(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】移動装置
(51)【国際特許分類】
B66B 9/02 20060101AFI20231026BHJP
【FI】
B66B9/02 Z
(21)【出願番号】P 2022040218
(22)【出願日】2022-03-15
【審査請求日】2022-03-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】宮川 行宏
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-160804(JP,A)
【文献】特開2016-121021(JP,A)
【文献】特開昭58-220068(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0133943(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 9/00 - 9/193
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物及び人の少なくとも一方を収容可能な収容部を横方向に移動させる横駆動部と、
前記横駆動部を昇降させる少なくとも一つの昇降駆動装置と、を備え、
前記横駆動部は、分離可能に前記収容部と係合し、
前記昇降駆動装置は、
前記横駆動部と係合して該横駆動部を昇降させる昇降駆動部と、
鉛直方向に延びて前記昇降駆動部を案内する少なくとも一つの第一ガイドレールと、
つり合い錘と、
鉛直方向に延びて前記つり合い錘を案内する少なくとも一つの第二ガイドレールと、
前記昇降駆動部と前記つり合い錘とを繋ぐ主索と、
前記主索が巻き掛けられるシーブが回転出力軸に取り付けられた巻上機と、を有
し、
前記横駆動部は、前記収容部を支持する支持部と、前記支持部に取り付けられ、該支持部を横方向に移動する駆動装置と、を有し、
前記支持部は、上方を向き且つ前記収容部が載置される載置面を有する底部と、前記載置面の周縁から上方に延びる周壁部と、を有し、
前記周壁部は、該周壁部の周方向に延びると共に該周方向の端部同士が所定の間隔あけて対向する一つの周壁部本体と、前記一つの周壁部本体の端部間の領域である開口領域を開閉するドアと、を有する、移動装置。
【請求項2】
前記横方向に延びる横軌道を備え、
前記昇降駆動部は、所定の高さ位置に停止したときに前記横軌道と連続した状態となる係合軌道を有し、
前記横駆動部は、前記横軌道又は前記係合軌道と係合した状態で該横軌道又は該係合軌道に沿って前記収容部を移動させる、請求項1に記載の移動装置。
【請求項3】
前記支持部は、前記載置面に前記収容部が載置されることで該収容部を下側から支持する、請求項1又は2に記載の移動装置。
【請求項4】
前記周壁部は、上方から前記載置面に前記収容部を載置できるように構成される、請求項3に記載の移動装置。
【請求項5】
前記周壁部は、
前記周壁部本体と、
前記ドア
、前記周壁部本体の端部同士を結ぶ方向に沿って前記ドアを案内する案内部
、及び前記ドアを駆動するドア駆動
部を有する
ドア部と、を有する、請求項
1に記載の移動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物や人を収容可能な収容部を横移動及び昇降させることができる移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物等に設けられた昇降路から乗りかごが外部に移動できるエレベータが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
具体的に、このエレベータは、
図7に示すように、乗りかご101と、乗りかご101を昇降させる昇降駆動装置102と、水平方向に延びて乗りかご101を案内する横軌道106と、を備える。
【0004】
昇降駆動装置102は、昇降路内で鉛直方向に延びるガイドレール103と、ガイドレール103に案内され且つ乗りかご101と係合可能な昇降駆動部104と、つり合い錘と、昇降駆動部104をつり合い錘に連結されたロープ105と、ロープ105が巻き掛けられたモータと、を備える。昇降駆動部104は、横軌道106と同方向に延びる係合軌道1041を有し、昇降駆動装置102は、昇降駆動部104の係合軌道1041に乗りかご101の軌道走行部1012が係合した状態でモータを駆動して昇降駆動部104をガイドレール103に沿って昇降させることにより、乗りかご101を昇降させる。
【0005】
また、乗りかご101は、物や人を収容可能なかご本体(収容部)1011と、かご本体1011から突出し且つ係合軌道1041と横軌道106とに係合可能な軌道走行部1012と、を有する。この軌道走行部1012は、モータ等の動力源と、該動力源の動力によって回転駆動される車輪と、を有し、車輪が横軌道106又は係合軌道1041と接するように該横軌道又は該係合軌道と係合した状態で車輪を回転させることで、各軌道106、1041に沿って走行する。
【0006】
このように構成されるエレベータ100では、昇降駆動部104が横軌道106と同じ高さ位置のときに、横軌道106と係合軌道1041とが連続した状態となるため、軌道走行部1012が係合軌道1041から横軌道106に移動できるようになる。これにより、乗りかご101は、横軌道106に沿って横移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上のエレベータ100では、軌道走行部1012を有する乗りかご101は、横移動及び昇降できるが、物や人を収容可能な収容部(かご本体)1011のみによって構成される乗りかごを、横移動及び昇降させることができなかった。
【0009】
そこで、本発明は、物や人を収容可能な収容部と分離可能に係合した状態で該収容部を横移動及び昇降させることができる移動装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の移動装置は、
物及び人の少なくとも一方を収容可能な収容部を横方向に移動させる横駆動部と、
前記収容部及び前記横駆動部の少なくも一方と係合して該収容部及び該横駆動部を昇降させる昇降駆動部と、を備え、
前記横駆動部は、分離可能に前記収容部と係合する。
【0011】
かかる構成によれば、移動等するための構成を有していない収容部であっても横駆動部と係合することにより、該収容部を横移動及び昇降させることができる。
【0012】
前記移動装置では、
前記横方向に延びる横軌道を備え、
前記昇降駆動部は、所定の高さ位置に停止したときに前記横軌道と連続した状態となる係合軌道を有し、
前記横駆動部は、前記横軌道又は前記係合軌道と係合した状態で該横軌道又は該係合軌道に沿って前記収容部を移動させてもよい。
【0013】
かかる構成によれば、収容部を横方向に移動させるときに、横駆動部が横軌道又は係合軌道に沿って移動する、即ち、横駆動部が横軌道又は係合軌道によって移動方向がガイドされるため、各軌道から逸れないように移動方向を制御しなくてもよい。
【0014】
また、前記移動装置では、
前記横駆動部は、上方を向いた載置面を有する支持部と、支持部に取り付けられ、該支持部を横方向に駆動する駆動装置と、を有し、
前記支持部は、前記載置面に前記収容部が載置されることで該収容部を下側から支持してもよい。
【0015】
かかる構成によれば、載置面に収容部が載置されることによって収容部と横駆動部とが係合し、これにより、収容部を横移動及び昇降させることができる。
【0016】
また、前記移動装置では、
前記支持部は、前記載置面の周縁から上方に延びる周壁部を有し、
前記周壁部は、上方から前記載置面に前記収容部を載置できるように構成されてもよい。
【0017】
このように、周壁部といった簡素な構成によって、横移動や昇降する際の収容部の載置面からのズレや落下等が効果的に防がれる。しかも、周壁部が設けられていても載置面に対して上方から収容部を載置できるため、収容部と横駆動部との係合・分離が容易である。
【0018】
この場合、前記移動装置では、
前記周壁部は、
該周壁部の周方向に延びると共に該周方向の端部同士が所定の間隔あけて対向する周壁部本体と、
前記周壁部本体の端部間の領域である開口領域を開閉するドアと、を有してもよい。
【0019】
このように周壁部にドアが設けられることで、ドアを開く(開口領域を解放する)ことで、該開口領域を通じて周壁部に囲まれた領域への収容部の出し入れが可能になる、即ち、収容部を上下させずに周壁部に囲まれた領域内への収容部の出し入れが可能になる。
【0020】
前記支持部は、前記載置面の周縁から上方に延びる周壁部を有し、
前記周壁部は、
該周壁部の周方向に延びると共に該周方向の端部同士が所定の間隔あけて対向する周壁部本体と、
前記周壁部本体の端部間の領域である開口領域を開閉するドア部と、を有し、
前記ドア部は、
ドアと、
前記周壁部本体の端部同士を結ぶ方向に沿って前記ドアを案内する案内部と、
前記ドアを駆動するドア駆動部と、を有してもよい。
【0021】
かかる構成によれば、ドアを開く(開口領域を解放する)ことで、該開口領域を通じて周壁部に囲まれた領域への収容部の出し入れが可能になる、即ち、収容部を上下させずに周壁部に囲まれた領域内への収容部の出し入れが可能になる。しかも、ドア駆動部によってドアが駆動されることで開口領域が開閉されるため、ドアの開閉が容易になる。
【発明の効果】
【0022】
以上より、本発明によれば、物や人を収容可能な収容部と分離可能に係合した状態で該収容部を横移動及び昇降させることができる移動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る移動装置の構成を説明するための模式図である。
【
図3】
図3は、前記移動装置が備える横駆動部の斜視図である。
【
図5】
図5は、他実施形態に係る移動装置に収容部が載置された状態の斜視図である。
【
図6】
図6は、前記移動装置に収容部が載置された状態の斜視図である。
【
図7】
図7は、従来のエレベータの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態について、
図1~
図4を参照しつつ説明する。
【0025】
本実施形態に係る移動装置は、移動のための構成を有していない収容部を、横移動及び昇降させることができる。
【0026】
具体的に、移動装置1は、
図1に示すように、収容部2を横方向に移動させる横駆動部3と、建物等に設けられた昇降路S1内に配置され且つ横駆動部3を昇降させる少なくとも一つの昇降駆動装置4と、を備える。また、移動装置1は、横方向に延び且つ横駆動部3を案内する横軌道5と、該移動装置1の制御を行う制御部6と、備える。尚、本実施形態の昇降路S1が設けられた建物等では、所定の階の昇降路S1と対応する位置に、収容部2に収容された物や人の積み下ろしを行うための開口(昇降路S1と連通する開口)と該開口を開閉するドアとを有する乗場が設けられている。
【0027】
この横軌道5は、昇降路S1と、該昇降路S1から離れた所定の位置(例えば、昇降路S1が設けられた建物等の外部)と、の間を横駆動部3が移動できるよう、横方向に延びている。本実施形態の横軌道5は、水平方向に延びているが、長手方向の一部又は全域が水平面に対して傾斜したり曲がったりしていてもよい。即ち、横軌道5は、鉛直方向から見て互いに離れた二点間(昇降路S1と、前記所定の位置との間)を結ぶように延びていればよい。本実施形態の横軌道5は、
図2に示すように、開口部51の幅(延びる方向と直交する方向の寸法)A1が該開口部51より底面側の部位52の幅B1より狭くなっている溝状である。
【0028】
図1に戻り、収容部2は、物及び人の少なくとも一方を収容可能な収容空間S2を内部に有する。この収容部2は、外部空間と収容空間S2とを連通させる開口211を有する立方体又は直方体状の収容部本体21と、開口211を開閉する少なくとも一つのドア22と、を有する。開口211は、矩形であり、収容部2の周側面を構成する四つの面のうちの一つの面(以下、単に「前面」と称する。)側に設けられている。本実施形態の収容部2は、矩形状のドア22を二つ有し、これら二つのドア22は、観音開きするように構成されている。尚、収容部2は、移動装置1の専用品であってもよく、他の用途にも用いられる汎用品であってもよい。即ち、収容部2は、動力を持たない箱形状のものであり、且つ、かさばらない様に積み重ねて置けるものであればよく、本実施形態の収容部2は、例えば、コンテナである。
【0029】
昇降駆動装置4は、横駆動部3と係合して該横駆動部3を昇降させる昇降駆動部41を有する。本実施形態の昇降駆動装置4は、いわゆるトラクション式のエレベータと同様の構成である。具体的に、昇降駆動装置4は、鉛直方向に延びて昇降駆動部41を案内する少なくとも一つの第一ガイドレール42と、つり合い錘43と、鉛直方向に延びてつり合い錘43を案内する少なくとも一つの第二ガイドレール44と、昇降駆動部41とつり合い錘43とを繋ぐ主索45と、主索45が巻き掛けられるシーブ461が回転出力軸462に取り付けられた巻上機46と、を有する。本実施形態の昇降駆動装置4は、一対の第一ガイドレール42を有し、巻上機46がシーブ461を回転駆動することによって昇降駆動部41が一対の第一ガイドレール42に沿って昇降する。
【0030】
昇降駆動部41は、所定の高さ位置に停止したときに横軌道5と連続した状態となる係合軌道411を有する。本実施形態の昇降駆動部41は、鉛直方向の中央部に係合軌道411を有し、この係合軌道411は、水平方向に延びている。また、この係合軌道411は、横軌道5と同じ形状であり、開口部412の幅(延びる方向と直交する方向の寸法)が該開口部412より底面側の部位413の幅より狭くなっている溝状である。
【0031】
一対の第一ガイドレール42は、昇降駆動部41を間に挟むように水平方向に間隔をあけて鉛直方向にそれぞれ延びている。
【0032】
横駆動部3は、分離可能に収容部2と係合する。この横駆動部3は、横軌道5又は昇降駆動部41の係合軌道411と係合した状態で該横軌道5又は該係合軌道411に沿って収容部2を移動させる。具体的に、横駆動部3は、
図3及び
図4にも示すように、収容部2を支持する支持部30と、支持部30に取り付けられると共に該支持部30を横方向に駆動する駆動装置35と、を有する。
【0033】
支持部30は、上方を向いた載置面311を有する底部31と、載置面311の周縁から上方に延びる周壁部32と、を有し、載置面311に収容部2が載置されることで該収容部2を下側から指示する。
【0034】
底部31は、水平方向に広がる部位であり、上端面が載置面311を構成する。具体的に、底部31は、水平方向に広がる板状の部位であり、載置面311は、水平方向に広がる略平坦な面である。本実施形態の載置面311は、鉛直方向から見て矩形状であり、より詳しくは、鉛直方向から見て収容部2と対応する大きさの矩形状である。
【0035】
周壁部32は、上方から載置面311に収容部2を載置できるように構成される。この周壁部32は、周壁部32の周方向に延びると共に該周方向の端部321a同士が所定の間隔あけて対向する周壁部本体321と、周壁部本体321の端部321a間の領域である開口領域Arを開閉する少なくとも一つのドア322と、を有する。本実施形態の周壁部32は、二つのドア322を有する。
【0036】
周壁部本体321は、載置面311の周縁における三つの辺から上方に延び、該周壁部本体321の端部321a同士は、載置面311の残りの一つの辺に相当する間隔をあけて対向している。この周壁部本体321は、載置面311の周縁における開口領域Arと対応する辺と反対側の辺から上方に延びる壁部(背面壁)3211と、載置面311の周縁方向における背面壁3211の両端から開口領域Ar側に延びる一対の壁部(側壁)3212と、を有する。本実施形態の周壁部本体321では、一対の側壁3212の高さは、それぞれ同じであり、背面壁3211は、側壁3212より高い。
【0037】
二つのドア322は、観音開きするように構成されている。具体的に、二つのドア322のそれぞれは、周壁部本体321の端部321aにおいて鉛直方向に延びる回転軸まわりに回動可能に配置されている。これら二つのドア322は、それぞれ水平方向に長尺な矩形状であり。各ドア322の高さは、各側壁3212の高さと同じである。本実施形態の各ドア322は、手動で開閉される。
【0038】
駆動装置35は、横駆動部3において各軌道(横軌道5、昇降駆動部41の係合軌道411)と係合する部位であり、各軌道5、411を走行するための構成を有する。この駆動装置35は、周壁部本体321の背面壁3211に配置されている。具体的に、駆動装置35は、背面壁3211と開口領域Arの開口方向に間隔をあけた位置において一対の側壁3212の対向方向に延びる駆動装置本体351と、駆動装置本体351から開口方向に延びて背面壁3211に連結されている連結部352と、を有する。また、駆動装置35は、該駆動装置35の制御を行う制御マイコン353も有する。この制御マイコン353は、駆動装置本体351の内部に配置されている。
【0039】
駆動装置本体351は、各軌道5、411と係合する部位である。本実施形態の駆動装置本体351は、一対の側壁3212の対向方向に長尺な直方体状であり、鉛直方向の寸法が、溝状の各軌道5、411の底面側の部位52、513の幅と対応し且つ開口部51、412より大きい。これにより、駆動装置本体351は、係合している(嵌まり込んでいる)溝状の各軌道5、411から連結部352の延びる方向(開口領域Arの開口方向)には抜け出ない、即ち、横駆動部3は、係合している各軌道5、411から落下しない。
【0040】
また、駆動装置本体351は、内部にモータ等の動力源(図示省略)と複数の車輪(図示省略)とを有する。各車輪は、軌道5、411と接触し、駆動装置本体351の内部の動力源によって複数の車輪のうちの少なくとも一つの車輪が駆動されることによって、横駆動部3が各軌道5、411に対して該軌道5、411の延びる方向に移動する。
【0041】
制御部6は、昇降駆動装置4の制御、具体的には、巻上機46を制御することにより昇降駆動部41を昇降させる。また、制御部6は、横駆動部3の制御マイコン353と有線又は無線によって接続され、該制御マイコン353から情報信号(横駆動部3の位置情報、移動速度等)の取得、及び該制御マイコン353への指示信号(移動指示等)の出力等を行う。この制御部6への横駆動部3の呼びの入力は、収容部2を横駆動部3に対して積み下ろしする場所に設けられた入力部や、移動装置1の操作のためのアプリ等がインストールされている携帯端末等から行われる。
【0042】
次に、移動装置1の動作について、例えば、横軌道5の端部(昇降路S1と反対側の端部)から昇降駆動装置4の配置された建物等の所定の階に収容部2が移送される場合について説明する。尚、この例においては、横軌道5の端部への収容部2の移送は、車両や船、飛行機、列車等の移送手段によって運ばれる。
【0043】
制御部6に横軌道5の端部(収容部の積み下ろしする場所)への呼びが入力されると、横軌道5の端部に横駆動部3が位置していないときは、制御部6が制御マイコン353に指示信号を出力し、この指示信号を受信した制御マイコン353が駆動装置35を駆動させることで、横駆動部3が横軌道5の端部(昇降路S1と反対側の端部)に移動する。
【0044】
横軌道5の端部に横駆動部3が到着すると、支持部30の載置面311に収容部2が載置される(即ち、横駆動部3が分離可能に収容部2と係合する)。このとき、支持部の二つのドア322が観音開きにされ、収容部2が周壁部32の開口領域Arから該開口領域の開口方向に沿って載置面311上に移動させられて載置面311上に載置されてもよく、収容部2が周壁部32の上方から載置面311に向けて降ろされて載置面311上に載置されてもよい。
【0045】
このように横駆動部3への収容部2の積み込みが終わると、制御部6に横駆動部3の行先(例えば、昇降駆動装置4の配置されている建物等の5階)が入力される。
【0046】
この入力により、制御部6は、横駆動部3の制御マイコン353に横軌道5の昇降路S1側の端部への移動を指示する指示信号を出力すると共に、昇降駆動装置4を制御して昇降駆動部41を横軌道5の昇降路S1側の端部のある階(高さ位置)に移動させる。
【0047】
この制御部6からの指示信号を受信した制御マイコン353は、駆動装置35を駆動させ、これにより、収容部2が積み込まれた(即ち、載置面311上に載置された)状態の横駆動部3が横軌道5の昇降路側の端部に移動する。
【0048】
横駆動部3が横軌道5の昇降路S1側の端部に到達したときに昇降駆動部41が到着して横軌道5と昇降駆動部41の係合軌道411とが連続した状態になっていれば、制御マイコン353は、駆動装置35を駆動させて該駆動装置35を係合軌道411まで移動させる。これにより、横駆動部3が昇降駆動部41と係合する。
【0049】
一方、横駆動部3が横軌道5の昇降路S1側の端部に到達したときに昇降駆動部41が到着していなければ、制御マイコン353は、昇降駆動部41が到着するまで駆動装置35を停止させ、昇降駆動部41が到着して横軌道5と係合軌道411とが連続した状態になったときに駆動装置35を駆動させて係合軌道411に移動させる。
【0050】
尚、制御マイコン353は、横駆動部3が横軌道5の昇降路S1側の端部に到達したときに該端部と並ぶ位置に昇降駆動部41が到着しているか否かについての情報を、制御部6から取得する。
【0051】
横駆動部3と昇降駆動部41とが係合すると、制御部6が巻上機を駆動して昇降駆動部41を目的の階まで上昇又は下降させる。
【0052】
昇降駆動部が目的の階の乗場に到着すると、該乗場のドアが自動又は手動で開かれる。続いて、横駆動部3のドア322と収容部2のドア22とが手動で開かれ、収容部2の収容空間S2に収容されている物や人が降ろされ、又は、物や人を収容空間S2に積み込む(収容する)。このとき、乗場の開口の大きさによっては、横駆動部3のドア322が開かれた状態で開口領域Arを通じて収容部2を乗場のフロアに移動させてもよい、即ち、横駆動部3から降ろしてもよい。
【0053】
物や人の収容部2への積み下ろしが終わると、収容部2のドア22と横駆動部3のドア322とが手動で閉じられ、続いて、乗場のドアが自動又は手動で閉じられる。これにより、移動装置1の一連の動作が終了する。
【0054】
以上の移動装置1は、物及び人の少なくとも一方を収容可能な収容部2を横方向に移動させる横駆動部3と、横駆動部3と係合して該横駆動部3を昇降させる昇降駆動部41と、を備え、横駆動部3は、分離可能に収容部2と係合する。このため、移動等するための構成を有していない収容部2であっても横駆動部3と係合することにより、該収容部2を横移動及び昇降させることができる。
【0055】
また、本実施形態の移動装置1は、横方向に延びる横軌道5を備える。そして、昇降駆動部41は、所定の高さ位置に停止したときに横軌道5と連続した状態となる係合軌道411を有し、横駆動部3は、横軌道5又は係合軌道411と係合した状態で該横軌道5又は該係合軌道411に沿って収容部2を移動させる。この構成によれば、収容部2を横方向に移動させるときに、横駆動部3が横軌道5又は係合軌道411に沿って移動する、即ち、横駆動部3が横軌道5又は係合軌道411によって移動方向がガイドされるため、各軌道5、411から逸れないように移動方向を制御しなくてもよい。しかも、横軌道5を昇降路S1の形成されている建物の外まで延長することで、収容部2を建物外において別の移動体(例えば、列車や車両等)に受け渡すことが可能になる。
【0056】
また、本実施形態の移動装置1では、横駆動部3は、上方を向いた載置面311を有する支持部30と、支持部30に取り付けられ、該支持部30を横方向に駆動する駆動装置35と、を有する。そして、支持部30は、載置面311に収容部2が載置されることで該収容部2を下側から支持する。この構成によれば、載置面311に収容部2が載置されることによって収容部2と横駆動部3とが係合し、これにより、収容部2を横移動及び昇降させることができる。
【0057】
また、本実施形態の移動装置1では、支持部30は、載置面311の周縁から上方に延びる周壁部32を有し、この周壁部32は、上方から載置面311に収容部2を載置できるように構成されている。このように、周壁部32といった簡素な構成によって、横移動や昇降する際の収容部2の載置面311からのズレや落下等が効果的に防がれる。しかも、周壁部32が設けられていても載置面311に対して上方から収容部2を載置できるため、収容部2と横駆動部3との係合・分離が容易である。
【0058】
また、本実施形態の移動装置1では、周壁部32は、該周壁部32の周方向に延びると共に該周方向の端部321a同士が所定の間隔あけて対向する周壁部本体321と、周壁部本体321の端部321a間の領域である開口領域Arを開閉するドア322と、を有する。このように周壁部32にドア322が設けられることで、ドア322を開く(開口領域Arを解放する)ことで、該開口領域Arを通じて周壁部32に囲まれた領域への収容部2の出し入れが可能になる、即ち、収容部2を上下させずに周壁部32に囲まれた領域内への収容部2の出し入れが可能になる。
【0059】
尚、本発明の移動装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0060】
上記実施形態の移動装置1では、横駆動部3は、支持部30と駆動装置35とを有しているが、この構成に限定されない。駆動装置と収容部とが分離可能に連結できる構成を駆動装置及び収容部が有している場合には、横駆動部3は、支持部30の無い構成、即ち、駆動装置35のみによって構成されていてもよい。
【0061】
また、上記実施形態の支持部30は、載置面311を有する底部31と、周壁部32とを有しているが、この構成に限定されない。支持部30は、底部31と背面壁3211のみによって構成されていてもよい。
【0062】
また、上記実施形態の支持部30の底部31は、水平方向に広がっているが、この構成に限定されない。底部31は、載置面311を有していればよく、具体的な構成は限定されない。
【0063】
また、上記実施形態の支持部30の二つのドア322は、観音開きする構造であるが、引き戸のように開閉方向にスライドする構成等でもよい。
【0064】
また、上記実施形態の支持部30のドア322は、手動で開閉される構成であるが、この構成に限定されない。支持部30のドア322は、自動で開閉される構成であってもよい。
【0065】
この場合、例えば、
図5及び
図6に示すように、横駆動部3Aは、支持部30と駆動装置35とを有する。この支持部30の周壁部32Aは、該周壁部32Aの周方向に延びると共に該周方向の端部321a同士が所定の間隔あけて対向する周壁部本体321と、周壁部本体321の端部間の領域である開口領域Arを開閉するドア部33と、を有する。
【0066】
このドア部33は、ドア331と、周壁部本体321の端部321a同士を結ぶ方向に沿ってドア331を案内するガイドレール(案内部)332と、ドア331を駆動するドアオペレータ(ドア駆動部)333と、を有する。本実施形態のドア部33は、例えば、四つのドア331を有し、これら四つのドア331は、いわゆるセンターオープン式のドアであり、ガイドレール332によって開閉方向にスライドして接近及び離隔することで開口領域Arを開閉する。また、ドアオペレータ333は、モータ等の動力源を有し、該動力源によって各ドア331を駆動して開閉させる。このドアオペレータ333は、駆動装置35に配置された制御マイコン353によって制御される。
【0067】
また、上記実施形態の横駆動部3では、収容部2が係合した状態(上記実施形態の例では、載置された状態)での横駆動部3のドア322と、収容部2のドア22との開閉は、それぞれ独立して行われるが、この構成に限定されない。例えば、横駆動部3のドア322と収容部2のドア22とは、それぞれスライドすることにより開閉する構造を備えると共に、エレベータのかごドアと乗場ドアとの係合構造と同様の構成を備え、これにより、横駆動部3に収容部2が載置(係合)されることでドア322、22同士が係合し、横駆動部3のドア322が開閉されたときに該ドア322に収容部2のドア22が追従して開閉するように構成されてもよい。
【0068】
また、上記実施形態の横駆動部3は、各軌道5、411と係合した状態で該軌道5、411に沿って移動するが、この構成に限定されない。例えば、横駆動部3の駆動装置35は、床や地面等を自走する構成であってもよい。この場合、横駆動部3は、昇降駆動部41と係合するための部位を、駆動装置35とは別に備えていてもよい。
【0069】
また、上記実施形態の収容部2は、収容空間S2に物及び人の少なくとも一方を収容可能であるが、この構成に限定されない。例えば、収容部2は、物専用であってもよく、人専用であってもよい。収容部2が人専用の場合、例えば、収容空間S2に座席等が設けられてもよい。
【0070】
また、上記実施形態の移動装置1は、一つの昇降駆動装置4を備えているが、この構成に限定されない。移動装置1は、複数の昇降駆動装置4を備えていてもよい。この場合、複数の昇降駆動装置4が水平方向に並んで配置され、隣り合う昇降駆動装置4の各昇降駆動部41の高さ位置が同じときに、一方の昇降駆動装置4の昇降駆動部41の係合軌道411と、他方の昇降駆動装置4の昇降駆動部41の係合軌道411とが連続する(即ち、一方の昇降駆動部41から他方の昇降駆動部41に横駆動部3が移動できる)ように構成されていてもよい。また、複数の昇降駆動装置4が水平方向に間隔をあけて配置され、横軌道5が隣り合う昇降駆動装置4同士を接続するように延びていてもよい。
【0071】
また、移動装置1が複数の昇降駆動装置4を備え、異なる建物等に各昇降駆動装置4が配置されている場合には、各建物等に制御部6がそれぞれ配置され、各昇降駆動装置4は、同じ建物の制御部6によって制御される構成でもよい。この場合、横駆動部3の制御マイコン353は、建物等の間を繋ぐ横軌道5の所定位置(例えば、中間位置)において信号を受送信する制御部6を切り替える。
【0072】
また、上記実施形態の移動装置1は、一つの横駆動部3を備えているが、複数の横駆動部3を備えていてもよい。この場合、移動装置1は、昇降駆動装置4や横軌道5も複数備える。また、制御部6は、上記実施形態に示す制御の他に、群管理制御も行う。
【0073】
また、上記実施形態の昇降駆動装置4における昇降駆動部41の駆動方式は、いわゆるトラクション式であるが、この構成に限定されない。昇降駆動装置4における昇降駆動部41の駆動方式は、いわゆるドラム(巻胴)式や油圧式であってもよい。また、昇降駆動装置4における昇降駆動部41の駆動方式は、リニアモーターによって昇降駆動部41が昇降する、いわゆるリニアモーター式であってもよい。また、昇降駆動部41が動力源を有し、第一ガイドレール42に沿って自走する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0074】
1…移動装置、2…収容部、21…収容部本体、211…開口、22…ドア、3、3A…横駆動部、30…支持部、31…底部、311…載置面、32、32A…周壁部、321…周壁部本体、321a…周壁部本体の端部、3211…背面壁、3212…側壁、322…ドア、33…ドア部、331…ドア、332…ガイドレール(案内部)、333…ドアオペレータ(ドア駆動部)、35…駆動装置、351…駆動装置本体、352…連結部、353…制御マイコン、4…昇降駆動装置、41…昇降駆動部、411…係合軌道、412…開口部、413…底面側の部位、42…第一ガイドレール、43…つり合い錘、44…第二ガイドレール、45…主索、46…巻上機、461…シーブ、462…回転出力軸、5…横軌道、51…開口部、52…底面側の部位、6…制御部、100…エレベータ、101…乗りかご、1011…かご本体、1012…軌道走行部、102…昇降駆動装置、103…ガイドレール、104…昇降駆動部、1041…係合軌道、105…ロープ、106…横軌道、Ar…開口領域、S1…昇降路、S2…収容空間