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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】バスドラムパッド
(51)【国際特許分類】
   G10D 13/10 20200101AFI20231026BHJP
   G10D 13/03 20200101ALI20231026BHJP
【FI】
G10D13/10 140
G10D13/03
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020180541
(22)【出願日】2020-10-28
(65)【公開番号】P2022071521
(43)【公開日】2022-05-16
【審査請求日】2022-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000195018
【氏名又は名称】星野楽器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】平澤 諭
(72)【発明者】
【氏名】本庄 厚志
【審査官】中村 天真
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-120827(JP,A)
【文献】登録実用新案第3198943(JP,U)
【文献】特開2007-256625(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10D 13/00-13/24
G10G 5/00- 7/02
G10H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペダル装置のクランプに連結されて使用されるバスドラムパッドであって、
前記クランプに固定されるパッドベースと、
前記パッドベースと一体に設けられた主柱と、
前記主柱に設けられ、前記ペダル装置により叩打されるパッド本体と、
前記主柱又は前記パッド本体に設けられ、前記バスドラムパッドを載置するときに使用される脚とを備え、
前記バスドラムパッドは、前記パッドベースの高さ及び角度を調整可能に構成され、
前記パッドベースの高さは、前記バスドラムパッドが載置される載置面に直交する直交線に沿った位置であり、
前記パッドベースの角度は、前記直交線に対する前記主柱の軸線の角度であり、
前記脚は、前記主柱に対し開閉可能に組み付けられ、
前記パッドベースの高さ及び角度は、前記主柱に対する前記脚の開きに応じて調整可能であり、
前記バスドラムパッドは、更に、
前記主柱に組み付けられ、前記主柱に対し開閉可能なステーと、
前記主柱に対し摺動可能に取り付けられ、前記脚又は前記ステーに連結された摺動部材とを備え、
前記脚及び前記ステーは、前記摺動部材を前記主柱の軸線方向に摺動させることで前記主柱に対しそれぞれ開閉し、前記摺動部材を前記主柱に固定することで前記主柱に対し開いた状態又は閉じた状態にそれぞれ保持されるように構成され、
前記脚及び前記ステーは、前記摺動部材が前記主柱上の上限位置に配置されることで前記主柱に対しそれぞれ全開し、前記摺動部材が前記主柱上の下限位置に配置されることで前記主柱に対しそれぞれ閉じられるように構成され、
前記上限位置及び前記下限位置は、前記摺動部材が前記主柱上を移動可能な範囲の上限及び下限にそれぞれ対応している、バスドラムパッド。
【請求項2】
請求項1に記載のバスドラムパッドにおいて、
前記バスドラムパッドは、前記パッドベースを前記載置面から離間させた状態で、前記パッドベースの高さ及び角度を調整可能に構成されている、バスドラムパッド。
【請求項3】
請求項2に記載のバスドラムパッドにおいて、
前記バスドラムパッドは、前記クランプに連結された状態で、前記脚の先端の位置を調整可能に構成されている、バスドラムパッド。
【請求項4】
請求項に記載のバスドラムパッドにおいて、
前記脚及び前記ステーは、前記摺動部材が前記下限位置に配置されることで前記主柱と重なる位置にそれぞれ配置可能に構成されている、バスドラムパッド。
【請求項5】
請求項1~のうちいずれか一項に記載のバスドラムパッドにおいて、
前記脚は、二つの脚からなる、バスドラムパッド。
【請求項6】
請求項1~のうちいずれか一項に記載のバスドラムパッドにおいて、
前記バスドラムパッドは、前記主柱に取り付けられる前記パッド本体の取付位置を変更可能に構成され、
前記パッド本体の取付位置は、前記主柱の軸線方向の位置である、バスドラムパッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスドラムパッドに関する。
【背景技術】
【0002】
自室内でのドラムの練習を可能にしたドラム練習キットが知られている。例えば、特許文献1に開示のドラム練習キットは、三脚及びパイプを有する筒状のスタンドと、複数種の練習パッドとを備えている。スタンドの上部には、径の異なる円盤状の練習パッドが、ロッド及び位置決め部材を介して取り付けられている。これらの練習パッドには、スネアパッド、タムパッド、シンバルパッド等が含まれている。
【0003】
スタンドの中央部には、略楕円状のバスドラム練習パッドが、位置決め部材を介して取り付けられている。スタンドの下端には、ドラム練習キットをペダル装置に連結するための連結機構が取り付けられている。連結機構は、シャフトと、シャフトの下端から水平方向に延びるプレートとを備えている。シャフトは、スタンドのパイプ内に挿入されると共に、パイプ内にネジで固定される。
【0004】
ペダル装置は、ペダルベースと、ペダルベースに連結されるペダルと、ペダルの自由端にチェーンを介して連結されるビータとを備えている。ペダルベースの前端中央には、ドラム練習キットとの連結に用いられるクランプが設けられている。ドラム練習キットは、連結機構のプレートがクランプに固定されることで、ペダル装置に連結される。この状態で、ドラム練習キットは、床面上に載置されて、ペダル装置と共に使用される。
【0005】
ペダル装置について、複数の製造業者から様々な種類が提供されており、また、同一の製造業者からも様々な種類が提供されている。また、ペダル装置には、その種類に応じて、高さや角度の異なる様々な種類のクランプが採用されている。このため、ドラム練習キットには、クランプの高さ及び角度に対応して様々な種類のペダル装置に連結できることが求められる。
【0006】
この点、特許文献1に開示のドラム練習キットによれば、ネジを緩めると、シャフトがパイプ内を上下方向に移動可能となり、プレートの上下方向の位置が調整可能となる。これにより、クランプの高さに対応してドラム練習キットをペダル装置に連結することができる。しかしながら、この連結機構は、クランプの角度に対応してドラム練習キットをペダル装置に連結するように構成されていない。このため、クランプに角度がある場合、ドラム練習キットにペダル装置を連結した状態では、スタンドの脚とペダルベースの底面とが同一平面上に配置されない。このため、載置面上でのドラム練習キットの姿勢が不安定になり、ドラムの練習に支障をきたすことがある。
【0007】
このため、図18に示すようなバスドラム練習パッド200が提案されている。バスドラム練習パッド200は、パッドベース201と、パッドベース201の上面に固定された複数の主柱202と、複数の主柱202の上端に固定されたパッド本体203とを備えている。パッドベース201には、バスドラム練習パッド200をペダル装置300に連結するための連結部材204が取り付けられている。
【0008】
図19に示すように、連結部材204は、パッドベース201の両側部にネジ205で固定される二つの固定部204aと、両固定部204a間に延びる延出部204bとを備えている。バスドラム練習パッド200は、連結部材204の延出部204bがクランプ301に固定されることで、ペダル装置300に連結される。この状態で、バスドラム練習パッド200は、図18に示す載置面FL上に載置されて、ペダル装置300と共に使用される。
【0009】
連結部材204の固定部204aには、ネジ205が挿通される挿通孔204cが形成されている。挿通孔204cは、縦長状である。また、パッドベース201の両側部には、ネジ205が挿入される図示しないネジ孔が形成されている。この構成によれば、ネジ205を緩めると、連結部材204がパッドベース201に対して上下方向に移動可能となると共にネジ205の軸線周りに回動可能となる。これにより、クランプ301の高さだけでなく、クランプ301の角度にも対応して、バスドラム練習パッド200をペダル装置300に連結することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許第7348479号明細書
【発明の概要】
【0011】
しかしながら、図18及び図19に示すバスドラム練習パッド200の場合、ペダルが踏み込まれてビータがパッド本体203を叩打することで、バスドラム練習パッド200の下部に設けられた連結部材204と、バスドラム練習パッド200の上部に設けられたパッド本体203との間には、モーメントが作用する。この場合、連結部材204とパッド本体203との間の距離が大きいため、連結部材204付近は、モーメントの影響を受け易くなっている。また、連結部材204とパッドベース201とがネジ205で連結されているため、連結部材204にモーメントによる力が作用することで、連結部材204とパッドベース201との連結角度が調整後の角度からずれて、支柱202及びパッド本体203の位置が調整後の位置からずれることがある。このため、ペダルが繰り返し踏み込まれて、連結部材204にモーメントによる力が断続的に作用することで、連結部材204とパッドベース201との連結角度のずれが大きくなり、支柱202及びパッド本体203の位置のずれが大きくなることがある。このように、バスドラム練習パッド200では、載置面上でのバスドラム練習パッド200の姿勢が不安定であり、ドラムの練習に支障をきたすことがある、
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、ペダル装置に連結して載置したときの安定性が向上するバスドラムパッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ペダル装置のクランプに連結されて使用されるバスドラムパッドであって、前記クランプに固定されるパッドベースと、前記パッドベースと一体に設けられた主柱と、前記主柱に設けられ、前記ペダル装置により叩打されるパッド本体と、前記主柱又は前記パッド本体に設けられ、前記バスドラムパッドを載置するときに使用される脚とを備え、前記バスドラムパッドは、前記パッドベースの高さ及び角度を調整可能に構成され、前記パッドベースの高さは、前記バスドラムパッドが載置される載置面に直交する直交線に沿った位置であり、前記パッドベースの角度は、前記直交線に対する前記主柱の軸線の角度であることを要旨とする。
【0014】
この構成によれば、パッドベースの高さは、載置面に直交する直交線に沿った位置であり、ペダル装置のクランプの高さに対応している。また、パッドベースの角度は、直交線に対する主柱の軸線の角度であり、ペダル装置のクランプの角度に対応している。このため、パッドベースの高さ及び角度を調整可能にすることで、バスドラムパッドを、クランプの高さ及び角度の両方に対応して様々な種類のペダル装置に連結することができる。また、クランプに固定されるパッドベースと主柱とが一体に設けられている。つまり、バスドラムパッドには、クランプに固定される部分とパッドベースとの連結角度を調整する箇所が無い。このため、ペダルが繰り返し踏み込まれて、クランプに固定される箇所にモーメントによる力が断続的に作用しても、主柱及びパッド本体の位置が調整後の位置からずれることはない。よって、バスドラムパッドをペダル装置に連結して載置したときの安定性が向上する。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記バスドラムパッドは、前記パッドベースを前記載置面から離間させた状態で、前記パッドベースの高さ及び角度を調整可能に構成されていることを要旨とする。
【0016】
この構成によれば、パッドベースを載置面から離間させることで、パッドベースの高さ及び角度を調整する際に、パッドベースと載置面とが干渉しない。これにより、クランプの高さ及び角度の両方に対応してペダル装置にバスパッドを連結することが容易となる。また、載置面上でのバスドラムパッドの姿勢を安定させることも容易となる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記バスドラムパッドは、前記クランプに連結された状態で、前記脚の先端の位置を調整可能に構成されていることを要旨とする。
【0018】
この構成によれば、バスドラムパッドをクランプに連結した状態で、脚の先端が載置面上に載置されるように、脚の先端の位置を調整することができる。これにより、バスドラムパッドをクランプに連結してから、バスドラムパッドの脚の先端とペダル装置の底面とを同一平面上に配置することができる。これにより、バスドラムパッドが脚とペダル装置とによって支持されるため、載置面上でのバスドラムパッドの姿勢を安定させることができる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1~3のうちいずれか一項に記載の発明において、前記脚は、前記主柱に対し開閉可能に組み付けられ、前記パッドベースの高さ及び角度は、前記主柱に対する前記脚の開きに応じて調整可能であることを要旨とする。
【0020】
この構成によれば、パッドベースの高さ及び角度を脚の開きに応じて調整できるため、クランプの高さ及び角度の両方に対応してペダル装置にバスドラムパッドを連結することが容易となる。また、脚の先端の位置を脚の開きに応じて調整できるため、バスドラムパッドの脚の先端とペダル装置の底面とを同一平面上に配置することが容易となる。よって、載置面上でのバスドラムパッドの姿勢を安定させることも容易となる。
【0021】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記主柱に組み付けられ、前記主柱に対し開閉可能なステーと、前記主柱に対し摺動可能に取り付けられ、前記脚又は前記ステーに連結された摺動部材とを備え、前記脚及び前記ステーは、前記摺動部材を前記主柱の軸線方向に摺動させることで前記主柱に対しそれぞれ開閉し、前記摺動部材を前記主柱に固定することで前記主柱に対し開いた状態又は閉じた状態にそれぞれ保持されるように構成されていることを要旨とする。
【0022】
この構成によれば、主柱に対し摺動部材を摺動させるだけで、主柱に対し脚及びステーがそれぞれ開閉し、パッドベースの高さ及び角度が調整される。これにより、クランプの高さ及び角度の両方に対応してペダル装置にバスドラムパッドを連結することも、載置面上でのバスドラムパッドの姿勢を安定させることも、より一層容易となる。また、摺動部材を主柱に固定することで、脚及びステーが主柱に対し開いた状態にそれぞれ保持されて、パッドベースの高さ及び角度が固定される。これにより、バスドラムパッドをペダル装置に連結して載置したときの安定性がより一層向上する。
【0023】
また、この構成によれば、摺動部材は、主柱に対し開閉可能に組み付けられた脚又はステーに連結されている。また、摺動部材が主柱に対し摺動する方向は、主柱の軸線方向であり、脚及びステーが主柱に対し開く方向とは大きく異なる。この場合、ペダルの踏み込みによって脚及びステーには主柱に対し開く方向に力が作用するものの、摺動部材の摺動方向が脚及びステーの開き方向と大きく異なることから、ペダルの踏み込みによる脚及びステーの開きを抑制することができる。
【0024】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記脚及び前記ステーは、前記摺動部材が前記主柱上の上限位置に配置されることで前記主柱に対しそれぞれ全開し、前記摺動部材が前記主柱上の下限位置に配置されることで前記主柱に対しそれぞれ閉じられるように構成され、前記上限位置及び前記下限位置は、前記摺動部材が前記主柱上を移動可能な範囲の上限及び下限にそれぞれ対応していることを要旨とする。
【0025】
この構成によれば、バスドラムパッドを使用時の形態にするには、摺動部材を主柱上の上限位置と下限位置との間で移動させて、パッドベースの高さ及び角度を調整すればよい。バスドラムパッドを収納時の形態にするには、摺動部材を主柱上の下限位置まで移動させればよい。つまり、主柱上での摺動部材の位置と脚及びステーの開閉との関係が明確になる。よって、バスドラムパッドの取り扱い易さが向上する。
【0026】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記脚及び前記ステーは、前記摺動部材が前記下限位置に配置されることで前記主柱と重なる位置にそれぞれ配置可能に構成されていることを要旨とする。
【0027】
この構成によれば、バスドラムパッドを収納時の形態にする場合、摺動部材を主柱上の下限位置まで移動させることで、脚及びステーを、主柱と略平行に配置することができる。これにより、バスドラムパッドの収納時における形態をコンパクトにすることができる。
【0028】
請求項8に記載の発明は、請求項1~7のうちいずれか一項に記載の発明において、前記脚は、二つの脚からなることを要旨とする。
この構成によれば、二つの脚とペダル装置とによる三点支持によって、バスドラムパッドをペダル装置に連結して載置したときの安定性が更に向上する。
【0029】
請求項9に記載の発明は、請求項1~8のうちいずれか一項に記載の発明において、前記バスドラムパッドは、前記主柱に取り付けられる前記パッド本体の取付位置を変更可能に構成され、前記パッド本体の取付位置は、前記主柱の軸線方向の位置であることを要旨とする。
【0030】
この構成によれば、主柱に取り付けられるパッド本体の取付位置を主柱の軸線方向に変更可能にすることで、載置面からパッド本体の中心までの直線距離であるパッド本体の高さを変更することができる。これにより、ペダル装置の種類に応じて、パッド本体の中心を叩打するように、パッド本体の高さを調整することができる。
【0031】
請求項10に記載の発明は、ドラムキットであって、ペダル装置により叩打されるバスドラムパッドと、前記バスドラムパッドとは異なる打楽器用パッドと、前記打楽器用パッドが取り付けられるスタンドであって、前記スタンドと前記ペダル装置との間に前記バスドラムパッドが配置されるスタンドと、前記バスドラムパッドに対する前記スタンドの位置決めに用いられる位置決め部材とを有し、前記位置決め部材は、前記バスドラムパッドと前記スタンドとに接するように配置されることで、前記バスドラムパッドに対する前記スタンドの位置決めを実施可能に構成されていることを要旨とする。
【0032】
この構成によれば、位置決め部材がバスドラムパッドとスタンドとに接するように配置されることで、バスドラムパッドに対するスタンドの位置決めが行われる。これにより、バスドラムパッドに対するスタンドの位置決めが容易となり、ドラムキットのセッティング作業が容易となる。また、バスドラムパッドに対するスタンドの位置決めが行われることで、ドラムキットの演奏時において、バスドラムパッドとスタンドとがそれらを合わせた重量により動き難くなる。このため、バスドラムパッドとスタンドとをセッティングした状態での安定性が向上する。また、ドラムキットの演奏時にバスドラムパッドとスタンドとが干渉しなくなるため、バスドラムパッドとスタンドとが接触することで生じるノイズや傷を防止できる。
【0033】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、前記位置決め部材は、前記スタンドが部分的に嵌め込まれる第1の嵌合部と、前記バスドラムパッドと部分的に嵌合する第2の嵌合部とを備えることを要旨とする。
【0034】
この構成によれば、位置決め部材の第1の嵌合部にスタンドを部分的に嵌め込み、位置決め部材の第2の嵌合部をバスドラムパッドと部分的に嵌合させるだけで、バスドラムパッドに対するスタンドの位置決めが行われる。つまり、位置決め部材を用いることで、バスドラムパッドに対するスタンドの位置決めがより一層容易となり、ドラムキットのセッティング作業がより一層容易となる。
【0035】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の発明において、前記位置決め部材は、更に、緩衝部材を有していることを要旨とする。
この構成によれば、緩衝部材によって、バスドラムパッドがペダル装置により叩打されたときに生じる衝撃や振動を吸収することができる。よって、ドラムキットの演奏時に生じるノイズが抑制されるため、ドラムキットの静粛性が向上する。
【0036】
請求項13に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、前記位置決め部材は、前記バスドラムパッドに固定される固定部と、前記スタンドが固定されるクランプ部とを備えることを要旨とする。
【0037】
この構成によれば、位置決め部材のクランプにスタンドを固定し、位置決め部材の固定部をバスドラムパッドに固定することで、バスドラムパッドに対するスタンドの位置決めすると共に、バスドラムパッドに対するスタンドの位置を固定することができる。つまり、位置決め部材を用いることで、バスドラムパッドに対するスタンドの位置決めに加え、バスドラムパッドに対するスタンドの位置ずれを防止できる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、ペダル装置に連結して載置したときの安定性が向上するバスドラムパッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の一実施形態に係るドラムキットの斜視図。
図2】本発明の一実施形態に係るバスパッドの斜視図。
図3】バスパッドを裏側から見た斜視図。
図4】バスパッドの分解斜視図。
図5】パッド本体の分解斜視図。
図6図4の6-6線に沿った断面図。
図7】脚及びステーが閉じられた状態のバスパッドの斜視図。
図8図7に示すバスパッドの側面図。
図9】位置決め部材を用いたバスパッドに対するタムスタンドの位置決め構造を説明する斜視図。
図10】位置決め部材を用いたバスパッドに対するタムスタンドの位置決め構造を説明する斜視図。
図11】位置決め部材を用いたバスパッドに対するタムスタンドの位置決め構造を説明する断面図。
図12】バスパッドの作用を説明する模式図。
図13】バスパッドの作用を説明する模式図。
図14】バスパッドの作用を説明する模式図。
図15】別例のバスパッドの側面図。
図16】別例のパスパッドの部分斜視図。
図17】別例の位置決め部材を用いたバスパッドに対するタムスタンドの位置決め構造を説明する断面図。
図18】従来のバスパッドの斜視図。
図19】バスパッドとペダル装置の連結部分を拡大して示す部分斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明のバスドラムパッド及びドラムキットを、バスドラム用練習パッド(以下、バスパッドと称す)及びドラム練習キットにそれぞれ具体化した一実施形態について図1図14を参照して説明する。
【0041】
図1に示すように、ドラム練習キット1は、バスパッド10、タムパッド11、スネアパッド12、シンバルパッド13、ハイハットパッド14を備えている。タムパッド11及びスネアパッド12は、タムスタンド11S及びスネアスタンド12Sに取り付けられた状態でそれぞれ使用される。シンバルパッド13は、シンバルスタンド13Sに取り付けられた状態で使用される。ハイハットパッド14は、ペダル装置が組み付けられたハイハットスタンド14Sに取り付けられた状態で使用される。バスパッド10は、ペダル装置PDに連結された状態で使用される。
【0042】
図2図4に示すように、バスパッド10は、フレーム本体20、パッド本体30、開脚機構40を備えている。バスパッド10は、フレーム本体20にパッド本体30と開脚機構40とを組み付けることで構成されている。
【0043】
フレーム本体20は、パッドベース21と、パッドベース21に一体に設けられた主柱22とを有している。フレーム本体20は、所定の形状に打ち抜かれた一枚の鋼板からなり、鋼板を肉抜き加工してからプレス成型することで形成されている。パッドベース21は、フレーム本体20の一部であり、図1に示すペダル装置PDのクランプに固定される部位である。パッドベース21は、長方形の板状であり、長手方向に延びる二つの側縁を有している。パッドベース21の第1側縁21a付近には、第1側縁21aに沿って延びるリブ21cが形成されている。
【0044】
主柱22は、フレーム本体20の一部であり、パッドベース21の第2側縁21bから、パッドベース21の面と直交する方向に延びている。主柱22の下半分は、パッドベース21の第2側縁21bから延びる下側背面部22aと、下側背面部22aの両側縁に設けられた二つの下側側縁部22bとを有している。下側背面部22aの中央には、下側開口22cが形成されている。下側開口22cは、略長方形状であり、主柱22の長手方向に延びている。下側側縁部22bは、主柱22の下半分の両側部を構成する断面L字状の部位である。
【0045】
主柱22の上半分は、下側背面部22aから連続して延びる上側背面部22dと、上側背面部22dの両側縁に設けられた二つの上側側縁部22eとを有している。上側背面部22dの中央には、上側開口22fが形成されている。上側開口22fは、略長方形状であり、主柱22の長手方向に延びている。上側開口22fの長さは、下側開口22cの長さよりも小さい。また、上側背面部22dの四隅には、上孔23と下孔24とがそれぞれ形成されている。上孔23及び下孔24には、主柱22にパッド本体30を取り付けるためのボルト25が挿入される。上側側縁部22eは、主柱22の上半分の両側部を構成する平板状の部位である。
【0046】
図5及び図6に示すように、パッド本体30は、打面部材31、内側シート29、パッド蓋32、衝撃吸収材33a,33b,33c、本体部材34を備えている。パッド本体30は、同軸上に配置された打面部材31、内側シート29、パッド蓋32、衝撃吸収材33a,33b,33c、本体部材34を一体に組み付けることで構成されている。
【0047】
打面部材31は、円形状のシート材からなる。打面部材31には、バスドラムの音や打感に近づけるための材料として、布が用いられる。打面部材31は、図1に示すペダル装置PDにより叩打される打面31aを有している。打面部材31の外周縁付近には、4つの挿通孔31cが等角度間隔で形成されている。内側シート29は、円形状のゴム製のシート材からなる。内側シート29の外周縁付近には、4つの挿通孔29cが等角度間隔で形成されている。
【0048】
パッド蓋32は、リング状の板材からなる。パッド蓋32には、4つの挿通孔32cが等角度間隔で形成されている。内側シート29の挿通孔29c、打面部材31の挿通孔31c及びパッド蓋32の挿通孔32cには、パッド蓋32と共に打面部材31及び内側シート29を本体部材34に固定するためのネジ35がそれぞれ挿通される。
【0049】
本体部材34は、有底筒状である。本体部材34は、円形状の底板部34aと、底板部34aの外周縁に設けられた筒状部34bとからなる。筒状部34bには、4つのネジ孔34cが等角度間隔で形成されている。ネジ孔34cには、内側シート29の挿通孔29c、打面部材31の挿通孔31c及びパッド蓋32の挿通孔32cに挿通されたネジ35が挿入される。本体部材34には、底板部34aと筒状部34bの内周面とからなる円形状の凹部39が形成されている。
【0050】
衝撃吸収材33a,33b,33cは、丸い板状のスポンジからなる。衝撃吸収材33a,33b,33cのうち、内側シート29付近に配置される衝撃吸収材33a,33bには、比較的柔らかいスポンジが用いられる。また、本体部材34付近に配置される衝撃吸収材33cには、比較的硬いスポンジが用いられる。衝撃吸収材33a,33b,33cは、パッド本体30内の空間に配置されることで、ペダル装置PDにより打面部材31を叩打したときの衝撃を吸収する。
【0051】
底板部34aには、10個の空気孔36が形成されている。10個の空気孔36は、底板部34aの全体に間隔を空けて、底板部34aの中心を基準に上下左右対称な位置に配置されている。空気孔36の数及び大きさは、パッド本体30を叩打したときの音や感覚がバスドラムの音や打感と近くなるように、試作や実験結果に基づいてそれぞれ設定されている。
【0052】
図6に示すように、パッド本体30の凹部39には、衝撃吸収材33cのみが収容されている。衝撃吸収材33a,33bは、パッド本体30の凹部39よりも外側で、衝撃吸収材33cの表面上に配置されている。打面部材31及び内側シート29は、衝撃吸収材33aの表面全体を覆うと共に衝撃吸収材33a,33bを打面31aから押さえ付けるようにして、本体部材34に取り付けられている。打面部材31及び内側シート29は、ネジ35によって、パッド蓋32と共に、本体部材34に固定されている。
【0053】
パッド本体30では、打面部材31を叩打したときの感覚がバスドラムの打感と近くなるように、打面部材31、内側シート29及び衝撃吸収材33a,33bを含む部分が凸状を有している。また、内側シート29は、打面部材31を叩打したときにパッド本体30内の空気が打面部材31から抜けないように、パッド本体30内の空間を密閉している。即ち、パッド本体30は、打面部材31を叩打したときにパッド本体30内の空気が空気孔36のみから抜けるように構成されている。
【0054】
図3図5に示すように、本体部材34の裏面からは、主柱22に固定される4つの固定部34dが突出している。各固定部34dには、ボルト25が挿入されるネジ孔が形成されている。パッド本体30は、4つの固定部34dが主柱22の上孔23に固定されることで、図3の実線で示す第1の位置に取り付けられる。パッド本体30は、4つの固定部34dが主柱22の下孔24に固定されることで、図3の二点鎖線で示す第2の位置に取り付けられる。第1の位置は、主柱22の軸線方向に第2の位置と並び、かつ第2の位置よりも上方に設定されている。主柱22に取り付けられるパッド本体30の取付位置は、主柱22の軸線方向に変更可能である。
【0055】
図2図4に示すように、開脚機構40は、二つの脚41、二つのステー42、摺動部材43を備えている。脚41は、主柱22に連結される脚板41aと、脚板41aの先端に取り付けられるゴム製のストッパ41bとを備えている。脚板41aの長さは、主柱22の長さよりも大きい。脚板41aの基端は、主柱22の両側部上端に対して、ネジ44を用いて回動可能に連結される。二つの脚41は、左右対称にして主柱22に連結されることで、主柱22の下端に向かうほど両脚41間の間隔が広がるように配置される。ストッパ41bは、バスパッド10が載置される載置面と接することで、バスパッド10を載置面上で滑り難くする。
【0056】
二つのステー42は、二つの脚41と摺動部材43とを連結するための部材である。ステー42は、脚41の中央部と摺動部材43とに対し、リベット45及びネジ46を用いて回動可能にそれぞれ連結される。
【0057】
摺動部材43は、表面部材47と裏面部材48とからなる。表面部材47及び裏面部材48の各中央には、挿通孔47a,48aが形成されている。両挿通孔47a、48aには、表面部材47及び裏面部材48を組み付けると共に摺動部材43を主柱22に取り付けるためのボルト50が挿入される。表面部材47及び裏面部材48は、主柱22を表面側と裏面側とから挟持するように主柱22に組み付けられることで、摺動部材43を構成している。
【0058】
摺動部材43内に配置されるボルト50の軸部には、コイルバネ51が嵌め込まれている。また、摺動部材43外に配置されるボルト50の先端には、蝶ナット52が螺着されている。ボルト50に蝶ナット52を締め付けると、表面部材47及び裏面部材48が主柱22を挟持する力によって、摺動部材43が主柱22に固定される。蝶ナット52を緩めると、表面部材47及び裏面部材48が主柱22を挟持する力が弱くなるため、摺動部材43が主柱22に対し摺動可能となる。
【0059】
図2図3図7及び図8に示すように、摺動部材43は、図2及び図3に示す上限位置と、図7及び図8に示す下限位置との間を、主柱22の軸線方向に摺動可能である。摺動部材43を主柱22の軸線方向に摺動させることで、脚41及びステー42は、ネジ44,46を中心にそれぞれ回動し、主柱22に対しそれぞれ開閉する。
【0060】
バスパッド10を使用時の形態にする場合、摺動部材43が主柱22上の上限位置に配置されることで、脚41及びステー42は、主柱22に対しそれぞれ全開する。また、ボルト50に蝶ナット52を締め付けて、摺動部材43を主柱22上の上限位置に固定することで、脚41及びステー42は、主柱22に対し開いた状態にそれぞれ保持される。
【0061】
バスパッド10を収納時の形態にする場合、摺動部材43が主柱22上の下限位置に配置されることで、脚41及びステー42は、主柱22に対しそれぞれ閉じられる。また、ボルト50に蝶ナット52を締め付けて、摺動部材43を主柱22上の下限位置に固定することで、脚41及びステー42は、主柱22に対し閉じた状態にそれぞれ保持される。この状態では、脚41は、主柱22と平行に配置される。ステー42は、主柱22とほぼ平行に配置される。即ち、脚41及びステー42は、ネジ44,46の軸線方向で見た場合、主柱22と重なる位置にそれぞれ配置される。
【0062】
次に、バスパッド10とタムスタンド11Sとの位置決め構造について、図9図11を参照して説明する。
図9及び図10に示すように、タムスタンド11Sは、タムスタンド11Sと図1に示すペダル装置PDとの間にバスパッド10が配置されるようにセッティングされる。セッティングには、バスパッド10に対するタムスタンド11Sの位置決めを行う位置決め部材60が用いられる。位置決め部材60は、位置決め本体61と、緩衝部材62とからなる。
【0063】
図11に示すように、位置決め本体61は、第1位置決め部63と、第1位置決め部63の頂部と一体に設けられた第2位置決め部64とを有している。第1位置決め部63は、断面略三角形状である。第2位置決め部64は、略筒状である。位置決め本体61は、樹脂製である。
【0064】
第1位置決め部63は、第1の嵌合部としての嵌合凸部63aと、嵌合凸部63aの両側に設けられた二つの平面部63bとを有している。嵌合凸部63aは、断面長方形状である。嵌合凸部63aは、緩衝部材62と共に、主柱22の下側開口22cに嵌め込まれる。平面部63bは、平面部63bと主柱22との間に緩衝部材62を介装した状態で、主柱22の下側背面部22aと対向して配置される。
【0065】
緩衝部材62は、長方形の板状であり、断面略U字状に形成されている。緩衝部材62の断面形状は、第1位置決め部63の嵌合凸部63a及び平面部63bを含む箇所の断面形状と同じである。緩衝部材62は、位置決め本体61とバスパッド10との間に介装されて使用される。緩衝部材62は、バスパッド10の演奏時、打面部材31が叩打されたときに生じる衝撃や振動を吸収する。緩衝部材62は、衝撃吸収性や振動吸収性に優れる材料からなり、具体的には、ゴム、ウレタン、フェルト等からなる。
【0066】
第2位置決め部64には、第2の嵌合部としての嵌合凹部65が形成されている。嵌合凹部65は、円弧に沿って延びる内周面65aを有している。第2位置決め部64は、第2位置決め部64の外側面64aと嵌合凹部65の内周面65aとからなる二つの壁部66を有している。両壁部66の先端には、嵌合凹部65の径方向外側に延びる突起66aがそれぞれ一つずつ設けられている。第2位置決め部64は、両壁部66の全体を撓ませることで、タムスタンド11Sのパイプとスナップフィットするように形成されている。即ち、第2位置決め部64は、嵌合凹部65にパイプが嵌め込まれると共に嵌合凹部65にパイプを保持できるように形成されている。
【0067】
上記のバスパッド10の作用について、図12図14を参照して説明する。
図12図14は、バスパッド10に第1のペダル装置PD1、第2のペダル装置PD2、第3のペダル装置PD3が連結された状態をそれぞれ示す。図12及び図13に示すように、第2のペダル装置PD2のクランプCL2の高さは、第1のペダル装置PD1のクランプCL1の高さよりも大きい。また、図12及び図14に示すように、クランプCL1は、第1のペダル装置PD1のベースプレートBPの底面と平行であるのに対し、第3のペダル装置PD3のクランプCL3は、ベースプレートBPの底面に対して斜めである。
【0068】
図12図14に示すように、バスパッド10は、パッドベース21の高さ及び角度を、主柱22に対する脚41の開きに応じて調整可能に構成されている。ここで、パッドベース21の高さは、バスパッド10が載置される載置面FLに直交する直交線Hに沿った主柱22の位置である。パッドベース21の角度は、載置面FLに直交する直交線Hに対する主柱22の軸線L1の角度である。また、バスパッド10は、パッドベース21を載置面FLから離間させた状態でパッドベース21の高さ及び角度を調整可能に構成されている。また、バスパッド10は、ペダル装置PDのクランプに連結された状態で、脚41の先端の位置を調整可能に構成されている。
【0069】
まず、ペダル装置のクランプの高さに対応してペダル装置にバスパッド10を連結するときの一連の操作を、図12及び図13を参照して説明する。
図12及び図13に示すように、バスパッド10を第1のペダル装置PD1から外してから第2のペダル装置PD2に連結する場合、まず、第2のペダル装置PD2のクランプCL2にバスパッド10のパッドベース21を固定する。これにより、クランプCL2の高さに応じて、バスパッド10が第2のペダル装置PD2に連結される。ここで、クランプCL2は、第2のペダル装置PD2のベースプレートBPの底面、即ち、載置面FLと平行である。このため、クランプCL2にパッドベース21を固定すれば、主柱22は、軸線L1を直交線Hと平行にして、載置面FL上に配置される。こうして、主柱22が載置面FLに対し垂直に配置されるように、載置面FL上でのバスパッド10の姿勢が決まる。
【0070】
続いて、脚41の先端の位置を調整することで、載置面FL上でのバスパッド10の姿勢を安定させる。このとき、蝶ナット52を緩めた状態で、摺動部材43を主柱22の軸線L1に沿って摺動させながら、主柱22に対する脚41及びステー42の開きを調整する。そして、脚41の先端とベースプレートBPの底面とが同一平面上になる位置で、ボルト50に蝶ナット52を締め付けて、摺動部材43を主柱22に固定する。これにより、脚41及びステー42が主柱22に対し開いた状態にそれぞれ保持されて、パッドベース21の高さが固定される。また、この状態では、バスパッド10が脚41とペダル装置PDとによって支持されるため、載置面FL上でのバスパッド10の姿勢を安定させることができる。上記一連の操作は、パッドベース21を載置面FLから離間させた状態で行われる。
【0071】
次に、ペダル装置のクランプの角度に対応してペダル装置にバスパッド10を連結するときの一連の操作を、図12及び図14を参照して説明する。
図12及び図14に示すように、バスパッド10を第1のペダル装置PD1から外してから第3のペダル装置PD3に連結する場合、まず、第3のペダル装置PD3のクランプCL3にバスパッド10のパッドベース21を固定する。これにより、クランプCL3の角度に応じて、バスパッド10が第3のペダル装置PD3に連結される。ここで、クランプCL3は、第3のペダル装置PD3のベースプレートBPの底面、即ち、載置面FLに対して斜めである。このため、クランプCL3にパッドベース21を固定すれば、主柱22は、軸線L1を直交線Hに対し斜めにして、載置面FL上に配置される。こうして、主柱22が直交線Hよりも傾いて配置されるように、載置面FL上でのバスパッド10の姿勢が決まる。
【0072】
続いて、脚41の先端の位置を調整することで、載置面FL上でのバスパッド10の姿勢を安定させる。このとき、蝶ナット52を緩めた状態で、摺動部材43を主柱22の軸線L1に沿って摺動させながら、主柱22に対する脚41及びステー42の開きを調整する。そして、脚41の先端とベースプレートBPの底面とが同一平面上になる位置で、ボルト50に蝶ナット52を締め付けて、摺動部材43を主柱22に固定する。これにより、脚41及びステー42が主柱22に対し開いた状態にそれぞれ保持されて、パッドベース21の高さが固定される。また、この状態では、バスパッド10が脚41とペダル装置PDとによって支持されるため、載置面FL上でのバスパッド10の姿勢を安定させることができる。上記一連の操作は、パッドベース21を載置面FLから離間させた状態で行われる。
【0073】
従って、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)バスパッド10は、パッドベース21の高さ及び角度を調整可能に構成されている。ここでパッドベース21の高さは、バスパッド10が載置される載置面FLに直交する直交線Hに沿った主柱22の位置であり、ペダル装置PDのクランプの高さに対応している。パッドベース21の角度は、載置面FLに直交する直交線Hに対する主柱22の軸線L1の角度であり、ペダル装置PDのクランプの角度に対応している。このため、パッドベース21の高さ及び角度を調整可能にすることで、バスパッド10を、クランプの高さ及び角度の両方に対応して様々な種類のペダル装置PDに連結することができる。また、主柱22は、クランプに固定されるパッドベース21と一体に設けられている。つまり、バスパッド10には、クランプに固定される部分とパッドベース21との連結角度を調整する箇所が無い。このため、ペダルが繰り返し踏み込まれて、クランプに固定される箇所にモーメントによる力が断続的に作用しても、主柱22及びパッド本体30の位置が調整後の位置からずれることはない。よって、バスパッド10をペダル装置PDに連結して載置したときの安定性が向上する。
【0074】
(2)バスパッド10は、パッドベース21を載置面FLから離間させた状態でパッドベース21の高さ及び角度を調整可能に構成されている。この構成によれば、パッドベース21を載置面FLから離間させることで、パッドベース21の高さ及び角度を調整する際に、パッドベース21と載置面FLとが干渉しない。これにより、クランプの高さ及び角度の両方に対応してペダル装置PDにバスパッド10を連結することが容易となる。また、載置面FL上でのバスパッド10の姿勢を安定させることも容易となる。
【0075】
(3)バスパッド10は、ペダル装置PDのクランプに連結された状態で、脚41の先端の位置を調整可能に構成されている。この構成によれば、バスパッド10をクランプに連結した状態で、脚41の先端が載置面FL上に載置されるように、脚41の先端の位置を調整することができる。これにより、バスパッド10をクランプに連結してから、バスパッド10の脚41の先端とペダル装置PDの底面とを同一平面上に配置することができる。これにより、バスパッド10が脚41とペダル装置PDとによって支持されるため、載置面FL上でのバスパッド10の姿勢を安定させることができる。
【0076】
(4)バスパッド10は、パッドベース21の高さ及び角度を脚41の開きに応じて調整可能に構成されている。この構成により、クランプの高さ及び角度の両方に対応してバスパッド10をペダル装置PDに連結することが容易となる。また、脚41の先端の位置を脚41の開きに応じて調整できるため、バスパッド10の脚41の先端とペダル装置PDの底面とを同一平面上に配置することが容易となる。よって、載置面FL上でのバスパッド10の姿勢を安定させることも容易となる。
【0077】
(5)蝶ナット52を緩めると、摺動部材43が主柱22の軸線方向に摺動可能となる。そして、主柱22に対し摺動部材43を摺動させるだけで、脚41及びステー42が主柱22に対しそれぞれ開閉し、パッドベース21の高さ及び角度が調整される。これにより、クランプの高さ及び角度の両方に対応してペダル装置PDにバスパッド10を連結することも、載置面FL上でのバスパッド10の姿勢を安定させることも、より一層容易となる。また、ボルト50に蝶ナット52を締め付けると、摺動部材43が主柱22に固定される。これにより、脚41及びステー42が主柱22に対し開いた状態にそれぞれ保持されて、パッドベース21の高さ及び角度が固定される。これにより、バスパッド10をペダル装置PDに連結して載置したときの安定性がより一層向上する。
【0078】
また、摺動部材43は、主柱22に対し開閉可能に組み付けられたステー42に連結されている。また、摺動部材43が主柱22に対し摺動する方向は、主柱22の軸線方向であり、ステー42が主柱22に対し開く方向とは大きく異なる。この場合、ペダルの踏み込みによって脚41及びステー42には主柱22に対し開く方向に力が作用するものの、摺動部材43の摺動方向が脚41及びステー42の開き方向と大きく異なることなら、ペダルの踏み込みによる脚41及びステー42の開きを抑制することができる。
【0079】
(6)摺動部材43は、図2及び図3に示す上限位置と、図6及び図7に示す下限位置との間を、主柱22の軸線方向に摺動可能である。この構成によれば、バスパッド10を使用時の形態にするには、摺動部材43を主柱22上の上限位置と下限位置との間で移動させて、パッドベース21の高さ及び角度を調整すればよい。バスパッド10を収納時の形態にするには、摺動部材43を主柱22上の下限位置まで移動させればよい。これにより、主柱22上での摺動部材43の位置と脚41及びステー42の開閉との関係が明確になる。よって、バスパッド10の取り扱い易さが向上する。
【0080】
(7)バスパッド10を収納時の形態にする場合、摺動部材43を主柱22上の下限位置まで移動させることで、脚41及びステー42を、主柱22と略平行に配置することができる。これにより、バスパッド10の収納時における形態をコンパクトにすることができる。
【0081】
(8)開脚機構40は、二つの脚41、二つのステー42を備えている。この構成によれば、二つの脚41とペダル装置PDとによる三点支持によって、バスパッド10をペダル装置PDに連結して載置したときの安定性が更に向上する。
【0082】
(9)主柱22に取り付けられるパッド本体30の取付位置は、主柱22の軸線方向に変更可能である。この構成によれば、載置面FLからパッド本体30の中心までの直線距離であるパッド本体30の高さを変更することができる。これにより、ペダル装置PDの種類に応じて、パッド本体30の中心を叩打するように、パッド本体30の高さを調整することができる。
【0083】
(10)タムスタンド11Sは、タムスタンド11Sとペダル装置PDとの間にバスパッド10が配置されるようにセッティングされる。セッティングには、バスパッド10に対するタムスタンド11Sの位置決めを行う位置決め部材60が用いられる。この場合、位置決め部材60を用いることで、バスパッド10に対するタムスタンド11Sの位置決めが容易となり、ドラム練習キット1のセッティング作業が容易となる。
【0084】
また、バスパッド10に対するタムスタンド11Sの位置決めが行われることで、ドラム練習キット1の演奏時において、バスパッド10とタムスタンド11Sとがそれらを合わせた重量により動き難くなる。このため、バスパッド10とタムスタンド11Sとをセッティングした状態での安定性が向上する。また、ドラム練習キット1の演奏時にバスパッド10とタムスタンド11Sとが干渉しなくなるため、バスパッド10とタムスタンド11Sとが接触することで生じるノイズや傷を防止できる。
【0085】
(11)位置決め本体61は、第1位置決め部63と、第2位置決め部64とを有している。第1位置決め部63には、嵌合凸部63aが形成されている。第2位置決め部64には、嵌合凹部65が形成されている。この構成によれば、嵌合凹部65にタムスタンド11Sのパイプを嵌め込み、嵌合凸部63aを主柱22の下側開口22cに嵌め込むだけで、バスパッド10に対するタムスタンド11Sの位置決めが行われる。つまり、位置決め部材60を用いることで、バスパッド10に対するタムスタンド11Sの位置決めがより一層容易となり、ドラム練習キット1のセッティング作業がより一層容易となる。
【0086】
(12)位置決め部材60は、位置決め本体61と、緩衝部材62とからなる。位置決め部材60によりバスパッド10とタムスタンド11Sとが位置決めされている状態で、緩衝部材62は、嵌合凸部63aと共に、主柱22の下側開口22cに嵌め込まれる。また、緩衝部材62は、平面部63bと主柱22との間に介装される。この構成によれば、緩衝部材62によって、バスパッド10が叩打されたときに生じる衝撃や振動を吸収することができる。よって、ドラム練習キット1の演奏時に生じるノイズが抑制されるため、ドラム練習キット1の静粛性が向上する。
【0087】
本実施形態は、以下のように変更してもよい。
・本実施形態において、ドラムキットをドラム練習キット1に具体化したが、電子ドラムセットに具体化してもよい、また、バスパッド10を、バスドラム用練習パッドに具体化したが、電子ドラムセットを構成するバスパッド10に具体化してもよい。
【0088】
・本実施形態において、ドラム練習キット1は、バスパッド10とは異なる打楽器用パッドとして、タムパッド11、スネアパッド12、シンバルパッド13、ハイハットパッド14を備えていたが、これらのうち必要な打楽器用パッドのみを用いて、ドラム練習キット1を構成してもよい。
【0089】
・本実施形態において、バスパッド10は、二つの脚41を主柱22に連結して構成したが、図15に示すように、二つの脚41をパッド本体30に連結して構成してもよい。
・本実施形態において、パッドベース21及び主柱22は、一部品であるフレーム本体20の部位としてそれぞれ構成したが、別部品であってもよい。この場合、ネジ等の固定部材を用いて、パッドベース21と主柱22とを一体に組み付けて、フレーム本体20を構成してもよい。
【0090】
・本実施形態において、二つのステー42は、二つの脚41と摺動部材43とを連結するための部材であったが、図16に示すように、二つの脚71と主柱72の下端とを連結する部材であってもよい。この場合、二つの脚71を摺動部材73に連結し、二つの脚71の中央部にステー74を連結する。この構成によっても、摺動部材73を主柱72の軸線方向に摺動させることで、脚71及びステー74を主柱72に対しそれぞれ開閉させることができる。
【0091】
・本実施形態において、図10に示す位置決め部材60に代えて、図17に示す位置決め部材80を用いてもよい。図17に示すように、位置決め部材80は、位置決め部材60の第1位置決め部63に代えて、バスパッド10の主柱22に固定される固定部81を備えている。また、位置決め部材80は、位置決め部材60の第2位置決め部64に代えて、タムスタンド11Sのパイプを固定するクランプ部82を備えている。位置決め部材80は、固定部81を二つのネジ83を用いて主柱22に固定することで、バスパッド10に取り付けられる。位置決め部材80は、ボルト84及び蝶ナット85を用いてクランプ部82にタムスタンド11Sのパイプを固定することで、タムスタンド11Sにも取り付けられる。このように、位置決め部材80を用いることで、バスパッド10に対するタムスタンド11Sの位置決めに加え、バスパッド10に対するタムスタンド11Sの位置ずれを防止できる。また、この構成によれば、タムスタンド11Sの脚の有無に関係なく、バスパッド10に対するタムスタンド11Sの位置決めが可能となる。
【0092】
・本実施形態において、位置決め部材60,80は、バスパッド10に対するタムスタンド11Sの位置決め以外に、バスパッド10に対するスネアスタンド12S、シンバルスタンド13S及びハイハットスタンド14Sの位置決めに使用してもよい。
【0093】
・本実施形態において、位置決め部材60は、位置決め本体61と緩衝部材62とから構成したが、緩衝部材62を省略し、位置決め本体61のみから構成してもよい。
・本実施形態において、主柱22に取り付けられるパッド本体30の取付位置は、第1の位置と第2の位置とに段階的に変更可能であったが、無段階に変更可能にしてもよい。例えば、主柱22に形成した上孔23及び下孔24に代えて、主柱22の軸線方向に延びる長孔を形成すれば、パッド本体30の取付位置を、長孔に沿って、主柱22の軸線方向に無段階に変更することができる。
【0094】
・本実施形態において、主柱22に対する脚41の開きに応じて脚41の先端の位置を調整したが、主柱22に対して脚41を摺動可能に構成し、脚41を主柱22の軸線方向に摺動させることで、脚41の先端の位置を調整してもよい。また、脚41を伸縮自在に構成し、脚41の長さを変更することで、脚41の先端の位置を調整してもよい。
【符号の説明】
【0095】
1…ドラム練習キット、10…バスパッド、11…タムパッド、11S…タムスタンド、12…スネアパッド、12S…スネアスタンド、13…シンバルパッド、13S…シンバルスタンド、14…ハイハットパッド、14S…ハイハットスタンド、21…パッドベース、22…主柱、30…パッド本体、41…脚、42…ステー、43…摺動部材、60…位置決め部材、62…緩衝部材、65…嵌合凹部、63a…嵌合凸部、81…固定部、82…クランプ部、H…直交線、L1…軸線、PD…ペダル装置、CL1,CL2,CL3…クランプ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19