(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】乳幼児冷却装置
(51)【国際特許分類】
A47D 13/02 20060101AFI20231026BHJP
【FI】
A47D13/02
(21)【出願番号】P 2019116106
(22)【出願日】2019-06-24
【審査請求日】2022-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】592171005
【氏名又は名称】株式会社セフト研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】青木 大祐
(72)【発明者】
【氏名】沖 洋平
(72)【発明者】
【氏名】伊勢井 学
(72)【発明者】
【氏名】吉▲崎▼ 和
(72)【発明者】
【氏名】住吉 右次
(72)【発明者】
【氏名】河田 明菜
(72)【発明者】
【氏名】岩渕 大征
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3208723(JP,U)
【文献】特許第6327778(JP,B1)
【文献】登録実用新案第3207262(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47D 13/02
A41D 3/00-08
A41D 13/00-12
A61F 7/00-12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状部材によって、保護者に抱きかかえられ、又は背負われた乳幼児の身体を覆うことができる形状に形成され
た乳幼児冷却装置本体と、
前記シート状部材の内面側に空気を導入する
ファンと、
を備え、
前記乳幼児冷却装置本体は、
前記ファンを取り付けるための
孔部であるファン取付部と、
前記乳幼児を覆う状態で前記保護者に装着するための装着手段と、
を備え
、
前記ファンは、前記ファン取付部としての孔部を挿通し、前記乳幼児冷却装置本体が前記乳幼児を覆う状態で、少なくとも一部が前記乳幼児冷却装置本体と前記乳幼児との間の空間内に位置するようにして前記乳幼児冷却装置本体に取り付けられることを特徴とする乳幼児冷却装
置。
【請求項2】
前記装着手段は、前記乳幼児冷却装置本体を乳幼児ホルダーに装着し、前記乳幼児ホルダーを介して、前記保護者に装着することを特徴とする請求項1に記載の乳幼児冷却装
置。
【請求項3】
前記乳幼児冷却装置本体が前記保護者に装着された状態で、前記乳幼児冷却装置本体の上部に、前記
ファン取付部に取り付けられた
前記ファンによって導入される空気を排出するための空気排出部が形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の乳幼児冷却装
置。
【請求項4】
前記乳幼児冷却装置本体は、前記シート状部材の内面側に、
メッシュ状部材により形成され、前記乳幼児冷却装置本体下部から上部への空気の流通路を形成するスペーサを収納するスペーサ収納部を備えることを特徴とする請求項3に記載の乳幼児冷却装
置。
【請求項5】
前記乳幼児冷却装置本体は、前記乳幼児冷却装置本体の左右と、前記保護者の身体との間の隙間を塞ぐためのサイドカバーを備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の乳幼児冷却装
置。
【請求項6】
前記乳幼児冷却装置本体は、
前記シート状部材の内面側と外面側とを繋ぐ切れ目であるポケット開口部と、
メッシュ状部材により形成され、前記シート状部材の内面側に前記ポケット開口部を覆うように備えられたポケット裏地と、
を備え、
前記ポケット裏地と前記スペーサ収納部とは、これらが重なる位置に、前記スペーサ収納部が前記ポケット裏地よりも前記シート状部材寄りに位置するように備えられていることを特徴とする請求項4に記載の乳幼児冷却装置。
【請求項7】
前記乳幼児冷却装置本体は、通気性のない又は前記ファンによる空気の導入によって膨らませることができる程度の通気性を有するシート状部材を用いて形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の乳幼児冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳幼児冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、身体を冷却する電動ファン付きウェアが実用化され、急速に普及しつつある。電動ファン付きウェアは、通気性の低い素材で形成された服本体と、服本体の後側の下方に取り付けられた2つのファンと、2つのファンに電力を供給するための電源装置と、電源装置と2つのファンとを電気的に接続するための電源ケーブルと、を備える。
【0003】
ファンを作動させると、大量の空気がファンから服本体内に取り込まれ、取り込まれた空気の圧力により服本体と着用者の身体との間に空気流通路が自動的に形成される。取り込まれた空気は、形成された空気流通路を着用者の身体又は下着の表面に沿って流通し、例えば、襟部や袖部の開口部に形成された空気排出部から外部に排出される。
そして、取り込まれた空気が、服本体と着用者の身体又は下着との間の空気流通路を流通する間に、身体から出た汗を蒸発させ、蒸発する際の気化熱により身体が冷却される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような電動ファン付きウェアによれば、これを着用する着用者自身の身体は冷却することができる。しかしながら、例えば、所謂抱っこ紐、おんぶ紐等の乳幼児ホルダーを用いて、乳幼児が保護者に抱きかかえられたり、背負われたりしている場合において、保護者に抱きかかえられ、又は背負われた乳幼児の身体を冷却することはできなかった。
【0006】
本発明の課題は、保護者に抱きかかえられ、又は背負われた乳幼児の身体を冷却することができる乳幼児冷却装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、乳幼児冷却装置であって、
シート状部材によって、保護者に抱きかかえられ、又は背負われた乳幼児の身体を覆うことができる形状に形成された乳幼児冷却装置本体と、
前記シート状部材の内面側に空気を導入するファンと、
を備え、
前記乳幼児冷却装置本体は、
前記ファンを取り付けるための孔部であるファン取付部と、
前記乳幼児を覆う状態で前記保護者に装着するための装着手段と、
を備え、
前記ファンは、前記ファン取付部としての孔部を挿通し、前記乳幼児冷却装置本体が前記乳幼児を覆う状態で、少なくとも一部が前記乳幼児冷却装置本体と前記乳幼児との間の空間内に位置するようにして前記乳幼児冷却装置本体に取り付けられることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の乳幼児冷却装置であって、
前記装着手段は、前記乳幼児冷却装置本体を乳幼児ホルダーに装着し、前記乳幼児ホルダーを介して、前記保護者に装着することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の乳幼児冷却装置であって、
前記乳幼児冷却装置本体が前記保護者に装着された状態で、前記乳幼児冷却装置本体の上部に、前記ファン取付部に取り付けられた前記ファンによって導入される空気を排出するための空気排出部が形成されることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の乳幼児冷却装置であって、
前記乳幼児冷却装置本体は、前記シート状部材の内面側に、
メッシュ状部材により形成され、前記乳幼児冷却装置本体下部から上部への空気の流通路を形成するスペーサを収納するスペーサ収納部を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の乳幼児冷却装置であって、
前記乳幼児冷却装置本体は、前記乳幼児冷却装置本体の左右と、前記保護者の身体との間の隙間を塞ぐためのサイドカバーを備えることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の乳幼児冷却装置であって、
前記乳幼児冷却装置本体は、
前記シート状部材の内面側と外面側とを繋ぐ切れ目であるポケット開口部と、
メッシュ状部材により形成され、前記シート状部材の内面側に前記ポケット開口部を覆うように備えられたポケット裏地と、
を備え、
前記ポケット裏地と前記スペーサ収納部とは、これらが重なる位置に、前記スペーサ収納部が前記ポケット裏地よりも前記シート状部材寄りに位置するように備えられていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の乳幼児冷却装置であって、
前記乳幼児冷却装置本体は、通気性のない又は前記ファンによる空気の導入によって膨らませることができる程度の通気性を有するシート状部材を用いて形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、保護者に抱きかかえられ、又は背負われた乳幼児の身体を冷却することができる乳幼児冷却装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態に係る乳幼児冷却装置の背面図である。
【
図2】実施形態に係る乳幼児冷却装置の正面図である。
【
図3】
図1のIII-III部における断面図である。
【
図4】実施形態に係る乳幼児冷却装置を、乳幼児を抱きかかえる保護者が装着した状態を示す正面図である。なお、乳幼児にフードを被せた状態を図示している。
【
図5】実施形態に係る乳幼児冷却装置を、乳幼児を抱きかかえる保護者が装着した状態を示す側面図である。なお、乳幼児にフードを被せていない状態を図示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態である乳幼児冷却装置について、
図1から
図5に基づいて説明する。ただし、本発明の技術的範囲は図示例に限定されるものではない。
なお、以下においては、乳幼児を抱きかかえる保護者が、乳幼児冷却装置を装着した状態を基準として、保護者の前方向を前、保護者の後方向を後、保護者の上方向を上、保護者の下方向を下、保護者の右方向を右、保護者の左方向を左と定めて説明する。
また、本発明において、「保護者」とは、保護義務の有無を問わず、乳幼児を抱きかかえ、又は背負う者を広く含むものとし、「乳幼児」とは、年齢を問わず、保護者に抱きかかえられ、又は背負われた者を広く含むものとする。
また、本発明において、「抱きかかえる」とは、保護者が乳幼児を手で抱きかかえる場合に限らず、乳幼児ホルダーを用いて保護者の身体の前部に固定する場合も含むものとし、本発明において、「背負う」とは、保護者が乳幼児を手で背負う場合に限らず、乳幼児ホルダーを用いて保護者の身体の後部に固定する場合も含むものとする。
【0016】
[1 実施形態の構成]
実施形態に係る乳幼児冷却装置100は、
図4及び
図5に示すように、乳幼児ホルダーHを用いて保護者Aによって抱きかかえられ、又は背負われた乳幼児Bを覆うようにして装着され、ファン3によってカバー部1内に取り込まれた空気を上方へと流通させることで、乳幼児Bの身体から出た汗を蒸発させ、蒸発する際の気化熱により乳幼児Bの身体を冷却するものである。
図4及び
図5においては、保護者Aが乳幼児Bを抱きかかえた場合につき図示しているが、これに限られず、保護者Aが乳幼児Bを背負った場合に使用することも可能である。
【0017】
なお、乳幼児ホルダーHは、
図5に示すように保護者Aが乳幼児B抱きかかえる、又は背負うのを補助するための器具であり、例えば、保護者Aの肩に掛かる肩ベルトH1と、乳幼児を被覆すると共に下方から支える乳幼児被覆部H2と、乳幼児被覆部H2の下方に備えられ、保護者Aの腰部を周回するようにして保護者Aに取り付けられる腰部ベルト(図示せず)と、を備えて構成されている。
【0018】
乳幼児冷却装置100は、
図1から
図3に示すように、保護者Aに抱きかかえられ、又は背負われた乳幼児Bを覆うカバー部1と、カバー部1に取り付けられ空気の流通路を形成するスペーサ2と、カバー部1内に空気を導入するファン3と、ファン3に電力を供給する電源部4と、電源部4とファン3とを接続する接続ケーブル5と、を備える。
【0019】
[(1) カバー部]
カバー部1は、
図1及び
図2に示すように、通気性のない又はファン3による空気の導入によって膨らませることができる程度の通気性を有するシート状部材Sを用いて、保護者Aによって抱きかかえられ、又は背負われた乳幼児Bの身体を覆うことができる形状に形成されている。
なお、乳幼児Bの身体を覆うことができる形状とは、乳幼児Bの全身を覆うことが可能であることが好ましいが、必ずしもこれに限られず、乳幼児Bの身体を一部を覆うことができる形状である場合も含むものとする。
【0020】
カバー部1は、ファン取付部11と、フード12と、スペーサ収納部13と、上部取付部14と、下部取付部15と、サイドカバー16と、ポケット開口部17と、ポケット裏地18と、電源部収納部19と、下部収縮部20と、を備え、後述のように、保護者Aに装着された状態において、下部のファン取付部11からファン3によって取り込まれた空気が、上方の保護者Aとの間の隙間に形成される空気排出部Dから排出されるように構成されている。
なお、シート状部材Sの、乳幼児冷却装置100の使用時において乳幼児Bに向く側を内面側I、その反対側の外部に向く側を外面側Oとする。
また、本発明における乳幼児冷却装置本体とは、乳幼児冷却装置のうち、スペーサ2、ファン3、電源部4、接続ケーブル5等の着脱可能な部材を除いたものを指し、本実施形態においてはカバー部1がこれに該当する。
【0021】
(ファン取付部)
ファン取付部11は、
図1に示すように、カバー部1の下方に形成された、カバー部1にファン3を取り付けるための部分であり、カバー部1を形成するシート状部材Sに形成された、乳幼児冷却装置100を保護者Aが装着した状態において、カバー部1と保護者Aの身体との間の空間と、カバー部1の外部の空間と、を繋ぐこととなる円形の孔部である。
ファン取付部11の直径は、後述のファン3の直径と略同一に形成される。
ファン取付部11を挿通するようにしてファン3を取り付けることで、ファン取付部11を介して、外部の空気をカバー部1と保護者Aの身体との間の空間内に取り込むことができる。
【0022】
ファン取付部11の孔部の周囲は、例えばプラスチック等によって形成された扁平な環状の部材を取り付けたり、シート状部材Sを折り返して縫合したりといった方法で、補強されていることが好ましい。
【0023】
なお、
図1及び
図3においては、説明の便宜のため、ファン取付部11及びファン取付部11に取り付けられたファン3が後方を向くように図示しているが、実際に乳幼児冷却装置100が保護者Aに装着された状態においては、ファン取付部11及びファン取付部11に取り付けられたファン3は、ファン3の重みによって、下方を向くことになる。
【0024】
(フード)
フード12は、
図1及び
図2に示すように、カバー部1上部に形成された延出部であり、
図4に示すように、保護者Aによって抱きかかえられ、又は背負われた乳幼児Bの頭部を覆う状態と、
図5に示すように、乳幼児Bの頭部を覆うことなく垂れ下がった状態と、を切り替えることができる。
【0025】
フード12の左右の端部には、
図1に示すように、当該端部に沿って、例えばフード12を形成するシート状部材Sを折り返して形成された筒状の空間にゴム紐を内蔵するようにして、伸縮部121が備えられている。
フード12の左右に伸縮部121が備えられていることによって、乳幼児Bの頭部にフード12を被せる際には、当該伸縮部121を伸ばしてフード12の開口部を広げることで被せ易くすることができると共に、乳幼児Bの頭部に被せた後には、伸縮部121が収縮することで、フード12の開口部が狭まり、乳幼児Bの頭部から外れ難くなる。
【0026】
(スペーサ収納部)
スペーサ収納部13は、カバー部1にスペーサ2を取り付けるための部分であり、
図1及び
図3に示すように、カバー部1を形成するシート状部材Sの内面側Iに、上下に長い略矩形状にメッシュ状部材Mを取り付けることによって形成されている。スペーサ収納部13を形成するメッシュ状部材Mは、スペーサ2を収納可能な強度を有するものであれば任意であるが、空気の流通を妨げることがないように、スペーサ2が落下しない範囲で、開口率が高いものを用いることが望ましい。
【0027】
スペーサ収納部13を形成するメッシュ状部材Mは、左辺、右辺及び下辺において、カバー部1を形成するシート状部材Sの内面側Iに、例えば縫合等の方法によって固定されると共に、上辺は、例えば面ファスナー等を用いて、シート状部材Sに対して着脱自在とされており、当該上辺部分からスペーサ2を出し入れすることができる。
なお、本実施形態においては、スペーサ収納部13がポケット裏地18と重なる位置に形成されているが、
図3に示すように、スペーサ収納部13が、ポケット裏地18よりもシート状部材S寄り(
図3においては前方)に備えられている。また、スペーサ収納部13は、ポケット裏地18の下端までの長さを有するように形成されている。
【0028】
(上部取付部)
上部取付部14は、カバー部1のフード12を除いた上端部付近の左右に備えられた、カバー部1を乳幼児ホルダーHの左右に固定するための部分であり、例えば、
図1及び
図2に示すように、カバー部1の左右に備えられ、ここから延出する上部帯状部材141と、例えばスナップボタン等からなり、上部帯状部材141に取り付けられた上部第1固定手段142と、シート状部材Sの内面側Iに備えられ、上部第1固定手段142と着脱自在に固定可能な上部第2固定手段143と、からなる。
上部帯状部材141を、乳幼児ホルダーH上部の、例えば保護者Aの肩に掛けられた肩ベルトH1等に巻いた上で、上部第1固定手段142と、上部第2固定手段143とを固定することで、カバー部1を、乳幼児ホルダーHに装着することができる。
【0029】
上部第1固定手段142及び/又は上部第2固定手段143は、複数個所に備えられていることが、多様な取付位置に対応可能とする上で好ましい。
図1及び
図2においては、上部第1固定手段142が上部帯状部材141の2か所に形成された場合について図示しているが、これに限られず、上部帯状部材141を長く形成の上、さらに多数の上部第1固定手段142を備えてもよいし、上部第2固定手段143を複数備える構成としてもよい。
【0030】
(下部取付部)
下部取付部15は、カバー部1の下部に備えられた、カバー部1を乳幼児ホルダーHに固定するための部分であり、例えば、
図1に示すように、カバー部1下部の左右方向中央部付近から延出する下部帯状部材151と、例えば面ファスナー等からなり、下部帯状部材151に取り付けられた下部第1固定手段152と、シート状部材Sの内面側Iに備えられ、下部第1固定手段152と着脱自在に固定可能な下部第2固定手段153と、からなる。
下部帯状部材151を、乳幼児ホルダーH下部の、例えば腰部ベルト等に巻いた上で、下部第1固定手段152と、下部第2固定手段153とを固定することで、カバー部1を、乳幼児ホルダーHに装着することができる。
【0031】
なお、上部取付部14及び下部取付部15としては、カバー部1の上部又は下部を乳幼児ホルダーHに装着可能であればよく、上記の構成には限られない。
例えば、乳幼児ホルダーHの所定の位置に、予めスナップボタン、面ファスナー等の固定手段を備えておき、上部取付部14及び下部取付部15としては、このような乳幼児ホルダーHに備えられた固定手段と着脱自在に固定可能な、スナップボタン、面ファスナー等の固定手段のみを備えるようにしてもよい。
【0032】
また、装着の容易性や外れ難さが低下することから好ましくはないものの、カバー部1を、乳幼児ホルダーHを介さず、保護者Aに直接装着するようにすることも可能である。
例えば、上部取付部14及び下部取付部15を、それぞれ、カバー部1本体の左右に取り付けられた一対の帯状の部材として形成した上で、左右の帯状の部材を、保護者Aの胴部を周回するようにして、保護者Aの背中側で固定することで、乳幼児ホルダーHを介さずに、乳幼児冷却装置100を保護者Aに装着することができる。
なお、カバー部1が乳幼児ホルダーHに装着される場合及びカバー部1が保護者Aに直接装着される場合のいずれの場合においても、直接又は間接にカバー部1は保護者Aに装着されることから、上部取付部14及び下部取付部15が、本発明における装着手段として機能することとなる。
【0033】
(サイドカバー)
サイドカバー16は、カバー部1の左右の上部取付部14下方に備えられた、乳幼児冷却装置100が保護者Aに装着された状態において、カバー部1の左右の端部と、保護者Aの身体との間の隙間を埋めるための部分であり、
図1及び
図2に示すように、サイドカバー本体161と、サイドカバー本体161から延出する取付帯162と、を備える。
【0034】
サイドカバー本体161は、
図1及び
図2に示すように、カバー部1の左右から延出するように形成された部分であり、外面側は、例えば、カバー部1の他の部分と同様のシート状部材Sで形成され、内面側は、メッシュ状部材Mで形成されている。これによって、外面側のシート状部材Sによってカバー部1左右からの空気の漏れを防ぐと共に、保護者Aに触れることとなる内面側をメッシュ状部材Mによって形成することで、蒸れを防止することができる。
なお、サイドカバー本体161に備えられるメッシュ状部材Mは、スペーサ収納部13に用いられるのと同様のものであってもよいし、別個の素材を用いてもよい。
【0035】
取付帯162は、サイドカバー本体161の左右の端部からさらに延出する帯状の部材である。取付帯162を、乳幼児ホルダーH左右の任意の箇所に挟み込むようにして、サイドカバー16がカバー部1の左右の端部と保護者Aの身体との間の隙間を覆う状態で、サイドカバー16を、乳幼児ホルダーHに固定することができる。
図1及び
図2に示すように、取付帯162の先端には、これが折り返された折り返し部1621が備えられており、取付帯162が抜け難くなっている。
【0036】
取付帯162は、例えば、乳幼児ホルダーHの肩ベルトH1と、保護者Aの身体との間に挟むようにして固定することも可能であるが、乳幼児ホルダーHの肩ベルトH1の後方に、例えば、肩ベルトH1に沿って配置された帯状の部材の両端部を肩ベルトH1に固定することで、取付帯162を差し込むことができる差し込み部を予め設けておき、当該差し込み部に、取付帯162を差し込むようにして固定するようにしてもよい。
【0037】
なお、取付帯162は、例えば、上部取付部14の上部帯状部材141及び下部取付部15の下部帯状部材151のように、乳幼児ホルダーHの任意のベルト状の部分に巻いた状態で、スナップボタン、面ファスナー等の所定の固定手段を用いて固定するようにしてもよい。
また、例えば、左右の取付帯162同士が、例えばスナップボタン、面ファスナー等を用いて、保護者Aの背面側で固定されるようにしてもよい。
【0038】
(ポケット開口部)
ポケット開口部17は、
図2及び
図3に示すように、カバー部1の左右2か所に形成されたカバー部1を形成するシート状部材Sの内面側Iと外面側Oとを繋ぐ上下方向の切れ目であり、例えばスナップボタン等を用いて、開閉自在に形成されている。
【0039】
(ポケット裏地)
ポケット裏地18は、
図1及び
図3に示すように、カバー部1を形成するシート状部材Sの内面側Iに、左右のポケット開口部17を覆うように備えられた略矩形状のメッシュ状部材Mであり、右辺、左辺及び下辺においてシート状部材Sの内面側Iに縫合等の方法によって固定されている。
ポケット裏地18を形成するメッシュ状部材Mは、スペーサ収納部13に用いられるのと同様のものであってもよいし、別個の素材を用いてもよいが、スペーサ2を通る空気の流通を妨げない程度の開口率を有する必要がある。
【0040】
(電源部収納部)
電源部収納部19は、
図3に示すように、カバー部1下方のシート状部材Sの内面側Iの、ファン取付部11の前方の位置に形成された、電源部4を収納する部分である。
電源部収納部19は、電源部4が収納されるポケットである収納部本体191と、収納部本体191の開口部を開閉自在とする蓋部192と、からなる。
【0041】
収納部本体191は、電源部4と略同一の大きさに形成することが、誤って異なる電源部を使用してしまうおそれを低減する上で好ましい。
また、蓋部192は、例えば面ファスナー等を用いて、ポケットの開口部を閉塞した状態で固定可能に形成されている。
【0042】
(下部収縮部)
下部収縮部20は、カバー部1の下部を自在に収縮できるようにするための部分であり、
図1及び
図3に示すように、カバー部1下部の保護者Aに装着された状態において保護者Aに向く端部付近に、当該端部に沿って、例えばカバー部1を形成するシート状部材Sを折り返して筒状空間201を形成し、筒状空間201よりも長い帯状に形成された下部収縮部帯状部材202を通した上で、下部収縮部帯状部材202が筒状空間201に通されている長さを、例えば下部収縮部帯状部材202の左右の露出部分に備えられたベルトアジャスター等からなる調整手段203を用いて調整可能とすることで形成されている。
カバー部1下部に下部収縮部20が備えられていることによって、乳幼児Bを覆う状態で保護者Aに装着した上で、下部収縮部20を収縮させることで、カバー部1下部に隙間が生じ難くし、ファン3によって導入された空気を、カバー部1上方へと流通させ易くすることができる。
【0043】
なお、下部収縮部20の構成は、カバー部1の下部を自在に収縮できるものであればよく、上記のものには限られない。例えば、下部収縮部帯状部材202の代わりに紐状の部材を用いてもよいし、調整手段203としては、ベルトアジャスターの代わりにコードストッパー等を用いて、下部収縮部帯状部材202が筒状空間201に通されている長さを調整可能としてもよい。
【0044】
[(2)スペーサ]
スペーサ2は、カバー部1を形成するシート状部材Sの内面側Iと、乳幼児ホルダーHとの間に、空気の流通路を形成するための部材であり、上下方向に長い略矩形状の板状に形成され、その内部に、上下方向への空気流通路が形成されている。
スペーサ2は、スペーサ収納部13に収納されて、カバー部1に取り付けられる。
【0045】
スペーサ2の具体的構成は、カバー部1を形成するシート状部材Sの内面側Iと、乳幼児ホルダーHとの間に、十分な空気の流通路を確保できるものであれば任意であるが、例えば、本特許出願人による、特許第4067034号公報に記載のスペーサを用いることができる。
【0046】
[(3)ファン]
ファン3は、
図1及び
図3に示すように、ファン取付部11を挿通するようにしてカバー部1に取り付けられ、ファン取付部11を通して、カバー部1と保護者Aとの間の空間に空気を導入するためのものである。ファン3には、電源部4より、接続ケーブル5を通じて必要な電力が供給される。
ファン3としては、ファン取付部11を挿通するようにしてカバー部1に取り付けられ、カバー部1を形成するシート状部材Sの外面側Oから内面側Iへと空気を導入できるものであれば、その具体的な構成は任意である。
【0047】
[(4)電源部]
電源部4は、ファン3に電力を供給するための部材であり、例えば、安全保護回路が付加されたリチウムイオン組電池が内蔵され、接続ケーブル5を通じてファン3と接続される。また、電源部4は、ファン3に供給する電力のオン/オフを切り替えるスイッチ(図示せず)を備える。
電源部4は、ファン3に電力を供給することができると共に、ファン3に供給する電力のオン/オフを切り替えることができるものであれば、その具体的な構成は任意である。
【0048】
[(5)接続ケーブル]
接続ケーブル5は、電源部4とファン3とを接続するケーブルであり、接続ケーブル5通じて、電源部4からファン3に対して、ファン3の稼働に必要な電力が供給される。
接続ケーブル5は、電源部4からファン3に対して、ファン3の稼働に必要な電力を供給できるものであれば、その具体的な構成は任意である。
【0049】
[2 装着方法]
実施形態に係る乳幼児冷却装置100を、乳幼児ホルダーHを用いて保護者Aによって抱きかかえられ、又は背負われた乳幼児Bを覆うようにして装着する際の手順につき、以下説明する。
【0050】
(1)保護者Aが乳幼児Bを抱きかかえ、又は背負う。
(2)乳幼児ホルダーHを装着する。
具体的には、2つの肩ベルトH1が保護者Aの左右の肩のそれぞれに掛かり、乳幼児被覆部H2が乳幼児Bを覆うと共に乳幼児Bを下方から支え、腰部ベルトが保護者Aの腰部を周回するように、乳幼児ホルダーHを保護者Aに装着する。
(3)乳幼児冷却装置100を装着する。
具体的には、乳幼児冷却装置100を、保護者Aが乳幼児Bを抱きかかえている場合は保護者Aの前方から、保護者Aが乳幼児Bを背負っている場合は保護者Aの後方から、乳幼児ホルダーHを用いて保護者Aによって抱きかかえられ、又は背負われた乳幼児Bを覆うようにして配置した後、上部取付部14及び下部取付部15を、乳幼児ホルダーHに固定する。
また、サイドカバー16を、カバー部1と、保護者Aの身体の左右との間の隙間を塞ぐようにして、取付帯162を用いて乳幼児ホルダーHに固定する。
【0051】
上記の過程を経ることによって、乳幼児冷却装置100を、
図4及び
図5に示すように乳幼児ホルダーHを用いて保護者Aによって抱きかかえられ、又は背負われた乳幼児Bを覆うようにして装着することができる。
【0052】
[3 実施形態の効果]
本実施形態に係る乳幼児冷却装置100によれば、保護者Aによって抱きかかえられ、又は背負われた乳幼児Bを覆うようにして装着された状態で、ファン3によってカバー部1内に空気を取り込み、乳幼児Bの周囲に流通させることができる。
すなわち、乳幼児冷却装置100下方のファン3から取り込まれた空気は、上方へと流通し、
図4に示すようにフード12を乳幼児Bに被せた状態ではフード12と保護者Aの身体との隙間に形成された空気排出部Dから、
図5に示すようにフード12を乳幼児Bに被せていない状態では、カバー部1のフード12を除いた上端部付近と、保護者Aの身体及び乳幼児ホルダーHとの間の隙間に形成された空気排出部Dから排出されることとなる。
【0053】
このように空気が流通する過程で、乳幼児Bの身体から出た汗を蒸発させ、蒸発する際の気化熱により乳幼児Bの身体を冷却することができる。
この際に、乳幼児冷却装置100下方にファン3が取り付けられ、かつ上方に空気排出部Dが形成されることで、乳幼児Bの周囲に空気を流通させ易くなり、冷却効果を高めることができる。
【0054】
また、乳幼児Bを抱いた状態では、保護者Aについても、身体前面に熱がこもり、暑さを感じ易くなるが、乳幼児冷却装置100によれば、保護者Aの身体も同時に冷却することができる。
【0055】
また、カバー部1によって、乳幼児Bの身体が覆われることから、乳幼児Bに直接日光が当たることを防止できる。したがって、日光を遮りつつ、乳幼児Bの周囲に空気を流通させることができることから、乳幼児冷却装置100は、日中の屋外において特に有効である。このような日光を遮る効果は、フード12を乳幼児Bに被せることによって、一層高めることができる。
【0056】
また、乳幼児冷却装置100を、上部取付部14及び下部取付部15を用いて乳幼児ホルダーHに装着し、乳幼児ホルダーHを介して、保護者Aに装着できることで、保護者Aに直接これを装着する必要がある場合よりも、乳幼児冷却装置100を保護者Aに装着することが容易となる。
【0057】
また、サイドカバー16によって、保護者Aとカバー部1の左右の端部との間を塞ぎ、左右に漏れる空気を減少させることで、上方へと流通する空気を増加させることができ、さらに乳幼児Bの身体を冷却する効果を高めることができる。
【0058】
[4 変形例]
上記のように、カバー部1にファン取付部11が形成され、ファン3が取り付けられる位置は、カバー部1の下方であることが好ましいが、必ずしもこれに限定されず、カバー部1の左右の側面等、その他の位置にファン取付部11が形成され、ファン3が取り付けられるようにしてもよい。
また、ファン取付部11が形成される個数も一つには限定されず、二つ以上のファン取付部11が形成され、これに対応して、複数のファン3が取り付けられるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0059】
100 乳幼児冷却装置
1 カバー部(乳幼児冷却装置本体)
11 ファン取付部(空気導入手段取付部)
13 スペーサ収納部
14 上部取付部(装着手段)
15 下部取付部(装着手段)
16 サイドカバー
2 スペーサ
3 ファン(空気導入手段)
4 電源部(電源手段)
5 接続ケーブル(電源手段)
D 空気排出部
A 保護者
B 乳幼児
H 乳幼児ホルダー
S シート状部材
O 外面側
I 内面側
M メッシュ状部材