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  • 特許-納豆入りクッキーの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】納豆入りクッキーの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 11/50 20210101AFI20231026BHJP
   A21D 2/36 20060101ALI20231026BHJP
   A21D 13/80 20170101ALI20231026BHJP
   A23G 1/48 20060101ALI20231026BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20231026BHJP
【FI】
A23L11/50 209Z
A21D2/36
A21D13/80
A23G1/48
A23L5/00 F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022162032
(22)【出願日】2022-10-07
【審査請求日】2023-03-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501280356
【氏名又は名称】株式会社湯の国
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100171941
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 忠行
(72)【発明者】
【氏名】羽畑 信孝
【審査官】関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-030539(JP,A)
【文献】特開平02-156857(JP,A)
【文献】特開平10-179073(JP,A)
【文献】特開昭55-045330(JP,A)
【文献】特開2003-135016(JP,A)
【文献】特開平03-015356(JP,A)
【文献】特開平04-267847(JP,A)
【文献】特開平06-319456(JP,A)
【文献】納豆お菓子|納豆好き必見!香ばしい納豆風味の人気スナックの通販おすすめランキング, [online],ベストオイシー,2021年10月30日,[令和5年5月10日検索], インターネット, <URL: https://food.biglobe.ne.jp/rankings/3864/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 11/50
A21D 2/36
A21D 13/80
A23G 1/48
A23L 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面が食用油によってコーティングされた凍結乾燥された納豆粒を、小麦粉を含むクッキー生地に混ぜ合わせて混合生地を得たのち、この混合生地を成形して焼き上げることを特徴とする納豆入りクッキーの製造方法
【請求項2】
表面が食用油によってコーティングされた凍結乾燥された納豆粒を、小麦粉を含むクッキー生地を成形した成形体の表面に添設して焼き上げることを特徴とする納豆入りクッキーの製造方法
【請求項3】
前記食用油中に、前凍結乾燥された納豆粒を投入して攪拌したのち、前記食用油を漉して、前記食用油がコーティングされた納豆粒を得る請求項1または請求項2に記載の納豆入りクッキーの製造方法。
【請求項4】
前記クッキー生地が、小麦粉と、マーガリンと、砂糖と、卵が配合されていて、これらの配合比が重量比で小麦粉:マーガリン、砂糖、卵=100:50:35:40の割合で含まれるとともに、
前記クッキー生地7gに対して前記納豆粒が0.5~1.0gの割合で含まれる請求項1または請求項2に記載の納豆入りクッキーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、納豆入りクッキーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
納豆は、畑の肉と言われる大豆を原料とし、タンパク質を多量に含む上、納豆菌による腸内環境を整える働き、免疫力の向上を図れる健康食品であるものの、その独特のにおいやネバネバ感があるため、日本人でも食せない人がかなりいる。
【0003】
一方、凍結乾燥した納豆やその粉末が上市されている。
すなわち、凍結乾燥された納豆は、納豆のにおいやネバネバ感を抑えられるため、本来納豆が嫌いな人でも食しやすいという利点があるとともに、菌が休眠状態の胞子となるため、賞味期限を長くすることができる。
【0004】
また、乾燥納豆には、女性ホルモン「エストロゲン」と似た働きをすると言われていて美容効果も期待できるイソフラボンや、血液をサラサラにすると言われているナットウキナーゼやリノール酸、悪玉コレステロールを取り除く効果が期待できるレチシンなど、栄養素を豊富に含んでいるといわれている。
他方、嗜好性を高めるために、乾燥納豆をクッキー生地や餅に練り込んで焼き上げるようにした、納豆入りのクッキーや、納豆入りのおかきやせんべいも既に提案されている(たとえば、特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平4-267847号公報
【文献】特開平6-319456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、凍結乾燥された納豆は、前述のように、納豆菌が休眠状態の胞子となって休眠状態になっているのであるが、水分に接触すると、納豆菌が活性化する。
したがって、ベース生地に練り込むと、ベースの水分で休眠状態から活性状態になるため、練り込んですぐに焼き上げないと、活性化した納豆菌が、接するベース生地中の成分、たとえば、グルテンなどのタンパク質を分解して、ベース生地がドロドロになり、成形できなくなるおそれがあり、少量生産にしか向かないという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みて、納豆の納豆菌が、加工食品本体となる生地に長期間接触しても、生地に影響を与えることがなく、大量生産が可能な納豆入りクッキーの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明にかかる納豆入りクッキーの製造方法は、表面が食用油によってコーティングされた凍結乾燥された納豆粒を、小麦粉を含むクッキー生地に混ぜ合わせて混合生地を得たのち、この混合生地を成形して焼き上げることを特徴としている。
また、本発明にかかる納豆入りクッキーの製造方法は、表面が食用油によってコーティングされた凍結乾燥された納豆粒を、小麦粉を含むクッキー生地を成形した成形体の表面に添設して焼き上げることを特徴としている。
【0009】
本発明の加工食品において、食用油としては、特に限定されないが、たとえば、綿実油、米油、オリーブ油などが挙げられる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明にかかる納豆入りクッキーの製造方法は、表面が食用油によってコーティングされた凍結乾燥された納豆粒を、小麦粉を含むクッキー生地に混ぜ合わせて混合生地を得たのち、この混合生地を成形して焼き上げる、あるいは、表面が食用油によってコーティングされた凍結乾燥された納豆粒を、小麦粉を含むクッキー生地を成形した成形体の表面に添設して焼き上げるようにしている。
【0014】
すなわち、上記のように、凍結乾燥された納豆粒が食用油でコートされているので、クッキー生地の水分が油脂によってはじかれて、凍結乾燥された納豆粒に生地の水分が触れることが防止される。
したがって、ベース生地の水分によって納豆菌が活性化されることがなく、クッキー生地がドロドロにならないように維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の製造方法で得られるクッキーの第1の実施の形態をあらわす斜視図である。
図2図1のクッキーの製造方法の1例を工程順に示す模式図である。
図3図2の工程の後工程を工程順に示す模式図である。
図4参考例クッキーをあらわす斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1は、本発明の納豆入りクッキーの1つの実施の形態をあらわしている。
【0017】
図1に示すように、このクッキーAは、クッキー本体1内に、凍結乾燥納豆粒の表面が油脂でコーティングされた納豆粒(以下、コーティング納豆粒)2が分散されている。
【0018】
そして、このクッキーAは、たとえば、以下のようにして製造することができる。
食用油コーティング〕
すなわち、図2(a)に示すように、綿実油、米油、オリーブ油などの食用油6を容器b1に入れて攪拌機7で食用油6を攪拌しながら、図2(b)に示すように、凍結乾燥された納豆粒2aを食用油6内に投入する。
【0019】
納豆粒2aの周囲が食用油6でコートされたら、納豆粒2aを容器b1から取り出して十分に食用油6を漉してコーティング納豆粒2を得る。
つぎに、図3(a)に示すように、予め容器8内に作製されたベース生地であるクッキー生地9に、コーティング納豆粒2を加える。
そして、ヘラ11などでクッキー生地9とコーティング納豆粒2を容器8内で混ぜ合わせて、図3(b)に示すように、クッキー生地9に、コーティング納豆粒2を分散混合された状態にする。
【0020】
十分にクッキー生地9とコーティング納豆粒2が混ざりあったら、図3(c)に示すように、成形してオーブンXでクッキー生地9を焼き上げてクッキーAを得る。
【0021】
なお、上記クッキー生地9は、特に限定されないが、たとえば、小麦粉と、マーガリンゴ、卵、砂糖などを練り込んで得ることができる。
凍結乾燥納豆としては、納豆粒が全粒でも構わないが、ひきわりタイプが好ましい。
【0022】
図4は、本発明の納豆入りクッキーの参考例をあらわしている。
図4に示すように、このクッキーBは、凍結乾燥された納豆粒4が予めチョコレート3内に分散されていて、油脂分であるチョコレート3のカカオによって納豆粒4が表面をコートされた状態になっている。
【0023】
そして、このクッキーBは、この納豆粒4を分散した状態のチョコレート3がクッキー本体5によって周囲が囲まれている。
クッキー本体5は、図示していないが、この納豆粒4を分散した状態のチョコレート3を、クッキー生地でくるんだ状態に成形したのち、焼き上げられることによって形成されているクッキー本体5となるクッキー生地でくるまれたのち焼き上げられている。
【0024】
以下に、本発明の具体的な実施例を説明する。
【0025】
(実施例1)
ひきわりタイプの納豆を凍結乾燥して凍結乾燥納豆を得た。
つぎに、この凍結乾燥納豆の納豆粒表面を綿実油でコートしたコーティング納豆粒を得た。
マーガリン(50g)と、砂糖(35g)と、卵(40g)を常温で混ぜたのち、さらに小麦粉(100g)を入れて混ぜ込んでクッキー生地を得るとともに、このクッキー生地に先に得た上記凍結乾燥納豆をクッキー生地7gに対してコーティング納豆粒を0.5~1gの割合で混ぜ込んで、混合生地を得た。
この混合生地を成形後、160℃~220℃に昇温したオーブン中で7分~12分焼き上げて納豆入りクッキーを得た。
焼き上げられたクッキー中で納豆菌が生きている否かを、普通寒天平板培養法を用いて確認したところ、1.3×107個/gの菌数が確認でき、納豆菌がクッキー中で生きていていることがわかった。
【0026】
(比較例1)
コーティング納豆粒に代えて、コーティングする前の実施例1の凍結乾燥納豆の納豆粒を用いた以外は実施例1と同様にして混合生地を得ようとしたが、小麦粉が納豆菌によって分解されてドロドロ状態になって、成形しにくかった。
【0027】
本発明は、上記の実施の形態に限定されない。たとえば、上記の実施の形態では、ベース生地中に凍結乾燥納豆のみが練り込んだ状態で焼き上げられていたが、ドライフルーツやナッツ類を凍結乾燥納豆とともに練り上げるようにしても構わない。
【0028】
上記の実施の形態では、凍結乾燥された納豆粒を食用油中に入れて攪拌したのち、食用油から取り出してコーティング納豆粒を得るようにしていたが、凍結乾燥された納豆粒をメシュ状のベルトコンベヤに載せて搬送する間に、ベルトコンベヤ上の凍結乾燥された納豆粒に食用油をシャワーしてコーティングするようにしても構わない。
【符号の説明】
【0029】
A、B クッキ
1 クッキー本
2 コーティング納豆粒
2a 納豆粒
3 チョコレート
4 納豆粒
5 クッキー本
6 食用
7 攪拌機
8 容器
9 クッキー生
11 ヘラ
b1 容器
X オーブン
【要約】
【課題】納豆の納豆菌が、加工食品本体となる生地に長期間接触しても、生地に影響を与えることがなく、大量生産が可能な納豆入りの加工食品およびその製造方法を提供することを目的としている。
【解決手段】
凍結乾燥した納豆粒の表面を綿実油、米油、オリーブ油などの油脂成分でコーティングしたコーティング納豆粒2をクッキー本体1を形成するベース生地9に練り込んだのち、コーティング納豆粒2が練り込まれたベース生地9を所望形状に成形し、オーブンでベース生地9を焼き上げるようにした。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4