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特許7373239昇降装置及び昇降装置を用いた床下収納庫
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-25
(45)【発行日】2023-11-02
(54)【発明の名称】昇降装置及び昇降装置を用いた床下収納庫
(51)【国際特許分類】
   B66F 7/06 20060101AFI20231026BHJP
   E04F 19/08 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
B66F7/06 A
E04F19/08 103K
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022185392
(22)【出願日】2022-11-21
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】522454220
【氏名又は名称】シティコマース有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129056
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 信雄
(72)【発明者】
【氏名】竹内 寿浩
【審査官】長尾 裕貴
(56)【参考文献】
【文献】特許第3141291(JP,B1)
【文献】中国特許出願公開第111604871(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 7/06
E04F 19/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降装置の底部となる基台と、テーブル部と、該テーブル部を昇降させる昇降部と、台座と、該台座を水平方向に移動させる駆動部と、該テーブル部の水平方向への移動を規制する規制部と、から成り、
該昇降部は、カム構造であり、第1の傾斜部と、カム部とから成り、
該第1の傾斜部の傾斜面と該カム部との相対位置に応じて、該テーブル部を昇降させ、
該テーブル部の底部に、該第1の傾斜部又は該カム部が配置され、該台座部に、対応する該カム部又は該傾斜部が配置され、
該台座を水平方向に移動させ、該第1の傾斜部の傾斜面と該カム部との相対位置を変化させ、
該テーブル部を昇降させることを特徴とする昇降装置。
【請求項2】
前記昇降部は、第2の傾斜部と、前記テーブル部の底部に回動可能に接続され、該第2の傾斜部を支持する支持部と、該支持部の回動を制御する回動制御部とを持ち、
該回動制御部は、棒状であり、基端部は該支持部に接続され、先端部は、該支持部の長手方向よりも、前記第1の傾斜部から離れる方向にあり、
前記第1の傾斜部の傾斜面の下側端辺部と、該第2の傾斜部の傾斜面の上側端辺部は、平行な軸構造で、回動可能に接続され、
該第2の傾斜部には、該支持部の先端が当接する当て部があり、
該第2の傾斜部の当て部を該支持部の先端が鉛直方向に支持したとき、前記第1の傾斜部の傾斜面と、該第2の傾斜部の傾斜面とが同一面を形成し、
前記基台から前記第1の傾斜部の傾斜面の下端付近までの高さが、前記基台から前記カム部と前記第1の傾斜部の傾斜面との接触部分までの高さよりも小さいとき、
該回動制御部の先端部は前記基台の上面と接触し、該回動制御部は、該支持部の先端が、前記第1の傾斜部から離れる方向に回動するように付勢し、
前記基台から前記第1の傾斜部の傾斜面の下端付近までの高さが、前記基台から前記カム部と前記第1の傾斜部の傾斜面との接触部分までの高さよりも大きいとき、
該支持部の先端は、自重により、鉛直方向を向くことを特徴とする請求項1に記載の昇降装置。
【請求項3】
前記昇降部は、第2の傾斜部と、前記テーブル部の底部に回動可能に接続され、第2の傾斜部を支持する支持部と、該支持部の回動を制御する回動制御部とを持ち、
該回動制御部は、回動駆動部と台車位置センサから成り、
前記第1の傾斜部の傾斜面の下側端辺部と、該第2の傾斜部の傾斜面の上側端辺部は、該上側端辺部に平行な軸構造で、回動可能に接続され、
該第2の傾斜部には、該支持部の先端が当接する当て部があり、
該第2の傾斜部の当て部を該支持部の先端が鉛直方向に支持したとき、前記第1の傾斜部の傾斜面と、該第2の傾斜部の傾斜面とが同一面を形成し、
前記基台から前記第1の傾斜部の傾斜面の下端付近までの高さが、前記基台から前記カム部と前記第1の傾斜部の傾斜面との接触部分までの高さよりも小さい位置に前記台車があることを、該台車位置センサが検知したとき、
該回動駆動部は、該支持部の先端部が、前記第1の傾斜部から離れる方向に、該支持部を回動し、
前記基台から前記第1の傾斜部の傾斜面の下端付近までの高さが、前記基台から前記カム部と前記第1の傾斜部の傾斜面との接触部分までの高さよりも大きい位置に前記台車があることを、該台車位置センサが検知したとき、
該回動駆動部は、該支持部の先端を鉛直方向に回動することを特徴とする請求項1に記載の昇降装置。
【請求項4】
前記第2の傾斜部は、複数あり、隣接する第2の傾斜部同士は、
一方の前記第2の傾斜部の傾斜面の下側端辺に、端辺に平行な軸孔があり、
他方の前記第2の傾斜部の傾斜面の端辺に、端辺に平行な軸部があり、
前記第2の傾斜部の当て部が前記支持部の先端で鉛直方向に支持されたとき
すべての前記第2の傾斜部の傾斜面は、同一面を形成することを特徴とする請求項2に記載の昇降装置。
【請求項5】
前記第2の傾斜部は、複数あり、隣接する第2の傾斜部同士は、
一方の前記第2の傾斜部の傾斜面の下側端辺に、端辺に平行な軸孔があり、
他方の前記第2の傾斜部の傾斜面の端辺に、端辺に平行な軸部があり、
前記第2の傾斜部の当て部が前記支持部の先端で鉛直方向に支持されたとき
すべての前記第2の傾斜部の傾斜面は、同一面を形成することを特徴とする請求項3に記載の昇降装置。
【請求項6】
前記規制部は、前記テーブル部の底部に配置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の昇降装置。
【請求項7】
前記基台と前記テーブル部との間に、第1及び第2のリフトアームを相互に回転可能に連結してなる伸縮アームと、
該伸縮アームを上下に伸縮させるリンク部を持ち、
第1及び第2のリフトアームの一方の端部は、ガイドレールにより、水平方向に移動可能であり、
前記テーブル部が、最低位置のときには、前記台座と該リンク部とは接続されておらず、
前記昇降部による前記テーブル部の上昇動作が完了したときには、前記台座と該リンク部とは接続され、
前記台座による該伸縮アームの上下伸縮が可能となっていることを特徴とする請求項6に記載の昇降装置。
【請求項8】
前記基台と前記テーブル部との間に、第1及び第2のリフトアームを相互に回転可能に連結してなる伸縮アームと、該伸縮アームを上下に伸縮させるリンク部を持ち、
該第1及び第2のリフトアームの一方の端部は、ガイドレールにより、水平方向に移動可能であり、
該ガイドレールは、前記台車に配置され、
前記テーブル部が、最低位置のときには、該ガイドレールの端部と該第1のリフトアームの端部は接続されておらず、
前記昇降部による前記テーブル部の上昇動作が完了したときには、該ガイドレールの端部と該第1のリフトアームの端部は接続され、
前記台座による該伸縮アームの上下伸縮が可能となっていることを特徴とする請求項6に記載の昇降装置。
【請求項9】
前記基台と前記テーブル部との間に、第1及び第2のリフトアームを相互に回転可能に連結してなる伸縮アームを持ち、
該第1及び第2のリフトアームの一方の端部は、ガイドレールにより、水平方向に移動可能であり、
該第1のリフトアームの一方の軸に、前記駆動部の一方の端部が接続され、前記駆動部の他方の端部に前記台車が接続され、
前記駆動部と前記台車の間には、前記台車の水平方向の動きを規制するストッパ部が設けられ、
前記テーブル部が、最低位置のときには、前記台座と該ストッパ部とは接しておらず、
前記昇降部による前記テーブル部の上昇動作が完了したときには、前記台座と該ストッパ部とは接触し、
前記台座に対して、前記駆動部が伸縮することにとって、該伸縮アームが上下伸縮することを特徴とする請求項6に記載の昇降装置。
【請求項10】
前記規制部は、シリンダ構造であることを特徴とする請求項6に記載の昇降装置。
【請求項11】
前記駆動部は、油圧シリンダ駆動、スクリューネジ駆動、ワイヤ駆動、エア駆動のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の昇降装置。
【請求項12】
前記傾斜部は、前記テーブル部が、最低位置のときに、前記基台に接触していることを特徴とする請求項1に記載の昇降装置。
【請求項13】
請求項1乃至5,11,12のいずれかに記載の昇降装置を用いて構成された床下収納庫。
【請求項14】
請求項6に記載の昇降装置を用いて構成された床下収納庫。
【請求項15】
請求項7に記載の昇降装置を用いて構成された床下収納庫。
【請求項16】
請求項8に記載の昇降装置を用いて構成された床下収納庫。
【請求項17】
請求項9に記載の昇降装置を用いて構成された床下収納庫。
【請求項18】
請求項10に記載の昇降装置を用いて構成された床下収納庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物等の物品を昇降する装置に関し、詳しくは、低床型でコンパクトな昇降用機構の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
荷物等の物品を昇降する機構として、様々な構造が開発されている。
一部は、床下収納庫を昇降する機構として採用されている。
例えば、その機構の1つとして、ワイヤで収納庫を昇降するものがある。
しかし、ワイヤ式の場合、収納庫の周囲に、ワイヤを巻き取るための構造が配置されるため、設置に収納庫以上に広い面積が必要である。
また、Xアーム構造で昇降する構造を用いる際、床下の高さが限られていることから、低床型であることが求められる。
低床とするため、アームに傾斜部を設けて、傾斜部とカムとでのカム機構で、初期の上昇を補助する技術が知られている。しかし、傾斜部をアームに取り付ける構造であり、カムで上昇させる量によって、アームへの傾斜部の取り付け位置が一意に決まってしまう。そのため、比較的小さな収納庫を昇降させる構造の設計上の制約となっていた。
そこで、住宅設備として設置し易いシンプルな構造で、上面視、収納庫の面積よりも大きくならない構造であり、低床型で、昇降構造設計時の制約の少ない構造が求められていた。
【0003】
このような問題に対して、従来からも様々な技術が提案されている。例えば、パンタグラフ式昇降装置(特許文献1参照)が提案され、公知技術となっている。
より詳しくは、パンタグラフに取り付けられた傾斜部を構成する腕部材を押し上げ、パンタグラフの初期上昇動作を行うカム機構と、初期上昇に続いてパンタグラフの一方の支持点を他方の支持点に向かって移動させパンタグラフの上昇を行う技術である。
しかしながら、本先行技術による構造では、初期のカム構造が、上面視、荷台の領域から突出する形となることから、本発明の課題を解決していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平7-187587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、シンプル、且つ、上面視、収納庫の面積よりも大きくならない構造で、しかも、低床型で、昇降構造設計時の制約の少ない構造の昇降装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る昇降装置は、昇降装置の底部となる基台と、テーブル部と、テーブルを昇降させる昇降部と、台座と、台座を水平方向に移動させる駆動部と、テーブル部の水平方向への移動を規制する規制部と、から成り、昇降部は、カム構造であり、第1の傾斜部と、カム部とから成り、第1の傾斜部の傾斜面とカム部との相対位置に応じて、テーブル部を昇降させ、テーブルの底部に、第1の傾斜部又はカム部が配置され、台座部に、対応するカム部又は傾斜部が配置され、台座を水平方向に移動させ、第1の傾斜部の傾斜面とカム部との相対位置を変化させ、テーブル部を昇降させる手段を採る。
【0007】
また、本発明は、前記昇降部が、第2の傾斜部と、テーブル部の底部に回動可能に接続され、第2の傾斜部を支持する支持部と、支持部の回動を制御する回動制御部とを持ち、回動制御部は、棒状であり、基端部は支持部に接続され、先端部は、支持部の長手方向よりも、第1の傾斜部から離れる方向にあり、前記第1の傾斜部の傾斜面の下側端辺部と、第2の傾斜部の傾斜面の上側端辺部は、平行な軸構造で、回動可能に接続され、第2の傾斜部には、支持部の先端が当接する当て部があり、第2の傾斜部の当て部を支持部の先端が鉛直方向に支持したとき、第1の傾斜部の傾斜面と、第2の傾斜部の傾斜面とが同一面を形成し、基台から第1の傾斜部の傾斜面の下端付近までの高さが、基台からカム部と第1の傾斜部の傾斜面との接触部分までの高さよりも小さいとき、回動制御部の先端部は基台の上面と接触し、回動制御部は、支持部の先端が、第1の傾斜部から離れる方向に回動するように付勢し、基台から第1の傾斜部の傾斜面の下端付近までの高さが、基台からカム部と第1の傾斜部の傾斜面との接触部分までの高さよりも大きいとき、支持部の先端は、自重により、鉛直方向を向く手段を採る。
【0008】
さらに、本発明は、前記昇降部が、第2の傾斜部と、テーブル部の底部に回動可能に接続され、第2の傾斜部を支持する支持部と、支持部の回動を制御する回動制御部とを持ち、回動制御部は、回動駆動部と台車位置センサから成り、前記第1の傾斜部の傾斜面の下側端辺部と、第2の傾斜部の傾斜面の上側端辺部は、該上側端辺部に平行な軸構造で、回動可能に接続され、第2の傾斜部には、支持部の先端が当接する当て部があり、第2の傾斜部の当て部を支持部の先端が鉛直方向に支持したとき、第1の傾斜部の傾斜面と、第2の傾斜部の傾斜面とが同一面を形成し、基台から第1の傾斜部の傾斜面の下端付近までの高さが、基台からカム部と第1の傾斜部の傾斜面との接触部分までの高さよりも小さくなる位置に、台車があることを、台車位置センサが検知したとき、回動駆動部は、支持部の先端部が、第1の傾斜部から離れる方向に、支持部を回動し、基台から第1の傾斜部の傾斜面の下端付近までの高さが、基台からカム部と第1の傾斜部の傾斜面との接触部分までの高さよりも大きくなる位置に、台車があることを、台車位置センサが検知したとき、回動駆動部は、支持部の先端を鉛直方向に回動する手段を採る。
【0009】
またさらに、本発明は、前記第2の傾斜部が、複数あり、隣接する第2の傾斜部同士は、一方の前記第2の傾斜部の傾斜面の下側端辺に、端辺に平行な軸孔があり、他方の前記第2の傾斜部の傾斜面の端辺に、端辺に平行な軸部があり、第2の傾斜部の当て部が支持部の先端で鉛直方向に支持されたとき、すべての第2の傾斜部の傾斜面は、同一面を形成する手段を採る。
【0010】
さらにまた、本発明は、前記規制部が、テーブル部の底部に配置されている手段を採る。
【0011】
またさらに、本発明は、基台とテーブル部との間に、第1及び第2のリフトアームを相互に回転可能に連結してなる伸縮アームと、該伸縮アームを上下に伸縮させるリンク部を持ち、テーブル部が、最低位置のときには、台座とリンク部とは接続されておらず、昇降部によるテーブル部の上昇動作が完了したときには、台座とリンク部とは接続され、台座による伸縮アームの上下伸縮が可能となっている手段を採る。
【0012】
さらにまた、本発明は、基台と前記テーブル部との間に、第1及び第2のリフトアームを相互に回転可能に連結してなる伸縮アームと、該伸縮アームを上下に伸縮させるリンク部を持ち、第1及び第2のリフトアームの一方の端部は、ガイドレールにより、水平方向に移動可能であり、ガイドレールは、台車に配置され、前記テーブル部が、最低位置のときには、該ガイドレールの端部と該第1のリフトアームの端部は接続されておらず、前記昇降部による前記テーブル部の上昇動作が完了したときには、該ガイドレールの端部と該第1のリフトアームの端部は接続され、前記台座による該伸縮アームの上下伸縮が可能となっている手段を採る。
【0013】
またさらに、本発明は、基台と前記テーブル部との間に、第1及び第2のリフトアームを相互に回転可能に連結してなる伸縮アームを持ち、第1及び第2のリフトアームの一方の端部は、ガイドレールにより、水平方向に移動可能であり、第1のリフトアームの一方の軸に、駆動部の一方の端部が接続され、駆動部の他方の端部に台車が接続され、駆動部と台車の間には、台車の水平方向の動きを規制するストッパ部が設けられ、前記テーブル部が、最低位置のときには、前記台座と該ストッパ部とは接しておらず、前記昇降部による前記テーブル部の上昇動作が完了したときには、前記台座と該ストッパ部とは接触し、前記台座に対して、前記駆動部が伸縮することにとって、該伸縮アームの上下伸縮する手段を採る。
【0014】
さらにまた、本発明は、前記規制部が、シリンダ構造である手段を採る。
【0015】
またさらに、本発明は、前記駆動部が、油圧シリンダ駆動、スクリューネジ駆動、ワイヤ駆動、エア駆動のいずれかである手段を採る。
【0016】
さらにまた、本発明は、前記傾斜部について、テーブル部が、最低位置のときに、基台に接触している手段を採る。
【0017】
そしてまた、本発明は、上記昇降装置を用いた床下収納庫である。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る昇降装置によれば、住宅設備として設置し易いシンプルな構造で、上面視、収納庫の面積よりも大きくない構造であるので、施工が容易である。また、昇降構造設計時の自由度が大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る昇降装置の実施例を示す全体斜視図である。
図2】本発明に係る昇降装置の床下収納庫での実施例を示す模式図である。
図3】本発明に係る昇降装置の実施例を示す断面図である。
図4】本発明に係る昇降装置の実施例を示す上面図である。
図5】本発明に係る昇降装置のガイドレールの変形例を示す説明図である。
図6】本発明に係る昇降装置のカム構造の実施例を示す説明図である。
図7】本発明に係る昇降装置の傾斜部の他の実施例を示す斜視図である。
図8】本発明に係る昇降装置の他の実施例を示す側面模式図ある。
図9】本発明に係る昇降装置の他の実施例を示す断面図である。
図10】本発明に係る昇降装置の他の実施例を示す側面模式図である。
図11】本発明に係る昇降装置の他の実施例を示す模式図である。
図12】本発明に係る昇降装置の他の実施例を示す全体斜視図である。
図13】本発明に係る昇降装置の他の実施例を示す側面断面図である。
図14】本発明に係る昇降装置の他の実施例を示す上面図である。
図15】本発明に係る昇降装置における負荷とテーブル高さの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る昇降装置は、上面視、収納庫の面積よりも大きくない構造であり、低床型で、昇降構造設計時の制約の少ない構造であることを最大の特徴とする。
以下、本発明に係る昇降装置の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0021】
なお、以下に示される昇降装置の全体形状及び各部の形状は、下記に述べる実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、即ち、同一の作用効果を発揮できる形状や寸法等の範囲内で適宜変更することができるものである。
【実施例1】
【0022】
図1から図6図15に従って、本発明を説明する。
図1は、本発明に係る昇降装置の実施例を示す全体斜視図である。図2は、本発明に係る昇降装置の床下収納庫での実施例を示す模式図であり、(a)は昇降装置が最も低い場合を示し、(b)は昇降装置が最も高い場合を示す。図3は、本発明に係る昇降装置の実施例を示す断面図であり、(a)は昇降装置が最も低い場合を示し、(b)は昇降装置のカム構造によってテーブルが持ち上がった状態を示し、(c)は昇降装置が最も高い状態を示す。図4は、本発明に係る昇降装置の実施例を示す上面図であり、テーブルは除いており、(a)は昇降装置が最も低い場合を示し、(b)は昇降装置のカム構造によってテーブルが持ち上がった状態を示し、(c)は昇降装置が最も高い状態を示す。図5は、本発明に係る昇降装置のガイドレールの変形例を示しており、(a)は変形例のガイドレールを備えた台車の斜視図、(b)は変形例のガイドレールの動作を示す側面断面図である。図6は、本発明に係る昇降装置のカム構造の実施例を示す説明図であり、(a)から(d)までカムと傾斜部のバリエーションを示している。図15は、本発明に係る昇降装置における負荷とテーブル高さの関係を示すグラフである。
【0023】
昇降装置1は、荷物等の上げ、下げを自動で行う装置である。低床時の昇降は、傾斜部とカム部の動作で行い、それよりも高い部分は、Xアームを伸縮することで行う。
昇降装置1は、基台10とテーブル部11と昇降部30と台座20と駆動部12と規制部80とリンク部70とから成る。
(基台)
基台10は、昇降装置1のベースとなる部分であり、昇降装置1の底部分となる。基台10は、テーブル部11と同様の形であり、概ね、四角形である。
基台10の上には、駆動部12、台座20、規制部80が配置されている。昇降する際、駆動部12、台座20、規制部80には、大きな水平、垂直の力が加わることがあるので、基台10は、剛性の高い素材で構成されていると好適である。
基台10の上を台座20が水平方向に移動するため、基台10の上面は平坦としている。また、規制部80の端部を固定するために、基台10の周辺に起立部分を設けてもよい。
【0024】
(テーブル部)
テーブル部11は、荷物等を受け、支える部分である。床下収納庫の場合には、収納部91を保持する。荷物等の荷重に耐える程度の剛性が必要である。形状は、概ね、四角形で、全体として、トレイ状である。テーブル部11は、規制部80によって、水平方向への移動を規制され、上下方向の移動のみ可能である。
テーブル部11の底面には、昇降部30を構成する第1の傾斜部33が配置されている。第1の傾斜部33は、カム部31に対応する位置にある。傾斜面34を持つ。傾斜面34の角度は、荷物の荷重の量、駆動部12の力によって、決定する。例えば、45度の角度である。
低床時の昇降では、傾斜面34に対するカム部31の円筒部32の付勢によって、テーブル部11を上下させる。その際、荷物及びテーブル部11の荷重が傾斜面34にかかるので、第1の傾斜部33は、それに耐えうる剛性が必要である。
第1の傾斜部33は、1つでもいいし、複数でも良い。負荷を分散するには複数の方が好適である。
【0025】
(昇降部)
昇降部30は、昇降装置1が低床にある際に、テーブル部11を昇降する部分である。昇降部30は、カム部31と第1の傾斜部33とから成る。
昇降部30は、カム構造である。カム構造とは、2つの構成要素によって、運動の方向を変える構造である。カム構造において、動きを伝える側を原節、動きを伝えられて仕事をする側を従節と呼ぶ。
本実施例では、カム部31が原節であり、第1の傾斜部33は従節としている。
カム部31は、台座20に搭載され、駆動部12の力によって、台座20と共に水平方向に移動する。カム部31は、円筒部32を備える。円筒部32は、第1の傾斜部33の傾斜面34に当接し、傾斜面34に対して、付勢することで、第1の傾斜部33に対して、上方向の力を発生させる。
本実施例では、カム部31のカム形状を円筒としているが、対応する傾斜面34に対して、付勢しながらスムーズに移動することができれば、他の形状でも良い。例えば、回転可能な車輪状でもいいし、傾斜面34に対応する斜面状であっても良い。
【0026】
カム構造を用いず、Xアームの一端の軸を水平方向に移動することによって、昇降することも考えられる。しかし、アームの角度と駆動負荷には、図15(a)の従来例に示すような関係がある。アームの角度が一定範囲以下になると負荷が飛躍的に高くなり、駆動困難となってしまう。
そのため、カム構造が必要である。
【0027】
第1の傾斜部33は、カム部31によって、上方向の力を得る部分である。第1の傾斜部33は、テーブル部11の底部に配置されている。第1の傾斜部33の傾斜面34にカム部31の円筒部32が当接し、付勢することによって、傾斜面34の面に垂直の力がかけられる。その力は、垂直上方への力と水平の力に分解される。水平の力は、規制部80によって規制され、垂直上方への力によって、テーブル部11が上方に移動する。
傾斜面34の角度が水平に近ければ、カム部31の移動量に対するテーブル部11の上昇量は小さくなり、駆動部12により駆動力は、比較的小さくて良い。しかし、上昇量に対するカム部31の移動量は大きくなる。
傾斜面34の角度が垂直に近ければ、カム部31の移動量に対するテーブル部11の上昇量は大きくなり、駆動部12により駆動力は、比較的大きくなる。上昇量に対するカム部31の移動量は小さくて済む。
傾斜面34の角度は、駆動力と必要な上昇量、上昇速度等に応じて、決定することになる。
【0028】
また、テーブル部11が最低位置にあるときに、第1の傾斜部33を基台10に接触させても良い。この状態とすることで、最も低床状態にあるときに、荷物等を基台10、第1の傾斜部33、テーブル部11で支えることになり、他の規制部80の軸部等への負荷が軽減される。
床下収納庫に用いる際は、ほとんどの時間は、テーブル部11が最低位置にあるので、第1の傾斜部33を基台10に接触させることで、他の規制部80等への負担を軽減することができる。
【0029】
(台座)
台座20は、カム部31を移動したり、リンク部70を介して、伸縮アーム81を昇降したりする部分である。
台座20は、車輪21を持ち、基台10上をスムーズに水平移動することができる。台座20は、牽引部23を持ち、牽引部23は、駆動部12のピストン14の端部に接続されている。牽引部23は、駆動部12のピストン14の力を台座20に伝達する。
台座20の上部には、カム部31が一体に配置されている。
台座20の台座側接続部22側は、リンク部70と連動する部分であり、全体として、上下の2つの板で挟まれる形状であり、2つの板の隙間に台座側接続部22が2つ配置されている。
台座20とリンク部70とは、台座側接続部22とリンク側接続部71で遊嵌に接続されている。台座20がリンク部70から離れる方向に、ある程度以上移動すると、台座20の台座側接続部22とリンク部70のリンク側接続部71が接続され、台座20がリンク部70を介して、伸縮アーム81を昇降する。
【0030】
(駆動部)
駆動部12は、昇降装置1の昇降を行うための力を発生させる部分であり、台座20を水平方向に移動させるものである。駆動部12は、油圧シリンダ駆動方式である。シリンダ13、ピストン14とから成り、図示しない油圧ポンプから供給される油がシリンダ13に供給され、ピストン14を動かし、駆動力を発生させる。
駆動方法としては、他に、スクリューネジ駆動、ワイヤ駆動、エア駆動が考えられる。
スクリューネジ駆動は、スクリューネジとそれを回転させるモータによって駆動する。スクリューネジ駆動とすることで、アームの移動量を大きく取ることができ、テーブルの上昇高さを高く設定することができる。ワイヤ駆動は、ワイヤとワイヤを巻き取るリールとリールを回転させるモータによって駆動する。エア駆動は、エアポンプとそれに対応したシリンダ、ピストンによって駆動する。
【0031】
(規制部)
規制部80は、テーブル部11の水平方向への移動を規制し、テーブル部11を上下方向のみ移動可能とするものである。規制部はテーブル部11の底部に配置されている。
本実施例では、Xアーム型の伸縮アーム81を用いている。伸縮アーム81は、テーブル部11の水平方向への移動の規制と、アーム間の角度がある際に、テーブル部を昇降させる機能を持つ。
伸縮アーム81は、基台10とテーブル部11との間に、第1のリフトアーム82と第2のリフトアーム83を相互に回転可能に連結している構造である。
第1及び第2のリフトアームの一方の端部は、ガイドレール84により、水平方向に移動可能となっている(以下移動端部ともいう)。ガイドレール84を備えることによって、昇降部30によりテーブル部11が持ち上げられる際、テーブル部11のみが持ち上がってしまうことを防ぎ、テーブル部11の動きに第1及び第2のリフトアームが追従させ、アーム間を所定の角度に変えることができる。
第1のリフトアーム82の端部には、リンク部70が接続され、リンク部70が台座20によって移動することによって、伸縮アーム81が上下に伸縮する。
また、他の構造として、規制部80が、上下方向のみに伸縮可能なシリンダ構造85であっても良い。シリンダ構造85とすることで、昇降部30による昇降をスムーズに行うことができる。
【0032】
また、ガイドレール84を台車20につけることで、リフトアームが無用に持ち上がってしまうことを防ぐことができる。形状の一例としては、図5(a)を示す。台車20の両側に第1のリフトアーム82に対応するようにガイドレール84を設けている。ガイドレール84には、リフトアームの移動端部が移動する方向に溝が掘られている。また、台車20の中央には、スクリューネジ駆動のためのネジ孔24が設けてある。
【0033】
図5(b)に沿って、動作を説明する。
ガイドレール84の水平方向の溝に沿って、第1のリフトアーム82の移動端部である、リフトアーム軸部821が水平移動する。ガイドレール84があることで、昇降部30によってテーブル部11が持ち上げられる際、第1のリフトアーム82の移動端部が持ち上がってしまうことを防ぐことができる。
また、ガイドレール84が、リンク部70の機能も持つことによって、リンク部70が不要となり、構造をシンプルにすることができる。
具体程には、台車20がある程度以上移動すると、第1のリフトアーム82の移動端部がガイドレール84の端に当たり、台車20の移動に従って、移動端部を移動させる構造である。
テーブル部11が最低位置にあるときには、ガイドレール84の端部のうち、駆動部12から遠い方の端部であるガイドレール端部841とリフトアーム軸部821は接していない。そのため、ガイドレール端部841は、ガイドレール84内を制限なく移動できる。
昇降部30によるテーブル部11の上昇動作が完了したときには、ガイドレール端部841とリフトアーム軸部821とは接続される(図5(b))。そのため、ガイドレール端部841とリフトアーム軸部821は一体として動くことになり、台座20とリフトアーム軸部821が一体として動くことになる。
その結果、台座20の移動によって、伸縮アーム81が上下に伸縮することになる。
このように、リンク部70を用いずに、昇降部30が動作している間はリフトアームの端部の移動を行わず、昇降部30の動作が完了した後にリフトアームの端部の移動を開始することができ、伸縮アーム81を効率よく昇降することができる。
【0034】
また、このような構造は、台車20に対する駆動部12の引き点の角度変化が無く、駆動部分を固定した構造に好適である。
また、リンク部70を廃止したり、ガイドレール84を台車20に取り込む等によって、部品点数が少なくすることができ、生産性の向上、コスト削減を行うことができる。
また、基台10に配置する部品が少なくすることができるので、装置の上部に比較的重要な部品が配置されることになり、床下収納庫として、組立、設置、メンテナンス作業が容易になる。
【0035】
(リンク部)
リンク部70は、伸縮アーム81と台座20を、伸縮アーム81と台座20との距離に応じて、接続するための構造である。
リンク部70の一端は、軸部72であり、一対の第1のリフトアーム82の端部の軸と接続している。リンク部70は全体としては、1枚の平板状であり、2つの孔であるリンク側接続部71を持ち、孔には台座側接続部22が通り、リンク側接続部71と台座側接続部22により、台座20とリンク部70は遊嵌している。
テーブル部11が最低位置のとき、つまり、台座20がリンク部70の軸部72に近いときは、台座20の台座側接続部22とリンク部70のリンク側接続部71は、接しておらず、接続されていない。
昇降部30によるテーブル部11の上昇動作が完了したとき、つまり、台座20がリンク部70の軸部72から遠くなり、台座20の台座側接続部22とリンク部70のリンク側接続部71とが当接したとき、台座20とリンク部70が接続され、台座20による伸縮アーム81の上下伸縮が可能となる。
【0036】
(床下収納庫の場合)
昇降装置1を床下収納庫90に用いる場合について、図2に沿って説明する。
床下収納庫90は、収納部91と蓋92と昇降装置1とから成る。一般住宅の柱95、床94に囲まれた部分に、床下収納庫90を配置する。まず、昇降装置1を配置し、その上に収納部91、蓋92を配置する。
床下部分の高さは、限られていることから、昇降装置1の厚さは極力低いほうが良い(図2(a))。そのため、最低床時には、基台10とテーブル部11の厚さのみとできると好適である。
Xアームを用いる場合は、最低床時に、アーム同士が平行になると好適である。
上昇させる場合は、昇降部30によって、ある程度の高さまで、伸縮アーム81を持ち上げ、その後、リンク部70によって、伸縮アーム81を持ち上げる。
設置場所のスペースが限れていることから、昇降装置1の上面視の大きさは、収納部91の大きさと同じ程度であると好適である。
伸縮アーム81を最上位位置まで上昇させることで、収納部91を床94よりも高い位置まで移動させる(図2(b))。
【0037】
床下収納庫に用いる場合は、昇降装置1の大きさを極めてコンパクトにする必要がある。また、上述のように、低床時に、薄くする必要がある。大型の低床型昇降装置では、アームに傾斜部等を備え、低床時に傾斜部とカムを用いてアームを持ち上げるものがある。しかし、設計上、アームに対して傾斜部等を設置する位置は、駆動力等で決まってしまうことが多い。
コンパクトな昇降装置では、レイアウトが制限されることが多く、大型の低床型昇降装置と同じ構造を採用できないことも多い。
それに対して、本実施例では、傾斜部をテーブルの底面に配置することから、設計上の自由度を大きくすることができる。
【0038】
(上昇過程)
図3図4に沿って、テーブル部11を上昇させる過程を説明する。図3は、昇降装置1の側面断面図であり、概ね、第1の傾斜部33の位置で切断し、説明上、一部切断位置を変えている。図4は、昇降装置1の上面図であり、テーブル部11については、全体を除き、テーブル部11の底部の第1の傾斜部33のみを表示している。なお、図4では、ガイドレール84を省略している。
図3(a)、図4(a)は、最も低床時にある場合である。第1のリフトアーム82及び第2のリフトアーム83が平行になるまで、伸縮アーム81は畳まれている。テーブル部11を上昇させるため、紙面上の右方向に、台座20を移動させる。
昇降部30については、第1の傾斜部33の傾斜面34に対して、カム部31の円筒部32が付勢していない状態である。
台座20の台座側接続部22とリンク部70のリンク側接続部71は、離れており、接続されていない。
【0039】
図3(b)、図4(b)は、昇降部30の動作によって、テーブル部11が上昇した時点の図である。
台座20は、駆動部12によって、右方向に移動する。詳しくは、駆動部12のシリンダ13内の油圧によって、ピストン14が紙面右方向に移動し、牽引部23を介して連結された台座20もピストン14同様に紙面右方向に移動する。
台座20の移動に際して、カム部31の円筒部32は、第1の傾斜部33の傾斜面34に対して、付勢し、第1の傾斜部33に対して上向きの力を発生させる。第1の傾斜部33への力によって、テーブル部11が上昇する。
図3(b)では、昇降部30による上昇が完了した状態である。
伸縮アーム81の第2のリフトアーム83の水平可動な端部は、ガイドレール84によって、テーブル部11の沿う形で、水平移動する。第1のリフトアーム82の水平可動な端部は、ガイドレール84によって、基台10に沿う形で、水平移動する。
従って、テーブル部11の上昇に引きずられる形で、第1のリフトアーム82と第2のリフトアーム83の上端部が上昇する。それに伴い、第1のリフトアーム82と第2のリフトアーム83は、ある程度の角度を持つことになる。すると、通常のXアームと同様に、第1のリフトアーム82自体を移動して、伸縮アーム81を上昇できる状態になる。
台座20の台座側接続部22とリンク部70のリンク側接続部71は接し、台座20の移動に従って、リンク部70を介して第1のリフトアーム82の端部を移動可能な状態になる。
【0040】
図3(c)、図4(c)は、第1のリフトアーム82の端部が、台座20、リンク部70に連動して、紙面右方向に移動することによって、伸縮アーム81、テーブル部11が上昇した状態である。
駆動部12のピストン14の力によって、台座20が右に移動する。台座20の台座側接続部22とリンク部70のリンク側接続部71が接続されているので、リンク部70の軸部72に接続された第1のリフトアーム82の軸部も同様に移動する。伸縮アーム81の互いの角度が大きくなり、テーブル部11が最上位まで上昇する。
【0041】
(特性)
本実施例でのテーブルの高さとピストン負荷荷重の関係グラフを図15(a)に示す。最低床の位置は、テーブルの高さが最も低いときであり、最上位位置は、テーブルの高さが最も高いときである。
点線は、従来のXアームのみを用いた場合の特性である。
テーブルの高さが最低位置から、ある程度までは、カム構造でテーブルを押し上げるので、一定の負荷荷重で上昇する。
カム構造での上昇が完了する部分から、従来と同様にXアームでの上昇となる。
従来の方法では、最低位置付近では負荷荷重が大きすぎて、上昇困難であるが、カム構造を用いることによって、全体として、低い駆動力でテーブル部11を上昇させることができる。
【0042】
(変形例)
図6に沿って、昇降部30のバリエーションについて説明する。
実施例1では、テーブル部11の底部に第1の傾斜部33が固定され、台座20にカム部31が固定された形について説明した(図6(a))。
他の形状としては、基台10に第1の傾斜部33が固定され、テーブル部11に台座20があり、カム部31が台座20に固定されている形状も考えられる(図6(b))。この構造は、基台10側は通常のXアーム構造であり、テーブル部11側に移動構造を持つ構造である。この構造であると、駆動部等が基台10側ではなく、テーブル部11側にあるので、メンテナンスの際、テーブル部11を確認、交換するのみでよく、床下収納庫などの基台10が取り外しにくい場合に、好適である。
【0043】
図6(c)の場合は、テーブル部11にカム部31が固定され、第1の傾斜部33が台座20に固定される場合である。この場合は、第1の傾斜部33が原節であり、カム部31が従節となる。
この構造では、テーブル部11側には、傾斜面等の特殊な形状がなく、駆動部分もないことから、テーブル部11を収納部91の一部とするような場合に好適である。
図6(d)は、上記の形状を反転したものである。
【0044】
これらをまとめると、いずれも、第1の傾斜部33の傾斜面34とカム部11との相対位置に応じて、テーブル部11を昇降させ、テーブル部11の底部に、第1の傾斜部33又はカム部31が配置され、台座20に対応するカム部31又は第1の傾斜部33が配置され、台座20を水平方向に移動させ、第1の傾斜部33の傾斜面34とカム部31との相対位置を変化させ、テーブル部11を昇降させるものと言える。
【0045】
このように、本実施例によれば、昇降装置が上面視、収納庫の面積より大きくない構造であり、且つ、低床構造であるので、住宅設備として設置し易く、また、昇降構造設計時の自由度が大きくすることができる。
【実施例2】
【0046】
他の実施例について図7から図11を用いて説明する。実施例1と同様の部分は省略する。
図7は、本発明に係る昇降装置の傾斜部の他の実施例を示す斜視図であり、(a)は第1の傾斜部33の一部を変形した形状を示し、(b)は第2の傾斜部(A)41の形状を示し、(c)は第2の傾斜部(B)46の形状を示す。図8乃至11は、本発明に係る昇降装置の他の実施例を示しており、図8はテーブル部11を上昇させる過程を表す側面模式図、図9はテーブル部11を上昇させる過程を表す断面図、図10は規制部としてシリンダを用いた場合を示す側面模式図、図11は支持体を電動で制御する場合を示す模式図である。
【0047】
(課題)
実施例1の構造によれば、極めて、低床の状態からの昇降可能とすることができる。しかしながら、1段の傾斜部での上昇では、Xアームの角度が不十分で、アームを十分に駆動できない場合がある。また、昇降速度を一定にしたい場合に、駆動部による昇降とアームの軸の移動による昇降を組み合わせた方法では難しいもあった。
そこで、カム構造で、より高く上昇させる構造が求められていた。
【0048】
実施例2の昇降装置1は、実施例1の構成に加えて、昇降部30として、第2の傾斜部40と、テーブル部11の底部に回動可能に接続され、第2の傾斜部40を支持する支持部50と、支持部50の回動を制御する回動制御部60とを持ち、第1の傾斜部33の形状が若干異なるものである。他の構造については、実施例1と同等である。
第2の傾斜部40は、カム構造における傾斜面を延長するものである。
第2の傾斜部40は、1つでもいいし、複数でも良い。第2の傾斜部40は、第1の傾斜部33の下端に接続する形で、傾斜面を延長する。それに伴い、第1の傾斜部33の形状も変更している。
なお、ガイドレール82については、実施例1と同様の形状、効果であるので、図8,9については省略している。
【0049】
(傾斜部)
図7に沿って、第1の傾斜部33、第2の傾斜部40について説明する。図7(a)は、第1の傾斜部33である。テーブル部11の底部に固定されている点は、実施例1と同じであるが、下端辺に2つの軸孔35が開けてある。また、2つの軸孔35間は、他の部材である第2の傾斜部40の軸が入るように窪んでいる。
図7(b)は、第2の傾斜部40であり、第2の傾斜部40のうち、第1の傾斜部33に近いほうの部材である第2の傾斜部(A)41である。第2の傾斜部(A)41にも第1の傾斜部33と同様に傾斜面42がある。第2の傾斜部(A)41の上部には、第1の傾斜部33に接続する軸部43があり、下部には、他の第2の傾斜部40を接続する軸孔44が設けてある。第2の傾斜部(A)41の上部で傾斜面42の反対側には、当て部45が設けられている。当て部45は、支持部(A)52の先端部54が当接し、第2の傾斜部(A)41の上方向への回転を規制するものである。
第1の傾斜部33と第2の傾斜部(A)41が所定の角度の時、言い換えれば、第2の傾斜部(a)41の当て部45を支持部(A)52の先端が鉛直方向に支持したとき、第2の傾斜部(A)41の回転が支持部(A)52によって規制され、傾斜面34と傾斜面42は同一面となる。
【0050】
図7(c)は、第2の傾斜部40であり、複数の第2の傾斜部40のうち、第1の傾斜部33に対して遠いほうの部材である第2の傾斜部(B)46である。
第2の傾斜部(B)46にも第1の傾斜部33と同様に傾斜面47がある。傾斜面47の上部には、第2の傾斜部(A)41に接続する軸部48がある。第2の傾斜部(B)46の上部で傾斜面47の反対側には、当て部49が設けられている。当て部49は、支持部(B)55の先端部57が当接し、第2の傾斜部(B)46の上方向への回転を規制するものである。
傾斜面34と傾斜面42と傾斜面47は、第1の傾斜部33と第2の傾斜部(A)41と第2の傾斜部(B)46が所定の角度の時、言い換えれば、第2の傾斜部(A)41の回転が支持部(A)52によって規制され、第2の傾斜部(B)46の回転が支持部(B)55によって規制された際、同一面となる。
【0051】
また、2つの第2の傾斜部40の関係は、複数あり、隣接する第2の傾斜部同士は、一方の第2の傾斜部の傾斜面の下側端辺に、端辺に平行な軸孔があり、他方の第2の傾斜部の傾斜面の端辺に、端辺に平行な軸部があり、第2の傾斜部の当て部が支持部の先端で鉛直方向に支持されたときすべての第2の傾斜部の傾斜面は、同一面を形成するといえる。
【0052】
図7(d)は、第1の傾斜部33、第2の傾斜部(A)41、第2の傾斜部(B)46の斜面が同一面となった際の斜視図である。
第1の傾斜部33の傾斜面34の下側端辺部と、第2の傾斜部(A)41の傾斜面42の上側端辺部は、平行な軸構造で回動可能に接続されている。
第2の傾斜部(A)41は支持部(A)52に、第2の傾斜部(B)46は、支持部(B)55に支持されているので、カム部31からの付勢があった際、傾斜面が崩れることは無い。
【0053】
(支持部)
支持部50は、第2の傾斜部40の傾斜面が第1の傾斜部33の傾斜面34と同一面を形成し、且つ、カム部31からの付勢に対して、第2の傾斜部40が変形することなく、カム動作を行うようにするものである。
第2の傾斜部40が2つある場合について説明する。第2の傾斜部40は、第2の傾斜部(A)41と第2の傾斜部(B)46の2つである。対応する支持部50として、支持部(A)52、支持部(B)55の2つがある。支持部(A)52、支持部(B)55は、テーブル部11の底面に回動するための軸部53、軸部56によって固定され、軸部53、軸部56を中心に回動する。支持部50は、他からの付勢が無い場合、自重によって、先端部が鉛直方向を向く構造である。
第2の傾斜部40の傾斜面を第1の傾斜部33の傾斜面34と同一面にする際、支持部(A)52の先端部54、支持部(B)55の先端部57は、それそれ、当て部45、当て部49に当接させる。当て部45、当て部49は、支持部(A)52、支持部(B)55が鉛直方向を向いた際、当接する位置にある。
カム部31が傾斜面42、傾斜面47上を移動する際、カム部31からの付勢によって、第2の傾斜部(A)41、第2の傾斜部(B)46の位置がずれることを防ぐものである。
支持部の先端部54、先端部57は、それぞれの対応する第2の傾斜部(A)41、第2の傾斜部(B)46を使用しない低床時には、支持部50の長手方向よりも、第1の傾斜部33から離れる方向に回動している。回動することによって、低床時に、テーブル部11が下がる際に、支持部50が邪魔になることを防ぐ。
回動は、回動制御部60によって行われる。
支持部50が、使用されないときに、スムーズに、回動するように、支持部50には、回動制御部60が設けられている。
【0054】
(回動制御部)
回動制御部60は、支持部50を使用するときは、支持部50の先端が鉛直方向を向くようにし、使用しないときは、第1の傾斜部33から離れる方向に回動するためのものである。
回動制御部60は、棒状であり、基端部は支持部に接続され、先端部は、支持部の長手方向よりも、第1の傾斜部から離れる方向にある。弾性を持ち、必要に応じて、先端部が、基台10と接触し、支持部50に対して、付勢する。
また、回動制御部60は、支持部50に比べて十分軽く、支持部50が自重で、鉛直方向を向く際の妨げとはならない。
回動制御部60は、支持部(A)52、支持部(B)55に対して、回動制御部(A)62、回動制御部(B)66を持つ。回動制御部(A)62、回動制御部(B)66の基端部は、それぞれ、支持部(A)52、支持部(B)55に接続され、先端部は、支持部の長手方向よりも、第1の傾斜部から離れる方向にある。
最低床時には、第2の傾斜部(A)41、第2の傾斜部(B)46は、折りたたまれており、傾斜面を使用する際には、回動し、支持部50で支持される。
回動制御部(A)62は、支持部(A)52の制御として、第2の傾斜部(A)41が使用しない状態では、支持部(A)52を斜めにし、使用する直前から、使用中は、支持部(A)52を鉛直方向に向かせ、当て部45への当接準備、及び、当接させるものである。
また、使用状態から使用しない状態に移行する際は、使用しない状態となった際、支持部(A)52を斜めにする。
【0055】
テーブル部11を上昇させる際、回動制御部60は、対応する第2の傾斜部40が使用状態になる直前に、支持部50を斜め状態から鉛直方向に回動する。
テーブル部11を降下させる際、回動制御部60は、対応する第2の傾斜部40が未使用状態になった直後に、支持部50を鉛直方向から斜め状態に回動する。
回動するタイミングは、いずれも、カム部31が対象とする傾斜部の1つ上の傾斜部の下端付近にある時である。
カム部31の位置の定義の一例として、カム部の位置を、基台10から、カム部31と第1の傾斜部33の傾斜面34との接触部分までの高さ(以下、接触面の高さCともいう)と、する(図8(b)参照)。
傾斜部の下端付近の位置の定義として、基台10から、第1の傾斜部33の下端付近にある軸孔35である軸部の軸心までの高さ(以下、傾斜面34の下端付近の高さDともいう)とすることができる(図8(b)参照)。
また、別の定義の仕方として、基台から、第1の傾斜部33の傾斜面の上端と下端の中間位置よりも下端に近い位置までの高さとすることもできる。
【0056】
回動制御部60の回動動作は、回動制御部60の先端が基台10に接触しているか否かで行われる。
上昇時には、最初、支持部50に斜めに配置された回動制御部60が基台10に接触しているので、基台10からの付勢を受け、支持部50が斜めに回動した状態である。
上昇を続けると、徐々に、支持部50は、鉛直方向に回動し、支持部50の軸部が、ある高さになると、回動制御部60の先端は基台10に接触しなくなり、支持部50は、自重によって、鉛直方向を向く。
降下時には、最初、回動制御部60の先端は基台10に接触していないので、支持部50は、自重によって、鉛直方向を向いている。ある高さまで降下すると、回動制御部60の先端は基台10に接触する。回動制御部60の先端は、支持部50の長手方向よりも、第1の傾斜部33から離れる方向にあることから、回動制御部60の先端は基台10上を摺動し、支持部50に対して、第1の傾斜部33から離れる方向へ付勢し回動をおこなう。結果、支持部50は斜めに傾いた状態となる。
従って、接触面の高さCと傾斜面34の下端付近の高さDが等しくなった時に、回動制御部60の先端が、付勢なく接触する構造であると好適である。
【0057】
(上昇動作説明)
図8、9に沿って、テーブル部11を上昇させる過程を説明する。図8は、昇降装置1の側面模式図である。寸法、形状等は、説明のため、適宜変更している。
図9は、昇降装置1の側面断面図である。見やすくするため、一部断面位置を変えている。
図8(a)、図9(a)は、昇降装置1が最も低床にある場合である。
第1のリフトアーム82及び第2のリフトアーム83は、平行になるよう折りたたまれている。
第2の傾斜部(A)41、第2の傾斜部(B)46は、傾斜面42、傾斜面47が基台10に平行になるような状態で、テーブル部11と基台10の間に収まっている。
支持部(A)52、支持部(B)55は、一端が、軸部53、軸部56によってテーブル部11に固定され、第1の傾斜部33から先端部54、先端部57が離れる方向に回動した状態で、テーブル部11と基台10の間に収まっている。
支持部(A)52、支持部(B)55には、適宜、回動するための回動制御部(A)62、回動制御部(B)66が設けられている。
回動制御部(A)62、回動制御部(B)66は支持部(A)52、支持部(B)55の長手方向に対して、斜め下方向に、先端部64、先端部68が向くように、支持部(A)52、支持部(B)55の側面に、基端部63、基端部67によって固定されている。
回動制御部(A)62の先端部64は、基台10に接触し、付勢を受け、支持部(A)52を第1の傾斜部33から離れる方向に回動している。
台座20に載ったカム部31は、第1の傾斜部33に対して、付勢すべく、紙面上右に移動していく。
台座20と第1のリフトアーム82とは、リンク部70を介して、接続されている。
【0058】
図8(b)、図9(b)は、カム部31が第1の傾斜部33に当接することによってテーブル部11が上昇している状態である。
テーブル部11が上昇し、カム部31が第1の傾斜部33の下端付近にあり、接触面の高さCと傾斜面34の下端付近の高さDがほぼ同一である。回動制御部(A)62の先端部64は基台10とわずかに接触する状態であり、支持部(A)52の先端部54は、自重によって、鉛直方向を向いている。
接触面の高さCと傾斜面34の下端付近の高さDと回動制御部の関係をまとめると、基台10から傾斜面34の下端までの高さが、基台10からカム部と第1の傾斜部の傾斜面との接触部分までの高さよりも小さいとき、回動制御部の先端部は基台の上面と接触し、回動制御部は、支持部の先端が、第1の傾斜部から離れる方向に回動するように付勢する。
基台10から傾斜面34の下端までの高さが、基台10からカム部と第1の傾斜部の傾斜面との接触部分までの高さよりも大きいとき、支持部の先端は、自重により、鉛直方向を向くことになる。
【0059】
第2の傾斜部(B)46は、まだ、傾斜面47が基台10に平行な状態である。傾斜面47のための支持部(B)55は、回動制御部(B)66によって、第1の傾斜部33から離れる方向に回動し、斜め状態である。
第2の傾斜部(A)41は、テーブル部11の上昇に応じて、接続された第1の傾斜部33に引かれる形でカム部31の方向に回動している。
第2の傾斜部(A)41の当て部45と支持部(A)52の先端部54の間に隙間がある状態である。
その後、カム部31が第1の傾斜部33の傾斜面34から第2の傾斜部(A)41の傾斜面42に移動することによって、傾斜面42に対して付勢し、第2の傾斜部(A)41の当て部45と支持部(A)52の先端部54が当接する。
このとき、傾斜面34と傾斜面42が同一傾斜面となり、カム構造の傾斜面が第1の傾斜部33のみの場合よりも倍の規模となり、テーブル部11の上昇量を大きくすることができる。
【0060】
図8(c)、図9(c)は、更に上昇し、第2の傾斜部(A)41の下端付近にカム部31の接触面がある状態である。
図8(b)の第2の傾斜部(A)41に当たるものが、第2の傾斜部(B)46となる。
回動制御部(B)66の先端部68は基台10とわずかに接触する状態であり、支持部(B)55の先端部57は、自重によって、鉛直方向を向いている。
第2の傾斜部(B)46は、テーブル部11の上昇に応じて、接続された第2の傾斜部(A)41に引かれる形でカム部31の方向に回動する。
第2の傾斜部(B)46の当て部49と支持部(B)55の先端部57の間に隙間がある状態である。
その後、カム部31が、第2の傾斜部(A)41の傾斜面42から第2の傾斜部(B)46の傾斜面47に移動することによって、傾斜面47に対して付勢し、第2の傾斜部(B)46の当て部49と支持部(B)55の先端部57が当接する。
このとき、傾斜面34、傾斜面42と傾斜面47が同一傾斜面となり、カム構造の傾斜面が第1の傾斜部33のみの場合よりも3倍の規模となり、テーブル部11の上昇量を大きくすることができる。
【0061】
図8(d)、図9(d)は、カム部31が3つの傾斜面上の移動を完了した状態である。
台座20の台座側接続部22とリンク部70のリンク側接続部71は隙間なく接続され、台座20とリンク部70と第1のリフトアーム82の軸は一体となっている。
ここまでの上昇は、カム部31と第1の傾斜部33、第2の傾斜部(A)41、第2の傾斜部(B)46とのカム構造で行われたが、この後は、台座20がリンク部70を介して、第1のリフトアーム82の軸を移動することによって、テーブル部11を上昇させることになる。
【0062】
図8(e)、図9(e)は、テーブル部11が最上位位置まで上昇した場合を示す。通常のXアームによるアーム駆動と同様の動作となる。
【0063】
このように、本実施例によれば、カム構造によるテーブル部11の上昇量を大幅に増やすことができ、駆動力が小さく、低床時に、アームを十分駆動できない場合であっても、テーブル部11を十分上昇させ、アームへの駆動負担が小さくなった段階で、アーム駆動を行うことができる。
また、本実施例によれば、カム構造による、一定速度の上昇範囲が広くなることから、見た目に昇降品位を向上させることができる。
【0064】
(特性)
実施例2でのテーブルの高さとピストン負荷荷重の関係グラフを図15(b)に示す。最低床の位置は、テーブルの高さが最も低いときであり、最上位位置は、テーブルの高さが最も高いときである。
点線は、従来のXアームのみを用いた場合の特性である。
テーブルの高さが最低位置からある程度までは、カム構造でテーブルを押し上げるので、一定の負荷荷重で上昇する。カム構造での上昇量が実施例1よりも大きいため、負荷荷重が一定である区間が、図15(a)よりも延びている。
また、カム構造が完了した後の負荷荷重の上昇は、図15(a)よりも小さくなっている。
このように、複数の傾斜部を用いることによって、全体として、駆動力の小さな駆動部を用いることができるので、消費量削減の意味でも好適である。
【0065】
(変形例(シリンダ構造))
図10に沿って、規制部80として、Xアームを用いない例を説明する。
カム構造とXアームを用いることによって、大きな上昇量を得ることができるが、必要な上昇量が、複数の傾斜部による上昇量でよい場合は、Xアームに代えて、シリンダ構造85を用いることができる。
シリンダ構造85は、複数の太さの異なるシリンダを同心円状に重ね、シリンダ同士の重ね合わせの量を変えることで、全体としての長さを変え、伸縮自在とするものである。
シリンダ構造85自体には、上昇する力は無く、テーブル部11の上昇に沿って、上方に延びながら、テーブル部11の水平方向への移動を規制するものである。シリンダ構造85を用いることによって、昇降装置1の構造を簡略化できる。
図10(a)は、最低床時であり、図10(b)、図10(c)と、順次、第1の傾斜部33、第2の傾斜部(A)41、第2の傾斜部(B)46を用い、テーブル部11を上昇させる。
図10(d)で、カム構造でのテーブル部11の上昇は完了し、この位置が昇降装置1自体の最上位位置となる。
【0066】
この構造を用いることによって、常に一定の速度で、テーブル部11を上昇させることができる。また、カム構造の傾斜量を調整することによって、大きな荷重の昇降を可能とすることができる。
【0067】
(変形例(電動))
図11に沿って、回動制御部60が電動である例について説明する。
図8等で、回動制御部60が棒状の場合を説明したが、位置センサ(以下台車位置センサともいう)と回動駆動部と制御部によって、制御することもできる。
回動制御部60は、回動駆動部51と位置センサ61とから成る。
支持部50を使用する際は、支持部50を鉛直方向を向かせ、使用しないときは、第2の傾斜部40が基台10等に当たらないよう、斜め方向に回動させる点は、棒状の場合と同じである。
【0068】
回動駆動部51は、支持部50の軸部分に配置され、軸部分を中心として任意の角度に回転できる駆動部分である。エンコーダを用いて、角度を指定してもいいし、ステッピングモータで、所定の角度に回転しても良い。
位置センサ61は、台座20、カム部31の位置を検知するためのものである。例えば、台座20につけられたマーカMを基台10に配置されたセンサで検知するものでも良い。
図示しない制御部は、位置センサ61からの情報に従って、回動駆動部51を適切な角度に制御するものである。
【0069】
また、図11において、回動規制部37は第2の傾斜部40の回動をある程度制限するものである。第2の傾斜部40が支持部50によって支持される前であっても、傾斜面34と傾斜面42の面が大きくずれないようにするものである。この構造によって、カム部31が傾斜面34から傾斜面42に移動する際、第2の傾斜部(A)41が大きく動くことを防ぐものである。
また、補助部36は、第1の傾斜部33の上部と第2の傾斜部(A)41の上部に設けられた軸同士の距離を、一定以内に規制するものである。回動制御部60と同様に、第2の傾斜部40の回動をある程度制限するものである。
【0070】
位置センサ61がマーカを検知していない状態は、第2の傾斜部(A)41を使用していない状態で、支持部(A)52を斜めにするべき状態とする。
位置センサ61がマーカを検知している状態は、第2の傾斜部(A)41を使用している、又は、使用する準備をおこなう状態で、支持部(A)52を鉛直方向に向けるべき状態とする。
【0071】
図11(a)は、位置センサ61が台座20のマーカMを検知していない状態である。従って、第2の傾斜部40を使用する状態にないので、回動駆動部51を制御し、支持部50の長手方向の角度を第1の傾斜部33から離れる方向の角度にする。
言い換えれば、基台10から第1の傾斜部33の傾斜面34の下端付近までの高さCが、基台10からカム部31と第1の傾斜部33の傾斜面34との接触部分までの高さDよりも小さい位置に台車20があることを、台車位置センサが検知したとき、回動駆動部62は、支持部52の先端部が、第1の傾斜部33から離れる方向に、支持部52を回動させる。
【0072】
図11(b)は、カム部31、台座20が移動し、カム部31が傾斜面34の下端付近に来た状態である。
位置センサ61は、台座20のマーカMを検知している状態である。従って、第2の傾斜部40を使用する状態であるので、回動駆動部51を制御し、支持部50の長手方向を鉛直方向に向かせる。
言い換えれば、基台10から第1の傾斜部33の傾斜面34の下端付近までの高さCが、基台10からカム部31と第1の傾斜部33の傾斜面34との接触部分までの高さDよりも大きい位置に台車20があることを、台車位置センサが検知したとき、回動駆動部(A)62は、支持部(A)52の先端を鉛直方向に回動させる。
【0073】
降下時も同様に、この動作によって、位置センサ61の検知内容によって、支持部を回動させる。
このように、位置センサ、駆動部を用いることによって、より精度よく、スムーズに昇降動作を行うことができる。
【実施例3】
【0074】
他の実施例について図12から図14を用いて説明する。実施例1と同様の部分は省略する。
図12は、本発明に係る昇降装置の他の実施例を示す全体斜視図であり、駆動部等を見やすくするため、リフトアームの一部を描画していない。図13は、本発明に係る昇降装置の他の実施例を示す断面図であり、(a)は昇降装置が最も低い場合、(b)は昇降装置のカム構造によってテーブルが持ち上がった状態、(c)は昇降装置が最も高い状態を示している。図14は、本発明に係る昇降装置の他の実施例を示す上面図であり、テーブルは除き、(a)は昇降装置が最も低い場合、(b)は昇降装置のカム構造によってテーブルが持ち上がった状態、(c)は昇降装置が最も高い状態を示している。
(課題)
実施例1の構造によれば、極めて、低床の状態からの昇降可能とすることができる。しかしながら、実施例1のXアーム構造では、第1のリフトアーム82の移動端部付近に、リンク部70やガイドレール84が必要であり、構造上、さらに、シンプルにすることが求められていた。
【0075】
実施例3の昇降装置1は、実施例1の構成に対して、リンク部70が無く、ストッパ部15があり、駆動部12と規制部80の関係が異なる。他の構造については、実施例1とほぼ同等である。
(駆動部)
駆動部12は、昇降装置1の昇降を行うための力を発生させる部分であり、台座20及び第1のリフトアーム82の移動端部を水平方向に移動させるものである。
駆動部12の一方の端部が、アーム端部保持部16を介して第1のリフトアーム82の移動端部に接続され、駆動部12の他方の端部が台車20に接続されている。アーム端部保持部16は、駆動部12及び第1のリフトアーム82の移動端部と固定されているので、駆動部12と第1のリフトアーム82の移動端部は一体に動く。
実施例1と異なり、駆動部12の一方の端部が基台10に固定されるのではなく、アーム端部保持部16を介して、第1のリフトアーム82の端部に固定されている。
駆動部12は、台車20がストッパ部15で規制された際、台車20に、第1のリフトアーム82の端部を移動させる動作を行う。
【0076】
(ストッパ部)
ストッパ部15は、台車20の水平方向の動きを規制するものである。
駆動部12と台車20の間に位置し、テーブル部11が、最低位置のときには、台座20とストッパ部15とは接しておらず、昇降部30によるテーブル部11の上昇動作が完了したときには、台座20とストッパ部15は接触し、台車20の動きは、ストッパ部15によって規制される。
【0077】
(規制部)
本実施例では、実施例1と同様に、Xアーム型の伸縮アーム81を用いている。基本的な動作は、実施例1と同様である。
伸縮アーム81は、基台10とテーブル部11との間に、第1のリフトアーム82と第2のリフトアーム83を相互に回転可能に連結している構造である。
第1のリフトアーム82の一方の端部(移動端部)は、アーム端部保持部16を介して駆動部12の端部に接続されている。
実施例1では、駆動部12が、台車20を動かし、台車20がリンク部70を介して、第1のリフトアーム82の端部を移動させる構造であったが、本実施例では、駆動部12が、アーム端部保持部16を介して、第1のリフトアーム82の移動端部を移動させるものである。
実施例1では、第1のリフトアーム82の端部(移動端部)は、駆動部12がテーブル部11を持ち上げる際、浮き上がる力が発生する場合があり、それを規制するために、ガイドレール84が必要であった。しかし、本実施例では、第1のリフトアーム82の移動端部が駆動部12と一体となっているので、浮き上がることが無く、ガイドレール84が不要となっている。
このように、本構造とすることによって、第1のリフトアーム82の移動端部付近に、ガイドレール84やリンク部70が不要となり、極めてシンプルな構造となることができる。
【0078】
(上昇過程)
図13図14に沿って、テーブル部11を上昇させる過程を説明する。図13は、昇降装置1の側面断面図であり、概ね、第1の傾斜部33の位置で切断している。図14は、昇降装置1の上面図であり、テーブル部11については、全体を除き、テーブル部11の底部の第1の傾斜部34のみを表示している。
図13(a)、図14(a)は、最も低床時にある場合である。第1のリフトアーム82及び第2のリフトアーム83がほぼ平行になるまで、伸縮アーム81は畳まれている。テーブル部11を上昇させるため、紙面上の右方向に、台座20を移動させる。
駆動部12の一方の端部は、アーム端部保持部16を介して、第1のリフトアーム82の移動端部に接続されている。駆動部12の他方の端部は、台車20に固定されている。
テーブル部11を上昇させるため、駆動部12は、駆動部12と台車20の間の距離を短くする方向に、言い換えれば、台車20を紙面右方向に移動させるよう、駆動する。
駆動部12の一方の端部は、第1のリフトアーム82に接続されているので、第1のリフトアーム82を引き上げる方向の力を、第1のリフトアーム82に与えるが、第1のリフトアーム82と第2のリフトアームの角度が小さいため、第1のリフトアーム82を引き上げることができず、駆動部12の力はすべて、台車20を引く方向に動く。
台車20のカム部31は、第1の傾斜部33の傾斜面34に当たり、テーブル部11を押し上げる力を発生させる。この動作は、実施例1と同様である。
【0079】
図13(b)、図14(b)は、昇降部30の動作によって、テーブル部11が上昇した時点の図である。
台座20は、駆動部12によって、紙面上右方向に移動する。詳しくは、駆動部12のシリンダ13内の油圧によって、ピストン14が紙面右方向に移動し、連結された台座20もピストン14同様に紙面右方向に移動する。
実施例1と同様に、台座20の移動に際して、カム部31の円筒部32は、第1の傾斜部33の傾斜面34に対して、付勢し、第1の傾斜部33に対して上向きの力を発生させる。
図13(b)では、昇降部30による上昇が完了した状態である。
昇降部30によるテーブル部11の上昇によって、第1のリフトアーム82と第2のリフトアーム83は、ある程度の角度を持つことになる。
昇降部30によるテーブル部11の押し上げが完了する台車20の位置にストッパ部15が配置されている。そのため、台車20は、必要以上に右に移動することなく、逆に、台車20が駆動部12を左方向に移動させる構造となる。
駆動部12は、第1のリフトアーム82の移動端部に接続されているので、駆動部12の力によって、第1のリフトアーム82の移動端部が左に移動し、第1のリフトアーム82と第2のリフトアーム83との角度が大きくなり、テーブル部11を上昇させる。
【0080】
図13(c)、図14(c)は、第1のリフトアーム82の端部が、ストッパ部で規制させた台車20を軸に、駆動部12の力によって、紙面左方向に移動し、伸縮アーム81、テーブル部11が上昇した状態である。
伸縮アーム81の互いの角度が大きくなり、テーブル部11が最上位まで上昇する。
【0081】
このように、本実施例によれば、リフトアームの移動端部が不用意に持ち上がることを防止するガイドレールが不要となり、構造をシンプルにすることができる。
【0082】
また、このような構造とすることによって、傾斜部33と台車20を同じ側に設置できるため、補強を容易に行うことができ、好適である。
【0083】
また、ガイドレール84の上側ガイドが不要で、傾斜部33でテーブル部11を持ち上げる時とリフトアームを移動してテーブル部11を持ち上げる時のリフトアームの移動端部の荷重方向変位が無く、ガタ(振動や音)の発生が少なく、好適である。
【0084】
また、荷重負担部位である昇降部、リフトアーム固定部、ストッパ部等が、リフトアームの固定端部に近い方に集められることから、構造の簡素化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明に係る昇降装置は、コンパクトな低床対応の昇降装置についての産業上の利用可能性は大きいと解する。
【符号の説明】
【0086】
1 昇降装置
10 基台
11 テーブル部
12 駆動部
13 シリンダ
14 ピストン
15 ストッパ部
16 アーム端部保持部
20 台座
21 車輪
22 台座側接続部
23 牽引部
24 スクリューネジ用穴
30 昇降部
31 カム部
32 円筒部
33 第1の傾斜部
34 傾斜面
35 軸孔
36 補助部
37 回動規制部
40 第2の傾斜部
401 回動規制部
41 第2の傾斜部(A)
42 傾斜面
43 軸部
44 軸孔
45 当て部
46 第2の傾斜部(B)
47 傾斜面
48 軸部
49 当て部
50 支持部
51 回動駆動部
52 支持部(A)
53 軸部
54 先端部
55 支持部(B)
56 軸部
57 先端部
60 回動制御部
61 位置センサ
62 回動制御部(A)
63 基端部
64 先端部
66 回動制御部(B)
67 基端部
68 先端部
70 リンク部
71 リンク側接続部
72 軸部
80 規制部
81 伸縮アーム
82 第1のリフトアーム
821 リフトアーム軸部
83 第2のリフトアーム
84 ガイドレール
841 ガイドレール端部
85 シリンダ構造
90 床下収納庫
91 収納部
92 蓋
93 蓋支持部
94 床
95 柱
M マーカ

【要約】
【課題】シンプルな構造で、上面視、収納庫の面積よりも大きくない構造で低床型且つ高荷重・高揚程を得られる昇降装置を提供する。
【解決手段】基台と、テーブル部と、テーブルを昇降させる昇降部と、台座と、台座を水平方向に移動させる駆動部と、テーブル部の水平方向への移動を規制する規制部とから成り、昇降部は、カム構造であり、従節である第1の傾斜部と、原節であるカム部とから成り、第1の傾斜部の傾斜面とカム部との相対位置に応じて、テーブル部を昇降させ、テーブルの底部に、第1の傾斜部又はカム部が配置され、台座部に、対応するカム部又は傾斜部が配置され、台座を水平方向に移動させ、第1の傾斜部の傾斜面とカム部との相対位置を変化させ、テーブル部を昇降させるという構成を採用した。
【選択図】図1

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15