IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ニチリンの特許一覧

<>
  • 特許-脈動吸収機能付きコネクタ 図1
  • 特許-脈動吸収機能付きコネクタ 図2
  • 特許-脈動吸収機能付きコネクタ 図3A
  • 特許-脈動吸収機能付きコネクタ 図3B
  • 特許-脈動吸収機能付きコネクタ 図4
  • 特許-脈動吸収機能付きコネクタ 図5
  • 特許-脈動吸収機能付きコネクタ 図6
  • 特許-脈動吸収機能付きコネクタ 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】脈動吸収機能付きコネクタ
(51)【国際特許分類】
   F02M 37/00 20060101AFI20231026BHJP
   F02M 55/02 20060101ALI20231026BHJP
   F16L 55/053 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
F02M37/00 321A
F02M55/02 310C
F02M55/02 330C
F02M55/02 320W
F16L55/053
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020035973
(22)【出願日】2020-03-03
(65)【公開番号】P2021139313
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000233619
【氏名又は名称】株式会社ニチリン
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 一斉
(72)【発明者】
【氏名】桝野 哲朗
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0139426(US,A1)
【文献】特開平11-294294(JP,A)
【文献】実開昭60-003269(JP,U)
【文献】特開2012-215164(JP,A)
【文献】特開平09-151830(JP,A)
【文献】特開2002-206689(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 37/00
F02M 55/00 ~ 55/04
F16L 55/04 ~ 55/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプが挿入される第1開口と、前記第1開口に対向する第2開口とを有するコネクタ本体部と、
前記コネクタ本体部の側面に設けられ、前記コネクタ本体部の内部と連通する流路を有する継手部と、
前記第2開口から前記コネクタ本体部の内部に配置され、流体の脈動を吸収する脈動吸収体と、
前記第2開口を密封するキャップ部と、
を有し、
前記脈動吸収体は、前記キャップ部側の端面から前記キャップ部の方に向かって延びる柱状の突起部を有し、
前記キャップ部の内面には、前記突起部が嵌り込む窪み部が形成されており、
前記突起部の外周面に嵌められた筒状のカラー部材と、
前記突起部が前記カラー部材から抜けるのを防止する抜け止め構造と、
を有し、
前記カラー部材の外周面と前記窪み部の内周面とが固着されていることを特徴とする脈動吸収機能付きコネクタ。
【請求項2】
前記抜け止め構造は、
前記突起部の中央部の外周面に形成された凹部と、
前記カラー部材に設けられ、前記凹部に嵌る凸部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の脈動吸収機能付きコネクタ。
【請求項3】
前記抜け止め構造は、前記突起部の先端部に設けられたフランジ部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の脈動吸収機能付きコネクタ。
【請求項4】
前記キャップ部が、レーザー光に対して透過性を有する樹脂材料からなり、
前記カラー部材が、前記レーザー光に対して吸収性を有する樹脂材料からなり、
前記カラー部材の外周面と前記窪み部の内周面とが、レーザー溶着によって固着されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の脈動吸収機能付きコネクタ。
【請求項5】
前記脈動吸収体には、前記パイプの挿入方向に沿って伸縮する蛇腹が形成されており、
前記脈動吸収体において、前記蛇腹を形成する部分の肉厚は、前記脈動吸収体における前記パイプの挿入方向の両端部の肉厚よりも薄いことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の脈動吸収機能付きコネクタ。
【請求項6】
前記脈動吸収体において、前記蛇腹を形成する部分の肉厚は、30μm以上500μm以下であることを特徴とする請求項5に記載の脈動吸収機能付きコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脈動吸収機能を有するL字形状のコネクタに関し、特に、燃料用配管などの接続に用いるのに好適な脈動吸収機能を有するL字形状のコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、パイプが挿入されるコネクタ本体部の内部に、流体の脈動を吸収する脈動吸収体が配置されたL字形状の脈動吸収機能付きコネクタが開示されている。脈動吸収体は、パイプが挿入される開口からコネクタ本体部の内部に挿入された吸収体保持部材により位置決めされる。具体的には、コネクタ本体部の内面に形成された凸部に、脈動吸収体の一端部に設けられた凹部が嵌り、吸収体保持部材の先端部に、脈動吸収体の他端部に設けられた凹部が嵌ることで、脈動吸収体が位置決めされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-157649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、脈動吸収体の脈動吸収能力を向上させるために、脈動吸収体の肉厚を薄肉化すると、脈動吸収体の変形量が大きくなる。脈動吸収体の変形量が大きくなると、特許文献1のものでは、脈動吸収体の一端部側の凹部がコネクタ本体部の凸部から外れたり、脈動吸収体の他端側の凹部が吸収体保持部材の先端部から外れたりして、脈動吸収体が位置ずれし、そのまま元の位置に戻らなくなる虞がある。
【0005】
本発明の目的は、脈動吸収体の位置ずれを防止することが可能な脈動吸収機能付きコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、パイプが挿入される第1開口と、前記第1開口に対向する第2開口とを有するコネクタ本体部と、前記コネクタ本体部の側面に設けられ、前記コネクタ本体部の内部と連通する流路を有する継手部と、前記第2開口から前記コネクタ本体部の内部に配置され、流体の脈動を吸収する脈動吸収体と、前記第2開口を密封するキャップ部と、を有し、前記脈動吸収体は、前記キャップ部側の端面から前記キャップ部の方に向かって延びる柱状の突起部を有し、前記キャップ部の内面には、前記突起部が嵌り込む窪み部が形成されており、前記突起部の外周面に嵌められた筒状のカラー部材と、前記突起部が前記カラー部材から抜けるのを防止する抜け止め構造と、を有し、前記カラー部材の外周面と前記窪み部の内周面とが固着されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、突起部の外周面に嵌められたカラー部材の外周面と、窪み部の内周面とが固着されている。そして、突起部が、カラー部材から抜けるのが防止されている。よって、脈動吸収体が大きく変形しても、脈動吸収体の位置が確実に維持される。これにより、脈動吸収体の位置ずれを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】コネクタの斜視図である。
図2】コネクタの断面図である。
図3A】バルーンおよびカラー部材の分解斜視図である。
図3B】バルーンおよびカラー部材の組立斜視図である。
図4】第1変形例における図2の要部Aの拡大図である。
図5】第1変形例におけるバルーンの斜視図である。
図6】第2変形例における図2の要部Aの拡大図である。
図7】第2変形例におけるバルーンおよびキャップ部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0010】
(コネクタの構成)
本実施形態におけるコネクタ(脈動吸収機能付きコネクタ)は、例えば、インジェクタ(燃料噴射装置、不図示)に、燃料(ガソリンなどの燃料油)を供給するための燃料配管系統において、配管接続に用いられるコネクタである。
【0011】
コネクタ100の斜視図である図1、および、コネクタ100の断面図である図2に示すように、コネクタ100は、L字形状のコネクタである。コネクタ100は、パイプ50が挿入される雌継手部としてのコネクタ本体部1と、雄継手部(継手部)2と、キャップ部3と、を備える。
【0012】
コネクタ本体部1は、パイプ50が挿入される第1開口1aと、第1開口1aに対向する第2開口1bとを有している。雄継手部2は、コネクタ本体部1の側面に設けられ、コネクタ本体部1の内部と連通する流路2aを有している。雄継手部2には、例えば、燃料ホース(不図示)が接続される。
【0013】
コネクタ本体部1は、一体成形品であり、例えば、射出成形により一体成形される。また、コネクタ本体部1および雄継手部2についても同様であり、コネクタ本体部1と雄継手部2とは、例えば、射出成形により一体成形される。なお、本実施形態では、コネクタ本体部1と雄継手部2とが一体成形されているが、コネクタ本体部1と雄継手部2とが一体成形されている必要はなく、例えば、コネクタ本体部1と雄継手部2とが別々に成形されたものを接合してもよい。
【0014】
また、本実施形態では、コネクタ本体部1と雄継手部2とは直交しているが、コネクタ本体部1と雄継手部2とが直交している必要はなく、例えば、コネクタ本体部1と雄継手部2とのなす角度が45度であってもよい。すなわち、上記の「L字形状」とは、コネクタ本体部1と雄継手部2とのなす角度が、90度のものだけを含むのではなく、30度や45度や60度など、様々な角度をなすものも含まれる。
【0015】
キャップ部3は、樹脂製であり、第2開口1bを密封している。
【0016】
また、コネクタ100は、リテーナ4を有している。リテーナ4は、コネクタ本体部1にパイプ50を固定するための部品である。パイプ50の外周面に形成された環状の凸部であるスプール部50aと、リテーナ4とが係合されることで、パイプ50は、コネクタ本体部1に固定(ロック)される。
【0017】
ここで、燃料が流れる雄継手部2の流路2a、コネクタ本体部1の内部、および、パイプ50の流路50bは、燃料ポンプ(不図示)により、常時、高い圧力(燃料圧力)がかかった状態となる。そして、インジェクタから燃料が噴射されると、圧力は下がり、インジェクタの弁が閉じると、圧力は上昇する。この繰り返しにより圧力が変動し、この圧力変動が、燃料(流体)の脈動の原因となる。
【0018】
そこで、図2に示すように、コネクタ100は、バルーン(脈動吸収体)5を有している。バルーン5は、中空の弾性体であって、その材料は、樹脂である。バルーン5は、第2開口1bからコネクタ本体部1の内部に配置され、燃料(流体)の脈動を吸収する。燃料の圧力変動が、バルーン5により緩和されることで、燃料の脈動が抑えられる。
【0019】
本実施形態のバルーン5には、パイプ50の挿入方向に沿って伸縮する蛇腹が形成されている。バルーン5の外径Dm(図3A参照)は、パイプ50の外径Dpよりも大きい。
【0020】
ここで、バルーン5において、蛇腹を形成する部分の肉厚は、バルーン5におけるパイプ50の挿入方向の両端部の肉厚よりも薄くされている。これにより、バルーン5が伸縮しやすくなるので、バルーン5の脈動吸収能力を向上させることができる。
【0021】
本実施形態では、バルーン5において、蛇腹を形成する部分の肉厚は、30μm以上500μm以下であり、好ましくは50μm以上400μm以下である。これにより、バルーン5がより伸縮しやすくなるので、バルーン5の応答性および屈曲耐久性を向上させることができる。
【0022】
バルーン5およびカラー部材6の分解斜視図である図3Aに示すように、バルーン5は、柱状の突起部5aを有している。図2に示すように、突起部5aは、バルーン5のキャップ部3側(図中右側)の端面からキャップ部3の方に向かって延びている。キャップ部3の内面には、突起部5aが嵌り込む窪み部3aが形成されている。
【0023】
図3Aに示すように、コネクタ100は、筒状のカラー部材6を有している。カラー部材6は、一対の半円筒状の半筒部材6aからなる。一対の半筒部材6aを組み合わせることで、筒状のカラー部材6となる。なお、図3Aでは、半筒部材6aを1個しか図示していない。
【0024】
バルーン5およびカラー部材6の組立斜視図である図3Bに示すように、カラー部材6をなす一対の半筒部材6aが、突起部5aの外周面にそれぞれ嵌められることで、バルーン5にカラー部材6が取り付けられる。この状態で、図2に示すように、バルーン5が、コネクタ本体部1の内部に配置される。これにより、カラー部材6は、バルーン5の突起部5aとキャップ部3との間に配置される。
【0025】
また、図3Aに示すように、コネクタ100は、抜け止め構造7を有している。抜け止め構造7は、バルーン5にカラー部材6が取り付けられた状態で、突起部5aがカラー部材6から抜けるのを防止するものである。
【0026】
抜け止め構造7は、凹部7aと、凸部7bと、フランジ部7cと、を有している。凹部7aは、突起部5aの中央部の外周面に一対形成されている。凸部7bは、一対の半筒部材6aの中央部の内周面にそれぞれ設けられており、半筒部材6aが、突起部5aの外周面に嵌められた際に、凹部7aにそれぞれ嵌る。フランジ部7cは、突起部5aの先端部に設けられている。フランジ部7cの外径は、突起部5aの外径よりも大きく、カラー部材6の外径と同等か、それよりも僅かに大きい。
【0027】
ここで、バルーン5は、公知のブロー成形(中空成形)により形成される。ブロー成形では、パリソンの中にガスを吹き込んでパリソンを膨らませた後に、パリソンの首部をつぶしてパリソンを密封する。凹部7aは、パリソンの首部である突起部5aをつぶした際に、突起部5aに形成されるものであってもよい。
【0028】
図2に示すように、バルーン5が、カラー部材6とともにコネクタ本体部1の内部に配置された後に、キャップ部3で第2開口1bが密封される。この状態で、カラー部材6の外周面とキャップ部3の窪み部3aの内周面とが固着される。
【0029】
本実施形態では、レーザー溶着によって、カラー部材6の外周面とキャップ部3の窪み部3aの内周面とが固着される。具体的には、キャップ部3は、レーザー光に対して透過性を有する樹脂材料からなり、カラー部材6は、レーザー光に対して吸収性を有する樹脂材料からなっている。キャップ部3で第2開口1bが密封された状態で、キャップ部3の外側から窪み部3aの全周にわたってレーザー光が照射される。これにより、カラー部材6の外周面と窪み部3aの内周面とが強固に固定される。
【0030】
このように、突起部5aの外周面に嵌められたカラー部材6の外周面と、キャップ部3の窪み部3aの内周面とが固着されている。そして、突起部5aがカラー部材6から抜けるのが防止されている。よって、バルーン5が大きく変形しても、バルーン5の位置が確実に維持される。これにより、バルーン5の位置ずれを防止することができる。
【0031】
また、図3Aに示すように、突起部5aの中央部の外周面に形成された凹部7aに、カラー部材6に設けられた凸部7bが嵌っている。これにより、バルーン5が大きく変形しても、突起部5aが、カラー部材6から抜けるのを好適に防止することができる。また、突起部5aの長手方向を軸としてバルーン5が回転するのを防止することができる。
【0032】
また、図3Aに示すように、突起部5aの先端部にフランジ部7cが設けられている。これにより、バルーン5が大きく変形しても、突起部5aが、カラー部材6から抜けるのを好適に防止することができる。
【0033】
また、カラー部材6の外周面と窪み部3aの内周面とが、レーザー溶着によって固着されている。レーザー溶着により、カラー部材6の外周面と窪み部3aの内周面とを、強固に固定することができる。また、接着剤による固着では、塗布ムラが生じたり、乾燥に時間がかかったりするが、レーザー溶着であれば、ムラなく短時間で固着させることができる。
【0034】
(コネクタの組立方法)
次に、コネクタ100の組立方法について説明する。
【0035】
まず、図3Bに示すように、一対の半筒部材6aを突起部5aの外周面にそれぞれ嵌める。そして、図2に示すように、カラー部材6が取り付けられたバルーン5を、コネクタ本体部1の第2開口1bから、コネクタ本体部1の内部に挿入する。
【0036】
次に、キャップ部3で第2開口1bを密封する。そして、カラー部材6の外周面とキャップ部3の窪み部3aの内周面とを、レーザー溶着によって固着させる。その後、Oリング8、環状のスペーサ9、Oリング8、環状のスペーサ10を、この順で第1開口1aからコネクタ本体部1の内部へ挿入する。なお、本実施形態では、コネクタ本体部1の内部に、Oリング8が2個挿入されているが、Oリング8の個数は、これに限定されることはない。
【0037】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係るコネクタ100によると、突起部5aの外周面に嵌められたカラー部材6の外周面と、窪み部3aの内周面とが固着されている。そして、突起部5aが、カラー部材6から抜けるのが防止されている。よって、バルーン5が大きく変形しても、バルーン5の位置が確実に維持される。これにより、バルーン5の位置ずれを防止することができる。
【0038】
また、突起部5aの中央部の外周面に形成された凹部7aに、カラー部材6に設けられた凸部7bが嵌っている。これにより、バルーン5が大きく変形しても、突起部5aが、カラー部材6から抜けるのを好適に防止することができる。また、突起部5aの長手方向を軸としてバルーン5が回転するのを防止することができる。
【0039】
また、突起部5aの先端部にフランジ部7cが設けられている。これにより、バルーン5が大きく変形しても、突起部5aが、カラー部材6から抜けるのを好適に防止することができる。
【0040】
また、カラー部材6の外周面と窪み部3aの内周面とが、レーザー溶着によって固着されている。レーザー溶着により、カラー部材6の外周面と窪み部3aの内周面とを、強固に固定することができる。また、接着剤による固着では、塗布ムラが生じたり、乾燥に時間がかかったりするが、レーザー溶着であれば、ムラなく短時間で固着させることができる。
【0041】
また、バルーン5において、蛇腹を形成する部分の肉厚が、バルーン5におけるパイプ50の挿入方向の両端部の肉厚よりも薄くされている。これにより、バルーン5が伸縮しやすくなるので、バルーン5の脈動吸収能力を向上させることができる。
【0042】
また、バルーン5において、蛇腹を形成する部分の肉厚は、30μm以上500μm以下であり、好ましくは50μm以上400μm以下である。これにより、バルーン5がより伸縮しやすくなるので、バルーン5の応答性および屈曲耐久性を向上させることができる。
【0043】
(第1変形例)
なお、図2の要部Aの拡大図である図4に示すように、突起部5aに設けられた第1凸部11と、キャップ部3に設けられた第2凸部12とによって、バルーン5が、キャップ部3に係合される構成にされていてもよい。本変形例において、バルーン5の材料は、樹脂やゴムなどである。
【0044】
バルーン5の斜視図である図5にも示すように、第1凸部11は、突起部5aの側面に、キャップ部3側の端面から間隔をあけて設けられている。第1凸部11は、突起部5aの側面の全周にわたって設けられている。図4に示すように、第2凸部12は、窪み部3aの内面に設けられている。第2凸部12は、窪み部3aの内面の全周にわたって設けられていてもよいし、窪み部3aの内面の周方向に間隔をあけて複数設けられていてもよい。
【0045】
図4に示すように、バルーン5側(図中左側)からキャップ部3側(図中右側)に向かって、第1凸部11が第2凸部12を乗り越えることで、突起部5aが窪み部3aに嵌り込んでいる。これにより、バルーン5が、キャップ部3に係合される。この状態で、バルーン5が、コネクタ本体部1の第2開口1bから、コネクタ本体部1の内部に挿入される。
【0046】
このような構成であれば、バルーン5が大きく変形しても、キャップ部3側からバルーン5側に向かって第1凸部11が第2凸部12を乗り越えない限り、突起部5aが、窪み部3aから抜けることがない。これにより、バルーン5の位置が維持されるので、バルーン5の位置ずれを抑制することができる。
【0047】
(第2変形例)
また、図2の要部Aの拡大図である図6に示すように、突起部5aに設けられた第3凸部13と、キャップ部3に設けられた第4凸部14とによって、バルーン5が、キャップ部3に係合される構成にされていてもよい。本変形例においても、バルーン5の材料は、樹脂やゴムなどである。
【0048】
バルーン5およびキャップ部3の斜視図である図7にも示すように、第3凸部13は、突起部5aの側面に、キャップ部3側の端面から間隔をあけて設けられている。第3凸部13は、突起部5aの側面の周方向に間隔をあけて複数(図では2個)設けられている。第4凸部14は、窪み部3aの内面に設けられている。第4凸部14もまた、窪み部3aの内面の周方向に間隔をあけて複数(図では2個)設けられている。
【0049】
図6に示すように、突起部5aが、窪み部3aに嵌め込まれた際に、突起部5aの長手方向を軸としてバルーン5が回転されることで、第4凸部14のキャップ部3側(図中右側)に第3凸部13が位置される。具体的には、第3凸部13が第4凸部14に当接しないようにしながら、突起部5aが窪み部3aに嵌め込まれ、その後、バルーン5が回転されることで、第4凸部14のキャップ部3側に第3凸部13が位置される。これにより、バルーン5がキャップ部3に係合される。この状態で、バルーン5が、コネクタ本体部1の第2開口1bから、コネクタ本体部1の内部に挿入される。
【0050】
このような構成であれば、バルーン5が大きく変形しても、突起部5aの長手方向を軸としてバルーン5が回転して、第3凸部13と第4凸部14との位置関係が変化しない限り、突起部5aが、窪み部3aから抜けることがない。これにより、バルーン5の位置が維持されるので、バルーン5の位置ずれを抑制することができる。
【0051】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に、本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0052】
例えば、図3Aに示すように、抜け止め構造7は、凹部7aと、凸部7bと、フランジ部7cと、を有しているが、凹部7aと凸部7bのみであってもよいし、フランジ部7cのみであってもよい。
【0053】
また、レーザー溶着によって、カラー部材6の外周面と窪み部3aの内周面とを固着しているが、接着剤などによって両者を固着してもよい。
【0054】
また、コネクタ100の雄継手部2の部分については、この部分が、フランジ継手などにされていてもよい。
【0055】
また、コネクタ100の用途は、燃料用配管などの接続に限られるものではない。例えば、内部に水が流れる配管の接続にコネクタ100を用いてもよい。バルーン5で、水の脈動を抑えることができるとともに、水が凍ったときに、コネクタ100や、これに接続されているパイプの割れを防止することができる。さらには、圧縮空気が流れる配管の接続用に、コネクタ100を用いてもよく、この用途では、圧縮空気の脈動が抑えられる。
【符号の説明】
【0056】
1 コネクタ本体部
1a 第1開口
1b 第2開口
2 雄継手部(継手部)
2a 流路
3 キャップ部
3a 窪み部
4 リテーナ
5 バルーン(脈動吸収体)
5a 突起部
6 カラー部材
6a 半筒部材
7 抜け止め構造
7a 凹部
7b 凸部
7c フランジ部
8 Oリング
9,10 スペーサ
11 第1凸部
12 第2凸部
13 第3凸部
14 第4凸部
50 パイプ
50a スプール部
50b 流路
100 コネクタ
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7