(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】感熱記録材料、フェニレンジアミン尿素誘導体、及び、感熱記録層
(51)【国際特許分類】
B41M 5/333 20060101AFI20231026BHJP
B41M 5/41 20060101ALI20231026BHJP
C07C 311/21 20060101ALI20231026BHJP
C07C 311/13 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
B41M5/333 220
B41M5/41 200
C07C311/21
C07C311/13
(21)【出願番号】P 2021131277
(22)【出願日】2021-08-11
【審査請求日】2023-06-21
(31)【優先権主張番号】P 2020135773
(32)【優先日】2020-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391052574
【氏名又は名称】三光株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】木西 良一
(72)【発明者】
【氏名】石橋 良三
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-043005(JP,A)
【文献】特表2005-518966(JP,A)
【文献】Claudia Caltagirone, et.al,Anion binding vs. sulfonamide deprotonation in functionalised ureas,Chemical Communications,英国,Royal Society of Chemistry,2007年10月15日,volumeyear: 2008,61-63,DOI:10.1039/b713431b
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 5/333
B41M 5/41
C07C 311/21
C07C 311/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、前記支持体上に設けられた感熱記録層と、を備える感熱記録材料であって、
前記感熱記録層は、常温で無色ないし淡色の塩基性染料と、加熱により前記塩基性染料と反応して呈色し得る顕色剤と、を含有し、
前記顕色剤は、下記式(1)~(4)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のフェニレンジアミン尿素誘導体である、感熱記録材料。
【化1】
(式中、Rはメチル基を表し、mは0~3を表す。)
【化2】
(式中、Rはメチル基を表し、mは0~3を表す。)
【化3】
【化4】
【請求項2】
前記顕色剤は、下記式(5)で表されるフェニレンジアミン尿素誘導体である、請求項1に記載の感熱記録材料。
【化5】
【請求項3】
式(1-1)~(1-3)、式(2)~(4)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のフェニレンジアミン尿素誘導体。
【化6A】
(式中、Rはメチル基を表し、mは0~3を表す。)
【化6B】
(式中、Rはメチル基を表し、mは0~3を表す。)
【化6C】
(式中、Rはメチル基を表し、
mは1~3を表す。)
【化7】
(式中、Rはメチル基を表し、mは0~3を表す。)
【化8】
【化9】
【請求項4】
N,N’-ビス(3-[{4-メチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素、N,N’-ビス(4-[{4-メチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素、N,N’-ビス(3-[{フェニルスルホニル}アミノ]フェニル)尿素、N,N’-ビス(3-[{2,4,6-トリメチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素、N,N’-ビス(3-[{ベンジルスルホニル}アミノ]フェニル)尿素、又は、N,N’-ビス(3-[{2-ナフチルスルホニル}アミノ]フェニル)尿素である、請求項3に記載のフェニレンジアミン尿素誘導体。
【請求項5】
常温で無色ないし淡色の塩基性染料と、加熱により前記塩基性染料と反応して呈色し得る顕色剤と、を含有する感熱記録層であって、
前記顕色剤が、
下記式(1)で表される化合物からなるフェニレンジアミン尿素誘導体、又は、請求項3
若しくは4に記載のフェニレンジアミン尿素誘導体を含有する、感熱記録層。
【化10】
(式中、Rはメチル基を表し、mは0~3を表す。)
【請求項6】
請求項5に記載の感熱記録層を含む、支持体。
【請求項7】
請求項5に記載の感熱記録層を含む、紙、プラスティックフィルム、又は、加工紙。
【請求項8】
支持体と、前記支持体上に設けられた請求項5に記載の感熱記録層と、を備える感熱記録材料。
【請求項9】
前記支持体が、紙、プラスティックフィルム、又は、加工紙であって、
前記感熱記録材料が、感熱記録紙、感熱記録プラスティックフィルム、又は、感熱記録加工紙である、請求項8に記載の感熱記録材料。
【請求項10】
前記支持体が、紙、再生紙、合成紙、プラスティックフィルム、不織布、又は、金属箔である、請求項1又は2に記載の感熱記録材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェニレンジアミン尿素誘導体を顕色剤として用いた感熱記録材料に関する。また、本発明は、フェニレンジアミン尿素誘導体、及び、感熱記録層に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、感熱記録材料は、支持体と、その支持体上に塗工液を塗工して形成した感熱記録層とを備える。塗工液としては、常温で無色ないし淡色の塩基性染料と有機顕色剤とをそれぞれ微細な粒子に粉砕分散した後、混合してなる混合物に、増感剤、バインダー、滑剤、その他の各種添加剤等を添加したものが用いられる。支持体としては、紙、プラスティックフィルム、加工紙等が用いられる。このような感熱記録材料は、感熱記録層に感熱ヘッド、熱ペン等で熱エネルギーを加えることにより、発色記録が得られる。このような感熱記録材料は、既に広く実用化されている。また、感熱記録材料としては、感熱記録層がレーザー光を吸収して熱に変換する光変換物質を含有するものも普及している。
【0003】
このような感熱記録材料は、比較的簡単な装置で記録画像が得られ、保守が容易なこと、騒音が発生しないこと等の利点がある。そのため、感熱記録材料は、計測記録計、ファクシミリ、各種プリンター、ラベル印字機、乗車券、チケットの発券機等の広範囲な分野で利用されている。
【0004】
上記のように、感熱記録材料の用途は拡大している。感熱記録材料は、ガス、水道、電気料金等の領収書を始めとして、金融機関の現金自動預け払い機(ATM)の利用明細書、財務関係の記録用紙、観劇等のチケット用紙、ナンバーズ、競馬や競艇等のゲーミングチケット用紙等の投票券、鉄道、バス等の切符や領収書、航空タグ用紙、物流関係のラベル用紙、総菜やおにぎり等の食品用ラベル用紙、コンビエンスストアーやスーパーマーケット等の販売時点情報管理(POS)レジ用紙、医療用ラベル、心電図用紙、医療診断用のフィルム感熱、交通系定期券等で使用されている。また、感熱記録材料は、用途により様々な特性が要求されている。
【0005】
感熱記録材料に求められる性能としては、未印字部の白色度と種々の環境条件における未印字部の白色度、印字部の発色濃度とその印字部の保存性等が挙げられる。特に印字部の保存性としては、例えば、耐熱性、耐湿熱性、耐水性、耐光性、耐油性、耐可塑剤性等の種々の試験に対する耐性が求められる。
【0006】
このように感熱記録材料の用途が拡大するに伴って、これまでに感熱記録材料の顕色剤として数多くのものが提案されてきた。感熱記録材料の顕色剤としては、例えば、4,4’-イソプロピリデンジフェノール(例えば、特許文献1参照)、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン(例えば、特許文献2参照)、4-アリルオキシ-4’-ヒドロキシ-ジフェニルスルホン(例えば、特許文献3参照)、4-ヒドロキシ-4’-イソプロピルオキシ-ジフェニルスルホン(例えば、特許文献4参照)、N-3-〔(p-トルエンスルホニル)オキシ〕フェニル-N’-(p-トルエンスルホニル)-尿素(例えば、特許文献5参照)、N-[2-(3-フェニルウレイド)フェニル]-ベンゼンスルホンアミド(例えば、特許文献6、7参照)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第3539375号明細書
【文献】特開昭57-11088号公報
【文献】特開昭60-208286号公報
【文献】特開2002-052842号公報
【文献】特表2002-532441号公報
【文献】国際公開第2014/080615号
【文献】国際公開第2018/038035号
【非特許文献】
【0008】
【文献】大饗茂編著、「有機硫黄化学」、化学同人社、1982年9月、p349
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、4,4’-イソプロピリデンジフェノール、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4-アリルオキシ-4’-ヒドロキシ-ジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-イソプロピルオキシ-ジフェニルスルホン、N-[2-(3-フェニルウレイド)フェニル]-ベンゼンスルホンアミドを含む感熱記録材料は、印字部の各種保存安定性が十分でなかった。
【0010】
N-3-〔(p-トルエンスルホニル)オキシ〕フェニル-N’-(p-トルエンスルホニル)-尿素は、発色感度や保存性が改善されている。N-3-〔(p-トルエンスルホニル)オキシ〕フェニル-N’-(p-トルエンスルホニル)-尿素は、トルエンスルホニルイソシナネートから誘導されるトルエンスルホニル尿素基およびトルエンスルホニルクロライドから誘導される芳香族スルホン酸アリールエステル基の2つの官能基を有し、芳香族スルホン酸アリールエステル基は水に対して安定である(例えば、非特許文献1参照)。一方、N-3-〔(p-トルエンスルホニル)オキシ〕フェニル-N’-(p-トルエンスルホニル)-尿素のトルエンスルホニル尿素基は、元来アミノ基等の保護基として活用されてきたものであるが、水によって容易に加水分解される。
【0011】
特許文献7には、ベンゼンスルホンアミド誘導体として、RSO2-NH基の置換基を有するジフェニル尿素誘導体が記載されている。しかしながら、特許文献7には、ジフェニル尿素誘導体の具体的な化合物や、その化合物の合成例、特性および実施例ついては記載されていなかった。
【0012】
近年、4,4’-イソプロピリデンジフェノールや4,4’-ビスフェノールスルホン等は、内分泌攪乱等の環境衛生上の問題が指摘され、使用を制限する地域もある。また、他のフェノール系顕色剤も水性毒性等の課題を有している。そのため、これらの問題のない非フェノール系顕色剤が求められている。
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、発色濃度、白色度、および印字部の耐熱性、耐水性、耐油性、保存性等の感熱記録材料としての要求性能を満たす感熱記録材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者等は、鋭意検討した結果、本発明の新規なフェニレンジアミン尿素誘導体が感熱記録材料の顕色剤として利用できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明は以下の態様を含む。
[1] 支持体と、前記支持体上に設けられた感熱記録層と、を備える感熱記録材料であって、前記感熱記録層は、常温で無色ないし淡色の塩基性染料と、加熱により前記塩基性染料と反応して呈色し得る顕色剤と、を含有し、前記顕色剤は、下記式(1)~(4)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のフェニレンジアミン尿素誘導体である、感熱記録材料。
【0016】
【化1】
(式中、Rはメチル基を表し、mは0~3を表す。)
【0017】
【化2】
(式中、Rはメチル基を表し、mは0~3を表す。)
【0018】
【0019】
【0020】
[2] 前記顕色剤は、下記式(5)で表されるフェニレンジアミン尿素誘導体である、[1]に記載の感熱記録材料。
【0021】
【0022】
[3] 下記式(1)~(4)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のフェニレンジアミン尿素誘導体。
【0023】
【化6】
(式中、Rはメチル基を表し、mは0~3を表す。)
【0024】
【化7】
(式中、Rはメチル基を表し、mは0~3を表す。)
【0025】
【0026】
【0027】
[4] N,N’-ビス(3-[{4-メチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素、N,N’-ビス(4-[{4-メチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素、N,N’-ビス(3-[{フェニルスルホニル}アミノ]フェニル)尿素、N,N’-ビス(3-[{2,4,6-トリメチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素、N,N’-ビス(3-[{ベンジルスルホニル}アミノ]フェニル)尿素、又は、N,N’-ビス(3-[{2-ナフチルスルホニル}アミノ]フェニル)尿素である、[3]に記載のフェニレンジアミン尿素誘導体。
【0028】
[5] 常温で無色ないし淡色の塩基性染料と、加熱により前記塩基性染料と反応して呈色し得る顕色剤と、を含有する感熱記録層であって、
前記顕色剤が、[3]又は[4]に記載のフェニレンジアミン尿素誘導体を含有する、感熱記録層。
【0029】
[6] [5]に記載の感熱記録層を含む、支持体。
[7] [5]に記載の感熱記録層を含む、紙、プラスティックフィルム、又は、加工紙。
[8] 支持体と、前記支持体上に設けられた[5]に記載の感熱記録層と、を備える感熱記録材料。
[9] 前記支持体が、紙、プラスティックフィルム、又は、加工紙であって、
前記感熱記録材料が、感熱記録紙、感熱記録プラスティックフィルム、又は、感熱記録加工紙である、[8]に記載の感熱記録材料。
[10] 前記支持体が、紙、再生紙、合成紙、プラスティックフィルム、不織布、又は、金属箔である、[1]又は[2]に記載の感熱記録材料。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、発色濃度、白色度、および印字部の耐熱性、耐水性、耐油性、保存性等の感熱記録材料としての要求性能を満たす感熱記録材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】合成例1におけるN,N’-ビス(3-[{4-メチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素の
1H-NMRスペクトルを示す図である。
【
図2】合成例1におけるN,N’-ビス(3-[{4-メチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素のFD-MSスペクトルを示す図である。
【
図3】合成例1におけるN,N’-ビス(3-[{4-メチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素のIRスペクトルを示す図である。
【
図4】合成例2におけるN,N’-ビス(4-[{4-メチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素の
1H-NMRスペクトルを示す図である。
【
図5】合成例2におけるN,N’-ビス(4-[{4-メチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素のFD-MSスペクトルを示す図である。
【
図6】合成例2におけるN,N’-ビス(4-[{4-メチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素のIRスペクトルを示す図である。
【
図7】合成例4におけるN,N’-ビス(3-[{フェニルスルホニル}アミノ]フェニル)尿素のIRスペクトルを示す図である。
【
図8】合成例5におけるN,N’-ビス(3-[{2,4,6-トリメチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素のIRスペクトルを示す図である。
【
図9】合成例6におけるN,N’-ビス(3-[{ベンジルスルホニル}アミノ]フェニル)尿素のIRスペクトルを示す図である。
【
図10】合成例7におけるN,N’-ビス(3-[{2-ナフチルスルホニル}アミノ]フェニル)尿素のIRスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の感熱記録材料の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0033】
[感熱記録材料]
本実施形態の感熱記録材料は、支持体と、その支持体上に設けられた感熱記録層と、を備える。前記感熱記録層は、常温で無色ないし淡色の塩基性染料と、加熱により前記塩基性染料と反応して呈色し得る顕色剤と、を含有する。前記顕色剤は、下記式(1)~(4)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のフェニレンジアミン尿素誘導体である。
【0034】
【化10】
(式中、Rはメチル基を表し、mは0~3を表す。)
【0035】
【化11】
(式中、Rはメチル基を表し、mは0~3を表す。)
【0036】
【0037】
【0038】
以下、本実施形態の感熱記録材料に用いられるフェニレンジアミン尿素誘導体の具体例を示す。なお、フェニレンジアミン尿素誘導体は、以下に示すものに限定されず、上記式(1)~(4)で表される化合物に該当するものであれば用いることができる。また、以下に示すフェニレンジアミン尿素誘導体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに、本実施形態におけるフェニレンジアミン尿素誘導体は、従来公知の顕色剤と併用することもでき、例えば、下記の顕色剤と併用することもできる。
【0039】
本実施形態におけるフェニレンジアミン尿素誘導体と併用可能な顕色剤の具体例としては、N-3-〔(p-トルエンスルホニル)オキシ〕フェニル-N’-(p-トルエンスルホニル)-尿素(商品名:PF-201、Solenis社製)、N-[2-(3-フェニルウレイド)フェニル]-ベンゼンスルホンアミド(商品名:NKK-1304、日本曹達社製)、3-〔(3―フェニルウレイド)フェニル〕=4-メチルベンゼンスルホナート、N-(m-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、N-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、N-(フェニルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、N,N’-ビス[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N’-ビス[3-(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N’-ビス[3-(メシチレンスルホニルオキシ)フェニル]尿素等のN,N’-ビスアリール尿素誘導体等の公知の非フェノール顕色剤、4,4’-イソプロピリデンジフェノール(BPA)、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン(BPS)、4-アリルオキシ-4’-ヒドロキシジフェニルスルホン(商品名:BPS-MAE、日華化学社製)、4-アリルオキシ-4’-ヒドロキシ-ジフェニルスルホン(商品名:TGSA、日本化薬社製)、4-ヒドロキシ-4’-イソプロポキシスルホン(商品名:D-8、日本曹達社製)等の公知の顕色剤が挙げられる。
これら顕色剤と本実施形態におけるフェニレンジアミン尿素誘導体とを併用することにより、これら公知の顕色剤の課題である保存性を更に向上させることが可能となる。
【0040】
上記式(1)で表されるフェニレンジアミン尿素誘導体としては、例えば、N,N’-ビス(3-[{ベンジルスルホニル}アミノ]フェニル)尿素、N,N’-ビス(3-[{フェニルスルホニル}アミノ]フェニル)尿素、N,N’-ビス(3-[{4-メチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素、N,N’-ビス(3-[{3-メチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素、N,N’-ビス(3-[{2-メチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素、N,N’-ビス(3-[{2、5-ジメチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素、N,N’-ビス(3-[{2,4,6-トリメチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素、N,N’-ビス(4-[{ベンジルスルホニル}アミノ]フェニル)尿素、N,N’-ビス(4-[{フェニルスルホニル}アミノ]フェニル)尿素、N,N’-ビス(4-[{4-メチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素、N,N’-ビス(4-[{3-メチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素、N,N’-ビス(4-[{2-メチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素、N,N’-ビス(4-[{2,5-ジメチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素、N,N’-ビス(4-[{2,4,6-トリメチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素、N,N’-ビス(2-[{ベンジルスルホニル}アミノ]フェニル)尿素、N,N’-ビス(2-[{フェニルスルホニル}アミノ]フェニル)尿素、N,N’-ビス(2-[{4-メチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素、N,N’-ビス(2-[{3-メチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素、N,N’-ビス(2-[{2-メチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素、N,N’-ビス(2-[{2,5-ジメチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素、N,N’-ビス(2-[{2,4,6-トリメチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素、等が挙げられる。
【0041】
上記式(2)で表されるフェニレンジアミン尿素誘導体としては、例えば、N,N’-ビス(3-[{4-メチルベンジルスルホニル}アミノ]フェニル)尿素、N,N’-ビス(4-[{4-メチルベンジルスルホニル}アミノ]フェニル)尿素、N,N’-ビス(2-[{4-メチルベンジルスルホニル}アミノ]フェニル)尿素等が挙げられる。
【0042】
上記式(3)で表されるフェニレンジアミン尿素誘導体としては、例えば、N,N’-ビス(3-[{1-ナフチルスルホニル}アミノ]フェニル)尿素、N,N’-ビス(4-[{1-ナフチルスルホニル}アミノ]フェニル)尿素、N,N’-ビス(2-[{1-ナフチルスルホニル}アミノ]フェニル)尿素等が挙げられる。
【0043】
上記式(4)で表されるフェニレンジアミン尿素誘導体としては、例えば、N,N’-ビス(3-[{2-ナフチルスルホニル}アミノ]フェニル)尿素、N,N’-ビス(4-[{2-ナフチルスルホニル}アミノ]フェニル)尿素、N,N’-ビス(2-[{2-ナフチルスルホニル}アミノ]フェニル)尿素等が挙げられる。
【0044】
上記のフェニレンジアミン尿素誘導体のなかでも、特に、下記式(5)で表されるN,N’-ビス(3-[{2,4,6-トリメチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素は、耐水性および耐油性に優れ、耐水性試験および耐油性試験では、感熱記録層における記録部(印字部)の変色や濃度低下が少なく好適である。
【0045】
【0046】
本実施形態の感熱記録材料に用いられるフェニレンジアミン尿素誘導体は、対応するフェニレンジアミンを塩基存在下でモノスルホン化した後、各種の尿素化方法により尿素化する方法で合成される。
モノスルホン化の工程は、塩基存在下、活性水素を有しない有機溶媒中あるいは水-非水溶性有機溶媒の2相溶媒中、0℃~90℃の反応温度で、フェニレンジアミンを反応させることにより実施される。
反応終了後、反応液を分液操作あるいは再結晶操作することによって、反応液からフェニレンジアミンモノスルホン化物が精製分離される。
【0047】
尿素化の工程は、カルボニルジイミダゾールや尿素等のカルボニル基導入試剤を用いて、フェニレンジアミンモノスルホン化物を尿素化することにより実施される。尿素化の反応は、活性水素を有しない有機溶媒中あるいは水-非水溶性有機溶媒の2相溶媒中、0℃~200℃の反応温度で実施される。
反応終了後、反応液を分液操作あるいは再結晶操作することによって、反応液からフェニレンジアミン尿素誘導体が精製単離される。
【0048】
上記の反応の反応式の一例を下記に示す。
【0049】
(フェニレンジアミンのモノスルホン化工程)
フェニレンジアミンのモノスルホン化工程の反応式の一例を下記式(6)に示す。
【0050】
【0051】
(フェニレンジアミンモノトシル化物の尿素化工程)
フェニレンジアミンモノトシル化物の尿素化工程の反応式の一例を下記式(7)に示す。
【0052】
【0053】
本実施形態の感熱記録材料において、常温で無色ないし淡色の塩基性染料としては、従来公知のロイコ染料から選ぶことができ、例えば、トリフェニルメタン系化合物、フルオラン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、スピロ系化合物、フルオレン系化合物、チアジン系化合物等が挙げられる。
【0054】
トリフェニルメタン系化合物としては、例えば、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)フタリド、3,3-ビス(p-メチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(4-ジエチルアミノ-2-n-ヘキシルオキシフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(4-ジエチルアミノ)-2-メチルフェニル-4-アザフタリド、3-(4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3-(2-メチル-1-n-オクチルインドール-3-イル)-3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-4-アザフタリド、2,2-ビス{4-[6’-(N-シクロヘキシル-N-メチルアミノ)-3’-メチルスピロ[フタリド-3,9’-キサンテン]-2’-イルアミノ]フェニル}プロパン、3,3’-ビス(1-n-アミル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3’-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3’-ビス(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3’-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)フタリド等が挙げられる。
【0055】
フルオラン系化合物としては、例えば、3-ジエチルアミノ-7-ジベンジルアミノベンゾ[α]フルオラン、3-(N-エチル-N-イソペンチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(o,p-ジメチルアニリノ)フルオラン、3-(N-エチル-N-p-トルイジノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ピロリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-シクロヘキシル-N-メチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(o-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(m-トリフロロメチルアニリノ)フルオラン、3-ジ(n-ペンチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-[N-(3-エトキシプロピル)-N-エチルアミノ]6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-n-ヘキシル-N-エチルアミノ)-7-(o-クロロアニリノ)フルオラン、3-(N-エチル-N-2-テトラヒドロフルフリルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジブチルアミノ-7-(o-クロロアニリノ)フルオラン、3,6-ジメトキシフルオラン、3-ピロリジノ-6-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-7,8-ジベンゾフルオラン、3-ジエチルアミノ-6,7-ジメチルフルオラン、3-(N-メチル-p-トルイジノ)-7-メチルフルオラン、3-(N-メチル-N-イソアミルアミノ)-7,8-ベンゾフルオラン、3-(N-メチル-N-イソアミルアミノ)-7-フェノキシフルオラン、3-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)-7-(N-フェニル-N-メチルアミノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-ベンジルアミノフルオラン、3-ピロリジノ-7-ジベンジルアミノフルオラン等が挙げられる。
【0056】
これらの塩基性染料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0057】
本実施形態の感熱記録材料は、必要に応じて増感剤を用いることができる。増感剤としては、従来公知の増感剤を用いることができる。増感剤としては、例えば、ステアリン酸アミド、ビスステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等の脂肪酸アミド、p-トルエンスルホンアミド、ステアリン酸、ベヘン酸やパルミチン酸等のカルシウム、亜鉛あるいはアルミニウム等の脂肪酸金属塩、p-ベンジルビフェニル、ジフェニルスルホン、ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、2-ベンジルオキシナフタレン、1,2-ビス(p-トリルオキシ)エタン、1,2-ビス(フェノキシ)エタン、1,2-ビス(3-メチルフェノキシ)エタン、1,3-ビス(フェノキシ)プロパン、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸p-メチルベンジル、m-ターフェニル、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸等が挙げられる。
【0058】
さらに、本実施形態の感熱記録材料は、従来公知の保存安定剤を併用することができる。
保存安定剤としては、例えば、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-エチリデンビス(4、6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(2-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(6-tert-ブチルm-クレゾール)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-シクロヘキシルフェニル)ブタン、4,4’-ビス[(4-メチル-3-フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド]ジフェニルスルホン、トリス(2,6-ジメチル-4-tert-ブチル-3-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’-チオビス(3-メチルフェノール)、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’,5,5’-テトラブロモジフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシ3,3’,5,5’-テトラメチルジフェニルスルホン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン等のヒンダードフェノール化合物、1,4-ジグリシジルオキシベンゼン、4,4’-ジグリシジルオキシジフェニルスルホン、4-ベンジルオキシ-4’-(2-メチルグリシルオキシ)ジフェニルスルホン、テレフタル酸グリシジル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂型、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ化合物、N,N’―ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェイトのナトリウム塩または多価金属塩、ビス(4-エチレンイミンカルボニルアミノフェニル)メタン、さらに、下記式(8)で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物等が挙げられる。
【0059】
上記保存安定剤のなかでも、特に、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-シクロヘキシルフェニル)ブタン、4,4’-ビス[(4-メチル-3-フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド]ジフェニルスルホンおよび下記式(8)で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物がさらなる保存性改良に好適である。
【0060】
【0061】
本実施形態の感熱記録材料は、感熱記録層がバインダーを含んでいてもよい。バインダーとしては、例えば、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉等の澱粉類、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース類、カゼイン、ゼラチン、完全(または部分)鹸化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、珪素変性ポリビニルアルコール、アミド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、スチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレンーブタジエン共重合体樹脂並びに、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルアミド樹脂、アクリル酸エステル樹脂、ビニルブチラール・スチロールおよびそれらの共重合体樹脂、アミド樹脂、シリコーン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、クロマン樹脂等が挙げられる。これらのバインダーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのバインダーは、溶剤に溶解して使用するほか、水または他の媒体中に乳化あるいはペースト状に分散した状態で使用することもできる。
【0062】
本実施形態の感熱記録材料は、感熱記録層が顔料を含んでいてもよい。顔料としては、例えば、非晶性シリカ、非晶性珪酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、タルク、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、コロイダルシリカ、ポリスチレンパウダー、ナイロンパウダー、尿素-ホルマリン樹脂フィラー、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体や中空プラスチックピグメント等の無機あるいは有機顔料等が挙げられる。これらの顔料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0063】
本実施形態の感熱記録材料は、感熱記録層が助剤を含んでいてもよい。助剤としては、例えば、ジオクチオルコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム、脂肪酸金属塩等の分散剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムおよび高級脂肪酸金属塩、ステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、パラフィン、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、カスターワックス、エステルワックス等のワックス類、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物、グリオキザール、ホウ酸、ジアルデヒドスターチ、メチロール尿素、グリオキシル酸塩、エポキシ系化合物等の耐水化剤、消泡剤、着色染料、蛍光染料等が挙げられる。これらの助剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0064】
本実施形態の感熱記録材料では、感熱記録層に含まれる顕色剤、塩基性染料、顕色剤、増感剤、バインダー、顔料およびその他助剤等の添加剤の種類や使用量は、感熱記録層に要求される品質性能に応じて適宜調節される。
【0065】
感熱記録層の形成方法は、上記の感熱記録層に含まれる顕色剤、塩基性染料、顕色剤、増感剤、バインダー、顔料、その他助剤等の添加剤および溶媒等を含む感熱記録層用塗料を調製する工程と、支持体上に感熱記録層用塗料を塗工する工程と、を有する。
【0066】
感熱記録層用塗料を調製する工程では、感熱記録層に要求される品質性能に応じて、顕色剤、塩基性染料、顕色剤、増感剤、バインダー、顔料、その他助剤等の添加剤および溶媒の種類や使用量を適宜調節し、これらを混合することにより、感熱記録層用塗料を得る。
【0067】
支持体上に感熱記録層用塗料を塗工するための塗工方法は、特に限定されるものではなく、例えば、エアーナイフコーティング、バリバーコーティング、ピュアーブレードコーティング、ロッドブレードコーティング、カーテンコーティング、ダイコーティング、スライドビロードコーティング、オフセットグラビアコーティング、5本ロールコーティング等が用いられる。
【0068】
支持体上に感熱記録層用塗料を塗工する工程では、支持体上に感熱記録層用塗料を直接塗工することにより、支持体上に感熱記録層を形成してもよいし、支持体上に下塗り層を形成した後、形成された下塗り層上に感熱記録層を形成してもよい。
支持体上に下塗り層の設けることにより、感熱記録層における感度、画質の改善、印字粕吸収機能等を改善することができる。
【0069】
下塗り層の組成は、目的により適宜選択することができる。下塗り層は、例えば、バインダー、顔料(無機顔料、有機顔料)等を含む。
【0070】
下塗り層に含まれるバインダーは、感熱記録層に用いられるバインダーを用いることができる。すなわち、バインダーとしては、例えば、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉等の澱粉類、メチルセルロース、カルボキシセルロース、メトキシセルロース、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース樹脂、カゼイン、ゼラチン、完全(または部分)鹸化ポリビニアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、珪素変性ポリビニルアルコール、アミド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、スチレン-無水マレイン酸共重合体系ラテックス、スチレンーブタジエン共重合体系ラテックス、酢酸ビニル樹脂系ラテックス、ウレタン樹脂系ラテックス及びアクリル樹脂系ラテックス等を用いることができる。
【0071】
下塗り層に含まれる無機顔料としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、珪酸アルミニウム、炭酸カルシウム等の金属酸化物、金属水酸化物、硫酸塩、炭酸塩等の金属化合物、無定形シリカ、焼成カオリン、タルク等の無機白色顔料等が挙げられる。これらのなかでも、特に、焼成カオリンは、感熱記録層における発色感度と画質および印字粕吸収性に優れていることから、好適に用いられる。
無機顔料の平均粒子径は、0.5μm~3.0μmであることが好ましい。
【0072】
また、下塗り層に含まれる有機顔料としては、例えば、球状樹脂粒子(所謂、密実型樹脂粒子)、中空樹脂粒子、貫通孔を有する樹脂粒子、中空樹脂粒子の一部を変面で裁断して得られるような開口部を有する樹脂等が挙げられる。感熱記録層における記録濃度を高めるには、中空樹脂粒子が好適に用いられる。
【0073】
感熱記録層における感度と印字粕吸収性を両立させるためには、無機顔料と有機顔料を併用することが好ましい。
無機顔料と有機顔料の配合比は、質量比で90:10~30:70であることが好ましく、70:30~50:50であることがより好ましい。
【0074】
さらに、感熱記録層における感度の向上を図るために、下塗り層は発泡系樹脂を含んでいてもよい。
【0075】
下塗り層は、下塗り層塗料を、支持体上に塗布した後、乾燥して形成される。
下塗り層塗料は、分散媒体である水に、無機顔料および有機顔料の少なくとも1種とバインダーとを混合、攪拌して調製したものである。
支持体上への下塗り層塗料の塗布量は、下塗り層塗料の乾燥後の塗布量が1g/m2~20g/m2であることが好ましく、5g/m2~15g/m2であることがより好ましい。
【0076】
下塗り層塗料におけるバインダーの含有量は、下塗り層全固形分100質量%中、5質量%~40質量%となる量であることが好ましい。
下塗り層塗料における顔料の含有量は、下塗り層全固形分100質量%中、10質量%~95質量%となる量であることが好ましい。
【0077】
下塗り層用塗料には、必要に応じて、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パラフィンワックス等の滑剤、蛍光染料、着色染料、界面活性剤、架橋剤等の各種助剤を添加することもできる。
【0078】
下塗り層は、1層であってもよく、2層以上であってもよい。
【0079】
本実施形態の感熱記録材料では、感熱記録層上に、成膜性を有するバインダーを主成分とする保護層を設けてもよい。
保護層の形成方法は、溶媒である水に、バインダー、顔料、および、必要に応じてその他助剤を混合、撹拌して保護層用塗料を調製する工程と、感熱記録層上に保護層用塗料を塗工する工程と、を有する。
【0080】
保護層用塗料に用いられるバインダー、顔料、助剤は、上記の感熱記録層用塗料に含まれるもの8が用いられる。
【0081】
また、保護層上に光沢層を設けてもよい。
光沢層の形成方法としては、例えば、保護層上に電子線または紫外線硬化性化合物を主成分とする塗料(光沢層用塗料)を塗布した後、その塗液に電子線または紫外線を照射して硬化させて光沢層を得る方法や、保護層上に超微粒子のコアシェル型アクリル樹脂を塗布した後、その塗液を硬化させて光沢層を得る方法等が挙げられる。
【0082】
さらに、支持体の裏面側に帯電防止層を設けてもよい。
【0083】
下塗り層用塗料、保護層用塗料および光沢層用塗料は、感熱記録層用塗料と同様に、ピュアーブレードコーティング、ロッドブレードコーティング、カーテンコーティング、オフセットグラビアコーティング等の適宜の塗工方法により塗工することができる。これらの塗工方法によって、前記の各塗料によって形成した塗膜を乾燥することにより、下塗り層、保護層および光沢層が形成される。
【0084】
下塗り層、保護層および光沢層を形成した後、または感熱記録材料を構成する全ての層を形成した後、スーパーキャレンダー処理する等の感熱記録材料製造分野における各種の公知処理技術を適宜付加してもよい。
【0085】
本実施形態の感熱記録材料の感熱記録層において、増感剤の含有量は、感熱記録層に含まれる塩基性染料100質量部に対して、0質量部~400質量部であることが好ましい。
本実施形態の感熱記録材料の感熱記録層において、バインダーの含有量は、感熱記録層全固形分100質量%中、5質量%~50質量%であることが好ましい。
【0086】
本実施形態では、塩基性染料、顕色剤、増感剤および保存安定剤等は、例えば、水を分散媒体として、ボールミル、アトライター、サンドミル等の攪拌粉砕機によって平均粒子径が2μm以下になるように微分散した分散液として用いられる。
このように微分散された分散液に、必要に応じて、顔料、バインダー、助剤等を混合、撹拌することにより、感熱記録層用塗料を調製する。
【0087】
このようにして得られた感熱記録層用塗料を、支持体上に塗布した後、乾燥することにより、支持体上に感熱記録層を形成し、本実施形態の感熱記録材料を得る。
支持体上への感熱記録層用塗料の塗布量は、感熱記録層用塗料の乾燥後の塗布量が1.0g/m2~20g/m2であることが好ましく、2.0g/m2~7.0g/m2であることがより好ましい。
【0088】
支持体としては、例えば、紙、再生紙、合成紙、プラスティックフィルム、不織布、金属箔等が挙げられる。また、これらを組み合せた複合シートも支持体として用いることができる。
支持体の厚さは、特に限定されず、本実施形態の感熱記録材料の用途に応じて適宜調整される。
【0089】
本実施形態の感熱記録材料によれば、発色濃度、白色度、および印字部の耐熱性、耐水性、耐油性、保存性等の感熱記録材料としての要求性能を満たす感熱記録材料を提供することができる。
【実施例】
【0090】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例および比較例中、「部」および「%」は、「質量部」および「質量%」を表わす。
【0091】
(合成例1)N,N’-ビス(3-[{4-メチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素の合成
滴下ロート、温度計、窒素導入管、冷却器を付置した200mLの四ツ口フラスコに、m-フェニレンジアミン5.4g(50mM)、酢酸エチル70mL、トリエチルアミン5.6g(55mM)を仕込み窒素置換をした後、内温を30℃にした。
次いで、四ツ口フラスコの内温を保持しながら、酢酸エチル40mLに溶解したp-トルエンスルホニルクロライド9.5g(50mM)を滴下した。
反応を2時間継続した後、四ツ口フラスコの内温を加温して50℃にし、有機相を塩酸水、重曹水、水の順に水洗分液した。
この有機相に、酢酸エチルに懸濁したカルボニルジイミダゾール4.1g(25mM)を間欠的に注加した。
反応を2時間継続した後、有機相を塩酸水、重曹水、水の順に水洗分液し、有機相を減圧濃縮し、濃縮残渣を得た。
得られた濃縮残渣に酢酸エチルを加えて、濃縮残渣を結晶化した。
結晶を濾別、乾燥し、得られた結晶について、核磁気共鳴スペクトル(
1H-NMRスペクトル)、電解離脱質量スペクトル(FD-MSスペクトル)および赤外吸収スペクトル(IRスペクトル)を測定した。
1H-NMRスペクトルの測定には、ブルカー・バイオスピン社製のAVANCE NEO cryo 500型(商品名)を用いた。
FD-MSスペクトルの測定には、日本電子社製のJTS-T100 GCAcco TOFGC(商品名)を用いた。
IRスペクトルの測定には、島津製作所社製の島津フーリエ変換赤外分光光度計IR Affinity-1(商品名)を用いた。
図1に
1H-NMRスペクトル、
図2にFD-MSスペクトル、
図3にIRスペクトルを示す。
図1~
図3の結果から、N,N’-ビス(3-[{4-メチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素が得られていることが確認された。
【0092】
(合成例2)N,N’-ビス(4-[{4-メチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素の合成
合成例1のm-フェニレンジアミン5.4g(50mM)を、p-フェニレンジアミン5.4g(50mM)に代えたこと以外は合成例1と同様の操作を行い、結晶を得た。
得られた結晶について、合成例1と同様にして、
1H-NMRスペクトル、FD-MSスペクトルおよびIRスペクトルを測定した。
図4に
1H-NMRスペクトル、
図5にFD-MSスペクトル、
図6にIRスペクトルを示す。
図4~
図6の結果から、N,N’-ビス(4-[{4-メチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素が得られていることが確認された。
【0093】
(合成例3)N,N’-ビス(4-[{4-メチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素の合成
合成例2と同様の操作を行い、p-フェニレンジアミンのモノトシル化物の酢酸エチル溶液を得た。
この溶液から酢酸エチルを減圧除去した後、濃縮残渣に尿素1.5g(25mM)、濃塩酸4.7g(45mM)、ジエチレングリコールジメチルエーテル70mLを仕込み加熱した。
この混合溶液を加熱して、四ツ口フラスコの内温を145℃とし、反応を8時間継続した。
反応終了後、冷却して、トルエン50gを加え、結晶を析出させ、さらに水50gを加えて、結晶を濾別した。
得られた結晶について、合成例1と同様にして、1H-NMRスペクトル、FD-MSスペクトルおよびIRスペクトルを測定した。その結果、N,N’-ビス(4-[{4-メチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素が得られていることが確認された。
【0094】
(合成例4)N,N’-ビス(3-[{フェニルスルホニル}アミノ]フェニル)尿素の合成
合成例1のp-トルエンスルホニルクロライド9.5g(50mM)を、ベンゼンスルホニルクロライド8.8g(50mM)に代えたこと以外は合成例1と同様の操作を行い、結晶を得た。
得られた結晶について、合成例1と同様にして、IRスペクトルを測定した。
図7にIRスペクトルを示す。
図7の結果から、N,N’-ビス(3-[{フェニルスルホニル}アミノ]フェニル)尿素が得られていることが確認された。
【0095】
(合成例5)N,N’-ビス(3-[{2,4,6-トリメチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素の合成
合成例1のp-トルエンスルホニルクロライド9.5g(50mM)を、メシチレンスルホニルクロライド10.9g(50mM)に代えたこと以外は合成例1と同様の操作を行い、結晶を得た。
得られた結晶について、合成例1と同様にして、IRスペクトルを測定した。
図8にIRスペクトルを示す。
図8の結果から、N,N’-ビス(3-[{2,4,6-トリメチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素が得られていることが確認された。
【0096】
(合成例6)N,N’-ビス(3-[{ベンジルスルホニル}アミノ]フェニル)尿素の合成
合成例1のp-トルエンスルホニルクロライド9.5g(50mM)を、ベンジルスルホニルクロライド9.5g(50mM)に代えたこと以外は合成例1と同様の操作を行い、結晶を得た。
得られた結晶について、合成例1と同様にして、IRスペクトルを測定した。
図9にIRスペクトルを示す。
図9の結果から、N,N’-ビス(3-[{ベンジルスルホニル}アミノ]フェニル)尿素が得られていることが確認された。
【0097】
(合成例7)N,N’-ビス(3-[{2-ナフチルスルホニル}アミノ]フェニル)尿素の合成
合成例1のp-トルエンスルホニルクロライド9.5g(50mM)を、2-ナフタレンスルホニルクロライド14.9g(50mM)に代えたこと以外は合成例1と同様の操作を行い、結晶を得た。
得られた結晶について、合成例1と同様にして、IRスペクトルを測定した。
図10にIRスペクトルを示す。
図10の結果から、N,N’-ビス(3-[{2-ナフチルスルホニル}アミノ]フェニル)尿素が得られていることが確認された。
【0098】
合成例1~合成例7の合成物の水に対する安定性を確認するために、アセトニトリルと水との混合液(アセトニトリル/水=80/20(質量比))に、合成物を0.5%溶解して50℃で5時間攪拌して、合成物の分解量を嶋津製作所社製の高速液体クロマトグラフィー(検出波長:205nm)で測定した。
分解量が1%以上あれば「×」、1%以下であれば「〇」とした。結果を表1に示す。
【0099】
下記操作により、感熱記録材料を作製した。
【0100】
[下塗り層用塗料の調製]
プラスチック中空粒子(商品名:ローペイクSN-1055、中空率:55%、固形分26.5%、ダウ・ケミカル社製)100部、焼成カオリンの50%分散液100部、スチレン-ブタジエン系ラテックス(商品名:L-1571、固形分48%、旭化成ケミカルズ社製)25部、酸化澱粉の10%水溶液50部および水20部を混合して、下塗り層用塗料を調製した。
【0101】
(実施例1)
[感熱記録層用塗料の調製]
A液(染料分散液の調製)
3-(N,N-ジブチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン 10部
10%ポリビニルアルコール水溶液 10部
水 16.7部
【0102】
B液(顕色剤分散液の調製)
N,N’-ビス(3-[{4-メチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素 30部
10%ポリビニルアルコール水溶液 30部
水 50.0部
【0103】
C液(増感剤分散液の調製)
1,2-ビス(m-トリルオキシ)エタン 7.5部
10%ポリビニルアルコール水溶液 7.5部
水 12.5部
【0104】
上記A液、B液およびC液の分散液をサンドグラインダーで平均粒子径が1μm以下になるまで粉砕し、下記割合で分散液を混合して塗布液とした。
A液(染料剤分散液) 36.7部
B液(顕色剤分散液) 110部
C液(増感剤分散液) 27.5部
【0105】
上記の塗布液に、水酸化アルミニウム(商品名:ハイジライトH-42、昭和電工社製)27部、無定形シリカ(商品名:ミズカシルP-527、水澤化学工業社製)10部、酸化澱粉の10%溶解物100部、ステアリン酸亜鉛分散液:(商品名:ハイドリンZ-8-36、中京油脂社製)19.4部および水50部からなる組成分を混合して、感熱記録層用塗料を調製した。
【0106】
[感熱記録材料の作製]
支持体として坪量が53gの上質紙(酸性紙)上に、上記の下塗り層用塗料を、乾燥後の面積当たりの質量が8g/m2となるように塗布、乾燥し、下塗り層を形成した。
その後、下塗り層上に、上記の感熱記録層用塗料を、乾燥後の面積当たりの質量が4.2g/m2となるように塗布、乾燥し、感熱記録層を形成し、上質紙および感熱記録層を備えるシートを得た。
得られたシートを、スーパーカレンダーで平滑度が900s~1200sになるように処理して、感熱記録材料を作製した。
なお、平滑度は、JIS P8155:2010「紙及び板紙-平滑度試験方法-王研法」に準ずる方法により測定した。
【0107】
[評価]
(感熱記録試験)
得られた感熱記録材料について、感熱記録紙印字試験機(商品名:TH-PMD、大倉電気社製)を用い、印加エネルギー0.38mJ/dotで印加した。未印字部および記録部の印字濃度をマクベス反射濃度計(商品名:RD-914、グルタグマクベス社製)で測定した。これをサンプル(ブランク)とした。
【0108】
(地肌耐熱性試験)
得られた感熱記録材料を60℃~140℃まで10℃単位で各環境下に1時間放置して
未印字部の濃度を上記のマクベス反射濃度計で測定した。各測定濃度をプロットして、未印字部の濃度が0.2に達する温度を地肌耐熱温度とした。結果を表1に示す。
【0109】
(耐水性試験)
感熱記録性試験で記録した感熱記録材料を水中に24時間浸漬した後、サンプルを風乾させ、画像(印字部)濃度と未印字部(地肌部)濃度を上記のマクベス反射濃度計で測定した。結果を表1に示す。
【0110】
(耐油性試験)
感熱記録性試験で記録した感熱記録材料をサラダオイル中に10分間浸漬した後、サンプルの油を拭き取り、画像(印字部)濃度と未印字部(地肌部)濃度を上記のマクベス反射濃度計で測定した。結果を表1に示す。
【0111】
(実施例2)
実施例1のB液のN,N’-ビス(3-[{4-メチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素を、N,N’-ビス(4-[{4-メチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素に代えたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、実施例2の感熱記録材料を作製した。
実施例2による感熱記録材料の各種試験結果を表1に示す。
【0112】
(実施例3)
実施例1のB液のN,N’-ビス(3-[{4-メチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素を、N,N’-ビス(3-[{フェニルスルホニル}アミノ]フェニル)尿素に代えたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、実施例3の感熱記録材料を作製した。
実施例3による感熱記録材料の各種試験結果を表1に示す。
【0113】
(実施例4)
実施例1のB液のN,N’-ビス(3-[{4-メチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素を、N,N’-ビス(3-[{2,4,6-トリメチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素に代えたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、実施例4の感熱記録材料を作製した。
実施例4による感熱記録材料の各種試験結果を表1に示す。
【0114】
(実施例5)
実施例1のB液のN,N’-ビス(3-[{4-メチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素を、N,N’-ビス(3-[{ベンジルスルホニル}アミノ]フェニル)尿素に代えたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、実施例5の感熱記録材料を作製した。
実施例5による感熱記録材料の各種試験結果を表1に示す。
【0115】
(実施例6)
実施例1のB液のN,N’-ビス(3-[{4-メチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素を、N,N’-ビス(3-[{2-ナフチルスルホニル}アミノ]フェニル)尿素に代えたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、実施例6の感熱記録材料を作製した。
実施例6による感熱記録材料の各種試験結果を表1に示す。
【0116】
(比較例1)
実施例1のB液のN,N’-ビス(3-[{4-メチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素を、4,4’-イソプロピリデンジフェノール(ビスフェノールA)に代えたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、比較例1の感熱記録材料を作製した。
比較例1による感熱記録材料の各種試験結果を表1に示す。
【0117】
(比較例2)
実施例1のB液のN,N’-ビス(3-[{4-メチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素を、4,4’-ビスヒドロキシジフェニルスルホン(ビスフェノールS)に代えたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、比較例2の感熱記録材料を作製した。
比較例2による感熱記録材料の各種試験結果を表1に示す。
【0118】
(比較例3)
実施例1のB液のN,N’-ビス(3-[{4-メチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素を、4-アリルオキシ-4’-ヒドロキシジフェニルスルホンに代えたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、比較例3の感熱記録材料を作製した。
比較例3による感熱記録材料の各種試験結果を表1に示す。
【0119】
(比較例4)
実施例1のB液のN,N’-ビス(3-[{4-メチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素を、4-ヒドロキシ-4’-イソプロピルオキシ-ジフェニルスルホンに代えたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、比較例4の感熱記録材料を作製した。
比較例4による感熱記録材料の各種試験結果を表1に示す。
【0120】
(比較例5)
実施例1のB液のN,N’-ビス(3-[{4-メチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素、N-3-〔(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル〕-N’-(p-トルエンスルホニル)-尿素に代えたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、比較例5の感熱記録材料を作製した。
比較例5による感熱記録材料の各種試験結果を表1に示す。
【0121】
(比較例6)
実施例1のB液のN,N’-ビス(3-[{4-メチルフェニル}スルホニルアミノ]フェニル)尿素を、N-[2-(3-フェニルウレイド)フェニル]-ベンゼンスルホンアミドに代えたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、比較例6の感熱記録材料を作製した。
比較例6による感熱記録材料の各種試験結果を表1に示す。
【0122】
【0123】
実施例および表1より新規フェニレンジアミンアミン誘導体から作成される感熱記録材料は、高い地肌耐熱温度を有し、耐水性および耐油性の保存性試験に於いても良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明の感熱記録材料は、感熱記録層が顕色剤としてフェニレンジアミン尿素誘導体を含むため、内分泌攪乱の懸念がなく、さらに水に対する分解性もなく、しかも地肌耐熱性に優れ、さらに耐水性および耐油性の保存性試験で良好な保存性が得られ、従来の感熱記録材料に代わるものとして産業上の利用可能性は極め有望である。