機器である。外部機器200は、情報送信部40から送信された情報を受信する情報受信部を有する。外部機器200は、例えば、管理者のパソコンや管理者の携帯電話などの端末である。外部機器200は、例えば、管理者のパソコンや管理者の携帯電話などから接続可能なサーバであってもよい。外部機器200は、例えば、トイレブースの内部に設けられたゲートウェイを介して、情報送信部40から送信された情報を受信してもよい。つまり、情報送信部40は、例えば、トイレブースの内部に設けられたゲートウェイを介して、外部機器200へ情報を受信してもよい。
【0043】
外部機器200は、反射式センサ30の電磁波受信部32において受信した電磁波の強度が所定値以下になると、トイレットペーパーTPの交換時期を報知する。外部機器200は、例えば、トイレットペーパーTPの交換時期を表示する表示部を有する。
【0044】
図3(a)及び
図3(b)は、実施形態に係る紙巻き器を模式的に表す正面図及び側断面図である。
図3(b)は、
図3(a)に示したA1-A2線による断面図である。
図3(a)及び
図3(b)に表したように、この例では、反射式センサ30は、保持部10よりも後方に設けられている。また、この例では、反射式センサ30は、保持部10よりも下方に設けられている。より具体的には、この例では、反射式センサ30は、トイレブースの壁面WLであって、保持部10の後方に位置する外郭20の背板21の下方に設けられている。
【0045】
また、この例では、反射式センサ30は、紙巻き器100の左右方向の中心と重なる位置に設けられている。反射式センサ30は、紙巻き器100の左右方向の中心と重ならない位置に設けられていてもよい。
【0046】
また、この例では、反射式センサ30は、電磁波送信部31から送信される電磁波の中心軸CLが斜め上方に向かうように設けられている。ここで、「斜め上方」とは、少なくとも上方の成分と前方の成分とを含む方向である。「斜め上方」は、上方の成分と前方の成分とに加えて、左右方向の成分を含む方向であってもよい。
【0047】
また、この例では、反射式センサ30は、電磁波送信部31から送信される電磁波の中心軸CLがトイレットペーパーTPの軸心AXから外れるように設けられている。反射式センサ30は、電磁波送信部31から送信される電磁波の中心軸CLがトイレットペーパーTPの芯から外れるように設けられている。より具体的には、反射式センサ30は、電磁波送信部31から送信される電磁波の中心軸CLがトイレットペーパーTPの軸心AXよりも下方に向かうように設けられている。これにより、反射式センサ30は、トイレットペーパーTPの軸心AXよりも下方の部分における残量を検知する。
【0048】
図4(a)及び
図4(b)は、実施形態の変形例に係る紙巻き器を模式的に表す正面図及び側断面図である。
図4(b)は、
図4(a)に示したB1-B2線による断面図である。
図4(a)及び
図4(b)に表したように、この例では、反射式センサ30は、保持部10の後方に位置する外郭20の背板21の下部に設けられている。このように、背板21がトイレットペーパーTPよりも下方に延びている場合には、反射式センサ30は、背板21に設けられてもよい。
【0049】
また、この例では、反射式センサ30は、電磁波送信部31から送信される電磁波の中心軸CLがトイレットペーパーTPの軸心AXに向かうように設けられている。このように、反射式センサ30は、電磁波送信部31から送信される電磁波の中心軸CLがトイレットペーパーTPの芯に向かうように設けられてもよい。
【0050】
以下、実施形態に係るトイレ管理システム500及び紙巻き器100の動作について説明する。
図5は、実施形態に係るトイレ管理システムの紙巻き器の動作の一例を表すフローチャートである。
図6は、実施形態に係るトイレ管理システムの外部機器の動作の一例を表すフローチャートである。
【0051】
図5に表したように、フローを開始すると、紙巻き器100の制御部は、反射式センサ30によりセンシング動作を行う(ステップS101)。反射式センサ30は、センシング動作において、電磁波送信部31からトイレットペーパーTPに向けて電磁波を送信するとともに、電磁波送信部31から送信されトイレットペーパーTPにより反射した電磁波を電磁波受信部32において受信する。
【0052】
反射式センサ30は、1回のセンシング動作につき、連続して複数回(例えば、10回)の電磁波の送受信を行う。複数回の電磁波の送受信を行うことで誤検知の発生を抑制できる。反射式センサ30は、例えば、受信した複数回の電磁波の強度の平均値を、1回のセンシング動作において受信した電磁波の強度とする。あるいは、反射式センサ30は、例えば、受信した複数回の電磁波の強度のうち所定の回数、強度が一致した値を1回のセンシング動作において受信した電磁波の強度とする。あるいは、反射式センサ30は、例えば、受信した複数回の電磁波の強度がある範囲に収まったら、その最大値と最小値との間の中央値を1回のセンシング動作において受信した電磁波の強度とする。以下、1回のセンシング動作において受信した電磁波の強度を「受信した電磁波の強度」と称する。
【0053】
受信した電磁波の強度が所定値を超える場合(ステップS102:No)、制御部は、フローを終了する。つまり、受信した電磁波の強度が所定値を超える場合には、トイレットペーパーTPの残量が所定量を超え、トイレットペーパーTPの交換は不要であると判断される。所定値は、例えば、後述の第2閾値TH2よりも小さい値である。所定値は、例えば、トイレットペーパーTPの残量が15%のときの強度である。
【0054】
受信した電磁波の強度が所定値以下の場合(ステップS102:Yes)、制御部は、センシング動作の周期を変更する(ステップS103)。センシング動作の周期の変更については、後述する。
【0055】
センシング動作の周期が変更されると、制御部は、情報送信部40から外部機器200へ反射式センサ30の検知結果についての情報を送信する(ステップS104)。このように、この例では、情報送信部40は、受信した電磁波の強度が所定値以下になると、外部機器200へ反射式センサ30の検知結果についての情報を送信する。つまり、受信した電磁波の強度が所定値以下の場合には、トイレットペーパーTPの残量が所定量以下であり、トイレットペーパーTPの交換が必要であると判断される。
【0056】
一方、
図6に表したように、外部機器200は、紙巻き器100の情報送信部40からの情報を受信するまで、待機する(ステップS201:No)。情報送信部40からの情報を受信すると(ステップS201:Yes)、外部機器200は、トイレットペーパーTPの交換時期を報知する(ステップS202)。
【0057】
以下、実施形態に係る紙巻き器100及びトイレ管理システム500の作用効果について説明する。
上述のように、例えば、透過式センサを使用してトイレットペーパーの残量を検知しようとすると、トイレットペーパーの残量の詳細な変化を検知できないという問題がある。これに対し、実施形態においては、反射式センサ30を設けることで、トイレットペーパーTPの残量の詳細な変化を検知することができる。つまり、実施形態においては、トイレットペーパーTPの残量が徐々に減っていくことを検知できる。これにより、管理者がより効率的にトイレットペーパーTPの交換を行うことができる。
【0058】
また、実施形態においては、反射式センサ30の検知結果についての情報を外部機器200へ送信する情報送信部40を設け、電磁波受信部32において受信した電磁波の強度が所定値以下になると、外部機器200がトイレットペーパーの交換時期を報知する。これにより、外部機器200を介してトイレブースの外部にいる管理者にトイレットペーパーTPの交換時期を報知することができる。したがって、管理者による点検のための巡回が不要となり、効率的にトイレットペーパーTPの交換を行うことができる。また、その結果、紙切れが発生する可能性を低減でき、トイレを使用する使用者にとって使い勝手の良いトイレ空間にすることができる。
【0059】
また、実施形態においては、保持部10よりも後方に反射式センサ30を設けることで、反射式センサ30が使用者の手などの意図しない干渉を受けることを抑制でき、より正確にトイレットペーパーTPの残量を検知することができる。
【0060】
また、紙巻き器100が紙切板50や天板60を備える場合、紙切板50や天板60とトイレットペーパーTPとの間に、トイレットペーパーTPから発生する紙粉が溜まりやすい。紙粉が溜まりやすい箇所に反射式センサ30を設けると、紙粉の影響によって検知精度が低下する場合がある。これに対し、実施形態においては、保持部10よりも下方に反射式センサ30を設けることで、紙巻き器100が紙切板50や天板60を備える場合にも、反射式センサ30が紙粉の影響を受けることを抑制できる。これにより、より正確にトイレットペーパーTPの残量を検知することができる。また、保持部10よりも下方に反射式センサ30を設けることで、トイレットペーパーTPを保持部10に取り付けたままでも反射式センサ30のメンテナンスがしやすい。
【0061】
また、実施形態においては、電磁波送信部31から送信される電磁波の中心軸CLが斜め上方に向かうように反射式センサ30を設けることで、トイレットペーパーTPの残量が少なくなった際にも、より正確にトイレットペーパーTPの残量を検知することができる。
【0062】
また、実施形態においては、電磁波送信部31から送信される電磁波の中心軸CLがトイレットペーパーTPの軸心AXよりも下方に向かうように反射式センサ30を設けることで、トイレットペーパーTPの残量の詳細な変化を検知できるとともに、トイレットペーパーTPの残量が所定量以下になった際には、電磁波受信部32において受信する電磁波の強度が大きく下がるため、より確実にトイレットペーパーTPの残量が少ないことを検知できる。
【0063】
以下、実施形態に係るトイレ管理システム500及び紙巻き器100の動作の変形例について説明する。
図7(a)及び
図7(b)は、実施形態に係るトイレ管理システムの紙巻き器の動作の別の一例を表すフローチャートである。
図8は、実施形態に係るトイレ管理システムの外部機器の動作の別の一例を表すフローチャートである。
【0064】
図7(a)に表したように、この例では、フローを開始すると、紙巻き器100の制御部は、反射式センサ30によるセンシング動作が行い(ステップS301)、情報送信部40から外部機器200へ反射式センサ30の検知結果についての情報を送信する(ステップS302)。つまり、この例では、情報送信部40は、受信した電磁波の強度に関わらず、外部機器200へ反射式センサ30の検知結果についての情報を送信する。
【0065】
一方、
図8に表したように、外部機器200は、紙巻き器100の情報送信部40からの情報を受信するまで、待機する(ステップS401:No)。情報送信部40からの情報を受信すると(ステップS401:Yes)、外部機器200は、電磁波受信部32において受信した電磁波の強度が所定値を超えるか否かを判定する(ステップS402)。
【0066】
受信した電磁波の強度が所定値を超える場合(ステップS402:No)、外部機器200は、フローを終了する。つまり、受信した電磁波の強度が所定値を超える場合には、トイレットペーパーTPの残量が所定量を超え、トイレットペーパーTPの交換は不要であると判断される。
【0067】
受信した電磁波の強度が所定値以下の場合(ステップS402:Yes)、外部機器200は、紙巻き器100へセンシング動作の周期変更についての信号を送信する(ステップS403)。
【0068】
紙巻き器100へ信号を送信すると、外部機器200は、トイレットペーパーTPの交換時期を報知する(ステップS404)。つまり、受信した電磁波の強度が所定値以下の場合には、トイレットペーパーTPの残量が所定量以下であり、トイレットペーパーTPの交換が必要であると判断される。
【0069】
図7(b)に表したように、紙巻き器100の制御部は、外部機器200からの信号を受信するまで、待機する(ステップS501:No)。外部機器200からのセンシング動作の周期変更についての信号を受信すると(ステップS501:Yes)、制御部は、センシング動作の周期を変更する(ステップS502)。センシング動作の周期の変更については、後述する。
【0070】
このように、実施形態において、受信した電磁波の強度が所定値を超えるか否かの判定は、紙巻き器100で行われてもよいし、外部機器200で行われてもよい。
【0071】
以下、反射式センサ30によるセンシング動作の周期変更について説明する。
図9は、実施形態に係るトイレ管理システムの紙巻き器の動作の一部を表すフローチャートである。
図10は、実施形態に係る紙巻き器におけるセンシング動作の周期の一例を表すタイミングチャートである。
図11は、実施形態に係る紙巻き器における電磁波の強度と周期の関係を表すグラフである。
【0072】
電磁波(反射波)の強度の最大値Rmaxは、トイレットペーパーTPの残量が100%のときの強度である。電磁波(反射波)の強度の最小値Rminは、トイレットペーパーTPの残量が0%のときの強度である。
【0073】
図9~
図11に表したように、受信した電磁波の強度が第1閾値TH1以上(ステップS601:No)の場合には、反射式センサ30は、第1周期P1でセンシング動作を行う(ステップS602)。第1周期P1は、例えば、60分間である。第1閾値TH1は、例えば、トイレットペーパーTPの芯から外周までの厚さが残量100%のときの厚さの3/4になったときの電磁波(反射波)の強度である。受信した電磁波の強度が第1閾値TH1のとき、トイレットペーパーTPの残量は、例えば、約50%である。
【0074】
受信した電磁波の強度が第1閾値TH1未満(ステップS601:Yes)、かつ、第2閾値TH2以上(ステップS603:No)の場合には、反射式センサ30は、第2周期P2でセンシング動作を行う(ステップS604)。第2周期P2は、第1周期P1よりも短い。第2周期P2は、例えば、10分間である。第2閾値TH2は、例えば、トイレットペーパーTPの芯から外周までの厚さが残量100%のときの厚さの1/2になったときの電磁波(反射波)の強度である。受信した電磁波の強度が第2閾値TH2のとき、トイレットペーパーTPの残量は、例えば、約25%である。
【0075】
受信した電磁波の強度が第2閾値TH2未満(ステップS603:Yes)の場合には、反射式センサ30は、第3周期P3でセンシング動作を行う(ステップS605)。第3周期P3は、第2周期P2よりも短い。第3周期P3は、例えば、1分間である。
【0076】
このように、反射式センサ30は、受信した電磁波の強度が大きい(第1閾値TH1以上の)ときには長い周期(第1周期P1)でセンシング動作を行い、受信した電磁波の強度が小さい(第2閾値TH2以上第1閾値TH1未満の)ときには短い周期(第2周期P2)でセンシング動作を行う。これにより、シンプルな制御でトイレットペーパーTPの残量が多いときにセンシング動作に使用する電気量を削減できる。したがって、透過式センサを用いる場合と比べて、消費電力を抑えることができる。
【0077】
また、反射式センサ30は、受信した電磁波の強度がさらに小さい(第2閾値TH1未満の)ときにはさらに短い周期(第3周期P3)でセンシング動作を行う。これにより、シンプルな制御でトイレットペーパーTPの残量が多いときにセンシング動作に使用する電気量を削減しつつ、トイレットペーパーTPの残量が少ないときにはトイレットペーパーTPの残量をより確実に検知することができる。
【0078】
なお、ここではセンシング動作の周期の数が3つの場合を例に挙げて説明したが、実施形態において、センシング動作の周期の数は、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。センシング動作の周期の数は、必要に応じて任意の数に設定することができる。
【0079】
また、
図10及び
図11に表したように、受信した電磁波の強度が最小値Rminになったら、反射式センサ30は、センシング動作の周期を第1周期P1に戻してもよい。あるいは、受信した電磁波の強度が最小値Rminになったら、反射式センサ30は、センシング動作の周期を第1周期P1よりも長くしたり、センシング動作を停止させてもよい。これにより、トイレットペーパーTPの残量がなくなったときにセンシング動作に使用する電気量を削減できる。
【0080】
また、この例では、第1閾値TH1と第2閾値TH2との差X2に対する第2周期P2から第3周期P3への減少率DR2の割合DR2/X2は、最大値Rmaxと第1閾値TH1との差X1に対する第1周期P1から第2周期P2への減少率DR1の割合DR1/X1よりも大きい((DR2/X2)>(DR1/X1))。
【0081】
受信した電磁波の強度の最大値Rmaxと第1閾値TH1との差X1は、Rmax-TH1で表される。第1閾値TH1と第2閾値TH2との差X2は、TH1-TH2で表される。この例では、差X1及び差X2は、同じであり、それぞれ(Rmax-Rmin)/4で表される。
【0082】
第1周期P1から第2周期P2への減少率DR1は、(P1-P2)/P1で表される。第2周期P2から第3周期P3への減少率DR2は、(P2-P3)/P2で表される。この例では、第1周期P1は60分間であり、第2周期P2は10分間であり、第3周期P3は1分間である。この場合、第1周期P1から第2周期P2への減少率DR1は、5/6(約83%)であり、第2周期P2から第3周期P3への減少率DR2は、9/10(90%)である。
【0083】
このように、第1閾値TH1と第2閾値TH2との差X2に対する第2周期P2から第3周期P3への減少率DR2の割合DR2/X2を、強度の最大値Rmaxと第1閾値TH1との差X1に対する第1周期P1から第2周期P2への減少率DR1の割合DR1/X1よりも大きくすることで、トイレットペーパーTPの残量が少なくなるほどより短い周期でセンシング動作を行うことができる。これにより、トイレットペーパーTPの残量が少ないときにはトイレットペーパーTPの残量をより確実に検知することができる。
【0084】
以上のように、実施形態によれば、トイレットペーパーの残量の詳細な変化を検知できるとともに、センシング動作に使用する電気量を削減しつつ、トイレブースの外部にいる管理者にトイレットペーパーの交換時期を報知することができる紙巻き器及びトイレ管理システムを提供することができる。
【0085】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、紙巻き器などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0086】
10 保持部、 20 外郭、 21 背板、 22、23 側板、 30 反射式センサ、 31 電磁波送信部、 32 電磁波受信部、 40 情報送信部、 50 紙切板、 60 天板、 100 紙巻き器、 200 外部機器、 500 トイレ管理システム、 AX 軸心、 CL 中心軸、 TP トイレットペーパー、 WL 壁面