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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】軟膜下送達システムおよび使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/14 20060101AFI20231026BHJP
   A61B 90/50 20160101ALI20231026BHJP
【FI】
A61M5/14
A61B90/50
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021539125
(86)(22)【出願日】2020-01-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-02
(86)【国際出願番号】 US2020013059
(87)【国際公開番号】W WO2020146718
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2022-10-31
(31)【優先権主張番号】62/790,616
(32)【優先日】2019-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】マルサラ, マーティン
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/030184(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/151416(US,A1)
【文献】国際公開第2012/029535(WO,A1)
【文献】特表平10-503105(JP,A)
【文献】特開2012-000390(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/00
A61M 25/00
A61B 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟膜下送達システムであって、前記軟膜下送達システムは、
(a)プラットフォームであって、前記プラットフォームは、
(i)上部表面と底部表面と軸とを有するフレームであって、前記フレームは、外科手術部位を画定する開口を備える、フレームと、
(ii)前記フレームの前記上部表面に固定して取り付けられ、前記軸に対して直角に位置付けられるレールと、
(iii)前記フレームの前記上部表面に移動可能に取り付けられ、前記軸に対して直角の方向に移動するように構成されるリトラクタと、
(iv)前記フレームに移動可能に取り付けられ、前記外科手術部位にわたって前記プラットフォームを固着するように前記外科手術部位内の骨に係合するように構成されるアンカと
を備える、プラットフォームと、
(b)前記プラットフォームの前記レールに移動可能に取り付けられるマニピュレータであって、前記マニピュレータは、
(i)中心軸を有し、前記フレームの前記上部表面に対して直角の方向に延在する柱と、
(ii)前記柱の遠位部分に移動可能に取り付けられ、前記フレームの前記上部表面に対して平行に位置付けられる横材と、
(iii)前記横材に移動可能に取り付けられる結合器であって、前記結合器は、針アセンブリへの除去可能な取付のために構成されるねじ山付き部分を備える、結合器と
を備える、マニピュレータと、
(c)前記結合器に除去可能に取り付けられる針アセンブリであって、前記針アセンブリは、
(i)細長本体であって、前記細長本体は、軸と、それを通して配置され管腔とを有する、細長本体と、
(ii)前記細長本体の遠位端部分上に配置される締結具であって、前記締結具は、前記結合器の前記ねじ山付き部分に係合するように構成される、締結具と、
(iii)針であって、前記針は、
(a)前記細長本体に配置される細長シャフトであって、前記細長シャフトは管腔を画定し、前記細長シャフトは前記細長本体の軸から離れるように角度付けられる第1の屈曲部と、前記細長本体の軸に向かって角度付けられる第2の屈曲部と、前記フレームの前記上部表面に対して略平行な下側区分とを備える近位端部分を有する、細長シャフトと、
(b)先端部であって、前記先端部は、前記先端部が前記細長シャフトの軸と整列して位置付けられるように、前記細長シャフトの近位端において配置される、先端部と、
(c)前記細長本体の前記略平行な区分内に配置される開口部であって、前記開口部は、前記細長本体の管腔と流体連通する、開口部と
を備える、針と
を備える、針アセンブリと、
(d)前記針アセンブリの前記細長シャフトの遠位端に固定して取り付けられ、前記細長本体の管腔と流体連通して配置されるリザーバであって、前記リザーバは、前記針の前記開口部を通した基質の送達に先立って前記基質を含有するために構成される、リザーバと
を備える、軟膜下送達システム。
【請求項2】
前記フレームは、一対のリトラクタを備え、各リトラクタは、前記外科手術部位の対向する側面において前記フレームの停止表面に取り付けられる、請求項1に記載の軟膜下送達システム。
【請求項3】
前記フレームは、一対のアンカを備え、各アンカは、前記外科手術部位の対向する側面において前記フレームに取り付けられる、請求項1に記載の軟膜下送達システム。
【請求項4】
前記フレームは、前記上部表面に固定して取り付けられ、前記フレームの軸に対して直角に位置付けられる一対のバーをさらに備え、各バーは、前記管腔によって画定される前記外科手術部位の外側において位置し、各アンカは、搭載部を介して各バーに移動可能に搭載される、請求項3に記載の軟膜下送達システム。
【請求項5】
前記フレームは、一対のアンカを備え、各アンカは、前記外科手術部位の同一の側面において前記フレームに取り付けられる、請求項1に記載の軟膜下送達システム。
【請求項6】
前記フレームは、前記フレームに固定して取り付けられ、前記アンカへの移動可能な取付のためにさらに構成される一対のスリーブを備える、請求項5に記載の軟膜下送達システム。
【請求項7】
前記アンカは近位端において配置される一対の鋸歯状顎部を備え、前記一対の鋸歯状顎部は、相互にヒンジ式に取り付けられ、前記外科手術部位内の骨の上にクランプするように構成される、請求項1に記載の軟膜下送達システム。
【請求項8】
前記アンカは、近位端において配置されるフックを備え、前記フックは、前記外科手術部位内の骨に係合するように構成される、請求項1に記載の軟膜下送達システム。
【請求項9】
前記マニピュレータは、前記柱の近位端において配置される基部をさらに備え、前記基部は、前記フレームの前記レールへの摩擦取付のために構成される、請求項1に記載の軟膜下送達システム。
【請求項10】
前記マニピュレータは、前記柱に沿って配置される枢動関節部をさらに備え、前記枢動関節部は、前記柱の前記遠位部分がその前記中心軸から離れる方向に枢動することを可能にするように構成され
随意に、前記マニピュレータは、前記柱の遠位端において配置される第1のノブをさらに備え、前記第1のノブは、事前選択される位置において前記柱の前記枢動関節部を係止するように構成され、
さらに随意に、前記横材は、第2のノブをさらに備え、前記第2のノブは、事前選択される位置において前記結合器を係止するように構成される、請求項1に記載の軟膜下送達システム。
【請求項11】
前記結合器は、前記横材内に摺動自在に配置される第1の端部と第2の端部において配置される前記ねじ山付き部分とを有するアームと、前記ねじ山付き部分に配置され、前記結合器の前記第2の端部を横断するスロットとをさらに備え、前記スロットは、前記針アセンブリの前記細長本体を受入するように構成され
随意に、前記アームは、前記柱の前記中心軸に対して前記スロットおよびねじ山付き部分の角度を調節するように構成される回転可能関節部をさらに備え、
さらに随意に、前記アームは、事前選択される位置において前記回転可能関節部を係止するように構成されるノブをさらに備える、請求項1に記載の軟膜下送達システム。
【請求項12】
前記針の前記開口部は、前記外科手術部位に向かって面する位置に位置する、請求項1に記載の軟膜下送達システム。
【請求項13】
前記針アセンブリは、前記細長本体の遠位端において配置され、前記針アセンブリと前記リザーバとの間での除去可能な取付を提供するように構成される流体継手をさらに備え
随意に、前記流体継手は、前記針の前記細長シャフトの遠位端を受入するように定寸および成形される管腔を有する本体を備え、前記細長シャフトの遠位端および前記リザーバの近位端は、空間によって分離される、請求項1に記載の軟膜下送達システム。
【請求項14】
前記リザーバは、管類から形成され
随意に、前記リザーバは、前記管類の遠位端において配置され、前記リザーバに前記基質を供給するように構成されるシリンジをさらに備える、または、
前記管類に取り付けられるポンプをさらに備え、前記ポンプは、前記リザーバから前記針の前記開口部を通して前記基質を圧送するように構成される、請求項1に記載の軟膜下送達システム。
【請求項15】
前記基質は、可溶性物質と、細胞と、ベクタと、薬物と、ウイルスと、プラスミドと、成長因子とから成る群から選択される、請求項1に記載の軟膜下送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2019年1月10日に出願された米国第62/790,616号の35 U.S.C.§119(e)下の優先権の利益を請求し、その内容全体が、参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、概して、外科手術デバイスに関し、より具体的には、対象の脊椎軟膜下腔の中への可溶性物質、遺伝子ベクタ、または細胞懸濁液の送達を可能にするシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
脊髄は、脊椎管内に静置し、椎骨から成る脊柱の骨構造によって囲繞されて保護される繊細な構造である。脊椎管内において、脊髄は、髄膜と呼ばれる繊維膜の3つの層によって囲繞される。最も外側の髄膜は、硬膜と呼ばれ、中間の膜は、くも膜と呼ばれ、脊髄の表面上に存在する最も内側の膜は、軟膜と呼ばれる。くも膜と脊髄との間の空間は、髄腔内(またはくも膜下)腔と呼ばれる。脳脊髄液(CSF)が、脊髄を囲繞し、脳から、脊椎管を辿って、髄腔内腔の中の脳まで流動して戻る。通常、脊髄は、成人のヒトでは、第1腰椎または第2腰椎のあたりで終了する。腕、脚、および胴体の移動および感覚に関わる末梢神経は全て、脊髄を起点とする。
【0004】
薬物の髄腔内注入が、脊椎麻酔、化学療法、疼痛管理用途のため、および脳脊髄液のサンプルを採取するために使用されている。脊髄を囲繞する髄腔内腔に物質を投与することが、多くの場合、血液脳関門を回避し、深部脊髄実質中での薬物のより高い濃度を達成するために、実施される。ヒト神経幹細胞の直接脊髄内実質内移植が、現在、筋萎縮性側索硬化症および脊髄外傷誘発性麻痺の処置のための療法アプローチとして試験されつつある。
【0005】
硬膜外または髄腔内薬物送達、脊髄髄腔内腔の中への/からのCSFサンプリングのためにまたは(細胞送達のために使用されるような)直接脊髄実質注入のために使用されている、現在既存の臨床的に承認された注入デバイスまたは脊椎針は、可溶性物質または細胞懸濁液の安全なマルチセグメント軟膜下送達を可能にするものではない。したがって、そのような可溶性物質または細胞懸濁液の安全なマルチセグメント軟膜下送達を可能にするデバイスの必要性が、存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、対象の脊髄軟膜下腔等の外科手術部位の中への可溶性物質(例えば、薬物)、遺伝子またはRNAベクタ(例えば、AAV9、HIV1、マイクロRNA(miRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、またはアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO))、あるいは細胞懸濁液の送達を可能にする軟膜下送達システムの開発に基づく。故に、本発明は、軟膜下送達システムを提供する。本システムは、(a)プラットフォームであって、プラットフォームは、(i)上部表面と、底部表面と、軸とを有するフレームであって、フレームは、外科手術部位を画定する開口を備える、フレームと、(ii)フレームの上部表面に固定して取り付けられ、軸に対して直角に位置付けられるレールと、(iii)フレームの上部表面に移動可能に取り付けられ、軸に対して直角の方向に移動するように構成されるリトラクタと、(iv)フレームに移動可能に取り付けられ、外科手術部位にわたってプラットフォームを固着するように外科手術部位内の骨に係合するように構成されるアンカとを有する、プラットフォームと、(b)プラットフォームのレールに移動可能に取り付けられるマニピュレータであって、マニピュレータは、(i)中心軸を有し、フレームの上部表面に対して直角の方向に延在する柱と、(ii)柱の遠位部分に移動可能に取り付けられ、フレームの上部表面に対して平行に位置付けられる横材と、(iii)横材に移動可能に取り付けられる結合器であって、結合器は、針アセンブリへの除去可能な取付のために構成されるねじ山付き部分を備える、結合器とを有する、マニピュレータと、(c)結合器に除去可能に取り付けられる針アセンブリであって、針アセンブリは、(i)軸と、それを通して配置される管腔とを有する細長本体と、(ii)細長本体の遠位端部分上に配置される締結具であって、締結具は、結合器のねじ山付き部分に係合するように構成される、締結具と、(iii)針とを含む、針アセンブリとを含む。針は、(a)細長本体の第1の管腔内に配置される細長シャフトであって、細長シャフトは、第2の管腔を画定し、細長シャフトは、細長本体の軸に対して略平行である上側区分と、細長本体の軸から離れるように角度付けられる中側区分と、下側区分とを備える近位端部分を有し、下側区分は、下側区分が細長本体の軸に対して略直角であるように、細長本体の軸に向かって角度付けられる、細長シャフトと、(b)先端部であって、先端部は、先端部が細長本体の軸と整列して位置付けられるように、細長シャフトの近位端において配置される、先端部と、(c)細長本体の略平行な区分内に配置される開口部であって、開口部は、細長本体の第2の管腔と流体連通する、開口部と、(d)針アセンブリの細長シャフトの遠位端に固定して取り付けられ、細長本体の管腔と流体連通して配置されるリザーバであって、リザーバは、針の開口部を通した基質の送達に先立って基質を含有するために構成される、リザーバとを含む。
【0007】
種々の実施形態では、フレームは、一対のリトラクタを含み、各リトラクタは、外科手術部位の対向する側面においてフレームの上部表面に取り付けられる。種々の実施形態では、フレームは、一対のアンカを含み、各アンカは、外科手術部位の対向する側面においてフレームに取り付けられる。種々の実施形態では、フレームは、上部表面に固定して取り付けられ、フレームの軸に対して直角に位置付けられる一対のバーをさらに含み、各バーは、管腔によって画定される外科手術部位の外側に位置し、各アンカは、搭載部を介して各バーに移動可能に搭載される。種々の実施形態では、フレームは、一対のアンカを含み、各アンカは、外科手術部位の同一の側面においてフレームに取り付けられる。種々の実施形態では、フレームは、フレームに固定して取り付けられ、アンカへの移動可能な取付のために構成される一対のスリーブをさらに含む。種々の実施形態では、アンカは、その近位端において配置される一対の鋸歯状顎部を含み、一対の鋸歯状顎部は、相互にヒンジ式に取り付けられ、外科手術部位内の骨の上にクランプするように構成される。種々の実施形態では、アンカは、近位端において配置される、フックを含み、フックは、外科手術部位内の骨に係合するように構成される。
【0008】
マニピュレータは、その柱の近位端において配置される基部をさらに含み、基部は、フレームのレールへの摩擦取付のために構成されてもよい。種々の実施形態では、マニピュレータは、柱に沿って配置される枢動関節部をさらに含み、枢動関節部は、柱の遠位部分がその中心軸から離れる方向に枢動することを可能にするように構成される。種々の実施形態では、マニピュレータは、柱の遠位端において配置される第1のノブをさらに含み、第1のノブは、事前選択される位置において柱の枢動関節部を係止するように構成される。種々の実施形態では、横材は、第2のノブをさらに含み、第2のノブは、事前選択される位置において結合器を係止するように構成される。
【0009】
結合器は、横材内に摺動自在に配置される第1の端部と第2の端部において配置されるねじ山付き部分とを有するアームと、ねじ山付き部分の中に配置され、結合器の第2の端部を横断するスロットとをさらに含み得、スロットは、針アセンブリの細長本体を受入するように構成される。種々の実施形態では、アームは、柱の中心軸に対してスロットおよびねじ山付き部分の角度を調節するように構成される回転可能関節部をさらに含む。種々の実施形態では、アームは、事前選択される位置において回転可能関節部を係止するように構成されるノブをさらに含む。
【0010】
それ故、針の開口部は、外科手術部位に向かって面する位置に位置してもよい。種々の実施形態では、針アセンブリは、細長本体の遠位端において配置され、針アセンブリとリザーバとの間での除去可能な取付を提供するように構成される流体継手をさらに含む。種々の実施形態では、流体継手は、針の細長シャフトの遠位端を受入するように定寸および成形される管腔を有する本体を含み、細長シャフトの遠位端およびリザーバの近位端は、空間によって分離される。
【0011】
種々の実施形態では、リザーバは、管類から形成される。種々の実施形態では、リザーバは、管類の遠位端において配置され、リザーバに基質を供給するように構成されるシリンジをさらに含む。種々の実施形態では、軟膜下送達システムは、管類に取り付けられるポンプをさらに含み、ポンプは、リザーバから針の開口部を通して基質を圧送するように構成される。種々の実施形態では、基質は、可溶性物質と、細胞と、ベクタと、薬物と、ウイルスと、プラスミドと、成長因子とから成る群から選択される。
【0012】
別の側面では、本発明は、対象の軟膜下腔に基質を送達するための方法を提供する。本方法は、対象の脊髄を暴露することと、暴露された脊髄にわたって、軟膜下送達システムを位置付けて固着し、それによって、外科手術部位を生成することと、軟膜下腔に送達されるべき基質をリザーバの中に装填することと、針の先端部を、脊髄に向かって(軟膜下腔の中に)脊髄に対して略平行である方向に挿入し、それによって、軟膜下腔の軟膜開放部位を生成することと、ある用量の基質を脊髄に送達することとを含む。種々の実施形態では、本方法は、下側区分が対象の脊髄に対して略平行であるように、挿入するステップに先立って、マニピュレータを使用して針アセンブリを調節することを含む。
【0013】
種々の実施形態では、装填するステップは、針アセンブリの細長本体の遠位端において配置される流体継手を接続解除することと、リザーバの中に基質を流し込むことと、リザーバを針アセンブリに再接続することとを含む。種々の実施形態では、本方法は、リザーバから針の開口部を通して基質を流し込むことによって挿入するステップに先立って、軟膜下送達システムをプライミングすることをさらに含む。種々の実施形態では、送達するステップは、リザーバに取り付けられるポンプをアクティブ化することを含み、ポンプは、針の開口部を通したリザーバの基質の流量を制御するように構成される。種々の実施形態では、送達するステップは、リザーバの遠位端に取り付けられるシリンジを作動させることを含み、シリンジは、針の開口部を通したリザーバの基質の流量を制御するように構成される。種々の実施形態では、本方法は、位置付けて固着するステップに先立って、対象に対して椎弓切除術を実施することを含む。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
軟膜下送達システムであって、前記軟膜下送達システムは、
(a)プラットフォームであって、前記プラットフォームは、
(i)上部表面と底部表面と軸とを有するフレームであって、前記フレームは、外科手術部位を画定する開口を備える、フレームと、
(ii)前記フレームの前記上部表面に固定して取り付けられ、前記軸に対して直角に位置付けられるレールと、
(iii)前記フレームの前記上部表面に移動可能に取り付けられ、前記軸に対して直角の方向に移動するように構成されるリトラクタと、
(iv)前記フレームに移動可能に取り付けられ、前記外科手術部位にわたって前記プラットフォームを固着するように前記外科手術部位内の骨に係合するように構成されるアンカと
を備える、プラットフォームと、
(b)前記プラットフォームの前記レールに移動可能に取り付けられるマニピュレータであって、前記マニピュレータは、
(i)中心軸を有し、前記フレームの前記上部表面に対して直角の方向に延在する柱と、
(ii)前記柱の遠位部分に移動可能に取り付けられ、前記フレームの前記上部表面に対して平行に位置付けられる横材と、
(iii)前記横材に移動可能に取り付けられる結合器であって、前記結合器は、針アセンブリへの除去可能な取付のために構成されるねじ山付き部分を備える、結合器と
を備える、マニピュレータと、
(c)前記結合器に除去可能に取り付けられる針アセンブリであって、前記針アセンブリは、
(i)細長本体であって、前記細長本体は、軸と、それを通して配置される第1の管腔とを有する、細長本体と、
(ii)前記細長本体の遠位端部分上に配置される締結具であって、前記締結具は、前記結合器の前記ねじ山付き部分に係合するように構成される、締結具と、
(iii)針であって、前記針は、
(a)前記細長本体の第1の管腔内に配置される細長シャフトであって、前記細長シャフトは、第2の管腔を画定し、前記細長シャフトは、前記細長本体の軸に対して略平行である上側区分と、前記細長本体の軸から離れるように角度付けられる中側区分と、下側区分とを備える近位端部分を有し、前記下側区分は、前記下側区分が前記細長本体の軸に対して略直角であるように、前記細長本体の軸に向かって角度付けられる、細長シャフトと、
(b)先端部であって、前記先端部は、前記先端部が前記細長本体の軸と整列して位置付けられるように、前記細長シャフトの近位端において配置される、先端部と、
(c)前記下側区分内に配置される開口部であって、前記開口部は、前記第2の管腔と流体連通する、開口部と
を備える、針と
を備える、針アセンブリと、
(d)前記針アセンブリの前記細長本体の遠位端に固定して取り付けられ、前記第2の管腔と流体連通して配置されるリザーバであって、前記リザーバは、前記針の前記開口部を通した基質の送達に先立って前記基質を含有するために構成される、リザーバと
を備える、軟膜下送達システム。
(項目2)
前記フレームは、一対のリトラクタを備え、各リトラクタは、前記外科手術部位の対向する側面において前記フレームの前記上部表面に取り付けられる、項目1に記載の軟膜下送達システム。
(項目3)
前記フレームは、一対のアンカを備え、各アンカは、前記外科手術部位の対向する側面において前記フレームに取り付けられる、項目1に記載の軟膜下送達システム。
(項目4)
前記フレームは、前記上部表面に固定して取り付けられ、前記フレームの軸に対して直角に位置付けられる一対のバーをさらに備え、各バーは、前記開口によって画定される前記外科手術部位の外側において位置し、各アンカは、搭載部を介して各バーに移動可能に搭載される、項目3に記載の軟膜下送達システム。
(項目5)
前記フレームは、一対のアンカを備え、各アンカは、前記外科手術部位の同一の側面において前記フレームに取り付けられる、項目1に記載の軟膜下送達システム。
(項目6)
前記フレームは、前記フレームに固定して取り付けられ、前記アンカへの移動可能な取付のためにさらに構成される一対のスリーブを備える、項目5に記載の軟膜下送達システム。
(項目7)
前記アンカは、前記アンカの近位端において配置される一対の鋸歯状顎部を備え、前記一対の鋸歯状顎部は、相互にヒンジ式に取り付けられ、前記外科手術部位内の骨の上にクランプするように構成される、項目1に記載の軟膜下送達システム。
(項目8)
前記アンカは、近位端において配置されるフックを備え、前記フックは、前記外科手術部位内の骨に係合するように構成される、項目1に記載の軟膜下送達システム。
(項目9)
前記マニピュレータは、前記柱の近位端において配置される基部をさらに備え、前記基部は、前記フレームの前記レールへの摩擦取付のために構成される、項目1に記載の軟膜下送達システム。
(項目10)
前記マニピュレータは、前記柱に沿って配置される枢動関節部をさらに備え、前記枢動関節部は、前記柱の前記遠位部分がその前記中心軸から離れる方向に枢動することを可能にするように構成される、項目1に記載の軟膜下送達システム。
(項目11)
前記マニピュレータは、前記柱の遠位端において配置される第1のノブをさらに備え、前記第1のノブは、事前選択される位置において前記柱の前記枢動関節部を係止するように構成される、項目10に記載の軟膜下送達システム。
(項目12)
前記横材は、第2のノブをさらに備え、前記第2のノブは、事前選択される位置において前記結合器を係止するように構成される、項目11に記載の軟膜下送達システム。
(項目13)
前記結合器は、前記横材内に摺動自在に配置される第1の端部と第2の端部において配置される前記ねじ山付き部分とを有するアームと、前記ねじ山付き部分に配置され、前記結合器の前記第2の端部を横断するスロットとをさらに備え、前記スロットは、前記針アセンブリの前記細長本体を受入するように構成される、項目1に記載の軟膜下送達システム。
(項目14)
前記アームは、前記柱の前記中心軸に対して前記スロットおよびねじ山付き部分の角度を調節するように構成される回転可能関節部をさらに備える、項目13に記載の軟膜下送達システム。
(項目15)
前記アームは、事前選択される位置において前記回転可能関節部を係止するように構成されるノブをさらに備える、項目14に記載の軟膜下送達システム。
(項目16)
前記針の前記開口部は、前記外科手術部位に向かって面する位置に位置する、項目1に記載の軟膜下送達システム。
(項目17)
前記針アセンブリは、前記細長本体の遠位端において配置され、前記針アセンブリと前記リザーバとの間での除去可能な取付を提供するように構成される流体継手をさらに備える、項目1に記載の軟膜下送達システム。
(項目18)
前記流体継手は、前記針の前記細長シャフトの遠位端を受入するように定寸および成形される管腔を有する本体を備え、前記細長シャフトの遠位端および前記リザーバの近位端は、空間によって分離される、項目17に記載の軟膜下送達システム。
(項目19)
前記リザーバは、管類から形成される、項目1に記載の軟膜下送達システム。
(項目20)
前記リザーバは、前記管類の遠位端において配置され、前記リザーバに前記基質を供給するように構成されるシリンジをさらに備える、項目19に記載の軟膜下送達システム。
(項目21)
前記管類に取り付けられるポンプをさらに備え、前記ポンプは、前記リザーバから前記針の前記開口部を通して前記基質を圧送するように構成される、項目19に記載の軟膜下送達システム。
(項目22)
前記基質は、可溶性物質と、細胞と、ベクタと、薬物と、ウイルスと、プラスミドと、成長因子とから成る群から選択される、項目1に記載の軟膜下送達システム。
(項目23)
対象の軟膜下腔に基質を送達する方法であって、前記方法は、
(a)前記対象の脊髄を暴露することと、
(b)前記暴露された脊髄にわたって、項目1に記載の軟膜下送達システムを位置付けて固着し、それによって、外科手術部位を生成することと、
(c)前記軟膜下腔に送達されるべき基質を前記リザーバの中に装填することと、
(d)前記針の前記先端部を、前記脊髄の軟膜下腔の中に、前記脊髄に対して略平行である方向に挿入し、それによって、前記軟膜下腔の軟膜開放部位を生成することと、
(e)ある用量の前記基質を前記脊髄に送達することと
を含む、方法。
(項目24)
前記下側区分が前記対象の前記脊髄に対して略平行であるように、前記挿入するステップに先立って、前記マニピュレータを使用して前記針アセンブリを調節することをさらに含む、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記装填するステップは、
(a)前記針アセンブリの前記細長本体の遠位端において配置される流体継手を接続解除することと、
(b)前記リザーバの中に前記基質を流し込むことと、
(c)前記リザーバを前記針アセンブリに再接続することと
を含む、項目23に記載の方法。
(項目26)
前記リザーバから前記針の前記開口部を通して基質を流し込むことによって挿入するステップに先立って、前記軟膜下送達システムをプライミングすることをさらに含む、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記送達するステップは、前記リザーバに取り付けられるポンプをアクティブ化することを含み、前記ポンプは、前記針の前記開口部を通した前記リザーバの前記基質の流量を制御するように構成される、項目23に記載の方法。
(項目28)
前記送達するステップは、前記リザーバの遠位端に取り付けられるシリンジを作動させることを含み、前記シリンジは、前記針の前記開口部を通した前記リザーバの前記基質の流量を制御するように構成される、項目23に記載の方法。
(項目29)
前記位置付けて固着するステップに先立って、前記対象に対して椎弓切除術を実施することをさらに含む、項目23に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、軟膜下送達システムの例示的実施形態の斜視図を示す絵図である。
【0015】
図2図2は、アンカおよび針の図とともに、軟膜下送達システムの例示的実施形態の斜視図を示す絵図である。
【0016】
図3図3は、軟膜下送達システムの例示的実施形態の斜視図を示す絵図である。
【0017】
図4図4は、軟膜下送達システムのプラットフォームの例示的実施形態の斜視図を示す絵図である。
【0018】
図5図5は、アンカ、リトラクタ、および外科手術部位を示す、軟膜下送達システムのプラットフォームの例示的実施形態の斜視図を示す絵図である。
【0019】
図6図6は、軟膜下送達システムのプラットフォームの例示的実施形態の上面図を示す絵図である。
【0020】
図7図7は、軟膜下送達システムの例示的マニピュレータおよびリザーバの斜視図を示す絵図である。
【0021】
図8図8は、軟膜下送達システムの例示的マニピュレータの側面図を示す絵図である。
【0022】
図9図9は、軟膜下送達システムのプラットフォームのレールに取り付けられる例示的マニピュレータの部分的斜視図を示す絵図である。
【0023】
図10図10は、軟膜下送達システムのマニピュレータに取り付けられる例示的針アセンブリの斜視図を示す絵図である。
【0024】
図11図11は、軟膜下送達システムのマニピュレータの例示的結合器の斜視図を示す絵図である。
【0025】
図12図12は、軟膜下送達システムのマニピュレータの例示的結合器の別の斜視図を示す絵図である。
【0026】
図13図13は、軟膜下送達システムの結合器に固定して取り付けられる例示的針アセンブリの部分的斜視図を示す絵図である。
【0027】
図14図14Aおよび図14Bは、例示的針アセンブリの斜視図(図14A)、および針アセンブリの例示的実施形態の流体継手の断面図を示す絵図である。
【0028】
図15図15は、軟膜下送達システムの例示的針アセンブリの斜視図を示す絵図である。
【0029】
図16図16は、軟膜下送達システムの例示的針の部分断面図を示す絵図である。
【0030】
図17図17は、軟膜下送達システムのリザーバに接続される例示的微量注入器の正面平面視図を示す絵図である。
【0031】
図18図18は、軟膜下送達システムのリトラクタによって開放される例示的外科手術部位を示す絵図である。
【0032】
図19図19は、対象の外科手術部位内の骨への軟膜下送達システムのプラットフォームの例示的実施形態の取付を示す絵図である。
【0033】
図20図20は、本開示を伴う1つ以上の実施形態による、外科手術部位の中への針アセンブリの位置付けを示す絵図である。
【0034】
図21図21は、軟膜下送達システムを使用した軟膜下腔の中への針の挿入、およびそれへの基質の送達を示す一連の絵図である。
【0035】
本発明の実施形態およびそれらの利点が、後に続く詳細な説明を参照することによって、最も深く理解される。同様の参照番号が、図のうちの1つ以上のものに図示される同様の要素を識別するために使用されることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は、対象の脊髄軟膜下腔の中への可溶性物質(例えば、薬物)、遺伝子またはRNAベクタ(例えば、AAV9、HIV1、マイクロRNA(miRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、あるいは細胞懸濁液の送達を可能にする軟膜下送達システムの開発に基づく。より具体的には、軟膜下送達システムは、小型動物種、大型動物種、およびヒト(例えば、患者)の標的化された脊髄軟膜下場所に到達することの正確度および精度のために設計される複数の屈曲部を有する針を組み込む。
【0037】
本システム、方法、およびデバイスが、説明される前に、説明される特定の構成、方法、および実験条件が変動し得るため、本発明が、そのような構成、方法、および条件に限定されないことを理解されたい。また、本明細書に使用される専門用語が、特定の実施形態のみを説明する目的のためのものであり、本発明の範囲が添付の請求項においてのみ限定されるため、限定的であることを意図していないことも理解されたい。
【0038】
本明細書および添付の請求項において使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に他の態様で指示しない限り、複数の指示物を含む。したがって、例えば、「本方法」への言及は、本開示を熟読すること等に応じて当業者に明白となる本明細書に説明されるタイプの1つ以上の方法および/またはステップを含む。
【0039】
「including(~を含む)」、「containing(~を含有する)」、または「characterized by(~によって特徴付けられる)」と同義に使用される用語「comprising(~を備える)」は、包括的あるいは非制約的文言であり、付加的な列挙されていない要素または方法ステップを除外しない。語句「consisting of(~から成る)」は、請求項において規定されていないいかなる任意の要素、ステップ、または成分も除外する。語句「consisting essentially of(~から本質的に成る)」は、請求項の範囲を、規定される材料またはステップ、および本願発明の基本的および新規の特性に実質的に影響を及ぼさないにものに限定する。本開示は、これらの語句のそれぞれの範囲に対応する本発明の組成物および方法の実施形態を熟慮する。したがって、列挙される要素またはステップを含む組成物または方法は、組成物または方法がそれらの要素またはステップから本質的になるあるいはそれらの要素またはステップから成る特定の実施形態を熟慮する。
【0040】
本明細書で使用される場合、用語「背腹」または「背腹側」は、対象の背側表面および腹側表面を継合する軸に沿って延在すること、または、対象の背側表面および腹側表面を継合する軸を示すことを指す形容詞である。本用語に含まれるものは、動物の背中から腹部まで延在することである。
【0041】
本明細書で使用される場合、用語「椎弓切除術」は、脊椎管の屋根部である椎弓板と呼ばれる椎骨の一部を除去する外科手術手技を指す。同様に、用語「椎弓形成術」は、脊髄上の圧力を軽減させることによって脊椎狭窄を処置するために典型的に使用される外科手術手技を指す。そのような技法は、典型的には、椎弓の再建あるいは椎弓板の部分的なまたは完全な除去によって、対象の脊椎管を拡張し、脊髄または神経上の圧力を軽減するために使用される。理論によって拘束されることなく、2つの手技の間の1つ差異は、対象から除去された骨および/または筋肉組織の量である。
【0042】
本明細書で使用される場合、用語「定位固定法」、「定位固定の」、および「定位固定」は、通常は直交座標系に基づく基準の外部3次元フレームを使用して、脳または脊髄内の位置決め点のための神経外科学および神経学的調査の方法を指すように同義的に使用される。定位固定外科手術の方法は、当技術分野において公知である。
【0043】
本明細書で使用されるような用語「対象」は、本方法が実施される任意の個人または患者を指す。概して、対象は、ヒトであるが、当業者によって理解されるように、対象は、動物であってもよい。したがって、哺乳類(例えば、(マウス、ラット、ハムスター、およびモルモットを含む)齧歯類、ネコ、イヌ、ウサギ、(ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ブタ等を含む)家畜、および(サル、チンパンジー、オラウータン、およびゴリラを含む)霊長目動物)を含む他の動物も、対象の定義内に含まれる。
【0044】
用語「基質」は、限定ではないが、細胞、薬物、ウイルス、プラスミド、成長因子、および同等物を含む任意の注入可能物質を指す。基質は、液体、懸濁液、ゲル、カプセル化された固体、ナノ粒子懸濁液、緩放または徐放ポリマー組成物、および同等物を含む任意の適した物質の形態をとり得る。
【0045】
他の態様で定義されない限り、本明細書に使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書に説明されるものに類似するまたは本明細書に説明されるものと同等の任意の方法および材料が、本発明の実践または試験において使用されることができるが、好ましい方法および材料が、ここで説明される。
【0046】
ここで図1図3および図7を参照すると、本発明は、プラットフォーム200と、プラットフォーム200に搭載されるマニピュレータ300と、マニピュレータ300に取り付けられる針アセンブリ450と、(図7に示される)リザーバ600とを含む軟膜下送達システム100を提供する。
【0047】
図4図7に示されるように、プラットフォーム200は、上部表面232と、底部表面234と、それを通した軸244に沿って配置される開口208とを有するフレーム202を含む。使用時、開口208は、軟膜下注入を必要とする対象の外科手術部位90(例えば、椎弓切除術の切開部)を画定する。フレーム202の上部表面232に固定して取り付けられるものは、フレーム202の軸244に対して直角に位置付けられるレール210である。1つ以上のリトラクタ214が、フレーム202の上部表面232に移動可能に取り付けられ、各リトラクタ214は、軸244に対して直角の方向に移動するように構成される。種々の実施形態では、各リトラクタ214は、フレーム202の上部表面232に固定して取り付けられる搭載ブラケット240内に摺動自在に配置されてもよい。したがって、1つ以上のリトラクタ214は、外科手術部位の側方縁に沿って挿入され、複数の層の組織を軸244から離れるように引き込み、外科手術部位90をさらに暴露するために使用されてもよい。
【0048】
種々の実施形態では、リトラクタ214は、外科手術部位90の対向する側面(すなわち、開口208の対向する側面)においてフレーム202の上部表面232に移動可能にかつ/または摺動自在に取り付けられてもよい。使用時、リトラクタ214は、外科手術部位90の切開部の中に挿入され、ユーザ(例えば、外科医)によって外向きに横断され(すなわち、軸244から離れるように内周206に向かって移動させられ)、組織および傍脊椎筋肉を外科手術部位90から離れるように引き込み、それによって、プラットフォーム200を外科手術部位90に固着するための可視性およびアクセスを改良してもよい(図7参照)。例示的実施形態では、リトラクタ214は、リトラクタ214のねじ山付きシャフト248上の蝶ナット250の回転によって軸244に対して前後に横断されてもよい。種々の実施形態では、リトラクタ214は、図5および図16にそれぞれ示されるように、外科手術部位90の周囲組織を把持するための鋸歯状端部または叉のある端部を有してもよい。
【0049】
フレーム202に移動可能に取り付けられるものは、1つ以上のアンカ218であり、各アンカ218は、プラットフォーム200を対象に固着するように、外科手術部位90内の骨39(例えば、椎骨、図18参照)に係合するように構成される(例えば、プラットフォーム200は、プラットフォーム200が外科手術部位90に対して固定位置において留まるように、対象のいかなるわずかな移動とも協調して移動する)。種々の実施形態では、アンカ218は、種々の場所においてフレーム202に移動可能にかつ/または摺動自在に取り付けられてもよい。例えば、アンカ218は、外科手術部位90の対向する側面(すなわち、開口208の対向する側面)において配置されてもよい。別の実施例では、アンカ218は、外科手術部位90の同一の側面(例えば、開口208の同一の側面)または隣接する側面において位置付けられてもよい。アンカ218は、1つ以上のスリーブ236またはバー222を単独でまたは組み合わせて使用して、フレーム202に取り付けられてもよい。種々の実施形態では、1つ以上のスリーブ236は、フレーム202の上部表面232に固定して取り付けられ、各スリーブは、アンカ218への移動可能な取付のために構成される。例えば、フレーム202は、一対のスリーブ236を含み得、一対のスリーブ236を通して、アンカ218は、外科手術部位90に対する(例えば、軸244に対して直角の方向における)アンカ218の横断移動とともに、アンカ218の回転可能な移動を可能にするように、挿入される。アンカ208は、例えば、プラットフォーム200を外科手術部位90にわたって固着するように、横断移動および外科手術部位90内の骨39へのしっかりした係合を促進するための蝶ナット254をさらに含んでもよい。スリーブ236は、(図4に示されるように)リトラクタ214の対向する側面において位置してもよい、または、外科手術部位の対向する側面(図示せず)上に位置してもよい。
【0050】
アンカ218の係合部分は、フック228またはクランプ230等の種々の形状に形成されてもよい。したがって、種々の実施形態では、アンカ218は、その近位端256において配置されるフック228を含み、フック228は、外科手術部位90内の骨39に係合するように構成される。より具体的には、フック228は、尖頭端部220を含み、尖頭端部220は、外科手術部位90内の事前に穿孔される孔95または骨39の突出部に係合し、プラットフォーム200を外科手術部位90にわたって定位置に固着し得る。尖頭端部220は、尖頭端部220が軸244に対して直角のおよびフレーム202の上部表面232に対して平行な方向に面するように(例えば、90度の角度に)角度付けられてもよい。しかしながら、別の例示的実施形態では、アンカ218は、アンカ218の近位端において配置される一対の鋸歯状顎部246を含むクランプ230を含む。鋸歯状顎部246は、相互にヒンジ式に取り付けられ、外科手術部位90内の骨39の上にクランプするように構成される。鋸歯状顎部246は、例えば、抵抗を提供する回転可能なノブまたはコイルばねを使用して定位置において係止されてもよい。種々の実施形態では、アンカ218は、モノリシックであってもよい(すなわち、各アンカ218は、(図4に示されるような)所望の形状に屈曲されるステンレス鋼またはチタンのロッドから形成されてもよい)。種々の実施形態では、アンカ218は、第2のロッドが調節可能にその中に螺入されて所望の位置において固着されることを可能にする管状スリーブを端部において伴うねじ山付きロッドをさらに含んでもよい(図5参照)。
【0051】
図2図3、および図6に示されるように、アンカ218は、1つ以上のバー222を介してフレーム202に固定して取り付けられ得、1つ以上のバー222は、フレーム202の上部表面232に固定して取り付けられ、フレーム202の軸244に対して直角に位置付けられる。そのように提供されるとき、各バー222は、開口208によって画定される外科手術部位90の外側に位置してもよい。例えば、一対のバー222が、レール210の位置に対して平行である位置において、フレーム202の上部表面232に固定して取り付けられてもよい。したがって、各アンカ218は、搭載部242を介して個別のバー222に移動可能に搭載されてもよい。例えば、アンカ218の搭載部242は、バー222にわたって摺動可能に配置され、ねじ山付きナットを使用してバー222に固定されてもよい。
【0052】
ここで図3図5に目を向けると、本発明の例示的実施形態による、プラットフォーム200の種々の図が、示される。本明細書において説明されるように、プラットフォーム200は、対象の外科手術部位にわたって固着されるように構成される点で、「自己係留式」と称され得る。例えば、プラットフォーム200は、プラットフォーム200を外科手術部位にわたって不動化(すなわち、係留)および固着するように、外科手術部位内の骨(例えば、椎骨の棘突起)に係合するための1つ以上のアンカ218を組み込んでもよい。したがって、プラットフォーム200は、完全または部分的な椎弓切除術に続いて、外科手術部位にわたる、対象の脊椎への軟膜下送達システム100のしっかりとした係留された取付を提供する。種々の実施形態では、プラットフォーム200は、各使用前に洗浄および滅菌されるように設計される再利用可能な医療用器具であってもよい。したがって、プラットフォーム200は、例えば、ステンレス鋼またはチタンから形成されてもよい。種々の実施形態では、フレーム202は、外周204と、開口208を画定する内周206とを含む。したがって、フレーム202は、外科手術手技を実施するために有用な種々の形状のうちのいずれかにおいて形成されてもよい。例えば、フレーム202の外周204および/または内周206は、長方形、丸みを帯びた長方形、正方形、円形、スタジアム形状、多角形、または任意の他の形状であってもよい。
【0053】
上記において議論されるように、レール210は、フレーム202の上部表面232に固定して取り付けられ、フレーム202の軸244に対して直角に位置付けられてもよい。例えば、レール210は、レール210の対向する端部において配置されるねじ山付き貫通孔であり得るねじ224を使用してフレーム202に取り付けられてもよい。したがって、フレーム202は、(図5に示されるような)複数の対の事前に穿孔される孔252を含み、レール210がフレーム202の上部表面232上の種々の位置において搭載されることを可能にしてもよい。したがって、フレーム202の外周204と内周206との間のレール210の搭載位置は、ユーザおよび/または実施されるべき外科手術手技による要求に応じて調節されてもよい。レール210は、三角柱として成形されているように示されるが、レール210が、本明細書にさらに議論されるように、マニピュレータ300のレール係合表面に係合および当接するような相補的表面をレール210が提供する限り、種々の形状のうちのいずれかとして形成され得ることを理解されたい。種々の実施形態では、レール210は、ステンレス鋼等の任意の適した材料から形成されてもよい。
【0054】
図6および図7に示されるように、マニピュレータ300は、プラットフォーム200のレール210に移動可能に取り付けられてもよい。種々の実施形態では、マニピュレータ300は、フレーム202の上部表面232に対して直角の方向に延在する中心軸320を有する柱314を含む。柱314の遠位部分332に移動可能に取り付けられるものは、フレーム202の上部表面232に対して平行に位置付けられて外科手術部位90にわたって延在する横材316である。横材316に移動可能に取り付けられるものは、結合器318であり、結合器318は、針アセンブリ450への除去可能な取付のために構成されるねじ山付き部分330を有する。
【0055】
図8図10に示されるように、マニピュレータ300は、柱314の近位端334において配置される基部304を含み、基部304は、フレーム202のレール210への摩擦取付のために構成されてもよい。したがって、基部304は、1つ以上の万力顎部(326aおよび326b)を含み得、各々、レール表面(212aおよび212b)を補完するように成形される対応するレール係合表面(308aおよび308b)を有する。例示的実施形態では、基部304はまた、基部ねじ328を含み、基部ねじ328は、基部304のレール係合表面(308aおよび308b)が、それぞれ、相補的なレール表面(212aおよび212b)に当接し、それによって、プラットフォーム200へのマニピュレータ300の摩擦取付を提供するまで、顎部326bを対向する顎部326aに向かって前進させるために構成される。
【0056】
図8図11に示されるように、マニピュレータ300は、柱314に沿って配置される枢動関節部312をさらに含んでもよい。枢動関節部312は、柱314の中心軸320がもはやフレーム202の軸244に対して平行ではなくなるように、柱314の近位端336の枢動調節を提供するように構成され得る(すなわち、柱314の近位端336は、その中心軸320から離れる方向に枢動されてもよい)。種々の実施形態では、柱314は、横材316の位置が、ユーザによる所望に応じて、外科手術部位90の切開部に対して変動され得るように、回転調節をさらに含んでもよい。種々の実施形態では、マニピュレータ300は、事前選択される位置において柱314の枢動関節部312を係止するように構成される、柱314の遠位端332において配置されるノブ322aを含む。同様に、横材316は、事前選択される位置において結合器318を係止するように構成されるノブ322bをさらに含んでもよい。本明細において回転可能なノブとして説明されるが、当業者によって理解されるように、他の制御機構(例えば、ラチェット機構、スライダ、ねじ等)が、ノブの代わりに使用されてもよい。
【0057】
図8および図10図12に示されるように、結合器318は、横材316に移動可能に取り付けられる第1の端部342と、ねじ山付き部分330を有する第2の端部344とを有するアーム340を含む。結合器318のねじ山付き部分330は、柱314の中心軸320に対して平行な方向に第2の端部344を通して横断する、その中に配置されるスロット346を含む。スロット346は、下記に説明されるように、針アセンブリ450の細長本体500を受入するように構成される。種々の実施形態では、結合器318の第2の端部344は、三日月形であり、回転可能関節部348をさらに含み、外科手術部位90に対する針アセンブリの位置調節を可能にしてもよい。したがって、結合器318は、事前選択される位置において結合器318を係止するように構成されるノブ322cをさらに含んでもよい。例えば、ノブ322cの第1の作動に応じて、結合器318は、結合器318の軸338周りに自由に回転されてもよい。第2の作動に応じて、結合器は、針400が外科手術部位90に対して所望の位置において固着され得るように、所望の位置において固定されてもよい。種々の実施形態では、アーム340は、図1および図6に示されるように、直線であってもよい。しかしながら、図8図11に示されるように、結合器318のアーム340は、本開示の種々の実施形態に従って、第1の端部342と第2の端部344との間に、直角屈曲部を含んでもよい。アーム340の屈曲部は、ユーザ(すなわち、外科医)のための外科手術部位90への明確な通視線を可能にし、第2の端部344の回転を可能にする。
【0058】
図13図16に示されるように、針アセンブリ450は、軸512と、それを通して配置される第1の管腔514とを有する細長本体500を含む。それ故、細長本体500は、結合器318のスロット346の中に挿入され、細長本体500の遠位端部分506において配置される締結具504を使用してマニピュレータ300に締結されてもよい。したがって、締結具504は、細長本体500が、結合器318に固定して取り付けられ、固着されるまで、ねじ山付き部分330にわたって回転され、前進されてもよい(図13参照)。
【0059】
図14に示されるように、細長本体500の第1の管腔514内に配置されるものは、針400の細長シャフト404であり、細長シャフト404は、第2の管腔402を画定する。細長シャフト404は、遠位端414と、近位端部分416とを含む。針400の細長シャフト404の近位端部分416において提供されるものは、細長本体500の軸512に対して略平行である上側区分452、細長本体500の軸512から離れるように角度付けられる中側区分454、および下側区分456であり、下側区分456は、下側区分が細長本体500の軸512に対して略直角であるように、細長本体500の軸512に向かって角度付けられる。図15図16に示されるように、細長シャフト404の近位端414において配置されるものは、先端部410が細長本体500の軸512と整列して位置付けられるような先端部410である。細長シャフト404の下側区分456内に配置されるものは、第2の管腔402と流体連通する開口部408である。種々の実施形態では、針アセンブリ450は、細長本体500の遠位端部分506上に配置される締結具504を含む。締結具504は、結合器318のねじ山付き部分330に係合し、針アセンブリ450の細長本体500をマニピュレータ300に固着するように構成されていてもよい。
【0060】
種々の実施形態では、下側区分456が、軟膜下腔の中への針の挿入を促進する一方で血管および後根線維(例えば、神経)等の敏感な構造を回避するために、患者の脊椎に対して略平行であるように、針400は、屈曲または湾曲されてもよい。種々の実施形態では、針400の開口部408は、脊髄の背側表面に近接し、例えば、開口部408は、側面ポートであってもよい。したがって、針400は、周囲の組織および神経を損傷させることなく、標的化された脊椎軟膜下場所に到達することの正確度および精度のために設計される。また、標的化された軟膜下腔において針400の先端部/先端410を位置付けることの正確度および精度は、選択される脊髄分節の片側脊髄後角ニューロンの中に療法ベクタを送達することにおいて重要である。例示的実施形態では、針400は、23~35ゲージステンレス鋼管から形成されてもよい。したがって、およそ1~4mmの先端が、約40°~50°において屈曲され、その下側区分456を形成し、微細なベベラシステムを使用して鋭くされる。
【0061】
リザーバ600が、針アセンブリ450の細長本体500の遠位端510に固定して取り付けられ、針400の細長シャフト404の第2の管腔402と流体連通して配置される。したがって、リザーバ600は、針400の開口部408を通した基質の送達に先立って、基質を含有するように構成されてもよい。1つ以上の実施形態では、針アセンブリ450は、図16および図17に示されるように、細長本体500の遠位端部分506において配置され、かつ、針アセンブリ450とリザーバ600との間での除去可能な取付を提供するように構成される流体継手516を含む。種々の実施形態では、針アセンブリ450は、その遠位端506において配置される流体継手516をさらに含んでもよい。流体継手516は、針400の細長シャフト404の遠位端414を受入するように定寸および成形される管腔520を有する本体524を含んでもよい(図13参照)。種々の実施形態では、細長シャフト404の遠位端414およびリザーバ600の近位端616は、流体継手516内の空間612によって分離されてもよい。
【0062】
種々の実施形態では、リザーバ600は、外科手術管類604等の管類から形成されてもよい。リザーバ600は、管類604の遠位端614において配置されるシリンジ608をさらに含み得、シリンジ608は、リザーバ600に基質12を供給するように構成される。種々の実施形態では、リザーバ600は、管類604に取り付けられるポンプ(例えば、微量注入器602)をさらに含み、ポンプは、基質をリザーバ600から針400の開口部408を通して圧送するように構成されてもよい(図17参照)。微量注入器602は、デジタル微量注入器(例えば、Medfusion 3500シリンジポンプ)であり得、持続的または離散量の基質を、例えば針400を通して脊椎軟膜下腔の中に装填および投与するために使用されてもよい。種々の実施形態では、リザーバ600は、管類604の遠位端614において配置されるバッグ(図示せず)であり、バッグは、対象の軟膜下腔に投与されるべき基質を含有してもよい。基質12は、可溶性物質と、細胞と、ベクタと、薬物と、ウイルスと、プラスミドと、成長因子とから成る群から選択されてもよい。
【0063】
故に、マニピュレータ300は、ユーザが例えば対象の脊椎軟膜下腔の中に針400を精密に設置することを可能にするように設計される。それ故、マニピュレータ300は、各使用前に洗浄および滅菌される再利用可能な医療用デバイスであってもよい。本体は、ある実施形態では、任意の堅性材料から作製され得るが、マニピュレータは、ステンレス鋼等の任意の非腐食性金属から作製されてもよい。
【0064】
図18図21に示されるように、軟膜下送達システム100の例示的使用は、以下の通りである。対象は、腹臥位において位置付けられ、外科手術手技のために適した麻酔を受ける。脊髄のT1~T10を標的化する標準的な後方アプローチが、実施され、「オープンドア」椎弓形成術が後に続き、硬膜を未損傷なままで残す。滅菌生理食塩水が、手術創(すなわち、外科手術部位90)を洗浄する/洗い流すために使用されてもよく、滅菌野は、対象を保護するために適用されてもよい。プラットフォーム200が、手技のために調製され、切開部にわたって設置される。アンカ218が、外科手術部位90内の1つ以上の骨(例えば、棘突起)に係合し、プラットフォーム200を定位置に固定するために使用される。マニピュレータ300が、対象の外科手術部位の上方のプラットフォーム200のフレーム202に取り付けられ、必要に応じて調節される。
【0065】
針アセンブリ450の流体継手516が、開放され、リザーバ600が、基質12で充填される。その後、流体継手516は、再接続され、それによって、リザーバ600と針アセンブリ450との間の流体連通を確立する。針アセンブリ450の細長シャフト500が、結合器318のスロット346の中に挿入され、締結具504をねじ山付き部分330にわたって前進させる。柱314が、軸320周りに回転され得、または軸320に対して角度付けられ得、横材316が、外科手術部位90に向かってまたは外科手術部位90から離れるように、軸320に沿って調節され得、結合器が、回転され得る。例えば、横材316は、暴露される脊髄表面に針400がより接近して降下されるように、柱314に沿って降下されてもよい。リザーバ600の管類604は、存在する場合、ライン内のいかなる空気も除去するように動作される(すなわち、針状アセンブリ450がプライミングされる)デジタル微量注入器602を通して延設される。針400は、その後、脊髄実質の中に降下され、視覚誘導下で血管への損傷を回避し、軟膜を開放する(かつ、針400を軟膜下腔の中に前進させる)。種々の実施形態では、針アセンブリ450は、下側長456が対象30の脊髄39に対して略平行であるように、針400の先端部410を挿入することに先立って、マニピュレータ300を使用して調節されてもよい。(存在する場合)デジタル微量注入器602が、次いで、アクティブ化され、ある用量の基質12を脊髄の軟膜下腔に送達する。例示的実施形態では、可溶性物質、ベクタ、または細胞が、毎分0.1~5マイクロリットル(μl)の率において脊椎軟膜下腔の中に注入されてもよい。針400を引っ込めた後、針400は、必要に応じて、繰り返される注入ステップのために、再度位置付けられてもよい。全ての注入の完了に続いて、針400が、引っ込められ、マニピュレータ300が、プラットフォーム200から除去されてもよい。
【0066】
硬膜閉鎖が、実施され、椎弓閉鎖が、後に続く。解剖学的層(例えば、筋肉、皮下組織、および皮膚)の各々が、次いで、再吸収可能材料を使用して閉鎖される。したがって、主題システムを用いるベクタまたは細胞の送達は、脊髄外傷性傷害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、慢性疼痛、筋痙直、および多発性硬化症と関連付けられる症状を処置するために使用されてもよい。
【0067】
本開示は、開示される正確な形態または特定の使用分野に本発明を限定することを意図されていない。本明細書において明示的に説明または含意されるかどうかにかかわらず、本発明への種々の代替実施形態および/または修正が、本開示に照らして可能性として考えられることが、想定される。例えば、本明細書に記載される種々の実施形態が、適切である場合、ともに組み合わせられ、および/または、付加的な実施形態に分離され得ることが、想定される。適用可能である場合、本明細書に説明される種々のステップの順序付けは、変化され、複合ステップに組み合わせられ、かつ/またはサブステップに分離され、本明細書に説明される特徴を提供することができる。
【0068】
上記に説明される実施形態は、本発明を例証するが、本発明を限定するものではない。多数の修正および変形例が、本発明の原理に従って可能性として考えられることを理解されたい。故に、本発明の範囲は、以下の請求項によってのみ定義される。
図1
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