(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】環境制御内容決定装置、及び環境制御内容決定方法
(51)【国際特許分類】
F24F 11/64 20180101AFI20231026BHJP
F24F 11/74 20180101ALI20231026BHJP
F24F 11/79 20180101ALI20231026BHJP
F24F 11/65 20180101ALI20231026BHJP
F24F 11/80 20180101ALI20231026BHJP
A61M 21/02 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
F24F11/64
F24F11/74
F24F11/79
F24F11/65
F24F11/80
A61M21/02 G
(21)【出願番号】P 2022159006
(22)【出願日】2022-09-30
【審査請求日】2023-01-23
(31)【優先権主張番号】P 2022008305
(32)【優先日】2022-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504133110
【氏名又は名称】国立大学法人電気通信大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】中井 美希
(72)【発明者】
【氏名】足利 朋義
(72)【発明者】
【氏名】大賀 隆寛
(72)【発明者】
【氏名】武内 敏文
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼玉 圭樹
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-101355(JP,A)
【文献】特開2009-236353(JP,A)
【文献】特開平09-170797(JP,A)
【文献】特開2020-129188(JP,A)
【文献】特開2010-201001(JP,A)
【文献】特開2010-085076(JP,A)
【文献】特開2018-033533(JP,A)
【文献】特開2014-100227(JP,A)
【文献】特開2006-246437(JP,A)
【文献】特開2010-082377(JP,A)
【文献】特開2015-232421(JP,A)
【文献】特開2015-113997(JP,A)
【文献】特開2021-135000(JP,A)
【文献】特開2019-032154(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/64
F24F 11/74
F24F 11/79
F24F 11/65
F24F 11/80
A61M 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者(90)に関する、仮眠前情報(D11)と、仮眠開始予定時刻及び仮眠終了予定時刻を含む仮眠予定時間帯(D12)と、を取得する、取得部(191)と、
前記仮眠前情報に基づいて、前記仮眠予定時間帯における
、前記対象者の
サーカディアンリズムに基づく覚醒度合いを
前記仮眠予定時間帯の前に判断し、前記対象者が仮眠する対象空間(SP)に対する環境制御の内容を決定する、決定部(193)と、
を備える、
環境制御内容決定装置(1)。
【請求項2】
対象者(90)に関する、仮眠前情報(D11)と、仮眠開始予定時刻及び仮眠終了予定時刻を含む仮眠予定時間帯(D12)と、を取得する、取得部(191)と、
前記仮眠前情報から、前記対象者のサーカディアンリズムに基づく眠気の周期を予測する、予測部(192)と、
前記仮眠予定時間帯と、前記眠気の周期との時間的関係に基づいて、前記仮眠予定時間帯における、前記対象者のサーカディアンリズムに基づく覚醒度合いを前記仮眠予定時間帯の前に判断し、前記対象者が仮眠する対象空間(SP)に対する環境制御の内容を決定する、決定部(193)と、
を備える、
環境制御内容決定装置(1)。
【請求項3】
前記仮眠前情報は、少なくとも、前記対象者の睡眠に関する情報を含む第1情報、を有する、
請求項1又は2に記載の環境制御内容決定装置(1)。
【請求項4】
前記睡眠に関する情報は、仮眠当日の起床時刻、仮眠当日の起床時刻に対応する就寝時刻、仮眠当日の起床時刻に対応する睡眠時間、平均的な起床時刻、平均的な就寝時刻、平均的な睡眠時間、及び日常の睡眠状態の評価値、の内の少なくとも1つを含む、
請求項3に記載の環境制御内容決定装置(1)。
【請求項5】
前記第1情報は、さらに、食事に関する情報、仮眠前の眠気に対する主観的評価、仮眠前の主観的疲労評価、仮眠前の主観的ストレス評価、仮眠後の行動予定、及び仮眠当日の行動履歴、の内の少なくとも1つを含む、
請求項3に記載の環境制御内容決定装置(1)。
【請求項6】
前記食事に関する情報は、
前記対象者が朝食、昼食、間食、及び夕食をとった時刻と、
前記対象者の朝食、昼食、間食、及び夕食の食事内容と、
の内の少なくとも1つを含む、
請求項5に記載の環境制御内容決定装置(1)。
【請求項7】
前記仮眠前情報は、さらに、前記対象者の性別、年齢、年代、着衣量、及び温冷感、の内の少なくとも1つを含む第2情報、を有する、
請求項3に記載の環境制御内容決定装置(1)。
【請求項8】
前記仮眠前情報は、さらに、前記対象者の瞼の開閉状態、瞼の動き、呼吸数、脈拍、血圧、LF/HF、脳波、体温、及び体内血糖値、の内の少なくとも1つを有する、
請求項3に記載の環境制御内容決定装置(1)。
【請求項9】
前記決定部は、複数の制御パターンの中から選択することにより、前記環境制御の内容を決定する、
請求項1又は2に記載の環境制御内容決定装置(1)。
【請求項10】
前記制御パターンは、前記対象空間の環境に関する制御パラメータの値が推移する形によって表現される、
請求項9に記載の環境制御内容決定装置(1)。
【請求項11】
前記制御パラメータは、前記対象空間に設置された空気調和機(2)の風量、風向、風速、運転モード、前記対象空間の室内温度、室内湿度、照度、音、香り、及び寝具の傾き、の内の少なくとも1つを含む、
請求項10に記載の環境制御内容決定装置(1)。
【請求項12】
前記制御パラメータは、前記対象空間の室内温度であり、
前記制御パターンは、
前記対象者の、入眠前に前記室内温度を上げ、入眠検知後に前記室内温度を下げて維持し、前記仮眠終了予定時刻の所定時間前に前記室内温度を上げる制御と、
前記対象者の、入眠前に前記室内温度を上げ、入眠検知後に前記室内温度を下げて維持する制御と、
を有する、
請求項10に記載の環境制御内容決定装置(1)。
【請求項13】
前記仮眠前情報から、前記対象者のサーカディアンリズムに基づく眠気の周期を予測する、予測部(192)、
をさらに備え、
前記決定部は、
前記眠気の周期から、眠気を感じて短時間睡眠をとりやすい第1時間帯と、眠気を感じにくく短時間睡眠をとりにくい第2時間帯と、を特定し、
前記仮眠予定時間帯が、前記第1時間帯及び前記第2時間帯のいずれに該当するかによって、前記制御パターンを選択する、
請求項9に記載の環境制御内容決定装置(1)。
【請求項14】
前記決定部は、さらに、
前記対象者の平均的な睡眠時間に対して、仮眠当日の起床時刻に対応する睡眠時間が、所定時間より短いか否か、又は、
前記対象者の日常の睡眠状態の評価値が、閾値を超えているか否か、
に基づいて、前記制御パターンを選択する、
請求項13に記載の環境制御内容決定装置(1)。
【請求項15】
前記取得部は、
前記対象者の仮眠中に、前記対象者に関する仮眠中情報(D2)を、
前記対象者の仮眠終了後に、前記対象者に関する仮眠後情報(D3)を、
さらに取得し、
前記制御パラメータの値が推移する形を更新する、更新部(194)、
をさらに備え、
前記更新部は、前記対象者の仮眠終了後、前記仮眠前情報、前記仮眠中情報、又は前記仮眠後情報に基づいて、前記制御パラメータの値が推移する形を更新する、
請求項10に記載の環境制御内容決定装置(1)。
【請求項16】
前記仮眠中情報は、前記対象者の睡眠深度、心拍、体動、脈拍、呼吸数、LF/HF、血圧、体温、入眠潜時、脳波、前記対象空間の室内温度、室内湿度、気流、照度、音、香り、寝具の温度、寝具の傾度、前記対象空間の外の室外温度、及び室外湿度、の内の少なくとも1つを含む、
請求項15に記載の環境制御内容決定装置(1)。
【請求項17】
前記仮眠後情報は、前記対象者の、仮眠の満足度に対する主観的評価、仮眠中の温冷感に対する主観的評価、及び仮眠後の眠気に対する主観的評価、の内の少なくとも1つを含む、
請求項15に記載の環境制御内容決定装置(1)。
【請求項18】
前記対象者に関する、前記制御パラメータの値が推移する形は、
前記対象者と前記仮眠前情報が類似する、前記対象者とは異なる人の前記制御パラメータの値が推移する形、又は、
前記更新部が十分な仮眠をとれたと判定した、過去の人の前記制御パラメータの値が推移する形、
に決定される、
請求項15に記載の環境制御内容決定装置(1)。
【請求項19】
前記仮眠前情報は、仮眠前の眠気に対する主観的評価を含み、
前記仮眠中情報は、脳波、心拍、脈拍、LF/HF、睡眠深度、呼吸数、体温の内の少なくとも1つを含み、
前記仮眠後情報は、前記対象者の、仮眠の満足度に対する主観的評価、仮眠中の温冷感に対する主観的評価、及び仮眠後の眠気に対する主観的評価、の内の少なくとも1つを含み、
前記更新部は、前記対象者が十分な仮眠をとれなかった、又は前記対象者が仮眠中に不快な温冷感を感じた、と判定した場合、前記制御パラメータの値が推移する形を更新する、
請求項15に記載の環境制御内容決定装置(1)。
【請求項20】
前記更新部は、仮眠時間が閾値より少ない場合、所定の睡眠段階の時間が閾値より少ない場合、睡眠中の心拍、呼吸数、脈拍、又はLF/HFの標準偏差が閾値より大きい場合、又は仮眠後の眠気に対する主観的評価が、仮眠前の眠気に対する主観的評価よりも良くなっていない場合、に前記十分な仮眠をとれなかったと判定する、
請求項18に記載の環境制御内容決定装置(1)。
【請求項21】
対象者(90)に関する、仮眠前情報(D11)と、仮眠開始予定時刻及び仮眠終了予定時刻を含む仮眠予定時間帯(D12)と、を取得する、取得ステップ(S1)と、
前記仮眠前情報に基づいて、
前記仮眠予定時間帯における、前記対象者のサーカディアンリズムに基づく覚醒度合いを前記仮眠予定時間帯の前に判断し、前記対象者が仮眠する対象空間(SP)に対する環境制御の内容を決定する、決定ステップ(S3)と、
を備える、
環境制御内容決定方法。
【請求項22】
対象者(90)に関する、仮眠前情報(D11)と、仮眠開始予定時刻及び仮眠終了予定時刻を含む仮眠予定時間帯(D12)と、を取得する、取得ステップ(S1)と、
前記仮眠前情報から、前記対象者のサーカディアンリズムに基づく眠気の周期を予測する、予測ステップ(S2)と、
前記仮眠予定時間帯と、前記眠気の周期との時間的関係に基づいて、前記仮眠予定時間帯における、前記対象者のサーカディアンリズムに基づく覚醒度合いを前記仮眠予定時間帯の前に判断し、前記対象者が仮眠する対象空間(SP)に対する環境制御の内容を決定する、決定ステップ(S3)と、
を備える、
環境制御内容決定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
環境制御内容決定装置、及び環境制御内容決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特許第6775949号公報)に示されているように、対象者に快適な仮眠を提供するため、対象者が仮眠する対象空間の環境制御を行う技術がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1では、対象者に快適な仮眠を提供するには不十分である、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点の環境制御内容決定装置は、取得部と、決定部と、を備える。取得部は、対象者に関する、仮眠前情報と、仮眠開始予定時刻及び仮眠終了予定時刻を含む仮眠予定時間帯と、を取得する。決定部は、仮眠前情報に基づいて、仮眠予定時間帯における対象者の覚醒度合いを判断し、対象者が仮眠する対象空間に対する環境制御の内容を決定する。
【0005】
第1観点の環境制御内容決定装置は、仮眠前情報に基づいて、仮眠予定時間帯における対象者の覚醒度合いを判断し、対象者が仮眠する対象空間に対する環境制御の内容を決定する。その結果、環境制御内容決定装置は、対象者に、より快適な仮眠を提供することができる。
【0006】
第2観点の環境制御内容決定装置は、第1観点の環境制御内容決定装置であって、予測部をさらに備える。予測部は、仮眠前情報から、対象者の眠気の周期を予測する。決定部は、仮眠予定時間帯と、眠気の周期との時間的関係に基づいて、環境制御の内容を決定する。
【0007】
従来、仮眠する対象者の眠気の周期は考慮されていなかったが、この度、眠気の周期が、対象者に快適な仮眠を提供するための重要な要因であることを見出した。第2観点の環境制御内容決定装置は、仮眠する対象者の眠気の周期を考慮して、対象者が仮眠する対象空間に対する環境制御の内容を決定する。その結果、環境制御内容決定装置は、対象者に、より快適な仮眠を提供することができる。
【0008】
第3観点の環境制御内容決定装置は、第1観点又は第2観点の環境制御内容決定装置であって、仮眠前情報は、少なくとも、対象者の睡眠に関する情報を含む第1情報、を有する。
【0009】
第4観点の環境制御内容決定装置は、第3観点の環境制御内容決定装置であって、睡眠に関する情報は、仮眠当日の起床時刻、仮眠当日の起床時刻に対応する就寝時刻、仮眠当日の起床時刻に対応する睡眠時間、平均的な起床時刻、平均的な就寝時刻、平均的な睡眠時間、及び日常の睡眠状態の評価値、の内の少なくとも1つを含む。
【0010】
第5観点の環境制御内容決定装置は、第3観点又は第4観点の環境制御内容決定装置であって、第1情報は、さらに、食事に関する情報、仮眠前の眠気に対する主観的評価、仮眠前の主観的疲労評価、仮眠前の主観的ストレス評価、仮眠後の行動予定、及び仮眠当日の行動履歴、の内の少なくとも1つを含む。
【0011】
第6観点の環境制御内容決定装置は、第5観点の環境制御内容決定装置であって、食事に関する情報は、対象者が朝食、昼食、間食、及び夕食をとった時刻と、対象者の朝食、昼食、間食、及び夕食の食事内容と、の内の少なくとも1つを含む。
【0012】
第7観点の環境制御内容決定装置は、第3観点から第6観点のいずれかの環境制御内容決定装置であって、仮眠前情報は、さらに、対象者の性別、年齢、年代、着衣量、及び温冷感、の内の少なくとも1つを含む第2情報、を有する。
【0013】
第8観点の環境制御内容決定装置は、第3観点から第7観点のいずれかの環境制御内容決定装置であって、仮眠前情報は、さらに、対象者の瞼の開閉状態、瞼の動き、呼吸数、脈拍、血圧、LF/HF、脳波、体温、及び体内血糖値、の内の少なくとも1つを有する。
【0014】
第9観点の環境制御内容決定装置は、第1観点から第8観点のいずれかの環境制御内容決定装置であって、決定部は、複数の制御パターンの中から選択することにより、環境制御の内容を決定する。
【0015】
第9観点の環境制御内容決定装置は、環境制御の内容を、複数の制御パターンの中から選択することにより、環境制御を簡略化することができる。
【0016】
第10観点の環境制御内容決定装置は、第9観点の環境制御内容決定装置であって、制御パターンは、対象空間の環境に関する制御パラメータの値が推移する形によって表現される。
【0017】
第11観点の環境制御内容決定装置は、第10観点の環境制御内容決定装置であって、制御パラメータは、対象空間に設置された空気調和機の風量、風向、風速、運転モード、対象空間の室内温度、室内湿度、照度、音、香り、及び寝具の傾き、の内の少なくとも1つを含む。
【0018】
第12観点の環境制御内容決定装置は、第10観点又は第11観点の環境制御内容決定装置であって、制御パラメータは、対象空間の室内温度である。制御パターンは、対象者の、入眠前に室内温度を上げ、入眠検知後に室内温度を下げて維持し、仮眠終了予定時刻の所定時間前に室内温度を上げる制御と、対象者の、入眠前に室内温度を上げ、入眠検知後に室内温度を下げて維持する制御と、を有する。
【0019】
第13観点の環境制御内容決定装置は、第9観点から第12観点のいずれかの環境制御内容決定装置であって、決定部は、眠気の周期から、眠気を感じて短時間睡眠をとりやすい第1時間帯と、眠気を感じにくく短時間睡眠をとりにくい第2時間帯と、を特定する。決定部は、仮眠予定時間帯が、第1時間帯及び第2時間帯のいずれに該当するかによって、制御パターンを選択する。
【0020】
第13観点の環境制御内容決定装置は、このような構成により、対象者の眠気の周期に合わせて、制御パターンを選択することができる。
【0021】
第14観点の環境制御内容決定装置は、第13観点の環境制御内容決定装置であって、決定部は、さらに、対象者の平均的な睡眠時間に対して、仮眠当日の起床時刻に対応する睡眠時間が、所定時間より短いか否か、又は、対象者の日常の睡眠状態の評価値が、閾値を超えているか否か、に基づいて、制御パターンを選択する。
【0022】
第15観点の環境制御内容決定装置は、第10観点から第14観点のいずれかの環境制御内容決定装置であって、取得部は、対象者の仮眠中に、対象者に関する仮眠中情報をさらに取得する。取得部は、対象者の仮眠終了後に、対象者に関する仮眠後情報をさらに取得する。環境制御内容決定装置は、更新部をさらに備える。更新部は、制御パラメータの値が推移する形を更新する。更新部は、対象者の仮眠終了後、仮眠前情報、仮眠中情報、又は仮眠後情報に基づいて、制御パラメータの値が推移する形を更新する。
【0023】
第15観点の環境制御内容決定装置は、制御パラメータの値が推移する形を更新することにより、次回の仮眠時に、より快適な仮眠を提供することができる。
【0024】
第16観点の環境制御内容決定装置は、第15観点の環境制御内容決定装置であって、仮眠中情報は、対象者の睡眠深度、心拍、体動、脈拍、呼吸数、LF/HF、血圧、体温、入眠潜時、脳波、対象空間の室内温度、室内湿度、気流、照度、音、香り、寝具の温度、寝具の傾度、対象空間の外の室外温度、及び室外湿度、の内の少なくとも1つを含む。
【0025】
第17観点の環境制御内容決定装置は、第15観点又は第16観点の環境制御内容決定装置であって、仮眠後情報は、対象者の、仮眠の満足度に対する主観的評価、仮眠中の温冷感に対する主観的評価、及び仮眠後の眠気に対する主観的評価、の内の少なくとも1つを含む。
【0026】
第18観点の環境制御内容決定装置は、第15観点から第17観点のいずれかの環境制御内容決定装置であって、対象者に関する、制御パラメータの値が推移する形は、対象者と仮眠前情報が類似する、対象者とは異なる人の制御パラメータの値が推移する形、又は、更新部が十分な仮眠をとれたと判定した、過去の人の制御パラメータの値が推移する形、に決定される。
【0027】
第19観点の環境制御内容決定装置は、第15観点から第18観点のいずれかの環境制御内容決定装置であって、仮眠前情報は、仮眠前の眠気に対する主観的評価を含む。仮眠中情報は、脳波、心拍、脈拍、LF/HF、睡眠深度、呼吸数、体温の内の少なくとも1つを含む。仮眠後情報は、対象者の、仮眠の満足度に対する主観的評価、仮眠中の温冷感に対する主観的評価、及び仮眠後の眠気に対する主観的評価、の内の少なくとも1つを含む。更新部は、対象者が十分な仮眠をとれなかった、又は対象者が仮眠中に不快な温冷感を感じた、と判定した場合、制御パラメータの値が推移する形を更新する。
【0028】
第20観点の環境制御内容決定装置は、第18観点又は第19観点の環境制御内容決定装置であって、更新部は、仮眠時間が閾値より少ない場合、所定の睡眠段階の時間が閾値より少ない場合、睡眠中の心拍、呼吸数、脈拍、又はLF/HFの標準偏差が閾値より大きい場合、又は仮眠後の眠気に対する主観的評価が、仮眠前の眠気に対する主観的評価よりも良くなっていない場合、に十分な仮眠をとれなかったと判定する。
【0029】
第21観点の環境制御内容決定方法は、取得ステップと、決定ステップと、を備える。取得ステップは、対象者に関する、仮眠前情報と、仮眠開始予定時刻及び仮眠終了予定時刻を含む仮眠予定時間帯と、を取得する。決定ステップは、仮眠前情報に基づいて、対象者が仮眠する対象空間に対する環境制御の内容を決定する。
【0030】
第22観点の環境制御内容決定方法は、第21観点の環境制御内容決定方法であって、予測ステップをさらに備える。予測ステップは、仮眠前情報から、対象者の眠気の周期を予測する。決定ステップは、仮眠予定時間帯と、眠気の周期との時間的関係に基づいて、環境制御の内容を決定する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】環境制御内容決定装置、及び空気調和機の概略構成図である。
【
図2】環境制御内容決定装置の機能ブロック図である。
【
図5】環境制御内容決定装置の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(1)全体構成
図1は、環境制御内容決定装置1、及び空気調和機2の概略構成図である。
図1に示すように、環境制御内容決定装置1は、対象者90が仮眠する対象空間SPに対する環境制御の内容を決定する。本実施形態では、対象空間SPは、仮眠を行うための個室を想定している。環境制御内容決定装置1は、決定した環境制御の内容を、対象空間SPに設置された空気調和機2に送信し、空気調和機2に対象空間SPの空気調和(環境制御)を行わせる。
【0033】
環境制御内容決定装置1と、空気調和機2とは、ネットワークNWを介して、通信可能に接続されている。ネットワークNWは、例えば、無線LANである。
【0034】
また、対象空間SP内や、対象空間SPの外には、図示しない各種センサが設置されている。これらの各種センサと、環境制御内容決定装置1とは、ネットワークNWを介して、通信可能に接続されている。
【0035】
(2)詳細構成
(2-1)環境制御内容決定装置
本実施形態では、環境制御内容決定装置1は、一般的なコンピュータである。
図2は、環境制御内容決定装置1の機能ブロック図である。
図2に示すように、環境制御内容決定装置1は、主として、記憶部11と、入力部12と、表示部13と、通信部14と、制御部19と、を有する。
【0036】
(2-1-1)記憶部
記憶部11は、RAM、ROM、及びHDD等の記憶装置である。記憶部11は、制御部19が実行するプログラムや、プログラムの実行に必要なデータ等を記憶する。
【0037】
本実施形態では、記憶部11は、特に、後述する仮眠前情報D11、仮眠予定時間帯D12、仮眠中情報D2、及び仮眠後情報D3、を記憶する。
【0038】
(2-1-2)入力部
入力部12は、キーボード、及びマウスである。環境制御内容決定装置1に対する各種命令や、各種情報は、入力部12を介して入力することができる。
【0039】
対象者90は、入力部12を介して、仮眠開始前に、後述する仮眠前情報D11、及び仮眠予定時間帯D12を入力する。また、対象者90は、入力部12を介して、仮眠終了後に、後述する仮眠後情報D3を入力する。
【0040】
(2-1-3)表示部
表示部13は、モニターである。表示部13には、環境制御内容決定装置1に各種情報を入力するための入力画面や、記憶部11に記憶された各種情報等を表示することができる。
【0041】
(2-1-4)通信部
通信部14は、ネットワークNWを介して、空気調和機2等と通信を行うためのネットワークインターフェイス機器である。
【0042】
(2-1-5)制御部
制御部19は、CPUやGPU等のプロセッサである。制御部19は、記憶部11に記憶されているプログラムを読み込んで実行し、環境制御内容決定装置1の様々な機能を実現する。また、制御部19は、プログラムに従って、演算結果を記憶部11に書き込んだり、記憶部11に記憶されている情報を読み出したりすることができる。
【0043】
図2に示すように、制御部19は、機能ブロックとして、取得部191と、予測部192と、決定部193と、更新部194と、送信部195と、を有する。
【0044】
(2-1-5-1)取得部
(2-1-5-1-1)仮眠前情報、及び仮眠予定時間帯
取得部191は、対象者90に関する、仮眠前情報D11と、仮眠開始予定時刻及び仮眠終了予定時刻を含む仮眠予定時間帯D12と、を取得する。
【0045】
仮眠前情報D11は、少なくとも、対象者90の睡眠に関する情報を含む第1情報、を有する。睡眠に関する情報は、仮眠当日の起床時刻、仮眠当日の起床時刻に対応する就寝時刻、仮眠当日の起床時刻に対応する睡眠時間、平均的な起床時刻、平均的な就寝時刻、平均的な睡眠時間、及び日常の睡眠状態の評価値、の内の少なくとも1つを含む。ここで、仮眠当日の起床時刻に対応する就寝時刻は、一般的には、仮眠前日の夜や、仮眠当日の未明であると想定される。また、仮眠当日の起床時刻に対応する睡眠時間は、仮眠当日の起床時刻に対応する就寝時刻から、仮眠当日の起床時刻までの睡眠時間を意味する。また、日常の睡眠状態の評価値は、例えば、主観的な日中の過度の眠気を示すEpworth Sleepiness Scale(ESS又はJESS)や、睡眠の位相・質・量を示す3次元型睡眠尺度(3 Dimensional Sleep Scale、3DSS)や、不眠症の度合いを示すアテネ不眠尺度(Athens Insomnia Scale、AIS)や、総合的な睡眠の質を示すピッツバーグ睡眠質問票(Pittsburgh Sleep Quality Index、PSQI)等である。本実施形態では、対象者90の睡眠に関する情報として、仮眠当日の起床時刻、仮眠当日の起床時刻に対応する就寝時刻、仮眠当日の起床時刻に対応する睡眠時間、平均的な起床時刻、平均的な就寝時刻、平均的な睡眠時間、及び日常の睡眠状態の評価値を用いる。
【0046】
第1情報は、さらに、食事に関する情報、仮眠前の眠気に対する主観的評価、仮眠前の主観的疲労評価、仮眠前の主観的ストレス評価、仮眠後の行動予定、及び仮眠当日の行動履歴、の内の少なくとも1つを含む。ここで、食事に関する情報は、対象者90が朝食、昼食、間食、及び夕食をとった時刻と、対象者90の朝食、昼食、間食、及び夕食の食事内容と、の内の少なくとも1つを含む。食事内容は、例えば、カフェインやアルコールを含む飲料等である。本実施形態では、対象者90の睡眠に関する情報以外の第1情報として、仮眠前の眠気に対する主観的評価を用いる。
【0047】
また、仮眠前情報D11は、さらに、対象者90の性別、年齢、年代、着衣量、及び温冷感、の内の少なくとも1つを含む第2情報、を有する。本実施形態では、第2情報として、対象者90の性別、及び年齢を用いる。
【0048】
仮眠予定時間帯D12は、仮眠開始予定時刻から、仮眠終了予定時刻までの時間帯である。
【0049】
取得部191は、対象者90の仮眠開始前に、仮眠前情報D11、及び仮眠予定時間帯D12を、対象者90から入力部12を介して取得する。
【0050】
(2-1-5-1-2)仮眠中情報
取得部191は、対象者90の仮眠中に、対象者90に関する仮眠中情報D2を取得する。仮眠中情報D2は、対象者90の睡眠深度、心拍、体動、脈拍、呼吸数、LF/HF、血圧、体温、入眠潜時、脳波、対象空間SPの室内温度、室内湿度、気流、照度、音、香り、寝具の温度、寝具の傾度、対象空間SPの外の室外温度、及び室外湿度、の内の少なくとも1つを含む。対象者90の心拍、脈拍、呼吸数、LF/HF、血圧、体温、及び脳波は、例えば、対象空間SPに設置された接触型または非接触型のバイタルセンサから取得する。対象者90の睡眠深度、体動、及び入眠潜時は、例えば、寝具に取り付けられた睡眠計から取得する。ここで、睡眠深度は、レム睡眠と、4段階のノンレム睡眠と、覚醒と、からなる6つの睡眠段階ごとの時間である。対象空間SPの室内温度、室内湿度、気流、照度、音、及び香りはそれぞれ、例えば、対象空間SPに設置された温度センサ、湿度センサ、気流センサ、照度センサ、騒音センサ、及び臭気センサから取得する。寝具の温度、及び寝具の傾度はそれぞれ、例えば、寝具に取り付けられた、温度センサ、及び角度センサから取得する。対象空間SPの外の室外温度、及び室外湿度はそれぞれ、例えば、対象空間SPの外に設置された温度センサ、及び湿度センサから取得する。
【0051】
本実施形態では、仮眠中情報D2として、対象者90の入眠潜時、体動、心拍、脈拍、呼吸数、LF/HF、対象空間SPの室内温度、室内湿度、照度、及び騒音を用いる。
【0052】
(2-1-5-1-3)仮眠後情報
取得部191は、対象者90の仮眠終了後に、対象者90に関する仮眠後情報D3を取得する。仮眠後情報D3は、対象者90の、仮眠の満足度に対する主観的評価、仮眠中の温冷感に対する主観的評価、及び仮眠後の眠気に対する主観的評価、の内の少なくとも1つを含む。
【0053】
本実施形態では、仮眠後情報D3として、仮眠後の眠気に対する主観的評価を用いる。
【0054】
取得部191は、対象者90の仮眠終了後に、仮眠後情報D3を、対象者90から入力部12を介して取得する。
【0055】
(2-1-5-2)予測部
予測部192は、仮眠前情報D11から、対象者90の眠気の周期を予測する。眠気の周期は、対象者90が、眠気を感じる時間帯と、眠気を感じにくい時間帯と、についての情報である。眠気の周期は、例えば、対象者90のサーカディアンリズムに関係する。サーカディアンリズムは、例えば、人は、一般的に、午後4時前後に深部体温が最も高く、午前4時前後に深部体温が最も低い、という情報である。人は、深部体温が低い時間帯に、強く眠気を感じる傾向がある。また、昼間においては、サーカセミディアンリズムの影響により、人は、一般的に、午後2時から午後4時の間に眠気を感じる傾向にある。対象者90のサーカディアンリズムは、例えば、対象者90の、平均的な起床時刻、及び平均的な就寝時刻についての情報である。また、対象者90のサーカディアンリズムは、例えば、対象者90が朝型であるか、夜型であるかという情報である。例えば、昼間において、朝型の対象者90は、一般的な人よりも、眠気を感じる時間帯が早くなると考えてもよい。対象者90の、平均的な起床時刻、及び平均的な就寝時刻に対して、仮眠当日の起床時刻、及び仮眠当日の起床時刻に対応する就寝時刻がずれると、対象者90が眠気を感じる時間帯もずれる可能性がある。また、対象者90の仮眠当日の起床時刻が、平均的な起床時刻より早い場合や、対象者90の仮眠当日の起床時刻に対応する就寝時刻が、平均的な就寝時刻より遅い場合や、対象者90の仮眠当日の起床時刻に対応する睡眠時間が、平均的な睡眠時間より短い場合には、対象者90が眠気を感じる時間帯は、早まる可能性がある。本実施形態では、予測部192は、仮眠前情報D11として、対象者90の、仮眠当日の起床時刻、仮眠当日の起床時刻に対応する就寝時刻、仮眠当日の起床時刻に対応する睡眠時間、平均的な起床時刻、平均的な就寝時刻、平均的な睡眠時間、日常の睡眠状態の評価値、仮眠前の眠気に対する主観的評価、性別、年齢から、対象者90の眠気の周期を予測する。
【0056】
環境制御内容決定装置1の管理者は、例えば、様々な人の仮眠前情報D11と、眠気の周期とを関連付けたデータを用いて、仮眠前情報D11から眠気の周期を予測する深層学習モデルを構築しておく。予測部192は、当該深層学習モデルに、仮眠前情報D11を入力することにより、眠気の周期を予測する。
【0057】
(2-1-5-3)決定部
決定部193は、仮眠予定時間帯D12と、眠気の周期との時間的関係に基づいて、仮眠予定時間帯D12における対象者90の覚醒度合いを判断し、対象者90が仮眠する対象空間SPに対する環境制御の内容を決定する。
【0058】
具体的には、決定部193は、眠気の周期から、眠気を感じて短時間睡眠をとりやすい第1時間帯と、眠気を感じにくく短時間睡眠をとりにくい第2時間帯と、を特定する。第1時間帯は、例えば、午後や、深部体温が下降傾向にある時間帯である。第2時間帯は、例えば、午前中や、深部体温が上昇傾向にある時間帯である。そして、決定部193は、仮眠予定時間帯D12が、第1時間帯及び第2時間帯のいずれに該当するかによって、制御パターンを決定する。このとき、例えば、仮眠当日の起床時刻に対応する睡眠時間が平均的な睡眠時間より短い場合や、仮眠当日の起床時刻が平均的な起床時刻より早い場合や、仮眠当日の起床時刻に対応する就寝時刻が平均的な就寝時刻より遅い場合は、仮眠予定時間帯D12が第2時間帯に該当していても、第1時間帯に該当するとみなしてもよい。
【0059】
なお、対象者90が仮眠前に、アルコールや、コーヒー等のカフェインを摂取していた場合、対象者90は、アルコールやカフェインにより起床しやすくなるため、決定部193は、アルコールやカフェインを摂取した時間や量を考慮して、対象者90の覚醒度合いを判断してもよい。また、平日の就寝時間の中央時刻と、休日の就寝時間の中央時刻との差である、いわゆる「ソーシャルジェットラグ」が、例えば1時間以上である場合、一般的に眠気が生じやすくなることを考慮して、決定部193は、対象者90の覚醒度合いを判断してもよい。また、対象者90が女性の場合、生理周期により、女性ホルモンの影響を受け基礎体温が変化するため、生理中は、基礎体温が低く眠気を感じやすいことを考慮して、決定部193は、対象者90の覚醒度合いを判断してもよい。一方、排卵後は、逆に基礎体温が上がり、眠気を感じにくいことを考慮して、決定部193は、対象者90の覚醒度合いを判断してもよい。
【0060】
決定部193は、複数の制御パターンの中から選択することにより、環境制御の内容を決定する。制御パターンは、対象空間SPの環境に関する制御パラメータの値が推移する形によって表現される。言い換えると、環境制御の内容は、制御パターンと、制御パラメータと、から構成される。制御パラメータは、対象空間SPに設置された空気調和機2の風量、風向、風速、運転モード、対象空間SPの室内温度、室内湿度、照度、音、香り、及び寝具の傾き、の内の少なくとも1つを含む。例えば、制御パラメータが対象空間SPの室内温度である場合、制御パターンは、室内温度をいつ上げるか、いつ一定にするか、又はいつ下げるか、を意味するものであって、室内温度の推移幅(室内温度をどの程度上げるか、又は下げるか)を意味するものではない。本実施形態では、決定部193は、第1制御パターン、及び第2制御パターンの中から選択することにより、環境制御の内容を決定する。しかし、これに限定されず、決定部193は、3つ以上の制御パターンの中から選択することにより、環境制御の内容を決定してもよい。また、本実施形態では、制御パラメータとして、対象空間SPの室内温度を用いる。
【0061】
図3は、第1制御パターンを示す図である。
図4は、第2制御パターンを示す図である。
図3,4は、仮眠開始予定時刻から仮眠終了予定時刻までの(言い換えると、仮眠予定時間帯D12における)、対象空間SPの室内温度の値が推移する形を示している。
【0062】
決定部193は、仮眠予定時間帯D12が、第1時間帯に該当する場合、対象者90は深い睡眠に入りやすい状態であると判断し、第1制御パターンを選択する。
図3に示すように、第1制御パターンは、対象者90の、入眠前に室内温度を上げ、入眠検知後に室内温度を下げて維持し、仮眠終了予定時刻の所定時間前(以下、起床前の時間帯と記載することがある。)に室内温度を上げる制御である。所定時間は、例えば、5分である。仮眠予定時間帯D12が、第1時間帯に該当する場合、起床前の時間帯に睡眠中の室内温度を維持すると、対象者90は深く眠りすぎてしまうため、決定部193は、起床前に室内温度を上げる第1制御パターンを選択する。環境制御内容決定装置1は、入眠検知のタイミングを、例えば、寝具に取り付けられた睡眠計から取得し、空気調和機2に通知する。
【0063】
決定部193は、仮眠予定時間帯D12が、第2時間帯に該当する場合、対象者90は深い睡眠に入りにくい状態であると判断し、第2制御パターンを選択する。
図4に示すように、第2制御パターンは、対象者90の、入眠前に室内温度を上げ、入眠検知後に室内温度を下げて維持する制御である。仮眠予定時間帯D12が、第2時間帯に該当する場合、起床前の時間帯に室内温度を上げると、対象者90は十分な睡眠がとれないまま、途中で起きてしまう可能性が高いため、決定部193は、起床前の時間帯に睡眠中の室内温度を維持する第2制御パターンを選択する。
【0064】
第1制御パターン、及び第2制御パターンにおける室内温度(制御パラメータ)の値が推移する形は、対象者90ごとに定める。初めて環境制御内容決定装置1を利用する対象者90に関する、第1制御パターン、及び第2制御パターンにおける室内温度の値が推移する形は、対象者90と仮眠前情報D11が類似する、対象者90とは異なる人の室内温度の値が推移する形に決定してもよいし、更新部194が十分な仮眠をとれたと判定した、過去の人の室内温度の値が推移する形に決定してもよい。ここで、仮眠前情報D11が類似するとは、例えば、仮眠前情報D11における、対象者90の、睡眠に関する情報、食事に関する情報、性別、年齢、年代、及び温冷感、の内の少なくとも1つが同じであることをいう。例えば、対象者90と、暑がり又は寒がりという温冷感が同じである人は、対象者90に類似すると考えられる。また、例えば、対象者90と、平均的な起床時刻、又は平均的な就寝時刻が概ね同じである人は、対象者90に類似すると考えられる。また、初めて環境制御内容決定装置1を利用する対象者90に関する、第1制御パターン、及び第2制御パターンにおける室内温度の値が推移する形は、予め定めておいた汎用的な室内温度の値が推移する形に決定してもよい。
【0065】
2回目以降に環境制御内容決定装置1を利用する対象者90に関する、第1制御パターン、及び第2制御パターンにおける室内温度の値が推移する形は、前回の室内温度の値が推移する形、又は前回に更新部194によって更新された室内温度の値が推移する形、に決定する。
【0066】
(2-1-5-4)更新部
更新部194は、対象者90の仮眠終了後、仮眠前情報D11、仮眠中情報D2、又は仮眠後情報D3に基づいて、対象者90が十分な仮眠をとれなかった、又は対象者90が仮眠中に不快な温冷感を感じた、と判定した場合、選択した制御パターンにおける制御パラメータの値が推移する形を更新する。例えば、制御パラメータが対象空間SPの室内温度である場合、更新部194は、選択した制御パターンにおける室内温度の推移幅(室内温度をどの程度上げるか、又は下げるか)を更新する。
【0067】
具体的には、更新部194は、仮眠時間が閾値より少ない場合、所定の睡眠段階の時間が閾値より少ない場合、仮眠中情報D2における睡眠中の心拍、呼吸数、脈拍、又はLF/HF、の標準偏差が閾値より大きい場合、又は仮眠後の眠気に対する主観的評価(仮眠後情報D3)が、仮眠前の眠気に対する主観的評価(仮眠前情報D11)よりも良くなっていない場合、に十分な仮眠をとれなかったと判定する。仮眠時間は、例えば、仮眠中情報D2における、レム睡眠の時間と、ノンレム睡眠の時間と、の合計である。仮眠時間の閾値は、例えば、仮眠予定時間の7割に相当する時間である。所定の睡眠段階の時間は、例えば、第2段階目のノンレム睡眠の時間である。所定の睡眠段階の時間の閾値は、例えば、仮眠時間の5割に相当する時間である。更新部194は、例えば、仮眠中情報D2における対象者90の心拍において、仮眠中に安定した心拍を維持できた時間が、閾値より少ない場合に、十分な仮眠をとれなかったと判定してもよい。
【0068】
更新部194は、第1制御パターンにおいて、対象者90が十分な仮眠をとれなかった、又は対象者90が仮眠中に不快な温冷感を感じた、と判定した場合、例えば、第1制御パターンにおける起床前の時間帯における室内温度の勾配を小さくする。更新部194は、第2制御パターンにおいて、対象者90が十分な仮眠をとれなかった、又は対象者90が仮眠中に不快な温冷感を感じた、と判定した場合、例えば、第2制御パターンにおける睡眠中の室内温度を適切な温度に調整する。また、更新部194は、例えば、第1制御パターン及び第2制御パターンにおいて、対象者90が仮眠中の温冷感に対する主観的評価で、仮眠中は暑かったと評価したことにより、対象者90が仮眠中に不快な温冷感を感じた、と判定した場合、仮眠中の室内温度を下げる。また、更新部194は、例えば、第1制御パターン及び第2制御パターンにおいて、対象者90が仮眠中の温冷感に対する主観的評価で、仮眠中は寒かったと評価したことにより、対象者90が仮眠中に不快な温冷感を感じた、と判定した場合、仮眠中の室内温度を上げる。また、更新部194は、例えば、第1制御パターン及び第2制御パターンにおいて、ノンレム睡眠の時間が閾値より少ないことにより、対象者90が十分な仮眠をとれなかった、と判定した場合、睡眠中の室内温度を下げる。また、更新部194は、例えば、第1制御パターン及び第2制御パターンにおいて、対象者90が仮眠後の眠気に対する主観的評価で、入眠前の時間帯が寒かったと評価したことにより、対象者90が仮眠中に不快な温冷感を感じた、と判定した場合、入眠前の時間帯の室内温度を(例えば、1℃)上げる。また、更新部194は、例えば、第1制御パターン及び第2制御パターンにおいて、対象者90が仮眠後の眠気に対する主観的評価で、入眠前の時間帯が暑かったと評価したことにより、対象者90が仮眠中に不快な温冷感を感じた、と判定した場合、入眠前の時間帯の室内温度を(例えば、1℃)下げる。また、更新部194は、例えば、第1制御パターン及び第2制御パターンにおいて、対象者90が仮眠の満足度に対する主観的評価で、「仮眠中は、寒くはなかったが、十分な睡眠がとれなかった。」と評価したことにより、対象者90が十分な仮眠をとれなかった、と判定した場合、仮眠中の室内温度を(例えば、1℃)下げる。
【0069】
(2-1-5-5)送信部
送信部195は、決定部193により決定された第1制御パターン、又は第2制御パターンを、空気調和機2に送信する。
【0070】
(2-2)空気調和機
空気調和機2は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを構成し、対象空間SPの空気調和を行う。空気調和機2は、主として、室内機20と、室外機と、コントローラと、を有する。室内機20と、室外機とは、冷媒回路を構成している。また、室内機20と、室外機とは、通信線によって通信可能に接続されている。
【0071】
図1に示すように、本実施形態では、室内機20は、対象空間SPの壁に設置される、壁掛型のユニットである。室内機20は、主として、室内熱交換器と、室内ファンと、室内制御部と、を有する。室内熱交換器は、室内熱交換器を流れる冷媒と、対象空間SPの空気と、の間で熱交換を行わせる。室内ファンは、室内熱交換器に、対象空間SPの空気を供給するファンである。室内制御部は、室内機20を構成する各部の動作を制御する。室内制御部は、制御演算装置及び記憶装置を有する。
【0072】
室外機は、対象空間SPの外に設置される。室外機は、主として、圧縮機と、流路切換弁と、室外熱交換器と、室外膨張弁と、室外ファンと、室外制御部と、を有する。圧縮機は、低圧の冷媒を吸入し、圧縮機構によって冷媒を圧縮し、圧縮した冷媒を吐出することにより、冷媒回路内の冷媒を循環させる。流路切換弁は、冷房運転及び暖房運転を含む各種運転モードの間で、冷媒の流路を切り換える機構である。室外熱交換器は、室外熱交換器を流れる冷媒と、対象空間SPの外の空気との間で熱交換を行わせる。室外膨張弁は、冷媒回路を流れる冷媒の圧力や流量を調節するための機構である。室外ファンは、室外熱交換器に、対象空間SPの外の空気を供給するファンである。室外制御部は、室外機を構成する各部の動作を制御する。室外制御部は、制御演算装置及び記憶装置を有する。
【0073】
コントローラは、室内制御部と、室外制御部と、から構成される。コントローラは、室内制御部及び室外制御部のそれぞれの制御演算装置に、それぞれの記憶装置に記憶されたプログラムを実行させることにより、空気調和機2全体の動作を制御する。コントローラは、環境制御内容決定装置1から受信する環境制御の内容に基づいて、運転モード、設定温度、風量等を制御し、対象空間SPの空気調和を行う。本実施形態では、空気調和機2は、環境制御内容決定装置1から、環境制御の内容として、第1制御パターン、又は第2制御パターンを受信すると、対象空間SPが、第1制御パターン、又は第2制御パターンが示す室内温度となるように、対象空間SPの空気調和を行う。
【0074】
(3)処理
環境制御内容決定装置1の処理の一例を、
図5のフローチャートを用いて説明する。
【0075】
ステップS1に示すように、環境制御内容決定装置1は、対象者90の仮眠開始前に、仮眠前情報D11、及び仮眠予定時間帯D12を、対象者90から入力部12を介して取得する。
【0076】
ステップS1を終えると、ステップS2に示すように、環境制御内容決定装置1は、仮眠前情報D11から、対象者90の眠気の周期を予測する。
【0077】
ステップS2を終えると、ステップS3に示すように、環境制御内容決定装置1は、第1制御パターンと、第2制御パターンのいずれかを選択することにより、環境制御の内容を決定する。対象者90が、初めて環境制御内容決定装置1を利用する場合、第1制御パターン、及び第2制御パターンにおける室内温度の値が推移する形は、対象者90と仮眠前情報D11が類似する、対象者90とは異なる人の室内温度の値が推移する形に決定する。対象者90が、2回目以降に環境制御内容決定装置1を利用する場合、第1制御パターン、及び第2制御パターンにおける室内温度の値が推移する形は、前回の室内温度の値が推移する形、又は前回に更新部194によって更新された室内温度の値が推移する形、に決定する。
【0078】
ステップS3を終えると、ステップS4に示すように、環境制御内容決定装置1は、選択した制御パターンを、空気調和機2に送信する。空気調和機2は、制御パターンを受信すると、対象空間SPが、制御パターンが示す室内温度となるように、対象空間SPの空気調和を行う。
【0079】
ステップS4を終えると、ステップS5に示すように、環境制御内容決定装置1は、対象者90の仮眠中に、対象者90に関する仮眠中情報D2を取得する。
【0080】
ステップS5を終えると、ステップS6に示すように、環境制御内容決定装置1は、対象者90の仮眠終了後に、仮眠後情報D3を、対象者90から入力部12を介して取得する。
【0081】
ステップS6を終えると、ステップS7に示すように、環境制御内容決定装置1は、仮眠前情報D11、仮眠中情報D2、及び仮眠後情報D3に基づいて、対象者90が十分な仮眠をとれなかったか否か、又は対象者90が仮眠中に不快な温冷感を感じたか否か、を判定する。対象者90が十分な仮眠をとれなかった、又は対象者90が仮眠中に不快な温冷感を感じた、と判定した場合、ステップS8に進む。対象者90が十分な仮眠をとれた、かつ対象者90が仮眠中に不快な温冷感を感じなかった、と判定した場合、処理を終了する。
【0082】
ステップS7からステップS8に進むと、環境制御内容決定装置1は、選択した制御パターンにおける室内温度の値が推移する形を更新し、処理を終了する。
【0083】
(4)特徴
(4-1)
従来、対象者に快適な仮眠を提供するため、対象者が仮眠する対象空間の環境制御を行う技術がある。しかし、従来の技術では、対象者に快適な仮眠を提供するには不十分である、という課題がある。
【0084】
本実施形態の環境制御内容決定装置1は、取得部191と、決定部193と、を備える。取得部191は、対象者90に関する、仮眠前情報D11と、仮眠開始予定時刻及び仮眠終了予定時刻を含む仮眠予定時間帯D12と、を取得する。決定部193は、仮眠前情報D11に基づいて、仮眠予定時間帯D12における対象者90の覚醒度合いを判断し、対象者90が仮眠する対象空間SPに対する環境制御の内容を決定する。
【0085】
環境制御内容決定装置1は、仮眠前情報D11に基づいて、仮眠予定時間帯D12における対象者90の覚醒度合いを判断し、対象者90が仮眠する対象空間SPに対する環境制御の内容を決定する。その結果、環境制御内容決定装置1は、対象者90に、より快適な仮眠を提供することができる。
【0086】
(4-2)
本実施形態の環境制御内容決定装置1は、予測部192をさらに備える。予測部192は、仮眠前情報D11から、対象者90の眠気の周期を予測する。決定部193は、仮眠予定時間帯D12と、眠気の周期との時間的関係に基づいて、環境制御の内容を決定する。
【0087】
従来、仮眠する対象者の眠気の周期は考慮されていなかったが、この度、眠気の周期が、対象者90に快適な仮眠を提供するための重要な要因であることを見出した。環境制御内容決定装置1は、仮眠する対象者90の眠気の周期を考慮して、対象者90が仮眠する対象空間SPに対する環境制御の内容を決定する。その結果、環境制御内容決定装置1は、対象者90に、より快適な仮眠を提供することができる。
【0088】
(4-3)
本実施形態の環境制御内容決定装置1では、仮眠前情報D11は、少なくとも、対象者90の睡眠に関する情報を含む第1情報、を有する。
【0089】
(4-4)
本実施形態の環境制御内容決定装置1では、睡眠に関する情報は、仮眠当日の起床時刻、仮眠当日の起床時刻に対応する就寝時刻、仮眠当日の起床時刻に対応する睡眠時間、平均的な起床時刻、平均的な就寝時刻、平均的な睡眠時間、及び日常の睡眠状態の評価値、の内の少なくとも1つを含む。
【0090】
(4-5)
本実施形態の環境制御内容決定装置1では、第1情報は、さらに、食事に関する情報、仮眠前の眠気に対する主観的評価、仮眠前の主観的疲労評価、仮眠前の主観的ストレス評価、仮眠後の行動予定、及び仮眠当日の行動履歴、の内の少なくとも1つを含む。
【0091】
(4-6)
本実施形態の環境制御内容決定装置1では、食事に関する情報は、対象者90が朝食、昼食、間食、及び夕食をとった時刻と、対象者90の朝食、昼食、間食、及び夕食の食事内容と、の内の少なくとも1つを含む。
【0092】
(4-7)
本実施形態の環境制御内容決定装置1では、仮眠前情報D11は、さらに、対象者90の性別、年齢、年代、着衣量、及び温冷感、の内の少なくとも1つを含む第2情報、を有する。
【0093】
(4-8)
本実施形態の環境制御内容決定装置1では、決定部193は、複数の制御パターンの中から選択することにより、環境制御の内容を決定する。環境制御内容決定装置1は、環境制御の内容を、複数の制御パターンの中から選択することにより、環境制御を簡略化することができる。
【0094】
(4-9)
本実施形態の環境制御内容決定装置1では、制御パターンは、対象空間SPの環境に関する制御パラメータの値が推移する形によって表現される。
【0095】
(4-10)
本実施形態の環境制御内容決定装置1では、制御パラメータは、対象空間SPに設置された空気調和機2の風量、風向、風速、運転モード、対象空間SPの室内温度、室内湿度、照度、音、香り、及び寝具の傾き、の内の少なくとも1つを含む。
【0096】
(4-11)
本実施形態の環境制御内容決定装置1では、制御パラメータは、対象空間SPの室内温度である。制御パターンは、対象者90の、入眠前に室内温度を上げ、入眠検知後に室内温度を下げて維持し、仮眠終了予定時刻の所定時間前に室内温度を上げる制御と、対象者90の、入眠前に室内温度を上げ、入眠検知後に室内温度を下げて維持する制御と、を有する。
【0097】
(4-12)
本実施形態の環境制御内容決定装置1では、決定部193は、眠気の周期から、眠気を感じて短時間睡眠をとりやすい第1時間帯と、眠気を感じにくく短時間睡眠をとりにくい第2時間帯と、を特定する。決定部193は、仮眠予定時間帯D12が、第1時間帯及び第2時間帯のいずれに該当するかによって、制御パターンを選択する。その結果、環境制御内容決定装置1は、対象者90の眠気の周期に合わせて、制御パターンを選択することができる。
【0098】
(4-13)
本実施形態の環境制御内容決定装置1では、取得部191は、対象者90の仮眠中に、対象者90に関する仮眠中情報D2をさらに取得する。取得部191は、対象者90の仮眠終了後に、対象者90に関する仮眠後情報D3をさらに取得する。環境制御内容決定装置1は、更新部194をさらに備える。更新部194は、制御パラメータの値が推移する形を更新する。更新部194は、対象者90の仮眠終了後、仮眠前情報D11、仮眠中情報D2、又は仮眠後情報D3に基づいて、制御パラメータの値が推移する形を更新する。環境制御内容決定装置1は、制御パラメータの値が推移する形を更新することにより、次回の仮眠時に、より快適な仮眠を提供することができる。
【0099】
(4-14)
本実施形態の環境制御内容決定装置1では、仮眠中情報D2は、対象者90の睡眠深度、心拍、体動、脈拍、呼吸数、LF/HF、血圧、体温、入眠潜時、脳波、対象空間SPの室内温度、室内湿度、気流、照度、音、香り、寝具の温度、寝具の傾度、対象空間SPの外の室外温度、及び室外湿度、の内の少なくとも1つを含む。
【0100】
(4-15)
本実施形態の環境制御内容決定装置1では、仮眠後情報D3は、対象者90の、仮眠の満足度に対する主観的評価、仮眠中の温冷感に対する主観的評価、及び仮眠後の眠気に対する主観的評価、の内の少なくとも1つを含む。
【0101】
(4-16)
本実施形態の環境制御内容決定装置1では、対象者90に関する、制御パラメータの値が推移する形は、対象者90と仮眠前情報D11が類似する、対象者90とは異なる人の制御パラメータの値が推移する形、又は、更新部194が十分な仮眠をとれたと判定した、過去の人の制御パラメータの値が推移する形、に決定される。
【0102】
(4-17)
本実施形態の環境制御内容決定装置1では、仮眠前情報D11は、仮眠前の眠気に対する主観的評価を含む。仮眠中情報D2は、脳波、心拍、脈拍、LF/HF、睡眠深度、呼吸数、体温の内の少なくとも1つを含む。仮眠後情報D3は、対象者90の、仮眠の満足度に対する主観的評価、仮眠中の温冷感に対する主観的評価、及び仮眠後の眠気に対する主観的評価、の内の少なくとも1つを含む。更新部194は、対象者90が十分な仮眠をとれなかった、又は対象者90が仮眠中に不快な温冷感を感じた、と判定した場合、制御パラメータの値が推移する形を更新する。
【0103】
(4-18)
本実施形態の環境制御内容決定装置1では、更新部194は、仮眠時間が閾値より少ない場合、所定の睡眠段階の時間が閾値より少ない場合、睡眠中の心拍、呼吸数、脈拍、又はLF/HFの標準偏差が閾値より大きい場合、又は仮眠後の眠気に対する主観的評価が、仮眠前の眠気に対する主観的評価よりも良くなっていない場合、に十分な仮眠をとれなかったと判定する。
【0104】
(4-19)
本実施形態の環境制御内容決定方法は、取得ステップS1と、決定ステップS3と、を備える。取得ステップS1は、対象者90に関する、仮眠前情報D11と、仮眠開始予定時刻及び仮眠終了予定時刻を含む仮眠予定時間帯D12と、を取得する。決定ステップS3は、仮眠前情報D11に基づいて、対象者90が仮眠する対象空間SPに対する環境制御の内容を決定する。
【0105】
(4-20)
本実施形態の環境制御内容決定方法は、予測ステップS2をさらに備える。予測ステップS2は、仮眠前情報D11から、対象者90の眠気の周期を予測する。決定ステップS3は、仮眠予定時間帯D12と、眠気の周期との時間的関係に基づいて、環境制御の内容を決定する。
【0106】
(5)変形例
(5-1)変形例1A
本実施形態では、仮眠前情報D11は、第1情報と、第2情報と、を有していた。しかし、仮眠前情報D11は、さらに、対象者90の瞼の開閉状態、瞼の動き、呼吸数、脈拍、血圧、LF/HF、脳波、体温、及び体内血糖値、の内の少なくとも1つを有してもよい。
【0107】
(5-2)変形例1B
本実施形態では、決定部193は、仮眠予定時間帯D12が、第1時間帯及び第2時間帯のいずれに該当するかによって、制御パターンを選択した。しかし、決定部193は、さらに、対象者90の平均的な睡眠時間に対して、仮眠当日の起床時刻に対応する睡眠時間が、所定時間より短いか否か、又は、対象者90の日常の睡眠状態の評価値が、閾値を超えているか否か、に基づいて、制御パターンを選択してもよい。
【0108】
(5-3)変形例1C
本実施形態では、対象者90は、入力部12を介して、環境制御内容決定装置1に、直接、仮眠前情報D11等の各種情報を入力した。しかし、環境制御内容決定装置1は、クラウド上に設置されてもよい。この場合、対象者90は、タブレット等のユーザ端末から、インターネット等のネットワークNWを介して、環境制御内容決定装置1に各種情報を入力する。
【0109】
また、空気調和機2のコントローラが、環境制御内容決定装置1の機能を有してもよい。この場合、対象者90は、タブレット等のユーザ端末から、無線LAN等のネットワークNWを介して、空気調和機2のコントローラに各種情報を入力する。
【0110】
(5-4)変形例1D
本実施形態では、制御パラメータは、対象空間SPの室内温度であった。しかし、制御パラメータは、対象空間SPの照度、音、香り、及び寝具の傾きであってもよい。
【0111】
制御パラメータが照度である場合、例えば、室内温度を上げる制御に対応して、照度を上げる制御を行う。また、制御パラメータが音である場合、例えば、室内温度を上げる制御に対応して、大きな音を流す制御を行う。また、制御パラメータが香りである場合、例えば、室内温度を上げる制御に対応して、多くの香りを発生させる制御を行う。また、制御パラメータが寝具の傾きである場合、例えば、室内温度を上げる制御に対応して、寝具の傾きを急角度にする制御を行う。
【0112】
(5-5)
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0113】
1 環境制御内容決定装置
191 取得部
192 予測部
193 決定部
194 更新部
2 空気調和機
90 対象者
D11 仮眠前情報
D12 仮眠予定時間帯
D2 仮眠中情報
D3 仮眠終情報
S1 取得ステップ
S2 予測ステップ
S3 決定ステップ
SP 対象空間
【先行技術文献】
【特許文献】
【0114】